JP2012192661A - 弁機構及び液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】チョーククリーニング時に液体が無駄に消費されることを抑制できる弁機構及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】インクを噴射するノズルを有した記録ヘッドが接続される下流側に向けてインクを供給するインク流路の途中位置に設けられたインクが通過する弁座口62aと、弁座口62aを開放する位置から外力が付与されることに基づき閉塞する位置に変位可能な弁部材67と、を備え、弁部材67は、弁座口62aを閉塞した状態で弁座口62aよりも下流側の流路領域に負圧を蓄積し、負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で弁座口62aから離間してインク流路を開放する。
【選択図】図3
【解決手段】インクを噴射するノズルを有した記録ヘッドが接続される下流側に向けてインクを供給するインク流路の途中位置に設けられたインクが通過する弁座口62aと、弁座口62aを開放する位置から外力が付与されることに基づき閉塞する位置に変位可能な弁部材67と、を備え、弁部材67は、弁座口62aを閉塞した状態で弁座口62aよりも下流側の流路領域に負圧を蓄積し、負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で弁座口62aから離間してインク流路を開放する。
【選択図】図3
Description
本発明は、液体を噴射するノズルを有した液体噴射ヘッドに向けて液体を供給する液体供給流路を開閉する弁機構、及び該弁機構を備える液体噴射装置に関する。
従来、液体噴射装置の一つとして、インクジェット式プリンターが広く知られている。こうしたプリンターにおいては、インクカートリッジと記録ヘッド(液体噴射ヘッド)とを接続するインク流路の途中位置に、インク流路を開閉する開閉弁を設けている(例えば、特許文献1)。
すなわち、特許文献1に記載のプリンターは、インクカートリッジからインク供給チューブを介して供給されたインクを、圧力を調整した状態で記録ヘッドに対して供給するバルブユニットを備えている。また、このバルブユニットには、インク流路の一部となるインク導入室の開口を覆うように可撓性のフィルム部材が設けられている。
そして、記録ヘッドのノズルを囲うようにキャップを当接させた状態でチューブポンプがキャップ内を吸引すると、キャップ内に生成された負圧は記録ヘッドのノズルを通じてバルブユニットのインク導入室内に作用する。すると、インク導入室の開口を覆うフィルム部材がインク導入室内の負圧によって撓むように変形してインク導入室の底面に設けられたフィルタに対して当接することにより、このフィルタを通じたインクの流れが遮断される。
さらに、チューブポンプが継続して駆動すると、インク導入室を境目として下流側(記録ヘッド側)に負圧が蓄積されるようになる。そして、チューブポンプの駆動が開始されてから所定の時間が経過した後に、インクカートリッジからインク供給チューブを介してバルブユニットのインク導入室内にインクが加圧供給されると、加圧供給されたインクがフィルム部材の撓みを解消するようにフィルム部材を押圧してフィルム部材をフィルタから離間させ、フィルタを通じたインクの流れが許容されるようになる。
その結果、蓄積されていた負圧を解消しようとして上流側から一気にインクが流れ込むため、瞬間的に流速の高められたインクが流れるようになる。そして、インク導入室よりも下流側において滞留していた気泡や不純物をインクと共に記録ヘッドのノズルから排出させる所謂チョーククリーニングが行われるようになっている。
しかしながら、特許文献1に記載のプリンターでは、チューブポンプの駆動が開始されてから所定の時間が経過した時点で、インク導入室よりも下流側に蓄積される負圧の大きさはチューブポンプの性能等の要因によって変化する。すなわち、インクカートリッジからインク供給チューブを介してバルブユニットのインク導入室にインクを加圧供給する時点で、インク導入室よりも下流側に蓄積される負圧の大きさはチューブポンプの性能等の要因によって変化する。そのため、チョーククリーニング時に消費されるインク量がばらついてしまい、無駄にインクを消費してしまう虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、チョーククリーニング時に液体が無駄に消費されることを抑制できる弁機構及び液体噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の弁機構は、液体を噴射するノズルを有した液体噴射ヘッドが接続される下流側に向けて前記液体を供給する液体供給流路の途中位置に設けられた前記液体が通過する弁座口と、該弁座口を開放する位置から外力が付与されることに基づき閉塞する位置に変位可能な弁部材と、を備え、前記弁部材は、前記弁座口を閉塞した状態で前記弁座口よりも下流側の流路領域に負圧を蓄積し、前記負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で前記弁座口から離間して前記液体供給流路を開放する。
