JP3780798B2 - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック電子部品の製造方法に関し、詳しくは、有機バインダ成分と可塑剤成分を含有するセラミックグリーンシートを積層することにより形成された積層体を、必要に応じて、個々の素子に切断した後、脱脂、焼成、外部電極の形成などの諸工程を経て製造される積層セラミック電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品は、通常、有機バインダ成分と可塑剤成分を含むセラミックグリーンシートを積層することにより形成された積層体を、必要に応じて、個々の素子に切断した後、所定の条件で熱処理して、脱脂(脱バインダ)及び焼成を行った後、外部電極を形成することにより製造されている。
【0003】
ところで、上述のような製造方法では、素子を所定の温度に加熱して脱脂を行う工程で、有機バインダ成分、可塑剤成分などが分解したり、燃焼したりして発生する分解ガスや燃焼ガスによるデラミネーションや層間クラックなどの構造欠陥の発生を抑制、防止する目的で、脱脂工程の前に、大気中や真空中で熱処理を行い、予め、有機成分をある程度除去した後、脱脂する方法が提案されている。
【0004】
しかし、従来の方法は、脱脂工程前に有機成分を適当に除去しておくことにより、脱脂工程における分解ガスや燃焼ガスの発生量を減らして構造欠陥の発生を抑制、防止しようとするものであり、
(1)再現性が必ずしも十分ではなく、信頼性が低い、
(2)有機成分の除去工程に必要以上の時間をかけてしまう場合が生じ、生産性の低下を招く場合がある
(3)可塑剤成分が過度に除去されると、素子(チップ)の層間密着力が低下して、構造欠陥の発生を招く
というような問題点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、可塑剤成分と有機バインダ成分の含有割合を適切に制御して、効率よく、デラミネーションや層間クラックなどの構造欠陥の発生を抑制、防止することが可能な積層セラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明(請求項1)の積層セラミック電子部品の製造方法は
有機バインダ成分と可塑剤成分とを含有するセラミックグリーンシートが積層された構造を有する積層体を形成する工程と、
前記積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率A(=可塑剤成分 ( 重量% ) /有機バインダ成分 ( 重量% ) )を、式:
0.14≦A≦0.68
で示される範囲内に調整する成分比率調整工程と、
前記積層体を所定の条件で熱処理して有機バインダ成分と可塑剤成分を除去する脱脂程と
前記有機バインダ成分と可塑剤成分を除去する工程を経た積層体を所定の条件で熱処理して焼成を行う焼成工程と
を具備することを特徴としている。
【0007】
脱脂工程に供される積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率A(=可塑剤成分(重量%)/有機バインダ成分(重量%))を、式:
0.14≦A≦0.68
で示される範囲内とすることにより、効率よく、デラミネーションや層間クラックなどの構造欠陥の発生を抑制、防止することが可能になる。
すなわち、脱脂工程に供される積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aの範囲を上記範囲に定めておくことにより、有機成分の除去(すなわち、上記比率Aの調整)工程に必要以上の時間をかけることを回避して、生産性の低下を招くことなく、再現性よく、デラミネーションや層間クラックなどの構造欠陥の発生を抑制、防止することが可能になり、信頼性を向上させることが可能になる。
【0008】
なお、脱脂工程に供される積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aを0.14〜0.68としたのは、比率Aが0.14未満になると、可塑剤成分の割合が少なくなりすぎてセラミックグリーンシートの可塑性が損なわれ、未焼成の素子(チップ)の層間密着力が低下して、構造欠陥発生率の増大を招くためであり、また、比率Aが0.68を超えると、可塑剤成分の割合が多くなりすぎて、脱脂工程で加熱されたときに多量の可塑剤成分が揮発して大量のガスが発生し、素子(チップ)が膨張して、内部に歪みが発生し、この歪みが焼成後の構造欠陥として顕在化することによる。
【0009】
なお、本発明において、「有機バインダ成分と可塑剤成分とを含むセラミックグリーンシートが積層された構造を有する積層体」とは、そこから複数の積層体(個々の素子)が切り出されるマザー積層体を所定の位置で切断して、個々の積層体(素子)に分割することにより得られる積層体が代表的な積層体として例示されるが、本発明における積層体が、単一の積層体(一つの素子)が得られるようにセラミックグリーンシートを積層することにより得られる積層体(素子)をも含むものであることはいうまでもない。
【0010】
また、脱脂工程に供される積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aを、式:0.20≦A≦0.63で示される範囲内とすることにより、さらに確実に、デラミネーションや層間クラックなどの構造欠陥の発生を抑制、防止して、信頼性の高い積層セラミック電子部品を得ることが可能になる。
【0011】
また、積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aを調整する方法としては、積層セラミック電子部品を製造する際に用いられるセラミックグリーンシート中の有機バインダ成分と可塑剤成分の割合を予め調整しておく方法もあるが、本発明のように、セラミックグリーンシートを積層することにより積層体を形成した後に、積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aを調整する工程を設けるようにした場合、セラミックグリーンシートの段階で有機バインダ成分と可塑剤成分の割合を予め調整しておくことを必要とせずに、デラミネーションや層間クラックなどの構造欠陥の発生を抑制、防止して、信頼性の高い積層セラミック電子部品を得ることが可能になる。
