JP2012158319A - カーテンエアバッグ - Google Patents

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Abstract

【課題】少ないガス容量であっても高い車外放出防止性能を発揮可能なカーテンエアバッグを提供することを目的としている。
【解決手段】エアバッグ100は、車両室内の側面部上方から側面部に沿って膨張展開する。エアバッグ100は、ガスが流入して膨張する袋状の膨張領域として、側面部上方で車両前後方向に延びるダクト部120、サイドウィンドウ114よりも車内側に突出するセンタピラー108の略全長に沿ってダクト部120から下方へ延びるピラーチャンバ122、サイドウィンドウ114上においてピラーチャンバ122から車両後方に離れた位置でダクト部120から下方へ延びるリアチャンバ126を備える。また、ガスの流入しない布状の非膨張領域として、上方をダクト部120に、車両前後方向をピラーチャンバ122およびリアチャンバ126に囲まれてサイドウィンドウ114を覆う非膨張領域130bを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の側面衝突時やロールオーバ(横転)時に、乗員保護を目的として車両室内の側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグに関するものである。
近年、車両には高い安全性が求められている。この傾向は世界各国に共通していて、現在では世界各国でエアバッグが車両の安全装置としてほぼ標準装備されている。そして、車両開発に関係する事業者ではさらなる安全性向上が重要な開発テーマとして掲げられていて、これに伴って日々新たなエアバッグが開発されている。
車両の安全性の評価基準は各国において異なっていて、各事業者は製造品が多国の評価基準に対応し得るよう開発を行っている。例えば世界最大の自動車保有台数をほこる米国では、NHTSA(米国高速道路交通安全局)によってFMVSS(米国連邦自動車安全基準)が制定されている。そして現在、NHTSAが今後定める予定のFMVSSの規則策定の通知(NPRM;Notice of Proposed Rule Making:Docket Number;NHTSA-2009-0183)には「側突時・ロールオーバ(横転)時において、放出緩和システムによりサイドウィンドウを通した乗員の車外放出の見込みを減少させる」という要件が提案されている。この要件は、放出緩和システムを成す車外放出軽減対策装置としてカーテンエアバッグを備えることで達成可能である。なお、本願明細書で示される規則策定通知(NPRM:Docket No. NHTSA-2009-0183)は、正式に制定されたFMVSS226の基になっている。
カーテンエアバッグは、ドア上方に設置されていて、衝撃発生時に車両のサイドウィンドウに沿って膨張展開するエアバッグである。カーテンエアバッグの膨張領域は複数の小部屋(チャンバ)に区画されている。例えば、特許文献1には、膨張部(第1チャンバ)と対向部(第2チャンバ)とを用いてピラーを車両前後方向から挟み込むように膨張展開するカーテンエアバッグが開示されている。特許文献1によれば、ピラーを挟むことで膨張展開時に位置を容易に安定させることが可能であるとされている。
特開2003−63345号公報
現在、カーテンエアバッグに対して、製造コストの低下が要請されている。製造コストの低下は、例えば膨張領域のガス容量を削減することで達成できる。ガス容量が小さければ、低出力で安価なインフレータ(ガス発生装置)が利用可能になるからである。しかし、従来のカーテンエアバッグは膨張領域で乗員を受け止めることが前提となっている。そのため、膨張領域のガス容量は安易には削減できず、また膨張領域のガス容量の削減はカーテンエアバッグの品質低下を招きかねない。
本発明は、このような課題に鑑み、少ないガス容量であっても高い車外放出防止性能を発揮可能なカーテンエアバッグを提供することを目的としている。
上記課題を解決すべく本願の発明者らは鋭意検討し、特許文献1の非膨張部(非膨張領域)のように、布状でガスを流入させる必要のない部位に着目した。そして、膨張領域に代わって布状の非膨張領域で乗員を受け止めることが可能になれば、インフレータに必要な出力をさらに低く抑えることができることを見出した。しかし非膨張領域は、膨張して緊張する膨張領域に比べて乗員が接触した際に伸びやたわみが生じやすい。