JP2009159825A - 食肉製品の製造方法、及び食肉製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】亜硝酸塩を発色剤として用いずに、発色性に優れた食肉製品を提供することを目的とする。
【解決手段】食肉と、2価又は3価の金属を含有する金属塩と、アスコルビン酸又はその塩とを含有し、pHを6.2〜8に調整した食肉組成物を調製する食肉調製工程を備えることを特徴とする食肉製品の製造方法を用いる。そうすることによって、発色剤として、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩を用いずに、食肉本来の色を充分に維持することができ、また、加熱により退色することも抑制しうる。
【選択図】なし
【解決手段】食肉と、2価又は3価の金属を含有する金属塩と、アスコルビン酸又はその塩とを含有し、pHを6.2〜8に調整した食肉組成物を調製する食肉調製工程を備えることを特徴とする食肉製品の製造方法を用いる。そうすることによって、発色剤として、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩を用いずに、食肉本来の色を充分に維持することができ、また、加熱により退色することも抑制しうる。
【選択図】なし
Description
本発明は、発色性に優れた食肉製品の製造方法、及び食肉製品に関する。
ハムやソーセージ等の食肉製品は、経時的に、又は、製造時の加熱により、食肉本来の鮮やかな赤色が退色して、見た目が悪くなることが知られている。
食肉本来の鮮やかな赤色は、食肉に含まれるミオグロビンのヘム鉄の6位に酸素が結合したときの、2価の状態のヘム鉄によるものである。このような鮮やかな赤色の食肉を空気中に放置すると、褐色を示すようになる。これは、ミオグロビンの2価のヘム鉄が、6位に結合した酸素が水分子に置き換わることにより生成する、3価の状態のヘム鉄によると考えられている。
従来から、上記のような食肉製品の退色を抑制する方法として、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩を発色剤として食肉に添加する方法が知られている。具体的には、例えば、亜硝酸ナトリウムの存在下で食肉を塩漬した場合には、亜硝酸塩に由来する一酸化窒素をヘム鉄の6位に結合させることにより、ヘム色素のヘム鉄を2価の状態で維持することができる。このメカニズムは、以下のように説明できる。
生肉に含有されるグリコーゲンは、畜肉の死後の解糖作用により分解されて乳酸を生じる。このとき、生肉はpH5.5〜6.0程度の酸性状態にある。そして、この酸性状態において、亜硝酸塩を存在させることにより、次のように亜硝酸HNO2を生成する。
NaNO2+CH3CHOHCOOH(乳酸)→HNO2+CH3CHOHCOONa
そして、亜硝酸は次の反応により還元されて硝酸と一酸化窒素NOを生じる。
そして、亜硝酸は次の反応により還元されて硝酸と一酸化窒素NOを生じる。
3HNO2→HNO2+2NO+H2O
この反応は、細菌の代謝系や、筋肉中に存在するNADH、又は、還元性グルタチオンによって生じると考えられる、比較的緩慢な還元作用である。従来、このような還元作用を急速に行うために、アスコルビン酸塩等の還元剤を発色助剤として用いる方法も知られている。
この反応は、細菌の代謝系や、筋肉中に存在するNADH、又は、還元性グルタチオンによって生じると考えられる、比較的緩慢な還元作用である。従来、このような還元作用を急速に行うために、アスコルビン酸塩等の還元剤を発色助剤として用いる方法も知られている。
そして、次の反応に示すように、生成した一酸化窒素が還元型ミオグロビンの6位のFe2+と結合することにより、ミオグロビンのヘム鉄が2価の状態で維持されると考えられている。
Mb(還元型ミオグロビン、Fe2+)+NO→MbNO
近年、食品添加物の含有量を削減した食品を好む消費者の志向がある。そこで、亜硝酸塩を使用せずに製造された食肉製品が販売されている。しかしながら、亜硝酸塩を使用しないと、食肉の赤色が退色し、見た目の悪い食肉製品となる。このため、亜硝酸塩を使用せずに、発色性に優れた食肉製品を製造する方法が検討されている。
