JP4201399B2 - 皮膚老化防止・改善剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚の老化によって生じるしわ、たるみの発生やはりの減少などの外観変化を防止又は改善できる皮膚老化防止・改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
皮膚が老化することにより生じる外観変化の代表例としては、しわ、たるみの発生、はりの減少などがある。かかるしわ、たるみの発生、はりの減少などの皮膚の形態的変化に対して、例えばコラーゲンを配合した化粧料が用いられているが、充分なしわ発生等の防止効果は得られていない。
【0003】
しわなどの発生については、特に紫外線との関連性が強いとされており、紫外線照射により生じた皮膚の老化を光老化と称して、種々研究されている。しかし、未だ紫外線吸収剤又は紫外線防禦剤に代わる化粧料が開発されていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的はしわに代表される皮膚の老化によって生じる症状を防止又は改善することのできる薬剤又は化粧料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加水分解アーモンド、ワレモコウ、チョウジ、エイジツ、セイヨウサンザシ及びシラカバから選ばれる植物、又はその抽出物、水蒸気蒸留物、圧搾物を有効成分とする皮膚老化防止・改善剤を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる加水分解アーモンドは、バラ科(Rosaceae)のアーモンド(Prunus amygdalus Batsch)の種子(甘へん桃)を酸又はアルカリ存在下で加水分解して得られる混合物である。ワレモコウはバラ科(Rosaceae)のワレモコウ(Sanguisorba officinalis L.)の根及び根茎である。チョウジはフトモモ科(Myrtaceae)のチョウジ(Syzygium aromaticum Merrill et Perry(Eugenia caryophyllata Thunberg))のつぼみである。エイジツはバラ科(Rosaceae)のノイバラ(Rosa multiflora Thunberg)又はその近縁植物の果実である。セイヨウサンザシは、バラ科(Rosaceae)のセイヨウサンザシ(Craegus oxyacantha L.)の地上部である。シラカバは、カバノキ科(Butulaceae)のヨーロッパシラカバ(Betula alba L.)の葉、樹皮及び木部である。これらの植物は、生薬としてあるいは食物として従来から用いられているものである。
【0007】
本発明においては、植物そのものを用いてもよく、またその抽出物、水蒸気蒸留物、圧搾物を用いてもよい。
本発明に用いられる加水分解アーモンド以外の上記植物抽出物としては、上記植物の粉砕物を、常温又は加温下に溶剤により抽出するか又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得られる各種溶媒抽出液、その希釈液、その濃縮液、あるいはその乾燥末が挙げられる。
【0008】
抽出に用いる溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ピリジン類などが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0009】
また、加水分解アーモンドは、例えば水及び/又はメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の1種又は2種以上の混合物、好ましくは水及び/又はエタノールに、0.1〜20vol%の硫酸、塩酸、酢酸、リン酸等の酸、又は0.01〜10Nの水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを加えた混合物に、通常3〜100℃で浸漬したのち、不溶物を除去して得られる。その際、不溶物の除去は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ、又は硫酸、塩酸、酢酸、リン酸等の酸でpH7.0付近に調整したのち行うことが好ましい。
【0010】
これらの抽出物は、液々分配、加溶媒沈殿物の除去等の技術により、上記抽出物から不活性な夾雑物を除去し、さらに必要により公知の方法で脱臭、脱色等の処理を施してから用いてもよい。さらに適当な分離手段、例えばゲル濾過、クロマトグラフィー、精密蒸留等により活性の高い画分を分画して用いることもできる。
【0011】
植物の水蒸気蒸留物は、植物又は上記で得られた抽出物を常法に従って水蒸気蒸留したものである。植物の圧搾物は、植物を常法に従って圧搾したものである。
【0012】
本発明の皮膚老化防止・改善剤は、皮膚の老化により生じる形態的変化、例えばしわ、たるみの発生やはりの減少に対して防止又は改善作用を有するが、特にしわ形成防止又は改善作用に優れている。
【0013】
本発明の皮膚老化防止・改善剤の投与形態としては皮膚外用剤、経口剤などが挙げられるが、皮膚外用剤とすることが好ましい。皮膚外用剤とする場合の植物抽出物の配合量は、皮膚老化防止・改善の観点から、蒸発残分として0.00001〜10重量%(以下、単に%で示す)、特に0.0001〜5%とするのが好ましい。
【0014】
