JP2012206659A - 頭部保護エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】膨張遮蔽部の容積の増大を極力抑制して、ロールオーバー時にも、膨張遮蔽部により乗員を的確に拘束可能な頭部保護エアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】頭部保護エアバッグ装置Mでは、エアバッグ19が、窓W1,W2の車内側を覆うように展開膨張する膨張遮蔽部20と、窓W1,W2の上縁側に取り付けられる取付部33と、を備える。膨張遮蔽部20が、エアバッグ19の膨張完了時に、下端側における車外側を、ベルトラインBLの下縁側を構成する部材8に支持されるとともに、膨張完了時の前端側における車両のピラー部FPの領域に配置されて、膨張完了形状を上下方向に略沿った略棒状とされる支持膨張部28を、有する。支持膨張部28が、エアバッグ19の膨張完了時に、下端28b側の車外側をベルトラインBLの下縁側を構成する部材8に支持されるとともに、上端28a側の車外側をピラー部FPにより支持される。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両における窓の上縁側に折り畳まれて収納されるエアバッグを、備える構成の頭部保護エアバッグ装置に関する。
従来、頭部保護エアバッグ装置では、側面衝突後のロールオーバー時にも、乗員の頭部を保護可能なように、エアバッグにおける膨張遮蔽部が、膨張完了時の下端側における車外側を、車両におけるベルトラインの下縁側を構成する部材に支持されるように、構成したものがあった(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−18837公報(図1)
この従来の頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグの膨張遮蔽部が、膨張完了時の下端側を、ベルトラインの下縁側を構成する部材に支持されることから、車両のロールオーバー時にも、膨張遮蔽部が、下端側を車外側に向けるようにすり抜けることを抑制でき、膨張遮蔽部により乗員の頭部を保護することができる。しかしながら、膨張遮蔽部の下端側のみを車体側の部材に支持させる構成の場合、ロールオーバー時に、膨張遮蔽部の下端側が車外側へ移動するように前後で弛み、的確に乗員を拘束できない場合があった。このような点を解消するためには、膨張遮蔽部を下方へ延ばし、ベルトラインの下縁側部材との重なる領域を大きくすることも考慮できるが、その場合、膨張遮蔽部の容積が増大してしまうという問題点も生ずることとなる。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、膨張遮蔽部の容積の増大を極力抑制して、ロールオーバー時にも、膨張遮蔽部により乗員を的確に拘束可能な頭部保護エアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置は、車両における窓の上縁側に折り畳まれて収納されるエアバッグを、備える構成とされ、
エアバッグが、窓の車内側を覆うように展開膨張する膨張遮蔽部と、膨張遮蔽部の上縁側に配置されて窓の上縁側に取り付けられる取付部と、を備える構成の頭部保護エアバッグ装置であって、
膨張遮蔽部が、エアバッグの膨張完了時に、下端側における車外側を、車両のベルトラインの下縁側を構成する車体側の部材に支持される構成とされるとともに、膨張完了時の前後方向の少なくとも一端側であって、上下方向に対して傾斜して配置される車両のピラー部の領域に配置されて、膨張完了形状を上下方向に略沿った略棒状とされる支持膨張部を、有する構成とされ、
支持膨張部が、エアバッグの膨張完了時に、下端側における車外側をベルトラインの下縁側を構成する車体側の部材に支持されるとともに、上端側における車外側をピラー部により支持されて、配置されることを特徴とする。
本発明の頭部保護エアバッグ装置では、膨張遮蔽部が、膨張完了時の前後方向の少なくとも一端側に、膨張完了形状を上下方向に略沿った略棒状とされる支持膨張部を有し、この支持膨張部の膨張完了時の上下両端側の車外側を、ピラー部とベルトラインの下縁側の部材とにより支持させる構成である。そのため、エアバッグの膨張完了時に、膨張遮蔽部における前後方向の一端側に配置される支持側膨張部が、上端側と下端側とを車体側の部材に安定して支持されて、上下方向に略沿った硬い棒状として、配置されることから、膨張遮蔽部において支持膨張部と隣接する膨張部位が、上下の略全域にわたって車外側に離隔するように移動することを抑制できる。その結果、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、膨張遮蔽部の下端側においてベルトラインの下縁側の部材との重なる領域が、小さくとも、ロールオーバー時に、膨張遮蔽部の下端側の車外側への移動を抑制することができ、充分な乗員保護性能を得ることができる。換言すれば、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、膨張遮蔽部の上下の幅寸法を大きく設定しなくとも、ロールオーバー時に、膨張遮蔽部によって乗員を的確に保護することができる。
