JP2012217395A - ベーコン類の製造方法 - Google Patents

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【課題】スモークの豊かな香りを付け、食感が良く、うま味に優れたベーコン類の製造方法を提供する。
【解決手段】塩せき剤を加える前または塩せき剤を加えた後にブロック状の原料肉を長尺な棒状に切断して長尺状原料肉3とし、切断した後に該長尺状原料肉を吊るし、吊るした後にくん煙して作製する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ベーコン類の製造方法に関するものである。
食肉加工品であるハム類、ソーセージ類、ベーコン類は、消費者のニーズや調理法に合わせて様々な製品が生産されている。この中で、ベーコン類は原料や製造方法の違いにより、幾つかの名称に定義されている。ベーコン類の日本農林規格またはハム・ソーセージ類の表示に関する公正競争規約によると、ベーコン類にはベーコン、ロースベーコン、ショルダーベーコン等が含まれる。ベーコン、ロースベーコン、ショルダーベーコンの原料はそれぞれ骨付きのものを含めて、豚のばら肉、豚のロース肉、豚の肩肉であり、これらを整形、塩せきおよびくん煙して作製したものである。他に、ミドルベーコン、サイドベーコンはそれぞれ豚の胴肉、豚の半丸枝肉を塩せきおよびくん煙したものであり、無塩せきベーコンはベーコン類の原料肉を、発色剤を用いずに塩づけしたものを用いて作製したものである。
塩せきとは、食塩や香辛料等に発色剤を加えて調製したものに食肉を漬け込むことであり、保存性を良くして風味を高める効果がある。塩せきするためには、食塩と発色剤の他、香り、辛み、色を付け、においを消す効果のある香辛料、味付けに必要な調味料、加工や保存の目的で使われる食品添加物を入れたものを使用して漬け込む。
塩せきには、乾塩せき法、湿塩せき法がある。乾塩せき法は、食塩、発色剤、香辛料等の混合物を原料肉に直接擦り込む方法である。低温で長時間静置して原料肉中の水分を抜くので、うま味を引き出す効果が高く、味が凝縮される利点があるが味や品質のバラつきが生じやすい。湿塩せき法は、原料肉を塩せき液に浸漬する方法と原料肉に注射機で塩せき液を注入する方法の2つがある。浸漬する方法は食塩、発色剤等を水に溶かし、香辛料等を入れた塩せき液に原料肉を漬け込む方法で、塩せき液の濃度を変えることで味の調節をしやすい利点がある。注入する方法は、多数の針の付いた注射機で原料肉中に塩せき液を注入する方法である。注射後は低温で静置するか、揉みほぐして衝撃を与え、原料肉への塩せき液の浸透を促進させ、塩せき時間を短縮できる。
塩せきした原料肉に、くん煙処理を施すことで、原料肉に色と香りを付けるだけではなく、表面の菌の増殖を抑えたり、殺菌したりして保存性を高めている。
従来のベーコン類は、ブロック状の原料肉を塩せき、くん煙処理等を施してブロック状のベーコン類の原木を製造し、このブロック状のベーコン類の原木を適した大きさにスライスまたはカットして市販されている。ブロック状の原料肉をくん煙処理するには、金属製の箱型のカゴで、リテーナと呼ばれるものに収納した原料肉を用いることもあり、他に、むき出しのままの原料肉を用いることもある。これらのブロック状の原料肉を棚に載置するか吊るし、その後乾燥、くん煙処理を施してブロック状のベーコンの原木を製造する。
従来のベーコン類について、豚のばら肉と肩肉とを積み重ねて、蓋付きの型箱内に入れてくん煙加熱処理をして作製した、脂肪分が少なくて、うま味を損なうことのないベーコンが特許文献1に開示されている。一方、豚ばら肉に穴を空け、塩せき液と豚ばら肉を回転式マッサージ機に入れてマッサージして、塩せき期間を短縮し、塩せきスペースを節約して、作業性を保ちながら、発色状態の良いベーコンの製造法が特許文献2に開示されている。また、原料肉を通電加熱用ケーシングに詰めて通電加熱を行い、通電加熱された原料肉を乾燥およびくん煙処理を施すことで、原料肉の成形工程や成形時間、乾燥およびくん煙処理時間を大幅に短縮し、生産性を大きく向上させることができるベーコンの製造方法が特許文献3に開示されている。
