JP2008214204A - 育毛剤 - Google Patents

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知久 広部
Koichi Akatsuka
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Abstract

【課題】育毛剤の提供。
【解決手段】水溶性二量体鉄塩の水溶液を含有する育毛剤であって、前記水溶液はマグネシウムイオン及びカルシウムイオンを含有することを特徴とする育毛剤。さらにクコ及びエゾウコギのエキスを含有することを特徴とする育毛剤。
【効果】毛の発育にかかわるケラチノサイト、メラノブラスト及びメラノサイトの増殖及び分化を促進する育毛効果を有する。また、水溶性二量体鉄塩の水溶液は飲料水にも用いられるものであり、頭皮に対して好ましくない刺激を与えない。
【選択図】図4

Description

本発明は優れた育毛効果を発揮する育毛剤に関する。
一般的な育毛剤組成物には、毛根に浸透して血管を拡張、血行を促進、さらには、毛乳頭を刺激し、毛髪の生成を促進する育毛成分、清涼感を与える成分、殺菌作用を有する成分、フケやカユミを防止する成分等が配合されている。具体的には、育毛成分として、女性ホルモン、ビタミンE、パントテン酸、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、センブリエキス、セファランチン、感光素等が、清涼感を与え殺菌作用を有する成分としてエタノール等が、フケ防止成分として、レゾルシン、サリチル酸、ジンクピリジオン等が、更にカユミ防止成分として抗ヒスタミン等が配合されたものが多数存在する。
しかしながら、上記の従来の育毛剤組成物では十分な育毛効果が得られず、また頭皮に対して好ましくない刺激を与えてしまうこともあった。そこで、優れた育毛効果を有し、しかも頭皮に対して好ましくない刺激を与えることのない安全な育毛剤原料が望まれている。
特開2003-95884号(特許文献1)は、アルコール抽出又は煮出して得られるツルグミの幹、葉又は果実の成分を超微量の二価三価鉄塩に誘導された水で希釈して得られる育毛剤原料を開示している。またこれらの育毛剤原料は、優れた育毛効果を有し、また天然物由来であるため頭皮に対してアレルギー反応を起こすことがないと記載されている。しかし特開2003-95884号には、二価三価鉄塩に誘導された水で希釈することにより、有効成分であるツルグミの抽出物が頭皮に浸透しやすくなり、その機能を十分に発揮できるようになると記載されているが、二価三価鉄塩そのものの育毛に対する効果についての記載はなく、その有効性は不明である。
特開2003-95884号明細書
従って本発明の目的は、優れた育毛効果を発揮し、頭皮に対して好ましくない刺激を与えない育毛剤を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は、水溶性二量体鉄塩の水溶液をベースとし、さらにマグネシウムイオン及びカルシウムイオンを含有する育毛剤は、ケラチノサイト及びメラノサイトの増殖及び分化を促進することにより、優れた育毛効果を発揮することを発見し、本発明に想到した。
すなわち本発明の育毛剤は、水溶性二量体鉄塩の水溶液をベースとし、さらにマグネシウムイオン及びカルシウムイオンを含有することを特徴とする。
さらに生薬としてクコ及びエゾウコギのエキスを含有するのが好ましい。
水溶性二量体鉄塩の含有量は0.01〜10000μg/Lであるのが好ましい。マグネシウムの濃度は0.01〜5000 mg/Lであるのが好ましい。カルシウムの濃度は0.1〜10000 mg/Lであるのが好ましい。
水溶性二量体鉄塩の水溶液にマグネシウムイオン及びカルシウムイオンを含有させた本発明の育毛剤は、毛の発育にかかわるケラチノサイト、メラノブラスト及びメラノサイトの増殖及び分化を促進するので、育毛効果を発揮することができる。また、水溶性二量体鉄塩の水溶液は飲料水にも用いられるものであり、頭皮に対して好ましくない刺激を与えない。
[1] 育毛剤
本発明の育毛剤は水溶性二量体鉄塩の水溶液に、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンを含有させてなり、クリーム、乳液、ヘアトニック、等の形態で用いることができる。以下、育毛剤に含まれる各成分について説明する。
(1) 水溶性二量体鉄塩
水溶性二量体鉄塩(Ferrous Ferric Chloride)は、二価の鉄イオンと三価の鉄イオンを含む複合体であり、典型的にはFe2Cl5により表される組成を有する。水溶性二量体鉄塩の水溶液は大きな表面張力及び浸透圧を有し、表皮に存在するケラチノサイト、メラノブラスト及びメラノサイトの増殖及び分化を促進して育毛効果を発揮するとともに、白血球中の好中球の貪食作用を強化して免疫力を高めたり老化を防止したりする効果を発揮する。水溶性二量体鉄塩が溶解してなる二価の鉄イオンと三価の鉄イオンの比は、水溶性二量体鉄塩の合成条件によって異なり、両者は任意の比率で存在しえる。そこで、両イオンをまとめて二価の鉄イオン/三価の鉄イオンと呼ぶ。
育毛剤中の二価の鉄イオン/三価の鉄イオンの濃度(水溶性二量体鉄塩の含有量により表す)は0.01〜10000μg/Lであるのが好ましく、0.1〜1000μg/Lであるのがより好ましく、1〜500μg/Lであるのが特に好ましい。二価の鉄イオン/三価の鉄イオンの濃度が0.01μg/L未満であると、塗布しても育毛効果が小さい。一方、二価の鉄イオン/三価の鉄イオンの濃度を10000μg/L超としても、メラノブラスト等の増殖及び分化を促進する効果は飽和し、さらなる増大は期待できない。
