JP2012217692A - 歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の歯ブラシは、複数の植毛穴が形成され、該植毛穴に複数の用毛を束ねた毛束が植毛されたヘッド部10と、ヘッド部10に延設されたハンドル部とを備える歯ブラシにおいて、ヘッド部10の基端から先端に向かう、植毛領域12の長さL2の35〜75%の領域に、ヘッド部10の基端から先端に向かう植毛領域12の中心線Mを挟んで隣接する側縁毛束同士が、植毛領域12における中心線Mと直交する方向の長さL4の25〜50%の距離で離間して植毛されて形成された一対の側縁毛束群と、該一対の側縁毛束群の間に、中央毛束が植毛されて形成された中央毛束群とを備え、中央毛束の毛丈は、側縁毛束の毛丈の90%以下である。
【選択図】図2
Description
歯ブラシによって清掃される口腔内の部位は、歯頸部、歯間部、歯面、奥歯に大別される。歯ブラシの植毛パターンは、前記部位のうち、清掃性を特に高めたい部位に応じて適宜設定されている。
例えば、特許文献1には、歯間部の清掃性を向上させる歯ブラシとして、ヘッド部の植毛領域を、ヘッド部の基端から先端に向かう植毛領域の中心線付近の中央帯状領域と、該中央帯状領域を挟んだ外側領域とに区分し、中央帯状領域の毛材の平均毛丈を、外側領域の毛材の平均毛丈よりも長くしたものが提案されている。
また、特許文献2には、各個人の口腔内状況に適応させることを目的として、植毛領域の中央に無植毛部を1つ設けた歯ブラシが提案されている。
特許文献3には、口腔内の自浄作用のない領域を磨くことを目的として、植毛領域の基端側が開口したV字状に毛束が植毛された歯ブラシが提案されている。
そこで、本発明は、歯頸部および歯面の清掃性が共に高く、且つ、歯頸部清掃時および歯面清掃時の使用感に優れ、ブラッシング時の安定性が高い歯ブラシを提供することを目的とする。
[1]複数の植毛穴が形成され、該植毛穴に複数の用毛を束ねた毛束が植毛されたヘッド部と、該ヘッド部に延設されたハンドル部とを備える歯ブラシにおいて、前記ヘッド部の基端から先端に向かう、植毛領域の長さの35〜75%の領域に、前記ヘッド部の基端から先端に向かう植毛領域の中心線を挟んで隣接する側縁毛束同士が、前記植毛領域における前記中心線と直交する方向の長さの25〜50%の距離で離間して植毛されて形成された一対の側縁毛束群と、該一対の側縁毛束群の間に、中央毛束が植毛されて形成された中央毛束群とを備え、前記中央毛束の毛丈は、前記側縁毛束の毛丈の90%以下の毛丈であることを特徴とする歯ブラシ。
[2]前記側縁毛束および前記中央毛束が植毛される植毛穴が穴断面積1.6mm2以下とされていることを特徴とする、[1]に記載の歯ブラシ。
[3]前記側縁毛束の用毛の少なくとも一部は、毛先に向かって漸次その径が小さくなる用毛であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の歯ブラシ。
[4]前記側縁毛束の用毛の少なくとも一部は、芯部と該芯部の外側に設けられた少なくとも1層以上の鞘部とを備える多重芯構造を有し、毛先に向かって漸次その径が小さくなるポリエステル製用毛であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の歯ブラシ。
図1に、本実施形態の歯ブラシの側面図を示す。本実施形態の歯ブラシ1は、毛束11が植毛されたヘッド部10と、ヘッド部10に延設された長尺状のハンドル部20とを備える。
前記樹脂は、歯ブラシ1に求める剛性や機械特性等を勘案して決定でき、例えば、曲げ弾性率(JIS K7203)が500〜3000MPaの範囲にある高硬度樹脂を用いることによって、歯ブラシ1に必要とされる機械特性が得られる。このような高硬度樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート(CP)、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS)等が挙げられる。これらは1種又は複数種を用いることができる。
