JPH0924258A - 疎水的選択吸着多孔膜 - Google Patents

疎水的選択吸着多孔膜

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JPH0924258A
JPH0924258A JP17730095A JP17730095A JPH0924258A JP H0924258 A JPH0924258 A JP H0924258A JP 17730095 A JP17730095 A JP 17730095A JP 17730095 A JP17730095 A JP 17730095A JP H0924258 A JPH0924258 A JP H0924258A
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JP
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protein
porous
porous membrane
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Noboru Kubota
昇 久保田
Kyoichi Saito
恭一 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン化オ
レフィンの共重合体、又はポリフッ化ビニリデンからな
る、実質的に3次元網目構造を有する多孔性基材膜の膜
孔表面に、多孔膜1グラム当たり0.1ミリモル以上の
中性ヒドロキシル基と、0.05ミリモル以上の下記式
(1)又は式(2)で表される官能基を有する側鎖が化
学的に結合されており、かつ破水圧が0.1メガパスカ
ル以下であり、平均孔径0.01〜5μm、空孔率20
〜90%である疎水的選択吸着多孔膜。 【効果】 従来のカラムクロマト法に比べて、低操作圧
力かつ高処理速度で操作でき、しかも高い回収率でタン
パク質を精製することができるので、製薬工業などのタ
ンパク質精製工程において有用である。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製薬工業等において、
有用な特定のタンパク質成分を疎水性相互作用等を利用
して選択的に吸着し、その後溶離精製するのに好適であ
る疎水的選択吸着多孔膜に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、製薬工業等において、特定のタン
パク質成分を吸着して精製/除去するためには、疎水性
相互作用クロマトグラフィー等の吸着クロマトグラフィ
ーが多用されている。疎水性相互作用クロマトグラフィ
ーは、一般に、アルキル基、フェニル基等の疎水性リガ
ンドを有する細かな(通常101 〜102 μmオーダ
ー)ゲルをカラムに詰めて、高塩濃度下でタンパク質を
ゲルに吸着させ、しかる後に塩濃度を下げて、ゲルとの
疎水性相互作用の弱い順に順次ゲルより溶出させて、タ
ンパク質を分離、精製する手法である。
【0003】一般に、このゲルの基材にはアガロース等
の親水性ゲルが使われる。しかしながら、これらクロマ
ト用ゲルは、(1)タンパク質を吸着するリガンドの大
部分はゲル内部に存在しているため、タンパク質のゲル
への吸着は、タンパク質のような大きな分子のゲル内部
への拡散が律速となる、(2)ゲルは軟質であるので、
高圧下で圧密化する、という2つの理由により、ゲルを
詰めたカラムに対しては低圧力、低流速でタンパク質含
有液の処理をせざるを得ず、低処理速度での処理を余儀
なくされている。処理速度が遅いことは、(イ)単位時
間当たりに多量の処理を行う場合には、膨大な量のゲル
を必要とし高コストとなり、(ロ)共存不純物により目
的のタンパク質が失活する可能性が高くなる等のデメリ
ットが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、疎水性相互
作用を利用した吸着分離法によって、高処理速度、かつ
低コストでタンパク質を精製することのできる多孔膜を
提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリオレフィ
ン、オレフィンとハロゲン化オレフィンの共重合体、又
はポリフッ化ビニリデンからなる、実質的に3次元網目
構造を有する多孔性基材膜の膜孔表面に、多孔膜1グラ
ム当たり0.1ミリモル以上の中性ヒドロキシル基と、
0.05ミリモル以上の下記式(1)又は(2)で表さ
れる官能基を有する側鎖が化学的に結合されており、か
つ破水圧が0.1メガパスカル以下であり、平均孔径
0.01〜5μm、空孔率20〜90%である疎水的選
択吸着多孔膜に関する。
【0006】
【化3】
【0007】
【化4】
【0008】(ここでRは、炭素数3以上のアルキル
基、フェニル基、アルキル化フェニル基を表す) なお、本明細書において、単に「多孔膜」と記したとき