近年、食品添加物の含有量を削減した食品を好む消費者の志向がある。そこで、亜硝酸塩を使用せずに製造された食肉製品が販売されている。しかしながら、亜硝酸塩を使用しないと、食肉の赤色が退色し、見た目の悪い食肉製品となる。このため、亜硝酸塩を使用せずに、発色性に優れた食肉製品を製造する方法が検討されている。
例えば、下記特許文献1には、赤身食肉の少なくとも表面層のpHを高めることにより、赤身食肉の色調を保持する方法が開示されている。しかしながら、このような方法により得られる食肉は、加熱調理された場合には、退色するという問題があった。
また、下記特許文献2には、炭酸カルシウムを主成分とする組成物からなる蓄肉加工品用発色剤を食肉に添加した場合には、亜硝酸塩等の発色剤を用いたときのような発色を示す食肉が得られることが開示されている。しかしながら、このような技術によっても、亜硝酸塩等の発色剤を用いたときに比べると、充分な発色を示さないという問題があった。
また、下記特許文献3には、アミノ酸又はその塩と金属塩とを含有する魚蓄肉食品が、亜硝酸塩等の発色剤を用いたときのような発色を示すことが開示されている。しかしながら、このような技術によっても、亜硝酸塩等の発色剤を用いたときに比べると、充分な発色を示さないという問題があった。
特開平7−213253号公報
特開2003−93015号公報
特開昭48−1159号公報
本発明は、亜硝酸塩を発色剤として用いずに、発色性に優れた食肉製品を提供することを目的とする。
本発明の発色性に優れた食肉製品の製造方法は、食肉と、2価又は3価の金属を含有する金属塩と、アスコルビン酸又はその塩とを含有し、pHを6.2〜8に調整した食肉組成物を調製する食肉調製工程を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、発色剤として、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩を用いずに、食肉本来の色を充分に維持することができ、また、加熱により退色することも抑制しうる。
前記食肉調製工程は、塩基性化合物により前記食肉組成物のpHを6.2〜8に調製する工程であることが好ましい。前記食肉調製工程におけるpHは、塩基性化合物を添加することにより容易に調整することができる。
前記食肉調製工程は、前記食肉と、前記2価又は3価の金属を含有する金属塩と、前記アスコルビン酸塩と、前記塩基性化合物とを混合することにより前記食肉組成物を調製する工程であることが好ましい。このような構成によれば、例えば、ひき肉等のような食肉を用いて、発色性に優れたソーセージ等の食肉製品を製造することができる。
前記食肉調製工程は、2価又は3価の金属を含有する金属塩と前記アスコルビン酸又はその塩と前記塩基性化合物とを含有する水溶液に浸漬する工程であることが好ましい。このような構成によれば、ブロック肉のような食肉を用いて、発色性に優れたハムやベーコン等を製造できる。
前記塩基性化合物としては、塩基性無機化合物を用いることが、pHを調整する効果が高い点から好ましい。
また、前記塩基性化合物は、塩基性アミノ酸であることが、pHを調整する効果が高く、さらに、味や風味を低下させにくい点から好ましい。
また、前記2価又は3価の金属を含有する金属塩としては、アルミニウム、マグネシウム、鉄、及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の無機酸塩又は有機酸塩であることが、赤色色調の発色性が高い点から好ましい。
また、本発明の発色性に優れた食肉製品は、食肉と、2価又は3価の金属を含有する金属塩と、アスコルビン酸又はその塩とを含有し、pH6.2〜8であることを特徴とする。このような食肉製品は、食肉本来の発色を充分に示し、かつ、その発色が長期間、又は、加熱工程を経ても維持しうるものである。
また、前記食肉製品の形態としては、ハム類、ベーコン類、ソーセージ類、ローストビーフ、ハンバーグ、焼豚等の形態が挙げられる。
