JP2012229167A - テストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害剤、およびそれを含有する育毛剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のテストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害剤は、アンズ、モモ、リンゴおよびイチゴから選ばれる一種又は二種以上のバラ科植物の果汁を含有し、さらにコンブ科のクロメの抽出物を含有することが好ましい。本発明の育毛剤は、本発明のテストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害剤を含有する。
【選択図】なし
Description
また、本発明は、これらテストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害剤を含有する育毛剤に関する。
本発明のテストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害剤は、アンズ、モモ、リンゴおよびイチゴから選ばれる一種又は二種以上のバラ科植物の果汁を含有する。
本発明におけるアンズ果汁とは、バラ科サクラ属のホンアンズ(Prunus armenica L.)、ホンアンズの栽培品種であるアンズ(Prunus armeniaca L.var. ansu Maxim.)、マンシュウアンズ(Prunus mandshurica Koehne)およびモウコアンズ(Prunus sibirica L.)等の果実から得られる果汁のことであり、ホンアンズ、アンズの果実から得られる果汁が特に好ましい。
本発明におけるリンゴ果汁とは、バラ科リンゴ属のリンゴ(Malus pumila Mill.)の果実から得られる果汁のことである。
本発明におけるイチゴ果汁とは、バラ科イチゴ属の植物の果実から得られる果汁のことであり、イチゴ(Fragaria × ananassa Duch.)、チリイチゴ(Fragaria chiloensis Duch.)の果実から得られる果汁が特に好ましい。
本発明における果汁の中でも好ましくは、ホンアンズ、アンズ、イチゴあるいはチリイチゴの果実から得られる果汁であり、さらに好ましくはホンアンズ、アンズの果実から得られる果汁である。
本発明のテストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害剤は、アンズ、モモ、リンゴおよびイチゴから選ばれる一種又は二種以上のバラ科植物の果汁とともに、コンブ科のクロメの抽出物をさらに含有していることが好ましい。
本発明に用いられるクロメ(Ecklonia kurome)は、コンブ科カジメ属に属する植物である。
本発明に用いられるクロメ抽出物は、クロメの全藻を、そのまま、もしくは乾燥させた後、各種溶媒にて抽出したものであり、抽出液そのもの、もしくはその濃縮物をいう。抽出に用いられる溶媒としては、炭化水素、エステル、ケトン、エ−テル、ハロゲン化炭化水素、水溶性のアルコ−ル類及び水等が挙げられる。中でも好ましくは水、低級アルコ−ル、多価アルコ−ルの1種または2種以上を用いて得られる抽出物であり、さらに好ましくは水、エタノ−ル、1,3−ブチレングリコ−ルの1種または2種以上を用いて得られる抽出物である。抽出に際しては、クロメの全藻を、そのまま、もしくは乾燥させた後、スライスや粉砕したものに、抽出溶媒を加え1時間以上浸漬し、ろ過することで抽出液を得ることができる。得られた抽出液は、そのまま用いてもよく、あるいは溶媒留去により濃縮したり、カラムクロマトグラフィ−や溶媒分画等の処理により精製したりしてもよい。
上記のバラ科植物の果汁、あるいは上記のバラ科植物の果汁とクロメ抽出物を含有するテストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害剤は、医薬品、医薬部外品、食品、化粧品類(例えば、ローション、乳液、クリーム、ジェル、ヘアトニック、パック、オイル、軟膏、スプレー、貼付剤等)として利用することができ、全身的または局所的に、経口または経皮で投与される。本発明のテストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害剤を医薬品として適用する場合は、例えば、前立腺肥大症の治療を目的として経口投与することができ、脱毛症やニキビの治療を目的として経皮投与することができる。
本発明の育毛剤は、本発明のテストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害剤、すなわち上記のバラ科植物の果汁、あるいは上記のバラ科植物の果汁とクロメ抽出物を含有するものである。本発明の育毛剤は、通常、果汁の有効分のみを0.0001〜5質量%、あるいは果汁の有効分0.0001〜5質量%とクロメ抽出物の有効分0.0001〜5質量%を含有するものである。本発明における果汁とクロメ抽出物の有効分は、乾燥質量で表わされ、実際に水分や溶媒を除去して乾燥させた残留物の質量のみならず、残留物に含まれる水分量や溶媒量を算出し、その水分量や溶媒量を減じた残留物の質量も概念的に包含される。例えば、溶媒が揮発性である場合は、溶媒を105℃〜120℃で完全に留去させ、残存した固形分の質量であり、溶媒が難揮発性である場合は、高速液体クロマトグラフィー等で溶媒量を定量し、それ以外の成分量が果汁やクロメ抽出物の有効分である。
