JP2012224729A - グラフト鎖を導入する方法、多孔質吸着膜、及びタンパク質の精製方法 - Google Patents

グラフト鎖を導入する方法、多孔質吸着膜、及びタンパク質の精製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多孔質膜に、吸着膜として適したグラフト鎖を形成させる場合、競争反応であるモノマーどうしのラジカル重合を抑えることが必要となる。
【解決手段】高分子を含む多孔質基材にグラフト鎖を導入する方法であって、多孔質基材を、ラジカル重合性モノマーを含む溶液中に浸漬させる浸漬工程と、浸漬状態のまま、多孔質基材に放射線照射を行い、多孔質基材にラジカル重合性モノマーをグラフト重合させて、多孔質基材にグラフト鎖を形成させる照射グラフト工程と、を含み、ラジカル重合性モノマーを含む溶液が、第1級又は第2級の1価の低級アルコールを40〜70vol%含む溶媒を含む、多孔質基材にグラフト鎖を導入する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子を含む多孔質基材へグラフト鎖を導入する方法、及びグラフト鎖にイオン交換基を固定した多孔質吸着膜、及び多孔質吸着膜を用いたタンパク質の精製方法に関する。
近年、バイオテクノロジー産業において、タンパク質の大量精製が重要な課題となっている。特に、医薬の分野において、血液製剤、及び抗体医薬等の需要が急速に拡大しており、効率的に大量のタンパク質を生産及び精製可能な技術の確立が強く望まれている。
一般的に、タンパク質は、動物由来の細胞株を用いる細胞培養によって産生される。細胞培養液からタンパク質を精製する通常の操作においては、最初に、細胞培養液を遠心分離し、濁質成分を沈降除去する。次いで、遠心分離で除去しきれない約1μm以下の細胞デブリを、精密ろ過膜を用いるサイズろ過により除去する。さらに無菌化するために、最大細孔径が0.22μm以下のろ過膜を用いて無菌化ろ過を施して、目的タンパク質の清澄な溶液を得る(ハーベスト工程)。続いて、プロテインAに代表されるアフィニティークロマトグラフィーを初めとする、複数のクロマトグラフィー技術の組み合わせによる精製プロセスを用いて、Host Cell Protein(HCP)、DNA、目的たんぱく質の凝集物、エンドトキシン、ウイルス、及びカラムから脱離したプロテインAなどの夾雑物を清澄な溶液から除去し、目的タンパク質を分離・精製する(ダウンストリーム工程)。
以上説明した従来のタンパク質の精製方法の対象となる細胞培養液中の目的タンパク質の濃度は、現状では通常1g/L程度である。また、夾雑物の濃度も、目的タンパク質の濃度とほぼ同程度であると考えられる。このような濃度範囲では、ハーベスト工程及びダウンストリーム工程を含む従来のタンパク質の精製方法は、有効である。
しかしながら、抗体医薬の需要が急速に拡大し、抗体医薬に用いられるタンパク質の大量生産が指向されたため、近年では細胞培養液中のタンパク質濃度を高める細胞培養技術が急速に発達している。そのため、近年では細胞培養液中の目的タンパク質の濃度が10g/Lあるいはそれ以上にまで到達しようとしている。しかし同時に、細胞培養液中の夾雑物の濃度も同様に増加しており、従来のタンパク質の精製方法では、目的タンパク質の精製が困難になりつつある。
これに対し、各種の夾雑物を迅速かつ有効に除去し、抗体医薬品として使われる抗体タンパク質、すなわちモノクロナール抗体、ポリクロナール抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、及び免疫グロブリンなどを精製することを目的として、近年では、多孔質膜にイオン交換基を導入して、タンパク質吸着能力を付与したタンパク質吸着膜が、多数開発されている。中でも、特許文献1及び2に示されているタンパク質吸着膜は、高いタンパク質吸着容量と、選択性と、を有している。これらのタンパク質吸着膜は、多孔質基材の主表面及び細孔の側壁に、放射線照射によって固定されたグラフト鎖を有し、さらにグラフト鎖の側鎖にリガンドを備えている。このような多孔膜は、多孔質基材に固定された各グラフト鎖が1以上の側鎖を有し、その側鎖にリガンドが1以上固定された構造を有する。そのため、リガンドが細孔空間内に立体的に分布する。よって、吸着物質に対して吸着点の数が多く、吸着量が増加するとともに、相互作用の小さなタンパク質などの吸着性も高くなる。このように、リガンドを備えたグラフト鎖を有する多孔質吸着膜の開発は、タンパク質精製に、多大な恩恵をもたらしている。
基材にグラフト鎖を形成させる主なグラフト重合法の中で、多孔質膜にγ線等の放射線を照射してラジカルを発生させ、ラジカル重合性モノマーを反応させてグラフト鎖を導入する、放射線グラフト重合法が知られている。放射線グラフト重合法は、大気圧下において、基材種によらず、放射線照射でラジカルが生成するため、容易にグラフト重合が可能な方法である。これまでに、放射線照射グラフト重合法は、大きく分けると、前照射法と呼ばれる方法と、同時照射法と呼ばれる方法と、の2つが提案されている。
前照射法は、酸素濃度の低い雰囲気で、基材に放射線を照射し、基材やその内部にラジカルを作る放射線照射工程と、その後、ラジカル重合性モノマーを含む溶液中に浸漬することにより、グラフト鎖を形成させるグラフト工程と、からなる方法である。放射線照射工程と、グラフト工程と、が分かれていることから、グラフト鎖の長さ/分子量などを制御しやすいという利点がある。したがって、発生したラジカルを比較的安定に維持できる場合、前照射法が望ましい。特許文献1及び2によれば、多孔質基材にグラフト鎖を形成する手法に、この前照射法を用いている。しかし、非晶性高分子をグラフト鎖形成の基材として用いる場合、ラジカルが不安定で失活しやすいため、直ちにグラフト重合する必要があり、大規模な生産を行うには、大規模な施設等が必要となり、非常にハードルが高い。また、結晶性高分子をグラフト鎖形成の基材として用いる場合でも、ラジカルを長時間安定に維持するには、ガラス転移点以下の極低温で冷却しなければならず、大規模生産に対して、そのハードルは、必ずしも低くはない。