【0012】
また、請求項の積層セラミック電子部品の製造方法は、
前記成分比率調整工程において、脱脂工程前の積層体を、
(a)常温で大気中又は不活性ガス中に放置する方法、
(b)大気中又は不活性ガス中で所定の温度に加熱する方法、
(c)常温の真空中に放置する方法、
(d)真空中で所定の温度に加熱する方法、
のいずれか1つの方法により、前記比率Aを調整すること
を特徴としている。
【0013】
比率Aを調整する方法として、脱脂工程前の積層体を、(a)常温で大気中又は不活性ガス中に放置する方法、(b)大気中又は不活性ガス中で所定の温度に加熱する方法、(c)常温の真空中に放置する方法、(d)真空中で所定の温度に加熱する方法、のいずれか1つの方法を用いることにより、効率よく、確実に比率Aを制御することが可能になり、本発明を実効あらしめることができる。
【0014】
また、請求項の積層セラミック電子部品の製造方法は、前記積層セラミック電子部品が積層セラミックコンデンサであることを特徴としている。
【0015】
積層セラミックコンデンサは、小型大容量が要求され、積層枚数もさらに増加して薄層化する傾向があるため、デラミネーションや層間クラックなどの構造欠陥が重大な問題となることがあるが、本発明を適用することにより、構造欠陥の発生を効率よく防止して、所望の特性を有する、信頼性の高い積層セラミックコンデンサを確実に製造することが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0017】
[実施形態1]
この実施形態では、図1に示すように、素子1の内部に、セラミック層2を介して、複数層の内部電極(容量電極)3a,3bが配設され、かつ、素子1の両端部には、交互に逆側の端面に引き出された内部電極3a,3bと導通するように外部電極4a,4bが配設された構造を有する積層セラミックコンデンサを製造する場合を例にとって説明する。
【0018】
<積層セラミック電子部品の製造>
(1)まず、平均粒径8μmの誘電体セラミック原料粉末に、有機バインダ(ポリビニルブチラール)、可塑剤(フタル酸ジオクチル)、溶剤(トルエンとエタノ−ルの混合溶液)を、所定の割合で添加し、ボールミルで8時間混練することによりセラミックスラリーを調製した。
(2)次に、セラミックスラリーをドクターブレード法により、シート状に成形して、厚さ20μmのセラミックグリーンシートを得た。
(3)それから、セラミックグリーンシートに内部電極用の導電性ペーストを所定のパターンで印刷した後、所定枚数積層し、さらにその上下両面側に導電性ペーストを印刷していないセラミックグリーンシート(外層用シート)、圧着することにより積層体を形成し、この積層体を3.2mm×2.5mm□の大きさにカットして、個々の素子(チップ)に分割した。
(4)その後、素子(チップ)を、160℃、大気中で、所定時間熱処理を行い、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率の調整を行った。
(5)そして、熱処理を行った素子(チップ)を、所定の条件(300℃,大気中)で脱脂した後、さらに所定の条件(1300℃)で本焼成してセラミックを焼結させた。
(6)焼成された素子の両端側に、外部電極形成用の導電性ペーストを塗布し、所定の温度で熱処理することにより、導電性ペーストを焼き付けて、内部電極と導通する外部電極を形成した。
【0019】
これにより、図1に示すように、素子1の内部に、複数層の内部電極3a,3bが配設され、かつ、素子1の両端部に、交互に逆側の端面に引き出された内部電極3a,3bと導通する外部電極4a,4bが配設された構造を有する積層セラミックコンデンサが得られる。
【0020】
<評価>
上記(4)の工程において、160℃、大気中で熱処理を施した素子(チップ)を粉砕し、溶媒に溶解させたサンプルを、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(gel permeation chromatograph ;GPC)により分析し、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率A(=可塑剤成分(重量%)/有機バインダ成分(重量%))を算出した。
また、前記(5)の工程において、脱脂及び焼成を行った後の、外部電極を形成する前の素子(チップ)について、切断端面の観察などにより、デラミネーションや層間クラックなどの構造欠陥の発生率を調べた。
【0021】
前記(4)の工程における、160℃、大気中での熱処理時間と、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率A、及び構造欠陥発生率の関係を表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003780798
【0023】
表1に示すように、熱処理を施していない、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aが0.72である試料番号1では、構造欠陥発生率が30.9%となり、30分間の熱処理を施した試料番号2では、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aが0.70となり、構造欠陥発生率が10.8%となっている。
【0024】
これに対して、60分間の熱処理を施した試料番号3(本発明の範囲内の試料)では、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aが0.68となり、構造欠陥発生率が3.5%と、大幅に低下していることがわかる。
【0025】
また、120分間及び180分間の熱処理を施した試料番号4及び5では、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aがそれぞれ、0.63、0.58となっており、構造欠陥発生率が0%となっている。