また、ハンドル部20においては、把持性を向上させるため、例えばエラストマーなどの柔軟な樹脂が部分的又は全体に被覆されていてもよい。
本発明では、ヘッド部10における毛束が植毛された領域12のことを、「植毛領域12」という。詳細には、植毛領域12は、最外側の各植毛穴13の穴縁の最外部分を結んだ際に得られる仮想線Tによって囲まれる領域である。この仮想線Tは隣接する植毛穴13,13同士の接線を構成する。
なお、本明細書では、側縁毛束群を有する側縁領域12a,12aの間に位置し、中央毛束群を有する領域のことを「中央領域12b」という。
また、側縁毛束11a,11a同士の離間距離L3は、中心線Mと直交する方向の植毛領域12の長さL4の25〜50%の距離である。前記L3は、詳細には、中心線Mを挟んで隣接する側縁毛束11aが植毛された植毛穴13の最内側同士の距離である。また、前記L4は、詳細には、中心線Mと直交する方向において、植毛領域12の一方の側端側に位置する植毛穴13の最外側と、他方の側端側に位置する植毛穴13の最外側との距離である。
前記L1が、前記L2の35%未満であると、側縁毛束11aの割合が減少し、歯頸部の清掃性が不充分になり、75%を超えると、歯面部および全体の使用感のバランスが損なわれる。また、先端毛束11cの割合が減少するため、ブラッシングの安定性が低下する傾向にある。
前記L3が、前記L4の25%未満であると、中央毛束11bの植毛スペースとして不充分であり、中央毛束11bを植毛しても、植毛量が足らず、ブラッシング圧に中央毛束群が耐えられない。一方、前記L3が、前記L4の50%を超えると、歯頸部への進入性が損なわれる。
テーパー毛としては、例えば、両端がテーパー加工されたもの、片端のみテーパー加工されたもの、1本の毛に多数の先鋭部が形成されたものなどが挙げられる。
なお、側縁毛束11aと中央毛束11bと先端毛束11cにおいては、テーパー毛とストレート毛とが混在していても構わない。
これらの樹脂材料は、複数組み合わせて用いてもよく、中でも、容易にコシを強くでき、歯垢の掻き取り性がより高くなる点では、複数のポリエステルの混合物が好ましい。
また、用毛は、芯部と該芯部の外側に設けられた少なくとも1層以上の鞘部とを備える多重芯構造を有するポリエステル製用毛も好ましい。多重芯構造を有すると、芯部と鞘部とで異なるポリエステルを用いることができるため、機械的物性の調整が容易になる。そのため、コシの強く、歯垢の掻き取り性がより高い用毛を容易に得ることができる。
横断面が円形の場合、コシが強くなって歯垢の掻き取り効果がより高くなることから、用毛の太さ(最大径)は6mil以上が好ましい。ただし、用毛として、多重芯構造を有する用毛やポリエステル混合物からなる用毛を用いてコシを強くした場合には、6mil未満であっても高い掻き取り効果が得られる。
また、使用感や、刷掃感、清掃効果、耐久性など考慮して、太さの異なる複数本の用毛を任意に組み合わせて用いてもよい。
さらに、歯ブラシ1においては、図3に示すように、中央毛束11bの毛丈は、側縁毛束11aの毛丈の90%以下、好ましくは70〜30%である。中央毛束11bの毛丈は、側縁毛束11aの毛丈の90%以下であることによって、中央毛束11b上の側縁毛束11a,11aの間に空間が形成される。なお、本発明において、毛束の毛丈とは、ヘッド部10の毛束が植毛された面(植毛面)上の高さ、すなわち、植毛面から毛束先端(最も長い用毛の先端)までの距離のことである。
中央毛束11bの毛丈が側縁毛束11aの毛丈の90%を超える範囲で短いもしくは同等もしくは長い場合には、歯頸部の清掃性、歯頸部使用時の使用感が損なわれる傾向にある。
側縁毛束11aと中央毛束11bと先端毛束11cは、各々、用毛の長さが全て同一でもよいし、同一でなくてもよい。
平線を打ち込む方法では、用毛を複数本束ねて二つ折りにし、その間に平線と呼ばれる抜止め具を挟んで植毛穴に打ち込むことによって、毛束11を各植毛穴13に植毛する。
平線は、植毛穴13の中心部を通り、且つ、植毛穴13を跨ぐように植毛穴13に打設されている。平線の材質としては、例えば、真鍮やステンレスなどの金属を挙げることができ、その他にも硬質プラスチックや生分解性プラスチックなどを挙げることができる。