本発明によれば、発色剤として、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩を用いずに、食肉本来の色を発色し、また、加熱により退色したりすることを抑制しうる食肉製品が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の食肉製品の製造方法は、食肉と、2価又は3価の金属を含有する金属塩と、アスコルビン酸又はその塩とを含有し、pHを6.2〜8に調整した食肉組成物を調製する食肉調製工程を備えることを特徴とするものである。本発明によれば、アスコルビン酸又はその塩により食肉中のミオグロビンやヘモグロビンに含有されるヘム鉄が2価に還元される。また、食肉組成物のpHを6.2〜8に維持することにより、食肉組成物中で、前記金属塩に由来するアニオンを充分に生成させることができる。そして、生成したアニオンが2価のヘム鉄と結合して錯体を形成することにより、2価のヘム鉄の状態を安定に維持すると考えられる。そして、その結果、優れた発色性が得られると考えられる。
本発明に用いられる食肉としては、通常、食用として使用されるものであれば、特に限定されない。その具体例としては、例えば、牛肉、豚肉、馬肉、羊肉、山羊肉等の畜肉、家禽肉、家兎肉、鰹や鮪等の魚肉、及び鯨肉等が挙げられる。また、その形態としては、ブロック状であって、ひき肉状であってもよい。
前記2価又は3価の金属を含有する金属塩としては、アルミニウム、マグネシウム、鉄、及びカルシウム等の2価又は3価の金属の無機酸塩(例えば、硫酸塩、炭酸塩等)又は有機酸塩(例えば、乳酸塩等)であれば、特に限定なく用いられる。このような金属塩の具体例としては、例えば、3価の硫酸塩である硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO4)2)、2価の硫酸塩である硫酸マグネシウム、硫酸鉄、2価の乳酸塩である乳酸カルシウム等が挙げられる。
このような金属塩の水溶液は、弱酸性〜弱アルカリ性、具体的には、pH6.2〜8の領域でアニオンを形成する。具体的には、例えば、硫酸アルミニウムカリウムを弱酸性〜弱アルカリ性の条件で水に溶解した場合、下記式に表されるような反応を示す。
AlK(SO4)2+H2O→Al(OH)3+2SO4 2−+K++3H+
Al(OH)3+OH−→Al(OH)4 −
2価又は3価の金属塩は、上記のように、水に溶解した際に、水酸化物と過剰に結合してアニオンの状態で存在する。これに対して、1価の金属塩は、このようなアニオンの状態にはならない。したがって、1価の金属塩では、本発明の効果を達成できない。
Al(OH)3+OH−→Al(OH)4 −
2価又は3価の金属塩は、上記のように、水に溶解した際に、水酸化物と過剰に結合してアニオンの状態で存在する。これに対して、1価の金属塩は、このようなアニオンの状態にはならない。したがって、1価の金属塩では、本発明の効果を達成できない。
そして、食肉に含まれるミオグロビンのヘム色素の2価のヘム鉄の6位に、このようなアニオンを結合することによって、ヘム鉄が2価の状態を維持することができる。それにより食肉が鮮やかな赤色を示す。
前記金属塩の配合量は、食肉100質量部に対して、0.01〜1質量部、さらには、0.04〜0.2質量部であることが好ましい。前記金属塩の配合量が少なすぎる場合には、発色性を高めるという効果が不充分になる傾向があり、多すぎる場合には、食肉製品に苦味が発生する等、食感や味に影響するという傾向がある。
前記アスコルビン酸又はその塩は、食肉に含有されるヘモグロビンやミオグロビン等のヘム色素のヘム鉄を還元させるために添加される成分である。食肉に含まれるヘモグロビンやミオグロビンのヘム鉄は、通常、空気と接触してその一部が3価の状態(Fe3+)で存在する。このような場合に、3価のヘム鉄は、アスコルビン酸又はその塩と接触することにより、鮮やかな赤色を示す2価のヘム鉄(Fe2+)に還元される。
前記アスコルビン酸塩の具体例としては、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム等の食品に添加可能な還元能力を有するもの等が挙げられる。このような、アスコルビン酸又はその塩の配合量としては、食肉100質量部に対して、0.01〜1質量部、さらには、0.02〜0.1質量部であることが好ましい。前記アスコルビン酸又はその塩の配合量が少なすぎる場合には、2価のヘム鉄が少なくなるために、前記金属塩に由来するアニオンが2価のヘム鉄に結合することによる発色効果が不充分になる傾向があり、また、多すぎる場合には、添加量に比例した効果は得られず、さらに、味に影響するという傾向がある。