したがって、本発明の頭部保護エアバッグ装置では、膨張遮蔽部の容積の増大を極力抑制して、ロールオーバー時にも、膨張遮蔽部により乗員を的確に拘束することができる。
また、本発明の頭部保護エアバッグ装置において、エアバッグにおける支持膨張部の直上から前後方向の縁部側にかけての範囲内に、ピラー部の領域に取り付けられる縁側取付部を、配設させる構成とすれば、エアバッグの膨張完了時に、支持膨張部が前後の中央側へずれ移動することを抑制できて、好ましい。
さらに、本発明の頭部保護エアバッグ装置において、エアバッグにおける支持膨張部の略直上の部位に、ピラー部の領域に取り付けられる取付部を、配設させる構成とすれば、エアバッグの膨張完了時に、支持膨張部の上端側の領域の位置ずれを抑制することができて、好ましい。
本発明の一実施形態である頭部保護エアバッグ装置を車内側から見た概略正面図である。 図1のII−II部位の断面図である。 実施形態の頭部保護エアバッグ装置で使用するエアバッグを平らに展開した状態の正面図である。 実施形態の頭部保護エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を車内側から見た概略正面図である。 実施形態の頭部保護エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態の支持膨張部の部位の概略断面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、図1に示すように、2つの窓(サイドウィンド)W1,W2を有した二列シートタイプの車両Vに搭載されている。実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、エアバッグ19と、インフレーター14と、取付ブラケット11,15と、エアバッグカバー9と、を備えて構成されている。エアバッグ19は、図1,2に示すように、車両Vの車内側における窓W1,W2の上縁側において、フロントピラー部FPの下縁側から、ルーフサイドレール部RRの下縁側を経て、リヤピラー部RPの上方の領域まで、折り畳まれて収納されている。
エアバッグカバー9は、図1,2に示すように、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4と、ルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5と、のそれぞれの下縁から、構成されている。フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5とは、合成樹脂製として、フロントピラー部FPとルーフサイドレール部RRとにおいて、それぞれ、ボディ1側のインナパネル2における車内側に、取付固定されている。また、エアバッグカバー9は、折り畳まれて収納されるエアバッグ19を車内側へ突出可能とするために、エアバッグ19に押されて開き可能な構成とされている。
インフレーター14は、エアバッグ19に膨張用ガスを供給するもので、図1に示すように、外形形状を略円柱状としたシリンダタイプとして、先端側に、膨張用ガスを吐出可能な図示しないガス吐出口を、配設させている。インフレーター14は、ガス吐出口付近を含めた先端側を、エアバッグ19の後述するガス流入口部24に挿入させ、ガス流入口部24の後端24a側に外装されるクランプ17を利用して、エアバッグ19に対して連結されている。また、インフレーター14は、インフレーター14を保持する取付ブラケット15と、取付ブラケット15をボディ1側のインナパネル2に固定するためのボルト16と、を利用して、インナパネル2においてセンターピラー部CPの上方となる位置に、取り付けられている。インフレーター14は、図示しないリード線を介して、車両の図示しない制御装置と電気的に接続されており、制御装置が車両Vの側面衝突を検知した際に、制御装置からの作動信号を入力させて、作動するように構成されている。
各取付ブラケット11は、2枚の板金製のプレートから構成されるもので、図2に示すように、エアバッグ19の後述する各取付部33を挟むようにして、各取付部33に取り付けられ、取付ボルト12を利用して、各取付部33をボディ1側のインナパネル2に取付固定している。