は、それは本発明の「疎水的選択吸着多孔膜」を指す。
本発明に用いられる多孔性基材膜の材質は、ポリオレフ
ィン、オレフィンとハロゲン化オレフィンの共重合体、
又はポリフッ化ビニリデンから構成されていることが必
要である。これは、多孔膜の機械的強度の保持のために
必要である。ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン化
オレフィンの共重合体としては、例えばポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリブチレンなどのオレフィンの単独
重合体、またはそれらの2種以上の重合体混合物や、エ
チレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等の
オレフィンの2種以上の共重合体、さらには前記オレフ
ィンの1種または2種以上とテトラフルオロエチレン、
クロロトリフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン
との共重合体等が挙げられる。
【0009】基材膜の孔は、種々の成形加工手段によっ
て得られ、その形状は限定されるものではないが、延伸
法や、電子線照射後に化学処理するいわゆるエッチング
法により得られる直孔状貫通孔よりも、例えば特公昭4
0−957号公報、特公昭47−17460号公報、お
よび特公昭59−37292号公報に示された、ミクロ
相分離法や混合抽出法等により形成される3次元網目構
造からなる孔が好ましい。
【0010】基材線の形状、大きさは、目的とする多孔
膜の要求にあわせて、平膜状、チューブ状、中空糸膜状
の中から適当なものが選ばれるが、単位容積当たりの充
填膜面積が大きくとりやすい中空糸膜状が好適である。
本発明の多孔膜は、基材膜の膜孔表面に、中性ヒドロキ
シル基と、前記式(1)または(2)で表される官能基
を持つ側鎖が化学的に結合されている膜である。ここで
「化学的に結合」とは、物理的な吸着ではなくて、共有
結合で結合されていることを意味する。
【0011】中性ヒドロキシル基とは、脂肪族系炭化水
素に直接結合した水酸基を指す。中性ヒドロキシル基
は、被処理液を変性させることなく、多孔膜へのタンパ
ク質の非特異的吸着を抑制するのに必要である。このた
め、中性ヒドロキシル基は、多孔膜1グラム当たり0.
1ミリモル以上必要である。しかしながら、導入した中
性ヒドロキシル基の量が多すぎると孔が閉塞する危険性
があるため、中性ヒドロキシル基の量は多孔膜1グラム
当たり20ミリモルを越えないことが好ましい。
【0012】前記式(1)および(2)は、タンパク質
等を吸着する疎水性リガンドである官能基(R)が、そ
れぞれエーテル結合または2級アミノ基を介して側鎖に
結合していることを示す。Rは、(a):式(1)の様
式のみ、(b):式(2)の様式のみ、(c):式
(1)と(2)の両様式が混在したかたち、の3パター
ンのうちのいずれかで同一側鎖中に1個以上結合されて
いる。また、同一膜中に存在する側鎖には、上記(a)
〜(c)の3パターンの2つ以上が混在していてもかま
わない。Rは、アルキル基、フェニル基、アルキル化フ
ェニル基のうちから選ばれる。ここでアルキル基とは、
炭素数3以上の直鎖状または分岐状の炭化水素およびハ
ロゲン化炭化水素鎖を指す。炭素数2以下では目的とす
る充分な疎水性が発現されにくい。なお、これらRに含
まれる炭素数は、あまり多すぎるとタンパク質に対する
疎水性吸着力が強くなりすぎて、吸着したタンパク質の
溶離回収が困難になるため、炭素数の合計が20以下の
Rを疎水性官能基として用いることが好ましく、さらに
好ましくは4〜8である。
【0013】アルキル基の例としては、n−プロピル
基、iso−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル
基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル
基、n−オクチル基、n−オクタデシル基などがある。
フェニル基は、単核または多核のベンゼン核およびハロ
ゲン化ベンゼン核を指す。フェニル基の具体例として
は、
【0014】
【化5】
【0015】などがある。アルキル化フェニル基は、単
核または多核のベンゼン核の水素の1つ以上が、炭素数
1以上の直鎖状または分岐状の炭化水素鎖またはハロゲ
ン化炭化水素鎖に置換されている、単核または多核のベ
ンゼン核およびハロゲン化ベンゼン核を指す。アルキル
化フェニル基の具体例としては、
【0016】
【化6】
【0017】などがある。なお、同一側鎖中または同一
膜中に、2種類以上のRが存在してもかまわない。膜孔
表面に結合されているR基の量は、タンパク質との有効
な疎水結合を形成するために、多孔膜1グラム当たり
0.05ミリモル以上存在していることが必要である。