水溶性二量体鉄塩の水溶液と、カルシウムと、マグネシウムとを含有する育毛剤はケラチノサイト、メラノブラスト及びメラノサイトに働きかけ、これらの増殖及び分化を促進する。本発明者らによる研究の結果、水溶性二量体鉄塩の水溶液を含有し、Ham's F-10培養液程度の濃度のカルシウムイオンと、マグネシウムイオンとを含有する培養液中で幼マウスの皮膚細胞を培養したところ、ケラチノサイト、メラノブラスト及びメラノサイトの増殖が約2倍に促進されることが分かっている。これにより、育毛効果が得られると推定できる。
なお水溶性二量体鉄塩の水溶液、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンのいずれかを含有していない場合には、このような効果を得ることはできない。例えばカルシウム又はマグネシウムを含有していない溶液中では、ケラチノサイト、メラノブラスト及びメラノサイトの培養をすることができない。また水溶性二量体鉄塩の水溶液を含有していない溶液中では、培養は可能であるものの、ケラチノサイト、メラノブラスト及びメラノサイトの増殖及び分化を促進する効果を得ることはできない。従って、水溶性二量体鉄塩の水溶液、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンのいずれかを含有していない育毛剤は、十分な育毛効果を発揮しない。
(2) カルシウムイオン
育毛剤中のカルシウムイオンの濃度は0.1〜10000 mg/Lであるのが好ましく、1〜5000 mg/Lであるのがより好ましい。カルシウムイオンの濃度が1 mg/L未満であると、メラノブラスト及びメラノサイトに有効に作用せず、十分な育毛効果を示さない。しかしカルシウムイオンの濃度が10000 mg/L超となると、メラノブラスト及びメラノサイトの成長はかえって阻害される。カルシウムイオンの濃度は、皮膚細胞の培地として一般に使用されているHam's F-10培養液(ギブコ社製等)と同程度であるのが特に好ましい。後述するマグネシウムイオンの濃度と、カルシウムイオンの濃度とをHam's F-10培養液と同程度にすることにより、メラノブラスト及びメラノサイトの増殖及び分化を促進し、非常に優れた育毛効果を得ることができる。二価の鉄イオン/三価の鉄イオンとカルシウムイオンとのモル比(水溶性二量体鉄塩/カルシウム)は1〜10000であるのが好ましく、10〜5000であるのがより好ましく、100〜1000であるのが特に好ましい。なおカルシウムイオンを生成する無機塩は、皮膚に対して無害である限り限定されない。
(3) マグネシウムイオン
育毛剤中のマグネシウムイオンの濃度は0.01〜5000 mg/Lであるのが好ましく、0.05〜500 mg/Lであるのがより好ましい。マグネシウムイオンの濃度が0.01 mg/L未満であると、メラノブラスト及びメラノサイトに有効に作用せず、十分な育毛効果を示さない。しかしマグネシウムイオンの濃度が5000 mg/L超となると、メラノブラスト及びメラノサイトの成長が阻害される。マグネシウムイオンの濃度も、カルシウムイオンの濃度と同様に、Ham's F-10培養液と同程度であるのが特に好ましい。なおマグネシウムイオンを生成する無機塩は、皮膚に対して無害である限り限定されない。
カルシウムイオンとマグネシウムイオンとのモル比は1/10〜10であるのが好ましい。二価の鉄イオン/三価の鉄イオンとマグネシウムイオンとのモル比(水溶性二量体鉄塩/マグネシウムイオン)は1〜100000であるのが好ましく、10〜10000であるのがより好ましく、100〜1000であるのが特に好ましい。カルシウムイオンとマグネシウムイオンとのモル比、及び二価の鉄イオン/三価の鉄イオンとマグネシウムイオンとのモル比がこの範囲であると、メラノサイト等の増殖促進効果が大きいので、非常に大きな育毛効果を発揮する。
(4)クコ及びエゾウコギ
育毛剤は、クコ及びエゾウコギのエキスを含有することにより、メラノサイトの分化を著しく促進し、非常に大きな育毛効果を発揮する。クコのエキスは、ナス科の植物クコ(学名:Lycium chinense)の果実、根皮又は葉をそのまま又は乾燥させて溶剤抽出したものである。特に果実部分のエキスが好ましい。エゾウコギのエキスは、ウコギ科の植物エゾウコギ(学名:Acanthopanax senticosus)の根及び茎をそのまま又は乾燥させて溶剤抽出したものである。特に根の部分のエキスが好ましい。これらのエキスは市販品を用いても良い。
クコのエキスの含有量は、十分な育毛効果と刺激抑制の観点から、育毛剤に含まれる蒸発残留物の濃度として、0.1〜100 ng/mLが好ましく、0.2〜50 ng/mLがさらに好ましく、1〜10 ng/mLが特に好ましい。エゾウコギのエキスの含有量は、十分な育毛効果と刺激抑制の観点から、育毛剤に含まれる蒸発残留物の濃度として、0.18〜22 ng/mLが好ましく、0.36〜11 ng/mLがさらに好ましく、1.8〜2.2 ng/mLが特に好ましい。
(5) その他の任意成分
