JPH08141392A - 選択吸着性多孔膜とその製造方法 - Google Patents

選択吸着性多孔膜とその製造方法

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JPH08141392A
JPH08141392A JP28786594A JP28786594A JPH08141392A JP H08141392 A JPH08141392 A JP H08141392A JP 28786594 A JP28786594 A JP 28786594A JP 28786594 A JP28786594 A JP 28786594A JP H08141392 A JPH08141392 A JP H08141392A
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Japan
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group
membrane
porous membrane
olefin
porous
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JP28786594A
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Kyoichi Saito
恭一 斎藤
Noboru Kubota
昇 久保田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製薬工業等のタンパク質精製工程において、
高効率でタンパク質を多量に処理することのできる選択
吸着性多孔膜を提供する。 【構成】 多孔膜の膜孔表面に中性OH基と疎水性基の
両方を化学結合により結合させた膜及び放射線グラフト
重合法を利用したその製造方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】製薬工業等において有用な特定の
タンパク質成分を選択的に吸着し、その後溶離精製する
のに好適である選択吸着性多孔膜とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在、製薬工業等において特定のタンパ
ク質成分を吸着精製/除去するためには、疎水性相互作
用クロマトグラフィー等の吸着クロマトグラフィーが多
用されている。疎水性相互作用クロマトグラフィーは一
般に、アルキル基、フェニル基等の疎水性リガンドを有
する細かな(通常101 −102 μmオーダー)ゲルを
カラムに詰めて、高塩濃度下でタンパク質をゲルに吸着
させ、しかる後に塩濃度を下げてゲルとの疎水性相互作
用の弱い順に順次ゲルより溶出させて、タンパクを分
離、精製する手法である。
【0003】一般にこのゲルの基材にはアガロ−ス等の
親水性ゲルが使われる。しかしながら、これらクロマト
用ゲルは、(1)タンパク質を吸着するリガンドの大部
分はゲル内部に存在しているため、タンパク質のゲルへ
の吸着は、タンパク質のような大きな分子のゲル内部へ
の拡散が律速となる、(2)ゲルは軟質であるので、高
圧下で圧密化する、の2つの理由により、ゲルを詰めた
カラムに対しては低圧化、低流速でタンパク質含有液の
処理をせざるを得ず、低処理速度での処理を余儀無くさ
れている。処理速度が遅いことは、(イ)単位時間当た
りに多量の処理を行う場合には、膨大な量のゲルを必要
とし高コストとなる、(ロ)共存不純物により目的のタ
ンパク質が失活する可能性が高くなる等のデメリットが
多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、疎水性相互
作用を利用した吸着分離法によって、高処理速度、かつ
低コストでタンパク質を精製することのできる多孔質お
よびその製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子は、ポリオ
レフィン、オレフィンとハロゲン化オレフィンの共重合
体、又はポリフッ化ビニリデンからなる、実質的に3次
元網目構造を有する多孔性基材膜の膜孔表面に、多孔膜
1グラム当り0.1ミリモル以上の中性ヒドロキシル基
と0.05ミリモル以上の下記式(1)又は式(2)で
表される官能基を有する側鎖が化学的に結合されてい
る、平均孔径0.01〜5μm、空孔率20〜90%で
