JPH08127511A - 植物由来の多機能性物質 - Google Patents

植物由来の多機能性物質

Info

Publication number
JPH08127511A
JPH08127511A JP6287136A JP28713694A JPH08127511A JP H08127511 A JPH08127511 A JP H08127511A JP 6287136 A JP6287136 A JP 6287136A JP 28713694 A JP28713694 A JP 28713694A JP H08127511 A JPH08127511 A JP H08127511A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
action
multifunctional
substance
skin
moisturizing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6287136A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuko Sawai
保子 沢井
Katsumi Ajisaka
勝美 鯵坂
Tadao Taketomo
直生 竹友
Hiroyuki Ito
裕之 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meiji Dairies Corp
Original Assignee
Meiji Milk Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meiji Milk Products Co Ltd filed Critical Meiji Milk Products Co Ltd
Priority to JP6287136A priority Critical patent/JPH08127511A/ja
Publication of JPH08127511A publication Critical patent/JPH08127511A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Compounds Of Unknown Constitution (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 石菖根、枇杷葉の熱水抽出物にエタノールを
加え、生成した沈澱物(多糖体画分)及びそれを除去し
て得た上清(低分子画分)を有効成分とする化粧料ない
し皮膚外用剤。 【効果】 これらの画分は、すぐれたメラニン生成抑制
作用、抗炎症作用、抗酸化作用、保湿作用を有するた
め、安全性の高いすぐれた化粧料、特に皮膚化粧料及び
皮膚外用剤を製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石菖根、枇杷葉から多
機能性物質を抽出する方法、それによって得られた多機
能性物質、及びその利用、特に皮膚科学領域での利用に
関する。
【0002】
【従来の技術】紫外線照射によって引き起こされる皮膚
の炎症に見られる組織の傷害は、シミ、シワ等に深く関
わっていることが報告されている。この炎症には紫外線
照射によって皮膚で誘起される活性酸素による皮脂の酸
化の関与が示唆されている。炎症の結果、好中球から遊
離されるロイコトリエン(LTB4、LTC4)、プロス
タグランジンE2、肥満細胞から遊離されるヒスタミ
ン、セロトニン等の炎症メディエーターが色素細胞の刺
激に関与していると考えられている。また、シワ、タル
ミは主として真皮線維芽細胞が産生するコラーゲン、エ
ラスチン、フィブロネクチン、プロテオグリカンに代表
される細胞外マトリックスの質的・量的変化に起因する
と考えられており、この変化には紫外線や活性酸素等の
外的要因による細胞や組織の障害が関与していると考え
られている。さらには、LTB4の産生酵素である5−
リポキシゲナーゼ阻害物質がアトピー性皮膚炎の患者に
適用されているなど、すなわち皮膚の炎症を抑制するこ
とは、皮膚を健やかに保ち、更にシワ、シミを防止する
ために重要な要因と考えられる。
【0003】色素細胞内で生成されるメラニンは、通常
皮膚に存在し、紫外線による影響から身体を保護すると
いう重要な役割を担う医学上重要な因子である。しか
し、メラニンが過剰に合成され、更に、メラニンが皮膚
上で不均一に分布した場合シミ、ソバカス等を形成する
ため、いずれも美容上の大きな問題となっている。この
シミ、ソバカス等の色素沈着は、紫外線照射によって増
悪するものである。この紫外線照射によって誘導される
色素細胞内でのメラニン生成の促進には、メラニン細胞
刺激ホルモン(α−MSH)とその受容体をはじめ、広
く皮膚の炎症が関わっている。