そこで発明者らは、非膨張領域の車外放出防止性能を高めるべくさらに検討し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するために、本発明にかかるカーテンエアバッグの代表的な構成は、車両室内の側面部上方に収納され、側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグであって、ガスが流入して膨張する袋状の膨張領域として、側面部上方で車両前後方向に延びるダクト部と、側面部のサイドウィンドウよりも車内側に突出するセンタピラーの略全長に沿ってダクト部から下方へ延びるピラーチャンバと、サイドウィンドウ上においてピラーチャンバから車両前後方向にそれぞれ離れた位置でダクト部から下方へ延びる複数のノーマルチャンバと、を備え、ガスの流入しない布状の非膨張領域として、上方をダクト部に、車両前後方向をピラーチャンバおよび各ノーマルチャンバに囲まれてサイドウィンドウを覆う非膨張領域を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、布状の非膨張領域であっても、周囲3方向の膨張領域が膨張することで張力を受け、剛性が高くなる。さらに、ピラーチャンバがセンタピラーに重なって膨張展開することで、センタピラーに接続する非膨張領域はサイドウィンドウから離れてより車内側へ展開することが可能となる。これらのように、上記構成であれば膨張領域によらずとも高い車外放出防止性能を発揮できるため、ガス容量の削減が可能である。
当該カーテンエアバッグは、非膨張領域の下縁に接続してピラーチャンバと複数のノーマルチャンバとを連絡する追加チャンバをさらに備えてもよい。この構成によれば、追加チャンバが膨張することで、非膨張領域にはさらなる張力が加えられてその剛性が高くなる。したがって、車外放出防止性能のさらなる向上が可能となる。
上記の追加チャンバはドアベルトラインの下方まで延びるように設けられるとよい。この構成であれば、非膨張領域に乗員が接触した際、追加チャンバはドアベルトラインに干渉する。したがって、当該カーテンエアバッグおよび乗員の車外方向への移動を阻止し、車外放出防止を効率よく達成することが可能となる。
当該カーテンエアバッグは、当該カーテンエアバッグの車内側にピラーチャンパと非膨張領域とノーマルチャンバとを跨いで結合されるカバー部をさらに備え、カバー部の長さは、カバー部なしに当該カーテンエアバッグが膨張展開した場合におけるカバー部の結合位置同士を当該カーテンエアバッグの外部を通って結ぶ最短経路の長さと略同じであってもよい。
上記のカバー部は非膨張領域を覆うように、カーテンエアバッグの膨張展開に伴って弛みなく展開する。その際、カバー部はピラーチャンバおよびノーマルチャンパを跨いでいるため、カバー部はピラーチャンバ等と同じ程度に車内側へ張り出した位置で展開する。これにより、カバー部は、非膨張領域よりもさらに車内側、すなわち乗員により近い位置で早期に乗員を受け止めることができる。この構成であれば、車外放出防止性能のさらなる向上が可能である。
本発明によれば、少ないガス容量であっても高い車外放出防止性能を発揮可能なカーテンエアバッグが提供可能となる。
本発明の第1実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。 図1(b)のカーテンエアバッグの拡大図である。 図1(b)のA−A断面図である。 本発明の第2実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。 本発明の第3実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。 図5のB−B断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。図1(a)は第1実施形態にかかるカーテンエアバッグ(以下、「エアバッグ100」と記載する。)の非展開時、図1(b)はエアバッグ100の展開時をそれぞれ例示する。以下、すべての実施形態を、図1のように車両102の右側面用のカーテンエアバッグとして説明するが、左側面用のカーテンエアバッグも同様の対称な構造を有する。
図1(a)に例示するように、エアバッグ100はガス発生装置であるインフレータ104を備えている。エアバッグ100は、インフレータ104から供給されるガスの圧力により膨張して乗員を拘束する。特に当該エアバッグ100は、インフレータ104に必要な出力を抑えながら、高い車外放出防止性能を発揮可能となっている。
エアバッグ100は、図1(a)のように巻回された状態で、または折り畳まれた状態(図示省略)で、車両室内の側面部上方のルーフサイドレール(図中、仮想線で例示する。)に取り付けられ、収納される。通常、ルーフサイドレールはルーフトリムで覆われ、車両室内からは視認不能である。ルーフサイドレールには、ルーフ(屋根)を支える複数のピラーが接続している。これらは車両102の前方から、フロントピラー106、センタピラー108、リアピラー110と呼ばれる。