ある選択吸着性多孔膜、及び放射線グラフト重合法とそ
れに続くグラフト重合鎖への官能基導入反応による選択
吸着性多孔膜の製造方法である。
【0006】
【化3】
【0007】
【化4】
【0008】(ここでRは、炭素数3以上のアルキル
基、フェニル基、アルキル化フェニル基を表す。)本発
明に用いられる多孔性基材膜の材質は、ポリオレフィ
ン、オレフィンとハロゲン化オレフィンの共重合体、又
はポリフッ化ビニリデンから構成されていることが必要
である。これは、多孔膜の機械的強度の保持のために必
要である。ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン化オ
レフィンとの共重合体としては、例えばポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリブチレンなどのオレフィンの単独
重合体またはそれらの2種以上の重合体混合物や、エチ
レン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等のオ
レフィンの2種以上の共重合体、さらには前記オレフィ
ンの1種または2種以上とテトラフルオロエチレン、ク
ロロトリフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィンと
の共重合体等が挙げられる、基材膜の孔は、種々の成形
加工手段によって得られ、その形状、大きさは限定され
るものではないが、延伸法や電子線照射後に化学処理す
るいわゆるエッチング法等により得られる直孔貫通孔よ
りも、例えば特公昭40−957号公報、特公昭47−
17460号公報、および特公昭59−37292公報
に示されたミクロ相分離法や混合抽出法等により形成さ
れる三次元網目構造からなる孔が好ましい。
【0009】基材膜の形状、大きさは、目的とする選択
吸着性多孔膜の要求にあわせて、平膜状、チューブ状、
中空糸膜状の中から適当なものが選ばれるが、単位容積
当たりの充填膜面積が大きくとりやすい、中空糸膜状が
好適である。本発明の選択吸着性多孔膜は、基材膜の膜
孔表面に、中性ヒドロキシル基と、上記式(1)、
(2)で表される官能基を持つ側鎖が化学的に結合され
ている多孔膜である。ここで「膜孔表面」とは、膜の表
面及び膜内部の孔表面のことを言う。また、「化学的に
結合」とは、物理的な吸着ではなくて、共有結合で結合
されていることを意味する。
【0010】中性ヒドロキシル基とは、脂肪族系炭化水
素に直接結合した水酸基を差し、ベンゼン核に直接結合
したものを除く。中性ヒドロキシル基は、被処理液を変
成させることなく、多孔膜へのタンパク質の非特異的吸
着を抑制するのに必要である。このため、中性ヒドロキ
シル基は、多孔膜1g当たり0.1ミリモル以上必要で
ある。しかしながら、孔を閉塞する危険のない中性ヒド
ロキシル基量は、多孔膜1g当たり0.1〜20ミリモ
ルである。
【0011】上記式(1)、(2)は、疎水性リガンド
である官能基(R)がそれぞれエーテル結合または2級
アミノ基を介して側鎖に結合していることを示す。R
は、式(1)、(2)がそれぞれ単独で、あるいは
(1)、(2)の双方が同一鎖内又は別鎖内に存在する
形で側鎖に結合している。Rはアルキル基、フェニル
基、アルキルフェニル基のうちの1つまたは2つ以上か
ら選ばれる。ここでアルキル基とは、炭素数3以上の直
鎖状または分枝状の炭化水素鎖およびハロゲン化炭化水
素鎖を指す。炭素数2以下では目的とする充分な疎水性
が発現されにくい。なお、これらRの含まれる炭素数
は、あまり多すぎるとタンパク質に対する疎水性吸着力
が強くなりすぎて、吸着したタンパク質の溶離回収が困
難になるため、炭素数の合計が20以下のRを疎水性官
能基として用いることが好ましく、さらに好ましくは4
〜8である。
【0012】アルキル基の例としては、n−プロピル
基、iso−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル
基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル
基、n−オクチル基、n−オクタデシル基などがある。
フェニル基は、単核または多核のベンゼン核およびハロ
ゲン化ベンゼン核を指す。フェニル基の具体例として
は、
【0013】
【化5】
【0014】などがある。アルキル化フェニル基は、単
