JP2012203187A - 近赤外線遮蔽フィルム及びこれを用いた近赤外線遮蔽体 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた反射防止性能、近赤外線吸収能、及び帯電防止性能を有し、耐熱性や耐擦傷性等にも優れる近赤外線遮蔽フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材フィルムの一方面にハードコート層と低屈折率層とがこの順に積層されており、他方面に近赤外線吸収性粘着層が積層されている。低屈折率層は、(a)多官能(メタ)アクリレートと、(b)中空シリカ微粒子と、(c)π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体とを含有する。低屈折率層用塗液は、(a)100質量部あたり(b)40〜250質量部、(c)1〜25質量部含む。π共役系導電性高分子とドーパントの質量比は1:1〜1:5である。近赤外線吸収性粘着層は、(d)(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物と、(e)近赤外線吸収色素とを含む。(d)は、酸価が20mgKOH/g以下の(メタ)アクリル系樹脂を含み、(e)近赤外線吸収色素はジイモニウム系色素又はフタロシアニン系色素である。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばプラズマディスプレイパネル(PDP)等に適用され、優れた反射防止性能および近赤外線吸収能を有し、かつ帯電防止性能にも優れた近赤外線遮蔽フィルム及びこれを用いた近赤外線遮蔽体に関する。
近年の高度情報化社会において、電子ディスプレイ等の光エレクトロニクス機器はテレビジョンやパーソナルコンピュータのモニター用等として著しい進歩を遂げ、広く普及している。中でもプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称す)は電子ディスプレイパネルの大型化や薄型化に伴って注目を浴びているが、動作原理上発せられる近赤外線によってリモートコントロール機器等の周辺機器の誤動作を招くといった問題がある。また、近年、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル等の電子画像表示装置(電子ディスプレイ)は、大型化に伴い、外光の映り込みによる表示される画像の視認性の低下が問題となっている。そのため、透明基材フィルムの表面に反射防止層を設けて形成された反射防止フィルムをディスプレイ表面に貼り合わせ、画像の視認性を高める方法が一般的に採用されている。さらに、静電気によるディスプレイ表面への塵埃などの付着を防止するために、これらの反射防止フィルムには帯電防止性能を有していることが求められている。
これらの問題を解決するために、反射防止層と、ジイモニウム系色素又はフタロシアニン系色素を含む近赤外線吸収性粘着層とを複合化した、PDPに用いられる近赤外線遮蔽フィルムが特許文献1に提案されている。
ところで、帯電防止性を付与するために、π共役系導電性高分子が帯電防止剤や電極材料等の工業材料として使用されている。このπ共役系導電性高分子は、ドーパントと呼ばれる物質をドーピングすることによって、高い導電性が付与される。例えば、π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体と多官能(メタ)アクリレートとを含有するコーティング剤組成物が、特許文献2に知られている。
また、透明基材フィルム、ハードコート層、および低屈折率層からなる反射防止フィルムへ帯電防止性能を付与するために、π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体をハードコート層に添加する方法が、特許文献3に知られている。
特開2005−272588号公報 特開2008−222850号公報 特開2010−2820号公報
特許文献1に記載の近赤外線遮蔽フィルムは、帯電防止性能を発現するための帯電防止剤等の材料を含んでいないため、ディスプレイ表面に塵埃が付着しやすく、汚れが目立ってしまい、画像が見づらくなってしまう。さらに、ディスプレイ製造工程において、塵埃の混入により不具合が発生してしまうこともある。
特許文献2では、π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体の屈折率はおよそ1.5と高い。したがって、当該複合体を含む特許文献2のコーティング剤組成物をそのままPDP用の光学フィルムへ適用すると、外光の反射が問題となる。
特許文献3では、十分な帯電防止性能を得るために、π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体をハードコート層へ多量に含有させている。その結果、全光線透過率が低下したり、製造コストが高くなるといった問題がある。また、ハードコート層の耐熱性、耐擦傷性、鉛筆硬度等を低下させる問題が生じる。加えて、特許文献3に記載の反射防止フィルムには、近赤外線吸収性層が使用されていないため近赤外線を遮蔽することができない。
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、その目的とするところは、優れた反射防止性能及び帯電防止性能を有し、かつ近赤外線吸収能、耐熱性、耐擦傷性、及び鉛筆硬度にも優れる近赤外線遮蔽フィルムを提供することにある。
そのための手段として、本発明は次の手段を採る。
(1)透明基材フィルムの一方面に、ハードコート層と、前記ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層とがこの順に積層されており、前記透明基材フィルムの他方面に近赤外線吸収性粘着層が積層されている近赤外線遮蔽フィルムであって、前記低屈折率層は、(a)多官能(メタ)アクリレートと、(b)中空シリカ微粒子と、(c)π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体と、を含有する低屈折率層用塗液の硬化物であり、前記低屈折率層用塗液は、前記(a)多官能(メタ)アクリレート100質量部あたり、前記(b)中空シリカ微粒子40〜250質量部、前記(c)π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体1〜25質量部を含み、前記(c)π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体中の、π共役系導電性高分子とドーパントの質量比が1:1〜1:5であり、前記近赤外線吸収性粘着層は、(d)(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物と、(e)近赤外線吸収色素とを含み、前記(d)(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物は、酸価が20mgKOH/g以下の(メタ)アクリル系樹脂を含み、前記(e)近赤外線吸収色素は、ジイモニウム系色素又はフタロシアニン系色素である近赤外線遮蔽フィルム。
(2)(1)に記載の近赤外線遮蔽フィルムを、前記近赤外線吸収性粘着層を介して基材に貼り合わせてなる、プラズマディスプレイ用近赤外線遮蔽体。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。本発明の近赤外線遮蔽フィルムは、低屈折率層にπ共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体が含まれていることから、ハードコート層の物性を低下させることなく帯電防止作用を有し、ディスプレイ表面に貼られた近赤外線遮蔽フィルムへの静電気による塵埃などの付着を抑えることができる。さらに、近赤外線吸収性粘着層によって、モジュールから発せられる近赤外線によってリモートコントロールされる周辺機器の誤作動を防止できる。その上、低屈折率層においても、主に(a)多官能(メタ)アクリレートの硬化物のもつ性質に基づいて耐擦傷性を向上させることができる。加えて、(c)π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体中のπ共役系導電性高分子とドーパントの質量比が1:1〜1:5に設定されていることから、良好な導電性を発現できるとともに、良好な耐熱性を発揮することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。本発明の近赤外線遮蔽フィルムは、テレビやモニター等の電子画像表示装置(電子ディスプレイ)におけるプラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶ディスプレイパネル等に適用されるものであって、透明基材フィルムの一方面にハードコート層と低屈折率層とがこの順に積層されており、透明基材フィルムの他方面に近赤外線吸収性粘着層が積層されている。
