JP2012227354A - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサの製造方法 Download PDF

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【課題】 ショート率を低減させることができる積層セラミックコンデンサを製造する積層セラミックコンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】 積層セラミックコンデンサの製造方法は、セラミックグリーンシート1上に所定の間隔で帯状のパターンの導電ペーストを印刷して、内部電極層となる導電ペースト膜2を形成するステップと、導電ペースト膜が形成されたセラミックグリーンシートを多数重ね合せて圧着して、積層体4を作製するステップと、積層体を所定の寸法に切断して、両側面に内部電極が露出している積層体ブロック6を得るステップと、積層体ブロック6の両側面にセラミック体8を形成するステップと、セラミック体を形成した積層体ブロックを脱バインダ処理した後に焼成するステップと、積層体ブロックの両端面に外部電極15を形成するステップを備え、さらに、セラミック体8を形成するステップの前に、積層体ブロックの両側面に露出している導電ペースト膜を加熱して凝集させるステップを備えている。
【選択図】 図6

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサに関するものであり、さらに詳細には、クラックの発生を効果的に防止することができる積層セラミックコンデンサの製造方法に関するものである。
積層セラミックコンデンサを作製する場合、通常は、セラミックグリーンシートを用意する工程と、このセラミックグリーンシート上に、所望のパターンで導電ペーストを印刷して、内部電極層を形成する工程と、内部電極層が形成されたセラミックグリーンシートを多数重ね合せて、圧着して、積層体ブロックを作製する工程と、作製された積層体ブロックを所定のサイズに切断して、未焼成のグリーンチップを作製する工程と、グリーンチップを焼成して、チップ素体を得る工程と、チップ素体の両端面に導電ペーストを塗布して、焼け付けて外部電極を形成する工程と、外部電極上にニッケル、スズなどの金属をめっきする工程によって、積層セラミックコンデンサが作製される。
しかしながら、このようにして、積層セラミックコンデンサを作製する場合に、隣り合った内部電極が互いに正確に対向するように、多数のセラミックグリーンシートを重ね合わせて、圧着することは困難であり、その結果、隣り合ったセラミックグリーンシート上の内部電極が正確に対向していないため、コンデンサの容量を十分に高くすることができないという問題があった。
そこで、たとえば、特開2011−23707号公報(特許文献1)は、内部電極用の導電性ペーストを、略矩形形状のセラミックグリーンシートの少なくとも一辺の近傍を除く全面に印刷して、内部電極を形成し、内部電極が形成されたセラミックグリーンシートを多数積層して、積層体ブロックを生成し、積層体ブロックに高い圧力を加えて、圧着し、必要なサイズに切り取った後に、内部電極が露出している積層体ブロックの両側面に、サイドマージンと称される部分となるセラミック体を塗布などによって形成して、セラミックグリーンチップを作製し、セラミックグリーンチップに脱バインダ処理を施した後に、焼成することによって、積層セラミックコンデンサを製造する方法を提案している。
特開2011−23707号公報
特許文献1に示される積層セラミックコンデンサの製造方法では、両側面に内部電極が露出している積層体ブロックを切り出すことになる。ここで側面を片刃や回転する丸刃で切断する場合、内部電極となる導電ペースト膜を同時に切断することになる。しかしながら、内部電極となる導電ペースト膜を、片刃や回転する丸刃によって切断すると、切断刃の移動にともない、切断刃の摩擦抵抗によって、導電ペースト膜の一部が切断刃の移動方向に引きずられて、隣接する導電ペースト膜の方に伸びてしまう。側面においては、隣接する導電ペースト膜は、焼成後に互いに異なる極性(陽極と陰極)の内部電極となる。よって、この伸びた導電ペースト膜の一部は、その後に焼成をすると、隣り合った内部電極層の間でショートを発生させる原因となる場合があった。
かかる問題は、内部電極が露出している積層体ブロックの両側面に、セラミック体を塗布などによって形成して作製をしたセラミックグリーンチップにおいて、顕著であった。
したがって、本発明は、内部電極が露出している積層体ブロックの両側面に、セラミック体を塗布などによって形成して作製をしたセラミックグリーンチップを所定のサイズに切断をして、作製される積層セラミックコンデンサであって、ショート率を低減させることができる積層セラミックコンデンサを製造する積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、本発明のかかる目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、内部電極が露出している積層体ブロックの両側面を高温で加熱することによって、切断刃の移動にともなって、切断面上を切断刃の移動方向に伸ばされた導電ペースト膜を凝集させることにより、隣り合ったセラミックグリーンシート上に形成されている内部電極同士が接触して、ショートすることを効果的に防止し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づくものであり、本発明によれば、本発明の前記目的は、セラミックグリーンシートを用意するステップと、前記セラミックグリーンシート上に所定の間隔で帯状のパターンの導電ペーストを印刷して、内部電極層となる導電ペースト膜を形成するステップと、前記導電ペースト膜が形成された前記セラミックグリーンシートを多数重ね合せて圧着して、積層体を作製するステップと、前記積層体を所定の寸法に切断して、両側面に内部電極が露出している積層体ブロックを得るステップと、前記積層体ブロックの両側面にセラミック体を形成するステップと、前記セラミック体を形成した前記積層体ブロックを脱バインダ処理した後に焼成するステップと、前記積層体ブロックの両端面に外部電極を形成するステップと、を有する積層セラミックコンデンサの製造方法において、前記セラミック体を形成するステップの前に、前記積層体ブロックの両側面に露出している前記導電ペースト膜を加熱して凝集させることを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法によって達成される。
本発明において、積層体ブロックの両側面に露出している内部電極の加熱温度は、導電ペースト膜が金属化して凝集する温度が好ましく、500℃ないし800℃であることが好ましい。
また、本発明において、積層体ブロックの両側面に露出している導電ペースト膜の加熱時間は加熱温度における保持時間で5分以下であることが好ましい。保持時間5分を越えて加熱すると、バインダが分解されて、積層体ブロックがもろくなるおそれがあり、これによるクラックなどが発生する場合があるので好ましくない。
本発明によれば、内部電極が露出している積層体ブロックの両側面に、セラミック体を塗布などによって形成して作製される積層セラミックコンデンサであって、ショート率を低減させることができる積層セラミックコンデンサを製造することが可能になる。
図1(a)および(b)は、所定の間隔で帯状の導電ペースト膜が形成されたセラミックグリーンシートの略斜視図である。 図2は、積層体の略断面図である。 図3(a)および(b)は、積層体が切断されるステップにおける積層体の略斜視図および略断面図である。 図4は、積層体ブロックの略斜視図である。 図5は、ベルトコンベア炉の略縦断面図である。 図6は、隣接する導電ペースト膜をつながるように延びた導電ペースト膜の一部を金属化して凝集させた積層体ブロックの略縦断面図である。 図7は、積層体ブロックの両側面に、誘電体ペーストを塗布して、セラミック体を形成した状態を示す略断面図である。 図8は、積層セラミックコンデンサの略斜視図である。
本実施態様にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法は、次のとおりである。
まず、セラミックグリーンシートを用意する。このセラミックグリーンシートは、誘電体材料を有機バインダと混合して、シート状に成形したものである。誘電体材料としては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等を主成分とするものが挙げられる。セラミックグリーンシートを形成する方法としては、ドクターブレード、ロールコーター等が挙げられる。
次に、セラミックグリーンシート1上に、スクリーン印刷等の方法で、導電ペーストを印刷する。このとき、図1(a)および(b)に示されるように、所定の間隔で帯状の導電ペースト膜2が並んで形成される。この導電ペースト膜2は後に内部電極層となるものである。導電ペーストとしては、Ni、Cu、Ag、Pd等の金属粉末を、有機バインダと混合したものが用いられる。
次に、導電ペースト膜が形成されたセラミックグリーンシートを多数用意し重ね合せる。このとき、図1の(a)および(b)に示されるように、互いに半パターンずつずらして導電ペースト膜2を形成した2種類のセラミックグリーンシートを用意する。そして、一方のセラミックグリーンシート1の導電ペースト膜2の中心と、他方のセラミックグリーンシート1の空白部の中心とが一致するように重ね合わせる。これを交互に繰り返して積み重ねる。なお、この半パターンずらす方法は、印刷時にあらかじめずらして形成する方法のほか、積み重ねるときにずらしながら積み重ねる方法などがある。導電ペースト膜2が形成されたセラミックグリーンシート1を積み重ねたものの上下面に、導電ペースト膜2が形成されていないセラミックグリーンシート1を積み重ね、一対のカバー層3、3を形成する。これらを熱圧着して、図2に示されるような積層体4が形成される。
次に、図3に示されるように、切断線5に沿って、積層体4を所定の寸法に切断分割して、個別の積層体ブロック6を得る。積層体4を切断する方法としては、切断刃として回転刃を用いる切断方法のほか、切断刃として押し切り刃を用いる切断方法が挙げられる。一方の切断線は、帯状の導電ペースト膜2間の空白部の中心を通るように設定される。この切断面は、のちに積層セラミックコンデンサの外部電極が形成される端面となる。他方の切断線5は、帯状の導電ペースト膜2と直交する方向に設定される。この切断面は、積層体ブロック6の側面となる。
図4に示されるように、得られた積層体ブロック6の側面には、導電ペースト膜2が露出した状態になる。そして、導電ペースト膜2の一部2aが隣接する導電ペースト膜2をつながるように延びている。このような状態は次のようにして形成される。切断刃が導電ペースト膜2に達すると、導電ペースト膜2の一部2aが切断刃に付着する。そして、切断刃に付着した導電ペーストが、摩擦により切断面にこすり付けられて付着する。なお、この現象は、積層体ブロック6の端面にも発生するが、端面には同じ極性の内部電極となる導電ペースト膜2のみが露出しているため、問題にはならない。