【0004】従来、色白の美肌を得る目的で、色素細胞
の変性、致死等の作用により皮膚の漂白を行うものが使
用されていたが、皮膚本来の生理機能を損ない、非可逆
的白斑、色素異常、カブレ等の副作用を引き起こすとい
う欠点を有している。近年、チロシナーゼを阻害する物
質の探索が主として行なわれ、多数の植物抽出液等が開
示されている。しかし、チロシナーゼ阻害活性が高いに
も関わらず、メラニン生成細胞でのメラニン生成抑制効
果が十分でないものがあるなど、これら従来のメラニン
生成抑制剤にはメラニン生成抑制効果を発揮するとは言
い難いものがあり、必ずしも満足出来るものではなかっ
た。そこで、優れたメラニン生成抑制作用を安定して示
し、紫外線照射による皮膚の炎症を予防する作用を併せ
持つ、結果的にはシミ、シワの防止が期待される天然物
由来の安全性の高い多機能性物質の開発が望まれてい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
上記した当業界において開発が望まれているすぐれた生
理作用を各種併有するだけでなく安全性も高い多機能性
物質を開発することを、その目的として設定した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、古来より生薬とし
て幅広く利用され、既にその安全性が高く評価されてい
る石菖根及び枇杷葉に着目し、その熱水抽出物にエタノ
ールを加えて得た多糖類画分が、すぐれたメラニン生成
抑制作用を示し、しかも、抗炎症作用、抗酸化作用のほ
か、適度な吸湿作用、保湿作用を有することを発見し、
安全性にもすぐれていることも確認して、そしてまた、
エタノール処理によって生成した析出物を除去した上清
(低分子画分)も、上記同様にすぐれた機能を多数有す
ることも確認して、本発明が完成されたのである。以
下、本発明を詳述する。
【0007】本発明においては、原料として石菖根及び
/又は枇杷葉を使用する。これ(ら)は、一般に市販さ
れている生薬に限定されることなく、どこからでも容易
に入手できるものが適宜使用できる。石菖根、枇杷葉
は、格別の前処理を行うことなく、直ちに熱水抽出処理
してもよいが、それに先立ち脱脂処理を行うと熱水抽出
処理を更に効率的に行うことができる。
【0008】脱脂処理は、有機溶媒と石菖根及び/又は
枇杷葉を接触させればよく、有機溶媒中に石菖根及び/
又は枇杷葉を浸漬したり、両者を撹拌したりして、両者
を充分に接触させて行う。有機溶媒としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコ
ール類、エチルエーテル等のエーテル類、アセトン等の
ケトン類、その他常用されるクロロホルム、塩化メチレ
ン等の塩素系溶媒、ヘキサン、石油エーテル等の脱脂溶
媒が広く使用される。
【0009】このようにして溶媒抽出を行った後、濾
過、遠心分離、デカンテーション等固液分離を行って、
固体残渣(脱脂した石菖根、枇杷葉)を分離採取する。
【0010】固体残渣は、必要あれば乾燥した後、熱水
抽出する。熱水抽出としては、熱水(75〜100℃、
好ましくは90〜100℃)を用いて抽出する方法がす
べて使用可能であって、熱水を加えて所定温度を維持し
ながら必要あれば撹拌を行って抽出する方法、加熱還流
する方法等が適宜使用される。抽出に使用する水として
は、水道水や井戸水等も使用可能であるが、蒸留水や脱
イオン水を使用するのが好適である。抽出時間は、有効
成分が抽出されるに必要な時間であれば良く、格別の限
定はないが、通常は30分以上とし、100℃に加熱還
流する場合は、3〜5時間程度で充分である。過度に長
時間かけて抽出しても抽出効果は一定のレベルで停滞し
てしまうので経済的ではない。
【0011】熱水抽出後、約1時間〜1夜冷所に放置す
る等、室温以下に冷却した後、アルコール(メタノー
ル、エタノール及び/又はプロパノール)を終濃度30
〜80%、好適には50〜60%加えた後、冷所に約1
時間〜1夜放置する。
【0012】次いでこれを、遠心分離、濾過(通常の濾
過、加圧濾過、吸引濾過等)、デカンテーション等の固
液分離処理を行って、沈澱物(析出物)と上清(濾液)
とに分離し、多機能性多糖体画分と多機能性低分子画分
をそれぞれ取得する。
【0013】多糖体画分は、上記によって抽出するほ
か、一般に使用される多糖体画分の抽出法によっても抽
出することができ、例えば、水の他、中性塩溶液、緩衝
液、希酸、アルカリ溶液、フェノール水、有機溶媒、界
面活性剤、蛋白質変性剤などで抽出され、そして更に、
透析、ゲル濾過、限外濾過、イオン交換樹脂、液々分配
クロマトグラフィーによる処理、有機溶媒による沈澱−
再溶解の反復による方法などによって精製することがで
きる。
【0014】低分子画分を含む上清(濾液)、つまり液
状部(この液状部を以下において上清ないし低分子画分
ということもある)は、上清それ自体を有効成分として