<透明基材フィルム>
近赤外線遮蔽フィルムに用いられる透明基材フィルムは、透明性を有している限り特に制限されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)で代表されるポリエステル系樹脂や、トリアセチルセルロース(TAC)系樹脂など、従来からディスプレイ用フィルム基材として使用されている公知の透明樹脂を制限なく使用できる。
透明基材フィルムの厚みは、好ましくは25〜400μm、さらに好ましくは50〜200μmである。なお、透明基材フィルムには、各種の添加剤が含まれていてもよい。そのような添加剤としては例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤等が挙げられる。
<ハードコート層>
ハードコート層は、活性エネルギー線硬化性樹脂及び溶媒を含むハードコート層用塗液の硬化物である。活性エネルギー線硬化性樹脂とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することにより硬化反応を生じる樹脂であり、その種類は特に限定されない。具体的には、例えば単官能(メタ)アクリレート〔ここで、本明細書では(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの双方を含む総称を意味する〕、多官能(メタ)アクリレート、又はテトラエトキシシラン等の反応性珪素化合物等の硬化物が挙げられる。ハードコート層の硬度を向上させるという観点より、活性エネルギー線硬化性の多官能(メタ)アクリレートを主成分として含む組成物が好ましい。
活性エネルギー線硬化性多官能(メタ)アクリレートとしては特に制限されず、例えばジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ビス(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン等の多官能アルコールのアクリル誘導体や、ポリエチレングリコールジアクリレート及びポリウレタンアクリレート等が好ましい。
ハードコート層用塗液には任意の溶媒を用いることができる。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。
また、ハードコート層用塗液は、屈折率を調整するために金属酸化物微粒子を含むことができる。金属酸化物微粒子としては、例えば、シリカ(二酸化珪素、S)、ITO(インジウムー錫複合酸化物、屈折率2.0)、ATO(アンチモン−錫複合酸化物、屈折率2.1)、酸化錫(屈折率2.0)、酸化アンチモン(屈折率2.1)、アンチモン酸亜鉛(屈折率1.7)、酸化亜鉛(屈折率2.1)、酸化ジルコニウム(屈折率2.1)、酸化チタン(屈折率2.4)及び酸化アルミニウム(屈折率1.6)等が挙げられる。金属酸化物微粒子が含まれる場合の金属酸化物微粒子の添加量は、活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して1〜400質量部程度であることが好ましい。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分をハードコート層に添加することができる。そのようなその他の成分としては、例えば重合体、重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤及びレベリング剤等の添加剤が挙げられる。
また、透明基材フィルムとハードコートの密着性を高めるために、透明基材フィルムとハードコート層の間に公知の干渉防止層を設けてもよい。なお、干渉防止層は、透明基材フィルムの製造時に公知の方法で透明基材フィルム表面に形成することができる。
ハードコート層の膜厚は1μm〜20μmが好ましい。ハードコート層の膜厚が1μm未満の場合には、十分な鉛筆硬度が得られないため好ましくない。一方、膜厚が20μmを超える場合には、耐屈曲性の低下等の問題が生じるため好ましくない。
(ハードコート層の形成方法)
このようなハードコート層の形成方法は特に限定されるものではない。例えば、ロールコート法、コイルバー法、ダイコート法等、一般的なウェットコート法によりハードコート層用塗液が透明基材フィルム上に塗布され、乾燥させた後に、紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射により硬化される。
<低屈折率層>
低屈折率層は、(a)多官能(メタ)アクリレート、(b)中空シリカ微粒子、及び(c)π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体(導電性高分子、錯体)を含有する低屈折率層用塗液の硬化物であり、透明基材フィルムおよびハードコート層よりも低い屈折率を有する。低屈折率層の厚みは、kλ/4とすることが光の干渉作用により表面反射が減少し、透過率が向上するため好ましい。ここで、λは光の波長400〜650nm、kは1又は3を表す。このように低屈折率層の厚みをkλ/4とすることで反射防止の効果をより高めることができる。kが1の場合と3の場合とを比較すると、kが1のときには、反射防止性能が相対的に高く、kが3のときには耐擦傷性が高くなる。
中空シリカ微粒子は、低屈折率層の屈折率を積極的に低下させるために添加され、当該中空シリカ微粒子の添加量によって低屈折率層の屈折率を調整できる。そのうえで、低屈折率層の屈折率は1.20〜1.44であることが好ましい。屈折率が1.20未満の低屈折率層を形成する場合、多官能(メタ)アクリレートの含有率を相対的に低くしなければならないため、低屈折率層は十分な塗膜強度を有することが難しくなる。一方、屈折率が1.44を超える場合には、ハードコート層との屈折率差が小さくなり、十分な反射防止性能が得られない。
(多官能(メタ)アクリレート)
多官能(メタ)アクリレートは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することにより、硬化反応を生じる樹脂であり、その種類は特に制限されない。具体的材料としては、ハードコート層の説明で挙げたものを使用できる。使用される樹脂は単官能(メタ)アクリレートでもよいが、(c)π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体を含有するため、塗膜の強度や耐擦傷性を向上させるという観点から、多官能(メタ)アクリレートが用いられる。
(中空シリカ微粒子)
中空シリカ微粒子は、シリカ(二酸化珪素、S)がほぼ球状に形成され、その外殻内に中空部を有する微粒子である。中空シリカ微粒子の平均粒子径は好ましくは10〜100nm、より好ましくは20〜60nmである。中空シリカ微粒子の平均粒子径が10nmより小さい場合、中空シリカ微粒子の製造が難しくなって好ましくない。一方、平均粒子径が100nmより大きい場合には、低屈折率層の膜厚(約100nm)よりも大きくなってしまうため、低屈折率層表面での光の散乱が大きくなり、近赤外線遮蔽フィルムの透明性が損なわれてしまう。
この中空シリカ微粒子は、有機溶剤に分散して使用する。該中空シリカ微粒子は、例えば特開2006−21938号公報に開示された製造方法により合成することもできる。この方法に基づいて、後述する実施例の中空シリカ微粒子(ゾル)が製造されている。また、中空シリカ微粒子の表面を、重合性二重結合を有するシランカップリング剤によって変性した変性中空シリカ微粒子を使用することもできる。