上記構成によれば、液体噴射ヘッドのクリーニング動作時には、まず、液体供給流路内に作用する負圧に基づいて液体供給流路が弁座口に着座した弁部材により閉塞されるため、液体供給流路における弁座口よりも下流側の流路領域に負圧が蓄積される。そして、その弁座口よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で、弁部材が弁座口から離間して液体供給流路を開放する。すなわち、液体供給流路内に負圧を作用させる吸引ポンプの性能がばらついたとしても、液体供給流路において弁部材が着座した弁座口よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが一定の負圧閾値に達した時点で液体供給流路が開放される。したがって、弁部材を開弁してチョーククリーニングを実行する時点では、液体供給流路内において弁部材よりも下流側の流路領域に蓄積する負圧の大きさは一定となり、チョーククリーニング時に液体噴射ヘッドのノズルから吸引されて排出される液体の消費量も一定となるため、液体が無駄に消費されることを抑制できる。
また、本発明の弁機構は、前記弁部材を前記弁座口に対して着座状態に保持させる弾性部材を更に備え、前記液体供給流路における前記弁座口よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で、前記弾性部材の弾性力に抗して前記弁部材が前記弁座口から離間する方向に変位する。
上記構成によれば、液体噴射ヘッドのクリーニング動作時において、液体供給流路における弁座口よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達するまでは、弾性部材から弁部材に対して作用する弾性力に基づいて弁部材が閉弁状態に保持される。そして、その弁座口よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で、弁部材が弾性部材の弾性力に抗して開弁方向に変位する。そのため、液体供給流路において弁部材が着座した弁座口よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で弁部材を開弁させる構成を簡易な構成で実現することができる。
また、本発明の弁機構において、前記弾性部材は、前記弁部材に対して一体的に設けられると共に、前記液体供給流路における前記弁座口よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で、前記負圧に基づく弾性変形を伴いながら前記弁座口を前記液体供給流路の上流側から下流側に向けて通過する。
上記構成によれば、液体噴射ヘッドのクリーニング動作時には、まず弁部材が弁座口を閉塞するため、液体供給流路において弁座口よりも下流側の流路領域には負圧が蓄積される。そして、弁部材によって閉塞されている弁座口よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で、弁部材は弾性変形を伴いながら弁座口を液体供給流路の上流側から下流側に通過して液体供給流路を開放する。そのため、弁部材が閉弁位置から開弁位置に変位して液体供給流路を開放する時点で液体供給流路内に蓄積されている負圧の大きさは一定となり、チョーククリーニング時の液体の吸引圧が一定となるため、液体が無駄に消費されることを抑制できる。
また、本発明の弁機構において、前記液体供給流路の前記弁座口よりも下流側の内面の一部は可撓性部材によって構成されると共に、前記可撓性部材には、該可撓性部材の撓み方向において前記弁座口と対向する位置に変位部材が固定されており、前記変位部材は、前記可撓性部材が前記液体供給流路における前記弁座口よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧に基づいて該流路領域内の流路体積を減少させる方向に撓み変形した場合に、前記弁座口に対して接近する方向に変位して前記弁部材を前記弁座口から離間させるように押圧する。
上記構成によれば、液体噴射ヘッドのクリーニング時には、弁部材が閉弁位置に位置した状態で液体供給流路内において弁部材が着座した弁座口よりも下流側の流路領域に負圧が蓄積される。すると、可撓性部材は、この流路領域に蓄積された負圧に基づいて、該流路領域内の流路体積を減少させる方向に撓み変形する。そして、その流路領域内に蓄積された負圧が負圧閾値に達した時点で、変位部材は弁部材を弁座口から離間する方向に押圧して開弁させる。そのため、弁部材が閉弁位置から開弁位置に変位して液体供給流路を開放する時点で液体供給流路内に蓄積されている負圧の大きさは一定となり、チョーククリーニング時の液体の吸引圧が一定となるため、液体が無駄に消費されることを抑制できる。
また、本発明の液体噴射装置は、上記構成の弁機構と、前記液体をターゲットに対して噴射する液体噴射ヘッドとを備えた。
上記構成によれば、上記弁機構の発明と同様の効果が得られる。
上記構成によれば、上記弁機構の発明と同様の効果が得られる。
また、本発明の液体噴射装置は、前記液体噴射ヘッドを搭載しつつ主走査方向に移動するキャリッジを備えると共に、前記弁機構は、前記弁部材を開弁方向に付勢する付勢部材を有し、前記キャリッジは、前記液体噴射ヘッドのクリーニング動作時には、前記主走査方向に移動して前記付勢部材の付勢力に抗して前記弁部材を閉弁方向に押圧する。