本発明の食肉組成物は、pH6.2〜8、好ましくはpH6.3〜6.6に調整されている。このような範囲にpHを調整することにより、金属塩に由来するアニオンを充分に生成させることができる。また、pH6.3〜6.6に調整することによって、味に対する影響を低減させることができる。なお、通常の食肉のpHは、グリコーゲンの解糖により、6.0以下、一般的には5.8以下である。このような低いpHにおいては、金属塩がアニオンを充分に生成しない。
食肉組成物のpHを調整する方法としては、食肉組成物に塩基性化合物を添加する方法が挙げられる。このような塩基性化合物としては、食品用として用いられうる塩基性化合物であれば、特に限定なく用いられるが、特には、得られた食肉製品の味に影響がでにくいように、少量の添加でpHを調整することができる塩基性化合物を添加することが好ましい。その具体例としては、例えば、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3:重曹)や炭酸ナトリウム等の炭酸金属塩等の塩基性無機化合物;アルギニン、リジン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。
前記塩基性化合物の配合量は、食肉組成物のpHを6.2〜8に調整する範囲であればよい。なお、食肉組成物のpHは、食肉組成物にプローブを直接挿入することにより、pHを測定することができるニードル型pH計や、水で3〜4倍に希釈し、その水溶液に挿入することで側定するスリーブ型pH計(例えば、METTLER TOLEDO製Seven Multi)を用いることにより測定することができる。
本発明における食肉調製工程は、前記食肉と前記金属塩と前記アスコルビン酸又はその塩とを配合し、必要に応じて、さらに、前記塩基性化合物を配合することにより、pHを6.2〜8の範囲に調整する工程である。
このような食肉調製工程の具体例としては、例えば、前記食肉と、前記2価又は3価の金属を含有する金属塩と、前記アスコルビン酸又はその塩と、前記塩基性化合物とを混合することにより前記食肉組成物を調製する工程が挙げられる。このような工程は、例えば、食肉加工分野において食肉を塩漬けするための工程として知られている塩漬工程で行うことが、工程が簡素化される点から好ましい。以下に、塩漬工程で本発明の食肉組成物を調製する工程について詳しく説明する。
前記塩漬工程とは、食肉を、食塩や調味料等を含有する塩漬剤に漬け込む工程である。具体的には、食塩や調味料等とともに、前記金属塩や前記アスコルビン酸又はその塩を含有する塩漬剤と食肉とを混合することにより、食肉組成物を調製する。この際、pHを6.2〜8に調整する。そして、所定の時間、放置することにより、食肉を塩漬剤に漬け込む。
前記塩漬剤を食肉に加える方法としては、例えば、食肉のひき肉、前記金属塩、及び前記アスコルビン酸又はその塩と、塩漬剤、及び、必要に応じて配合される塩基性化合物や水とを混合してpHを6.2〜8に調整する方法、予め調製された塩漬剤の溶液(ピックル液)に食肉を浸漬させる方法、ピックル液をインジェクターで食肉の内部に注入する方法等が挙げられる。また、塩漬工程とは別個の工程として、食肉調製工程を設けてもよい。すなわち、例えば、予め本発明における食肉組成物を調製する食肉調製工程で処理した後、亜硝酸塩を含有しない塩漬剤で塩漬する、いわゆる無塩塩漬法による塩漬工程で処理してもよい。
前記塩漬剤に含有される成分としては、食塩の他,グルタミン酸ナトリウム等の調味料、砂糖、乳糖及びブドウ糖等の糖類、大豆たんぱく質、卵たんぱく質、乳たんぱく質、血液たんぱく質、カゼイン、及び澱粉等の結着材料、重合リン酸塩等の結着補強剤、カゼインナトリウム等の乳化安定剤、ソルビン酸カリウム等の保存料、香辛料、甘味料、着色剤、及び乳酸菌等が挙げられる。
本発明において調整された食肉組成物は、公知の食肉製品の製造法に従って、さらに、成形処理や薫製処理やボイル処理等のような加熱処理が行われる。