次に、図5に示すように、積層体ブロック6を熱処理する。なお、ここでは、ベルトコンベア炉10で熱処理する方法について述べる。この熱処理においては、隣接する導電ペースト膜2をつながるように延びた導電ペースト膜2の一部2aを金属化して凝集させることを目的とする。金属化して凝集した導電ペースト2bは、隣接する導電ペースト膜2のいずれかに引っ張られる。これにより、図6に示されるように、導電ペーストによる短絡部分が解消される。熱処理の温度は、導電ペースト中の金属粉末を金属化させるため、500〜800℃くらいの温度となる。加熱時間については、温度が有機バインダの分解開始温度以上であるため、有機バインダが分解しないうちに熱処理を終える必要がある。延びた導電ペースト膜2の一部2aは非常に薄いため、比較的短時間で金属化して凝集する。設定した最高温度で、保持時間を5分以内とするのが好ましい、5分を超えると有機バインダの分解が始まり、積層体ブロック6がもろくなって、クラックの原因となる。昇温速度と保持時間は、ベルトコンベアの送り速度によって調整可能である。加熱雰囲気は、大気中雰囲気でもよい。なお、内部電極がNiやCu等の卑金属の場合、凝集部分が酸化される場合がある。凝集部分が酸化されると、セラミック誘電体層7を介して隣接する内部電極同士の絶縁性が良好になる。
次に、図7に示されるように、積層体ブロック6の両側面に、誘電体ペーストを塗布して、セラミック体8を形成する。誘電体ペーストは、前出のセラミックグリーンシート1と同一の誘電体材料と有機バインダとを混合したものが好適に用いられる。形成方法としては、前出の特許文献1に開示されているような方法が好適に用いられる。このようにしてセラミック体8は積層体ブロック6の両端面に露出する導電ペースト膜2を保護する。
次に、セラミック体8を形成した積層体ブロック6を脱バインダ処理して、焼成し、チップ素体を得る。内部電極がNiやCu等の卑金属の場合は、焼成雰囲気を還元雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気を用いて焼成する。焼成後、チップ素体の端面に外部電極用の導電ペーストを塗布し、焼き付けて外部電極15、15を形成する。こうして図8に示されるような積層セラミックコンデンサ20が得られる。なお、外部電極15の形成方法としては、焼成前に外部電極用の導電ペーストを塗布し、積層体ブロック6の焼成と同時に外部電極15を形成する方法も用いることができる。
以下、本発明の作用効果をより一層明確なものにするため、実施例を掲げる。
両側面に導電ペースト膜が露出している積層体ブロックを用意し、ベルトコンベア炉を用いて、昇温速度20000℃/hr、加熱温度800℃で加熱した。熱処理なし、保持時間1分、保持時間5分、および保持時間8分で各100個ずつサンプルを作成した。それぞれのサンプルについて、両側面に誘電体ペーストを塗布してセラミック体を形成し、端面に外部電極用の導電ペーストを塗布し、その後1200℃で焼成した。出来上がったサンプルについて、短絡不良の有無とクラックの有無を検査した。その結果、熱処理なしでは100個中20個の短絡不良が見られた。保持時間1分では、短絡不良が100個中5個に低減されていた。また、保持時間5分では短絡不良が見られなかった。なお、保持時間8分では、短絡不良は見られなかったものの、クラックが100個中3個見られた。
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
たとえば、前記実施態様においては、積層体ブロックの熱処理にベルトコンベア炉を用いて伸びた導電ペースト膜を加熱するように構成されているが、ガスバーナーや遠赤外線など、他の方法によって、加熱してもよい。ガスバーナーや遠赤外線などのように局所的に加熱可能な手段であれば、積層体ブロック全体を加熱することなく、側面だけを加熱することが可能になる。これにより短時間に伸びた導電ペースト膜を金属化して凝集させることができる。
1 セラミックグリーンシート
2 導電ペースト膜(内部電極)
2a 導電ペースト膜の一部
2b 凝集した導電ペースト
3 カバー層
4 積層体
5 切断線
6 積層体ブロック
7 セラミック誘電体層
8 セラミック体
10 ベルトコンベア炉
15 外部電極
20 積層セラミックコンデンサ

Claims (3)

  1. セラミックグリーンシートを用意するステップと、前記セラミックグリーンシート上に所定の間隔で帯状のパターンの導電ペーストを印刷して、内部電極層となる導電ペースト膜を形成するステップと、前記導電ペースト膜が形成された前記セラミックグリーンシートを多数重ね合せて圧着して、積層体を作製するステップと、前記積層体を所定の寸法に切断して、両側面に内部電極が露出している積層体ブロックを得るステップと、前記積層体ブロックの両側面にセラミック体を形成するステップと、前記セラミック体を形成した前記積層体ブロックを脱バインダ処理した後に焼成するステップと、前記積層体ブロックの両端面に外部電極を形成するステップと、を有する積層セラミックコンデンサの製造方法において、前記セラミック体を形成するステップの前に、前記積層体ブロックの両側面に露出している前記導電ペースト膜を加熱して凝集させることを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
  2. 500℃ないし800℃の温度で、前記積層ブロックの両側面に露出している前記導電ペースト膜を加熱して凝集させることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
  3. 500℃ないし800℃の温度で、5分以下にわたって、前記積層ブロックの両側面に露出している前記導電ペースト膜を加熱して凝集させることを特徴とする請求項2に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。

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