上記構成によれば、液体噴射ヘッドのクリーニング時には、弁部材がキャリッジによって閉弁方向に押圧されているため、液体供給流路において弁部材が着座した弁座口よりも下流側の流路領域には負圧が蓄積される。また、液体噴射ヘッドのクリーニング動作が完了した後、キャリッジが弁部材から離間するように主走査方向に移動すると、弁部材は付勢部材の付勢力に従って開弁方向に変位する。そのため、液体噴射ヘッドのクリーニング動作時には、液体供給流路内に蓄積された負圧が負圧閾値に達するまでは弁部材を閉弁状態とする一方で、液体噴射ヘッドがターゲットに対して液体を噴射する際には弁部材を開弁状態に維持する構成を実現することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明の弁機構及び液体噴射装置をインクジェット式プリンター及びチョーク弁に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
以下、本発明の弁機構及び液体噴射装置をインクジェット式プリンター及びチョーク弁に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、液体噴射装置の一例としてのインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」という。)11における略直方体形状の箱体からなる本体ケース12内には、支持台13が主走査方向(図1における左右方向)に沿って延びるように架設されている。そして、紙送り手段(図示しない)を介して送出されるターゲットとしての記録媒体(図示略)は、その下面を支持台13に支持された状態で副走査方向(図1における上下方向)に搬送される。
また、本体ケース12内には、棒状のガイド軸14が、その軸方向を主走査方向に一致させた状態で支持台13と平行に延びるように架設されている。キャリッジ15はその後部側壁間にガイド軸14が貫挿されると共に、該ガイド軸14に対してその軸方向に往復移動可能な状態に支持されている。本体ケース12の後部(図1における上側部分)において主走査方向に所定距離離れた二位置にそれぞれ軸支された一対のプーリ16aには、タイミングベルト17が巻き掛けられると共に、キャリッジ15はその背面側(図1では上側)部分にてタイミングベルト17に固定されている。また、図1において、右側のプーリ16aは、本体ケース12の背面右端寄り位置に支持されたキャリッジモーター18の駆動軸に連結されているため、キャリッジモーター18が正逆転駆動されることにより、タイミングベルト17を介してキャリッジ15はガイド軸14に沿って往復移動するように構成されている。
キャリッジ15の支持台13と対向する下面には、支持台13側に向かって液体の一例としてのインクを噴射させるためのノズル19(図2参照)を有する液体噴射ヘッドの一例としての記録ヘッド20が設けられている。また、記録ヘッド20の内部には圧電素子21(図2参照)が設けられると共に、この圧電素子21の駆動により、ノズル19から支持台13上に給送された記録媒体にインク滴が噴射されて印刷が行われるようになっている。
また、キャリッジ15上には、インクを一時貯留可能なタンク(図示省略)を備えると共に、該タンク内のインクを圧力調整した状態で記録ヘッド20へ供給可能なバルブユニット22(サブタンクとも呼ばれる)が搭載されている。本実施形態では、バルブユニット22はインク色毎に1つずつ計4つ設けられると共に、各バルブユニット22により、それぞれブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のインクが圧力調整されて記録ヘッド20へ供給されるようになっている。
本体ケース12の一端部(図1における右端部)には、インクカートリッジ23を着脱自在に装着したカートリッジホルダ24が設けられている。図2に示すように、インクカートリッジ23は、略直方体状のインクケース32と、このインクケース32内に収容されたインクパック33とを備えている。インクパック33は、ガスバリア性を有する可撓性フィルムにより袋状に形成されると共に、その端部にインク供給部35が固着されている。なお、インクケース32とインクパック33との間には、密閉空間となる隙間36が形成されている。
また、カートリッジホルダ24には、それぞれインク供給チューブ37の上流側端部に設けられたインク供給針37aが接続されている。このインク供給針37aは、中空状をなす針形状に形成されており、その内部にはインク供給路が形成されている。そして、インクカートリッジ23はインク供給チューブ37を通じてバルブユニット22にそれぞれ接続されている。なお、インク供給チューブ37におけるインクカートリッジ23とバルブユニット22との間の途中位置には、該インク供給チューブ37内を開閉する弁機構の一例としてのチョーク弁38がそれぞれ設けられている。このチョーク弁38は、インク供給チューブ37内におけるチョーク弁38よりも上流側のインクの圧力と、インク供給チューブ37内におけるチョーク弁38よりも下流側のインクの圧力との差圧によって開閉されるようになっている。
また、図1に示すように、インクカートリッジ23の装着位置の上側には、加圧ポンプ39が本体ケース12に支持された状態で設けられている。加圧ポンプ39は、圧力検出器41及び大気開放弁装置42を介して空気供給路40に接続されている。また、空気供給路40は、大気開放弁装置42の下流側に配置された分配器43を境にインクカートリッジ23の個数と同数に分岐されている。そして、分岐された各空気供給路40は、カートリッジホルダ24にそれぞれ接続されている。
図2に示すように、圧力検出器41は、例えばデジタルコンピューター等を含んで構成された制御部60に電気的に接続されている。そして、制御部60は、圧力検出器41からの検出信号に基づき、加圧ポンプ39の駆動を制御する。従って、加圧ポンプ39から供給される加圧空気は、所定範囲内の圧力となるように調整された状態でインクカートリッジ23の隙間36に導入される。