本発明の育毛剤は任意成分として、細胞培養液(例えばHam's F-10)に含まれる成分(無機塩類、各種アミノ酸等、フェノールレッド、チアミンHCl、チミジン、グルコース、HEPES)、通常の育毛剤に配合されている成分(油分、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、香料、色素、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、生薬、ビタミン、抗炎症剤、抗菌剤、清涼剤、抗脂漏剤、噴射剤等)、蛋白分解酵素等を含有してもよい。育毛剤の組成をHam's F-10培養液に近づけることにより、メラノブラスト及びメラノサイトの増殖及び分化をより促進することができる。細胞培養液に含まれる成分の濃度は、培養液中の濃度の1/100〜100倍程度であるのが好ましく、1/10〜10倍であるのがより好ましい。
水溶性二量体鉄塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩以外の無機塩類の例として、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ピルビン酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸二水素カリウム、ヨウ化カリウム、塩化バリウム、硫酸バリウム、塩化アンモニウム、無水ケイ酸、メタケイ酸、硫酸銅(II)、硫酸鉄(III)、塩化マンガン、五酸化バナジウム、硫酸ニッケル、塩化スズ、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸ストロンチウム、珪酸アルミニウム、ホウ砂、メタバナジン酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム等が挙げられる。
特に、水溶性二量体鉄塩の水溶液等の必須要素と相乗的に作用して、ケラチノサイト、メラノブラスト及びメラノサイトの増殖及び分化を一層促進する元素としては、銅、モリブデン、亜鉛、ストロンチウム、バリウム、バナジウム、ホウ素等が挙げられる。これらの元素の好ましい濃度を質量基準で示すと、銅濃度は0.001〜100 ppbであり、モリブデン濃度は0.001〜100 ppbであり、亜鉛濃度は0.001〜100 ppbであり、ストロンチウム濃度は0.001〜1 ppmであり、バリウム濃度は0.0001〜1 ppmであり、バナジウム濃度は0.0001〜0.1 ppmであり、ホウ素濃度は0.001〜100 ppbである。
アミノ酸の例として、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-システイン、L-シスチン、L-グルタミン酸、グルタミン、グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リシン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-ヒドロキシプロリン、L-セリン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン等が挙げられる。
油分としては、ハッカ油、ジャスミン油、ショウノウ油、ヒノキ油、トウヒ油、リュウ油、テレピン油、ケイヒ油、ベルガモット油、ミカン油、ショウブ油、パイン油、ラベンダー油、ベイ油、クローブ油、ヒバ油、バラ油、ユーカリ油、レモン油、タイム油、ペパーミント油、ローズ油、セージ油、メントール、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネラール、ボルネオール、リナロール、ゲラニオール、カンファー、チモール、スピラントール、ピネン、リモネン等の精油類、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、カカオ脂、椿油、ヤシ油、木ロウ、グレープシード油、アボカド油、ミンク油、卵黄油、硬化油等の油脂類、鯨ロウ、蜜ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類、流動パラフィン、セレシン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ラノリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール等の高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステル類が挙げられる。
界面活性剤としては、(a) ステアリン酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ラウリルリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、N-アシルグルタミン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、(b) 塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤、(c) 塩化アルキルアミノエチレングリシン液、レシチン等の両性界面活性剤、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノステアリン酸プロピレングリコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン等の非イオン界面活性剤が挙げられる。
保湿剤としては、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール、アミノ酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のNMF成分、ヒアルロン酸、コラーゲン、ムコ多糖類、コンドロイチン硫酸等の水溶性高分子物質が挙げられる。