平線の長さや幅、厚みは、毛束11や植毛穴13に合わせて任意に調整すればよいが、通常、平線の長さは植毛穴13の直径よりも大きく、平線の幅は植毛穴13の深さよりも小さくされる。また、平線の厚みを調節することによって、毛束11を植毛穴13内に確実に固定して空隙を少なくすることができる。また、平線は、植毛穴13からの抜けを防ぐため、植毛穴13の両側からはみ出した部分の長さの合計が0.3〜0.6mmであることが好ましい。
上記穴断面積にするために、植毛穴13が円形である本実施形態の場合、側縁毛束11aおよび中央毛束11bが植毛された植毛穴13の直径は、1.4mm以下であることが好ましく、1.3mm以下であることがより好ましい。
また、植毛穴13の直径は生産可能な最小径以上であることが好ましく、毛束の過度な撓みや疎毛感を抑制する点では、1.0mm以上であることがより好ましい。
これに対し、本実施形態の歯ブラシ1は、中央毛束11bの毛丈が側縁毛束11aの毛丈よりも短く、中央毛束11b上の側縁毛束11a,11aの間に空間が形成されるため、スクラブ法で歯磨きする場合には、図4(b)に示すように、側縁毛束11a同士で互いに支えあうことを抑制でき、側縁毛束11aが撓みやすく、毛先の歯頸部への進入性が高くなる。
また、側縁毛束11aが撓んで開いたことによって、中央毛束11bが歯面Cに当接しやすくなるため、歯面Cの清掃性が向上する。さらに、中央毛束11bが歯面Cに当接することによって、ヘッド部10を支持すると共に歯面Cからヘッド部10までの距離を一定化させることができる。これにより、安定した状態で、歯面Cを清掃すると共に側縁毛束11aを歯頸部に進入させることができる。
以上のことから、本実施形態の歯ブラシ1は、歯頸部および歯面の清掃性が高く、且つ、歯頸部清掃時および歯面清掃時の使用感に優れている。
また、本実施形態の歯ブラシ1においては、側縁毛束11aの毛丈と中央毛束11bの毛丈との高低差を調整することによって、歯頸部の清掃性と歯面の清掃性のバランスを容易に変更できる。
植毛穴13の形状は特に限定されず、例えば、円形、楕円形、四角形などであってもよい。
植毛穴13の配列は、格子配列である必要はなく、千鳥配列や非対称な配列、その他どのような配列でもよい。中心線Mに対して植毛穴13の配列が対称である必要もない。
また、中央領域12bは矩形状でなくてもよい。ただし、中央領域12bの形状は、中央領域12bに隣接する植毛穴13の配列により決定される。植毛穴13の配列が、中心線Mに対して非対称である場合は、中央領域12bは線対称でない複雑な形状となる。
また、本発明の歯ブラシは電動歯ブラシ用のブラシとして使用してもよい。本発明の歯ブラシを電動歯ブラシ用のブラシに用いても、歯頸部および歯面の清掃性が高く、且つ、歯頸部清掃時および歯面清掃時の使用感に優れる。
ヘッド部に側縁毛束と中央毛束と先端毛束が植毛された歯ブラシを作製した。各毛束が植毛された植毛穴の穴径、用毛の種類(表中、「ST」はテーパー毛のことである。)、平均毛丈を、表1〜4に示すようにした。また、L1/L2×100(%)が35〜75%、L3/L4×100(%)が25〜50%になるように植毛穴を設け、用毛の太さは7.5milとした。
また、実施例2,3,12,13,14,15については、毛開き耐久性を評価した。評価結果を表4に示す。
ライオン株式会社製ブラッシングマシーンを用い、顎模型の歯牙に塗布した人工歯垢の除去率を測定した。下顎第1大臼歯と頬側面に人工歯垢を塗布し、各実施例および各比較例の歯ブラシを用い、刷掃条件(ブラッシング力=200g、ストローク=20mm、速度=40mm/秒)で刷掃試験を行った。その後、歯頸部および歯面について、人工歯垢が除去された部分の面積を画像解析により測定し、歯垢除去率を(歯垢除去面積/歯頸部全面積)×100(%)の式より求めた。
[使用感]
7人のテスターが、7日間、各実施例および各比較例の歯ブラシを使用し、ブラッシングした際の歯頸部と歯面の磨き心地について使用感を官能評価にて評価した。評価は1点〜7点の7段階とし、点数が高い程、良好な使用感とした。
[毛開き耐久性]