(π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体)
π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体とは、π共役系導電性高分子にドーパントをドーピングしたものを示す。その屈折率はおよそ1.49〜1.52である。π共役系導電性高分子を単独で用いても導電性は発現されないが、ドーパントをドーピングすることによって、π共役系導電性高分子上を自由に動くことが可能な電子が生じ、導電性が得られるようになる。
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば特に限定されず公知のものを使用することができる。ここで、高分子化合物とは分子量が10,000以上の化合物のことを示す。π共役系導電性高分子は、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリフラン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアセン類ポリチオフェンビニレン類などを例示できる。これらは単独で用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。中でも、導電性及び外部環境における安定性の点からポリチオフェン類、ポリピロール類又はポリアニリン類を用いるのが好ましく、特にポリチオフェン類を用いるのが好ましい。
ポリチオフェン類としては、例えば、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)などを例示できる。
ポリピロール類としては、例えば、ポリピロール、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)などを例示できる。
なお、π共役系導電性高分子は、非置換のままでも充分な導電性やバインダ樹脂への相溶性を得ることができるが、導電性をより高めるために、アルキル基、カルボキシ基、スルホン基、アルコキシ基、ヒロキシ基、シアノ基等の官能基を高分子中に導入しても良い。
ドーパント(dopant)は、π共役系導電性高分子をドーピング(錯体形成)することにより、π共役系導電性高分子上を自由に動くことが可能な電子を生じさせ、π共役系導電性高分子に導電性を発現させる物質である。π共役系導電性高分子とドーパントの組み合わせは特に制限されないが、導電性及び外部環境における安定性の点からポリチオフェン類とポリアニオンの組み合わせが好ましい。
ポリアニオンとは分子内にアニオン性基を有する化合物である。ポリアニオンの具体例としては、例えばポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
π共役系導電性高分子とドーパントの質量比は1:1〜1:5であることが必要である。π共役系導電性高分子とドーパントの質量比が1:1よりも小さい場合には、π共役系導電性高分子が十分にドーピングされず、複合体の導電性が低下する。一方、1:5よりも大きい場合には、過剰に存在するドーパントの影響により、複合体の耐熱性が悪化する。π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体は、π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体の水分散体を有機溶剤で置き換えて使用してもよい。
低屈折率層用塗液における(a)多官能(メタ)アクリレート、(b)中空シリカ微粒子、および(c)π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体の各々の含有量は、(a)多官能(メタ)アクリレート100質量部あたり、(b)中空シリカ微粒子40〜250質量部、 (c)π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体1〜25質量部である。中空シリカ微粒子の含有量が40質量部よりも少ない場合には、近赤外線遮蔽フィルムの十分な反射防止性能が得られず、250質量部よりも多い場合には、多官能(メタ)アクリレートの含有率が低下するため近赤外線遮蔽フィルムの耐擦傷性が低下する。
また、π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体の含有量が1質量部よりも少ない場合には、近赤外線遮蔽フィルムの十分な帯電防止性能が得られず、25質量部よりも多い場合には、複合体に対する多官能(メタ)アクリレートの含有率が相対的に減少するために、近赤外線遮蔽フィルムの耐擦傷性が低下する。
(希釈溶剤)
低屈折率層用塗液には任意の溶媒を用いることができる。溶媒として具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。
(その他の成分)
また、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を低屈折率層用塗液に添加することができる。そのようなその他の成分としては、例えば重合体、重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤及びレベリング剤等の添加剤が挙げられる。
(低屈折率層の形成方法)
低屈折率層を形成する方法は特に制限されないが、低屈折率層用塗液をロールコート法、スピンコート法、コイルバー法、ディップコート法、ダイコート法等の塗布方法により透明基材フィルム上に積層されたハードコート層の表面に塗布した後、紫外線を照射する方法が挙げられる。このような方法により、低屈折率層用塗液が硬化して硬化物が得られ、低屈折率層が形成される。低屈折率層用塗液の塗布方法としては、ロールコート法等の低屈折率層を連続的に形成できる方法が生産性の点より好ましい。
<近赤外線吸収性粘着層>
近赤外線吸収性粘着層は、近赤外線吸収機能と粘着機能を併せ持った機能層であり、透明基材に対して低屈折率層を積層した反対側の他方面に積層される。近赤外線吸収性粘着層は、(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物と近赤外線吸収色素とを含む近赤外線吸収性粘着剤の硬化により形成される。
近赤外線吸収性粘着層を透明基材に設ける方法としては、近赤外線吸収性粘着剤をウェットコート法により塗布する方法であれば特に制限されず、例えばグラビアコート法、スピンコート法、ダイコート法等の従来公知の塗工方法を採用することができる。
((メタ)アクリル系粘着樹脂組成物)
本発明における(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物は、例えばメチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とを重合した重合体等を用いることができる。(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物を形成する単量体は特に制限されず、従来公知の重合体を用いることができる。
(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物の酸価は20mgKOH/g以下であり、好ましくは15mgKOH/g以下である。この酸価が20mgKOH/gより大きい場合には、(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物に近赤外線吸収色素を添加した際に近赤外線吸収色素の劣化が促進され、さらには近赤外線吸収性粘着層を電磁波遮蔽層として使用される銅メッシュ等の金属メッシュ上に形成した際に金属メッシュの酸化劣化が促進されるため不適当である。
(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物を形成する単量体は特に制限されず、例えばメチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とを重合した重合体を用いることができる。また、(メタ)アクリレートの他に、例えばエチレン、酢酸ビニル、スチレン等の不飽和二重結合を有するオレフィン系単量体、ビニル系単量体との共重合体も用いることができる。