【0026】
上記結果より、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aが0.68以下になると、構造欠陥発生率が大幅に低下し、良品率が向上することがわかる。すなわち、可塑剤成分の揮発に伴う素子(チップ)の膨張が始まる前の温度領域で熱処理して、可塑剤成分を、素子(チップ)の層間密着力が低下しすぎない程度にまで徐々に蒸発させることにより、脱脂工程における素子(チップ)の膨張を抑制することが可能になり、構造欠陥発生率を低下させることが可能になる。
【0027】
[実施形態2]
この実施形態2でも、上記実施形態1の場合と同様の積層セラミックコンデンサを製造する場合を例にとって説明する。
【0028】
<積層セラミック電子部品の製造>
(1)まず、実施形態1の場合と同様に、平均粒径8μmの誘電体セラミック原料粉末に、有機バインダ(ポリビニルブチラール)、可塑剤(フタル酸ジオクチル)、溶剤(トルエンとエタノ−ルの混合溶液)を、所定の割合で添加し、ボールミルで8時間混練することによりセラミックスラリーを調製した。
(2)次に、セラミックスラリーをドクターブレード法により、シート状に成形して、セラミックグリーンシートを得た。ただし、この実施形態では、セラミックグリーンシートの厚みを5μmとした。
(3)それから、セラミックグリーンシートに内部電極用の導電性ペーストを所定のパターンで印刷した後、所定枚数積層し、さらにその上下両面側に導電性ペーストを印刷していないセラミックグリーンシート(外層用シート)、圧着することにより積層体を形成し、この積層体を3.2mm×1.6mm□の大きさにカットして、個々の素子(チップ)に分割した。
(4)その後、素子(チップ)を、160℃、真空中で、所定時間熱処理を行い、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aの調整を行った。
(5)そして、熱処理を行った素子(チップ)を、所定の条件(300℃,大気中)で脱脂した後、さらに所定の条件(1300℃)で本焼成してセラミックを焼結させた。
(6)焼成された素子の両端側に、外部電極形成用の導電性ペーストを塗布し、所定の温度で熱処理することにより、導電性ペーストを焼き付けて、内部電極と導通する外部電極を形成した。
【0029】
<評価>
上記(4)の工程において、160℃、真空中での熱処理を施した後の素子(チップ)を粉砕し、溶媒に溶解させたサンプルを、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(gel permeation chromatograph ;GPC)により分析し、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率(=可塑剤成分(重量%)/有機バインダ成分(重量%))を算出した。
【0030】
また、前記(5)の工程において、脱脂及び焼成を行った後の、外部電極を形成する前の素子(チップ)について、切断端面の観察などにより、デラミネーションや層間クラックなどの構造欠陥の発生率を調べた。
【0031】
前記(4)の工程における、160℃、真空中での熱処理時間と、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率A、及び構造欠陥発生率の関係を表2に示す。
【0032】
【表2】
Figure 0003780798
【0033】
表2より、熱処理を施していない、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aが0.72である試料番号11では、構造欠陥発生率が10.8%と高くなっているが、20分間の熱処理を施した試料番号12では、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aが0.68となり、構造欠陥発生率が2.5%に低下することがわかる。
【0034】
また、40分間及び60分間の熱処理を施した試料番号13,14では、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aが、それぞれ0.63、及び0.55となり、構造欠陥発生率が0%となることがわかる。
【0035】
また、120分間、180分間及び240分間の熱処理を施した試料番号15、16及び17では、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aがそれぞれ、0.41、0.23及び0.20となっており、これらの場合にも、構造欠陥発生率が0%となることがわかる。
【0036】
また、480分間の熱処理を施した試料番号18では、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aが0.14となり、構造欠陥発生率が1.3%となっている。
さらに、720分間の熱処理を施した試料番号17では、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aが0.11となり、構造欠陥発生率が3.5%となっている。
【0037】
このことから、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aを、0.14≦A≦0.68の範囲とすることにより、構造欠陥発生率を大幅に低下させて、良品率を向上させることが可能になることがわかる。
さらに、可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aを、0.20≦A≦0.63の範囲とすることにより、さらに、構造欠陥発生率を低下させることが可能になることがわかる。
【0038】
なお、上記実施形態1及び2では、積層セラミックコンデンサを製造する場合を例にとって説明したが、本発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、積層バリスタ、多層基板、積層LC部品など、種々の積層セラミック電子部品を製造する場合に広く適用することが可能である。