使用できることは勿論、上清の処理物(上清の濃縮物、
ペースト状物、凍結乾燥、熱風乾燥、風乾その他の乾燥
物、場合によっては希釈物等)も使用可能である。
【0015】沈澱物及び上清は、いずれも後記するよう
にすぐれた機能性を多種有するものであって、本発明に
おいて多機能性物質と指称されるものである。本発明に
おいて沈澱物は、多糖類を含有するものであるので、
(多機能性)多糖体画分という場合もある。多糖体画分
には、沈澱物自体のほか、上清の場合と同じくその処理
物も広く包含されるものである。
【0016】本発明に係る化粧料、外用剤は、該多機能
性物質及び/又はその処理物を有効成分として0.1〜
1重量%、好ましくは0.5〜1重量%(乾燥重量とし
て)配合し、これに常用される化粧用基剤を加えて常法
に従い、固体、半固体又は液体の形態に製剤化して、一
般化粧料、皮膚化粧料、皮膚外用剤とすればよい。
【0017】本発明に係る化粧料、外用剤には、通常の
化粧料、皮膚外用剤、医薬部外品、医薬品等に用いられ
る各種任意成分(油剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化
剤、顔料、pH調整剤、薬効成分、紫外線吸収剤、香料
等)を適宜配合でき、常法に従って、本発明に係る化粧
料、外用剤を製造することができる。
【0018】また本発明に係る化粧料、外用剤は、一般
化粧料、皮膚化粧料、皮膚外用剤に限定されるものでは
なく、医薬部外品、外用医薬品等を包含するものであ
り、その剤型も、クリーム、乳液、ファンデーション、
パック、ローション状、ゲル状、溶液状、スティック状
等、その目的に応じて任意に選択することができ、美
白、抗炎症、抗酸化、適度の吸湿、保湿を目的とする化
粧料として、必要量を適宜回数、適用すればよい。
【0019】以下に本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】
【実施例1:有効成分の製造(1)】石菖根100gを
250mlのメタノールと250mlのクロロホルム混
合溶媒に浸漬して室温に静置する。16時間後、グラス
フィルターを用いて吸引濾過した。残渣を1リットルの
ナスフラスコに入れ、減圧下溶剤を留去して石菖根を乾
燥した。そこに500mlの蒸留水を加えて4時間加熱
還流した。冷却後、グラスフィルターを用いて吸引濾過
し濾液を得た。濾液に終濃度60%になる量のエタノー
ルを加えて、4℃に1時間静置した。沈澱物を濾過及び
遠心分離により上清と分離して回収した。この上清は低
分子画分を含有するものである。
【0021】一方、上記により分離回収した沈澱物につ
いては、これを再度蒸留水に溶解し、不溶物を濾過もし
くは遠心分離によって除去し、透明な上清部を得た。こ
の上清部を凍結乾燥することにより、多糖体画分の粉末
を得た。
【0022】得られた画分は、1H及び13CのNMR分
析の結果、主たる成分は多糖体であることが判明した。
これらのNMRスペクトルを、それぞれ、図1、図2に
示した。なお、NMRスペクトルの測定には、バリアン
UNITY500NMRスペクトロメーターを用いた。
試料をD2Oに溶解し、1H NMRの場合は500MH
z、13C NMRの場合は125MHzの周波数で測定
した。いずれの場合も微量のDSS(0ppm)をケミ
カルシフトの標準として用いた。
【0023】
【実施例2:有効成分の製造(2)】枇杷葉100gを
750mlのメタノールと750mlのクロロホルム混
合溶媒に浸漬して室温に静置した。16時間後、グラス
フィルターを用いて吸引濾過した。残渣を2リットルの
ナスフラスコに入れ、減圧下溶剤を留去して石菖根を乾
燥した。そこに1500mlの蒸留水を加えて4時間加
熱還流した。冷却後、グラスフィルターを用いて吸引濾
過し濾液を得た。濾液に終濃度60%になる量のエタノ
ールを加えて、4℃に1時間静置した。沈澱物を遠心分
離により上清と分離して回収した。この上清は、低分子
画分を含有するものである。
【0024】一方、上記により分離回収した沈澱物につ
いては、これを実施例1と同様に処理して、多糖体画分
の粉末を得た。得られた画分も同様にして、1H及び13
CのNMR分析を行った結果、多糖体を主成分とする物
質であることが確認された。これらのNMRスペクトル
を、それぞれ、図3、図4に示した。
【0025】
【実施例3:メラニン生成抑制試験】実施例1及び2で
得た各画分を試料として、該試料のメラニン生成抑制活
性をB16マウスメラノーマ細胞を用いて測定した。
【0026】B16マウスメラノーマ細胞を、10%F
CSを含むDMEM培地を用いて96穴プレートに、1
ウエルあたり800個播種し、37℃で4時間培養し、
細胞をウエルに付着させた。その後、培地を除去し上記
培地にα−MSH(終濃度0.2μM)と、更に各濃度
の試料を加え調製した培地に交換し、37℃で4−5日
間培養した。尚細胞培養は37℃のCO2インキュベー
