本発明は、剛性のある四角状の板状物の面方向を水平方向として、該板状物を撓ませた状態で保持し、且つ、該板状物を載せた状態で複数重ねて搬送あるいは保管に用いられる、搬送用または保管用のトレイに関し、特に、自重により撓む、平面型ディスプレイパ
ネル用の板状の各種材料(例えば、ガラスやプラスチックなど)ないし部材、あるいは、金属、レアメタル、シリコンなどの板状物や、それらに処理を施した板状の処理部材の、搬送、保管に適したトレイに関するものであり、その表面を損傷したり汚したりすることなく、効率良く輸送及び保管することが可能な基板用トレイに用いる基板保持部材を提供することを目的とする。
本発明の基板保持部材は、以下の各態様に記載の手段により上記の課題を解決するものである。
本発明の第1の態様は、四角形状で剛性のある板状物からなる基板の面方向を水平方向として、前記基板を、トレイ枠部の枠内側領域において、前記基板をその下側から保持する前記枠部に支持された基板支持部を備えた基板用トレイにおいて、前記基板支持部に固定され、前記基板を保持する基板保持部材であって、前記基板保持部材は、前記基板支持部下面より下側に突出して固定され、前記基板を載せた状態で、前記トレイを複数重ねた状態で1段下に支持された基板に上下方向の基板振動が発生した時のみ該基板と接触する面を有する振動制御部からなり、前記振動制御部は、前記基板支持部の下面の形状に沿って固定され、該基板保持部材が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記振動制御部は、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部側からトレイ内側へ向かって、肉厚部、厚さ変化部、肉薄部からなることを特徴とする基板保持部材であって、
さらに、前記基板保持部材が、前記基板の水平方向の移動を規制する突起部を、前記基板保持部材の前記振動制御部の前記肉厚部の下側に有することを特徴とする。
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に記載の基板保持部材であって、前記肉厚部は、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持面に沿って形成され、均一な厚みを有することを特徴とする。
本発明の第3の態様は、前記第1の態様に記載の基板保持部材であって、前記肉厚部は、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部側からトレイ内側へ向かって、厚さが薄くなっていくことを特徴とする。
本発明の第4の態様は、前記第1ないし第3の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板支持部に固定された前記基板保持部材が、前記基板支持部上面より上側に突出して基板を上側に支持する基板保持部を、さらに有することを特徴とする。
本発明の第5の態様は、前記第4の態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材の前記基板保持部は、該基板保持部材を固定する前記基板支持部を支持する枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持部は、前記基板支持部の上面の形状に沿って固定され、平坦な基板支持面を有していることを特徴とする。
本発明の第6の態様は、前記第5態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材の前記基板保持部は、該基板保持部材を固定する前記基板支持部を支持する枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、端部の面取り部以外の厚さが均一であることを特徴とする。
本発明の第7の態様は、四角形状で剛性のある板状物からなる基板の面方向を水平方向として、前記基板を、トレイ枠部の枠内側領域において、前記基板をその下側から保持する前記枠部に支持された基板支持部を備えた基板用トレイにおいて、前記基板支持部に固定され、前記基板を保持する基板保持部材であって、前記基板保持部材は、前記基板支持部上面より上側に突出して固定され、前記基板を上側に支持する基板保持部と、前記基板支持部下面より下側に突出して固定され、前記基板を載せた状態で、前記トレイを複数重ねた状態で1段下に支持された基板に上下方向の基板振動が発生した時のみ該基板と接触する面を有する振動制御部とからなり、前記基板保持部は、該基板保持部が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板支持部の上面の形状に沿って固定され、前記振動制御部は、該振動制御部が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板支持部の下面の形状に沿って固定され、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部側からトレイ内側へ向かって、肉厚部、厚さ変化部、肉薄部からなることを特徴とする基板保持部材であって、さらに、前記基板保持部材が、前記基板の水平方向の移動を規制する突起部を、前記基板保持部材の前記基板保持部の上側に有することを特徴とする。
本発明の第8の態様は、前記第7の態様に記載の基板保持部材であって、前記肉厚部は、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持面に沿って形成され、均一な厚みを有することを特徴とする基板保持部材。
本発明の第9の態様は、前記第7の態様に記載の基板保持部材であって、前記肉厚部は、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部側からトレイ内側へ向かって、厚さが薄くなっていくことを特徴とする。
本発明の第10の態様は、前記第7ないし第9いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材の前記基板保持部は、該基板保持部材を固定する前記基板支持部を支持する枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持部は、前記基板支持部の上面の形状に沿って固定され、平坦な基板支持面を有していることを特徴とする。
本発明の第11の態様は、前記第7ないし第10の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材の前記基板保持部は、該基板保持部材を固定する前記基板支持部を支持する枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、端部の面取り部以外の厚さが均一であることを特徴とする。
