JP2012222859A - 電動車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両が段差を乗り越えやすくすることと段差を乗り越えた後に車両の加速を抑制することとをより簡易に行なう。
【解決手段】車両が段差を乗り越えようとしていると判定されて段差用制御フラグFに値1が設定された以降は(S220)、アクセル開度Accより大きくなるよう補正した制御用アクセル開度Acc*に基づく要求トルクTr*を駆動軸に出力して走行する(S240〜S260)。また、段差用制御フラグFに値1が設定された以降に車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなった以降は(S270〜S290)、目標車速V*を用いたフィードバック制御や上限トルクTm2maxを用いたトルク制限によって要求トルクTr*を制限したトルクを第2モータから駆動軸に出力する(S300〜S330)。
【選択図】図4

Description

本発明は、電動車両に関し、詳しくは、走行用の動力を出力する電動機と、前記電動機に電力を供給する蓄電装置と、を備える電動車両に関する。
従来、この種の電動車両としては、前輪をエンジンで駆動すると共に後輪をモータで回転駆動する四輪駆動車両において、前輪が段差に到達して段差を乗り越えようとしているときにモータのトルクを増加させ、前輪が段差を乗り越えたときにモータのトルクを減少させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、前輪の車輪速の減速度が所定値以上のときに前輪が段差を乗り越えようとしていると判定してモータのトルクを増加させ、車両の加速度の変化量が所定量以上のときに前輪が段差を乗り越えたと判定してモータのトルクを減少させることにより、段差の乗り越え時や乗り越え後の車両の挙動を安定化させるものとしている。
特開2007−230343号公報
上述のような電動車両では、制御をより簡易にすることが重要な課題の一つとされている。例えば、上述の車両では、車両が段差を乗り越える際のモータの制御のために、車両が段差を乗り越えようとしているか否かの判定と、車両が段差を乗り越えたか否かの判定との少なくとも2回の判定が必要であるため、段差の乗り越えに関する1回の判定によって段差の乗り越え時や乗り越え後の車両の挙動を安定化させることができれば、より好ましいと考えられる。
本発明の電動車両は、車両が段差を乗り越えやすくすることと段差を乗り越えた後に車両の加速を抑制することとをより簡易に行なうことを主目的とする。
本発明の電動車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の電動車両は、
走行用の動力を出力する電動機と、前記電動機に電力を供給する蓄電装置と、を備える電動車両であって、
車両が段差を乗り越えようとしているか否かを判定する段差判定手段と、
前記段差判定手段により車両が段差を乗り越えようとしていると判定された段差判定時以降に、アクセル操作量に基づいて前記段差判定時までに比して大きくなる傾向に走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記段差判定時以降に車速が予め定められた低車速閾値以下のときには前記設定された要求駆動力により走行するよう前記電動機を制御し、前記段差判定時以降に車速が前記低車速閾値より大きいときには前記設定された要求駆動力を車速の上昇が抑制されるように制限して得られる実行用駆動力により走行するよう前記電動機を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の電動車両では、車両が段差を乗り越えようとしているか否かを判定し、車両が段差を乗り越えようとしていると判定された段差判定時以降に、アクセル操作量に基づいて段差判定時までに比して大きくなる傾向に走行に要求される要求駆動力を設定する。そして、段差判定時以降に車速が予め定められた低車速閾値以下のときには設定された要求駆動力により走行するよう電動機を制御し、段差判定時以降に車速が低車速閾値より大きいときには設定された要求駆動力を車速の上昇が抑制されるように制限して得られる実行用駆動力により走行するよう電動機を制御する。したがって、段差判定時以降は、走行に要求される要求駆動力を大きくして走行するから、段差を乗り越えやすくすることができる。また、段差判定時以降は、車速が低車速閾値より大きいときには要求駆動力を車速の上昇が抑制されるように制限した駆動力により走行するから、段差を乗り越えたことの判定を行なうことなく、段差の乗り越えにより車速が上昇したときを含めて車速が上昇したときに更なる車速の上昇を抑制することができる。この結果、車両が段差を乗り越えやすくすることと段差を乗り越えた後に車両の加速を抑制することとをより簡易に行なうことができる。ここで、低車速閾値は、停車する際に許容される車速範囲の上限値であるものとすることもできる。また、車両が段差を乗り越えようとしているときには、走行中に車両が段差に到達して車両からの駆動力により段差を乗り越えようとしているときや、車両からの駆動力により停車状態から段差を乗りこえようとしているときなどが含まれる。
こうした本発明の電動車両において、前記制御手段は、前記段差判定時以降に車速が前記低車速閾値より大きいときには、車速が前記低車速閾値以下の値として予め定められた目標車速となるようにフィードバック制御を用いて算出される前記実行用駆動力により走行するよう前記電動機を制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、段差の乗り越えにより車速が上昇したときを含めて車速が上昇したときに更なる車速の上昇をより確実に抑制することができる。この場合、ブレーキ操作に拘わらず車両に制動力を付与可能な制動力付与手段を備え、前記制御手段は、前記実行用駆動力により走行するよう前記電動機と前記制動力付与手段とを制御する手段である、ものとすることもできる。