車両102に側面衝突時やロールオーバ(横転)等が発生すると、まず車両102に備えられたセンサ(図示省略)が衝撃を感知し、インフレータ104に発火信号を発信する。すると、インフレータ104の火薬が燃焼し、発生したガスがエアバッグ100へ供給される。エアバッグ100は、インフレータ104からのガスを受給すると、図1(b)に例示するように、車室の側面部(サイドウィンドウ112等)に沿うように下方へ向かって膨張領域が展開し、乗員の保護を行う。
図1(b)に例示するエアバッグ100は、例えば、その表面を構成する基布を表裏で縫製したり、OPW(One-Piece Woven)を用いて紡織したりすることにより製造される。エアバッグ100は、大きく分けて、ガスが流入するために袋状に形成された膨張領域と、ガスの流入しない布状に形成された非膨張領域130a、130bとを含んで構成されている。
エアバッグ100の膨張領域は複数の小部屋(チャンバ)に区画されている。膨張領域のうち、車両側面部の上方にはダクト部120が設けられている。ダクト部120はインフレータ104からのガスを最初に受給する部位である。ダクト部120は車両前後方向に延びていて、他の各チャンバへガスを導く。
ダクト部120の車両前後の両端には乗員の保護を行う複数のノーマルチャンバとして、フロントチャンバ124およびリアチャンバ126が設けられている。フロントチャンバ124は、前部座席空間の前方で前部座席116の乗員を保護する。リアチャンバ126は、後部座席118の側方で乗員を保護する。ダクト部120の下方のセンタピラー108(前後にサイドウィンドウが存在するピラー)に重なる位置にはピラーチャンバ122が設置されている。ピラーチャンバ122は、センタピラー108の略全長に沿ってダクト部120から下方へ延びている。
フロントチャンバ124およびリアチャンバ126はサイドウィンドウ112、114上においてピラーチャンバ122から車両前後方向にそれぞれ離れていて、それらの間には布状の非膨張領域130a、130bがそれぞれ設置されている。本実施形態では、非膨張領域130a、130bは膨張領域と同じ基布で構成されている。なお、エアバッグ100の縁部132も布状で膨張しない部位であるが、非膨張領域130a、130bとは異なる部位として区別する。
フロントチャンバ124の車両前方の末端(縁部132)にはストラップ134が設けられている。ストラップ134は、エアバッグ100の膨張展開時の姿勢を安定させる部材である。ストラップ134は、縁部132とフロントピラー106とを連結する。膨張領域は膨張すると車両前後方向に若干収縮し、ストラップ134はその際に緊張する形状を有している。ストラップ134が緊張することで膨張展開時の各チャンバおよび各非膨張領域に張力が加えられ、その姿勢が崩れることなく安定する。また、フロントピラー106はサイドウィンドウ112よりも車内側に突出するため(図3参照)、フロントチャンバ124はサイドウィンドウ112から離れてより車内側へ膨張展開可能となっている。
図2は、図1(b)のカーテンエアバッグの拡大図である。図2に例示する記号A1〜A4、B1〜B4は、NPRM(NHTSA-2009-0183)に基づく車外放出防止性能評価試験におけるインパクタ(乗員を模擬した試験装置)の打点である。車外放出防止性能評価試験とは、NPRM(NHTSA-2009-0183)に定められる試験を示す。インパクタは、同NPRM(NHTSA-2009-0183)のV.「Proposed Ejection Mitigation Requirements and Test Procedures」で規定されている。インパクタの衝突目標は、同NPRM(NHTSA-2009-0183)のV.「Proposed Ejection Mitigation Requirements and Test Procedures」、d.「Locations Where the Device Would Impact the Ejection Mitigation Countermeasure To Asses Efficacy」、4.「Method for Determining Impactor Target Locations」で定められるターゲットロケーション(Target locations)に規定されている。これらの打点は、同NPRMで記載されている各ターゲットの打点位置、たとえばA1〜A4、B1〜B4などに示されている各ポイントによって示される。各打点はサイドウィンドウ112、114に対して設定され、エアバッグ100はこれら各打点を覆い得るように設計される。同NPRMに基づく側面衝突試験時では、インパクタの車外方向への移動量を測定する。その際の移動量の測定基準は、インパクタが各サイドウィンドウの内面に触れている状態において、インパクタの最も車外表面に接している垂直面である。