本発明の第12の態様は、前記第1ないし第11の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材が有する前記基板の水平方向の移動を規制する突起部が、前記基板の端面のみと接することを特徴とする。
本発明の第13の態様は、前記第1ないし第12の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材が有する前記基板の水平方向の移動を規制する突起部の前記基板との接触面が、前記基板の端面と概平行である事を特徴とする。
本発明の第14の態様は、前記第1ないし第13の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記肉厚部は、該基板保持部材を固定する前記基板支持部を支持する枠部の辺部と平行な鉛直方向の断面において、中央部は前記基板保持部材の裏面に沿って均一な厚みを持ち、中央部より端部へ向かってテーパー状に厚さが減少していくことを特徴とする。
本発明の第15の態様は、前記第1ないし第14の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板用トレイの前記枠部の少なくとも一対の対向する2辺に固定された前記基板支持部に、前記基板保持部材が、取り付けられていることを特徴とする。
本発明の第16の態様は、前記第1ないし第15の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板用トレイの前記枠部の少なくとも一対の対向する2辺に固定されえた前記基板支持部に、前記基板保持部材が、間隔をおいて複数個取り付けられていることを特徴とする。
本発明の第17の態様は、前記第1ないし第16の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材は、熱可塑性樹脂からなることを特徴とする。
本発明の第18の態様は、前記第1ないし第17の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、支持される前記基板が、表示パネル用のカラーフィルター形成基板、あるいは、前記カラーフィルター形成基板を作製するための中間工程基板であることを特徴とする。
本発明の第1の態様によれば、四角形状で剛性のある板状物からなる基板の面方向を水平方向として、前記基板を、トレイ枠部の枠内側領域において、前記基板をその下側から保持する前記枠部に支持された基板支持部を備えた基板用トレイにおいて、前記基板支持部に固定され、前記基板を保持する基板保持部材であって、前記基板保持部材は、前記基板支持部下面より下側に突出して固定され、前記基板を載せた状態で、前記トレイを複数重ねた状態で1段下に支持された基板に上下方向の基板振動が発生した時のみ該基板と接触する面を有する振動制御部からなり、前記振動制御部は、前記基板支持部の下面の形状に沿って固定され、該基板保持部材が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記振動制御部は、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部側からトレイ内側へ向かって、肉厚部、厚さ変化部、肉薄部からなることを特徴とする基板保持部材であって、さらに、前記基板保持部材が、前記基板の水平方向の移動を規制する突起部を、前記基板保持部材の前記振動制御部の前記肉厚部の下側に有することにより、前記基板に上下方向の振動が発生した時のみに、前記基板が、前記振動制御部の前記肉厚部のみと接触して振動が抑制されるとともに、左右方向の振動が発生した時に、前記突起部により、前記基板の水平方向の可動域が限定されるとともに、積層した状態で上下に位置する振動制御部と基板保持部に挟まれることにより固定され破損することを防止し、搬送あるいは保管時に、基板移動による基板の破損の防止が可能となるという効果がある。さらに、肉厚部の幅を、水平方向の基板可動幅及び基板上の機能層形成領域外の領域の幅を鑑みて設計することにより、機能層形成領域への汚染、傷付きを防止することが可能となるという効果がある。また、複数枚重ねた時に相対位置を安定させるための嵌合部を有していることにより、複数枚重ねた時に上下に位置するトレイの位置関係が安定し、前記基板の搬送あるいは搬送が安定して行うことが可能となる。前記嵌合部に関して、例えば特開2006−168748号公報(特許文献1)に枠部を利用した嵌合方法が開示されているが、本発明においては、複数積載した、上下に対接するトレイ間の位置関係が一定であれば良く、前記嵌合部の構造、方法等を限定するものではない。
本発明の第2の態様によれば、前記第1の態様に記載の基板保持部材であって、前記肉厚部は、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持面に沿って形成され、均一な厚みを有することにより、前記基板に上下方向の振動が発生した時のみ、前記基板が接触する前記振動制御部の前記肉厚部との接触部が接触し、機能層形成領域への汚染、傷付きを防止することが可能となるという効果がある。
本発明の第3の態様によれば、前記第1の態様に記載の基板保持部材であって、前記肉厚部は、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部側からトレイ内側へ向かって、厚さが薄くなっていくことにより、前記基板に上下方向の振動が発生した時に、前記基板が接触する前記振動制御部の前記肉厚部との接触が、前記基板の該基板端面上部の角部のみで接触することになり、前記基板または機能層形成領域への汚染、傷付きを防止することが可能となるという効果がある。
本発明の第4の態様によれば、前記第1ないし第3の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板支持部に固定された前記基板保持部材が、前記基板支持部上面より上側に突出して基板を上側に支持する基板保持部を、さらに有することにより、金属製の基板支持部による基板裏面への傷を防止することが可能となるという効果がある。