そして、インクカートリッジ23がカートリッジホルダ24に装着された状態では、インク供給針37aがインク供給部35に差し込まれるように構成されている。このとき、加圧ポンプ39は、空気供給路40を通じてインクケース32内の隙間36に加圧空気を導入することにより、隙間36における圧力を上昇させると共に、インクパック33を押し潰すような力を発生させる。そして、インクパック33が押し潰されることにより、インクパック33内のインクが、加圧された状態でインク供給チューブ37を介してバルブユニット22に供給される。すなわち、本実施形態のインク供給チューブ37は、インクカートリッジ23内のインクをバルブユニット22に供給する液体供給流路の一例としてのインク流路45を構成している。そして、バルブユニット22内のタンクに一時貯留された加圧インクは、圧力が調整された状態で記録ヘッド20へ供給される。
また、本体ケース12の一端部(図1における右端部)であって、キャリッジ15のホームポジションには、メンテナンスユニット49が配設されている。図2に示すように、メンテナンスユニット49は、上面が開口した四角箱状をなすキャップ50を有すると共に、該キャップ50は、昇降装置51に連結されている。この昇降装置51は、キャリッジ15がホームポジションまで移動した際に、キャップ50を記録ヘッド20のノズル形成面19aと当接する位置まで上昇させることにより、記録ヘッド20のノズル19を気密状態に封止するようになっている。
キャップ50の底壁部には、排出口52が貫通形成されている。この排出口52には、排出チューブ53の一端が接続されていると共に、該排出チューブ53の他端は廃インクタンク54内に挿入されている。また、排出チューブ53の中間部には吸引ポンプ55が設けられている。そして、キャップ50により記録ヘッド20のノズル19を気密状態に封止したキャッピング状態で吸引ポンプ55を駆動することにより、ノズル19内の増粘したインク等が吸引されて廃インクタンク54内に排出されるようになっている。
なお、吸引ポンプ55は、制御部60に電気的に接続されると共に、制御部60からの制御信号に基づき吸引駆動することにより、キャッピング状態ではインク供給チューブ37を介してインクパック33内のインクに負圧を作用させる。そして、その負圧に従って、インクパック33内のインクは、インク流路45内に導出される。
次に、インク供給チューブ37におけるインクカートリッジ23とバルブユニット22との間の途中位置に設けられたチョーク弁38の構成について説明する。
図3(a)に示すように、チョーク弁38の筐体61の一側壁(図3(a)では右側壁)には、筐体61の内外を連通する第1連通孔62が形成されると共に、この第1連通孔62には、第1インク供給チューブ63がインクカートリッジ23側から筐体61側へのインク供給を可能に接続されている。また、筐体61の底壁には、筐体61の内外を連通する第2連通孔64が形成されると共に、この第2連通孔64には、第2インク供給チューブ65が筐体61側からバルブユニット22側へのインク供給を可能に接続されている。
図3(a)に示すように、チョーク弁38の筐体61の一側壁(図3(a)では右側壁)には、筐体61の内外を連通する第1連通孔62が形成されると共に、この第1連通孔62には、第1インク供給チューブ63がインクカートリッジ23側から筐体61側へのインク供給を可能に接続されている。また、筐体61の底壁には、筐体61の内外を連通する第2連通孔64が形成されると共に、この第2連通孔64には、第2インク供給チューブ65が筐体61側からバルブユニット22側へのインク供給を可能に接続されている。
なお、第1インク供給チューブ63は、第1連通孔62における筐体61の外側に臨む孔縁部62aを取り囲むように、その内径寸法が第1連通孔62の孔径よりも大きく形成されている。一方、第2インク供給チューブ65は、その内径寸法が第2連通孔64の孔径とほぼ同一径に形成されている。そして、本実施形態では、第1インク供給チューブ63、第1連通孔62、筐体61の内部空間S1、第2連通孔64、及び第2インク供給チューブ65を含むように、インクカートリッジ23側からバルブユニット22側に向けてインクを供給するインク流路45が構成されている。
また、筐体61における第1連通孔62が形成された一側壁と対向する側壁(図3(a)では左側壁)には、第1連通孔62と同軸上に位置するように、筐体61の内外を連通する第3連通孔66が形成されている。そして、チョーク弁38の筐体61の内部空間S1内には、筐体61の第1連通孔62を弁座口として、これに着座した閉弁位置と、これから離間した開弁位置との間を移動自在とされた弁部材67が収容されている。すなわち、この弁部材67は、第1連通孔62及び第3連通孔66の各開口形状よりも断面形状が小さな棒状部67aを有すると共に、その棒状部67aの先端側(図3(a)では右端側)を第1連通孔62に挿通させる一方、その基端側を第3連通孔66に挿通させた状態で、棒状部67aの長手方向に沿う方向への移動自在とされている。なお、弁部材67における棒状部67aの基端側の外面と筐体61の第3連通孔66の内面との間には、環状のシールリング68が圧入されている。そのため、弁部材67は、筐体61の内部空間S1内にインクを液密状に封入しつつ筐体61に対して棒状部67aの長手方向に変位するように移動することが可能となっている。