ター中で、5%CO2−95%空気の条件下で行った。
生細胞数はMTT法(CHEMICON INTERN
ATIONAL INC.資料Colorimetri
c(MTT)Assay for cell Surv
ival and Proliferation)に従
って、オートリーダーで630nmをバックに570n
mでの吸光度を測定し、生細胞数を表す相対値とした。
メラニン生成量は細胞を0.2NNaOHに溶解し49
0nmでの吸光度をオートリーダーで測定し、その値を
メラニン生成量を表す相対値とした。
【0027】生細胞数の1個当りのメラニン生成量は、
下記式に示される。 生細胞当りのメラニン生成量=〔(490nmにおける
吸光度)/(570nmにおける吸光度−630nmに
おける吸光度)〕×100
【0028】図5、図6、図7に、試料(石菖根由来の
多糖体画分、枇杷葉由来の多糖体画分、枇杷葉由来の低
分子画分)の濃度に対する生細胞当たりのメラニン生成
量を示した。この結果から明らかなように、試料濃度の
増加に従いメラニン生成量が著しく減少していること、
しかも生細胞の生育には何らの悪影響も及ぼされないこ
とがわかる。即ち、石菖根及び枇杷葉由来の多糖体画
分、枇杷葉由来のエタノール上清画分は、いずれもすぐ
れた美白作用を有していることが判明した。
【0029】
【実施例4:皮膚一次刺激性試験】実施例1及び2で得
た4種類の各画分を試料として用い、Draize法に
準じてウサギ日本白色種(雄、2〜2.5kg)での皮
膚一次刺激性試験を下記の試験条件下に行った。
【0030】(条件) 投与量:1.5×2.0cmのリント布に0.25ml
の被験物質(乾燥重量で10重量%濃度に調製したも
の)を使用。 暴露時間:閉鎖塗布、24時間。 暴露中の動物固定:首かせで24時間固定する。 塗布後洗浄:蒸留水で軽く拭き取る。 使用動物数:1試料につき3羽使用。 擦過及び正常皮膚:各動物の背部の片面を正常、他方を
擦過皮膚とした。 剃毛:電気バリカンを使用。 評価:塗布除去直後、24、48及び72時間後の皮膚
変化を観察・記録・評価する。 判定:Draize法により行う。 すなわち、24時間と72時間目の紅斑評点と浮腫評点
を加えて平均値を算出し、一次刺激指数(P.I.
I.,Primary Irritation Ind
ex)として下記基準により分類した。 (分類基準) P.I.I<2:弱い刺激性あり。 2≦P.I.I<6:中程度の刺激性あり。 6≦P.I.I<8:強度の刺激あり。
【0031】試料(石菖根由来の多糖体画分、同低分子
画分、枇杷葉由来の多糖体画分、同低分子画分)につい
て得られた結果を下記表1にまとめて示す。この結果か
ら明らかなように、これらの画分は、皮膚刺激性が極め
て低いことがわかる。したがって、これらの画分は、正
常及び損傷皮膚のいずれに対しても、安全性が望めて高
いものと評価できた。
【0032】
【表1】
【0033】
【実施例5:5−リポキシゲナーゼ阻害作用】5−リポ
キシゲナーゼの粗酵素液としては、ラットの好塩基性白
血病細胞(RBL−1細胞)から抽出したものを使用し
て、実施例1及び2で得た4種類の各画分を試料とし
て、その5−リポキシゲナーゼ阻害活性を次により測定
した。
【0034】0.0845Mトリス塩酸緩衝液(pH
7.5)、1mMアデノシントリホスフェイト、1mM
塩化カルシウム、0.1mMアラキドン酸、試料、粗酵
素液で全量2.0mlとする。37℃で10分反応させ
た後、1N HCl 50μlを加え反応を停止する。
反応液中で生成されたLTB4を酢酸エチルで抽出し、
高速液体クロマトグラフィーにより定量した。試料無添
加におけるLTB4の生成量をもとに、試料の5−リポ
キシゲナーゼ阻害活性をLTB4の生成阻害率で表し
た。
【0035】その結果、石菖根及び枇杷葉由来の低分子
画分は、0.5mg/mlの低濃度で、それぞれ阻害率
50%及び98%というきわめて高い阻害率を示した。
また、石菖根及び枇杷葉由来の多糖体画分は、1mg/
mlの濃度で、それぞれ阻害率56%及び93%という
きわめて高い阻害率を示した。したがって、これらの画
分は、いずれも5−リポキシゲナーゼに対して高い阻害
活性を示すことから、すぐれた抗炎症作用を有すること
が確認された。
【0036】
【実施例6:抗酸化作用】試料(実施例1及び2で製造
した4種類の各画分)に45mM Na−リン酸緩衝液
(pH6.9)、エタノール、リノール酸メチルを加え
て全量2.2mlとし、室温で、窓際にて振とうしつつ
放置した。経時的にリノール酸メチルの過酸化物を塩化
アルミニウムを用いる微量比色法(過酸化脂質実験法、
金田尚志、植田伸夫編集p60、塩化アルミニウムを用
いる微量比色法)にて測定した。すなわち、上記反応液
0.2mlに2%ヨウ化カリウム(エタノール溶液)、
塩化アルミニウム溶液(2gの無水塩化アルミニウムと