低級アルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。
増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、マルメロ種子抽質物、トラガカントガム、デンプン、カゼイン、水溶性ゼラチン、ペクチン、カラヤゴム、ローカストビーンガム、カラギナン、カーボポール、アカシヤゴム、カンテン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、エリソルビン酸、アスコルビン酸が挙げられる。
キレート剤としては、エデト酸二ナトリウム、エタンヒドロキシジホスフェート、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、酒石酸、グルクロン酸が挙げられる。
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、リン酸一水素ナトリウムが挙げられる。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、デヒドロ酢酸、サリチル酸、安息香酸、ソルビン酸、塩化ベンザルコニウムが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメートが挙げられる。
紫外線散乱剤としては、酸化チタン、カオリン、タルク等を、ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、ビタミンP、ビタミンU、カルニチン、フエルラ酸、γ-オリザノール、α-リポ酸、オロツト酸及びこれらの誘導体が挙げられる。
クコ及びエゾウコギ以外の生薬としては、ソウジュツ、ビャクジュツ、カノコソウ、ケイガイ、コウボク、センキュウ、トウヒ、トウキ、ショウキョウ、オウゴン、サンシン、ガイヨウ、アロエ、高麗人参、ケイヒ、シャクヤク、ハッカ葉、ブクリョウ、ショウブ、マツブサ、ビヤクシ、サフラン、オウバク、ウイキョウ、チンピ、ガンピ、カミツレ、ダイコン、ヤナギ、クスノキ、ニワトコ、ソクズ、ナキナタコウジュ、ヤツデ、セキショウ、ヨモギ、オトギリソウ、ユズ、ダイダイ、モモ、サイカチ、ビワ、スイカズラ、ヨロイグサ、ボダイジュ、トチノキ、ノコギリソウ、ホップ、ローズマリー、カバノ、マツ、ヤレンズラ、ランタナ、カンゾウ、キツソウコン、マロニエ等が挙げらる。
本発明の育毛剤は、水溶性二量体鉄塩を担持するための担体を用いるのが好ましい。担体としては、無機充填剤(フィラー)を使用できる。無機充填剤としては、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ベントナイト等からなる粘土、珪砂、黄土、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、重炭酸カルシウム、軽炭酸カルシウム等の材料が好ましい。無機充填剤の平均粒径は、0.2〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは1〜15μm、さらに好ましくは2〜10μmである。無機充填剤の含有量は、組成物の全重量に対して0.1〜40質量%、好ましくは3〜15質量%,より好ましくは2〜8質量%の範囲である。
[2] 育毛剤の製造方法
(1) 水溶性二量体鉄塩
水溶性二量体鉄塩は、例えば杉二郎、外1名、「水溶性二量体鉄塩の製造法」、日本海水学会年会研究技術発表会講演要旨集 Vol. 42nd, p. 11 (1991) に記載の以下の合成方法によって作製することができる。
2 molのギ酸アンモニウム、1 molのヒドロキシルアミン及び1 molのフォルムアミドの混合液に、1molの塩化第二鉄(FeCl3・6H2O)を加える。この調製液を順次蒸留水で希釈し、α液(10-8mM)、β液(10-12 mM)及びγ液(10-14 mM)を得る。得られたα、β及びγ液にそれぞれ塩化第二鉄(FeCl3・6H2O)を1 g/10 mLの割合で溶解し、100℃以下で徐々に蒸発乾固して塩化鉄の結晶α、β及びγを得る。これらの合成法により得られた二価三価鉄塩中の2価鉄:3価鉄の比率をメスバウアー法で測定した結果、結晶αは4:6、結晶βは6:4、結晶γは7:3であり、またイオンクロマト法、X線解析法等により塩化鉄中の2価鉄と3価鉄は単なる混合状態ではなく、いずれも二量体の形をとっていることが推測されると上記文献に記載されている。本発明で使用する二価三価鉄塩は、上記合成方法に限定されず、また2価鉄:3価鉄の比率も上記値に限定されるものではない。
また市販の飲料水等のうち水溶性二量体鉄塩を含有するものも、育毛剤の材料として使用することができる。例えばパイロゲン及びパイロゲンゴールド(有限会社アトムジャパンの登録商標、販売:株式会社赤塚)の名称で市販されている飲料や、FFCセラミックス(「FFC」は有限会社アトムジャパンの登録商標、販売:株式会社エフエフシー・ジャパン)を浸漬した水が挙げられる。1L当たり10〜100個程度(25〜250 cm3)のFFCセラミックスを水に浸漬し、室温で3〜48時間放置しておくことにより、好ましい濃度の水溶性二量体鉄塩の水溶液を得ることができる。パイロゲンやFFCセラミックスを浸漬した水は、水溶性二量体鉄塩の水溶液、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを上述の好ましい濃度で含有し、塗布することにより皮膚に素早く浸透して、ケラチノサイト、メラノブラスト及びメラノサイトの増殖を活発にする効果を発揮する。