核または多核のベンゼン核の水素の1つ以上が炭素数1
以上の直鎖状または分枝状の炭化水素鎖またはハロゲン
化炭化水素鎖が置換されている単核またはベンゼン核お
よびハロゲン化ベンゼン核を指す。アルキル化フェニル
基の具体例としては、
【0015】
【化6】
【0016】等がある。膜孔表面に結合されているRの
量は、タンパク質との有効な疎水性結合を形勢するため
に多孔膜あたり1g当たり0.05ミリモル以上存在し
ていることが必要である。なお、Rの結合量が多すぎて
も多孔質のタンパク質に対する吸着力が強くなりすぎ
て、吸着したタンパク質の溶離回収が困難になるため、
多孔膜1g当たり10ミリモル以下であることが好まし
い。さらに好ましくは、0.1〜3ミリモルである。こ
こで各々の基の結合量は、膜のかなりマクロ的な重量を
基準にした値のことであり、例えば膜表面の一部だけを
対象とした値のことではない。また、これらの基の結合
量は、J.Chromatogr,585(1991)
45−51に記載されている方法と同様にして、基の付
加前後の膜の乾燥重量の差から求めることができる。
【0017】本発明の多孔膜は、平均孔径が0.01〜
5μmの範囲にあることが、タンパクの吸着および透過
速度の点で必要であり、好ましくは0.05〜1μmの
範囲である。ここで平均孔径とは、ASTM F316
に記載されている方法(エアーフロ法)による値であ
る。空孔率は、透過速度と有効膜孔表面積の点からは大
きい方が好ましく、機械的強度の点からは小さいほうが
好ましい。本発明においては20〜90%の範囲が必要
であり、50〜80%の範囲であると好ましい。ここで
空孔率とは、孔内に水等の液体が満たされた状態の膜重
量と乾燥重量との差から求められる。
【0018】本発明の多孔膜は種々の方法で製造するこ
とができるが、反応の制御等の点で有利な方法の1つ
は、ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン化オレフィ
ンの共重合体、又はポリフッ化ビニリデンからなる多孔
性基材膜の膜孔表面に電離性放射線を照射したのち、エ
ポキシ基を含むビニルモノマーをグラフト重合させ、そ
の後アルカリ性下でアルコール類またはフェノール類ま
たはモノアミンと反応させ、さらに残存エポキシ基をジ
オール化することを特徴とする方法である。
【0019】基材膜への電離性放射線を照射は、通常真
空中または不活性ガス中で行う。電離性放射線として
は、電子線またはγ線が好ましく用いられる。次いで、
基材膜へエポキシ基を含むビニルモノマーをグラフト重
合させる。エポキシ基を含むビニルモノマーとしては、
グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートな
どがある。グラフト重合は、気相中または液相中で行う
ことができる。その後、エポキシ基をアルカリ性下でア
ルコール類またはフェノール類またはモノアミン類と反
応させる。アルコール類およびフェノール類は、いずれ
も一般式HO−Rで表される化合物であり、モノアミン
類は、一般式H2 N−Rで表される化合物である。ここ
でRは、式(1)、(2)におけるRと同じ定義であ
る。
【0020】また、アルコール類と反応させればエーテ
ル結合を介してアルキル基が導入でき、フェノール類と
反応させればエーテル結合を介してフェニル基(アルキ
ル化フェニル基を含む)が導入でき、モノアミン類と反
応させれば2級アミノ基を介して疎水性官能基が導入で
きる。反応は、グラフト重合によってエポキシ基を導入
した膜を、アルコール類、又はフェノール類の溶液、あ
るいはモノアミン類そのもの又はその溶液に浸漬し、通
常pH7〜14、温度0〜100℃にて行う。なお、フ
ェノール類(上記一般式HO−Rで表せる化合物のう
ち、OH基が直接ベンゼン核に結合している化合物)の
反応は、pH7〜10の範囲で行なうことがタンパク質
の回収率を高くする点から特に好ましい。反応時間によ
って疎水性官能基の導入量を制御することが可能であ
る。この反応で残存したエポキシ基は、ジオール化す
る。ジオール化は、例えば0.5M程度の希硫酸中に8
0℃で数10分〜数時間あるいは50℃で1晩浸漬する
ことによりジオール化することができる。反応の形態を
図1に示す。
【0021】本発明の多孔膜のもう1つの有利な製造方
法は、ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン化オレフ