また、本発明の電動車両において、ブレーキ操作に応じて車両に制動力を付与しブレーキ操作に拘わらず車両に制動力を付与可能な制動力付与手段を備え、前記制御手段は、前記段差判定時以降にブレーキ操作がなされたときには、車速に拘わらず、該ブレーキ操作に応じて車両に制動力が付与されるよう前記制動力付与手段を制御する手段である、ものとすることもできる。
さらに、本発明の電動車両において、前記制御手段は、前記段差判定時以降に車速が前記低車速閾値より大きいときには、前記電動機の回転数に基づいて車速の上昇が抑制されるように該電動機の定格トルクより小さい上限トルクを設定すると共に該設定した上限トルクで前記設定された要求駆動力を制限して得られる前記実行用駆動力により走行するよう前記電動機を制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、段差の乗り越えにより車速が上昇したときを含めて車速が上昇したときに更なる車速の上昇をより確実に抑制することができる。
あるいは、本発明の電動車両において、前記制御手段は、前記段差判定時以降に車速が前記低車速閾値以下のときでも車速が前記低車速閾値より大きくなった以降は、前記実行用駆動力により走行するよう前記電動機を制御する手段である、ものとすることもできる。
また、本発明の電動車両において、前記要求駆動力設定手段は、前記段差判定時まではアクセル操作量と車速とに基づいて前記要求駆動力を設定し、前記段差判定時以降は少なくとも予め定められた低アクセル操作量領域ではアクセル操作量を大きくなるように補正して得られる制御用アクセル操作量と車速とに基づいて前記要求駆動力を設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、車両が段差を乗り越えようとしているときにより確実に段差を乗り越えやすくすることができる。
本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される段差関連判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 車両が段差を乗り越える際の様子の一例を示す説明図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 制御用アクセル開度設定用マップの一例を示す説明図である。 モータMG2の上限トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 車速Vが時間変化する様子の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 変形例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料とする内燃機関として構成されたエンジン22と、エンジン22のクランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号などエンジン22の状態を検出する各種センサからの信号を入力してエンジン22を運転するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪63a,63bにデファレンシャルギヤ62を介して連結された駆動軸32にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸32に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する図示しない回転位置検出センサからの信号などモータMG1,MG2やインバータ41,42の状態を検出する各種センサからの信号を入力すると共にインバータ41,42のスイッチング素子をスイッチング制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40と、例えばリチウムイオン電池などの二次電池として構成されてインバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ50と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、駆動輪63a,63bや従動輪64a,64b(以下、それぞれを車輪ともいう)のブレーキを制御するためのブレーキアクチュエータ92と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジンECU24は、図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数即ちエンジン22の回転数Neを演算しており、モータECU40は、図示しない回転位置検出センサからの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算しており、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために図示しない電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算すると共に、演算した残容量(SOC)と図示しない温度センサにより検出されたバッテリ50の温度とに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりしている。
ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキペダルの踏み込みに応じて生じるブレーキマスターシリンダ90の圧力(ブレーキ圧)と車速Vとにより車両に作用させる制動力におけるブレーキの分担分に応じた制動トルクが駆動輪63a,63bや従動輪64a,64bに作用するよう図示しないブレーキパッドを押圧するブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したり、ブレーキペダルの踏み込みに無関係に、駆動輪63a,63bや従動輪64a,64bに制動トルクが作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したりすることができるように構成されている。ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキ用電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという)94により制御されている。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバーの操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車両前後方向の速度を検出する車速センサ88からの車速V,車両前後方向の加速度を検出する加速度センサ89からの加速度αなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU92と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。なお、シフトポジションSPとしては、駐車ポジションやニュートラルポジション,前進走行用のドライブポジション,後進走行用のリバースポジションなどがある。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、加速度センサ89からの加速度αに基づいて路面の勾配(進行方向に対してのぼり勾配を正とする)を演算している。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸32に出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力が駆動軸32に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸32に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に走行中に後進走行により段差を乗り越えて停車する際の動作について説明する。図2はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される段差関連判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン22の運転が停止された状態でシフトポジションSPがリバースポジションのときに所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
段差関連判定ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、初期値として値0が設定され本ルーチンで段差用の制御を実行すべきと判定されたときに値1が設定される段差用制御フラグFを調べ(ステップS100)、段差用制御フラグFが値1のときには、一旦値1が設定された段差用制御フラグFの値を保持すると判断して、本ルーチンを終了する。
段差用制御フラグFが値0のときには、車両駆動力に基づいて推定される勾配θ1を算出し(ステップS110)、加速度センサ89からの加速度に基づいて演算された路面の勾配を勾配θ2として入力する(ステップS120)。図3に、車両が段差を乗り越える際の様子の一例を模式的に示す。図から分かるように、車両が段差を乗り越えようとしているときには、車両の駆動力が伝達される駆動輪等の車輪と段差とにより形成される勾配θ1は路面に対して大きくなり、実際の路面の勾配θ2よりも大きくなる。図中、実線は、駆動輪等の車輪が段差を乗り越えた後の路面が段差乗り越え前の路面と異なる面で略平行になる段差の例を示し、点線は、駆動輪等の車輪が段差を乗り越えた後の路面が段差乗り越え前の路面と略同一の面で略平行になる段差の例を示す。図中の一点鎖線を用いて表される勾配θ1の算出は、次式(1)に示すように、後述する駆動制御により所定時間(例えば数msecや十数msecなど)前に設定されたモータMG2のトルク指令Tm2*を換算して得られる車両の駆動力Fと、車両質量mと、モータMG2の回転数Nm2の時間微分や図示しない車輪速センサからの信号の時間微分により得られる加速度aと、重力加速度gとを用いて行なうことができる。ここで、モータMG2から出力されるトルクについて、実施例では、後進方向に出力するトルクを正の値として説明を行なう。なお、車速Vについても、実施例では、後進方向への車速Vを正の値として説明を行なう。
F=m・a + m・g・sinθ1 (1)
続いて、勾配θ1から勾配θ2を減じたものと勾配閾値θαとを比較する(ステップS130)。ここで、勾配閾値θαは、走行中に車両が段差に到達して段差を乗り越えようとしているか否かを判定するためのものであり、予め実験などにより求められた正の値を用いることができる。
勾配θ1から勾配θ2を減じたものが勾配閾値θα以下のときには、車両は段差を乗り越えようとしていないと判断し、本ルーチンを終了する。一方、勾配θ1から勾配θ2を減じたものが勾配閾値θαより大きいときには、車両は段差を乗り越えようとしていると判断し、入力した勾配θ2が勾配閾値θβより小さいか否かを判定する(ステップS140)。ここで、勾配閾値θβは、車両が後進方向に比較的大きな路面勾配の登坂路を走行しているか否かを判定するための閾値として予め実験などにより求められたものである。
勾配θ2が勾配閾値θβ以上のときには、比較的大きな路面勾配の登坂路を走行中であると判断し、そのまま本ルーチンを終了する。こうして路面の勾配θ2が勾配閾値θβ以上のときには、車両が段差を乗り越えようとしていると判断される状態でも段差用制御フラグFに値1を設定しないことにより、後述するようにモータMG2のトルク制限を行なったりする段差用の制御を実行することによる坂路走行性の低下などの不都合が生じるのを抑制することができる。
一方、勾配θ2が勾配閾値θβより小さいときには、比較的小さい路面勾配の登坂路か平坦路か降坂路を走行していると判断し、段差用制御フラグFに値1を設定して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。したがって、車両が段差を乗り越えようとしており且つ勾配θ2が勾配閾値θβより小さいときには、段差用の制御を実行すべきとして段差用制御フラグFに値1が設定される。以上、段差関連判定について説明した。次に後進走行用の駆動制御について説明する。