0.02gのオルトフェナンスロリンを100mlのエ
タノールに溶解)のそれぞれ0.5mlとヘキサン1.
0mlを加え37℃で5分間反応する。その後、0.0
1N塩酸溶液15.0mlとデンプン溶液(1gの可溶
性デンプンと20gの塩化ナトリウムを100mlの蒸
留水に溶解)0.5mlを加え、激しく振とうした後、
3000rpmで3分間遠心した。下層を分画し、その
560nmでの吸光度を測定した。予めヨウ素酸カリウ
ム標準溶液で求めた検量線から反応液中の活性酸素量を
求め得るが、本実験では、560nmでの吸光度値の差
にて活性を表した。
【0037】その結果、石菖根及び枇杷葉由来の低分子
画分は、0.445%濃度で44%及び62%の阻害率
を示した。また石菖根及び枇杷葉由来の多糖体画分は、
0.445%濃度で89%及び70%の阻害率を示し、
リノール酸メチルの酸化を抑制する活性にすぐれている
ことが確認された。紫外線による皮膚の炎症の原因のひ
とつとして皮脂の酸化が考えられており、本発明に係る
化粧料、外用剤は、これらの画分の適用によって、皮膚
の炎症の防止効果を有するものである。
【0038】
【実施例7:吸湿性及び保湿性試験】実施例1及び2で
製造した4種類の各画分、保湿成分として化粧品におい
て多用されているヒアルロン酸、及び吸湿性の高い化合
物として既知のグリセリンを試料とし、これらの各試料
について、吸湿性及び保湿性試験を行った。
【0039】(1)吸湿性試験 試料(各画分、ヒアルロン酸、グリセリン)、約200
mgを秤量瓶にはかり取り、五酸化リンのはいった乾燥
器中で減圧下(室温)で18時間放置し、乾燥させたも
のを試料として試験に供した。これらの乾燥試料を相対
湿度34%および74%(温度20℃)の恒温恒湿槽に
放置した。吸湿能の指標として、次式で求めた重量増加
率(%)を用いた。 重量増加率(%)=〔(Wt−Wo)/Wo〕×100 Wo:放置前の乾燥試料重量 Wt:t時間放置後の試料重量
【0040】(2)保湿性試験 高湿度下(相対温度74%、温度20℃)で吸湿した試
料(各画分、ヒアルロン酸、グリセリン)を、相対湿度
40%、温度20℃の恒温恒湿槽、次いでデシケーター
(室温)内に放置した。保湿性の指標として、次式で求
めた水分残存率(%)を用いた。 水分残存率(%)=〔(Wt−Wo)/(Wo′−W
o)〕×100 Wo′:放置前の含水試料重量
【0041】(3)結果及び考察 試料(各画分、ヒアルロン酸、グリセリン)について、
その各々の、相対湿度34%および74%(温度20
℃)における吸湿性を、吸湿重量増加率の時間変動で表
した(図8、9)。また、各試料の保湿性を、高湿度下
で吸湿させた各試料を用いて、その低湿度下における水
分残存率の時間変動で表した(図10)。
【0042】図8、図9、及び図10の結果から明らか
なように、各試料中、各画分は、ヒアルロン酸に比して
その吸湿性はやや低いものの、保湿性に関しては、デシ
ケーター内での放置後でも、試料重量の8〜10%程度
の水分を保持していた。吸湿性、保湿性ともに高い物質
では、高湿度時に皮膚にべとつきを与える可能性がある
ので、吸湿性があまり高くなく、保湿性の優れたもの
が、理想的な保湿剤と考えられる。また、ヒトの角質層
において望ましい水分量は、10%以上とされている。
したがって、低湿度下(デシケーター内)においても8
〜10%程度の水分を保持することが確認されたこれら
の各画分は、冬季などの低湿度の環境下においても、角
質層中の水分保持力を向上させ、さらに水分の放出も抑
制するという望ましい保湿作用を有していることが分か
った。この作用は、現在優れた保湿性物質として知られ
ているヒアルロン酸に匹敵するといえる。
【0043】
【実施例8:バニシングクリームの調製(1)】実施例
1で得た画分を有効成分として用い、以下に組成を示す
バニシングクリーム(O/W型)を下記製造方法により
調製した。
【0044】 (組成) (重量%) A液 ステアリン酸 10.0 ステアリルアルコール 4.0 ステアリン酸ブチル 8.0 モノステアリン酸グリセリン 2.0 メチルパラペン 0.048 ジブチルハイドロキシトルエン 0.01 B液 プロピレングリコール 10.0 グリセリン 4.0 水酸化カリウム 0.4 精製水 残量 石菖根由来の多糖体画分(実施例1) 1.0 メチルパラベン 0.152
【0045】(製造方法) 1)A液を70℃の水浴中にて加熱溶解する。 2)70℃の水浴中で加温・撹拌しながら先ず精製水に
水酸化カリウム、メチルパラペンの順に加えて十分に溶
解し、そこにプロピレングリコール及びグリセリン、最
後に実施例1で得られた組成物を加える。 3)B液を70℃の水浴中で撹拌しつつ、そこに加熱溶
解したA液を徐々に加える。 4)A及びB液が乳化した後、撹拌した状態で水温を3
0℃程度までゆっくりと下げる。 5)冷却により安定したクリーム状バニシングクリーム
を得る。
【0046】