ィンの共重合体、又はポリフッ化ビニリデンからなる多
孔性基材膜の膜孔表面に電離性放射線を照射したのち、
中性ヒドロキシル基を含むグラフト鎖を導入し、その後
グリシジルアルキルエーテルまたはグリシジルフェニル
エーテルまたはグリシジルアルキル化フェニルエーテル
をルイス酸触媒下に反応させることを特徴とする方法で
ある。
【0022】基材膜への電離性放射線の照射は、通常真
空中または不活性ガス中で行う。電離性放射線として
は、電子線またはγ線が好ましく用いられる。中性ヒド
ロキシル基を含むグラフト鎖の導入方法としては、
(a)グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレ
ートなどのエポキシ基を有するビニルモノマーをグラフ
ト重合したのち、エポキシ基を希硫酸中等で反応させて
ジオール化する方法、(b)酢酸ビニル等のビニルアル
コールのエステル化合物をグラフト重合したのち、アル
カリ液中でケン化反応を行う方法、(c)ヒドロキシル
エチルメタクリレート、ヒドロキシルエチルアクリレー
ト等の中性ヒドロキシル基を有するビニルモノマーをグ
ラフト重合する方法等がある。グラフト重合は、気相、
液相どちらでもできる。
【0023】次いで膜に導入した中性ヒドロキシル基
を、下記式で表されるグリシジルエーテルと反応させ
る。
【0024】
【化7】
【0025】ここでRは式(1)、(2)と同じ定義で
ある。グリシジルエーテルの例としては、グリシジル−
n−ブチルエーテル、グリシジルフェニルエーテルなど
がある。この反応により、エーテル結合を介して疎水性
官能基を導入できる。反応は、3フッ化ホウ素等のルイ
ス酸触媒下、溶媒として1,4−ジオキサン、1,2−
ジクロロエタン等を用いて、室温付近で反応させること
ができる。疎水性官能基を含むグリシジルエーテルの濃
度で行える。反応の形態を図2に示す。
【0026】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明する。
【0027】
【実施例】
〔基材膜製造例〕微粉ケイ酸(ニプシルVN3LP)2
3.1重量部、ジオクチルフタレート(DOP)55.
4重量部、ポリエチレン樹脂粉末(旭化成SH−800
グレード)21.5重量部の組成物を予備混合した後、
30ミリ2軸押出し機内で内径0.68mm、厚み0.
27mmの中空糸状に押し出した後、1,1,1−トリ
クロロエタン中に1時間浸漬してDOPを抽出した。さ
らに温度60℃のNaOH40%水溶液中に訳20分間
浸漬して微粉ケイ酸を抽出した後、水洗、乾燥すること
により、多孔性基材膜を得た。 〔グラフト率の定義〕
【0028】
【数1】
【0029】Wo:基材の重量 W :グラフト重合後の重量
【0030】
【実施例1】基材膜製造例で得た基材膜に、電子加速器
(加速電圧1.5MeV、電子線電流1mA)を用いて
窒素雰囲気下で電子線を200kGy照射した後、グリ
シジルメタクリレート(GMA)の10重量%メタノー
ル溶液に40℃で約10分間浸漬した後、ジメチルホル
ムアミド(DMF)およびメタノールで洗浄した。上記
式で定義されるグラフト率が150%のGMAグラフト
膜を得た。
【0031】この膜を0.5M希硫酸中に80℃で30
分および120分浸漬した後、水洗し、乾燥させた。こ
の希硫酸処理前後での膜の乾燥重量を比較したところ、
30分浸漬、120分浸漬のいずれかの場合も膜に導入
されたエポキシ基は全て加水分解してジオール化されて
いることがわかった。前記のGMAグラフト膜に、Na
OHを加えてpHを9に調整したフェノールの9.4重
量%水溶液に80℃で15時間浸漬した。次いでよく水
洗したのち、0.5M希硫酸中に80℃で2時間浸漬
し、よく水洗した。
【0032】得られた膜は、膜1g当たり中性ヒドロキ
シル基を5.7ミリモル、下記式に相当する官能基を
1.3ミリモル含み、平均孔径0.2μm、空孔率67
%であった。
【0033】
【化8】
【0034】こうして得られた膜に対して、以下に示す
順にて各液を中空糸の内表面側から外表面へ全濾過方式
にて透過させた。このように高硫安濃度下でタンパク質
を吸着させ、硫安濃度を下げて吸着したタンパク質を溶
離回収するという手順は、現在ゲルを用いて広く行われ
ている疎水性相互作用クロマトグラフィーの一般的手順
と同じである。
【0035】吸着液:ウシ血清アルブミン(BSA)