図4はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン22の運転が停止された状態でシフトポジションSPがリバースポジションのときに所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
リバース時駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,モータMG2の回転数Nm2,段差用制御フラグFなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。ここで、モータMG2の回転数Nm2は、図示しない回転位置検出センサからの信号に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。段差用制御フラグFは、初期値としての値0が設定されているか又は図2の段差関連判定ルーチンにより値1が設定されたものを入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したブレーキペダルポジションBPに基づいてブレーキオフされているか否かを判定すると共に(ステップS210)、入力した段差用制御フラグFを調べ(ステップS220)、ブレーキオフされており段差用制御フラグFが値0のときには、後進走行用の通常の制御を実行すると判断し、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸32に出力すべき要求トルクTr*を設定する(ステップS230)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。前述したように、実施例では、後進方向への車速Vを正の値とすると共に後進方向に出力するトルクを正の値としている。
続いて、設定した要求トルクTr*をモータMG2から出力すべきトルク指令Tm2*として設定し(ステップS240)、設定したトルク指令Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS340)、リバース時駆動制御ルーチンを終了する。トルク指令Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。このとき、モータMG1を駆動するためのインバータ41は駆動停止(ゲート遮断)されいている。こうした制御により、駆動軸32に要求トルクTr*を出力して走行することができる。
ステップS210,S220でブレーキオフされており段差用制御フラグFが値1のときには、段差用の制御を実行すると判断し、入力したアクセル開度Accに基づいて制御用アクセル開度Acc*を設定すると共に(ステップS250)、設定した制御用アクセル開度Acc*と入力した車速Vとに基づいて図4に例示した要求トルク設定用マップを用いて要求トルクTr*を設定する(ステップS260)。制御用アクセル開度Acc*は、実施例では、アクセル開度Accと制御用アクセル開度Acc*との関係を予め定めて制御用アクセル開度設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accが与えられると記憶したマップから対応する制御用アクセル開度Acc*を導出して設定するものとした。図6に制御用アクセル開度設定用マップの一例を示す。図示するように、制御用アクセル開度Acc*は、所定開度Aref以下の低アクセル開度領域を含むアクセル開度Accの全領域に対してアクセル開度Accよりも大きくなるように定められている。なお、所定開度Arefは、段差を乗り越える際に運転者がアクセルペダルを大きく踏み込まない傾向があることを考慮して、段差を乗り越える際に運転者がアクセルペダルを踏み込むと想定される範囲の上限開度として予め実験などにより定められたアクセル開度Accである。また、要求トルクTr*の設定は、実施例では、図5の要求トルク設定用マップのアクセル開度Accとして制御用アクセル開度Acc*を適用することにより行なうものとした。
こうして要求トルクTr*を設定すると、初期値として値0が設定され本ルーチンで車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなったときに値1が設定される低車速閾値判定フラグFvを調べると共に(ステップS270)、車速Vが低車速閾値Vrefより大きいか否かを判定し(ステップS280)、低車速閾値判定フラグFvが値0であり車速Vが低車速閾値Vref以下のときには、車速制限の必要はないと判断し、設定した要求トルクTr*をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定してこのトルク指令Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS240,S340)、リバース時駆動制御ルーチンを終了する。ここで、低車速閾値Vrefは、実施例では、車両が段差を乗り越えた後に車速Vが運転者により許容される範囲を超えて上昇しやすいことを考慮して、停車する際に許容される車速範囲の上限値として予め実験などにより定められたもの(例えば数km/h)を用いるものとした。こうした制御により、段差用制御フラグFが値1のときに車速Vが低車速閾値Vref以下のときには、アクセル開度Accより大きくなるよう補正した制御用アクセル開度Acc*に基づく要求トルクTr*を駆動軸32に出力するから、段差を乗り越えやすくすることができる。