一方、同時照射法は、先ず基材にラジカル重合性モノマーを含む溶液中に浸漬させる浸漬工程の後、次いで酸素濃度の低い雰囲気で、基材とラジカル重合性モノマーの共存下、放射線を照射し、基材にラジカル重合性モノマーをグラフト重合してグラフト鎖を形成させる照射グラフト工程と、からなる方法である。この方法は、基材高分子の結晶化度を問わないことや、前述の前照射法に比べて工程が簡便であることから、特に非晶性高分子基材へのグラフト鎖形成において、工業化しやすい方法である。同時照射法を用いた基材の改質例としては、特許文献3乃至5に示すように各種報告されている。
特許文献3では、繊維と、ラジカル重合性化合物と、を含む溶液を、高分子フィルムの間に密封した後、放射線照射を行い、さらにその後、加熱処理を行う方法で、高いグラフト率を有する均一なグラフト化繊維が得られることが示されている。
特許文献4では、糸にラジカル重合性化合物を含む溶液を含浸させ、溶液を含侵させた糸をチーズボビンに巻きつけ、チーズボビンに巻かれた糸に放射線照射を行い、その後、加熱処理する方法で、大量の糸に安定したグラフト重合反応を発現させられることが示されている。
特許文献5では、非極性の多孔質高分子基材に、低級アルコールを15vol%以上添加した、極性を有するラジカル重合性化合物を含む溶液を接触させた後、放射線照射を行う方法が示されている。ラジカル重合性化合物を含む溶液に、低級アルコールを所定量以上含ませることで、非極性の多孔質高分子基材への含浸を容易にし、多孔質基材表面へグラフト鎖を形成可能としている。
国際公開第2009/054226号パンフレット 特開2010−158624号公報 特許3293031号公報 特開2010−144296号公報 特開平7−258304号公報
前述のように、リガンドを備えたグラフト鎖を有する多孔質吸着膜は、タンパク質精製に非常に有用である。さらに、大規模な生産において、非晶性高分子を基材とする多孔質膜へグラフト鎖を導入する方法としては、放射線照射グラフト重合法の同時照射法が、最も適している。
しかし、同時照射法を行う場合、基材にラジカルを発生させると共に、ラジカル重合性モノマーにもラジカルを発生させるため、基材及びラジカル重合性モノマーのグラフト反応と、ラジカル重合性モノマーどうしのラジカル重合と、が競争反応となる。多孔質吸着膜のように、細孔径が0.01〜5μm程である多孔質膜を基材として用いる場合、ラジカル重合性モノマーどうしのラジカル重合が優位になると、形成されるホモポリマーによって、細孔の閉塞や、通液性能の著しい低下を招いてしまう。特に、細孔径が小さな膜において、その影響は顕著に表れる。したがって、同時照射法によって、多孔質膜に、吸着膜として適したグラフト鎖を形成させる場合、競争反応であるモノマーどうしのラジカル重合を抑えることが必要となる。
しかし、特許文献3及び4に示される方法では、同時照射法でのグラフト鎖形成の後、加熱処理を行っていることから、ラジカル重合性モノマーからなるホモポリマー形成を、より促進してしまう。
特許文献5で示された方法で作製されたグラフト鎖は、グラフト率が2〜6%と、グラフト率が低く、吸着膜として使用するには不十分なグラフト鎖しか形成できていない。さらに、作製された膜については、長時間の吸水性しか評価しておらず、通液性能は不明である。
本発明の解決しようとする課題は、上述のような、高分子を基材とする多孔質膜に、放射線を用いた同時照射法によって、グラフト鎖を導入する際に特有の課題に対して、新たな技術を提供することである。さらに、グラフト鎖にイオン交換基を固定した多孔質吸着膜を提供すると共に、多孔質吸着膜を用いて、動物細胞培養液に代表される、目的タンパク質と不純物とを含む混合溶液から、不純物を簡便に除去し、目的タンパク質を効率的に精製する方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、高分子を基材とする多孔質膜を、第1級又は第2級の1価の低級アルコールを40〜70vol%含有するラジカル重合性モノマー溶液に浸漬した状態で、放射線を照射することにより、基材表面にラジカル重合性モノマーをグラフト重合して、グラフト鎖を形成させる、グラフト鎖の導入方法を用いることが、有効であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下のグラフト鎖の導入方法、及びグラフト鎖にイオン交換基を固定した多孔質吸着膜、及び多孔質吸着膜を用いたタンパク質の精製方法を提供する。
[1]高分子を含む多孔質基材にグラフト鎖を導入する方法であって、
多孔質基材を、ラジカル重合性モノマーを含む溶液中に浸漬させる浸漬工程と、
浸漬状態のまま、多孔質基材に放射線照射を行い、多孔質基材にラジカル重合性モノマーをグラフト重合させて、多孔質基材にグラフト鎖を形成させる照射グラフト工程と、
を有し、
ラジカル重合性モノマーを含む溶液が、第1級又は第2級の1価の低級アルコールを40〜70vol%含む溶媒を含む、
グラフト鎖を導入する方法。
[2]多孔質基材が非晶性高分子を含む、[1]に記載のグラフト鎖の導入方法。
[3]非晶性高分子がポリスルホンである、[1]又は[2]に記載のグラフト鎖の導入方法。
[4]多孔質基材の細孔径が、0.01μmから5μmの範囲である、[1]から[3]のいずれかに記載のグラフト鎖の導入方法。
[5]多孔質基材が中空糸多孔膜である、[1]から[4]のいずれかに記載のグラフト鎖の導入方法。
[6]ラジカル重合性モノマーがグリシジルメタクリレートである、[1]から[5]のいずれかに記載のグラフト鎖の導入方法。
[7]多孔質吸着膜であって、[1]から[6]のいずれかに記載の方法によって導入された、グラフト鎖を有する多孔質膜と、グラフト鎖が有する側鎖に固定されたイオン交換基と、を備える多孔質吸着膜。