アンズ果汁として、アンズ果汁PH(日油株式会社製)、モモ果汁として、Hormo Fruit Peach/N(香栄興業株式会社製)、リンゴ果汁として、Hormo Fruit Apple/N(香栄興業株式会社製)およびイチゴ果汁として、イチゴポリフェノール−L(株式会社東洋発酵製)を使用した。なお、上記アンズ果汁、モモ果汁、リンゴ果汁およびイチゴ果汁の有効分は、それぞれ40質量%、30質量%、30質量%および60質量%であった。
クロメの全藻を乾燥し粉砕したもの100gに500gの精製水を加えて90〜100℃で10分間抽出し、ろ過することによりクロメの抽出液を500g得た。このクロメ抽出物の有効分は6質量%であった。
アンズ果汁との比較対照として、アンズの種子である杏仁の抽出物を用いた。細かく刻んだ杏仁100gに500gの精製水を加えて90〜100℃で10分間抽出し、ろ過することにより杏仁の抽出液を500g得た。この杏仁抽出物の有効分は7質量%であった。
アンズ果汁との比較対照として、アンズ果実の抽出物を用いた。アンズ果実を乾燥し破砕したもの100gに500gの20質量%エタノ−ル水溶液を加えて室温で3日間抽出し、ろ過することによりアンズ果実の抽出液を500g得た。このアンズ抽出物の有効分は12質量%であった。
モモ果汁との比較対照として、モモ果実の抽出物を用いた。モモ果実を乾燥し破砕したもの100gに500gの20質量%エタノ−ル水溶液を加えて室温で3日間抽出し、ろ過することによりモモ果実の抽出液を500g得た。このモモ抽出物の有効分は10質量%であった。
リンゴ果汁との比較対照として、リンゴ果実の抽出物を用いた。リンゴ果実を乾燥し破砕したもの100gに500gの20質量%エタノ−ル水溶液を加えて室温で3日間抽出し、ろ過することによりリンゴ果実の抽出液を500g得た。このリンゴ抽出物の有効分は9質量%であった。
イチゴ果汁との比較対照として、イチゴ果実の抽出物を用いた。イチゴ果実を乾燥し破砕したもの100gに500gの20質量%エタノ−ル水溶液を加えて室温で3日間抽出し、ろ過することによりイチゴ果実の抽出液を500g得た。このイチゴ抽出物の有効分は12質量%であった。
上記の果汁、クロメ抽出物、杏仁抽出物、アンズ抽出物、モモ抽出物、リンゴ抽出物、イチゴ抽出物を用いて、下記の方法によりテストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害試験を行った。
以下、試験に用いた試薬について説明する。
テストステロン(東京化成工業株式会社製)4.2mgを1,2−プロパンジオ−ル1mLに溶解してテストステロン溶液を調製した。
NADPH(オリエンタル酵母工業株式会社製)25.0mgを5mMトリス塩酸緩衝液(pH7.2)25mLに溶解してNADPH溶液を調製した。
S−9は、7週令のSDラットの雄の肝臓から調製したものであり、テストステロン−5α−レダクターゼを含有している。
テストステロン溶液10μLに、表1に記載の各濃度(表1中の括弧内の数値はその有効分濃度(質量%)である)に精製水で調整した試料を30μL加え、さらに、NADPH溶液を420μL、S−9を40μL加えて、37℃で30分間反応させた。その後、メタノ−ル800μLを加え撹拌し、反応を停止させ、上澄みを分取し、テストステロンの残存量をHPLCにより定量した。
阻害率(%)=100−(A−B)/(A−C)×100
A:試料として精製水を用い反応をさせなかった時のテストステロンのピーク面積
B:表1に記載の各試料を用い30分間反応をさせた時のテストステロンのピーク面積
C:試料として精製水を用い30分間反応をさせた時のテストステロンのピーク面積
2)Hormo Fruit Peach/N(有効分を30質量%含有)、香栄興業株式会社製
3)Hormo Fruit Apple/N(有効分を30質量%含有)、香栄興業株式会社製
4)イチゴポリフェノール−L(有効分を60質量%含有)、株式会社東洋発酵製
5)クロメ抽出物(有効分を6質量%含有)
6)杏仁抽出物(有効分を7質量%含有)
7)アンズ抽出物(有効分を12質量%含有)
8)モモ抽出物(有効分を10質量%含有)
9)リンゴ抽出物(有効分を9質量%含有)
10)イチゴ抽出物(有効分を12質量%含有)
注)表中の数値は、反応溶液に加えた各試料の濃度(質量%)であり、括弧内の数値はその有効分濃度(質量%)である。
上記の果汁、クロメ抽出物、杏仁抽出物、アンズ抽出物を用い、防腐剤としてフェノキシエタノールを0.3質量%配合して、表2に示すローション(育毛剤)を調製し、下記の6項目について下記評価基準により評価を行った。その結果を表2に示す。なお、表2における有効分とは、溶媒を除く残留物のことである。
2)Hormo Fruit Peach/N、香栄興業株式会社製
3)Hormo Fruit Apple/N、香栄興業株式会社製
4)イチゴポリフェノール−L、株式会社東洋発酵製
(1)毛髪本数増加率