本発明の第5の態様によれば、前記第4の態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材の前記基板保持部は、該基板保持部材を固定する前記基板支持部を支持する枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持部は、前記基板支持部の上面の形状に沿って固定され、平坦な基板支持面を有していることにより、保持される基板と前記基板保持部との接触面積が増加し、安定した基板保持が可能となるという効果がある。また、前記基板支持部の基板支持面が平坦であることにより、前記基板支持部を形成している材料の転写を抑制し、基板の汚染を防ぐことが可能になるという効果がある。
本発明の第6の態様によれば、前記第5態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材の前記基板保持部は、該基板保持部材を固定する前記基板支持部を支持する枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、端部の面取り部以外の厚さが均一であることにより、前記基板支持部からの高さが均一になり、前記基板保持部の取り付け位置に誤差が生じても安定して基板を保持することが可能となるという効果がある。
本発明の第7の態様によれば、四角形状で剛性のある板状物からなる基板の面方向を水平方向として、前記基板を、トレイ枠部の枠内側領域において、前記基板をその下側から保持する前記枠部に支持された基板支持部を備えた基板用トレイにおいて、前記基板支持部に固定され、前記基板を保持する基板保持部材であって、前記基板保持部材は、前記基板支持部上面より上側に突出して固定され、前記基板を上側に支持する基板保持部と、前記基板支持部下面より下側に突出して固定され、前記基板を載せた状態で、前記トレイを複数重ねた状態で1段下に支持された基板に上下方向の基板振動が発生した時のみ該基板と接触する面を有する振動制御部とからなり、前記基板保持部は、該基板保持部が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板支持部の上面の形状に沿って固定されていることにより、金属製の基板支持部による基板裏面への傷を防止することが可能となるという効果がある。また、前記振動制御部は、該振動制御部が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板支持部の下面の形状に沿って固定され、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部側からトレイ内側へ向かって、肉厚部、厚さ変化部、肉薄部からなることを特徴とする基板保持部材であって、さらに、前記基板保持部材が、前記基板の水平方向の移動を規制する突起部を、前記基板保持部材の前記基板保持部の上側に有することにより、前記基板に上下方向の振動が発生した時のみに、前記基板が、前記振動制御部の前記肉厚部のみと接触して振動が抑制されるとともに、左右方向の振動が発生した時に、前記突起部により、前記基板の水平方向の可動域が限定されるとともに、積層した状態で上下に位置する振動制御部と基板保持部に挟まれることにより固定され破損することを防止し、搬送あるいは保管時に、基板移動による基板の破損の防止が可能となるという効果がある。また、前記突起部が、前記基板保持部材の前記振動制御部の前記肉厚部の下側にあることにより、前記基板の水平方向の移動が規制され、該基板との接触による前記突起部の傷を防止するとともに、前記突起部の傷部からの異物発生を防止することが可能となるという効果がある。さらに、肉厚部の幅を、水平方向の基板可動幅及び基板上の機能層形成領域外の領域の幅を鑑みて設計することにより、機能層形成領域への汚染、傷付きを防止することが可能となるという効果がある。また、複数枚重ねた時に相対位置を安定させるための嵌合部を有していることにより、複数枚重ねた時に上下に位置するトレイの位置関係が安定し、前記基板の搬送あるいは搬送が安定して行うことが可能となる。前記嵌合部に関して、例えば特開2006−168748号公報(特許文献1)に枠部を利用した嵌合方法が開示されているが、本発明においては、複数積載した、上下に対接するトレイ間の位置関係が一定であれば良く、前記嵌合部の構造、方法等を限定するものではない。
本発明の第8の態様によれば、前記第7の態様に記載の基板保持部材であって、前記肉厚部は、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持面に沿って均一な厚みを有することにより、前記基板に上下方向の振動が発生した時のみ、前記基板が接触する前記振動制御部の前記肉厚部との接触部が接触し、機能層形成領域への汚染、傷付きを防止することが可能となるという効果がある。
本発明の第9の態様によれば、前記第7の態様に記載の基板保持部材であって、前記肉厚部は、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持部材が固定された枠部の辺部側からトレイ内側へ向かって、厚さが薄くなっていくことにより、前記基板に上下方向の振動が発生した時に、前記基板が接触する前記振動制御部の前記肉厚部との接触が、前記基板の該基板端面上部の角部のみで接触することになり、前記基板または機能層形成領域への汚染、傷付きを防止することが可能となるという効果がある。
本発明の第10の態様によれば、前記第7ないし第9の態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材の前記基板保持部は、該基板保持部材を固定する前記基板支持部を支持する枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持部は、前記基板支持部の上面の形状に沿って固定され、平坦な基板支持面を有していることにより、保持される基板と前記基板保持部との接触面積が増加し、安定した基板保持が可能となるという効果がある。また、前記基板支持部の基板支持面が平坦であることにより、前記基板支持部を形成している材料の転写を抑制し、基板の汚染を防ぐことが可能になるという効果がある。
本発明の第11の態様によれば、前記第7ないし第10の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材の前記基板保持部は、該基板保持部材を固定する前記基板支持部を支持する枠部の辺部に直交する鉛直方向の断面において、端部の面取り部以外の厚さが均一であることにより、前記基板支持部からの高さが均一になり、前記基板保持部の取り付け位置に誤差が生じても安定して基板を保持することが可能となるという効果がある。
本発明の第12の態様によれば、前記第1ないし第11の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材が有する前記基板の水平方向の移動を規制する突起部が、前記基板の端面のみと接して前記基板の水平方向の可動域が限定することにより、基板の表面及び裏面への汚れ、傷付きの防止が可能となるという効果がある。