【実施例9:バニシングクリームの調製(2)】枇杷葉
由来の多糖体画分(実施例1)の配合量を1重量%とす
る以外は実施例8と同様にしてバニシングクリームを得
た。
【0047】
【実施例10、11:バニシングクリームの調製
(3)】枇杷葉由来のエタノール沈澱上清(低分子画
分)を用いるほかは、実施例8と同様にして、バニシン
グクリームを製造した。
【0048】
【発明の効果】本発明に係る石菖根、枇杷葉由来の多機
能性物質は、すぐれたメラニン生成抑制作用、抗炎症作
用、抗酸化作用、保湿作用を有するだけでなく、皮膚一
次刺激性もほとんどなくきわめて安全性の高いものであ
る。
【0049】多機能性物質を有効成分とする本発明に係
る化粧料は、皮膚化粧料、特に美白、老化防止、保湿性
化粧料として、そしてまたこれらの作用を有する皮膚外
用剤として、きわめて有用であり、そして天然物由来で
あるために安全性もきわめて高いという著効も奏され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】石菖根由来の多糖体画分の1H核磁気共鳴スペ
クトルを示す。
【図2】石菖根由来の多糖体画分の13C核磁気共鳴スペ
クトルを示す。
【図3】枇杷葉由来の多糖体画分の1H核磁気共鳴スペ
クトルを示す。
【図4】枇杷葉由来の多糖体画分の13C核磁気共鳴スペ
クトルを示す。
【図5】試料(石菖根由来の多糖体画分)濃度に対する
生細胞当りのメラニン量を示す。
【図6】試料(枇杷葉由来の多糖体画分)濃度に対する
生細胞当りのメラニン量を示す。
【図7】試料(枇杷葉由来の低分子画分)濃度に対する
生細胞当りのメラニン量を示す。
【図8】各試料の相対湿度34%(温度20℃)におけ
る吸湿性を示す。
【図9】同相対湿度74%(温度20℃)における吸湿
性を示す。
【図10】各試料の保湿性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07G 17/00 Z (72)発明者 伊藤 裕之 神奈川県小田原市成田540 明治乳業株式 会社ヘルスサイエンス研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石菖根及び/又は枇杷葉を熱水で抽出し
    た後、アルコールを加え、生成した沈澱物と上清とに分
    離することを特徴とする多機能性物質の製造方法。
  2. 【請求項2】 多機能性物質が該沈澱物を分離、回収し
    てなることを特徴とする、メラニン生成抑制作用、抗炎
    症作用、抗酸化作用、吸湿作用、及び/又は保湿作用を
    有する多機能性多糖体である、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 該沈澱物を更に処理して、ペースト状
    物、希釈物、及び/又は乾燥物とすること、を特徴とす
    る請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 多機能性物質が該上清を分離、回収して
    なることを特徴とする、メラニン生成抑制作用(石菖根
    の場合を除く)、抗炎症作用、抗酸化作用、吸湿作用、
    及び/又は保湿作用を有する多機能性低分子画分であ
    る、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 該上清を更に処理して、その濃縮物、ペ
    ースト状物、希釈物、及び/又は乾燥物とすること、を
    特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 アルコールとして、メタノール、エタノ
    ール及び/又はプロパノールを使用すること、を特徴と
    する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 アルコールを終濃度30〜80%になる
    ように添加すること、を特徴とする請求項1〜請求項6
    のいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記
    載の方法によって製造してなる多機能性物質を有効成分
    とすることを特徴とする皮膚化粧料。
  9. 【請求項9】 皮膚化粧料が、美白化粧料、老化防止化
    粧料、及び/又は保湿化粧料であること、を特徴とする
    請求項8に記載の皮膚化粧料。
  10. 【請求項10】 請求項1〜請求項7のいずれか1項に
    記載の方法によって製造してなる多機能性物質を有効成
    分とすること、を特徴とする皮膚外用剤。
  11. 【請求項11】 請求項1〜請求項3、請求項6又は請
    求項7のいずれか1項に記載の方法によって製造してな
    る、メラニン生成抑制作用、抗炎症作用、抗酸化作用、
    吸湿作用、及び/又は保湿作用を有する多機能性多糖