[8]イオン交換基がアニオン交換基であって、イソプロピルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、及びトリエチルアミンからなる群より選択される少なくとも1種類である、[7]に記載の多孔質吸着膜。
[9]イオン交換基がカチオン交換基であって、スルホン酸基、及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種類である、[7]に記載の多孔質吸着膜。
[10]精製対象タンパク質と、夾雑物と、を含む混合溶液から精製対象タンパク質を精製する方法であって、
[7]から[9]のいずれかに記載の多孔質吸着膜を用意することと、
多孔質吸着膜に混合溶液を通液して夾雑物を除去し、精製対象タンパク質を得ることと、
を含むタンパク質の精製方法。
本発明に係るグラフト鎖の導入方法を用いることにより、高分子を基材とする多孔質膜へ、グラフト鎖を簡便に形成させることが可能となる。さらにグラフト鎖にイオン交換基を固定した多孔質吸着膜を用いることにより、目的タンパク質と、夾雑物と、を含む混合液から夾雑物を除去し、目的タンパク質を効率よく且つ迅速に精製することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態に係る高分子を含む多孔質基材にグラフト鎖を導入する方法は、多孔質基材を、ラジカル重合性モノマーを含む溶液中に浸漬させる浸漬工程と、浸漬状態のまま、多孔質基材に放射線照射を行い、多孔質基材にラジカル重合性モノマーをグラフト重合させて、多孔質基材にグラフト鎖を形成させる照射グラフト工程と、を含む。ここで、ラジカル重合性モノマーを含む溶液が、第1級又は第2級の1価の低級アルコールを40〜70vol%含む溶媒を含む。
本実施の形態において、多孔質膜の基材としては、特に限定されないが、同時照射法を用いてグラフト鎖を導入するという観点から、非晶性高分子が、重量比率で90%以上含まれている基材が好ましい。
非晶性高分子としては、機械的性質の保持のために、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、及びポリフェニレンエーテル等が挙げられる。ここで非晶性高分子とは、ガラス転移点Tgは有するが、融点Tmがない高分子のことをいう。これらの基材の中でも、機械的強度に特に優れ、かつタンパク質などの夾雑物の高い吸着容量が得られる素材である点で、ポリスルホン又はポリエーテルスルホンが好ましい。
ポリスルホン又はポリエーテルスルホンを用いて多孔質膜を製造する方法は、当業者にとって公知の方法が使用可能であり、例えば、特開昭54−134879や、特開平2−174915に開示される方法などが挙げられる。
多孔質膜の細孔径は、特に限定されないが、多孔質膜の形状を保持し、且つ通液時の圧損が実用上問題がない程度であれば、特に限定されないが、0.01μm〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.05μm〜3μmであり、さらに好ましくは0.1μm〜1μmである。また、細孔の構造は、膜の深さ方向に対して対称構造でも、非対称構造であってもよい。
多孔質膜中の細孔の占める体積である空孔率も、多孔質膜の形状を保持しかつ通液時の圧損が実用上問題のない程度であれば、特に限定されないが、好ましくは5%〜99%であり、より好ましくは10%〜95%であり、さらに好ましくは30%〜90%である。
細孔径及び空孔率の測定は、Marcel Mulder著「膜技術」(株式会社アイピーシー)などに記載されているような、当業者にとって公知の方法により行うことができるが、測定方法としては、例えば、電子顕微鏡による観察、バブルポイント法、水銀圧入法、及び透過率法などが挙げられる。
多孔質膜の形態は、多孔質体であれば特に限定されないが、平膜、不織布、中空糸膜、モノリス、キャピラリー、円板又は円筒状などが挙げられる。これらの形態の中でも、製造の容易さ、スケールアップ性、及びモジュール成型した際の膜のパッキング性などから、多孔質膜は、中空糸多孔膜であることが好ましい。
本実施の形態において、中空糸多孔膜とは、中空部分を有する円筒状又は繊維状の多孔膜であり、中空糸の内層と、外層と、が貫通孔である細孔によって連続しており、その細孔によって内層から外層、あるいは外層から内層に液体あるいは気体が透過する性質を有する多孔体を意味する。
中空糸の外径及び内径は、物理的に形状を保持することができ、かつモジュール成型可能であれば、特に限定されない。
多孔質基材表面にグラフト鎖を形成するモノマーは、ラジカル重合性モノマーであって、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルソルベート、グリシジルイタコレート、グリシジルマエレート、酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルアセテート、及びアリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。イオン交換基を導入しやすいことから、グリシジルメタクリレート又は酢酸ビニルが好ましく、グリシジルメタクリレートがより好ましい。
本実施の形態において、ラジカル重合性モノマーを、第1級又は第2級の1価の低級アルコールを含む溶媒で希釈し、ラジカル重合性モノマー溶液を得る。次に、ラジカル重合性モノマー溶液に多孔質基材を浸漬させる。低級アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、及び2−ブタノール等が挙げられる。中でも、グラフト処理の効率の良さ、両親媒性を有することから、メタノール、エタノール、2−プロパノールが好ましく、2−プロパノールがより好ましい。