本発明の第13の態様によれば、前記第1ないし第12の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材が有する前記基板の水平方向の移動を規制する突起部の前記基板との接触面が、前記基板の端面と概平行である事により、基板との接触による前記突起部の傷を防止し、前記突起部の傷部からの異物発生を防止することが可能となるという効果がある。
本発明の第14の態様によれば、前記第1ないし第13の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記肉厚部は、該基板保持部材を固定する前記基板支持部を支持する枠部の辺部と平行な鉛直方向の断面において、中央部は前記基板保持部材の裏面に沿って均一な厚みを持ち、中央部より端部へ向かってテーパー状に厚さが減少していくことにより、基板振動発生時に肉厚部と前記基板との接触が発生した場合、角部が形成されていない為、基板の割れを防止することが可能となるという効果がある。
本発明の第15の態様によれば、前記第1ないし第14の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記枠部の少なくとも一対の対向する2辺に固定された前記基板支持部に、前記基板保持部材が、取り付けられていることにより、前記基板の安定した搬送あるいは保管が可能となるという効果がある。
本発明の第16の態様によれば、前記第1ないし第15の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記枠部の少なくとも一対の対向する2辺に固定されえた前記基板支持部に、前記基板保持部材が、間隔をおいて複数個取り付けられていることにより、前記基板保持部材の大きさが小さくなり、該基板保持部材の製造が容易になるとともに、前記基板保持部材に傷が発生する等で交換が必要になった場合、全体を交換せずに一部を交換することで対応が可能となるという効果がある。
本発明の第17の態様によれば、前記第1ないし第16の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板保持部材は、熱可塑性樹脂からなることにより、前記基板保持部材が射出成形で成形可能な為、切削加工で前記基板保持部材を作製する方法と比較して、多大な費用をかけずに多数の前記基板保持部材を作製することが可能となるとともに、樹脂製であることにより、前記基板への傷付きを低減することが可能となるという効果がある。
本発明の第18の態様は、前記第1ないし第17の態様いずれかひとつの態様に記載の基板保持部材であって、前記基板が、表示パネル用のカラーフィルター形成基板、または、前記カラーフィルター形成基板を作製するための中間工程基板であり、これらの基板の汚れ、傷付き等を防止して搬送または保管することが可能となる。
本発明の第1の態様、第4の態様、および第7の態様の基板保持部材14について説明する。
本発明の第1の態様に記載の、基板保持部材14は、図5中に図示されている振動制御部14aからなり、前記振動制御部14aは、該振動制御部14aが固定された枠部の辺部側から基板用トレイ11内側へ向かって、肉厚部21、厚さ変化部22、肉薄部23より形成されるとともに、前記肉厚部21の下側に突起部15が形成されている。肉厚部21は、基板用トレイ11を複数重ねた状態で1段下に支持された基板に上下方向の基板振動が発生した時のみ該基板と接触し、発生した振動を抑制する。肉薄部23は、前記肉厚部21より肉薄に形成され、前記基板と接触することは無い。突発的に激しい振動が発生した時に、前記基板が金属製の基板支持部13と接触し、前記基板が傷付くことを防止している。厚さ変化部22は、前記肉厚部21と前記肉薄部23を、外側に凸形状を持つ角部を形成することなくつなぐ為の連結部としての機能を持つ。また、前記肉厚部21の下側に形成された突起部15は、基板用トレイ11を複数重ねた状態で、1段下の基板支持部13との間隙が保持される基板の厚み以下になるように設計され、前記1段下に保持された基板に左右方向の基板振動が発生した時に、前記基板の左右方向の移動を制限するものである。
本発明の第4の態様に記載の、基板保持部材14は、図5中に図示されている振動制御部14aおよび基板保持部14bからなり、本発明の第1の態様に記載の振動制御部14aに加えて、基板保持部14bを有している。前記基板保持部14bは、該基板保持部14bはが固定されている基板支持部13により、保持される基板の裏面への傷の発生を防止するものである。一般に、前記基板支持部13は、金属材料で形成されることが多い為、前記基板保持部14bにより、前記基板支持部13と保持される基板との接触を妨げ、保持される基板の裏面への傷の発生を防止する機能を持っている。前記前記基板保持部14bは、保持される基板裏面への傷つきを防止する為、保持される基板より柔らかい材料(例えば樹脂)からなることが好ましい。
本発明の第7の態様に記載の、基板保持部材14は、図6中に図示されている振動制御部14aおよび基板保持部14bからなる。前記振動制御部14aは、該振動制御部14aが固定された枠部の辺部側から基板用トレイ11内側へ向かって、肉厚部21、厚さ変化部22、肉薄部23より形成されるとともに、前記肉厚部21の下側に突起部15が形成されている。肉厚部21は、基板用トレイ11を複数重ねた状態で1段下に支持された基板に上下方向の基板振動が発生した時のみ該基板と接触し、発生した振動を抑制する。肉薄部23は、前記肉厚部21より肉薄に形成され、前記基板と接触することは無い。突発的に激しい振動が発生した時に、前記基板が金属製の基板支持部13と接触し、前記基板が傷付くことを防止している。厚さ変化部22は、前記肉厚部21と前記肉薄部23を、外側に凸形状を持つ角部を形成することなくつなぐ為の連結部としての機能を持つ。前記基板保持部14bは、該基板保持部14bはが固定されている基板支持部13により、保持される基板の裏面への傷の発生を防止するものである。一般に、前記基板支持部13は、金属材料で形成されることが多い為、前記基板保持部14bにより、前記基板支持部13と保持される基板との接触を妨げ、保持される基板の裏面への傷の発生を防止する機能を持っている。前記前記基板保持部14bは、保持される基板裏面への傷つきを防止する為、保持される基板より柔らかい材料(例えば樹脂)からなることが好ましい。また、前記基板保持部14bの上側に形成された突起部15は、基板用トレイ11を複数重ねた状態で、1段上の振動制御部14aの肉厚部21との間隙が、保持される基板の厚み以下になるように設計され、保持された基板に左右方向の基板振動が発生した時に、前記基板の左右方向の移動を制限するものである。