本発明者らによる研究の結果、パイロゲンやFFCセラミックスを浸漬した水を原料に用いた育毛剤は、特に優れた育毛効果を発揮することが明らかになった。パイロゲンやFFCセラミックスを浸漬した水には銅、モリブデン、亜鉛、ストロンチウム、バリウム、バナジウム、ホウ素等の元素が含まれ、水溶性二量体鉄塩の水溶液等の必須要素と相乗的に作用しているためこの様な効果が得られると考えられる。このため、パイロゲンやFFCセラミックスを浸漬した水を含有する育毛剤中で、ケラチノサイト、メラノブラスト及びメラノサイトの増殖及び分化は一層促進される。
上述のように、パイロゲンやFFCセラミックスを浸漬した水にはカルシウムイオン及びマグネシウムイオンが含まれているが、Ham's F-10培養液と同じ組成又はこれに近い組成にするために、これらの金属を添加しても良い。Ham's F-10培養液と同じ組成又はこれに近い組成にすることで、育毛剤の育毛効果を一層高めることができる。パイロゲンやFFCセラミックスを浸漬した水に、カルシウム等を含む塩を添加しても良いし、カルシウム等を分散させたクリームに水溶性二量体鉄塩の水溶液を添加しても良い。つまり、作製する育毛剤の種類(液状、乳液状、クリーム状等)に応じて、所望の性状になるようにすればよい。
(2) クコ及びエゾウコギの抽出方法
クコ及びエゾウコギから有効成分を抽出する方法は、従来の方法により行うことができる。抽出に用いる溶剤としては、通常植物成分の抽出に用いられるもの、例えば水、石油エーテル、n-ヘキサン、トルエン、ジクロロエタン、クロロホルム、エーテル、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられ、特に水、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコールが好ましい。これらは2種以上を組み合わせて使用してもよい。また抽出条件も通常の条件を適用でき、例えば上記植物を3〜100℃で数時間〜数週間浸漬又は加熱還流すればよい。
(3)育毛剤の調製
育毛剤の代表的な形態としては、クリーム、乳液、ローション、ヘアトニック、スプレー、パック等が挙げられる。本発明の育毛剤は、水溶性二量体鉄塩、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを含有する以外は、公知の方法で製造することができる。
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例
(1) マウスに対する育毛効果
(i)実験1
水溶性二量体鉄塩を含有するヘアクリームを以下の様に作製した。FFCセラミックスの原料である株式会社エフエフシー・ジャパン販売のFFCミネラル(4〜5μmに微粉砕した天然粘土鉱物の粉末を水溶性二量体鉄塩の水溶液で含浸処理し、乾燥させたもの)100 gに対して、360 mLのパイロゲンゴールドを添加し、弱火で加熱して水分を除去し、濃いペースト状のヘアクリームAを得た。パイロゲンゴールドの代わりに、パイロゲンを用いた以外は上記と同様にしてヘアクリームBを調製した。パイロゲンは水溶性二量体鉄塩、ブドウ糖果糖液糖、大豆オリゴ糖、ハチミツ、リンゴ果汁、米酢、リンゴ酢、柿酢、梅酢、クエン酸、リンゴ酸、梅エキス、ステビア、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB6、香料、その他天然ミネラルウオーターからなる飲料水であり、パイロゲンゴールドはパイロゲンに生薬として高麗人参、エゾウコギ及びクコのエキスを乾燥重量としてそれぞれ600 mg/L、650 mg/L及び200 mg/L添加した飲料水である。
得られたヘアクリームA及びBをサランラップに塗り、表1に示す条件で生後8ヶ月、3ヶ月及び3.5ヶ月の月齢のアロペシアのマウス(C57BL/10JHir)の毛の生えていない領域に3回/週の頻度で1回につき15分間貼り付けた。対照はヘアクリームA及びBを塗らなかったマウスである。これらのマウスについて、毛の再生が開始するまでの日数及び完全に毛で覆われるまでに要する日数を調べた。結果を表1に示す。また実験No.2-1、2-2及び2-3で用いた3ヶ月齢のマウスの、試験前の毛の状態及びそれぞれの8日後の状態を図1(a)〜図1(d)に示す。
図1(a)〜図1(d)に示すように、試験前の毛の生えていない領域1に対して、ヘアクリームを塗布しない(No.2-1)で8日経過したマウスはやや毛が再生し、毛の生えていない領域2は試験前に対して約25%減少した。一方、ヘアクリームA(No.2-2)又はB(No.2-3)を塗布し8日経過したマウスは、元は毛が生えていなかった領域3が毛で完全に覆われており、毛の再生が完了していた。また表1より、どの月齢のマウスに対しても、パイロゲン及びパイロゲンゴールドを添加したヘアクリームを塗布したマウスは、塗布しなかったマウスに比べて、毛の再生が開始するまでの日数及び完全に毛で覆われるのに要する日数が短く、育毛効果に優れていることが分かった。
(ii)実験2
実験1で用いたヘアクリームA及びBを用いて、表2に示す条件で生後67週及び65週の週齢のヘアレスマウス(HR-1×HR/De)F1に3回/週の頻度で1回につき15分間貼り付けた。これらのマウスのヘアクリームを貼り付けた部分について、毛の再生が開始するまでの日数を調べた。