溶媒中に含まれる低級アルコールの配合比率は40〜70vol%、好ましくは45〜65vol%である。40vol%未満では、ラジカル重合性モノマーどうしの重合反応の抑制効率が低くなるばかりでなく、溶液中へラジカル重合性モノマーを溶解させることや、多孔質基材の細孔内へ当該溶液を存在させることが難しくなる傾向にある。また、70vol%以上では、放射線照射及びラジカル重合時の熱により、溶媒の突沸等の危険性が生じる傾向にあり、その場合は、基材表面にグラフト鎖が形成されにくくなる傾向にある。
溶媒の低級アルコール以外の成分は、グラフト重合に直接関与しない液体であれば、特に限定されないが、含まれる低級アルコールよりも、高い沸点と、大きい比熱と、を有する液体が好ましく、例えば、純水等が挙げられる。
また、ラジカル重合性モノマーの配合比率は、溶媒100体積部に対して1〜30体積部が好ましく、5〜20体積部がより好ましい。ラジカル重合性モノマーの配合比率が前記よりも低いと、グラフト鎖の形成が不十分なために、タンパク質吸着膜として用いたときにタンパク質吸着能が著しく低くなる傾向にある。配合比率が前記よりも高いと、溶液中へのラジカル重合性モノマーの分散が不均一になり、均一なグラフト鎖が得られにくくなる傾向にある。また、ラジカル重合性モノマーは、グラフト鎖を形成させる多孔質膜基材の重量の5倍以上とすると、局部的な反応の暴走が起こり、目的とする均一なグラフト鎖が得られにくい。したがって、ラジカル重合性モノマーの量は、多孔質基材膜重量の5倍以下、好ましくは2倍以下とすることが好ましい。
本実施の形態において、溶存酸素を除去したラジカル重合性モノマー溶液を、酸素濃度の低い雰囲気におかれた多孔質膜基材に付与し、これらを密封する。密封する容器としては、酸素の透過と、ラジカル重合性モノマーの揮発と、を防ぐことができるもので、かつ、耐熱性や容器からの溶出が無いもの、さらには容器自身のグラフト重合が起こりにくい素材であることが必要である。上市されているものの中では、放射線照射でポリマーラジカルの生成効率が低く、酸素透過性が低いポリエチレンテレフタレートや、ポリビニルフルオライドのフィルムバッグが適している。
放射線の照射は、電離放射線やγ線等で行われるが、透過性が高く均一に照射可能であるγ線が好ましい。その照射条件として、照射線量は5〜200kGyが好ましい。照射線量が5kGy未満では十分なグラフト重合量に必要な活性種の生成が起こらず、200kGyを超えると、多孔質基材の主鎖の切断による物性低下が起こるので好ましくない。放射線照射の雰囲気は、容器でシールされていることから、空気中又は窒素やヘリウムなど不活性ガスの雰囲気のいずれでもよい。照射雰囲気によるグラフト重合への影響はないことから、経済性を考慮して、空気中照射が適当である。
本実施の形態において、グラフト率とは、基材の重量に対する、前記共重合リガンドが固定される前の基材に導入されたグラフト鎖の重量の比(百分率)を意味する。
グラフト率は、10%以上250%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以上150%以下であり、さらに好ましくは20%以上90%以下である。グラフト率を10%以上とするであることにより、タンパク質の吸着容量が著しく高くなり実用的である。また、グラフト率を250%以下とするであることにより、実用的な強度が得られる。
通常、吸着したタンパク質を溶出する際に、塩溶液を多孔膜に通液するが、それにより膜体積は膨張する特性があり、グラフト率が高いほど膨張率が高い。塩溶液通液による膜体積の膨張率は、多孔膜とグラフト鎖の構造にもよるが、グラフト率60%では約2%以下、90%では約3%以下、150%では約5%以下である。グラフト率が250%以下の多孔膜が、実用上、好適である。
本実施の形態において、基材に導入されるグラフト鎖は、導入反応後にジメチルホルムアミドなどの有機溶剤で洗浄しても、除去されない化学構造を有する。
本実施の形態に係る多孔質吸着膜は、上述した方法によって導入されたグラフト鎖を有する多孔質膜と、グラフト鎖が有する側鎖に固定されたイオン交換基と、を備える。多孔質膜への放射線照射後、グラフト鎖に導入及び固定されるアニオン交換基としては、タンパク質混合用液中に溶存する不純物タンパク質、DNA、HCP、ウイルス、及びエンドトキシンなどを吸着するアニオン交換基であれば、特に限定されないが、イソプロピルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、及びトリエチルアミンなどが挙げられる。グラフト鎖を形成するグリシジルメタクリレート重合体が有するエポキシ基を開環し、ジエチルアミンなどのアミン並びにジエチルアンモニウム又はトリメチルアンモニウムなどのアンモニウム塩を付加することにより、グラフト鎖にアニオン交換基を導入および固定することができる。
グラフト鎖に導入及び固定されるカチオン交換基としては、タンパク質混合用液中に溶存する抗体など高い等電点を有する目的タンパク質を吸着するカチオン交換基であれば、特に限定されないが、スルホン酸基、及びカルボキシル基などが挙げられる。カチオン交換基を導入する場合、グラフト鎖を形成するグリシジルメタクリレート重合体が有するエポキシ基を開環し、亜硫酸ナトリウムなどのスルホン化剤を反応させることによってスルホン酸基を導入及び固定することや、サルコシンナトリウム塩を反応させることによって、カルボキシル基を導入及び固定することができる。
次に、本実施の形態に係るタンパク質の精製方法は、目的とするタンパク質と、夾雑物と、を含む混合溶液から目的とするタンパク質を精製する方法であって、本実施の形態に係る多孔質吸着膜を用いて混合溶液をろ過し、夾雑物を除去することを含む、タンパク質の精製方法である。
本実施の形態に係る多孔質吸着膜は、混合溶液中に含まれる1種類以上の夾雑物から、目的とするタンパク質を分離、精製する用途に用いることが有効である。
目的とするタンパク質を分離・精製する方法としては、混合溶液を本実施の形態に係る多孔質吸着膜を用いてろ過することにより、(a)夾雑物を多孔質吸着膜に吸着させ、精製された目的タンパク質を、非吸着の画分として回収するフロースルーモード、あるいは(b)目的タンパク質を多孔質吸着膜に吸着した後、選択的に溶出回収する結合モード、の2種類の方法が挙げられる。