また、弁部材67は、その材質が例えばゴムなどの弾性材料からなるものであり、棒状部67aの長手方向の中間位置よりも先端寄りとなる位置には、第1連通孔62を閉塞可能な形状(例えば、第1連通孔62の孔縁部62aよりも大きな外縁形状)をなす弾性部材の一例としての第1弾性片部69が弾性変形可能な鍔状をなすように形成されている。本実施形態の場合、この第1弾性片部69は、断面円形の棒状部67aと同軸配置の円盤形状をなし、その径方向寸法は、第1インク供給チューブ63の内径よりは小径となるように設定されている。また、弁部材67の棒状部67aにおける長手方向の中間位置から僅かに第1弾性片部69寄りとなる位置には、該第1弾性片部69よりも更に大きな外縁形状をなす第2弾性片部70が形成されている。なお、弁部材67の長手方向における第1弾性片部69と第2弾性片部70との間隔は、筐体61の第1連通孔62の軸方向長さ寸法(筐体61において第1連通孔62が形成された側壁の厚み寸法)よりも大きく設定されている。
次に、上記のように構成されたプリンター11の作用について、特に、記録ヘッド20のクリーニング動作を実行する際のチョーク弁38の作用に着目して以下説明する。
さて、プリンター11において記録ヘッド20のクリーニング動作が実行される前の印刷動作時には、図3(a)に示すように、弁部材67の第1弾性片部69は筐体61の内側において第1連通孔62から離間した位置状態となっている。すなわち、チョーク弁38は、弁部材67が筐体61の第1連通孔62を閉塞していない開弁状態となっている。そのため、インク供給チューブ37においては、チョーク弁38よりも上流側となる第1インク供給チューブ63と、チョーク弁38よりも下流側となる第2インク供給チューブ65とが第1連通孔62及び筐体61の内部空間S1を通じて連通した状態となっている。そして、インクカートリッジ23側からバルブユニット22側へのインク供給チューブ37を介したインクの供給が許容されるため、記録ヘッド20は、インクカートリッジ23側からインク供給チューブ37を介して供給されるインクを記録媒体に対して噴射可能になっている。
さて、プリンター11において記録ヘッド20のクリーニング動作が実行される前の印刷動作時には、図3(a)に示すように、弁部材67の第1弾性片部69は筐体61の内側において第1連通孔62から離間した位置状態となっている。すなわち、チョーク弁38は、弁部材67が筐体61の第1連通孔62を閉塞していない開弁状態となっている。そのため、インク供給チューブ37においては、チョーク弁38よりも上流側となる第1インク供給チューブ63と、チョーク弁38よりも下流側となる第2インク供給チューブ65とが第1連通孔62及び筐体61の内部空間S1を通じて連通した状態となっている。そして、インクカートリッジ23側からバルブユニット22側へのインク供給チューブ37を介したインクの供給が許容されるため、記録ヘッド20は、インクカートリッジ23側からインク供給チューブ37を介して供給されるインクを記録媒体に対して噴射可能になっている。
こうした印刷動作時に対して、記録ヘッド20のクリーニング動作時には、まず、操作者により、弁部材67において第3連通孔66から筐体61の外側に突出している棒状部67aの基端部分が筐体61の内側に向かって押される。すると、図3(b)に示すように、弁部材67は、棒状部67aの長手方向に沿って先端側方向へ移動し、その際に、第1弾性片部69は、筐体61の第1連通孔62の内面に対して弾性変形を伴いながら摺接する。そして、弁部材67が更に棒状部67aの先端側方向へ移動し、図3(c)に示すように、弁部材67の第1弾性片部69が弾性変形しつつ筐体61の第1連通孔62を筐体61の内側から外側へ通過すると、弁部材67は、その第1弾性片部69と第2弾性片部70とが筐体61の第1連通孔62を挟んだ配置態様となる。そのため、弁部材67は、第1弾性片部69が筐体61の第1連通孔62が形成された側壁の外面に係止することにより、棒状部67aの基端側方向への移動が規制される一方、第2弾性片部70が筐体61の第1連通孔62が形成された側壁の内面に係止することにより、棒状部67aの先端側方向への移動が規制されるようになる。
続いて、制御部60がキャリッジモーター18を駆動させ、キャリッジ15をホームポジションに移動させると共に、昇降装置51を介してキャップ50を上昇させ、記録ヘッド20のノズル形成面19aにノズル19を囲うように当接させる。さらに、制御部60が記録ヘッド20のノズル19からインクを吸引して排出するクリーニング動作を実行させるべく、吸引ポンプ55を駆動させる。そして、吸引ポンプ55の駆動に伴ってキャップ50の内部に負圧が導入されることにより、記録ヘッド20のノズル19からインクがキャップ50内に向けて吸引される。
すると、インク流路45の一部を構成するチョーク弁38の筐体61内からは、チョーク弁38よりも下流側となる第2インク供給チューブ65を介してインクが下流側へ吸引される。そして、弁部材67における棒状部67aの先端側が挿入された筐体61の第1連通孔62には、上流側となる第1インク供給チューブ63側から下流側となる筐体61側に向けてインクが流動するようになる。そのため、図4(a)に示すように、インクの流動に付勢されて弁部材67が筐体61側に変位することにより、弁部材67の第1弾性片部69が第1連通孔62を閉塞するように筐体61の側壁の外面に対して弾力的に当接するようになる。すなわち、弁部材67の第1弾性片部69は、第1連通孔62における筐体61の外側に臨む孔縁部62aに対してインク流路45の上流側から密着した着座状態となる。