本発明の皮膚老化防止・改善剤には、上記植物抽出物以外に紫外線吸収剤、紫外線防禦剤、コラーゲン、保湿剤、抗炎症剤、抗酸化剤等の成分を配合できるが、皮膚老化防止・改善の観点から、特に紫外線吸収剤及び/又は紫外線防禦剤を配合することが好ましい。
【0015】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、パラアミノ安息香酸系、p−メトキシ桂皮酸系(p−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル等)又はサリチル酸系紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線防禦剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。紫外線吸収剤、紫外線防禦剤等は、皮膚老化防止・改善の観点から、本発明の皮膚老化防止・改善剤中に0.001〜99%、特に0.001〜50%配合することが好ましい。
【0016】
本発明の皮膚老化防止・改善剤の具体的な剤型としては、クリーム、軟膏、ゲル、ローション、溶液、パック、ファンデーション等が挙げられ、これらの剤型とするにあたって各種油剤、界面活性剤、ゲル化剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、アルコール、キレート剤、増粘剤、色素、香料、水等を配合できる。
【0017】
【実施例】
植物抽出物の配合量は、蒸発残分の値で示した。
【0018】
製造例1 加水分解アーモンド抽出物の製造
アーモンド50gを5vol%硫酸溶液により抽出し、1N水酸化ナトリウム溶液にてpH7.0に調整した後、不溶分を除去し、蒸発残分が2.1%の加水分解アーモンド抽出物1kgを製造した。
【0019】
製造例2 ワレモコウ抽出物の製造
ワレモコウ(地楡)を細切し、その50gに水500mlを加え、室温で2時間浸漬した。これを濾過し、ワレモコウ抽出液を得た。このワレモコウ抽出液を濃縮したところ、その蒸発残分は2.68gであった。
【0020】
製造例3 チョウジ抽出物の製造
チョウジ(丁子)を細切し、その50gに95vol%エタノール500mlを加え、室温で2日間浸漬した。これを濾過し、チョウジ抽出液を得た。このチョウジ抽出液を濃縮したところ、その蒸発残分は1.46gであった。
【0021】
製造例4 エイジツ抽出物の製造
エイジツを細切し、その50gに水500mlを加え、室温で2日間浸漬した。これを濾過し、エイジツ抽出液を得た。このエイジツ抽出液を濃縮したところ、その蒸発残分は2.28gであった。
【0022】
製造例5 セイヨウサンザシ抽出物の製造
セイヨウサンザシを細切し、その50gに50vol%エタノール500mlを加え、室温で2日間浸漬した。これを濾過し、セイヨウサンザシ抽出液を得た。このセイヨウサンザシ抽出液を濃縮したところ、その蒸発残分は3.09gであった。
【0023】
製造例6 シラカバ抽出物の製造
シラカバを細切し、その50gに50vol%エタノール500mlを加え、室温で2日間浸漬した。これを濾過し、シラカバ抽出液を得た。このシラカバ抽出液を濃縮したところ、その蒸発残分は3.13gであった。
【0024】
試験例1
ヘアレスマウス(HR/ICR,実験開始時6週齢)の背部に、健康線用ランプ(東芝製、SE20)で、1回の照射量が1MED以下となるように調節してUV−B光の照射を行い、直後に製造例1〜6で得られた各植物抽出物0.2%又は1%溶液を100μlを塗布した。この作業を20週間にわたって行った。照射エネルギー量はUV−Radiometer(TOKYOOPTICAL社製、UVR−305/365D)を用いて測定した。また、コントロールとして溶媒(50%エタノール)のみを塗布したものを同様に試験した。試験終了後、形成されたしわの度数を肉眼により下記の基準(しわ指数)で評価した。結果を表1に示す。
【0025】
<しわ指数>
0:しわが無形成
1:しわがかすかに形成
2:しわが微量形成
3:しわが若干形成
4:しわが強固に形成
【0026】
【表1】
Figure 0004201399
【0027】
各植物抽出物は優れたしわ形成抑制作用を示した。
【0028】
実施例1及び2
表2及び3に示す配合で、常法に従いクリーム及びスキンローションを製造した。これらは優れた皮膚老化防止・改善効果を示した。
【0029】
【表2】
Figure 0004201399
【0030】
【表3】
Figure 0004201399
【0031】
【発明の効果】
本発明の皮膚老化防止・改善剤を用いれば、皮膚の老化を有効に防止・改善できる。本発明の皮膚老化防止・改善剤は、特にしわ形成防止・改善作用に優れ、これに紫外線吸収剤等を配合し、皮膚外用剤の形態で用いれば、その効果はさらに顕著になる。

Claims (3)

  1. アーモンド( Prunus amygdalus Batsch )の種子(甘へん桃)を酸又はアルカリ存在下で加水分解して得られる加水分解アーモンドを有効成分とする皮膚のしわ(小じわを除く)形成防止・改善剤。
  2. 投与形態が、皮膚外用剤である請求項1記載の皮膚のしわ形成防止・改善剤。
  3. さらに、紫外線吸収剤又は紫外線防禦剤を含有するものである請求項1又は2記載の皮膚のしわ形成防止・改善剤。
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