エアバッグ19は、図1の二点鎖線及び図4に示すように、インフレーター14からの膨張用ガスを内部に流入させて、折り畳み状態から展開して、窓W1,W2や、窓W1,W2の間に配置されるセンターピラー部CPのピラーガーニッシュ6、及び、窓W2の後側に配置されるリヤピラー部RPのピラーガーニッシュ7の車内側を覆うように、展開膨張する構成とされている。エアバッグ19は、図3に示すように、膨張完了時に窓W1,W2の車内側を覆うように膨張する膨張遮蔽部20と、膨張遮蔽部20の上縁20a側において前後方向に沿って複数配設される取付部33と、を備える構成であり、膨張遮蔽部20は、膨張完了時に、窓W1の前側に配置されるフロントピラー部FPの一部の車内側と、窓W1からセンターピラー部CPを経てリヤピラー部RPの前側にかけての車内側と、を覆い可能に、膨張完了形状を、長手方向を前後方向に略沿わせた略長方形板状とされている。また、膨張遮蔽部20は、図4,5に示すように、上下の幅寸法を、座席に着座した乗員の頭部を保護可能として、かつ、下縁20bを、窓W1,W2の下縁から構成されるベルトラインBLより下方に位置させるような寸法に、設定されている。すなわち、膨張遮蔽部20は、下端側領域20cの車外側を、ベルトラインBLの下縁側を構成する車体側の部材であるドアトリム8に支持される構成とされるもので、詳細には、膨張遮蔽部20は、内部に膨張用ガスを流入させて膨張する後述する前席用膨張部26,後席用膨張部27と、支持膨張部28と、の下縁を、ベルトラインBLより下方に位置させるように、構成されている。なお、実施形態の場合、膨張遮蔽部20は、エアバッグ19において、取付部33とガス流入口部24とを除いた領域から、構成される。
また、実施形態の場合、エアバッグ19は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を使用した袋織りによって、製造されている。エアバッグ19は、図3に示すように、膨張完了時に車内側に位置する車内側壁部22aと車外側に位置する車外側壁部22bとを離すようにしてインフレーター14からの膨張用ガスを内部に流入させて膨張するガス流入部22と、膨張用ガスを流入させない非流入部31と、から構成されている。
ガス流入部22は、実施形態の場合、膨張遮蔽部20におけるガス案内流路23及び保護膨張部25と、膨張遮蔽部20の上縁20a側から突出するように形成されるガス流入口部24と、を備えて構成されている。
ガス案内流路23は、図3に示すように、膨張遮蔽部20の上縁20a側において、前後方向に略沿って延びるように、前後の略全域にわたって配設されるもので、インフレーター14から吐出される膨張用ガスGを、ガス案内流路23の下方に配置される保護膨張部25の領域に、案内する構成である。実施形態の場合、ガス案内流路23における前後の中央付近には、インフレーター14と接続されるガス流入口部24が、ガス案内流路23と連通されて、ガス案内流路23(膨張遮蔽部20)から上方に突出するように、配設されている。実施形態の場合、ガス流入口部24は、ガス案内流路23に対して後上がりに傾斜して形成されて、後端24a側を、インフレーター14を挿入可能に開口させている。そして、ガス流入口部24は、インフレーター14に外装された状態で、クランプ17を利用して、インフレーター14に連結されることとなる。
保護膨張部25は、図3に示すように、前席の側方の窓W1の車内側を覆うように膨張する前席用膨張部26と、後席の側方の窓W2の車内側を覆うように膨張する後席用膨張部27と、前席用膨張部26の前側に隣接して配置される支持膨張部28と、を備えている。
各前席用膨張部26,後席用膨張部27は、内部領域を、後述する区画部35,36によって区画されて、膨張完了時の厚さを規制される構成とされるもので、区画部35,36により区画された複数の縦セル26a,26b,26c,26d,26e,27a,27bを、前後方向で並設させて構成されている。詳細には、前席用膨張部26は、5つの縦セル26a,26b,26c,26d,26eを前後方向で並設させて構成され、後席用膨張部27は、2つの縦セル27a,27bを前後方向で並設させて構成されている。なお、各縦セル26a,26b,26c,26d,26e,27a,27bは、エアバッグ19の膨張完了時に、それぞれ、略上下方向に沿った略棒状に膨らむ構成である。