ステップS270,S280で低車速閾値判定フラグFvが値0であり車速Vが低車速閾値Vrefより大きいときには、車速制限すべきと判断し、低車速閾値判定フラグFvに値1を設定すると共に(ステップS290)、車速Vが低車速閾値Vrefと同じ値として予め定められた目標車速V*となるように次式(2)により制限用トルクΔTlimを設定し(ステップS300)、設定した要求トルクTr*と制限用トルクΔTlimとの和を式(3)に示すように実行用トルクTx*として設定する(ステップS310)。式(2)は、車速Vを目標車速V*とするためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第1項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第2項の「k2」は積分項のゲインである。また、式(3)は、実行用トルクTx*をフィードフォワード項の要求トルクTr*とフィードバック項の制限用トルクΔTlimとの和としてフィードバック制御を用いて算出する式ということができる。なお、車速Vが低車速閾値Vrefより一旦大きくなると、次回以降に本ルーチンが実行されたときにステップS270で低車速閾値判定フラグFvが値1と判定され、ステップS280で車速Vと低車速閾値Vrefとを比較することなく、制限用トルクΔTlimや実行用トルクTx*を設定する以降の処理が実行される。ここで、車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなると、制限用トルクΔTlimが負の値に設定されるため、実行用トルクTx*は、要求トルクTr*を車速Vの上昇が抑制されるように制限して得られるトルクということができる。
ΔTlim=k1(V*-V)+k2∫(V*-V)dt (2)
Tx*=Tr*+ΔTlim (3)
続いて、モータMG2の回転数Nm2に基づいてモータMG2から出力可能なトルクの上限値である上限トルクTm2maxを設定すると共に(ステップS320)、設定した実行用トルクTx*を次式(4)により上限トルクTm2maxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS330)、設定したトルク指令Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS340)、リバース時駆動制御ルーチンを終了する。モータMG2の上限トルクTm2maxは、実施例では、モータMG2の回転数Nm2と上限トルクTm2maxとの関係を予め定めて上限トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、回転数Nm2が与えられると記憶したマップから対応する上限トルクを導出して設定するものとした。図7に上限トルク設定用マップの一例を示す。図中、破線は、モータMG2の回転数Nm2に基づく定格トルクを示す。図示するように、上限トルクTm2maxは、車両が低車速閾値Vrefで走行するときのモータMG2の回転数Nm2(駆動軸32の回転数)である所定回転数Nref以下の回転数Nm2の領域では、定格トルクと等しい値が設定され、所定回転数Nrefより大きい回転数Nm2の領域では、定格トルクより十分に小さい(車速Vの上昇が抑制されるように予め実験などにより十分小さく定められた)トルクが設定される。したがって、実行用トルクTx*を上限トルクTm2maxで制限して設定されるモータMG2のトルク指令Tm2*は、実行用トルクTx*を車速Vの上昇が抑制されるように制限して得られるトルクということができる。こうした制御により、段差用制御フラグFが値1のときに車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなった以降は、アクセル開度Accより大きくなるよう補正した制御用アクセル開度Acc*に基づく要求トルクTr*が設定されるが、車速Vの上昇が抑制されるように目標車速V*を用いたフィードバック制御と上限トルクTm2maxを用いたトルク制限とによって、要求トルクTr*を制限したトルクをモータMG2から駆動軸32に出力するから、車両が段差を乗り越えた後に車両が加速するときを含めて車速Vが上昇するときに更なる車速Vの上昇を抑制することができる。
Tm2*=min(Tx*, Tm2max) (4)
ステップS210でブレーキオフされているときには、本ルーチンを終了し、図示しないブレーキ操作時の駆動制御ルーチンが実行され、ブレーキペダルポジションBPに応じた制動トルクが駆動輪63a,63bおよび従動輪64a,64bに作用するようブレーキECU94によるブレーキアクチュエータ92の制御が行なわれて停車する。
図8に車速Vが時間変化する様子の一例を示す。図中、実線は実施例の場合を示し、破線は段差用制御フラグFの値に拘わらず要求トルクTr*により走行した場合の比較例を示す。時刻t1で車両が段差を乗り越えようとしていると判定されて段差用制御フラグFに値1が設定され、時刻t2で車両が段差を乗り越えると、比較例では、時刻t3以降に段差の乗り越えにより車速Vが急上昇する場合がある。これに対し、実施例では、時刻t3以降に車速Vによるフィードバック制御などによる車速制限が機能して停車前の安定した走行を行なうことができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、車両が段差を乗り越えようとしていると判定されて段差用制御フラグFに値1が設定された以降に、アクセル開度Accより大きくなるよう補正した制御用アクセル開度Acc*に基づく要求トルクTr*を駆動軸32に出力して走行するから、段差を乗り越えやすくすることができる。また、段差用制御フラグFに値1が設定された以降に車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなった以降は、低車速閾値Vrefとしての目標車速V*を用いたフィードバック制御や上限トルクTm2maxを用いたトルク制限によって要求トルクTr*を制限したトルクをモータMG2から駆動軸32に出力するから、段差を乗り越えたことの判定を行なうことなく、段差の乗り越えにより車速Vが上昇したときを含めて車速Vが上昇したときに更なる車速Vの上昇を抑制することができる。