特開平10−179091号公報 特開平6−339338号公報 特開2004−321138号公報
ベーコン類の中で、豚ばら肉を使用して作製するベーコンは、様々な製品や製造方法がある。ブロック状の豚ばら肉を整形、塩せき、くん煙等の一連の製造工程を経てベーコンを製造する。これを必要に応じてスライスまたはカットして包装したものが製品として販売されている。
しかし、豚ばら肉がスモークに触れるのは、その表面だけであるので、切断していない大きなブロック状の豚ばら肉を用いて作製したベーコンの中心部は、加熱されているもののスモークの香りが付いていない。このため、ブロック状のベーコンをスライスまたはカットした製品は、スモークの香りを十分に味わうことができないという課題がある。
一方、ブロック状の豚ばら肉にスモークの香りを十分に付けるため、長時間掛けてくん煙したり、チップの使用量を増やしたりすると、肉の表面は固くなり過ぎて食感が悪くなり、表面だけに香りが付き過ぎてベーコンのうま味が損なわれてしまう。
また、豚ばら肉をリテーナと呼ばれる金属製のカゴに入れて吊るした状態や、網棚等に載せて横にした状態でくん煙すると、スモークに触れる豚ばら肉の表面積が小さくなり、スモークの香りを効率良く十分に付けることができない。
そこで本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、スモークの豊かな香りを付け、食感が良く、うま味に優れたベーコン類の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のベーコン類の製造方法は次の構成を備える。すなわち本発明は、塩せき剤を加える前または塩せき剤を加えた後にブロック状の原料肉を長尺な棒状に切断して長尺状原料肉とし、切断した後に該長尺状原料肉を吊るし、吊るした後にくん煙して作製することを特徴とする。この製造方法によれば、ブロック状の原料肉を長尺な棒状に切断し、長尺状原料肉を吊るしながらくん煙しているので、スモークと原料肉との接触面積を大きくして、長尺状原料肉の表面に効率良くスモークの香りを付けることができる。更に、ベーコン類のうま味が損なわれず、食感が良いベーコン類を製造できる。
また、前記長尺状原料肉の長尺方向が上下となるように吊るしてくん煙することで、場所を取らずにくん煙炉中に並べることができ、スモークの香りを十分かつ適度に付け、うま味が損なわれず食感の良いベーコン類を製造できる。
前記原料肉を豚ばら肉とすることで、スモークの香りを十分に味わうことができるベーコンを製造できる。
本発明に係るベーコン類の製造方法によれば、切断した長尺状原料肉の表面にスモークの豊かな香りを効率良く付けることができ、ベーコン類のうま味が損なわれず、食感が良いベーコン類を製造できる。
本発明に用いるブロック状の豚ばら肉(原料肉)を長尺状に切断する前の形態の一例を示す説明図である。 本発明に用いるブロック状の豚ばら肉(原料肉)を長尺状に切断した後の形態の一例を示す説明図である。 切断した豚ばら肉(原料肉)を長尺方向が上下となるように吊るしている形態の一例を示す説明図である。
以下、本発明によるベーコン類の製造方法の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
原料肉の豚肉の品種は、食肉加工品のベーコン類に適していればどのような種類でもよく、ランドレース種、大ヨークシャー種、デュロック種、バークシャー種等があり、これらの品種を掛け合わせた品種でも良い。前述のように、ベーコン類の原料肉は豚肉と定義されるものである。本願で使用する原料肉は、豚ばら肉だけに限定されるものではなく、例えばロース肉、肩肉、胴肉、半丸枝肉等の他の部位を使用しても良い。製品に応じて原料肉から、ばら、ロース、肩等の必要な部位を切り取り、使用する部位によってベーコン、ロースベーコン、ショルダーベーコン等品名が変わる。
図1に原料肉の例として、赤身1、脂身2等から成るブロック状の豚ばら肉を長尺状に切断する前の形態の一例を示す。原料肉よっては、骨、皮、脂肪、スジ等が残っているので、食べやすさ、食感、嗜好等、目的とする製品の内容に合わせてこれらを切り取っても良い。