【0039】
また、上記実施形態1,2では、積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aを調整するための成分比率調整工程における熱処理温度を160℃とした場合を例にとって説明したが、熱処理温度は、これに限定されるものではなく、可塑剤成分の種類などを考慮し、可塑剤成分の急激な揮発を引き起こさない温度範囲において、任意に熱処理温度を設定することが可能である。
【0040】
また、上記実施形態1,2では、有機バインダとしてポリビニルブチラールを用い、可塑剤としてフタル酸ジオクチルを用いた場合について説明したが、有機バインダ及び可塑剤の種類はこれに限定されるものではなく、通常用いられる種々の有機バインダ及び可塑剤を用いる場合に、広く本発明を適用することが可能である。
【0041】
また、上記実施形態1及び2では、大気中(実施形態1)、及び真空中(実施形態2)で熱処理することにより、脱脂工程に供される積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率を調整するようにした場合について説明したが、常温で大気中又は不活性ガス中に放置する方法や、不活性ガス中で所定の温度に加熱する方法、常温の真空中に放置する方法など、種々の方法を用いることが可能である
【0042】
本発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0043】
【発明の効果】
上述のように、本発明(請求項1)の積層セラミック電子部品の製造方法は、 脱脂工程に供される積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率A(=可塑剤成分(重量%)/有機バインダ成分(重量%))を、式:0.14≦A≦0.68で示される範囲内とするようにしているので、有機成分の除去(すなわち、上記比率Aの調整)工程に必要以上の時間をかけてしまったり、可塑剤成分を除去しすぎて、未焼成の素子(チップ)の層間密着力の過度の低下を招いたりすることを回避して、再現性よく、しかも、生産効率を高く保ちつつ、デラミネーションや層間クラックなどの構造欠陥の発生を抑制、防止することが可能になる。
【0044】
また、積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aを調整する方法としては、積層セラミック電子部品を製造する際に用いられるセラミックグリーンシート中の有機バインダ成分と可塑剤成分の割合を予め調整しておく方法もあるが、本発明のように、セラミックグリーンシートを積層することにより積層体を形成した後に、積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率Aを調整する工程を設けるようにした場合、セラミックグリーンシートの段階で有機バインダ成分と可塑剤成分の割合を予め調整しておくことを必要とせずに、デラミネーションや層間クラックなどの構造欠陥の発生を抑制、防止して、信頼性の高い積層セラミック電子部品を得ることが可能になる。
【0045】
また、請求項の積層セラミック電子部品の製造方法のように、比率Aを調整する方法として、脱脂工程前の積層体を、(a)常温で大気中又は不活性ガス中に放置する方法、(b)大気中又は不活性ガス中で所定の温度に加熱する方法、(c)常温の真空中に放置する方法、(d)真空中で所定の温度に加熱する方法、のいずれか1つの方法を用いることにより、効率よく、確実に比率Aを制御することが可能になり、本発明を実効あらしめることができる。
【0046】
また、積層セラミックコンデンサは、小型大容量が要求され、積層枚数もさらに増加して薄層化する傾向があるため、デラミネーションや層間クラックなどの構造欠陥が重大な問題となることがあるが、請求項のように、本発明を適用することにより、構造欠陥の発生を効率よく防止して、所望の特性を有する、信頼性の高い積層セラミックコンデンサを確実に製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかる積層セラミック電子部品の製造方法により製造された積層セラミックコンデンサを示す断面図である。
【符号の説明】
1 素子
2 セラミック層
3a,3b 内部電極(容量電極)
4a,4b 外部電極

Claims (3)

  1. 有機バインダ成分と可塑剤成分とを含有するセラミックグリーンシートが積層された構造を有する積層体を形成する工程と、
    前記積層体中の可塑剤成分と有機バインダ成分の比率A(=可塑剤成分 ( 重量% ) /有機バインダ成分 ( 重量% ) )を、式:
    0.14≦A≦0.68
    で示される範囲内に調整する成分比率調整工程と、
    前記積層体を所定の条件で熱処理して有機バインダ成分と可塑剤成分を除去する脱脂程と
    前記有機バインダ成分と可塑剤成分を除去する工程を経た積層体を所定の条件で熱処理して焼成を行う焼成工程と
    を具備すること
    を特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記成分比率調整工程において、脱脂工程前の積層体を、
    (a)常温で大気中又は不活性ガス中に放置する方法、
    (b)大気中又は不活性ガス中で所定の温度に加熱する方法、
    (c)常温の真空中に放置する方法、
    (d)真空中で所定の温度に加熱する方法、
    のいずれか1つの方法により、前記比率Aを調整すること
    を特徴とする請求項記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記積層セラミック電子部品が積層セラミックコンデンサであることを特徴とする請求項1または2記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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