(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸のほか、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体や、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基を有する単量体等のイソシアネート系架橋剤のイソシアネート基と反応する官能基を有する単量体を含有させて形成されていても良い。これにより、該官能基を有する単量体が(メタ)アクリル酸と共重合して官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂を得ることができ、この官能基がイソシアネート系架橋剤のイソシアネート基と反応して架橋構造を形成し、近赤外線吸収性粘着層の機械的強度等を高めることができる。
(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物に使用される架橋剤は特に限定されないが、例えばイソシアネート系架橋剤等が好適に用いられる。粘着樹脂組成物には本発明の機能を損なわない限りにおいて、その他の添加剤が添加されていても良い。その他の添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられるが、これらに制限されない。また、その他の添加剤は従来公知の化合物を用いることができる。
(近赤外線吸収色素)
本発明における近赤外線吸収色素はジイモニウム系色素又はフタロシアニン系色素より選ばれる。これらの近赤外線吸収色素は光の波長800〜1100nmに極大吸収波長を有するため可視光線を不必要に吸収することがなく、PDPに使用する上で十分な近赤外線吸収能を発揮することができる。
このようなジイモニウム系色素の市販品としては、例えばCIR−1085、CIR−RL〔以上、日本カーリット(株)製のジイモニウム系色素の商品名〕、IRG−022、IRG−067〔以上、日本化薬(株)製のジイモニウム系色素の商品名〕等、フタロシアニン系色素としては、例えばイーエクスカラーIR−10A、イーエクスカラーIR−12、イーエクスカラーIR−14、TX−EX−820、TX−EX−906B、TX−EX−910B、TX−EX−915〔以上、(株)日本触媒製のフタロシアニン系色素の商品名〕等がそれぞれ挙げられる。これらの中でも、ジイモニウム系色素が可視光領域の透過率を高く保てることにより色設計が容易となるため好ましい。
近赤外線吸収色素の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して0.5〜3.0質量部が好ましい。該近赤外線吸収色素の含有量が0.5〜3.0質量部であれば実用上近赤外線吸収能と可視光線の透過率が十分な近赤外線吸収性粘着層を得ることができる。近赤外線吸収色素の含有量が0.5質量部より少ない場合、近赤外線吸収能を十分に発揮することができず、可視光線の透過率も低下する傾向を示す。一方、その含有量が3.0質量部より多い場合、近赤外線吸収性粘着層の粘着性能が低下するなどの傾向を示す。
近赤外線吸収色素は有機溶剤に溶解させて用いるが、耐久性能を高めるために微粒子分散状態で用いても良い。この場合、平均粒子径が0.001〜0.1μmの微粒子分散状態で存在することが好ましく、平均粒子径が0.005〜0.030μmの微粒子分散状態で存在することがさらに好ましい。平均粒子径が0.1μmを超えると光の散乱により白ボケを生ずるため不適当であり、平均粒子径が0.001μm未満であると溶解により耐久性能を十分に発現することができないという弊害がある。尚、本発明における平均粒子径とは、nanotracUPA−EX150〔日機装(株)製の粒度分布測定機〕を用いて動的光散乱理論/周波数マトリックス解析法(FFT法)により測定した値のことをいう。
近赤外線吸収色素の分散方法は特に限定されず、従来公知の分散方法を用いることができる。例えば、有機溶剤にジイモニウム塩化合物を少量ずつ撹拌しながら添加してゆき、ガラスビーズを加えてペイントシェイカーで物理的に粉砕する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、近赤外線吸収性粘着層には、光の波長380〜780nm(可視光線の波長域)の領域に極大吸収波長を有する色補正色素を含有させることができる。この色補正色素を含むことにより、近赤外線吸収性粘着層をPDPに使用した際に色再現性を向上させることができる。光の波長380〜780nmの領域に極大吸収波長を有する色補正色素は特に制限されず、例えばアザポルフィリン系化合物、シアニン系化合物、その他スクアリリウム系化合物、アゾメチン系化合物、ポリメチン系化合物、キサンテン系化合物、ピロメテン系化合物、イソインドリノン系化合物、キナクリドン系化合物、ジケトピロロピロール系化合物、アントラキノン系化合物、ジオキサジン系化合物等、従来公知の化合物を用いることができるが、耐久性能の良好なアザポルフィリン系化合物が好ましい。アザポルフィリン系化合物の中では、吸収特性の良好なテトラアザポルフィリン系化合物が好ましく、例えばTAP‐2、TAP‐18(山田化学工業(株)製テトラアザポリフィリン化合物)、PD‐320、PD‐321(山本化成(株)製テトラアザポリフィリン化合物)等が用いられる。
<近赤外線遮蔽体>
本発明の近赤外線遮蔽体は、上記近赤外線遮蔽フィルムを、近赤外線吸収性粘着層を介して基材に貼り合わせて成る。ここでの基材としては、透明であれば特に制限されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の透明樹脂フィルム等のほか、ガラス板やアクリル板等を用いることができる。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、透明基材上に防汚層、耐指紋性層、反射防止層、アンチグレア層、透明導電層、書味向上性層、接着性改良層、屈折率調整層等の機能層を設けてもよい。これにより、近赤外線遮蔽体は近赤外線吸収性能に加えて、様々な機能を発揮することが可能になる
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明の実施形態をさらに具体的に説明する。なお、各例における部は質量部を示し、%は質量%を表す。
〔ハードコート層用塗液の製造〕
(ハードコート層用塗液HC−1の製造)
光重合性ウレタンアクリレート[日本合成化学工業(株)製、商品名:紫光UV7600B]50質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[日本化薬(株)製、商品名:DPHA]20質量部、光重合開始剤[チバスペシャリティケミカル(株)製、商品名:IRGACURE184]3質量部及びイソプロピルアルコール30質量部を混合して、ハードコート層用塗液HC−1を得た。
(ハードコート層用塗液HC−2の製造)
中空シリカ微粒子(SiO、平均粒子径:10nm)35質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[日本化薬(株)製、商品名:DPHA]25質量部、光重合開始剤[チバスペシャリティケミカル(株)製、商品名:IRGACURE184]5質量部及びメチルエチルケトン40質量部を混合して、ハードコート層用塗液HC−2を得た。
(ハードコート層用塗液HC−3の製造)
酸化ジルコニウム微粒子(平均粒子径:30nm)46質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[日本化薬(株)製、商品名:DPHA]31質量部、光重合開始剤[チバスペシャリティケミカル(株)製、商品名:IRGACURE184]5質量部及びイソブチルアルコール23質量部を混合して、ハードコート層用塗液HC−3を得た。
(ハードコート層用塗液HC−4の製造)