以下、本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1に、本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11の実施の形態の1例の概略を示す。図1(a)は枠部12の4辺に支持された基板支持部13が、直線状に基板111の端部を支持する基板用トレイの実施の形態の1例の概略図である。図1(b)は枠部12の4辺のうち一方の対向する2辺に固定された基板支持部13が直線状に基板111の両端を支持し、枠部12の4辺のうち他方の対向する2辺に固定された基板支持部13を鉛直方向下側に撓ませて、基板111の両端を支持する基板用トレイ11の実施の形態の1例の概略図である。また、図示はしていないが、基板用トレイ11は、基板を安定に保持する為に、4辺に固定された基板支持部13を鉛直方向下側に撓ませて、基板111の4辺を支持する基板用トレイ11であってもよい。また、基板支持部13を鉛直方向下側に撓ませる場合、撓んだ基板支持部13を支持する枠部12は、直線であってもよく、前記基板支持部13の撓みにあわせて撓んだ形状であってもよい。前記撓みの形状は、円弧状でも放物線上でもよく、撓ませた基板の、端部中央部の高さの差は基板サイズによって適宜設計される。
図1(c)は、図1(a)および図1(b)の基板用トレイ11を上方から見た平面図の概略図である。なお。図1(a),(b),(c)の概略図には記載されていないが、本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11は、上下に位置するトレイ間の相対的な位置関係を一定に保つため、例えば特開2006−168748号公報(特許文献1)に開示されているような、複数枚重ねた時に、上下に位置するトレイの相対的な位置関係が一定になるような嵌合部を有している。嵌合部の形状は、上下に位置するトレイの相対的な位置関係を一定に保つことが出来る形状であれば、どのような形状を有していてもよい。さらに、機械搬送に用いるための取手部等の部位を有していてもよい。
図1の基板用トレイ11の枠部12は、搬送または保管時に多数積層して使用されるため、強度が必要とされ、一般に金属材料が使用される。ガラスファイバー、カーボンファイバーと樹脂により成形した材料を用いてもよいが、積層時、輸送時等に傷が発生しやすく異物問題の要因となる為、金属性であることが好ましい。特に、多層積層時の軽量化を図る為、強度、軽量性を兼ね備えたジュラルミン等のアルミ合金を使用するのが好ましい。また、前記枠部12が支持する基板支持部13は、溶接等により前記枠部12と接合させてもよいが、強度、作製のしやすさ等を鑑みて、押し出し成形等により、前記枠部12と同時に作製するのが好ましい。
また、基板保持部材14は、成形のしやすさ、振動の緩衝材としての機能、異物発生の少なさ、基板111への汚染等を考慮して、熱可塑性樹脂が用いられる。さらに、熱可塑性樹脂の中でも、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン66やナイロン610といったポリアミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリイミドが望ましい。なお、同様の機能を有すれば、基板保持部材14の材質はこれらに限定はされない。
図1では、基板保持部材14は、基板用トレイ11の枠部12の各辺に4個ずつ固定した基板用トレイ11が1例として記載しているが、基板保持部材14の数は1個でもよく、さらに多数固定されていても良い。本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11が支持する基板111の大きさに合わせて、基板保持部材14のサイズ、製造の容易さ、交換の容易さ等を考慮して設計される。基板保持部材の図2(a)のA−A’方向の長さは、作製の容易さ、交換の容易さ等を考慮すると、3cm−10cm程度が好ましく、基板保持部材の図8(b)のE−E’方向の長さは、作製の容易さ、交換の容易さ等を考慮すると、15cm−30cm程度が好ましい。また、前記基板保持部材14は、複数固定した場合、該基板保持部材同士のこすれ等による異物発生を防止する、該基板保持部材間で振動時に基材が金属製の基板支持部に接しない等を考慮して、隣り合った基板保持部材間の間隔は0.2cm−10cm程度が好ましい。例えば、液晶用のG6サイズの基板(1,500mm×1,800mm)用の基板用トレイの場合、長辺側は8個程度、短辺側は7個程度で設計するのが好ましい。さらに、図1では、基板保持部材14は、基板用トレイ11の枠部12の各辺に支持された基板支持部13に固定してあるが、前記枠部12の少なくとも一対の対向する2辺に固定されていればよい。また、前記基板保持部材14は、前記基板用トレイ11の基板支持部13に固定されるが、図10に概略を示すように、直線部、湾曲部ともに前記基板支持部13の形状に沿って固定される。
図2〜図7は、図1(a)のA−A’方向の断面、図1(b)に示した、枠部の4辺のうち一方の対向する2辺を鉛直方向下側に撓ませて基板111を支持する基板用トレイ11のD−D’方向の断面の概略図の1例である。図1(a)のB−B’方向の断面、図1(b)のC−C’方向の断面は、図1(a)のA−A’方向の断面と同様である。
図3(a)は、基板保持部材14が、振動制御部14aからなる場合の概略図である。前記振動制御部14aは、肉厚部21、厚さ変化部22、肉薄部23より形成される。前記肉厚部21は、基板支持部13に沿って前記肉薄部23より厚く形成され、基板振動発生時に基板111表面もしくは前記基板111端部と接触し、振動を抑制する。前記肉厚部21の厚さは、図3(a)のように前記基板支持部13に沿って均一な厚さで形成されていてもよく、図7(a)のように基板用トレイ11の内側方向へ向かって厚さが減少してもよい。基板振動発生時に、基板111と前記振動制御部14aとの面接触を防止するという観点から、前記肉厚部21の厚さは、前記基板用トレイ11の内側方向へ向かって減少しているのが好ましい。
前記肉薄部23は、基板支持部13に沿って前記肉厚部21より薄く形成されており、基板振動発生時に基板111が金属からなる前記基板支持部13との接触を妨げ、金属との接触による傷付きを防止する。前記肉薄部23は、前記基板111が前記基板支持部13との接触を妨げる機能を有していればよく、前記基板111との接触時に前記基板111に悪影響を及ぼさない平坦な形状であればよく、前記肉薄部23の厚さは、前記基板支持部13に沿って均一な厚さで形成されていてもよく、基板用トレイ11の内側方向へ向かって減少してもよい。