(SIGMA社、InitialFractionat
ion by Heat Shock,A−7030)
をBuffer+2M(NH4 2 SO4 溶液に200
ppmで溶解させた液 洗浄液:Buffer+2M(NH4 2 SO4 溶液 溶離液:Buffer溶液 Bufferとしては、リン酸Buffer(0.07
M、pH7.4)を用いた。膜は単糸を有効長14.5
cmで用いた。透過流速は、1ml/min(圧力は約
0.2kg/cm2 )で行った。温度は25℃で行っ
た。
【0036】透過液量と透過液中のBSA濃度との関係
(BSAに対する吸着−溶離曲線)を図3に示す。ま
た、BSAの平衡吸着量と回収率を表1に示す。この実
験では、液の処理速度(処理機能体が自身の容積の何倍
の容積の被処理液を単位時間当たりに処理したかを示
す、空間速度:SV〔l/l・hr〕で通常表す)SV
が340という、通常のクロマトゲル(SVは通常20
以下で操作)の数10倍もの大きな処理速度で、タンパ
ク質含有液を処理したにもかかわらず、吸着曲線がシャ
ープであり、平衡吸着量、回収率ともに良好であり、本
発明による膜の優秀さを示している。なお、吸着曲線の
シャープさは(破過点までの吸着量)/(平衡吸着量)
の比でみることができ、この比の値が大きいほど吸着曲
線は、シャープであると言える。本実施例では、この比
の値は0.63であった。
【0037】また、得られた膜に対して純水を5kg/
cm2 の圧力にて30分間透過したところ、膜は破壊さ
れることはなく、また、透過速度も変化しなかった。こ
れより、本発明の膜は、通常のクロマトゲル(通常3k
g/cm2 以上での操作は圧密化を引き起こすため難し
い)に比べて、著しく機械的強度が向上していることが
わかる。
【0038】
【実施例2】実施例1で得られたGMAグラフト重合膜
をNaOHを加えてpH13に調整したアニリンの3.
0重量%水溶液に30℃で5時間浸漬した。次いでよく
水洗した後、0.5M希硫酸中に80℃で2時間浸漬
し、よく水洗した。得られた膜は、膜1g当たり中性ヒ
ドロキシル基を6.8ミリモル、下記式に相当する官能
基を0.7ミリモル含み、平均孔径0.2μm、空孔率
67%であった。
【0039】
【化9】
【0040】こうして得られた膜に対して、実施例1と
同様にしてBSAの吸着−溶離回収実験を行った。平衡
吸着量と回収率を表1に示す。
【0041】
【実施例3】実施例1で得られたGMAグラフト重合膜
を7.3重量%のブチルアミン水溶液(pH13)に3
0℃で1時間浸漬した。次いでよく水洗した後、0.5
M希硫酸中に80℃で2時間浸漬し、よく水洗した。得
られた膜は、膜1g当たり中性ヒドロキシル基を5.7
ミリモル、下記式に相当する官能基を1.3ミリモル含
み、平均孔径0.2μm、空孔率67%であった。
【0042】
【化10】
【0043】こうして得られた膜に対して、実施例1と
同様にしてBSAの吸着−溶離回収実験を行った。平衡
吸着量と回収率を表1に示す。
【0044】
【実施例4】実施例1で得られたGMAグラフト重合膜
を、0.5M希硫酸中に80℃で2時間浸漬してジオー
ル化を行った。次いでグリシジル−n−ブチルエーテル
2.6重量%、3フッ化ホウ素エーテル錯塩1重量%を
含む1,4−ジオキサン溶液中に30℃で1時間浸漬
し、1,4−ジオキサン溶液で洗浄した。得られた膜
は、膜1g当たり中性ヒドロキシル基を7.0ミリモ
ル、下記式に相当する官能基を0.8ミリモル含み、平
均孔径0.2μm、空孔率67%であった。
【0045】
【化11】
【0046】こうして得られた膜に対して、実施例1と
同様にしてBSAの吸着−溶離回収実験を行った。平衡
吸着量と回収率を表1に示す。
【0047】
【実施例5】基材膜製造で得られた基材膜に、電子加速
器(加速電圧1.5MeV,電子線電流1mA)を用い
て窒素雰囲気下で電子線を200kGy照射した後、酢
酸ビニルを気相でグラフト重合した。ついで膜を水/エ
タノール/KOH=5/5/3(重量比)からなる溶液
中に60℃にて浸漬して、基材膜へグラフト重合された
ポリ酢酸ビニルのケン化を行った。膜の赤外線吸収スペ
クトルにおける1730cm-1付近のエステル基に基づ
く吸収の消失により、ケン化が完全に進行してポリ酢酸
ビニルがポリビニルアルコールに変換されていることを
確認した。ポリビニルアルコールのグラフト率は35%
であった。次いでグリシジル−n−ブチルエーテル2.