高齢のマウスに対しても、パイロゲンゴールドを添加したヘアクリームAは育毛効果を発揮した。
(2)臨床実験
(1)で行ったマウスに対する育毛効果の実験1で作製したヘアクリームA及びBを用いて、人の頭皮への効果を調べた。パイロゲンゴールドを添加したヘアクリームAに関しては被験者20名に対して、パイロゲンを添加したヘアクリームBに関しては被験者13名に対して、4〜10ヶ月間使用し、抜け毛の量及び頭髪の量について本人が評価した。結果を表3及び表4に示す。
パイロゲンゴールドを添加したヘアクリームAを使用した人のうち、65.0%の人が抜け毛の量が減少又はやや減少したという評価をしており、65.0%の人が頭髪の量が増加又はやや増加したという評価をしている。又パイロゲンを添加したヘアクリームBを使用した人のうち、61.5%の人が抜け毛の量が減少又はやや減少したという評価をしており、38.5%の人が頭髪の量が増加又はやや増加したという評価をしている。これらの結果から、水溶性二量体鉄塩、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンを含有する本発明のヘアクリームA及びBは育毛効果があることが分かった。特に、生薬を配合したパイロゲンゴールドを添加したヘアクリームAは顕著な育毛効果を発揮した。
参考例1
FFCセラミックスの溶出液の組成分析
超純水で2分間洗浄した40個のFFCセラミックス(直径約16 mmの球状)を、900 mLの超純水に24時間浸漬させ、グラスファイバー濾紙(1μm)でろ過した。得られた水溶液中の鉄イオン(二価の鉄イオン/三価の鉄イオン)、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの濃度を測定した。結果を表5に示す。
参考例2
本発明者らが開発した表皮細胞(主にケラチノサイトとメラノサイトからなる)の無血清初代培養法を用い、水溶性二量体鉄塩の水溶液を含むFFCセラミックスの抽出液が皮膚、特にケラチノサイト、メラノサイトに与える作用を次に示すようにして調べた。
FFC処理培養液
脱イオン後に蒸留した水(DDW)に、FFCセラミックス(直径約16 mmの球状)を2 g/L、20 g/L及び200 g/L、室温で24時間浸漬させて、FFC処理水を得た。得られたFFC処理水及び未処理のDDWにそれぞれ培養液用粉末(Ham’s F-10、シグマ社製)を溶かした後、すぐに濾過滅菌し、表6に示すようにFFC処理培養液(培養液B〜D)とFFCを含有しない培養液(培養液A)を得た。得られた培養液は冷蔵庫に保存した。
(i)メラノブラスト純化培養液(MDM)
FFC処理水を含有しない培養液Aに、10μg/mLのインスリン、0.5 mg/mLの牛血清アルブミン、1μMのエタノールアミン、1μMのホスホエタノールアミン及び1nMの亜セレン酸ナトリウムが含有する様に添加し、メラノブラスト純化培養液A(MDM-A)を調製した。メラノブラスト純化培養液は、メラノサイトのもとになるメラノブラストを純粋に培養するための培養液である。同様にFFC処理水を含有する培養液B〜Dを用いて、メラノブラスト純化培養液B〜D(MDM-B〜D)を調製した。得られたMDM-A〜Dに、生後0.5日の黒色純系マウス(未だ皮膚は黒くない)の表皮細胞を37℃で初代培養し、1日、7日及び14日後のメラノブラスト及びメラノサイト数と、メラノサイト分化率を求めた。結果を図2(a)及び(b)に示す。
FFC処理水を含有しないコントロール(MDM-A)の結果に対して、FFC処理を行った培養液(MDM-B〜D)の結果について統計学的に有意差を検定し、有意な結果[P値(危険度)が5%以下]について図中に「*」を記して表した。図中のバーは平均の標準誤差を示す(以下の実験についても同様に評価した)。メラノブラスト及びメラノサイト数はMDM-A〜Dで優位な差はなかったが、メラノサイト分化率は、FFC処理を行ったMDM-B〜Dで顕著な増加が見られた。特に20 g/L FFCセラミックス処理を行ったMDM-Cの分化率の増加が特に顕著であった。
(ii) メラノサイト分化培養液(MDMM)
メラノブラスト純化培養液(MDM)にメラノサイト刺激ホルモン(MSH)を加えた以外は参考例2(i)と同様にして、メラノサイト分化培養液A〜D(MDMM-A〜D)を調製し、マウスの表皮細胞を初代培養した。培養1日、7日及び14日後のメラノブラスト及びメラノサイト数と、メラノサイト分化率を求めた。結果を図3(a)及び(b)に示す。メラノブラスト及びメラノサイト数はMDMM-A〜Dで優位な差はなかった。一方、メラノサイト分化率は、FFC処理を行ったMDMM-B及びCで有意な増加が見られたが、FFCを200g/L処理したMDMM-Dでは、7日目以降メラニンが失われて細胞外に出てしまい、メラノサイト分化度は未処理のMDMM-Aに対してむしろ減少した。適度なFFC処理により、メラノサイトの分化が促進されることが分かった。
(iii) メラノサイト増殖培養液(MDMD)