しかしながら、導入したR基の量が多すぎると孔が閉塞
する危険性があるため、R基の量は多孔膜1グラム当た
り10ミリモルを越えないことが好ましい。なお、ここ
での各々の基の結合量は、膜のかなりマクロ的な値のこ
とであり、膜の一部分、例えば膜表面の一部だけを対象
とした値のことではない。
【0018】破水圧とは、乾燥状態の膜に対して水圧を
徐々にかけていったときに、はじめて水が膜を透過しは
じめる水圧のことである。例えば中空糸膜の場合であれ
ば、乾燥中空糸膜の中空部に、水を圧力をかけずに満た
した後、中空糸膜の一端を封止し、他端より水圧をゼロ
からはじめて徐々にかけてゆき、はじめて膜の外表面に
水がにじみ出てくるときの水圧値を破水圧として測定で
きる。破水圧は膜孔のごく表面の部分の水とのなじみや
すさが反映される物性値であり、膜孔のごく表面部分の
親水性が高いほど低い値を示すと考えられる。本発明者
らは、膜が、膜孔に結合した側鎖に、膜1グラム当たり
0.1ミリモル以上の中性ヒドロキシル基と0.05ミ
リモル以上のR基を結合したうえでなおかつ破水圧が
0.1メガパスカル以下であることが、タンパク質の吸
着容量が多くかつタンパク質の回収率が高い、理想的な
選択吸着膜となるうえで必要であることを見出したもの
である。
【0019】本発明の多孔膜は、平均孔径が0.01〜
5μmの範囲にあることが、タンパク質の吸着および透
過速度の点で必要であり、好ましくは0.05〜1μm
の範囲である。平均孔径は、ASTM F316に記載
されている方法(エアーフロー法)に従って測定でき
る。空孔率は、透過速度と有効膜孔表面積の点からは大
きいほうが好ましく、機械的強度の点からは小さいほう
が好ましい。本発明においては、20〜90%の範囲で
あることが必要であり、50〜80%の範囲であるとさ
らに好ましい。空孔率は、孔内に水等の液体が満たされ
た状態の膜重量と乾燥膜重量との差から求められる。
【0020】本発明の多孔膜のつくりかたの一例として
は、ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン化オレフィ
ンの共重合体、又はポリフッ化ビニリデンからなる、多
孔性基材膜に電離性放射線を照射した後、エポキシ基を
含むビニルモノマーを膜孔表面にグラフト重合させ、そ
の後、このグラフト高分子鎖をよく膨潤させる溶液中
で、アルカリ性下にアルコール類またはフェノール類ま
たはモノアミン類と反応させ、さらに残存エポキシ基を
ジオール化する方法がある。
【0021】基材膜への電離性放射線の照射は、通常真
空中または不活性ガス中で行う。電離性放射線として
は、電子線またはγ線が好ましく用いられる。次いで、
基材膜へエポキシ基を含むビニルモノマーをグラフト重
合させる。エポキシ基を含むビニルモノマーとしては、
グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートな
どがある。グラフト重合は、気相中または液相中で行う
ことができる。その後、このグラフト高分子鎖をよく膨
潤させる溶液中で、アルカリ性下にアルコール類または
フェノール類またはモノアミン類と反応させる。アルコ
ール類およびフェノール類は、いずれも一般式HO−R
で表される化合物であり、モノアミン類は、一般式H2
N−Rで表される化合物である。ここでRは、前記式
(1)、(2)におけるRと同じ定義である。反応は、
グラフト重合によってエポキシ基を導入した膜を、アル
コール類またはフェノール類またはモノアミン類の溶液
(pHは通常7〜14の範囲)に浸漬し、通常、温度0
〜100℃で行う。反応時間によって疎水性官能基の導
入量を制御することができる。用いる反応溶液が、エポ
キシ基を含むビニルモノマーが反応してできたグラフト
高分子鎖をよく膨潤させるかどうかについては、以下に
述べる2つの方法のどちらかを用いて調べることができ
る。(1)エポキシ基を含むビニルモノマーをグラフト
重合した膜を、エポキシ基の反応がほぼ起こらない条件
下(例えば低温下)で反応液に浸漬し、浸漬することに
よる膜の長さの伸び率を測定する。伸び率が2%を越え
れば、よく膨潤させる反応溶液であると考えることがで
きる。(2)別途、グラフト重合に用いるモノマーから
なる重合体を合成し、このポリマー片を、エポキシ基の
反応がほぼ起こらない条件下(例えば低温下)で反応液
に浸漬し、浸漬することによるポリマー片の膨潤度を調
べる。膨潤度は、ポリマー片の乾燥重量と浸漬後の重量
の差より、ポリマー片単位乾燥重量当たりが吸収した反
応液の容積で表すことができる。ポリマー片は2〜3ミ
リ程度の大きさで測定できる。膨潤度が0.2ミリリッ
トル/グラムを越えるか、あるいはポリマー片が反応溶
液に溶解すれば、よく膨潤させる反応溶液であると考え
ることができる。
【0022】疎水性官能基の導入反応で残存したエポキ
シ基は、ジオール化する。ジオール化は、例えば、0.