本実施の形態に係る多孔質吸着膜にろ過させる混合溶液としては、アフィニティークロマトグラフィー工程前の溶液や、アフィニティークロマトグラフィーカラムから溶出された、抗体を含有する溶出液が適している。
アフィニティークロマトグラフィー工程前の溶液中に含まれる、除去すべき夾雑物としては、バクテリア、細胞デブリ、HCP、DNA、ウイルス、及びエンドトキシンなどが含まれる。
アフィニティークロマトグラフィーに用いられるカラムに充填する樹脂のリガンドは、通常プロテインAのようなFc結合タンパク質を含む。このようなアフィニティークロマトグラフィーの樹脂は市販されており、容易に入手することが可能である。溶出液中に含まれる、除去すべき夾雑物としては、HCP、DNA、ウイルス、エンドトキシン、遊離プロテインA、プロテインAと抗体との間で形成された複合体、並びに抗体の凝集体などが含まれる。
上述した(a)の方法のろ過形態であるフロースルーモードを実施する場合には、本実施の形態に係る多孔質吸着膜を用いて混合溶液をろ過し、素通りした画分を精製された抗体の溶液として回収する。この場合、抗体の大半は、吸着されることなく素通りするが、夾雑物は吸着により除去される。
上述した(b)の方法のろ過形態である結合モードを実施する場合にも、本実施の形態に係る多孔質吸着膜を用いて抗体を含む溶液をろ過する。この場合、抗体のみ、あるいは抗体と一部の夾雑物が、本実施の形態に係る多孔質吸着膜に吸着される。
以下、実施例及び比較例に基づいて本実施の形態をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)溶媒に40vol%の2−プロパノールを用いたときの同時照射法による多孔質中空糸へのグラフト鎖の導入
外径2.3mm、内径1.4mm、最小細孔径が0.4μmである、ポリスルホン97質量部、及びポリビニルピロリドン3質量部よりなる多孔質中空糸を、ポリビニルフルオライド製のフィルムバッグに入れて、容器内の空気を窒素で置換した。2−プロパノール40体積部、純水60体積部よりなる溶媒を調整後、溶媒90体積部、グリシジルメタクリレート(GMA)10体積部よりなる反応液を、多孔質中空糸1質量部に対し、18質量部、フィルムバッグに注入した後、フィルムバッグを密閉した。なお、反応液は予め窒素でバブリングして、反応液内の酸素を窒素置換した。
その後、室温にてγ線25kGyを照射し、ラジカルを発生させると共に、グラフト重合反応を施し、多孔質中空糸にグラフト鎖を導入した。
グラフト重合反応後、フィルムバッグ内の反応液を除去した。次いで中空糸を2−プロパノールで洗浄することにより、残存したGMA、そのオリゴマー及び多孔質中空糸膜に固定されなかったグラフト鎖を除去した。
洗浄液を除去した後、さらに2−プロパノールを入れて2回洗浄を行った。洗浄後の多孔質中空糸を乾燥し、重量を測定したところ、グラフト鎖が導入された多孔質中空糸の重量はグラフト鎖導入前の146%であり、下記式(1)で算出される、基材重量に対するグラフト鎖の重量比として定義されるグラフト率(dg)は46%であった。
式(1) dg = (w1 − w0) / w0
ここでw0は反応前の多孔質中空糸の重量、w1はグラフト鎖が導入された多孔質中空糸の重量である。
(製造例1)イオン交換基が表面に固定された多孔膜モジュールの作製
(i)アニオン交換基(ジエチルアミノ基)のグラフト鎖への固定
実施例1にて得られた、乾燥したグラフト鎖を導入した中空糸多孔膜をメタノールに10分以上浸漬して膨潤させた後、純水に浸漬して水置換した。ジエチルアミン50体積部、純水50体積部の混合溶液よりなる反応液を、グラフト反応後の中空糸に対して25質量部、ガラス反応管に入れ、30℃に調整した。ここにグラフト鎖を導入した中空糸多孔膜を挿入し、24時間静置して、グラフト鎖のエポキシ基をジエチルアミノ基に置換することにより、アニオン交換基としてジエチルアミノ基を有する中空糸多孔膜を得た。
得られた中空糸多孔膜は、外径2.3mm、内径1.4mmであった。また、中空糸多孔膜においてグラフト鎖の有するエポキシ基がジエチルアミノ基に置換された置換率は、62%であった。
置換率Tはエポキシ基のモル数N0のうち、ジエチルアミノ基に置換されたモル数N1
して下記式(2)を用いて算出した。
式(2) T = 100 × N1 / N0
= 100 ×{(w1−w0 / M1} / {w0(dg / (dg + 100)) / M2
式(2)中、M1はジエチルアミンの分子量(73.14)、w0はグラフト重合反応後の中空糸多孔膜の重量、w1はジエチルアミノ基置換反応後の中空糸多孔膜の重量、dgはグラフト率、M2はGMAの分子量(142.15)である。
(ii)アニオン交換基(イソプロピルアミノ基)のグラフト鎖への固定
実施例1にて得られた、乾燥したグラフト鎖を導入した中空糸多孔膜をメタノールに10分以上浸漬して膨潤させた後、純水に浸漬して水置換した。イソプロピルアミン50体積部、純水50体積部の混合溶液よりなる反応液を、グラフト反応後の中空糸に対して25質量部、ガラス反応管に入れ、40℃に調整した。ここにグラフト鎖を導入した中空糸多孔膜を挿入し、48時間静置して、グラフト鎖のエポキシ基をイソプロピルアミノ基に置換することにより、アニオン交換基としてイソプロピルアミノ基を有する中空糸多孔膜を得た。
得られた中空糸多孔膜は、外径2.3mm、内径1.4mmであった。また、中空糸多孔膜においてグラフト鎖の有するエポキシ基がイソプロピルアミノ基に置換された置換率は、式(2)を用いて求めたところ、61%であった。
(iii)アニオン交換基(トリエチルアミノ基)のグラフト鎖への固定