図2に例示するように、フロントチャンバ124はA1・A3打点を覆う位置に設けられていて、リアチャンバ126はB2・B4打点を覆う位置に設けられている。そして、非膨張領域130aはA2・A4打点を覆う位置に設けられていて、非膨張領域130bはB1・B3を覆う位置に設けられている。
フロントチャンバ124等の膨張領域はガス圧を利用して高い剛性が発揮できるため、乗員等を好適に受け止めることができる。一方、非膨張領域130a、130bは布状であるために単体では剛性は低いものの、周囲の膨張領域によって剛性を補うことが可能となっている。例えば、非膨張領域130bは、上縁がダクト部120と接続していて、車両前側の側縁がピラーチャンバ122に接続し、車両後側の側縁がリアチャンバ126に接続している。これら周囲3方向の膨張領域が膨張することで非膨張領域130bには張力が加えられる。そのため、非膨張領域130bは伸びたりたわんだりすることなく乗員等を受け止めることが可能である。これは、非膨張領域130aも同様である。
図3は、図1(b)のA−A断面図である。図3に例示するピラーチャンバ122は、エアバッグ100のうち特に非膨張領域130a、130bにおける車外放出防止性能を向上させる機能を有している。詳細に説明すると、まず、ピラーチャンバ122は膨張することでセンタピラー108に反発する。センタピラー108はサイドウィンドウ112、114よりも車内側へ突出しているため、センタピラー108に反発したピラーチャンバ122はより車内側へ位置することとなる。これに伴って、ピラーチャンバ122に接続する非膨張領域130a、130bも、サイドウィンドウ112、114から離れたより車内側の位置で展開することとなる。すなわち、非膨張領域130a、130bは前部116・後部座席118それぞれの乗員のより近くに展開することが可能となるため、乗員と早期に接触してその移動量をより少なく抑えることができる。このようにして、非膨張領域130a、130bの車外放出防止性能は高められている。
以上説明したように、エアバッグ100は非膨張領域130a、130bを用いて好適に乗員を拘束できるため、膨張領域が従来よりも削減されている。これにより膨張展開に必要なガス容量も少なくなり、より低出力で安価なインフレータが使用可能となっている。したがって、製造コスト削減を図ることが可能である。
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。図4に例示するカーテンエアバッグ(以下、「エアバッグ200」と記載する。)は、下縁側に追加チャンバ202を有する点で、第1実施形態のエアバッグ100と異なる。
追加チャンバ202は、非膨張領域130a、130bの下縁に接続していて、ピラーチャンバ122とフロントチャンバ124およびリアチャンバ126との間を連絡している。追加チャンバ202にガスが流入して膨張することで、非膨張領域130a、130bにはさらなる張力が加えられてその剛性が高くなる。また、追加チャンバ202を設けることによって、非膨張領域130a、130bは周囲4方向の全てを膨張領域に囲われるため、さらに伸び難くたわみ難くなる。
また、追加チャンバ202はドアベルトライン113、115(ドアトリムの上縁)よりも下方に延びるよう設けられる。本実施形態では、追加チャンバ202は略全体がドアベルトライン113、115の下方に位置している。サイドウィンドウ112、114は衝撃発生時に開放されていることも考えられるため、車外放出防止性能を評価する場合にはサイドウィンドウ112、114はないもののとして扱われる。しかし、ドアトリム(もしくはドア自体)は当然に常に存在する。上記構成であればエアバッグ200に乗員が接触した際に追加チャンバ202がドアトリムに干渉するため、エアバッグ200の車外方向への移動量は低下する。このように、追加チャンバ202を設けることで、車外放出防止を効率よく達成することが可能となる。
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。図5に例示するカーテンエアバッグ(以下、「エアバッグ300」と記載する。)は、カバー部302を有する点で、上記各実施形態と異なっている。
カバー部302は乗員をより早期に受け止めるために利用される。カバー部302は、エアバッグ300の車内側に、前端側の縁部132(結合位置S1)から後端側の縁部133(結合位置S2)にわたって結合されている。このように、カバー部302は、ピラーチャンバ122と非膨張領域130a・130b、およびノーマルチャンバ(フロントチャンバ324・リアチャンバ326)を跨いで結合される。