この結果、車両が段差を乗り越えやすくすることと段差を乗り越えた後に車両の加速を抑制することとをより簡易に行なうことができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、段差用制御フラグFが値1のときに車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなった以降は、車速Vの上昇が抑制されるようにフィードバック制御によって要求トルクTr*を制限する際に用いる目標車速V*は、低車速閾値Vrefと同じ値であるものとしたが、目標車速V*は低車速閾値Vrefより小さい値であるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、段差用制御フラグFが値1のときに、車速Vが低車速閾値Vref以下のうちは要求トルクTr*により走行し、車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなった以降は要求トルクTr*を制限したトルクにより走行するものとしたが、車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなった以降でも車速Vが低車速閾値Vref以下のときには要求トルクTr*により走行するものとしてもよい。この場合、図3のリバース時駆動制御ルーチンのステップS270,S290の処理を行なわないものとすればよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、段差用制御フラグFが値1のときに車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなった以降は、目標車速V*を用いたフィードバック制御および上限トルクTm2maxを用いたトルク制限によって要求トルクTr*を制限したトルクにより走行するものとしたが、上限トルクTm2maxを用いたトルク制限は行なわないものとしてもよい。この場合、目標車速V*を用いたフィードバック制御によって要求トルクTr*を制限したトルクにより走行するように、モータMG2に加えてブレーキアクチュエータ92を制御するものとしてもよい。このとき、図3のリバース時駆動制御ルーチンに代えて、図9のリバース時駆動制御ルーチンを実行すればよい。図9のルーチンでは、図4のルーチンのステップS310〜S330の処理に代えてステップS400〜S420の処理を実行する点を除いて、図4のルーチンと同一である。したがって、同一の処理については同一のステップ番号を付し、その図示や詳細な説明は省略する。図9のルーチンでは、制限用トルクΔTlimが設定されると、設定した制限用トルクΔTlimが値0以上であるか否かを判定し(ステップS400)、制限用トルクΔTlimが値0未満のときには、駆動軸32のトルクを車輪(駆動輪63a,63bおよび従動輪64a,64b)のトルクに換算するための換算係数kbと制限用トルクΔTlimとの積をブレーキアクチュエータ92により車輪に作用させるべきトルクであるブレーキトルク指令Tb*に設定してこのブレーキトルク指令Tb*をブレーキECU94に送信し(ステップS410)、要求トルクTr*をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定してこのトルク指令Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS240,S340)、リバース時駆動制御ルーチンを終了する。ブレーキトルク指令Tb*を受信したブレーキECU94は、駆動輪63a,63bおよび従動輪64a,64bにブレーキトルク指令Tb*に相当する制動トルクが作用するようブレーキアクチュエータ92を制御する。また、制限用トルクΔTlimが値0以上のときには、要求トルクTr*と制限用トルクΔTlimとの和のトルクをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定して(ステップS420)、設定したトルク指令Tm2*をモータECU40に送信し(ステップS340)、リバース時駆動制御ルーチンを終了する。こうした制御により、実施例における実行用トルクTx*に相当するトルクをモータMG2からの駆動トルクとブレーキアクチュエータ92による制動トルクとによって駆動軸32に出力することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、段差用制御フラグFが値1のときに車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなった以降は、目標車速V*を用いたフィードバック制御および上限トルクTm2maxを用いたトルク制限によって要求トルクTr*を制限したトルクにより走行するものとしたが、目標車速V*を用いたフィードバック制御によるトルク制限は行なわないものとしてもよい。この場合、図4のリバース時駆動制御ルーチンに代えて、図10のリバース時駆動制御ルーチンを実行すればよい。図10のルーチンでは、ステップS300,S310の処理を実行しない点と、ステップS330の処理に代えてステップS500の処理を実行する点とを除いて、図4のルーチンと同一である。したがって、同一の処理については同一のステップ番号を付し、その図示や詳細な説明は省略する。図10のルーチンでは、モータMG2の上限トルクTm2maxを設定すると、要求トルクTr*を上限トルクTm2maxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS500)、設定したトルク指令Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS340)、リバース時駆動制御ルーチンを終了する。