支持膨張部28は、膨張遮蔽部20における前後方向の一端側である前端側に配置されるもので、実施形態の場合、前席用膨張部26の前側に隣接して、形成されている。この支持膨張部28は、エアバッグ19の膨張完了時に、上下方向に対して傾斜して配置されるフロントピラー部FPの領域に配置されることとなる。詳細には、支持膨張部28は、エアバッグ19の膨張完了時に、フロントピラー部FPの車内側を覆うフロントピラーガーニッシュ4の前後の中央よりやや後方となる位置の車内側を覆うように配置されるもので、膨張完了形状を、上下方向に略沿った略棒状とされる。支持膨張部28は、膨張完了時の下端28b側を、膨張遮蔽部20の下縁20bと略一致させ、上端28a側を、前席用膨張部26の領域に対して段差状として、膨張遮蔽部20における前席用膨張部27の領域よりも下方に位置させるように、構成されている。すなわち、支持膨張部28は、上下の幅寸法を、膨張遮蔽部20における前席用膨張部26,後席用膨張部27の領域における上下の幅寸法よりも、小さくして、構成されている。そして、支持膨張部28は、エアバッグ19の膨張完了時に、下端28b側における車外側Oを、ベルトラインBLの下縁側を構成する車体側の部材であるドアトリム8に支持されるとともに、上端28a側における車外側Oをフロントピラー部FPのフロントピラーガーニッシュ4における前後の中央よりやや後方となる部位により支持されて、配置されることとなる。
非流入部31は、取付部33と、膨張遮蔽部20を構成する周縁部32、区画部35,36,37、板状部39、及び、連結ベルト40と、を備えて構成されている。周縁部32は、エアバッグ19の外周縁を構成するもので、ガス流入部22の周囲を囲むように、形成されている。
取付部33は、エアバッグ19をボディ1側のインナパネル2に取り付けるための部位であり、膨張遮蔽部20の上縁20a側となる周縁部32から上方に突出するようにして、前後方向に沿って複数配置されている。実施形態の場合、取付部33は、6個配置されている。各取付部33には、取付ボルト12を挿通可能な取付孔(図符号省略)が、形成されている。実施形態の場合、支持膨張部28の直上となる位置において支持膨張部28の上縁側から延びるように配置される取付部33Aは、他の取付部33と比較して、平らに展開した状態での膨張遮蔽部20からの上方への突出量を大きくするように、構成されて、先端側に、取付孔を配設させている。支持膨張部28は、エアバッグ19の膨張完了時に、上端28a側を、フロントピラーガーニッシュ4から突出させ、この上端28a側の領域によりフロントピラーガーニッシュ4の車内側Iを覆う構成である。取付部33Aは、エアバッグ19の膨張完了時に、図5に示すように、開いたフロントピラーガーニッシュ4の先端側部位(エアバッグカバー9)を迂回するようにして、配置されることとなり、長さ寸法を、支持膨張部28を過度に牽引することなく、支持膨張部28の上端28aをフロントピラーガーニッシュ4に支持されるような位置に、配置可能な寸法に、設定されている。
区画部35,36は、前席用膨張部26及び後席用膨張部27の領域内に、それぞれ、配置されるもので、各前席用膨張部26,後席用膨張部27の内部領域を、複数の縦セル26a,26b,26c,26d,26e,27a,27bに区画する部位である。区画部35A,35B,35C,35Dは、周縁部32の下縁側から上方に延びるように形成され、区画部36は、板状部39の上部前縁から前下方に延びるように形成されている。区画部37は、前席用膨張部26と支持膨張部28とを区画するもので、周縁部32の下縁側から上方に延びるように形成されている。板状部39は、略長方形板状として、前席用膨張部26と後席用膨張部27との間においてガス案内流路23の下方に、配置されている。連結ベルト40は、膨張遮蔽部20における前縁における下端近傍(支持膨張部28の下端28b近傍)から前方に延びるようなベルト状として構成されるもので、先端側に、取付部33と同様に、フロントピラー部FPの領域においてボディ1側のインナパネル2に取り付けられる取付片部40aを有している。そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、この取付片部40aが、支持膨張部28の直上から前縁側にかけての範囲内に配置される縁側取付部を構成することとなる。
次に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明をする。まず、車内側壁部22aと車外側壁部22bとを重ねて平らに展開した状態のエアバッグ19の膨張遮蔽部を、上下方向の幅寸法を縮めるように、折り畳み、折り畳み完了後に、破断可能な図示しない折り崩れ防止用のラッピング材により、所定箇所をくるんでおく。その後、取付ブラケット15を取付済みのインフレーター14を、クランプ17を利用して、エアバッグ19のガス流入口部24と接続させ、エアバッグ19の各取付部33に、取付ブラケット11を固着させて、エアバッグ組付体を形成する。