アンチモン酸亜鉛微粒子(平均粒子径:30nm)5質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[日本化薬(株)製、商品名:DPHA]65質量部、光重合開始剤[チバスペシャリティケミカル(株)製、商品名:IRGACURE184]5質量部及びメチルエチルケトン30質量部を混合して、ハードコート層用塗液HC−4を得た。
〔変性中空シリカ微粒子(ゾル)の製造〕
第1工程として、平均粒子径5nm、シリカ(SiO)濃度20%のシリカゾルと純水とを混合して反応母液を調製し、80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同反応母液にSiOとして1.17%の珪酸ナトリウム水溶液と、アルミナ(Al)として0.83%のアルミン酸ナトリウム水溶液とを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは、珪酸ナトリウム及びアルミン酸ナトリウムの添加直後12.5に上昇し、その後ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20%のSiO・Al一次粒子分散液(核粒子分散液)を調製した。
次いで、第2工程として、このSiO・Al一次粒子分散液を採取し、純水を加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、濃度0.5%の硫酸ナトリウムを添加した。続いて、SiOとして濃度1.17%の珪酸ナトリウム水溶液と、Alとして濃度0.5%のアルミン酸ナトリウム水溶液とを添加して複合酸化物微粒子分散液(核粒子に第1シリカ被覆層を形成した微粒子分散液)を得た。そして、これを限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13%の複合酸化物微粒子分散液とした。
第3工程として、この複合酸化物微粒子分散液に純水を加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lとを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、洗浄して固形分濃度20%のシリカ系微粒子(1)の水分散液を得た。
第4工程として、前記固形分濃度20%のシリカ系微粒子(1)の水分散液と、純水、エタノール及び28%アンモニア水との混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiOが28%)を添加してシリカ被膜(第2シリカ被覆層)を形成した。続いて、純水5Lを加えながら、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20%のシリカ系微粒子(2)の分散液を調製した。
最後に第5工程として、再びシリカ系微粒子(2)の分散液を200℃にて11時間水熱処理した。その後、純水5Lを加えながら限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20%に調整した。そして、限外濾過膜を用いて、この分散液の分散媒をエタノールに置換し、固形分濃度20%のオルガノゾルを得た。このオルガノゾルは、平均粒子径が60nmで、比表面積が110m/gの中空シリカ微粒子が分散されたオルガノゾル(以下、「中空シリカゾルA」と称する。)であった。
該中空シリカゾルA(シリカ固形分濃度20%)200gを用意し、限外濾過膜にて、メタノールへの溶媒置換を行い、SiO分が20%のオルガノゾル100g(水分量はSiO分に対して0.5%)を調製した。そこへ28%アンモニア水溶液を前記オルガノゾル100gに対してアンモニアとして100ppmとなるように加え、十分に混合し、次にγ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔商品名:KBM5103、信越化学(株)製〕3.6gを添加し、反応液とした。
これを50℃に加温し、撹拌しながら50℃で6時間加熱を行った。加熱終了後、反応液を常温まで冷却し、さらにロータリーエバポレーターでイソプロピルアルコールへ溶媒置換を行い、SiO濃度20%の被覆中空微粒子からなるオルガノゾルを得た。このオルガノゾルは、平均粒子径が60nm、屈折率1.25、空隙率40〜45%で、比表面積が130m/g、熱質量測定法(TG)による質量減少割合が3.6%の変性中空シリカ微粒子が分散されたオルガノゾル(変性中空シリカ微粒子ゾル)であった。
〔低屈折率層用塗液の調製〕
(低屈折率層用塗液L−1の調製)
(a)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、商品名:DPHA、6官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で1部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを4308部混合して低屈折率層用塗液L−1を調製した。
(低屈折率層用塗液L−2の調製)
(a)UV7600B〔日本合成化学(株)製、商品名:紫光UV7600B、6官能ウレタンアクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3−メチルチオフェン)/ポリビニルスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で2.5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを4188部混合して低屈折率層用塗液L−2を調製した。
(低屈折率層用塗液L−3の調製)
(a)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、商品名:DPHA、6官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを3988部混合して低屈折率層用塗液L−3を調製した。
(低屈折率層用塗液L−4の調製)
(a)UV7600B〔日本合成化学(株)製、商品名:紫光UV7600B、6官能ウレタンアクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で7.5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを3788部混合して低屈折率層用塗液L−4を調製した。
(低屈折率層用塗液L−5の調製)
(a)ペンタエリスリトールトリアクリレート〔共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートPE−3A、3官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)/ポリアクリル酸エチルスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で10部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを3588部混合して低屈折率層用塗液L−5を調製した。
(低屈折率層用塗液L−6の調製)
(a)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、商品名:DPHA、6官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリビニルスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で12.5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを3388部混合して低屈折率層用塗液L−6を調製した。
(低屈折率層用塗液L−7の調製)
(a)UV7600B〔日本合成化学(株)製、商品名:紫光UV7600B、6官能ウレタンアクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3−メチルチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で25部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを2388部混合して低屈折率層用塗液L−7を調製した。