こうした制御により、段差用制御フラグFが値1のときに車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなった以降は、要求トルクTr*を上限トルクTm2maxを用いたトルク制限によって制限したトルクにより走行することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、段差用制御フラグFが値1のときにはアクセル開度Accを大きくなるように補正して制御用アクセル開度Acc*を設定すると共に制御用アクセル開度Acc*と車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定するものとしたが、段差用制御フラグFが値1のときには制御用アクセル開度Acc*を設定することなくアクセル開度Accと車速Vとに基づいて、段差用制御フラグFが値0のときに比して大きくなるように要求トルクTr*を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、段差用制御フラグFが値1のときにアクセル開度Accに基づいて制御用アクセル開度Acc*を設定する際に、所定開度Aref以下の低アクセル開度領域を含むアクセル開度Accの全領域に対してアクセル開度Accよりも大きくなるように制御用アクセル開度Acc*を設定するものとしたが、所定開度Aref以下の低アクセル開度領域のみに対してアクセル開度Accよりも大きくなるように制御用アクセル開度Acc*を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、段差用制御フラグFが値1のときに車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなった以降は、要求トルクTr*を車速Vの上昇が抑制されるように制限して実行用トルクTx*を算出する際に、フィードフォワード項の要求トルクTr*とフィードバック項の制限用トルクΔTlimとの和としてフィードバック制御を用いて算出するものとしたが、フィードフォワード項の要求トルクTr*を用いずに、フィードバック項の制限用トルクΔTlimのみを用いて算出するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、シフトポジションSPが後進走行用のリバースポジションのときの制御に適用して説明したが、シフトポジションSPが前進走行用のドライブポジションのときの制御に適用するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、車両が段差を乗り越えようとしており且つ勾配θ2が勾配閾値θβより小さいときには段差用制御フラグFに値1を設定するものとしたが、勾配θ2に拘わらず、車両が段差を乗り越えようとしていると判定されたときに段差用制御フラグFに値1を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、車両の駆動力に基づいて算出される勾配θ1と加速度センサ89からの加速度に基づいて演算される勾配θ2とを比較して車両が段差を乗り越えようとしているか否かを判定するものとしたが、これに代えて、加速度センサ89からの加速度が負の閾値未満となる減速状態であるか否かによって車両が段差を乗り越えようとしているか否かを判定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、走行中に後進走行により段差を乗り越えて停車する際の動作に適用して説明したが、後進走行により停車状態から段差を乗り越えて停車する際の動作に適用するものとしてもよい。
実施例では、プラネタリギヤ30にエンジン22のクランクシャフトとモータMG1の回転軸とモータMG2が接続された駆動軸32とが接続されたハイブリッド自動車20に適用して説明したが、プラネタリギヤを介さずに車軸に連結された駆動軸に動力を出力可能なエンジンおよびモータを備えるハイブリッド自動車に適用してもよいし、エンジンを備えずにバッテリからの電力を用いてモータからの動力を車軸に連結された駆動軸に出力して走行する電気自動車に適用するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電装置」に相当し、図2の段差関連判定ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「段差判定手段」に相当し、段差用制御フラグFに値1が設定されたとき以降に段差用制御フラグFに値1が設定されるまでに比して大きな要求トルクTr*を設定する図4のリバース時駆動制御ルーチンのステップS250,S260の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求駆動力設定手段」に相当し、段差用制御フラグFに値1が設定された以降に車速Vが低車速閾値Vref以下のうちは要求トルクTr*をトルク指令Tm2*に設定してそのトルク指令Tm2*をモータECU40に送信し、段差用制御フラグFに値1が設定された以降に車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなったとき以降は車速Vの上昇が抑制されるように車速Vのフィードバック制御により設定される制限用トルクΔTlimやモータMG2の定格トルクを制限して得られる上限トルクTm2maxによって要求トルクTr*を制限したトルクに相当するトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する図4のリバース時駆動制御ルーチンのステップS300〜S340の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とトルク指令Tm2*でモータMG2を駆動制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。また、駆動輪63a,63bや従動輪64a,64bに制動力を付与可能なブレーキアクチュエータ92が「制動力付与手段」に相当する。