また、図4(a)に示す状態において吸引ポンプ55を継続して吸引駆動させると、チョーク弁38の筐体61内からは第2インク供給チューブ65を介してインクが更に吸引されることにより、チョーク弁38の筐体61内に負圧が蓄積されるようになる。そして、チョーク弁38の筐体61内に負圧が蓄積されると、第1連通孔62の孔縁部62aに第1弾性片部69がインク流路45の上流側から着座して第1連通孔62を閉塞している弁部材67には、筐体61内に引き込まれるように吸引力が作用する。この際、弁部材67の第1弾性片部69は、該第1弾性片部69の弾性力に基づいて形状を保持することにより、第1連通孔62を閉塞した状態を維持する。
そして、弁部材67の第1弾性片部69が第1連通孔62の孔縁部62aに着座した状態で、吸引ポンプ55を継続して更に吸引駆動させると、チョーク弁38の筐体61内に蓄積される負圧の大きさが更に増大する。そして、図4(b)に示すように、チョーク弁38の筐体61内に蓄積される負圧の大きさが一定の負圧閾値に到達すると、筐体61内に蓄積された負圧に基づいて、弁部材67の第1弾性片部69が筐体61の内部空間S1内へと引き込まれ、該第1弾性片部69が第1連通孔62の内面に対して弾性変形を伴いながら棒状部67aの基端側方向へ摺接するようになる。
さらに、図4(c)に示すように、弁部材67の第1弾性片部69が弾性変形しつつ第1連通孔62を筐体61の外側から内側へ通過すると、チョーク弁38は、弁部材67の第1弾性片部69が筐体61の内側において第1連通孔62から離間した位置状態、すなわち、弁部材67が第1連通孔62を開放した開弁状態になる。すると、インク供給チューブ37においては、チョーク弁38よりも上流側となる第1インク供給チューブ63と、チョーク弁38よりも下流側となる第2インク供給チューブ65とが連通される。すなわち、チョーク弁38は、インクカートリッジ23側からバルブユニット22側へのインク供給チューブ37を介したインクの供給を許容するようになる。その結果、吸引ポンプ55によって記録ヘッド20のノズル19内に所定の負圧が高まった段階でチョーク弁38が開弁することにより、記録ヘッド20内から気泡混じりの増粘したインクが記録ヘッド20のノズル19から吸引されて排出されるクリーニング動作が実行される。
ところで、従来のプリンター11においては、記録ヘッド20のクリーニング動作時に、吸引ポンプ55の駆動を開始してから一定の時間が経過した時点でチョーク弁38を開弁する構成となっていた。そのため、図5(a)に示すように、吸引ポンプ55の駆動を開始してから所定の一定時間t1が経過した時点で、吸引力が相対的に小さい吸引ポンプ55を用いた場合にはインク流路45内に負圧P1aが蓄積されるのに対して、吸引力が相対的に大きい吸引ポンプ55を用いた場合にはインク流路45内に負圧P1b(>P1a)が蓄積されることとなる。したがって、記録ヘッド20のクリーニング動作時に用いられる吸引ポンプ55の吸引特性にばらつきがあった場合、チョーク弁38を開弁する段階でインク流路45内に蓄積される負圧の大きさにばらつきを生じてしまう虞がある。
この点、本実施形態のプリンター11においては、記録ヘッド20のクリーニング動作時に、吸引ポンプ55の駆動に伴ってチョーク弁38の筐体61内に蓄積される負圧の大きさが一定の負圧閾値に到達した時点で弁部材67が開弁方向への変位を開始する。そのため、図5(b)に示すように、記録ヘッド20のクリーニング動作時に用いられる吸引ポンプ55の吸引特性にばらつきがあった場合であっても、図4(b)に示すようにチョーク弁38の弁部材67が開弁方向に向けて変位を開始する際には、インク流路45内には一定の大きさの負圧P2aが蓄積される。
また、吸引力が相対的に小さい吸引ポンプ55を用いる場合には吸引ポンプ55の駆動を開始してから時間t2aが経過した段階でチョーク弁38を開弁するのに対し、吸引力が相対的に大きい吸引ポンプ55を用いる場合には吸引ポンプ55の駆動を開始してから時間t2b(>t2a)が経過した段階でチョーク弁38を開弁する。そのため、記録ヘッド20のクリーニング動作時に用いられる吸引ポンプ55の吸引特性にばらつきがあった場合であっても、図4(c)に示すように、チョーク弁38を開弁する際には、インク流路45内に一定の大きさの負圧P2bが蓄積されるようになっている。
上記第1実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)記録ヘッド20のクリーニング動作時には、まず、インク流路45内に作用する負圧に基づいてインク流路45が第1連通孔(弁座口)62の孔縁部62aに第1弾性片部69を着座させた弁部材67によって閉塞されるため、インク流路45における第1連通孔62よりも下流側の流路領域に負圧が蓄積される。そして、その第1連通孔62よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で、弁部材67が第1連通孔62から離間してインク流路45を開放する。すなわち、インク流路45内に負圧を作用させる吸引ポンプ55の性能がばらついたとしても、インク流路45において弁部材67が着座した弁座口となる第1連通孔62よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが一定の負圧閾値に達した時点でインク流路45が開放される。したがって、弁部材67を開弁してチョーククリーニングを実行する時点では、インク流路45内において弁部材67よりも下流側の流路領域に蓄積する負圧の大きさが一定となることにより、チョーククリーニング時に記録ヘッド20のノズル19から吸引されて排出されるインクの消費量も一定となるため、インクが無駄に消費されることを抑制できる。