次いで、取付ブラケット15を、ボディ1側のインナパネル2の所定位置に配置させ、ボルト16止めして、インフレーター14をインナパネル2に固定するとともに、各取付部33を、取付ブラケット11ごと、インナパネル2に取り付ければ、エアバッグ組付体をボディ1に取り付けることができる。そして、インフレーター14に、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1に取り付け、さらに、センターピラーガーニッシュ6やリヤピラーガーニッシュ7をボディ1に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Mを車両に搭載することができる。
そして、頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載後において、車両Vの側面衝突時、制御装置からの作動信号を受けてインフレーター14が作動されれば、インフレーター14から吐出される膨張用ガスGが、エアバッグ19の膨張遮蔽部20内に流入して、膨張する膨張遮蔽部20が、図示しないラッピング材を破断させ、さらに、フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5との下縁で構成されるエアバッグカバー9を押し開いて、下方へ突出しつつ、図1の二点鎖線及び図4に示すごとく、窓W1,W2、センターピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側を覆うように、大きく膨張することとなる。
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、膨張遮蔽部20が、膨張完了時の前端側に、膨張完了形状を上下方向に略沿った略棒状とされる支持膨張部28を有し、この支持膨張部28の膨張完了時の上端28a側と下端28b側との車外側Oを、図5に示すように、それぞれ、フロントピラー部FPの車内側を覆うフロントピラーガーニッシュ4(実質的には、剛性を有したフロントピラー部FPのインナパネル2)と、ベルトラインBLの下縁側に配置されるドアトリム8と、とにより支持させる構成である。そのため、エアバッグ19の膨張完了時に、膨張遮蔽部20における前端側に配置される支持膨張部28が、上端28a側と下端28b側とを車体側の部材であるフロントピラーガーニッシュ4とドアトリム8とにより安定して支持されて、上下方向に略沿った硬い棒状として、配置されることから、膨張遮蔽部20において支持膨張部28と隣接する前席用膨張部26が、上下の略全域にわたって車外側に離隔するように移動することを抑制できる。その結果、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、膨張遮蔽部20の下端側においてベルトラインBLの下縁側の部材(ドアトリム8)との重なる領域(下端側領域20c)が、小さくとも、ロールオーバー時に、膨張遮蔽部20の下端(下縁20b)側の車外側への移動を抑制することができ、充分な乗員保護性能を得ることができる。換言すれば、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、膨張遮蔽部20の上下の幅寸法を大きく設定しなくとも、ロールオーバー時に、膨張遮蔽部20によって乗員を的確に保護することができる。特に、実施形態では、支持膨張部28は、上端28a側を、前席用膨張部26の領域に対して段差状として、膨張遮蔽部20における前席用膨張部27の領域よりも下方に位置させるように、構成されて、上下の幅寸法を、膨張遮蔽部20における前席用膨張部26,後席用膨張部27の領域における上下の幅寸法よりも、小さく設定されていることから、膨張遮蔽部20の容積の増大を極力抑制することができる。
したがって、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、膨張遮蔽部20の容積の増大を極力抑制して、ロールオーバー時にも、膨張遮蔽部20により乗員を的確に拘束することができる。
特に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、前席用膨張部26と後席用膨張部27とが、それぞれ、膨張完了形状を上下方向に略沿わせた略棒状とした縦セル26a,26b,26c,26d,26e,27a,27bを前後方向で並設させていることから、各縦セル26a,26b,26c,26d,26e,27a,27bが、前後方向の幅寸法を収縮させるように膨張することとなって、エアバッグ19の膨張完了時に、膨張遮蔽部20の下縁20b側に前後方向に略沿ったテンションが発生することとなる。そのため、ロールオーバー時に膨張遮蔽部20の下端(下縁20b)側が前後で弛んで車外側へ移動することを一層抑制することができる。