実施例1にて得られた、乾燥したグラフト鎖を導入した中空糸多孔膜をメタノールに10分以上浸漬して膨潤させた後、純水に浸漬して水置換した。また、1mol/LのNaOH水溶液17mLと、メタノール17mLと、を混合撹拌し、ここにトリエチルアミン塩酸塩4.81gを撹拌しながら添加し、反応液を作製した。次に、反応液を、グラフト反応後の中空糸に対して25質量部、ガラス反応管に入れ、40℃に調整した。ここにグラフト鎖を導入した中空糸多孔膜を挿入し、36時間静置して、グラフト鎖のエポキシ基をトリエチルアミノ基に置換することにより、アニオン交換基としてトリエチルアミノ基を有する中空糸多孔膜を得た。
得られた中空糸多孔膜は、外径2.5mm、内径1.5mmであった。また、中空糸多孔膜においてグラフト鎖の有するエポキシ基がトリエチルアミノ基に置換された置換率は、式(2)を用いて求めたところ、64%であった。
(iv)カチオン交換基(スルホン酸基)のグラフト鎖への固定
実施例1にて得られた、乾燥したグラフト鎖を導入した中空糸多孔膜をメタノールに10分以上浸漬して膨潤させた後、純水に浸漬して水置換した。亜硫酸ナトリウム10体積部、2−プロパノール15体積部、純水75体積部の混合溶液よりなる反応液を、グラフト反応後の中空糸に対して20質量部、ガラス反応管に入れ、30℃に調整した。ここにグラフト鎖を導入した中空糸多孔膜を挿入し、210分間静置して、グラフト鎖のエポキシ基をスルホン酸基に置換した。さらに、未反応のエポキシ基を0.5 mol/L 硫酸中でジオール基に変換し、カチオン交換基としてスルホン酸基を有する中空糸多孔膜を得た。
得られた中空糸多孔膜は、外径2.3mm、内径1.4mmであった。また、中空糸多孔膜においてグラフト鎖の有するエポキシ基がスルホン酸基に置換された置換率は、式(2)を用いて求めたところ、57%であった。
(v)中空糸多孔膜モジュールの作製
(i)で得られた、ジエチルアミノ基がグラフト鎖を介して固定された中空糸多孔膜1本の長手方向の両末端を、中空糸多孔膜の中空部を閉塞しないようにエポキシ系ポッティング剤で、内径0.5cm、有効長9.2cmのポリスルホン酸性モジュールケースに固定して、膜体積が0.24mLの中空糸多孔膜モジュールを作製した。これを、評価モジュールとして用いた。
(実施例2)中空糸多孔膜のタンパク質動的吸着容量の測定
20mmol/L Tris−HCl緩衝液(pH8.0)を30mL通液して平衡化した後、前記緩衝液にウシ血清アルブミン(BSA)を混合して、濃度を1mg/mLに調整したBSA溶液を用い、破過が開始するまで、製造例1で作製した中空糸多孔膜モジュールにBSA溶液を透過させた。溶液は、評価モジュール内の中空糸多孔膜の内側から外側に向かって、流速2mL/minにて通液した。評価はGEヘルスケアバイオサイエンス製AKTAexplorer100を用いて実施した。具体的には、同装置において得られる透過液の280nmのUV吸光度が、供給液の280nmのUV吸光度(150mAU)の1/10(15mAU)となった時点を破過点とし、その時点までに供給したBSA溶液の体積から、動的吸着容量を算出した。ここで、BSA溶液の濃度Q、評価モジュールが破過した時までに透過させたBSA溶液の体積VB、及び評価モジュール内の実施例に係る中空糸多孔膜の体積VMから、下記式(3)に基づいて動的吸着容量Aは算出可能である。
式(3) A = Q × VB / VM
中空糸多孔膜の体積とは、中空部分を除いた体積である。また破過とは、透過液中のBSA濃度が、供給されたBSA濃度の10%である0.1mg/mLを超えた時点のことをいう。
製造例1の(v)で得られた中空糸多孔膜モジュールを用いて、BSAの動的吸着容量を求めたところ、42mg/mLであった。
(実施例3)溶媒に40vol%のメタノールを用いたときの同時照射法による多孔質中空糸へのグラフト鎖の導入
実施例1における溶媒を、メタノール40体積部、純水60体積部とし、反応液を、溶媒95体積部、GMA5体積部とした。それ以外は、実施例1と同じ操作をした。
得られた中空糸多孔膜の重量は、グラフト鎖導入前の122%であり、式(1)で算出される、基材重量に対するグラフト鎖の重量比として定義されるグラフト率(dg)は22%であった。
さらに製造例1の(i)及び(v)と同じ操作を行い、ジエチルアミノ基が表面に固定された多孔膜モジュールを作製した。得られた中空糸多孔膜は、外径2.3mm、内径1.4mmであった。また、中空糸多孔膜においてグラフト鎖の有するエポキシ基がジエチルアミノ基に置換された置換率は、61%であった。
さらに実施例2に従い、BSAの動的吸着容量を求めたところ、19mg/mLであった。
(実施例4)溶媒に65vol%の2−プロパノールを用いたときの同時照射法による多孔質中空糸へのグラフト鎖の導入
実施例1における溶媒を、2−プロパノール65体積部、純水35体積部とし、反応液を、溶媒90体積部、GMA10体積部とした。それ以外は、実施例1と同じ操作をした。
得られた中空糸多孔膜の重量は、グラフト鎖導入前の149%であり、式(1)で算出される、基材重量に対するグラフト鎖の重量比として定義されるグラフト率(dg)は49%であった。
さらに製造例1の(i)及び(v)と同じ操作を行い、ジエチルアミノ基が表面に固定された多孔膜モジュールを作製した。得られた中空糸多孔膜は、外径2.3mm、内径1.4mmであった。また、中空糸多孔膜においてグラフト鎖の有するエポキシ基がジエチルアミノ基に置換された置換率は、63%であった。
さらに実施例2に従い、BSAの動的吸着容量を求めたところ、40mg/mLであった。
(比較例1)溶媒に30vol%の2−プロパノールを用いたときの同時照射法による多孔質中空糸へのグラフト鎖の導入
実施例1における溶媒を、2−プロパノール30体積部、純水70体積部とし、反応液を、溶媒95体積部、GMA5体積部とした。それ以外は、実施例1と同じ操作をした。
得られた中空糸多孔膜の重量は、グラフト鎖導入前の115%であり、式(1)で算出される、基材重量に対するグラフト鎖の重量比として定義されるグラフト率(dg)は15%であった。