0重量%、3フッ化ホウ素エーテル錯塩1重量%を含む
1,4−ジオキサン溶液中に30℃で1時間浸漬し、
1,4−ジオキサン溶液で洗浄した。得られた膜は、膜
1g当たり中性ヒドロキシル基を5.3ミリモル、下記
式に相当する官能基を0.8ミリモル含み、平均孔径
0.2μm、空孔率67%であった。
【0048】
【化12】
【0049】こうして得られた膜に対して、実施例1と
同様にしてBSAの吸着−溶離回収実験を行った。平衡
吸着量と回収率を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】多量のタンパク質であっても、膜の強度
や高圧下でのゲルの圧密化を起こすことなく、従来のク
ロマトグラフ法に比べ、数十倍の処理速度を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膜の一つの製造方法を示す概念図。
【図2】本発明の膜の一つの製造方法を示す概念図。
【図3】本発明の実施例1における透過液量と透過液中
のBSA濃度との関係を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン
    化オレフィンの共重合体、又はポリフッ化ビニリデンか
    らなる、実質的に3次元網目構造を有する多孔性基材膜
    の膜孔表面に、多孔膜1グラム当り0.1ミリモル以上
    の中性ヒドロキシル基と0.05ミリモル以上の下記式
    (1)又は式(2)で表される官能基を有する側鎖が化
    学的に結合されている、平均孔径0.01〜5μm、空
    孔率20〜90%である選択吸着性多孔膜。 【化1】 【化2】 (ここでRは、炭素数3以上のアルキル基、フェニル
    基、アルキル化フェニル基を表す。)
  2. 【請求項2】 ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン
    化オレフィンの共重合体、又はポリフッ化ビニリデンか
    らなる、実質的に3次元網目構造を有する多孔性基材膜
    に、電離性放射線を照射したのち、エポキシ基を有する
    ビニルモノマーをグラフト重合させ、その後アルカリ性
    下でアルコール類又はフェノール類又はモノアミン類と
    反応させ、さらに残存エポキシ基をジオール化すること
    を特徴とする、請求項1記載の選択吸着性多孔膜の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン
    化オレフィンの共重合体、又はポリフッ化ビニリデンか
    らなる、実質的に3次元網目構造を有する多孔性基材膜
    に、電離性放射線を照射したのち、中性ヒドロキシル基
    を含むグラフト鎖を導入し、その後グリシジルアルキル
    エーテルまたはグリシジルフェニルエーテルまたはグリ
    シジルアルキル化フェニルエーテルをルイス酸触媒下に
    反応させることを特徴とする、請求項1記載の選択吸着
    性多孔膜の製造方法。
JP28786594A 1994-11-22 1994-11-22 選択吸着性多孔膜とその製造方法 Withdrawn JPH08141392A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010158624A (ja) * 2009-01-08 2010-07-22 Asahi Kasei Chemicals Corp 多孔質吸着膜、及び当該多孔質吸着膜を用いたたんぱく質の精製方法
JP2015058383A (ja) * 2013-09-18 2015-03-30 日立化成テクノサービス株式会社 吸着材

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JP2010158624A (ja) * 2009-01-08 2010-07-22 Asahi Kasei Chemicals Corp 多孔質吸着膜、及び当該多孔質吸着膜を用いたたんぱく質の精製方法
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