原料肉(豚ばら肉)は生肉だけではなく、食肉の流通や衛生面を考慮して冷凍肉を使用しても良い。冷凍された原料肉(豚ばら肉)の解凍方法は、冷蔵室で解凍することが、衛生上または味等の品質上にも好ましいが、これに限られた解凍方法だけではなく、例えば自然解凍、冷水中で解凍、水を注水しながら解凍しても良い。冷蔵室の温度は菌の繁殖を抑え、解凍できればいずれの温度でも構わないが、衛生上10℃以下であることが好ましい。
骨、皮、脂肪、スジ等を予め取り除き、整形して冷凍された原料肉(豚ばら肉)だけではなく、骨、皮、脂肪、スジ等が付いたまま冷凍された原料肉(豚ばら肉)を解凍前後に取り除いたものを使用しても良い。このように、余分な脂肪や骨等を取り除き、整形した原料肉(豚ばら肉)を使用しても良いが、無整形のままのものを使用しても良い。
以降、原料肉の例として豚ばら肉を使用して作製するベーコンについて述べる。
塩せき方法は様々な方法があり、いずれの方法で塩せきしても良い。例えば、豚ばら肉に食塩、発色剤、香辛料等の混合物を直接擦り込む乾塩せき法、食塩、発色剤等を水に溶かして香辛料等を入れた塩せき液に豚ばら肉を漬け込む方法、多数の針の付いた注射機で原料肉中に塩せき液を注入する方法等がある。塩せき剤、塩せき液の種類を変え、これらの方法から1つ以上の方法を組み合わせて、数回に分けて塩せきしても良い。味や品質を安定させ、作業のしやすさや価格を抑えることを考慮すれば、豚ばら肉を塩せき液に漬け込む方法、豚ばら肉に塩せき液を注射機で注入する方法が好ましく、この2つの塩せき方法を組み合わせても良い。また塩せき後は塩せき液の浸透を促し、柔らかくするため、豚ばら肉を機械等で揉みほぐしたり、衝撃を加えたりしても良い。
塩せき時に必ず使用する物は食塩、発色剤であり、塩せき液に含まれるものの内、食肉以外の原材料は、食塩、発色剤の他に糖類、結着材料、食品添加物は調味料、結着補強剤、酸化防止剤の他、着色料である。この他に香辛料やpH調整剤、甘味料、香辛料抽出物等を必要に応じて加えても良く、これらの食肉以外の副原材料と食品添加物を組み合わせて使用できる。
塩せき液に含まれる食塩の量は最終製品であるベーコンに好適な塩味が付けば良い。過剰なものでなければ、特に限定されるものではないが、好ましくは豚ばら肉100gに対して1.2〜2.5gである。この他の原材料は、糖類として還元水あめ、乳糖等を加え、糖類は味を調えるために使われる。結着材料はベーコンの保水性を高め、形状を保ち、食感を良くするために加えられる。結着材料として大豆タンパク等の植物性たん白、卵たん白を加え、他にも乳たん白、血液たん白等を使用しても良い。
発色剤は亜硝酸ナトリウムを加え、他にも硝酸カリウム、硝酸ナトリウムを使用しても良い。発色剤は塩せき工程で使用され、一定期間漬け込むことで、食肉中の色素を変化させ、淡赤色を発現させる。この他にボツリヌス菌を抑制する効果、酸化を防止する効果、消臭効果がある。
この他の食品添加物として以下のものが挙げられる。食品添加物としての調味料は、味を調えたり、補ったりする目的で加えられる。アミノ酸系のL−グルタミン酸ナトリウムを加え、他にも核酸系の5’−イノシン酸二ナトリウム、有機酸系のコハク酸二ナトリウム、無機塩系の塩化カリウム等を肉の風味を損なわない程度に加えても良い。結着補強剤には、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等の重合リン酸塩等が使われる。結着補強剤は肉中の水分を保持し、結着性を良くする目的で使用する。酸化防止剤はL−アスコルビン酸塩ナトリウムを加え、他にエリソルビン酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール等を使用しても良く、添加した亜硝酸を還元して、残存する亜硝酸根を少なくする効果がある。他にもコチニール色素等の着色料を必要に応じて加えてもよい。