5M濃度の希硫酸中に80℃で数10分〜数時間、ある
いは50℃で一晩浸漬することにより実施できる。各々
の官能基の導入量は、J.Chromatogr.,5
85(1991)p.45−51に記載されている方法
と同様にして、基の導入前後の乾燥膜重量の差から求め
ることができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。 <基材膜製造例>微粉ケイ酸(ニプシルVN3LP)2
3.1重量部、ジオクチルフタレート(以下、DOPと
いう)55.4重量部、ポリエチレン樹脂粉末(旭化成
SH−800グレード)21.5重量部の組成物を予備
混合した後、30ミリ2軸押出し機内で中空糸状に押し
出した後、1,1,1−トリクロロエタン中に1時間浸
漬してDOPを抽出した。さらに温度60℃のNaOH
40%水溶液中に20分間浸漬して微粉ケイ酸を抽出し
た後、水洗、乾燥することにより、内径0.7mm、外
径1.2mmの中空糸状の多孔性基材膜を得た。
【0024】
【実施例1】基材膜製造例で得た基材膜に、電子加速器
(加速電圧1.5MeV、電子線電流1mA)を用いて
窒素雰囲気下で電子線を200kGy照射した後、グリ
シジルメタクリレート(以下、GMAという)の10重
量%メタノール溶液に40℃で約10分間浸漬した後、
ジメチルホルムアミドおよびメタノールで洗浄した。こ
うして、下記式で定義されるグラフト率が150%のG
MAグラフト膜を得た。
【0025】 グラフト率〔%〕=100(W−Wo)/Wo Wo:基材膜の重量〔g〕 W :グラフト重合後の膜重量〔g〕 このGMAグラフト膜を、NaOHを加えることにより
pHを10に調整したフェノールの9.4重量%水溶液
に80℃で2時間浸漬した。次いでよく水洗した後、
0.5M濃度の希硫酸中に80℃で2時間浸漬し、よく
水洗した。
【0026】得られた膜は、膜1グラム当たり中性ヒド
ロキシル基を6.9ミリモル、下記式に相当する官能基
を0.6ミリモル含み、破水圧0.02メガパスカル、
平均孔径0.2μm、空孔率54%であった。
【0027】
【化7】
【0028】なお、上記反応液(NaOHを加えること
によりpHを10に調整したフェノールの9.4重量%
水溶液)に前記GMAグラフト膜を25℃にて浸漬した
ところ、膜の長さが伸び、約60分後に伸びは平衡に達
した。平衡に達したときの、下記式で定義される伸び率
は11%であった。また、60分の浸漬前後での膜の乾
燥重量に差はなく、60分の浸漬ではグラフトされてい
るPoly(GMA)高分子鎖は化学反応を受けていな
いことが確認された。
【0029】 伸び率〔%〕=100(L−Lo)/Lo Lo:浸漬前の中空糸長さ〔cm〕 L :浸漬液より取り出した直後の中空糸長さ〔cm〕 さらに、上記反応液(NaOHを加えることによりpH
を10に調整したフェノールの9.4重量%水溶液)
に、別途合成(ラジカル重合)したGMAのポリマー片
(2mm角)を25℃にて浸漬したところ、ポリマー片
は著しく膨潤した。下記式で定義される膨潤度は0.5
ミリリットル/グラムであった。
【0030】 膨潤度〔%〕=(Wa−Wb)/Wb/ρ Wb:ポリマー片の乾燥重量〔g〕 Wa:浸漬後のポリマー片重量〔g〕 ρ :浸漬液の比重〔g/mL〕 得られた多孔膜に対して、以下に示す順にて各液を中空
糸の内表面側から外表面側へ全ろ過方式にて透過させ
た。
【0031】吸着操作液:牛血清アルブミン(Sig
ma社、A−7030;モデルタンパク質として使用。
以下、BSAという)をBuffer+2M(NH4
2SO4 溶液に200ppmで溶解させた液 洗浄操作液:Buffer+2M(NH4 2 SO4
溶液 溶出操作液:Buffer このように高硫安濃度下でタンパク質を吸着させ、硫安
濃度を下げて吸着したタンパク質を溶出して回収すると
いう手法は、現在、ゲルビーズを用いて広く行われてい
る疎水性相互作用クロマトグラフィーの一般的手法であ
る。Bufferとしては、リン酸Buffer(0.