メラノブラスト純化培養液(MDM)にメラノサイトの増殖に重要なジブチリル環状アデノシン1リン酸(DBcAMP)を加えた以外は参考例2(i)と同様にして、メラノサイト増殖培養液A〜D(MDMD-A〜D)を調製し、マウスの表皮細胞を初代培養した。培養14日後の培養液A及びC中のメラノサイトの増殖の様子を図4(a)及び(b)に示す。FFC処理した培養液Cは未処理の培養液Aに比べて、メラノサイトが増殖量が多かった。培養2日後のケラチノサイトのコロニーあたりのケラチノサイト数を数え、ケラチノサイトの増殖速度を評価した。結果を図5に示す。FFC処理をしていないMDMD-Aに対して、FFC処理を行ったMDMD-B〜Dはケラチノサイト数の増加が見られ、FFCの処理量が多いほどその増加率は大きかった。さらに培養1日、7日及び14日後のメラノブラスト及びメラノサイト数と、メラノサイト分化率を求めた。結果を図6(a)及び(b)に示す。メラノブラスト及びメラノサイト数はFFC処理を行っていないMDMD-Aに比べて、FFC処理を行ったMDMD-B及びCで有意な増加が見られたが、MDMD-Dでは有意に減少した。メラノサイト分化率は、MDMD-B及びCで有意な増加が見られたが、MDMD-Dでは顕著に減少した(有意差)。MDMD-Dでは二量体鉄塩に伴って、Ca及びMgの量も多いため、逆に阻害したためと考えられる。
(iv) メラノブラスト増殖培養液(MDMDF)
メラノブラスト純化培養液(MDM)にメラノブラストを増やす効果を発揮するDBcAMP及び塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)を加えた以外は参考例2(i)と同様にして、メラノブラスト増殖培養液A〜D (MDMDF-A〜D)を調製し、マウスの表皮細胞を初代培養した。培養14日後の培養液A及C中のメラノブラストの増殖の様子を図7(a)及び(b)に示す。FFC処理した培養液Cは未処理の培養液Aに比べて、メラノブラストの増殖量が多かった。培養1日、7日及び14日後のケラチノサイトの細胞数と、メラノサイト分化率を求めた。結果を図8(a)及び(b)に示す。メラノブラスト及びメラノサイト数はFFC処理を行っていないMDMDF-Aに比べて、FFC処理を行ったMDMDF-B及びCで有意な増加が見られたが、MDMDF-Dでは著しく減少した(有意差)。メラノサイト分化率は、FCC処理を行っていないMDMDF-Aに対して、FFC処理を行ったMDMDF-B及びCで有意な増加が見られた。特にFFCを20 g/L処理したMDMDF-Cが最も大きな促進効果を発揮した。一方、MDMDF-Dでは有意な増加はみられなかった。
(v)FFC量依存性
さらにFFC量依存性を詳細に検討するため、参考例2(iii)と同様にして作製した、2 g/LのFFCセラミックスで処理したメラノサイト増殖培養液(MDMD-B)をFFC処理していないMDMD-Aで順次希釈し、0.2 g/L、0.02 g/L、0.002 g/L、0.0002 g/L、0.00002 g/L、0.000002 g/L、0.0000002 g/LのFFC処理メラノサイト増殖培養液を調製し、マウスの表皮細胞を初代培養した。培養14日後のメラノサイト数を数えた。結果を図9に示す。0.0002 g/L以上のFFC処理培養液(MDMD)で有意な増殖促進効果が見られた。
参考例2(i)〜(v)の結果から、FFC処理培養液で黒色マウスの表皮細胞を初代培養すると、ケラチノサイトの増殖が促進された上、メラノブラストとメラノサイトの増殖・分化が促進された。このことから、FFC処理水によって、皮膚を構成している細胞が活性化され、細胞の入れ替わりが促進されることが示唆された。
参考例3
30 g/LのFFCセラミックスを室温で8時間処理した以外は参考例2(i)と同様にして、メラノブラスト純化培養液を調製した。またFFC処理水の代わりに、パイロゲンを未処理のメラノブラスト純化培養液で100倍、1000倍、10000倍に希釈した液、及びパイロゲンゴールドを同様に100倍、1000倍、10000倍に希釈した液を用いた以外は参考例2(i)と同様にして、それぞれメラノブラスト純化培養液(MDM)を調製した。得られたメラノブラスト純化培養液及び未処理のメラノブラスト純化培養液を用いて、参考例2(i)と同様にしてマウスの表皮細胞を初代培養し、培養1日、7日及び14日後のメラノサイト分化率を求めた。結果を図10(a)〜(c)に示す。パイロゲンを希釈した液を用いて調製した培養液、及びパイロゲンゴールドを希釈した液を用いて調製した培養液も、FFC処理水を用いて調製した培養液と同様、メラノサイトの分化を著しく促進した。またパイロゲンに比べてパイロゲンゴールドはさらに大きなメラノサイトの分化を促進する効果を発揮した。
参考例4
参考例3で優位な差が見られた、パイロゲンとパイロゲンゴールドの差を明らかにするため、パイロゲンゴールドに含まれる高麗人参、エゾウコギ及びクコのエキスの効果を検討した。20 g/LのFFCセラミックスを室温24時間処理したFFC処理水、パイロゲンゴールドの100倍希釈液、高麗人参エキスの希釈液(濃度0.05μL/mL培養液)、エゾウコギエキスの希釈液(濃度0.05μL/mL培養液)及びクコエキスの希釈液(濃度0.05μL/mL培養液)を用いて、参考例2(i)と同様にして、表7に示すようにそれぞれメラノブラスト純化培養液1〜10を調製した。高麗人参エキス、エゾウコギエキス及びクコエキス(これらのエキスは全て株式会社モリタ食品開発研究所製)は、それぞれ約12%、約13%及び約4%の蒸発残留物を含有する抽出液を希釈し、培養液あたり上記の濃度になるようにして使用した。
得られたメラノブラスト純化培養液1〜10を用いて、参考例2(i)と同様にしてマウスの表皮細胞を初代培養し、培養14日後のメラノサイト分化率を求めた。結果を図11に示す。高麗人参エキス希釈液、クコエキス希釈液及びエゾウコギエキス希釈液をそれぞれ添加したメラノブラスト培養液4〜6は、未処理のメラノブラスト培養液に比べるとメラノサイトの分化を促進したが、FFC処理水と同程度であり、パイロゲンゴールド希釈液を用いた培養液3のような顕著な効果は得られなかった。しかし、高麗人参エキス希釈液、クコエキス希釈液及びエゾウコギエキス希釈液を同時に添加したメラノブラスト純化培養液9、並びにクコエキス希釈液及びエゾウコギエキス希釈液を同時に添加したメラノブラスト純化培養液10はメラノサイトの分化を著しく促進した。このことから、少なくともクコエキス及びエゾウコギエキスを同時に添加することにより、大きなメラノサイトの分化促進効果が発揮されることが分かった。