豚ばら肉を塩せき液に漬け込み、冷蔵庫内で熟成する。塩せきに漬け込む期間は塩せき液が十分に染み込み、効果が表れれば特に限定されるものではないが、期間は5日以上であり、5日で十分となる。塩せき液を注入する場合は、1日以上であれば十分となる。また、塩せき液に漬け込む時の温度は衛生面から、低温であることが好ましく、0〜10℃であり、5〜10℃がより好適である。塩せき液を注入する場合でも低温で作業することが好ましい。
塩せきしたブロック状の豚ばら肉を切断する。図2にブロック状の豚ばら肉を長尺状に切断した後の形態の例として、長辺方向に切断して長尺な棒状とした長尺状豚ばら肉3の形態を示す。図2の切断方向はブロック状の豚ばら肉の長辺方向であり、この方向に沿って切断したものである。切断方向は特に限定されず、短辺方向に沿っても良く、また製品形態に合わせて長尺状なベーコンとなれば、どのような方向でも良い。豚ばら肉の切断は、塩せき前後のどちらでも良く、組み合わせた塩せき方法の場合、例えば、漬け込む方法と注入する方法を組み合わせて塩せきする場合には、塩せきと塩せきの工程の間に豚ばら肉を切断しても良い。ブロック状の豚ばら肉の切断は、吊るして乾燥する工程の前ならいつでも良く、特に限定されるものではないが、作業効率を考慮すると、ブロック状の豚ばら肉を塩せき液に漬け込んでから切断するのが適している。
図2に示すように、ブロック状の豚ばら肉を長尺な棒状に切って長尺状豚ばら肉とする。ブロック状豚ばら肉の切断は長尺な棒状になるように切断するもので、図2のように切断することに限定されるものではなく、その長さは必要に応じて適宜変更できる。すなわち、図2に示すような長尺な棒状の豚ばら肉の短辺はもちろんのこと、長辺を更に短くして、2以上の数の長尺状豚ばら肉とすることもできる。このように切断することで、長尺状豚ばら肉の重量を変更でき、最終製品の重量に合わせて長尺状豚ばら肉の長さを適宜変更できる。肉のうま味や特に豚ばら肉の脂身と赤身が層状に重なっていることを考慮すれば、厚さ方向に切断しなくてもいい。
ブロック状の豚ばら肉から切断した長尺状豚ばら肉の大きさは、好ましくは、短辺の長さと長辺の長さの比が、1対3から1対20の範囲になり、かつ長辺の長さが15cm以上60cm以下となる。このように切断した時の長尺状豚ばら肉の重量は200〜1000gとなる。これは、吊るして乾燥、くん煙工程を経て作製されたベーコンに十分なスモークの香りを長時間掛けなくても付けられようになり、固くなり過ぎずに食感が良い長尺状ベーコンを製造するのに好適な形態である。
塩せき、切断工程または切断、塩せき工程を経た長尺状豚ばら肉を吊るす。図3に長尺な棒状に切断した豚ばら肉を、長尺方向が上下となるように吊るす道具の例として、金具4で長尺状豚ばら肉を通し、金属製の棒5に掛けている時の形態の一例を示す。このように、長尺状に切断した豚ばら肉の長尺方向が上下となるように吊るすことが、豚ばら肉の表面にスモークを触れさせ、行き渡らせるためには好ましい。更に1本ずつ間隔を空け吊るすことがより好ましい。豚ばら肉を吊るす道具は形状、材質は加温しても変形せず、豚ばら肉に影響を与えないものであればどのようなものでも良い。また、吊るす豚ばら肉の本数とその間隔は十分にくん煙される条件であればどのような値でも良い。長尺状豚ばら肉はどのような方法で吊るしても良いが、リテーナ等の金属製のカゴに入れて吊るすのではなく、むき出しのままの方がより好ましい。このように、長尺方向が上下となるように吊るすことで、スモークの香りを十分かつ適度に付け、うま味が損なわれず食感の良い長尺状ベーコンを製造できる。
吊るした豚ばら肉を乾燥させ、くん煙して保存性を高める。乾燥とくん煙工程を行う装置、機械は特に限定されなく、大型の装置や簡易的な機械でもいいが、同一の炉やくん煙室で行い、移動させなくても作製できることが作業効率や衛生の点で好ましい。くん煙はスモークの香りを付けることができれば、くん煙工程を段階的に分けて行うこともできるが、一度だけても十分である。また、豚ばら肉を加熱しながらくん煙し、その乾燥およびくん煙条件は豚ばら肉が加熱される温度と時間であれば良い。好ましくは乾燥温度60〜75℃、乾燥時間40〜60分、くん煙時間65〜80℃、くん煙時の湿度10〜90%、くん煙時間10〜40分である。くん煙で使用する木材の種類と形態および量は限定されるものではないが、スモークの香りが良い種類の木材で、十分かつ好適にくん煙できる形態、量であれば良い。例えば、スモークチップ、スモークウッドを使用しても良い。更に、サクラ、ブナ、ナラ、リンゴ、クルミ等の種類を用いることができる。十分かつ好適にくん煙できる量は、くん煙炉に豚ばら肉250〜350kgを入れた時に、サクラチップで、3.5〜4.5kgの範囲である。
