JP2012195073A - 再生材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】廃リチウムイオン電池又は廃電極材を失活化させた上で破砕する破砕工程、破砕工程で得られた破砕物からセパレータを分離除去するセパレータ除去工程、当該破砕物を大気中400〜550℃で加熱して有機物を除去する有機物除去工程、破砕物に衝突を繰り返させることで、電極基板と活物質とを分離する活物質分離工程、篩分けにより電極基板と活物質とをそれぞれ回収する再生材料選別回収工程を備えたリチウムイオン電池用再生材料の製造方法を提案する。
【選択図】なし
Description
また、従来の回収方法では、電極基板の形が壊れてしまい、細かくなった基板材料が活物質中に混入するため、活物質のみを分離回収することがより一層難しくなっていた。
本発明の好適な実施形態の一例としての再生材料の製造方法(「本再生材料製造方法」と称する)は、廃リチウムイオン電池又は廃電極材を失活化させた上で破砕する破砕工程、破砕工程で得られた破砕物からセパレータを分離除去するセパレータ除去工程、当該破砕物を大気中で加熱して有機物を除去する有機物除去工程、前記工程で得られた破砕物に適度な衝撃を与えて電極基板と活物質とを分離する活物質分離工程、篩分けにより電極基板と活物質とをそれぞれ回収する再生材料選別回収工程を備えた再生材料の製造方法である。
本再生材料製造方法で対象とする廃リチウムイオン電池としては、使用済みリチウムイオン電池や、使用する前に廃棄されたリチウムイオン電池(これらをまとめて「廃リチウムイオン電池」と称する)、中でもラミネートフィルム外装の廃リチウムイオン電池(以下、「ラミネートセルリチウムイオン電池」又は「ラミネートセル」と称する)であるのが好ましい。
また、上記リチウムイオン電池を組み立てる前に廃棄された電極材(「廃電極材」と称する)も本再生材料製造方法で対象とすることができる。
これらの大きさは特に限定するものではない。
正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物系のものや、リチウムマンガン酸化物系のもの、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物系のものなどが上市されている。中でも、本発明によれば、正極活物質材料、特にMnの回収率を顕著に高めることができるため、正極活物質材料としてMnを含有するものが特に好ましい。
セパレータは、微孔性ポリプロピレンなどが使用されるが、その他の材料であってもよい。
電解質は、例えば六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)等のリチウム塩を、エチレンカーボネート−ジメチルカーボネート等の混合溶媒に溶解したものが使用されるが、他の組成のものであってもよい。
外部取り出し電極は、金属ニッケル板、アルミニウム板などが使用されるが、他の材質のものでもよい。
破砕工程では、廃リチウムイオン電池又は廃電極材を失活化させた上で破砕するのが好ましい。
失活化させる方法としては、液体窒素や冷凍機などで電解液を凍らせて機能させなくする方法や、酸性溶液に入れて故意に短絡させる方法など、任意である。
破砕手段としては、例えば一軸剪断破砕機或いは二軸剪断破砕機などを用いて破砕してもよいし、ハンマーミル、その他の破砕機械を用いて破砕してもよい。
破砕の程度としては、破砕物の大きさが30×30mm以下程度にするのが好ましい。
電解質の除去は、水洗してもよいし、また、溶解した溶解液を蒸留し、電解質LiPF6を含む残渣と有機溶媒(ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート等)とをそれぞれ分離するようにしてもよい。
セパレータの分離除去の方法としては、例えば前記の如く破砕して得られた破砕物を、水を張った容器内に投入し、容器下部からのエアー吹き込みと攪拌によって部材間の分離と洗浄を行い、攪拌終了後、セパレータを浮上させて分離除去すればよい。このようにすることにより、電解質及びセパレータを破砕物から効率良く分離除去することができる。
但し、このような方法に限定するものではない。例えば水を使わないでセパレータを分離除去する方法、具体的には比重の異なる物へ、振動や風の力を与えた時生ずる違いを利用して選別する方法などを採用することもできる。
本工程では、前記工程で得られた破砕物を大気中で加熱し、活物質同士あるいは活物質と電極基板とを結着させているバインダー(有機物)を除去する。
この際、400℃より低温では、バインダー(有機物)を除去することが困難である一方、550℃より高温にすると、電極基板の酸化が加速される可能性がある。また、温度が高いと、電極基板が脆化し、CuやAlなどが電極基板から活物質中に混入する量が増える傾向があることも分かっている。
かかる観点から、バインダー除去温度は、中でも特に450℃以上或いは500℃以下とするのがさらに好ましい。保持時間は、基板の酸化防止の観点から3時間未満が好ましい。
なお、バインダー除去温度は品温である。
本工程では、前記工程で処理した破砕物に適度な衝撃を与えて、電極基板を細かく破壊することなく、電極基板から活物質を分離する。
この際、破砕物と共に投入する溶媒は、摩擦、分離の作用をなすものであり、取扱いが容易であるという点で水が好ましい。