成形処理は、目的とする食肉製品に応じて、食肉組成物を成形する。具体的には、例えば、ソーセージ類を製造する場合には、ひき肉状の食肉組成物を羊や豚等に由来するケーシング、又は人工的に製造されたケーシングに充填する。また、ハム類やベーコン類を製造する場合には、ブロック状の食肉組成物を所定の形状に切断してもよい。
また、前記加熱工程としては、例えば、成形された食肉組成物の燻製処理やボイル処理等が挙げられる。
本発明における食肉製品としては、食肉を原料として製造される食品であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ロースハム、ボンレスハム及びプレスハム等のハム類、フランクフルトソーセージ及びウインナーソーセージ等のソーセージ類、ロースベーコン等のベーコン類、ローストビーフ、ハンバーグ及び焼豚などが挙げられる。
[検討例]
(検討例1〜12)
ミオグロビンを用いて発色性を検討した結果について以下に説明する。
(検討例1〜12)
ミオグロビンを用いて発色性を検討した結果について以下に説明する。
試験管内の蒸留水又はpH5.5のリン酸−クエン酸緩衝液に、表1に示す配合割合で各種成分を混合することにより、総量10mlの混合液を調製した。そして、得られた混合液を35℃で12時間反応させた後(加熱処理前)、及び、さらに75℃で20分間加熱処理した後の発色状態を以下の方法により評価した。
各液体を幅10mmのセルに入れ、色差計(MINOLTA製CT−210)を使用して、各液体の色差(a値)を測定し、以下の基準により評価した。なお、a値が大きいほど赤みが鮮やかなことを示す。結果を表1に示す。
− :a値が20未満である。
+ :a値が20以上30未満である。
++ :a値が30以上40未満である。
+++:a値が40以上である。
− :a値が20未満である。
+ :a値が20以上30未満である。
++ :a値が30以上40未満である。
+++:a値が40以上である。
表1に示した結果から、3価の金属塩である硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)とアスコルビン酸塩とを含有し、pHを7以上に調整した検討例1〜3は、亜硝酸ナトリウムを含有する検討例11,12と同様に、鮮やかな赤色に発色した。一方、2価又は3価の金属塩を含有しない検討例4,5,9、pHが6.2未満である検討例6,7、アスコルビン酸塩を含有しない検討例8、及びアスコルビン酸塩を含有するが、2価又は3価の金属塩を含有せず、pHが6.2未満である検討例10の場合には、赤色を発色しなかった。
以上より、ミオグロビンと、3価の金属塩である硫酸アルミニウムカリウムとアスコルビン酸塩とを含有するpHが7以上に調整された水溶液においては、加熱前及び加熱後においても、鮮やかな赤色を発色することが分かった。
(検討例13〜19)
表2に示す配合組成により混合液を調製した以外は検討例1〜12と同様にして混合液を調製し、評価した。結果を表2に示す。
表2に示す配合組成により混合液を調製した以外は検討例1〜12と同様にして混合液を調製し、評価した。結果を表2に示す。
表2に示した結果から、2価又は3価の金属を含有する金属塩を配合した検討例13〜16は、鮮やかな赤色を発色したのに対して、1価の金属を含有する金属塩を配合した検討例17〜19では、赤色を発色しなかった。このことから、ミオグロビンを鮮やかな赤色に発色させるためには、2価又は3価の金属を含有する金属塩が必要であることがわかった。
(検討例20〜23)
表3に示す配合組成により混合液を調製した以外は検討例1〜12と同様にして混合液を調製し、評価した。結果を表3に示す。
表3に示す配合組成により混合液を調製した以外は検討例1〜12と同様にして混合液を調製し、評価した。結果を表3に示す。
表3に示した結果から、pHが6.2以上に調整されている検討例2,3,20〜22においては、鮮やかな赤色を発色した。一方、pHが6.2未満である検討例6,7,23においては、赤色を発色しなかった。このことから、pHを6.2以上に調整することにより、ミオグロビンが鮮やかな赤色を発色することがわかる。
[実施例]
(実施例1、及び比較例1〜5)