(低屈折率層用塗液L−8の調製)
(a)ペンタエリスリトールトリアクリレート〔共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートPE−3A、3官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを4388部混合して低屈折率層用塗液L−8を調製した。
(低屈折率層用塗液L−9の調製)
(a)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、商品名:DPHA、6官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3―ヘキシルオキシチオフェン)/ポリビニルスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で37.5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを1388部混合して低屈折率層用塗液L−9を調製した。
(低屈折率層用塗液L−10の調製)
(a)UV7600B〔日本合成化学(株)製、商品名:紫光UV7600B、6官能ウレタンアクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で233部、(c)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で10部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を16.7部及びイソプロピルアルコールを4911部混合して低屈折率層用塗液L−10を調製した。
(低屈折率層用塗液L−11の調製)
(a)ペンタエリスリトールトリアクリレート〔共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートPE−3A、3官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で100部、(c)ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)/ポリビニルスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で6部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を10部及びイソプロピルアルコールを3110部混合して低屈折率層用塗液L−11を調製した。
(低屈折率層用塗液L−12の調製)
(a)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、商品名:DPHA、6官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で67部、(c)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を8.4部及びイソプロピルアルコールを2664部混合して低屈折率層用塗液L−12を調製した。
(低屈折率層用塗液L−13の調製)
(a)UV7600B〔日本合成化学(株)製、商品名:紫光UV7600B、6官能ウレタンアクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で43部、(c)ポリ(3―メチルチオフェン)/ポリビニルスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で4.3部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を7.2部及びイソプロピルアルコールを2337部混合して低屈折率層用塗液L−13を調製した。
(低屈折率層用塗液L−14の調製)
(a)ペンタエリスリトールトリアクリレート〔共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートPE−3A、3官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で25部、(c)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリビニルスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で3.8部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を6.3部及びイソプロピルアルコールを2090部混合して低屈折率層用塗液L−14を調製した。
(低屈折率層用塗液L−15の調製)
(a)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、商品名:DPHA、6官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で400部、(c)ポリ(3―メチルー4−メトキシチオフェン)/ポリアクリル酸エチルスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で15部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を25部及びイソプロピルアルコールを7175部混合して低屈折率層用塗液L−15を調製した。
(低屈折率層用塗液L−16の調製)
(a)UV7600B〔日本合成化学(株)製、商品名:紫光UV7600B、6官能ウレタンアクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(2―メチルアニリン)/ポリスチレンスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを3988部混合して低屈折率層用塗液L−16を調製した。
(低屈折率層用塗液L−17の調製)
(a)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、商品名:DPHA、6官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3―イソブチルアニリン)/ポリスチレンスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを3988部混合して低屈折率層用塗液L−17を調製した。
(低屈折率層用塗液L−18の調製)
(a)ペンタエリスリトールトリアクリレート〔共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートPE−3A、3官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3―ブチルピロール)/ポリスチレンスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを3988部混合して低屈折率層用塗液L−18を調製した。
(低屈折率層用塗液L−19の調製)
(a)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、商品名:DPHA、6官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3―メチル−4−ヘキシルオキシピロール)/ポリスチレンスルホン酸=1/2.5の複合体を固形分換算で5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを3988部混合して低屈折率層用塗液L−19を調製した。
(低屈折率層用塗液L−20の調製)
(a)UV7600B〔日本合成化学(株)製、商品名:紫光UV7600B、6官能ウレタンアクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸=1/1の複合体を固形分換算で5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを3988部混合して低屈折率層用塗液L−20を調製した。