(1)記録ヘッド20のクリーニング動作時には、まず、インク流路45内に作用する負圧に基づいてインク流路45が第1連通孔(弁座口)62の孔縁部62aに第1弾性片部69を着座させた弁部材67によって閉塞されるため、インク流路45における第1連通孔62よりも下流側の流路領域に負圧が蓄積される。そして、その第1連通孔62よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で、弁部材67が第1連通孔62から離間してインク流路45を開放する。すなわち、インク流路45内に負圧を作用させる吸引ポンプ55の性能がばらついたとしても、インク流路45において弁部材67が着座した弁座口となる第1連通孔62よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが一定の負圧閾値に達した時点でインク流路45が開放される。したがって、弁部材67を開弁してチョーククリーニングを実行する時点では、インク流路45内において弁部材67よりも下流側の流路領域に蓄積する負圧の大きさが一定となることにより、チョーククリーニング時に記録ヘッド20のノズル19から吸引されて排出されるインクの消費量も一定となるため、インクが無駄に消費されることを抑制できる。
(2)記録ヘッド20のクリーニング動作時において、インク流路45における第1連通孔62よりも下流側の流路流域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達するまでは、第1弾性片部69の弾性力に基づいて弁部材67が閉弁状態に維持される。そして、その状態から第1連通孔62よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で、弁部材67が第1弾性片部69の弾性力に抗して開弁方向に変位する。そのため、インク流路45において弁部材67が着座して閉塞している第1連通孔62よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で弁部材67を開弁させる構成を簡易な構成で実現することができる。
(3)記録ヘッド20のクリーニング動作時には、まず弁部材67が弁座口となる第1連通孔62を閉塞するため、インク流路45において第1連通孔62よりも下流側の流路領域には負圧が蓄積される。そして、弁部材67によって閉塞されている第1連通孔62よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で、弁部材67は弾性変形を伴いながら第1連通孔62をインク流路45の上流側から下流側に通過してインク流路45を開放するように変位する。そのため、弁部材67が閉弁位置から開弁位置に変位してインク流路45を開放する時点でインク流路45内に蓄積されている負圧の大きさは一定となると共に、チョーククリーニング時のインクの吸引圧が一定となるため、インクが無駄に消費されることを抑制できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図6及び図7に従って説明する。なお、この第2実施形態は第1実施形態との対比においてチョーク弁38の構成が第1実施形態と相違している。したがって、以下の説明においては、第1実施形態と同一又は相当する部材構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
次に、本発明の第2実施形態を図6及び図7に従って説明する。なお、この第2実施形態は第1実施形態との対比においてチョーク弁38の構成が第1実施形態と相違している。したがって、以下の説明においては、第1実施形態と同一又は相当する部材構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
図6(a)に示すように、本実施形態のチョーク弁38の筐体61は、その長手方向の両側が開放された略筒状をなすように構成されると共に、これら長手方向両側の開口が可撓性部材の一例としての可撓性のフィルム81,82により覆われている。そして、これらのフィルム81,82によって囲み形成される筐体61の内部空間S1は、仕切り壁83によって筐体61の長手方向の両側の空間域S2,S3に仕切られるようになっている。また、筐体61の底壁には、仕切り壁83によって仕切られた筐体61内の各空間域S2,S3の内外を連通するように第1連通孔62及び第2連通孔64が形成されている。そして、これらの連通孔62,64に対して、インクカートリッジ23側から延びる第1インク供給チューブ63、及びバルブユニット22側から延びる第2インク供給チューブ65が各々接続されている。
また、筐体61内の仕切り壁83の略中央部には、仕切り壁83によって仕切られた筐体61内の両空間域S2,S3を連通させる貫通孔84が弁座口として形成されている。また、筐体61の仕切り壁83には、筐体61内において第1インク供給チューブ63が接続される上流側の空間域S2側に向けて突出する円環状の弁座85が、仕切り壁83に形成された貫通孔84の開口を囲むように設けられている。
また、筐体61内の上流側の空間域S2を囲み形成するフィルム81の略中央部には、弁部材86が固着されている。弁部材86は、フィルム81によって支持される棒状の軸部87と、該軸部87の筐体61内に位置する第一端側に連結される球体状の弁体88とを備えている。そして、弁部材86は、フィルム81によって支持された状態では、弁体88が弁座85に対して貫通孔84の軸方向において対向するように配置されている。また、弁体88と仕切り壁83との間には、弁体88を弁座85から離間させる方向に付勢する付勢部材の一例としてのコイルばね89が設けられている。