前記厚さ変化部22は、肉厚部21と肉薄部23との接続部であり、肉厚部21の基板用トレイ内側の端部31に角部を形成させずに、滑らかに肉薄部へ変化させる役割を担っている。肉厚部21のトレイ内側の端部31が角部を有していると、基板振動時に角部31と基板111が接触し、基板111に傷が入る、基板111が破損する等の不具合が発生することがある。図3(b)は、図1(b)に示した、枠部の4辺のうち一方の対向する2辺を鉛直方向下側に撓ませて基板111を支持する基板用トレイ11のD−D’方向の断面の概略図の1例であり、基板支持部13が傾斜して直線状に形成されている。前記基板支持部13は、基板111の湾曲に合わせて形成されていてもよく、前記基板支持部13が基板111の湾曲に合わせて形成されている場合、基板保持部材14は、前記基板支持部13の湾曲に沿って形成される。
図4(a)は、前記基板保持部材14の振動制御部14aが、肉厚部21、厚さ変化部22のみからなる場合の概略図である。肉厚部21が、基板振動時の基板111の撓み発生時に、基板111と基板支持部13が接触しない十分な厚みを備えていれば、肉薄部23は不要となる。基板111の撓み性、前記基板支持部13と前記基板保持部材の位置関係により前記厚みは異なってくるが、例えば厚さ0.7mmのガラス基板を使用する場合、1.5mm以上の厚さがあればよい。
図2(a)および図2(b)は、基板保持部材14が、振動制御部14aおよび基板保持部14bからなる場合の概略図である。基板支持部13は、一般に金属で形成されている為、搬送または保管時の振動発生時に、保持される基板111との擦れ、衝突等により、基板111に傷、破損が発生する可能性がある。このような傷、破損を防止する為には、基板111を上側に保持し、基板支持部13と基板111の接触を防止する基板保持部14bは有効である。
図4(b)、図5(a)、図5(b)、図7(a)、図7(b)は、基板111の水平方向の移動を規制する突起部15を、基板保持部材14の振動制御部14aの肉厚部21に有する本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11の断面図の概略図であり、図6(a)、図6(b)は、基板111の水平方向の移動を規制する突起部15を、基板保持部材14の基板保持部14aに有する本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11の断面図の概略図である。前記突起部15は、搬送あるいは保管時に、基板111の水平方向の移動を規制する。
搬送または保管時の振動により、基板111は上下方向の振動だけではなく、水平方向の移動も発生する。このような移動を防止するために、特開2006−168748号公報(特許文献1)、特許文献2特開2010−120690号公報(特許文献2)、特開2008−155995号公報(特許文献3)では、基板への当接材を使用し固定している、またはテーパー状の基板保持部材の使用により移動を規制している。当接材の使用は、基板の汚れ、傷の原因となるとともに、基板が固定され、固定部に振動発生時の応力が発生することにより、基板の破損が発生する可能性がある。また、テーパー状の基板保持部材では、徐々に上下の間隙が狭くなっていくことにより水平方向の基板の移動が規制されるが、テーパー部により形成される間隙に、基板がくさび状に挟まれることにより基板保持部材が損傷し異物が発生する、さらに、基板が固定され、振動発生時の応力により、基板の破損が発生する等の可能性がある。
本発明では、前記基板保持部材14の前記振動制御部14aを用いることにより、水平に保持される基板111の上側面は、振動発生時以外接触することは無く、接触による汚染、傷付きの防止を図っている。さらに、前記基板保持部材14に前記突起部15を設置することにより、保持される基板111を固定すること無く、振動等により生じる前記基板111の移動を防止している。前記突起部15の前記基板111との接触面は、平坦に形成され、基板111端面と概平行となるように形成されている。基板111との接触時の傷つきにくさ、成形の容易さ等を考慮し、前記突起部15の基板111との接触面と基板111端面との角度は、平行もしくは±10度以下が好ましい。
図8(a)は、本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11の一部を、上方より見た概略図で、図7(b)は、本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11の一部を、下方より見た概略図である。基板支持部13の上面側に基板保持部材14の基板保持部14bが基板支持部13の上面側に突出して固定され、基板保持部材14の振動制御部14aが基板支持部13の下面側に突出して固定されている。図9(a)は、本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11の、図8(b)E−E’の鉛直方向の断面(振動制御部14aの肉厚部21の断面)の概略図であり、図9(b)は、本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11の、図8(b)F−F’の鉛直方向の断面(振動制御部14aの肉薄部23)の概略図である。前記基板保持部材14の肉厚部21の、該基板保持部材14を支持する枠部12の辺部と平行な断面は、図9(a)に示すように、前記振動制御部14aは前記基板支持部13に沿って固定され、前記肉厚部21の中央部82は平坦で、肉厚部21の端部81は中央部21から外側(EおよびE’方向)へ向けて徐々に厚さが減少している。前記端部81の表面は、平坦であってもよく、図9(a)において下側に凸形状であってもよい。ただし、振動発生時に、保持する基板111との接触が発生した場合に、前記基板111の傷、破損等を防止する為、前記中央部82と前記端部81の接点部は、角部を形成せず、円弧形状等で滑らかに形成する必要がある。また、前記基板保持部14bと、前記振動制御部14aの前記肉薄部23は、前記基板支持部13に沿って固定され、F−F’の鉛直方向の断面は均一な厚さを有している。
図10(a)、(b)は、基板保持部材14(振動制御部14a、基板保持部14b)が基板支持部13に固定されている様子の概略図である。図10(a)の直線状の前記基板保持部材14、図10(b)の鉛直下側に撓ませた前記基板保持部材14は、それぞれ、基板支持部13に沿って固定される。