豚肉に由来する赤肉のひき肉1kgに対し、表4に示す配合組成に従って、各種成分を配合し、充分混合することによりpHを6.2〜8に調整した食肉組成物を調製した。なお、このときの食肉組成物のpHは、METTLER TOLEDO製Seven Multiにより測定された。そして、調製された食肉組成物を48時間放置した。
(実施例1、及び比較例1〜5)
豚肉に由来する赤肉のひき肉1kgに対し、表4に示す配合組成に従って、各種成分を配合し、充分混合することによりpHを6.2〜8に調整した食肉組成物を調製した。なお、このときの食肉組成物のpHは、METTLER TOLEDO製Seven Multiにより測定された。そして、調製された食肉組成物を48時間放置した。
48時間放置後の食肉組成物を真空脱気した後、塩化ビニル製のケーシングに充填し、80℃の湯浴で30分間、ボイルした後、塩化ビニル製のケーシングから食肉組成物を取り出した。
得られた食肉組成物の発色状態を、以下の方法により評価した。
得られた食肉組成物を切断して、MINOLTA製CR−300を使用して、各食肉組成物の切断面の色差(a値)を測定し、以下の基準により評価した。なお、a値が大きいほど赤みが鮮やかなことを示す。結果を表4に示す。
− :a値が9未満である。
+ :a値が9以上10未満である。
++ :a値が10以上15未満である。
+++:a値が15以上である。
− :a値が9未満である。
+ :a値が9以上10未満である。
++ :a値が10以上15未満である。
+++:a値が15以上である。
表4に示した結果から、3価の金属を含有する金属塩である硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)とアスコルビン酸塩とを含有し、pHが6.58に調整されている実施例1の食肉組成物は、従来から発色剤として用いられている亜硝酸ナトリウムを含有する比較例5の食肉組成物と同様に、鮮やかな赤色を発色した。一方、pHが6.1に調整されている比較例1の食肉組成物、2価又は3価の金属塩を含有しない比較例2の食肉組成物、アスコルビン酸塩を含有しない比較例3の食肉組成物、及び2価又は3価の金属塩を含有せず、pHが6.2未満である比較例4の食肉組成物は、赤色を発色しなかった。
(実施例2〜5、及び比較例6)
豚肉に由来する赤肉のひき肉1kgに対し、表5に示す配合組成に従って、各種成分を配合し、充分混合することによりpHを6.2〜8に調整した食肉組成物を調製した。なお、このときの食肉組成物のpHは、METTLER TOLEDO製Seven Multiにより測定された。そして、調製された食肉組成物を48時間放置した。
豚肉に由来する赤肉のひき肉1kgに対し、表5に示す配合組成に従って、各種成分を配合し、充分混合することによりpHを6.2〜8に調整した食肉組成物を調製した。なお、このときの食肉組成物のpHは、METTLER TOLEDO製Seven Multiにより測定された。そして、調製された食肉組成物を48時間放置した。
48時間放置後の食肉組成物を真空脱気した後、羊腸に充填し、燻製処理を施し、さらに、蒸煮加熱することによって、食肉組成物を調製した。
得られた食肉組成物の発色状態を、以下の方法により評価した。
得られた食肉組成物を切断して、MINOLTA製CR−300を使用して、各食肉組成物の切断面の色差(a値)を測定し、以下の基準により評価した。なお、a値が大きいほど赤みが鮮やかなことを示す。結果を表5に示す。
− :a値が7未満である。
+ :a値が7以上8未満である。
++ :a値が8以上10未満である。
+++:a値が10以上である。
− :a値が7未満である。
+ :a値が7以上8未満である。
++ :a値が8以上10未満である。
+++:a値が10以上である。
表5に示した結果から、2価又は3価の金属を含有する金属塩を用いた実施例2〜5の食肉組成物は、鮮やかな赤色を発色したのに対して、2価又は3価の金属を含有する金属塩を含有しない比較例6の食肉組成物は、赤色を発色しなかった。このことから、発色性に優れた食肉製品を製造するためには、2価又は3価の金属を含有する金属塩である必要があることがわかる。
(実施例6〜9、及び比較例7〜10)