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、エアバッグ19における支持膨張部28の直上から前縁側となる位置に、連結ベルト40を配設させ、この連結ベルト40の先端側の取付片部40aを、縁側取付部として、フロントピラー部FPに取り付けている。そのため、エアバッグ19の膨張完了時に、支持膨張部28が前後の中央側へずれ移動することを的確に抑制することができる。勿論このような点を考慮しなければ、支持膨張部の前縁側に、取付部を配置させなくともよい。
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、支持膨張部28の直上に、取付部33Aを設け、この取付部33Aをフロントピラー部FPに取り付けている。そのため、エアバッグ19の膨張完了時に、支持膨張部28の上端28a側の領域の位置ずれを抑制することができ、支持膨張部28の上端28a側の車外側Oを、確実にフロントピラー部FPに支持させることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、支持膨張部の直上に取付部を配設させなくともよい。
なお、実施形態では、膨張遮蔽部20の前端側に支持膨張部28を配置させたエアバッグ19を例に採り説明したが、上下方向に対して傾斜して配置されるリヤピラー部を備えるタイプの車両に搭載する場合、エアバッグとして、膨張遮蔽部の後端側に支持膨張部を配置させる構成のものや、膨張遮蔽部の前後両端側に支持膨張部を配置させる構成のものを使用してもよい。また、支持膨張部28の下端28b側の車外側を支持する車体側の部材も、ドアトリム8に限られるものではなく、例えば、膨張遮蔽部の後端側に支持膨張部を配置させるエアバッグにおいて、三列シートタイプの車両における三列目の座席の側方に支持膨張部を設ける場合、支持膨張部の下端側を支持する車体側の部材はボディの車内側を覆う内装材から構成されることとなる。
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、車両の側面衝突時に作動させる構成であるが、膨張遮蔽部の前端側に支持膨張部を配設させる構成とする場合、オフセット衝突時に作動させるように構成してもよい。
1…ボディ、
2…インナパネル、
4…フロントピラーガーニッシュ、
8…ドアトリム、
11…取付ブラケット、
14…インフレーター、
19…エアバッグ、
20…膨張遮蔽部、
20a…上縁、
28…支持膨張部、
28a…上端、
28b…下端、
33,33A…取付部、
40…連結ベルト、
40a…取付片部(縁側取付部)、
BL…ベルトライン、
FP…フロントピラー部、
W1,W2…窓、
V…車両、
M…頭部保護エアバッグ装置。

Claims (3)

  1. 車両における窓の上縁側に折り畳まれて収納されるエアバッグを、備える構成とされ、
    該エアバッグが、前記窓の車内側を覆うように展開膨張する膨張遮蔽部と、膨張遮蔽部の上縁側に配置されて前記窓の上縁側に取り付けられる取付部と、を備える構成の頭部保護エアバッグ装置であって、
    前記膨張遮蔽部が、前記エアバッグの膨張完了時に、下端側における車外側を、前記車両のベルトラインの下縁側を構成する車体側の部材に支持される構成とされるとともに、膨張完了時の前後方向の少なくとも一端側であって、上下方向に対して傾斜して配置される前記車両のピラー部の領域に配置されて、膨張完了形状を上下方向に略沿った略棒状とされる支持膨張部を、有する構成とされ、
    前記支持膨張部が、前記エアバッグの膨張完了時に、下端側における車外側を前記ベルトラインの下縁側を構成する車体側の部材に支持されるとともに、上端側における車外側を前記ピラー部により支持されて、配置されることを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
  2. 前記エアバッグが、前記支持膨張部の直上から前後方向の縁部側にかけての範囲内に配置されて、前記ピラー部の領域に取り付けられる縁側取付部を、有していることを特徴とする請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置。
  3. 前記エアバッグが、前記支持膨張部の略直上の部位に配置されて、前記ピラー部の領域に取り付けられる取付部を、有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の頭部保護エアバッグ装置。
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