図11(a)は、枠部12の4辺が直線状である本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11を多層に積層した概略図で、図11(b)は、枠部12の4辺のうち一方の対向する2辺は直線状で、枠部12の4辺のうち他方の対向する2辺は鉛直方向下側に撓ませた本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11を積層した概略図である。搬送時にフォークリフト等で移動が可能なように搬送用架台103の上に、前記基板用トレイ11を積層する。図12(a)、(b)は、本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11を複数多層に積層し、基板111を積載した概略図である。
図13(a)、(b)は、本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11に、基板111が積載されている概略図である。図13中の、a〜mは、それぞれ対応する部位の寸法の数値である。aは、積載する基板111の一方向の断面の幅、bは、機能層131を形成した基板111の、機能層131が形成されていない端部の幅、cは、基板111の両端を保持する前記基板111の両端部にある基板支持部13に固定された基板保持部材14の突起部15の、それぞれ基板111と接触する突起部15の端面(トレイ内側面)間の距離、dは振動制御部14bの肉厚部21の幅、eは枠部12の厚さ、fは基板支持部13の厚さ、gは基板保持部材14の基板保持部14bの厚さ、hは、基板保持部材14の振動制御部14aの肉薄部23の厚さ、iは積載される基板の厚さ、jは前記肉厚部21と前記肉薄部23の厚さの差、kは突起部15と前記基板保持部14bとの間隙の幅、lは突起部の厚さである。
本発明の基板保持部材を有する基板用トレイの枠部11の厚さeは、基板111が積層され、搬送または保管時の振動発生時に接触しない十分な厚さが必要であり、かつ、多層に積載される前記基板用トレイの数を増やして搬送または保管の効率を上げるとともに軽量化のため薄くするという、相反する目的を達成する必要があり、5mm〜30mmであることが好ましい。
本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11の基板支持部13の厚さfは、変形することなく基板111を保持する必要があるとともに軽量化のため、1mm〜3mmが好ましい。
本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11に積載される基板111は、一般的に搬送装置により前記基板用トレイ11に積載される。装置の位置精度を見込んで、基板111の両端を保持する前記基板111の両端部にある基板支持部13に固定された基板保持部材14の突起部15の、それぞれ基板111と接触する突起部15の端面(トレイ内側面)間の距離cが設定される。cの距離は基板の幅aより1mm〜10mm大きい値になるのが好ましい。
振動制御部14bの肉厚部21の幅dは、積載される基板111に水平方向に一方向の移動が発生し、突起部15に前記基板111の端面が接して前記基板111の移動が規制された時に、前記肉厚部21が前記基板111上に表面に形成された機能層131に接することが無いように、さらに、前記基板111が一方向し一方の前記肉厚部に接して移動が規制された時、前記基板111の他方の端部が他方の肉厚部21から外れないように設計される。前記肉厚部21の幅dは、表面に機能層131が形成された基板111において、機能層131が形成されていない基板111の端部の幅bよりも小さく、かつ、基板の幅aと、装置の位置精度を見込んで設計した前記突起部15の基板と接触する端面間の距離cと、の差(a−c)、よりも大きくなるように設計される(b>d>(a−c))。表面に機能層131が形成された基板111において、機能層131が形成されていない基板111の端部の幅bが小さく、(a−c)>bとなってしまう場合、図14に示したように、肉厚部21の厚さが、トレイ内側に向かって減少する形状を使用することにより、機能層131への傷等の悪影響を避けることが可能となる。
基板保持部14bの厚さgと、振動制御部の肉薄部23の厚さhは、取り扱いの強度、基板支持部13への取り付け後の安定性等を鑑みて、1mm〜3mmが好ましい。更に、前記肉厚部21と前記肉薄部23の厚さの差jは、基板振動発生時に基板111が肉薄部23に接触することを防止する為に、1.5mm以上あることが好ましい。
突起部15が振動制御部14aに設置されている場合、本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11を積層した時に、前記基板111を振動発生時のみ接触する前記肉厚部21下面と、基板を保持する基板保持部14b上面との間隔は、基板の厚さiの2倍〜5倍が好ましい。例えば、基板111の厚さが0.7mmであった場合、1.4mm〜3.5mmの範囲で設計することが好ましい。
突起部15が振動制御部14aに設置されている場合、前記突起部15の下面と、前記基板保持部14bの上面との間隔kは、前記枠部の厚さeと、前記基板保持部の厚さg、前記基板支持部13の厚さf、前記肉薄部23の厚さh、前記肉厚部21と前記肉薄部23の厚さの差j、突起部の厚さlとの和、との差(k=e−(g+f+h+j+l))となる。前記突起部15の下面と、前記基板保持部14bの上面との間隔kは、前記基板用トレイ11が保持する前記基板111の水平方向の移動を規制する為、前記基板111の厚さiより狭く設定する必要がある(k<i)。例えば、基板の厚さが0.7mmであった場合、製造誤差等を鑑みて、前記突起部15の下面と前記基板保持部14bの上面との間隔kは0.5mm以下に設計することが好ましい。前記突起部15が前記基板保持部14bに取り付けられている場合も、前記突起部15上面と前記振動制御部14aとの間隔も同様に0.5mm以下に設計することが好ましい。突起部15の高さは、前述の設計値を考慮した上で1mm〜3mmで設計することが好ましい。
本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11の基板保持部材14は、図1〜図13では基板支持部13の範囲内に固定してあるが、図14に示すように、基板支持部13の、該基板支持部13を有する基板用トレイ11の内側方向へ突出していてもよい。