(低屈折率層用塗液L−21の調製)
(a)ペンタエリスリトールトリアクリレート〔共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレートPE−3A、3官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸=1/5の複合体を固形分換算で5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを3988部混合して低屈折率層用塗液L−21を調製した。
(低屈折率層用塗液L−22の調製)
(a)UV7600B〔日本合成化学(株)製、商品名:紫光UV7600B、6官能ウレタンアクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸=1/0.5の複合体を固形分換算で5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを3988部混合して低屈折率層用塗液L−22を調製した。
(低屈折率層用塗液L−23の調製)
(a)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、商品名:DPHA、6官能アクリレート〕を100部、(b)前記変性中空シリカ微粒子ゾルを固形分換算で150部、(c)ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸=1/6.5の複合体を固形分換算で5部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を12.5部及びイソプロピルアルコールを3988部混合して低屈折率層用塗液L−23を調製した。
<近赤外線吸収性粘着剤B−1の調製>
n‐ブチルアクリレート94.6質量部、アクリル酸4.4質量部、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート1質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部、酢酸エチル90質量部、トルエン60質量部を混合し、窒素雰囲気下で混合物を65℃に加温して10時間重合反応を行い、アクリル樹脂組成物(酸価9mgKOH/g)を調製した。このアクリル樹脂組成物にコロネートL〔日本ポリウレタン(株)製ポリイソシアネート〕1質量部、および固形分濃度が20質量%となるように酢酸エチルを加えることにより、粘着樹脂組成物の固形分濃度20質量%溶液a−1を得た。次に、ガラス容器にジイモニウム系色素であるビス[ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸]‐N,N,N’,N’‐テトラキス[p‐ジ(イソプロピルオキシエチル)アミノフェニル]‐p‐フェニレンジアミン0.2質量部、トルエン3.8質量部、および粒径0.8mmのガラスビーズをそれぞれ加えてペイントシェイカーで3時間撹拌振とうした後、ガラスビーズを濾別して、ジイモニウム系色素の微粒子分散液b−1(固形分濃度5質量%、平均粒子径0.015μm)を得た。なお、近赤外線吸収色素の平均粒子径は、nanotracUPA‐EX150(日機装(株)製粒度分布測定機)を用いて動的光散乱理論/周波数マトリックス解析法(FFT法)により測定した。続いて、粘着樹脂組成物の固形分濃度20質量%溶液a−1500質量部に上記微粒子分散液b−1を26質量部(固形分換算1.3質量部)加えて撹拌混合することにより、近赤外線吸収性粘着剤B−1を得た。
<近赤外線吸収性粘着剤B−2の調製>
n‐ブチルアクリレート95.4質量部、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート4.6質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル90質量部、トルエン60質量部を混合し、窒素雰囲気下で混合物を65℃に加温して14時間重合反応を行い、アクリル樹脂組成物(酸価0mgKOH/g)を調製した。このアクリル樹脂組成物にBHS8515〔東洋インキ製造(株)製ポリイソシアネート〕1質量部、および固形分濃度が20質量%となるように酢酸エチルを加えることにより、粘着樹脂組成物の固形分濃度20質量%溶液a−2を得た。次に、ガラス容器にジイモニウム系色素であるビス(ヘキサフルオロアンチモン酸)‐N,N,N’,N’‐テトラキス[p‐ジ(シクロヘキシルエチル)アミノフェニル]‐p‐フェニレンジアミン0.2質量部、トルエン3.8質量部、および粒径0.8mmのガラスビーズをそれぞれ加えてペイントシェイカーで4時間撹拌振とうした後、ガラスビーズを濾別して、ジイモニウム系色素の微粒子分散液b−2(固形分濃度5質量%、平均粒子径0.010μm)を得た。続いて、粘着樹脂組成物の固形分濃度20質量%溶液a−2500質量部に上記微粒子分散液b−2を26質量部(固形分換算1.3質量部)、PD‐320〔山本化成(株)製テトラアザポルフィリン化合物〕0.11質量部を加えて撹拌混合することにより、近赤外線吸収性粘着剤B−2を得た。
<近赤外線吸収性粘着剤B−3の調製>
上記粘着樹脂組成物の固形分濃度20質量%溶液a−1(500質量部)に赤外線吸収色素としてIR−14〔(株)日本触媒製フタロシアニン化合物〕0.3質量部、TXEX820〔(株)日本触媒製フタロシアニン化合物〕0.55質量部、TXEX915〔(株)日本触媒製フタロシアニン化合物〕0.58質量部、TAP‐2〔山田化学工業(株)製テトラアザポルフィリン化合物〕0.12質量部を加えて撹拌混合することにより、近赤外線吸収性粘着剤B−3を得た。
(実施例1−1)
厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔東洋紡績(株)製、商品名:A4300〕の上に前記ハードコート層用塗液HC−1を乾燥膜厚1.1μm程度になるようにグラビアコート法で塗布し、乾燥後、400mJ/cmの紫外線を照射して硬化させることにより、ハードコート層を得た。次に、このハードコート層上に、前記低屈折率層用塗液L−1を、硬化後の光学膜厚がkλ/4(k:1、λ:550nm)になるようにグラビアコート法で塗布し、乾燥後、窒素雰囲気下で400mJ/cmの紫外線を照射して硬化させた。続いて、近赤外線吸収性粘着剤B−1をPET製のセパレートフィルム上に乾燥後の厚みが25μmとなるようにオートアプリケーターを用いて塗布し、90℃で2分間乾燥後、前記ポリエステルフィルムの低屈折率層を形成した面とは反対の他方面に貼合して30℃で5日間保存することにより、近赤外線遮蔽フィルム1を得た。当該近赤外線遮蔽フィルム1の視感度反射率は0.9%、850nm透過率は12%、950nm透過率は5%であった。続いて、近赤外線遮蔽フィルム1のセパレートフィルムを剥離してガラスに貼合することにより、実施例1の近赤外線遮蔽体を得た。得られた近赤外線遮蔽体について、視感度反射率、表面抵抗率、表面硬度、耐熱性及び耐擦傷性の評価を以下に記載する方法で行い、それらの評価結果を表1に示した。
(視感度反射率)
測定面の裏面反射を除くため、裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗りつぶしたものを分光光度計〔日本分光(株)製、商品名:U−best560〕により、光の波長380nm〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。得られる380nm〜780nmの分光反射率と、CIE標準イルミナントD65の相対分光分布を用いて、JIS Z8701で想定されているXYZ表色系における、反射による物体色の三刺激値Yを視感度反射率(%)とした。
(表面抵抗率)
デジタル絶縁計〔東亜DKK(株)製、商品名:SM−8220〕を用いて、近赤外線遮蔽体の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。なお、表1〜表3において、「RANGE OVER」は表面抵抗率が測定限界を超えるほど高くなったことを意味する。
(鉛筆硬度)
安田精機(株)製鉛筆硬度試験機を用いてJIS K5600−5−4に従って、鉛筆硬度を測定した。