表6に示す配合組成により食肉組成物を調製した以外は、実施例2と同様にして食肉組成物を調製し、実施例2と同様に評価した。結果を表6に示す。
表6に示す配合組成により食肉組成物を調製した以外は、実施例2と同様にして食肉組成物を調製し、実施例2と同様に評価した。結果を表6に示す。
表6に示した結果から、pHが6.2〜8の範囲で調整されている実施例6〜9の食肉組成物は、鮮やかな赤色を発色したのに対して、pHが5.6未満である比較例7,8の食肉組成物では、赤色を発色しなかった。なお、pHが6.2未満である比較例9であっても、ある程度赤色に発色したが、きれいな赤みではなかった。また、pHが8より高い比較例10の食肉組成物では、くすんだ赤みの発色が見られた。これらの結果から、鮮やかな赤色を発色する食肉製品を製造するためには、食肉組成物のpHを6.2〜8に調整する必要があることがわかる。
Claims (9)
- 食肉と、2価又は3価の金属を含有する金属塩と、アスコルビン酸又はその塩とを含有し、pHを6.2〜8に調整した食肉組成物を調製する食肉調製工程を備えることを特徴とする発色性に優れた食肉製品の製造方法。
- 塩基性化合物により前記食肉組成物のpHを6.2〜8に調製する食肉調製工程を備える請求項1に記載の食肉製品の製造方法。
- 前記食肉と、前記2価又は3価の金属を含有する金属塩と、前記アスコルビン酸又はその塩と、前記塩基性化合物とを混合することにより前記食肉組成物を調製する食肉調製工程を備える請求項2に記載の食肉製品の製造方法。
- 前記食肉を、2価又は3価の金属を含有する金属塩と前記アスコルビン酸又はその塩と前記塩基性化合物とを含有する水溶液に浸漬する食肉調製工程を備える請求項2に記載の食肉製品の製造方法。
- 前記塩基性化合物が、塩基性無機化合物である請求項2〜4のいずれか1項に記載の食肉製品の製造方法。
- 前記塩基性化合物が、塩基性アミノ酸である請求項2〜4のいずれか1項に記載の食肉製品の製造方法。
- 前記2価又は3価の金属を含有する金属塩が、アルミニウム、マグネシウム、鉄、及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の無機酸塩又は有機酸塩である請求項1〜6のいずれか1項に記載の食肉製品の製造方法。
- 食肉と、2価又は3価の金属を含有する金属塩と、アスコルビン酸又はその塩とを含有し、pH6.2〜8であることを特徴とする発色性に優れた食肉製品。
- ハム類、ベーコン類、ソーセージ類、ローストビーフ、ハンバーグ、又は焼豚のいずれかの形態である請求項8に記載の食肉製品。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|---|
JP2012217395A (ja) * | 2011-04-11 | 2012-11-12 | Shinshu Ham Kk | ベーコン類の製造方法 |
JP2016140277A (ja) * | 2015-01-30 | 2016-08-08 | 米久株式会社 | 食肉製品及び食肉製品の製造方法 |
JP2016179823A (ja) * | 2015-03-23 | 2016-10-13 | 伊藤ハム株式会社 | 食品素材の退色を抑制するための包装体及びその退色抑制方法 |
WO2020196570A1 (ja) * | 2019-03-28 | 2020-10-01 | 日本新薬株式会社 | ピックル製剤および食肉加工製品 |
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-
2007
- 2007-12-28 JP JP2007339388A patent/JP2009159825A/ja active Pending
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JP2024080282A (ja) * | 2022-12-02 | 2024-06-13 | 伊藤ハム米久ホールディングス株式会社 | 嫌気包装されたローストビーフ並びにその製造方法 |
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