また、破砕物と共にメディアを回転ドラムに入れて回転させてもよい。これによって、電極基板と活物質との分離効率を高めることができるが、電極基板の形を崩す可能性があるため、投入するメディアの種類(ジルコニア、アルミナ、窒化珪素など)、大きさ、量、さらには回転数・回転時間を調整するのが好ましい。
よって、前記工程で処理した破砕物を、必要に応じて冷却し、その後、当該破砕物に適度な衝撃を与えるのが好ましい。
前記工程で、電極基板と活物質とを分離することができるから、必要に応じて網を使って篩上と篩下に分離し、活物質を得るのが好ましい。
この際、前記分離で使用する網目の大きさは、基板分別の観点から、3mm目〜5mm目が好ましい。また、活物質を最終的に分級するために用いる篩の篩目の大きさは、基板混入物分離の観点から、1mm〜0.5mmが好ましい。
なお、水を使用した場合には篩下に分離されたものを真空濾過機で濾過することが好ましい。
本再生材料製造方法で得られた再生材料は、そのままリチウムイオン電池の材料として再び利用することができるほか、適宜処理を経てリチウムイオン電池の材料として再び利用することもできる。また、リチウムイオン電池以外の材料としても再び利用することができる。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
実際に、使用済リチウムイオン電池から電極基板及び活物質を回収し、再びリチウムイオン電池用材料とし用いることができる再生材料を製造した。
使用済ラミネートセル1.56kgを、液体窒素(−196℃)中に10分間浸漬させて電池電圧が1V未満となるように失活させた。その後、液体窒素から取り出してから1分以内のうちに、前記ラミネートセルを破砕機(二軸剪断破砕機)で破砕し、破砕物の大きさを30×30mm以下として、水中に投入した。
次に、網目3mmの網を使って破砕物分と電解液分とに分離した。回収した破砕物を、水を張った容器内(30L)に投入し、下部からのエアー吹き込みと攪拌によって部材間の分離と洗浄を5分間行った。当該攪拌終了後、5分間静置させて浮上したセパレータの除去を行った。そして、前記の破砕物を水に投入してから攪拌静置するまでの処理を合計5回繰り返し、電解液とセパレータの除去を行った後、破砕物を回収した。
次に、前記分離にて篩下に分離されたものを、真空ろ過機で濾過した後、熱風乾燥機(乾燥温度60℃)で乾燥させ、さらに篩目0.5mmの網で分級して、篩上に分けられた電極基板を除去して、電極基板と活物質(「篩目0.5mm篩下回収活物質」と称する)を回収した。
実施例2と同様にバインダーを除去して得られた破砕物598gと、水2Lと、ジルコニアボール(φ15mm)2kgとを、5Lポリエチレン容器内に投入し、回転ローラを用いて当該ポリエチレン容器を1時間回転させた(回転数130rpm)。その後、ポリエチレン容器を回転ローラから取り出し、網目1mmの網を使って篩上(主に電極基板)と篩下(主に活物質)に分離した。これ以外の点は、実施例1と同様に処理して電極基板と活物質(「篩目0.5mm篩下回収活物質」と称する)を回収した。
比較例3では、電極基板から活物質を分離する処理を何もせず、実施例2と同様にバインダーを除去して得られた破砕物を、網目1mmの網を使って篩上(主に電極基板)と篩下(主に活物質)に分離した。これ以外は、実施例2と同様に処理して電極基板と活物質(「篩目0.5mm篩下回収活物質」と称する)を回収した。
(元素定量分析)
篩目0.5mm篩下回収活物質0.2gを秤量し、硝酸を加えて溶解後、更に塩酸を加えて加熱溶解を行った後、不溶解物を除去して、ICP分析装置で、篩目0.5mm篩下回収活物質に含まれる各元素の量を測定した。
Mn回収率={(篩目0.5mm篩下回収活物質量×篩目0.5mm篩下回収活物質中のMn含有率)/(使用済ラミネートセル中のMn含有量)}×100
また、「Cu混入率」及び「Al混入率」は、篩目0.5mm篩下回収活物質中に含まれるCu又はAlの含有率を表す。
=Mn回収率=
◎:80%以上100%以下
○:60%以上80%未満
×:60%未満
=Cu混入率=
◎:3%未満
○:3%以上6%未満
×:6%以上
=Al混入率=
◎:1.5%未満
○:1.5%以上3%未満
×:3%以上
実施例1−4で得られた電極基板は、比較例1−3のそれに比べて、Mnの回収率が高いことが分かった。
また、実施例1−4で得られた活物質は、比較例1−3のそれに比べて、Cu混入率及びAl混入率が低く、活物質に混入した基板の量が少ないことが分かった。ラミネートセルを冷凍破砕後、バインダー除去温度を400℃〜550℃の範囲内で、破砕物を大気加熱することによって、活物質に塗着されたバインダーの除去効果を高められ、効率よく活物質を分離回収することができ、加えて短時間の加熱によって、基板の酸化、劣化が抑制されて、活物質分離工程での活物質中への基板の混入を低くすることが可能であると考えられる。
Claims (2)
- 廃リチウムイオン電池又は廃電極材を失活化させた上で破砕する破砕工程、破砕工程で得られた破砕物からセパレータを分離除去するセパレータ除去工程、前記破砕物を大気中400〜550℃で加熱して有機物を除去する有機物除去工程、破砕物に衝突を繰り返させることで、電極基板と活物質とを分離する活物質分離工程、篩分けにより電極基板と活物質とをそれぞれ回収する再生材料選別回収工程を備えた再生材料の製造方法。
- 活物質分離工程では、破砕物を容器に入れて該容器を回転させることにより、電極基板と活物質とを分離することを特徴とする請求項1に記載の再生材料の製造方法。
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