モデル耐久性試験機で所定回数(5万回)刷掃する前後の、ヘッドに植毛された植毛群の植毛部幅(ハンドル長手方向に対して直角方向の用毛群の毛先位置での全幅)の変化量を「毛開き率」としてパーセント表示したもの。このときに測定する部分は最も外側を向いた毛束を計測し、以下の基準で評価した。
毛開き率(%)=[(刷掃後の植毛部幅−刷掃前の植毛部幅)/(刷掃前の植毛部幅)]×100
5点:40%未満
4点:40%以上50%未満
3点:50%以上60%未満
2点:60%以上70%未満
1点:70%以上
表1〜3において、上記歯垢除去率および使用感より判定される総合評価は以下の通りである。
◎:歯頸部の歯垢除去率が80%以上、歯面の歯垢除去率が70%以上且つ歯頸部と歯面に対しての使用感が共に4点以上のもの。
○:歯頸部の歯垢除去率が70%以上80%未満、歯面の歯垢除去率が60%以上70%未満且つ歯頸部と歯面に対しての使用感が共に4点以上のもの。
×:上記以外のもの。
表4において、上記歯垢除去率および毛開き耐久性より判定される総合評価は以下の通りである。
◎:毛開き耐久性4点以上かつ歯頸部歯垢除去率80%以上のもの。
○:毛開き耐久性3点以上かつ歯頸部歯垢除去率70%以上のもの。
これに対し、中央毛束の毛丈が側縁毛束及び先端毛束の毛丈と等しい比較例1の歯ブラシ、中央毛束の毛丈が側縁毛束及び先端毛束の毛丈よりも長い比較例2の歯ブラシは、歯頸部および歯面の両方に対して歯垢除去率が低く、また、歯頸部清掃時の使用感が損なわれていた。
L3がL4の69%である比較例3、L1がL2の23%である比較例5は、歯頸部清掃時の使用感が不充分であった。
L1がL2の81%である比較例4は、歯頸部清掃時の使用感が不充分であった。
また、実施例1と実施例5と実施例6の結果より、中央毛束をストレート毛とすることにより、歯面の歯垢除去率が向上し、歯面清掃時の使用感が向上することが判明した。
また、実施例2,3,12,13,14の結果より、中央毛束の毛丈が短くなる程、毛開き耐久性が低くなった。歯頸部歯垢除去率を加味した総合評価では、中央毛束の毛丈が側縁毛束及び先端毛束の毛丈の30〜70%である実施例3,12,13が良好な結果を示した。
また、実施例15と実施例3との結果より、側縁毛束に二重芯構造のテーパー毛を用いると、単一材料で構成されたテーパー毛よりも、耐久性及び歯頸部の歯垢除去率が高くなることが判明した。テーパー毛を二重芯構造にしたことにより、剛性がより高くなり、側縁毛束の汚れの掻き取り力が向上したと考えられる。
10 ヘッド部
11 毛束
11a 側縁毛束
11b 中央毛束
11c 先端毛束
12 植毛領域
12a 側縁領域
12b 中央領域
13 植毛穴
20 ハンドル部
C 歯面
M 中心線
Claims (4)
- 複数の植毛穴が形成され、該植毛穴に複数の用毛を束ねた毛束が植毛されたヘッド部と、該ヘッド部に延設されたハンドル部とを備える歯ブラシにおいて、
前記ヘッド部の基端から先端に向かう、植毛領域の長さの35〜75%の領域に、前記ヘッド部の基端から先端に向かう植毛領域の中心線を挟んで隣接する側縁毛束同士が、前記植毛領域における前記中心線と直交する方向の長さの25〜50%の距離で離間して植毛されて形成された一対の側縁毛束群と、該一対の側縁毛束群の間に、中央毛束が植毛されて形成された中央毛束群とを備え、
前記中央毛束の毛丈は、前記側縁毛束の毛丈の90%以下であることを特徴とする歯ブラシ。 - 前記側縁毛束および前記中央毛束が植毛される植毛穴が穴断面積1.6mm2以下とされていることを特徴とする、請求項1に記載の歯ブラシ。
- 前記側縁毛束の用毛の少なくとも一部は、毛先に向かって漸次その径が小さくなる用毛であることを特徴とする、請求項1または2に記載の歯ブラシ。
- 前記側縁毛束の用毛の少なくとも一部は、芯部と該芯部の外側に設けられた少なくとも1層以上の鞘部とを備える多重芯構造を有し、毛先に向かって漸次その径が小さくなるポリエステル製用毛であることを特徴とする、請求項1または2に記載の歯ブラシ。
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