    体。
  12. 【請求項12】 請求項1、請求項4〜請求項7のいず
    れか1項に記載の方法によって製造してなる、メラニン
    生成抑制作用(石菖根の場合を除く)、抗炎症作用、抗
    酸化作用、吸湿作用、及び/又は保湿作用を有する多機
    能性低分子画分。
JP6287136A 1994-10-28 1994-10-28 植物由来の多機能性物質 Pending JPH08127511A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6287136A JPH08127511A (ja) 1994-10-28 1994-10-28 植物由来の多機能性物質

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6287136A JPH08127511A (ja) 1994-10-28 1994-10-28 植物由来の多機能性物質

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08127511A true JPH08127511A (ja) 1996-05-21

Family

ID=17713542

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6287136A Pending JPH08127511A (ja) 1994-10-28 1994-10-28 植物由来の多機能性物質

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08127511A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000072654A (ko) * 2000-09-18 2000-12-05 강석봉 한방 제재로 만든 모발강정 조성물.
JP2001288098A (ja) * 2000-04-10 2001-10-16 Maruzen Pharmaceut Co Ltd メラニン産生促進剤及び白髪改善剤
FR2810551A1 (fr) * 2000-06-21 2001-12-28 Serobiologiques Lab Sa Preparations contenant un extrait de la plante pistia stratiotes et utilisation d'un tel extrait dans des agents de soin
JP2002029979A (ja) * 2000-07-12 2002-01-29 Kanebo Ltd ヒスタミンh2受容体拮抗剤及び皮膚外用剤
JP2014118405A (ja) * 2012-12-19 2014-06-30 Kose Corp Dna損傷抑制剤
JP2014177454A (ja) * 2013-02-18 2014-09-25 Kagoshima Univ ねじめびわ茶抽出物を含有する飲食品及び医薬品
KR101522514B1 (ko) * 2012-09-06 2015-05-26 이제균 석창포 향료의 사용방법
JP2016088902A (ja) * 2014-11-07 2016-05-23 ポーラ化成工業株式会社 徐放担体
WO2018066704A1 (ja) * 2016-10-07 2018-04-12 国立大学法人 九州大学 メラニン抑制剤、抗菌剤、抗アレルギー剤、コラーゲン生成促成剤および保湿剤

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001288098A (ja) * 2000-04-10 2001-10-16 Maruzen Pharmaceut Co Ltd メラニン産生促進剤及び白髪改善剤
FR2810551A1 (fr) * 2000-06-21 2001-12-28 Serobiologiques Lab Sa Preparations contenant un extrait de la plante pistia stratiotes et utilisation d'un tel extrait dans des agents de soin
WO2001097771A3 (de) * 2000-06-21 2002-04-04 Cognis France Sa Zubereitungen enthaltend einen extrakt der pflanze pistia stratiotes
JP2002029979A (ja) * 2000-07-12 2002-01-29 Kanebo Ltd ヒスタミンh2受容体拮抗剤及び皮膚外用剤
KR20000072654A (ko) * 2000-09-18 2000-12-05 강석봉 한방 제재로 만든 모발강정 조성물.