髪が薄くなったり、抜け毛が増えたり等の自覚がある10名の男性(30才〜60才)をパネラーとし、育毛剤を1日2回、12週間使用後の毛髪本数増加率(%)について下記のように算出した。
育毛剤を塗布する予定の部位の毛髪を根元から約2mmだけ残し切り、切った直後の頭皮画像をカメラで撮影し、撮影画像から育毛剤塗布前の毛髪本数を計測した。12週間後も同様にカメラで撮影し、撮影画像から12週間の育毛剤塗布後の毛髪本数を計測した。毛髪本数増加率は、育毛剤塗布前の毛髪本数に対する12週間の育毛剤塗布後の毛髪本数の割合(相対値%)で表わした。なお、表2の毛髪本数増加率は、パネラー10名の平均値である。
20名の男性(30才〜60才)をパネラーとし、育毛剤を1日2回、12週間使用後の毛髪の状態について下記のように官能評価を行った。
2点:抜け毛が明らかに少なくなり、毛髪が明らかに増えたと感じた場合。
1点:抜け毛がやや少なくなり、毛髪がやや増えたと感じた場合。
0点:育毛効果が見られないと感じた場合。
さらに、20名の評価を加算し、合計点を下記の基準で判定した。
◎:35点以上かつ0点を評価したパネラーが1人もいない(非常に優れた育毛効果を有する育毛剤)
○:30点以上かつ0点を評価したパネラーが1人まで(優れた育毛効果を有する育毛剤)
△:15点以上かつ0点を評価したパネラーが2人まで(わずかに育毛効果を有する育毛剤)
×:15点未満または0点を評価したパネラーが3人以上(育毛効果を有しない育毛剤)
20名の男性(30才〜60才)をパネラーとし、育毛剤を1日2回、12週間使用後の頭皮の状態について下記のように官能評価を行った。
2点:皮脂の分泌が明らかに少なくなったと感じた場合。
1点:皮脂の分泌がやや少なくなったと感じた場合。
0点:皮脂分泌抑制効果が見られないと感じた場合。
さらに、20名の評価を加算し、合計点を下記の基準で判定した。
◎:35点以上かつ0点を評価したパネラーが1人もいない(非常に優れた皮脂分泌抑制効果を有する育毛剤)
○:30点以上かつ0点を評価したパネラーが1人まで(優れた皮脂分泌抑制効果を有する育毛剤)
△:15点以上かつ0点を評価したパネラーが2人まで(わずかに皮脂分泌抑制効果を有する育毛剤)
×:15点未満または0点を評価したパネラーが3人以上(皮脂分泌抑制効果を有しない育毛剤)
20名の男性(30才〜60才)をパネラーとし、育毛剤を1日2回、12週間使用後の頭皮の状態について下記のように官能評価を行った。
2点:頭皮が明らかに健康であると感じた場合。
1点:頭皮がやや健康であると感じた場合。
0点:頭皮を健康な状態へ導く効果が見られないと感じた場合。
さらに、20名の評価を加算し、合計点を下記の基準で判定した。
◎:35点以上かつ0点を評価したパネラーが1人もいない(非常に優れた頭皮を健康な状態へ導く効果を有する育毛剤)
○:30点以上かつ0点を評価したパネラーが1人まで(優れた頭皮を健康な状態へ導く効果を有する育毛剤)
△:15点以上かつ0点を評価したパネラーが2人まで(わずかに頭皮を健康な状態へ導く効果を有する育毛剤)
×:15点未満または0点を評価したパネラーが3人以上(頭皮を健康な状態へ導く効果を有しない育毛剤)
20名の男性(30才〜60才)をパネラーとし、洗髪した後に育毛剤を使用して10分後の頭皮の感触について下記のように判定した。
2点:べたつきが無いと感じた場合。
1点:肌がややべたつくと感じた場合。
0点:肌が非常にべたつくと感じた場合。
さらに、20名の評価を加算し、合計点を下記の基準で判定した。
◎:35点以上かつ0点を評価したパネラーが1人もいない(非常に優れた使用後のべたつきが無い育毛剤)
○:30点以上かつ0点を評価したパネラーが1人まで(優れた使用後のべたつきが無い育毛剤)
△:15点以上かつ0点を評価したパネラーが2人まで(わずかに使用後のべたつきがある育毛剤)
×:15点未満または0点を評価したパネラーが3人以上(使用後のべたつきがある育毛剤)
育毛剤を透明ガラス容器に密封して0℃、25℃、40℃でそれぞれ3ヶ月間保存し、その外観を観察して、下に示す2段階で評価した。
○:経時安定性良好(いずれの温度においても外観の変化がない。)
×:経時安定性不良(いずれかの温度において澱(おり)、沈殿を生じるか、または分離する。もしくは変色が著しい。)
一方、比較例4〜7は、使用後のべたつきが無い等の使用感に優れ、製剤の経時安定性も良好なものの、十分な育毛効果、皮脂分泌抑制効果、頭皮を健康な状態へ導く効果は見られなかった。
さらに、毛髪本数増加率の点で実施例と比較例を比較すると、実施例がより高く優れた育毛剤であることが分かる。
Claims (3)
- アンズ、モモ、リンゴおよびイチゴから選ばれる一種又は二種以上のバラ科植物の果汁を含有するテストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害剤。
- コンブ科のクロメの抽出物をさらに含有する請求項1記載のテストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害剤。
- 請求項1又は2記載のテストステロン−5α−レダクターゼ活性阻害剤を含有する育毛剤。
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