ここで、「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、走行用の動力を出力するものであれば如何なるタイプであっても構わない。「蓄電装置」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など、電動機に電力を供給するものであれば如何なるタイプであっても構わない。「段差判定手段」としては、勾配θ1と勾配θ2との比較によって判定するものに限定されるものではなく、車両が段差を乗り越えようとしているか否かを判定するものであれば如何なるものとしても構わない。「要求駆動力設定手段」は、段差用制御フラグFに値1が設定されたとき以降に段差用制御フラグFに値1が設定されるまでに比して大きな要求トルクTr*を設定するものに限定されるものではなく、段差判定手段により車両が段差を乗り越えようとしていると判定された段差判定時以降に、アクセル操作量に基づいて段差判定時までに比して大きくなる傾向に走行に要求される要求駆動力を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく、単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、段差用制御フラグFに値1が設定された以降に車速Vが低車速閾値Vref以下のうちは要求トルクTr*をトルク指令Tm2*に設定してモータMG2を駆動制御し、車速Vが低車速閾値Vrefより大きくなった以降は車速Vの上昇が抑制されるように車速Vのフィードバック制御により設定される制限用トルクΔTlimやモータMG2の定格トルクを制限して得られる上限トルクTm2maxによって要求トルクTr*を制限したトルクに相当するトルク指令Tm2*を設定してモータMG2を駆動制御するものに限定されるものではなく、段差判定時以降に車速が予め定められた低車速閾値以下のときには設定された要求駆動力により走行するよう電動機を制御し、段差判定時以降に車速が低車速閾値より大きいときには設定された要求駆動力を車速の上昇が抑制されるように制限して得られる実行用駆動力により走行するよう電動機を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。また、「制動力付与手段」としては、ブレーキアクチュエータ92に限定されるものではなく、ブレーキ操作に拘わらず車両に制動力を付与可能なものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、電動車両の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、32 駆動軸、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 従動輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、82 シフトポジションセンサ、84 アクセルペダルポジションセンサ、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 加速度センサ、90 ブレーキマスターシリンダ、92 ブレーキアクチュエータ、94 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、96a〜96d ブレーキホイールシリンダ、MG1,MG2 モータ。

Claims (6)

  1. 走行用の動力を出力する電動機と、前記電動機に電力を供給する蓄電装置と、を備える電動車両であって、
    車両が段差を乗り越えようとしているか否かを判定する段差判定手段と、
    前記段差判定手段により車両が段差を乗り越えようとしていると判定された段差判定時以降に、アクセル操作量に基づいて前記段差判定時までに比して大きくなる傾向に走行に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    前記段差判定時以降に車速が予め定められた低車速閾値以下のときには前記設定された要求駆動力により走行するよう前記電動機を制御し、前記段差判定時以降に車速が前記低車速閾値より大きいときには前記設定された要求駆動力を車速の上昇が抑制されるように制限して得られる実行用駆動力により走行するよう前記電動機を制御する制御手段と、
    を備える電動車両。
  2. 請求項1記載の電動車両であって、
    前記制御手段は、前記段差判定時以降に車速が前記低車速閾値より大きいときには、車速が前記低車速閾値以下の値として予め定められた目標車速となるようにフィードバック制御を用いて算出される前記実行用駆動力により走行するよう前記電動機を制御する手段である、
    電動車両。
  3. 請求項2記載の電動車両であって、
    ブレーキ操作に拘わらず車両に制動力を付与可能な制動力付与手段を備え、
    前記制御手段は、前記実行用駆動力により走行するよう前記電動機と前記制動力付与手段とを制御する手段である、
    電動車両。
  4. 請求項1記載の電動車両であって、
    前記制御手段は、前記段差判定時以降に車速が前記低車速閾値より大きいときには、前記電動機の回転数に基づいて車速の上昇が抑制されるように該電動機の定格トルクより小さい上限トルクを設定すると共に該設定した上限トルクで前記設定された要求駆動力を制限して得られる前記実行用駆動力により走行するよう前記電動機を制御する手段である、
    電動車両。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の電動車両であって、
    前記制御手段は、前記段差判定時以降に車速が前記低車速閾値以下のときでも車速が前記低車速閾値より大きくなった以降は、前記実行用駆動力により走行するよう前記電動機を制御する手段である、
    電動車両。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載の電動車両であって、
    前記要求駆動力設定手段は、前記段差判定時まではアクセル操作量と車速とに基づいて前記要求駆動力を設定し、前記段差判定時以降は少なくとも予め定められた低アクセル操作量領域ではアクセル操作量を大きくなるように補正して得られる制御用アクセル操作量と車速とに基づいて前記要求駆動力を設定する手段である、
    電動車両。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016168904A (ja) * 2015-03-12 2016-09-23 富士重工業株式会社 車両制御装置
US9776634B2 (en) 2012-08-16 2017-10-03 Jaguar Land Rover Limited Vehicle speed control system and method employing torque balancing

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