KR101522514B1 (ko) * 2012-09-06 2015-05-26 이제균 석창포 향료의 사용방법
JP2014118405A (ja) * 2012-12-19 2014-06-30 Kose Corp Dna損傷抑制剤
JP2014177454A (ja) * 2013-02-18 2014-09-25 Kagoshima Univ ねじめびわ茶抽出物を含有する飲食品及び医薬品
JP2016088902A (ja) * 2014-11-07 2016-05-23 ポーラ化成工業株式会社 徐放担体
WO2018066704A1 (ja) * 2016-10-07 2018-04-12 国立大学法人 九州大学 メラニン抑制剤、抗菌剤、抗アレルギー剤、コラーゲン生成促成剤および保湿剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20100028471A1 (en) Cosmetic use of active agents that stimulate matriptase expression
KR101663946B1 (ko) 인삼꽃 흑효모 발효를 통한 진세노사이드 Rg3 강화 및 이를 유효성분으로 함유하는 화장료 조성물
KR100874114B1 (ko) 개여뀌 추출물을 유효성분으로 함유하는 화장료 조성물
EP0973494A1 (fr) Utilisation d'un extrait du genre adansonia
JP2007001914A (ja) 皮膚バリア機能改善剤
JPH08127511A (ja) 植物由来の多機能性物質
KR101078888B1 (ko) 조직배양한 에키네시아 부정근 추출물을 포함하는 화장료 조성물 및 이의 제조 방법
KR100874115B1 (ko) 백리향 추출물을 유효성분으로 함유하는 화장료 조성물
KR20090070455A (ko) 초임계 추출법을 이용한 자초 추출물을 유효성분으로함유하는 피부노화방지용 및 피부주름개선용 화장료 조성물
KR100361433B1 (ko) 인삼추출물을함유하는피부노화방지용화장료조성물
CN108324667A (zh) 含有淡黑巨海藻提取物的组合物及抗衰老美白护肤品
CN108653084B (zh) 一种含生长因子的男士用护肤组合物及其应用
KR100513902B1 (ko) 장뇌삼 추출물을 포함하는 피부 노화 방지용 화장료 조성물
WO2006065852A1 (en) Methods of using grape seed extract to stimulate tyrosinase expression or melanin synthesis
KR100680845B1 (ko) 신이화로부터 다당체인 마그놀란을 추출하는 방법 및 이를 이용한 화장품 조성물
JPH08175954A (ja) 皮膚化粧料
JPS5913709A (ja) モイスチヤライザ−
KR100331675B1 (ko) 피부외용제
KR20090050856A (ko) 승마 추출물의 분획추출물을 함유하는 미백화장료와 이의제조방법
JP4587755B2 (ja) 抗炎症剤、美白剤、及び抗老化剤、並びに皮膚化粧料
KR101664878B1 (ko) 삼채 분획물을 유효성분으로 함유하는 화장료 조성물
JP7485336B2 (ja) MSX-2 mRNA発現促進剤、まつ毛の育毛剤、及びまつ毛の育毛用外用剤組成物
JPH08151320A (ja) 赤糠由来の皮膚及び浴用化粧料
KR100570094B1 (ko) 생약 추출물을 함유하는 경구용 한방 피부미용 화장료조성물
KR20190091783A (ko) 병아리콩 추출물을 포함하는 피부 미백용 또는 피부 보습용 화장료 조성물