くん煙処理された長尺状ベーコンを肉の中心温度が63℃で30分間維持されるように再加熱する。これは食品衛生法に基づいて加熱されるものである。中心温度が63℃で30分間維持される条件、またはこの条件と同等以上の条件で加熱し、湿度97%未満の定湿乾燥状態で行う。
再加熱して作製した長尺状ベーコンを直ちに冷却して、肉質を引き締め、菌が増えるのを防ぐ。冷却条件は長尺状ベーコンを冷やすことができればどのような方法でも良いが、冷蔵庫に入れるか、冷却装置で強制的に冷やすことが好ましい。
冷却後の長尺状ベーコンの表面をアルコール殺菌する。ただし、殺菌方法はその効果を示す方法であればどのような方法で殺菌しても良い。
殺菌した長尺状ベーコンを製品の形態に合わせてスライスまたはカットして包装する。長尺状ベーコンは製造したままの大きさで包装しても良く、カットまたはスライスして製品の形態に合わせた大きさのベーコンを包装しても良い。包装方法は保存性が良くなればどのような包装でも良く、真空包装や窒素ガスを充填して包装しても良いが、真空包装の方が製品の劣化が進みにくく好ましい。
予め骨、脂肪を切り取って冷凍された豚ばら肉4kgを10℃以下の冷蔵室で解凍した。豚ばら肉を塩せき液に漬け込み塩せきした。塩せき条件は、塩せきに漬け込む期間は5日であり、温度は5〜10℃である。
塩せき液に含まれているものの種類と量は以下の通りである。
豚ばら漬け込み肉100g当たり1.4g(1.4%)の食塩と発色剤の亜硝酸ナトリウム0.01g、糖類の還元水あめ3g、乳糖1g、結着材料の卵たん白3g、大豆たん白1gである。更に食品添加物として、結着補強剤の重合リン酸塩0.3g、調味料のグルタミン酸ナトリウム0.15g、酸化防止剤のL−アスコルビン酸ナトリウム0.06gで、着色料のコチニールを加えた。
ブロック状の豚ばら肉を塩せき液に漬け込んでから切断した。切断したブロック状の豚ばら肉の形状は、幅3〜5cm、長さ15〜60cm、厚さ3〜6cmの範囲で、長尺状に切断した豚ばら肉の重量は200〜1000gの範囲とした。
長尺状に切断した豚ばら肉を長尺方向が上下となるように1本ずつ間隔を空け、むき出しの状態で吊るした。吊るした豚ばら肉を乾燥させ、くん煙した。くん煙回数は一度だけである。くん煙炉に豚ばら肉300kgを入れ、乾燥およびくん煙した。条件は、乾燥温度60〜75℃、乾燥時間40〜60分、くん煙時間65〜80℃、くん煙時の湿度10〜90%、くん煙時間10〜40分である。チップの種類と量はさくらチップで、4kg使用した。
くん煙後、肉の中心温度が63℃で30分間維持されるよう、またはこれと同等以上の条件で再加熱し、湿度97%未満の定湿乾燥状態で再加熱した。加熱後直ちに作製した長尺状ベーコンを冷蔵庫や冷却装置で強制的に冷却した。冷却後の長尺状ベーコンをアルコール殺菌し、殺菌した長尺状ベーコンを真空包装した。また、長尺状ベーコンをカットまたはスライスしたベーコンは窒素ガスを充填して包装した。
1 豚ばら肉の赤身
2 豚ばら肉の脂肪
3 長尺な棒状に切断した長尺状豚ばら肉
4 金具
5 金属棒

Claims (3)

  1. 塩せき剤を加える前または塩せき剤を加えた後にブロック状の原料肉を長尺な棒状に切断して長尺状原料肉とし、切断した後に該長尺状原料肉を吊るし、吊るした後にくん煙して作製することを特徴とするベーコンの製造方法。
  2. 前記長尺状原料肉の長尺方向が上下となるように吊るしてくん煙する請求項1に記載のベーコンの製造方法。
  3. 前記原料肉を豚ばら肉とする請求項1または2に記載のベーコンの製造方法。
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