図15(a)、(b)、(c)は、本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11において、基板保持部材14の基板支持部13への固定の方法の1例の概略図である。図15(a)は、前記振動保持部14aおよび前記基板保持部14bを一体成形した基板保持部材14を、前記基板支持部13の切り欠き部へ挿入し、固定する方法の概略図である。図15(b)は、振動保持部14aおよび基板保持部14bを一体成形した基板保持部材14を、前記基板支持部13に基板保持部材を固定するために形成した前記基板支持部13の開口部へ、嵌め込んで固定する方法の概略図である。図15(b)は、図16に例示したように、振動保持部14aおよび基板保持部14bにそれぞれ嵌合部161a、161bおよび位置決め部162等を形成し、前記基板支持部13に基板保持部材14を固定するために形成した前記基板支持部13の開口部へ、上下より嵌合させて固定する方法の概略図である。また、図に示していないが、前記基板保持部材14の前記振動制御部14aと前記基板保持部14bを、前記基板支持部13へ、接着剤等を使用して貼り付けてもよい。また、位置精度を出す為に、前記基板支持部13へざぐりを入れて、接着剤等を使用して貼り付けてもよい。基板保持部材14の基板支持部13への固定方法は、位置精度、固定強度が満たされていればよく、前述した方法に限るものではない。
本発明の基板保持部材を有する基板用トレイ11に固定される、熱可塑性樹脂により形成された前記基板保持部材14は、積載される基材111の傷、破損等を防止する為、基板突起部以外の、外側に凸形状を持つ部分は全て円弧状に面取りされた形状を持っている。
本発明の実施例を以下に説明する。
液晶用G6サイズ基板(1850mm×1500mm×0.7mmt;機能層131は基板中央に形成され、機能層131の領域のサイズは1820mm×1470mm)用の基板用トレイを作製し、トラックによる搬送テストを行った。
枠部12は、長辺側の2辺を直線状に、短辺側を曲率半径3000mmになるように鉛直下側へ撓ませて作製した。枠部12の厚さeは10mmになるよう作製した。また、枠部12には、前記基板用トレイ11を上下に多数積層したときに、積層されたそれぞれの前記基板用トレイ11が、上面から見て同じ位置になるように嵌合部を設けるとともに、機械搬送用の取手を設けた。基板支持部13の厚さは2mmで、前記前記枠部12に沿って形成した。前記前記枠部12に支持された基板支持部13に、基板保持部材14設置用の開口部を長辺側8箇所、短辺側7箇所を切削加工により形成した。基板保持部14は、それぞれ別に、振動制御部14aと基板保持部14bを作製した。突起部15は、振動制御部14aの肉厚部21に設置した。振動制御部14aと基板保持部14bに、それぞれ嵌合部161a,161bおよびを形成し、前記基板支持部13の開口形状に合わせて、位置決め部162を基板保持部に形成した。
前記枠部12と前記基板支持部13は、材料にジュラルミンを用い、押し出し成形法により作製した。前記基板支持部14の前記振動制御部14aと前記基板保持部14bは、材料にポリプロピレンを用いて、それぞれ射出成形法により別途成形し、前記振動制御部14aと前記基板保持部14bを前記嵌合部161a,161b、前記位置決め部162を利用して、前記基板支持部13の開口部へ前記振動制御部14aと前記基板保持部14bを勘合させて固定した。
前記基板111の両端に位置する、前記基板111の水平方向の移動を規制する2つの突起15のトレイ内側面間の距離は、前記基板111のサイズ(1850mm×1500mm)と、前記基板111を前記基板用トレイ11へ積載するときの装置誤差を鑑みて、長辺側1860mm、短辺側1510mmとした(a−c=10)。
前記基板保持部材14が固定された前記枠部12の辺部に直交する鉛直方向の断面において、前記基板保持部材14の前記振動制御部14aの前記肉厚部の幅dは、12.5mmとした。前記厚さ変化部22の幅は5mm、前記肉薄部23の幅は30mm、前記突起部15の幅は5mmとした。前記基板保持部材14が固定された前記枠部12の辺部と平行な鉛直方向の断面において、前記基板保持部材14の前記振動制御部14aの前記肉厚部の平坦な中央部82の幅は120mm、前記肉厚部端部の幅は30mmとした。(振動制御部のサイズは、52.5mm×180mm)前記基板保持部材14の前記基板保持部14bのサイズも同様に52.5mm×180mmとした。
また、前記肉厚部21の厚さは3.8mm、前記肉薄部23の厚さhは1.5mm(前記肉厚部21と前記肉薄部23の厚さの差j=2.3mm)、前記突起部の厚さlは2.5mm(前記突起部15の下面と、前記基板保持部14bの上面との間隔k=0.2mm)、前記基板保持部14bの厚さは1.5mm(前記突起部15と前記基板保持部14bとの間隙の幅k=0.2mm)でとした。
さらに、突起部15を除く角部は全て曲率半径1mm〜10mmの範囲で面取りされた形状とした。
また、前記基板保持部材14の前記基板保持部14bの、保持される基板と接する面の平坦性は、特に前記前記基板保持部14bが樹脂からなる場合に、保持される基板裏面への樹脂材料の転写による基板汚染に影響を与える。本発明の前記基板保持部14bを有するポリプロピレン(PP)からなる基板保持部材14に関して、保持される基板と接する面の表面粗さが異なるサンプルを作製し、評価を行った結果、算術平均粗さRaが0.10μmより大きいサンプル、または二乗平均粗さRMSが0.15μmより大きいサンプルにおいては、該基板保持部材14bの樹脂の転写による基板裏面の汚染が発生し、算術平均粗さRaが0.10μm以下のサンプル、または二乗平均粗さRMSが0.15μm以下のサンプルにおいては該基板保持部材14bの樹脂の転写による基板裏面の汚染は発生しなかった。この結果から、前記基板保持部14bの、保持される基板と接する面の平坦性は、算術平均粗さRaが0.10μm以下、または二乗平均粗さRMSが0.15μm以下であることが好ましい。さらには、算術平均粗さRaが0.10μm以下、且つ、二乗平均粗さRMSが0.15μm以下であることがより好ましい。尚、前記表面粗さ測定は、株式会社キーエンス社製形状測定レーザマイクロスコープ VK-9500を用いて行った。(表面粗さは、JIS B 0601-1994表面粗さの定義に準じて計算を行った。)
前述の通り作製した前記基板保持部材14の前記振動制御部14aと前記基板保持部14bを、図15(c)に記載したように、前記基板支持部13の開口部へ嵌合により設置した。前記基板保持部材14の、トレイ内側方向の端部と、前記基板支持部13のトレイ内側方向の端部との距離が、5mmとなるように、該基板支持部13に開口部を形成した。
以上のように作製した基板用トレイ11を、搬送用架台103上に150枚積層し、異物防止の為のカバーをかけた上で、トラックで搬送テストを行った結果、基板の破損、汚れ等の問題が発生することなく搬送が可能であることが確認できた。