(耐熱性)
近赤外線遮蔽体を80℃に設定された恒温槽の中に放置し、1000時間後に恒温槽から取り出して表面抵抗率を測定した。恒温槽に入れる前に測定した表面抵抗率と比較して、表面抵抗率の上昇が2桁以内に抑えられていれば○、表面抵抗率が3桁以上上昇した場合には×とした。
(耐擦傷性)
(株)本光製作所製消しゴム摩耗試験機の先端に、#0000のスチールウールを固定し、2.5N(250gf)及び1N(100gf)の荷重をかけて、近赤外線遮蔽体の表面上を10回往復摩擦したあとの表面の傷を目視で観察し、以下のA〜Eの6段階で評価した。
A:傷なし、A':傷1〜3本、B:傷4〜10本、C:傷11〜20本、D:傷21〜30本、E:31本以上
(近赤外線透過率の測定)
近赤外線透過率はUV‐1600PC((株)島津製作所製分光光度計の製品名)を用いて測定した。尚、各例においては、波長850nm、及び950nmにおける近赤外線透過率がいずれも15%以下となるように設計を行った。
(実施例1−2〜実施例1−7)
実施例1−1のハードコート層用塗液として、表1に示すハードコート層用塗液HC−1〜HC−4を用い、低屈折率層用塗液として、低屈折率層用塗液L−2〜L−7を用い、近赤外線吸収粘着剤としてB−1〜B−3を用いた以外は実施例1−1と同様にして、近赤外線遮蔽体を得た。得られた近赤外線遮蔽体について、視感度反射率、表面抵抗率、鉛筆硬度、耐熱性及び耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
(比較例1−1〜比較例1−3)
実施例1−1の低屈折率層用塗液L−1の代わりに、比較例1−1では低屈折率層用塗液L−8を用い、比較例1−2では低屈折率層用塗液L−9を用い、比較例1−3ではポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に直接低屈折率層用塗液L−1を塗布し、近赤外線吸収粘着剤としてB−1〜B−3を用いた以外は、実施例1−1と同様にして近赤外線遮蔽体を得た。得られた近赤外線遮蔽体について、視感度反射率、表面抵抗率、鉛筆硬度、耐熱性及び耐擦傷性の評価結果を表1に示す。
(比較例1−4)
実施例1−1における近赤外線吸収性粘着剤を使用しなかった以外は実施例1−1と同様にして近赤外線遮蔽体を得た。
Figure 2012203187
表1に示したように、実施例1−1〜実施例1−7では、反射防止性能を有し、帯電防止性能にも優れ、かつ耐熱性、鉛筆硬度及び耐擦傷性も良好な反射防止フィルムを得ることができた。一方、比較例1−1では、π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体を有していないことから、帯電防止性能が発現されないという結果であった。また、比較例1−2では、π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体の含有量が多いため、複合体に対する多官能(メタ)アクリレートの含有率が相対的に減少し、耐擦傷性が悪化するという結果であった。また、比較例1−3では、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に直接低屈折率層を積層しているため、鉛筆硬度が悪化するという結果であった。また、比較例1−4では近赤外線吸収性粘着剤を積層していないため近赤外線吸収能を発現することができなかった。
(実施例2−1〜実施例2−4)
実施例1−1のハードコート層用塗液として、表2に示すハードコート層用塗液HC−1〜HC−4を用い、低屈折率層用塗液L−1の代わりに、低屈折率層用塗液L−10〜L−13を用い、近赤外線吸収粘着剤としてB−1〜B−3を用いた以外は実施例1−1と同様にして近赤外線遮蔽体を得た。得られた近赤外線遮蔽体について、視感度反射率、表面抵抗率、鉛筆硬度、耐熱性及び耐擦傷性の評価結果を表2に示す。
(比較例2−1、比較例2−2)
実施例1−1の低屈折率層用塗液L−1の代わりに、比較例2−1では低屈折率層用塗液L−14を用い、比較例2−2では低屈折率層用塗液L−15を用い、近赤外線吸収粘着剤としてB−1〜B−3を用いた以外は実施例1−1と同様にして近赤外線遮蔽体を得た。得られた近赤外線遮蔽体について、視感度反射率、表面抵抗率、鉛筆硬度、耐熱性及び耐擦傷性の評価結果を表2に示す。
Figure 2012203187

表2に示したように、実施例2−1〜実施例2−4では、反射防止性能を有し、帯電防止性能にも優れ、かつ耐熱性、鉛筆硬度及び耐擦傷性も良好な反射防止フィルムを得ることができた。一方、比較例2−1では、中空シリカ微粒子の含有量が少ないため、低屈折率層の屈折率が十分に低下せず、反射防止性能が劣るという結果であった。また、比較例2−2では、中空シリカ微粒子の含有量が多いため、相対的に多官能(メタ)アクリレートの含有量が減少し、耐擦傷性が悪化するという結果であった。
(実施例3−1〜実施例3−6)
実施例1−1のハードコート層用塗液として、表3に示すハードコート層用塗液HC−1〜HC−4を用い、実施例1−1の低屈折率層用塗液L−1の代わりに、低屈折率層用塗液L−16〜L−21を用い、近赤外線吸収粘着剤としてB−1〜B−3を用いた以外は実施例1−1と同様にして近赤外線遮蔽体を得た。得られた近赤外線遮蔽体について、視感度反射率、表面抵抗率、耐熱性及び耐擦傷性の評価結果を表3に示す。
(比較例3−1、比較例3−2)
実施例1−1の低屈折率層用塗液L−1の代わりに、比較例3−1では低屈折率層用塗液L−22を用い、比較例3−2では低屈折率層用塗液L−23を用い、近赤外線吸収粘着剤としてB−1〜B−3を用いた以外は実施例1−1と同様にして近赤外線遮蔽体を得た。得られた近赤外線遮蔽体について、視感度反射率、表面抵抗率、耐熱性及び耐擦傷性の評価結果を表3に示す。
Figure 2012203187
表3に示したように、実施例3−1〜実施例3−6では、反射防止性能を有し、帯電防止性能にも優れ、かつ耐熱性、鉛筆硬度及び耐擦傷性も良好な反射防止フィルムを得ることができた。一方、比較例3−1では、π共役系導電性高分子に対してドーパントの量が少ないため、π共役系導電性高分子が十分にドーピングされず、導電性が低下した。また、比較例3−2では、π共役系導電性高分子に対してドーパントの量が多いため、過剰に存在するドーパントの影響により、耐熱性が低下した。

Claims (2)

  1. 透明基材フィルムの一方面に、ハードコート層と、前記ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層とがこの順に積層されており、前記透明基材フィルムの他方面に近赤外線吸収性粘着層が積層されている近赤外線遮蔽フィルムであって、
    前記低屈折率層は、(a)多官能(メタ)アクリレートと、(b)中空シリカ微粒子と、(c)π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体と、を含有する低屈折率層用塗液の硬化物であり、
    前記低屈折率層用塗液は、前記(a)多官能(メタ)アクリレート100質量部あたり、前記(b)中空シリカ微粒子40〜250質量部、前記(c)π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体1〜25質量部を含み、
    前記(c)π共役系導電性高分子とドーパントからなる複合体中の、π共役系導電性高分子とドーパントの質量比が1:1〜1:5であり、
    前記近赤外線吸収性粘着層は、(d)(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物と、(e)近赤外線吸収色素とを含み、
    前記(d)(メタ)アクリル系粘着樹脂組成物は、酸価が20mgKOH/g以下の(メタ)アクリル系樹脂を含み、
    前記(e)近赤外線吸収色素は、ジイモニウム系色素又はフタロシアニン系色素である近赤外線遮蔽フィルム。
  2. 請求項1に記載の近赤外線遮蔽フィルムを、前記近赤外線吸収性粘着層を介して基材に貼り合わせてなる、プラズマディスプレイ用近赤外線遮蔽体。

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