さらに製造例1の(i)及び(v)と同じ操作を行い、アニオン交換基が表面に固定された多孔膜モジュールを作製した。得られた中空糸多孔膜は、外径2.3mm、内径1.4mmであった。また、中空糸多孔膜においてグラフト鎖の有するエポキシ基がジエチルアミノ基に置換された置換率は、59%であった。
さらに実施例2に従い、BSAの動的吸着容量を求めたところ、中空糸多孔膜が破断し、タンパク質吸着膜として機能しなかった。
このことから、比較例1に係る溶媒に30vol%の2−プロパノールを用いたグラフト鎖の導入方法は、非晶性高分子を基材とする多孔質膜に、吸着膜として適したグラフト鎖を形成させる方法として、不適であることが分かった。
(比較例2)溶媒に80vol%の2−プロパノールを用いたときの同時照射法による多孔質中空糸へのグラフト鎖の導入
実施例1における溶媒を、2−プロパノール80体積部、純水20体積部とし、反応液を、溶媒95体積部、GMA5体積部とした。それ以外は、実施例1と同じ操作をした。
グラフト重合反応後、フィルムバッグが破断しており、反応液が漏れていた。得られた中空糸多孔膜の重量は、グラフト鎖導入前の102%であり、式(1)で算出される、基材重量に対するグラフト鎖の重量比として定義されるグラフト率(dg)は2%であった。
このことから、比較例1に係る溶媒に80vol%の2−プロパノールを用いたグラフト鎖の導入方法は、非晶性高分子を基材とする多孔質膜に、吸着膜として適したグラフト鎖を形成させる方法として、不適であることが分かった。
(比較例3)前照射法による多孔質中空糸へのグラフト鎖の導入
外径2.3mm、内径1.4mm、最小細孔径が0.4μmの、ポリスルホン多孔質中空糸を、密閉容器に入れて、容器内の空気を窒素で置換した。その後、容器の外側からドライアイスで冷却しながら、γ線25kGyを照射し、ラジカルを発生させた。得られたラジカルを有する多孔質中空糸をガラス反応管に移し、200Pa以下に減圧することにより、反応管内の酸素を除いた。ここに40℃に調整したグリシジルメタクリレート(GMA)3体積部、メタノール97体積部よりなる反応液を、多孔質中空糸1質量部に対し20質量部注入した後、12分間密閉状態で静置してグラフト重合反応を施し、多孔質中空糸にグラフト鎖を導入した。反応液は予め窒素でバブリングして、反応液内の酸素を窒素置換した。
グラフト重合反応後、反応管内の反応液を除去した。次いで、反応管内に2−プロパノールを入れて多孔質中空糸を洗浄することにより、残存したグリシジルメタクリレート、そのオリゴマー及び多孔質中空糸に固定されなかったグラフト鎖を除去した。
洗浄液を除去した後、さらに2−プロパノールを入れて2回洗浄を行った。洗浄後の多孔質中空糸を乾燥し、重量を測定したところ、グラフト鎖が導入された多孔質中空糸の重量はグラフト鎖導入前と変化がなく、グラフト鎖が導入されていなかった。
このことから、比較例2に係る前照射法によるグラフト鎖の導入方法は、非晶性高分子を基材とする多孔質膜に対して、不適であることが分かった。
(実施例5)フロースルーモードによる夾雑物の吸着除去
(vi)抗体含有細胞培養液の調製
無血清培地にて培養したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の培養液(電気伝導度8.7mS/cm、細胞密度1.1×107/mL)196mLに抗体50mg/mLを含むヒトγ−グロブリン溶液(ベネシス社、ヴェノグロブリン)4mLを添加し、0.45μm精密ろ過膜(ザルトリウス製、ミニザルト16555K)を透過させることにより、pH7.4で抗体1mg/mLを含有する細胞培養液を調製した。
得られた細胞培養液中の代表的な夾雑物であるHCP濃度を、ELISA法を用いて測定した。Cygnus Technologies製、CHO Host Cell Protein ELISA Kitの96ウェルプレートに細胞培養液を滴下し、GEヘルスケアバイオサイエンス製、Ultrospec Visible Plate Reader II96のプレートリーダーを用いてHCP濃度を測定した。その結果、細胞培養液中のHCP濃度は、354μg/mLであった。
他の代表的な夾雑物であるDNAの定量は、invitrogen製、Quant−iT(登録商標)dsDNA HS Assay Kitを用いて評価する細胞培養液を処理した後、Qubit(登録商標)フルオロメーターを用いて行った。その結果、細胞培養液中のDNA濃度は7560ng/mLであった。
(vii)多孔質吸着膜による抗体含有細胞培養液からの夾雑物除去
製造例1の(v)で得られた中空糸多孔膜モジュールに、20mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)を20mL通液して平衡化した後、(vi)で得られた抗体含有細胞培養液を膜体積の100倍である24mL通液し、フロースルーにて得られる画分を回収した。
得られたフロースルー回収液中のHCP濃度を(vi)と同様にして測定した結果、82μg/mLであり、HCP含有量は大きく低下した。また、(vi)と同様にしてDNA濃度を測定した結果、794ng/mLであり、DNA含有量は大きく低下した。
また、中空糸多孔膜モジュール透過液中の抗体タンパク質の回収率は、アフィニティークロマトグラフィーによって評価した。島津製作所株式会社製高速液体クロマトグラフLC−20Aシステムに、アフィニティーカラムとしてAppliedBiosystems製POROS G(ProteinGカラム)を取り付け、50mmol/Lリン酸に0.15mol/L NaClを含むバッファー(pH7.0)を用い、室温において流速2mL/minでカラムに通液し、ここにサンプルを100μL添加した。また溶出には12mmol/L塩酸バッファーを用いた。その後、システムに、ProteinGカラムに吸着・溶出した抗体タンパク質の溶出ピークを表示させた。さらに、抗体タンパク質の溶出ピーク面積から、溶液中の抗体タンパク質の回収率を算出した。その結果、抗体タンパク質の回収率は、98%であった。
本実施の形態に係る中空糸多孔膜を用いることにより、夾雑物を有効に除去し、速やかに抗体を精製することが可能であった。