07M、pH7.4)を用いた。膜は単糸を有効長15
cmで用いた。透過流速は、1mL/min(操作圧力
は0.02MPa)で行った。温度は25℃で行った。
吸着操作は、吸着が平衡に達するまで(即ち、透過液の
BSA濃度が200ppmに達するまで)行った。BS
A濃度は280nmの吸光度から求めた。
【0032】透過液量と透過液中のBSA濃度との関係
(吸着−溶出曲線)を図1に示す。吸着操作で吸着した
BSA量をA〔mg〕、洗浄操作で溶出したBSA量を
C〔mg〕、溶出操作で溶出したBSA量をE〔m
g〕、膜の乾燥重量をH〔g〕とすること、 平衡吸着容量〔mg/g〕=(A−C)/H 回収率〔%〕=100E/(A−C) と定義できる。本実施例の多孔膜では、平衡吸着容量3
0mg/g、回収率80%であった。
【0033】また、本実施例では、液の処理速度(処理
機能体が自身の容積の何倍の容積の被処理液を単位時間
当たりに処理したかを示す、空間速度:SV〔L/L/
hr〕で表す)のSVの値が340という、通常のクロ
マト用ゲルビーズ(SVは通常20以下で操作する)の
数10倍もの大きな処理速度でタンパク質溶液を処理し
たにもかかわらず、操作圧力が0.02MPaという低
い値で済み、かつ吸着曲線がシャープであり、吸着容
量、回収率ともに良好であった。吸着曲線のシャープさ
は、(破過点までの吸着容量)/(平衡吸着容量)でみ
ることができ、本実施例の多孔膜では0.5であった。
【0034】以上より、本発明の多孔膜は高速度でのタ
ンパク質溶液の処理が可能であることがわかる。
【0035】
【比較例】フェニル基導入反応のための溶液のpH値
を、10から12に変えた以外は実施例と同様にして、
中性ヒドロキシル基とフェニル基を持つ中空糸膜を作製
した。得られた膜の中性ヒドロキシル基量、フェニル基
量、平均孔径、空孔率の値は実施例で得た本発明の多孔
膜と同じであったが、破水圧は0.12メガパスカルで
あった。なお、実施例と同様にしてフェニル基導入反応
のための溶液に対するGMAグラフト膜の伸び率および
GMAのポリマー片の膨潤度を測定したところ、それぞ
れ1.5%、0.1ミリリットル/グラムであった。
【0036】得られた膜に対して、実施例と同様にして
BSAの平衡吸着容量および回収率を測定したところ、
平衡吸着容量は30mg/gと実施例で得た膜と同じで
あったが、回収率は55%であった。
【0037】
【発明の効果】本発明の多孔膜は、疎水性相互作用を利
用し、従来のカラムクロマト法に比べて低操作圧力かつ
高処理速度で操作でき、しかも高い回収率でタンパク質
を精製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における、透過液量と透過液中のBS
A濃度との関係。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン
    化オレフィンの共重合体、又はポリフッ化ビニリデンか
    らなる、実質的に3次元網目構造を有する多孔性基材膜
    の膜孔表面に、多孔膜1グラム当たり0.1ミリモル以
    上の中性ヒドロキシル基と、0.05ミリモル以上の下
    記式(1)又は式(2)で表される官能基を有する側鎖
    が化学的に結合されており、かつ破水圧が0.1メガパ
    スカル以下であり、平均孔径0.01〜5μm、空孔率
    20〜90%である疎水的選択吸着多孔膜。 【化1】 【化2】 (ここでRは、炭素数3以上のアルキル基、フェニル
    基、アルキル化フェニル基を表す。)
JP17730095A 1995-07-13 1995-07-13 疎水的選択吸着多孔膜 Withdrawn JPH0924258A (ja)

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