図6は、図5のB−B断面図である。図6に示すように、カバー部302の長さ(カバー部302における結合位置S1から結合位置S2までの長さ)は、カバー部302なしにエアバッグ300が膨張展開した場合における結合位置S1・S2同士、換言すると縁部132・133同士をエアバッグ300の外部を通って結ぶ最短経路の長さと略同じに設定されている。すなわち、カバー部302の長さは、エアバッグ300の膨張展開に伴って弛みなく展開する長さに設定されている。
なお上記「エアバッグ300の外部」はエアバッグ300の「車外側」の意味ではない。ガスが流入する袋状の膨張領域(内部)に対する外部の意味である。図6に例示するように、カバー部302は、隣接するチャンバ(例えばフロントチャンパ324・ピラーチャンバ122)同士の略楕円形状の断面に対する共通の接線の経路に沿って差し渡され、各チャンバの断面の周囲には緩みなく接触している。これによってカバー部302は、上記の最短経路を実現している。
図6に示すように、カバー部302は、ピラーチャンバ122およびフロントチャンパ324・リアチャンバ326を跨いでいるため、カバー部302はピラーチャンバ122等と同じ程度に車内側へ張り出した位置で展開する。これにより、カバー部302は、非膨張領域130a・130bよりもさらに車内側、すなわち乗員により近い位置で早期に乗員を受け止めることが可能となっている。この構成であれば、車外放出防止性能のさらなる向上が可能である。さらに本実施形態では、カバー部302によって効率よく乗員を受け止めることが可能であるため、図5に示すようにフロントチャンバ324およびリアチャンバ326のガス容量が、図2のフロントチャンバ124およびリアチャンバ126よりもさらに削減可能となっている。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、上記実施形態においては本発明にかかるカーテンエアバッグを自動車に適用した例を説明したが、自動車以外にも航空機や船舶などに適用することも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、車両の側面衝突時やロールオーバ(横転)時に、乗員保護を目的として車両室内の側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグに利用することができる。
S1、S2 …結合位置、100、200、300 …エアバッグ、102 …車両、104 …インフレータ、106 …フロントピラー、108 …センタピラー、110 …リアピラー、112 …サイドウィンドウ、113、115 …ドアベルトライン、116 …前部座席、118 …後部座席、120 …ダクト部、122 …ピラーチャンバ、124、324 …フロントチャンバ、126、326 …リアチャンバ、130a、130b …非膨張領域、132、133 …縁部、134 …ストラップ、202 …追加チャンバ、302 …カバー部、

Claims (4)

  1. 車両室内の側面部上方に収納され、該側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグであって、
    ガスが流入して膨張する袋状の膨張領域として、
    前記側面部上方で車両前後方向に延びるダクト部と、
    前記側面部のサイドウィンドウよりも車内側に突出するセンタピラーの略全長に沿って前記ダクト部から下方へ延びるピラーチャンバと、
    前記サイドウィンドウ上において前記ピラーチャンバから車両前後方向にそれぞれ離れた位置で前記ダクト部から下方へ延びる複数のノーマルチャンバと、
    を備え、
    ガスの流入しない布状の非膨張領域として、上方を前記ダクト部に、車両前後方向を前記ピラーチャンバおよび各ノーマルチャンバに囲まれて前記サイドウィンドウを覆う非膨張領域を備えることを特徴とするカーテンエアバッグ。
  2. 前記非膨張領域の下縁に接続して前記ピラーチャンバと複数のノーマルチャンバとを連絡する追加チャンバをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ。
  3. 前記追加チャンバはドアベルトラインの下方まで延びるように設けられることを特徴とする請求項2に記載のカーテンエアバッグ。
  4. 当該カーテンエアバッグの車内側に前記ピラーチャンパと非膨張領域とノーマルチャンバとを跨いで結合されるカバー部をさらに備え、
    前記カバー部の長さは、該カバー部なしに当該カーテンエアバッグが膨張展開した場合における該カバー部の結合位置同士を当該カーテンエアバッグの外部を通って結ぶ最短経路の長さと略同じであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカーテンエアバッグ。
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