(viii)プロテインAカラムを用いた抗体精製
(vi)で得られた抗体含有細胞培養液25mLを0.2μm除菌膜(ザルトリウス製、Minisart plus)に通液した後、20mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)10mLで平衡化したプロテインAカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス製、HiTrap ProteinA HP 1mL)に10mL添加し、抗体を吸着させた。カラムに上記緩衝液20mLを通液して洗浄した後、0.1Mのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.0)を10mL通液して、抗体を溶出回収した。得られた溶出回収液に、ほぼ等量の10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.2)を添加し中和した後、少量の1.5MのTris−HCl(pH8.0)で溶出回収液をpH8.0に調整し、抗体の精製液20mLを得た。精製液はプロテインAカラムに通液する前に対して2倍希釈されている。
得られた抗体の精製液中のHCP濃度を(vi)と同様にして測定した結果、3.1μg/mLであった。また、(vi)と同様にしてDNA濃度を測定した結果、67.5ng/mLであった。さらに、得られた溶出回収液の抗体タンパク質濃度を、(vii)と同様の方法にして測定した結果、0.46g/Lであり、2倍希釈されていることから、得られた抗体のアフィニティークロマトグラフィー後の回収率は92%であった。
(ix)多孔質吸着膜によるプロテインA溶出液からの夾雑物除去
製造例1の(v)で得られた中空糸多孔膜モジュールに、20mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)を20mL通液して平衡化した後、(viii)で得られたアフィニティークロマトグラフィー後の抗体の精製液を20mL通液し、フロースルーにて得られる画分を回収した。
得られたフロースルー回収液中のHCP濃度を(vi)と同様にして測定した結果、30ng/mLであり、フロースルーによりHCP含有量は約100分の1に低下した。また、(vi)と同様にしてDNA濃度を測定した結果、検出限界(10ng/mL)以下であった。
さらに、中空糸多孔膜モジュール透過液中の抗体タンパク質の回収率を、(vii)と同様の方法にして測定した結果、98%であった。
本実施の形態に係る中空糸多孔膜を用いることにより、夾雑物を有効に除去し、速やかに抗体を精製することが可能であった。
本発明により、主として非晶性高分子を基材とした多孔質膜に、放射線を用いた同時照射法によって、吸着膜として適したグラフト鎖を簡便に形成させることが可能となる。また、本発明の方法を用いて作製された多孔質吸着膜は、抗体精製において、HCP、DNAなどの夾雑物を有効に且つ迅速に除去できるので、細胞培養液に含まれる目的タンパク質の精製において、産業上の利用可能性を有する。

Claims (10)

  1. 高分子を含む多孔質基材にグラフト鎖を導入する方法であって、
    前記多孔質基材を、ラジカル重合性モノマーを含む溶液中に浸漬させる浸漬工程と、
    前記浸漬状態のまま、前記多孔質基材に放射線照射を行い、前記多孔質基材に前記ラジカル重合性モノマーをグラフト重合させて、前記多孔質基材にグラフト鎖を形成させる照射グラフト工程と、
    を含み、
    前記ラジカル重合性モノマーを含む溶液が、第1級又は第2級の1価の低級アルコールを40〜70vol%含む溶媒を含む、
    多孔質基材にグラフト鎖を導入する方法。
  2. 前記多孔質基材が非晶性高分子を含む、請求項1に記載のグラフト鎖の導入方法。
  3. 前記非晶性高分子がポリスルホンである、請求項1又は2に記載のグラフト鎖の導入方法。
  4. 前記多孔質基材の細孔径が、0.01μmから5μmの範囲である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のグラフト鎖の導入方法。
  5. 前記多孔質基材が中空糸多孔膜である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のグラフト鎖の導入方法。
  6. 前記ラジカル重合性モノマーがグリシジルメタクリレートである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のグラフト鎖の導入方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法によって導入されたグラフト鎖を有する多孔質膜と、
    前記グラフト鎖が有する側鎖に固定されたイオン交換基と、
    を備える多孔質吸着膜。
  8. 前記イオン交換基がアニオン交換基であって、イソプロピルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、及びトリエチルアミンからなる群より選択される少なくとも1種類である、請求項7に記載の多孔質吸着膜。
  9. 前記イオン交換基がカチオン交換基であって、スルホン酸基、及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種類である、請求項7に記載の多孔質吸着膜。
  10. 精製対象タンパク質と、夾雑物と、を含む混合溶液から前記精製対象タンパク質を精製する方法であって、
    請求項7乃至9のいずれか1項に記載の多孔質吸着膜を用意することと、
    前記多孔質吸着膜に、前記混合液を通液して前記夾雑物を除去し、前記精製対象タンパク質を得ることと、
    を含むタンパク質の精製方法。
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