比較例1
FFCセラミックスの代わりに麦飯石セラミックス(木曽根物産製)を用いて参考例2と同様にして、麦飯石セラミックス処理水(30 g/L)を調製した。麦飯石セラミックス処理水に含まれる主な金属の濃度を表8に示す。
FFC処理水の代わりに、得られた麦飯石セラミックス処理水を用いた以外は参考例2(iii)及び(iv)と同様にして、麦飯石セラミックス処理水を含有するメラノサイト増殖培養液(MDMD)及びメラノブラスト増殖培養液(MDMDF)を得た。得られた培養液を用いて参考例2(i)と同様にマウスの表皮細胞を初代培養し、培養1日、7日及び14日後のメラノブラスト及びメラノサイト数とメラノサイト分化率を求めた。結果を図12(a)(b)及び図13(a)(b)に示す。麦飯石処理培養液で表皮細胞を初代培養すると、麦飯石処理していない培養液と比較して増殖細胞数はほぼ同じであったが、メラノサイトの分化はむしろ抑制された。これに対してFFC処理した培養液では、メラノサイトの分化は未処理と変わらなかったが、細胞の増殖は有意に促進された。FFC処理した培養液と麦飯石処理した培養液とで、メラノブラストやメラノサイトの増殖に対する促進効果が異なるのは、FFC処理水に含まれる鉄分は水溶性二量体鉄であるのに対し、麦飯石処理水に含まれる鉄分は水溶性二量体鉄ではないためであると考えられる。
実験1で用いた3ヶ月齢のマウスの、試験前の毛の状態を示す写真及びその模式図である。 実験No.2-1で用いた3ヶ月齢のマウスの8日後の毛の状態を示す写真及びその模式図である。 実験No.2-2で用いた3ヶ月齢のマウスの8日後の毛の状態を示す写真及びその模式図である。 実験No.2-3で用いた3ヶ月齢のマウスの8日後の毛の状態を示す写真及びその模式図である。 参考例2(i)において、(a)培養日数と細胞数の関係を示すグラフ、及び(b)培養日数とメラノサイト分化率の関係を示すグラフである。 参考例2(ii)において、(a)培養日数と細胞数の関係を示すグラフ、及び(b)培養日数とメラノサイト分化率の関係を示すグラフである。 参考例2(iii)において、(a)FFC未処理培養液(MDMD-A)及び(b)FFC処理培養液(MDMD-C)で培養した14日後のメラノサイトの増殖の様子を示す光学顕微鏡写真である。 参考例2(iii)において、培養2日後のケラチノサイトのコロニーあたりのケラチノサイト数を示すグラフである。 参考例2(iii)において、(a)培養日数と細胞数の関係を示すグラフ、及び(b)培養日数とメラノサイト分化率の関係を示すグラフである。 参考例2(iv)において、(a)FFC未処理培養液(MDMDF-A)及び(b)FFC処理培養液(MDMDF-C)で培養した14日後のメラノブラストの増殖の様子を示す光学顕微鏡写真である。 参考例2(iv)において、(a)培養日数と細胞数の関係を示すグラフ、及び(b)培養日数とメラノサイト分化率の関係を示すグラフである。 参考例2(v)において、FFCセラミックスの処理量と培養14日後の細胞数を示すグラフである。 参考例3において、(a)FFC処理をした培養液、(b)パイロゲンを添加した培養液、及び(c)パイロゲンゴールドを添加した培養液を用いたときの、培養日数とメラノサイト分化率の関係を示すグラフである。 参考例4において、成分の異なる10種の培養液を用いたときの、培養14日後のメラノサイト分化率を示すグラフである。 比較例1において、MDMD培養液を用いたときの、(a)培養日数と細胞数の関係を示すグラフ、及び(b)培養日数とメラノサイト分化率の関係を示すグラフである。 比較例1において、MDMDF培養液を用いたときの、(a)培養日数と細胞数の関係を示すグラフ、及び(b)培養日数とメラノサイト分化率の関係を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 水溶性二量体鉄塩の水溶液を含有する育毛剤であって、前記水溶液はマグネシウムイオン及びカルシウムイオンを含有することを特徴とする育毛剤。
  2. 請求項1に記載の育毛剤において、さらにクコ及びエゾウコギのエキスを含有することを特徴とする育毛剤。
  3. 請求項1又は2に記載の育毛剤において、前記水溶性二量体鉄塩としての濃度が0.01〜10000μg/Lであることを特徴とする育毛剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の育毛剤において、前記マグネシウムイオンの濃度が0.01〜5000 mg/Lであることを特徴とする育毛剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の育毛剤において、前記カルシウムイオンの濃度が0.1〜10000 mg/Lであることを特徴とする育毛剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の育毛剤において、無機フィラーを含有することを特徴とする育毛剤。
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