また、筐体61内において第2インク供給チューブ65が接続される下流側の空間域S3を囲み形成するフィルム82の略中央部には、変位部材の一例としての押圧部材90が固着されている。押圧部材90は、断面略T字状をなすように構成されると共に、フィルム82によって支持される平板状の基部91と、該基部91から貫通孔84の軸方向に沿うように突出した凸部92とを有している。そして、押圧部材90は、フィルム82によって支持された状態では、押圧部材90が、仕切り壁83の貫通孔84を通じて弁体88に対して貫通孔84の軸方向において対向するように配置されている。なお、フィルム82が撓み変形する前の状態では、凸部92の先端が仕切り壁83の貫通孔84に対して部分的に挿入されているため、この凸部92の先端と弁体88との間には貫通孔84の軸方向に若干の隙間が介在した配置構成となっている。
次に、上記のように構成されたプリンター11の作用について、特に、記録ヘッド20のクリーニング動作を実行する際のチョーク弁38の作用に着目して以下説明する。
さて、プリンター11において記録ヘッド20のクリーニング動作が実行される前の印刷動作時には、図6(a)に示すように、キャリッジ15はチョーク弁38から離間して配置されると共に、弁部材86の弁体88は、コイルばね89からの付勢力に従って弁座85から離間して配置される。そのため、チョーク弁38の筐体61内は、上流側の空間域S2と下流側の空間域S3とが貫通孔84を介して連通した状態となっている。そのため、記録ヘッド20は、インクカートリッジ23側から開弁状態にあるチョーク弁38を介して供給されるインクを記録媒体に対して噴射可能になっている。
さて、プリンター11において記録ヘッド20のクリーニング動作が実行される前の印刷動作時には、図6(a)に示すように、キャリッジ15はチョーク弁38から離間して配置されると共に、弁部材86の弁体88は、コイルばね89からの付勢力に従って弁座85から離間して配置される。そのため、チョーク弁38の筐体61内は、上流側の空間域S2と下流側の空間域S3とが貫通孔84を介して連通した状態となっている。そのため、記録ヘッド20は、インクカートリッジ23側から開弁状態にあるチョーク弁38を介して供給されるインクを記録媒体に対して噴射可能になっている。
こうした印刷動作時に対して、記録ヘッド20のクリーニング動作時には、制御部60がキャリッジモーター18を駆動させ、キャリッジ15をホームポジションに移動させる。すると、キャリッジ15に連結された弾性部材の一例としてのコイルばね93が筐体61内における上流側の空間域S2を囲み形成するフィルム81に支持された弁部材86における軸部87の筐体61外に位置する第二端側に対して当接する。すると、弁部材86の軸部87には、キャリッジ15からコイルばね93を介して筐体61の内側に向けて押されるように押圧力が作用する。その結果、図6(b)に示すように、弁部材86を支持するフィルム81が撓み変形することにより、弁体88がコイルばね89の付勢力に抗して弁座85に対して接近するように変位して貫通孔84を閉塞する。そして、弁部材86は、キャリッジ15に連結されたコイルばね93からの付勢力に基づいて、弁座85に対して密着した着座状態となる。
そして次に、制御部60が昇降装置51を介してキャップ50を上昇させ、記録ヘッド20のノズル形成面19aに対してノズル19を囲うように当接させる。さらに、制御部60が記録ヘッド20のノズル19からインクを吸引して排出するクリーニング動作を実行させるべく、吸引ポンプ55を駆動させる。そして、吸引ポンプ55の駆動に伴ってキャップ50の内部に負圧が導入されることにより、記録ヘッド20のノズル19からキャップ50内に向けてインクが吸引される。
すると、筐体61内における下流側の空間域S3からは、第2インク供給チューブ65を介してインクが下流側へ吸引される。そして、弁体88が弁座85に着座して弁座口の一例としての貫通孔84を閉塞した状態で、吸引ポンプ55を継続して吸引駆動させると、筐体61内における下流側の空間域S3には負圧が蓄積される。その結果、図6(c)に示すように、筐体61内における下流側の空間域S3の内面の一部を構成するフィルム82は、この空間域S3の容積を減少させる方向に撓み変形する。そして、このフィルム82に固着された押圧部材90の凸部92の先端は、仕切り壁83に形成された貫通孔84を通じて、弁座85に着座している弁体88に対して接近するように変位する。
そして、筐体61内における下流側の空間域S3に蓄積した負圧の大きさが一定の負圧閾値に到達すると、フィルム82に固着された押圧部材90の凸部92の先端が、弁座85に着座している弁体88に対して当接し、これを押圧するようになる。すなわち、図7(a)に示すように、押圧部材90の凸部92の先端は、キャリッジ15に連結されたコイルばね93の付勢力に抗して、弁体88を開弁方向に付勢するコイルばね89と協調して、弁体88を弁座85から離間させるように押圧する。その結果、チョーク弁38は、弁部材86が開弁状態となり、インクカートリッジ23側からバルブユニット22側へのインク供給チューブ37を介したインクの供給を許容するように、筐体61内における上流側の空間域S2と下流側の空間域S3とが仕切り壁83に形成された貫通孔84を通じて連通する。このように吸引ポンプ55によって記録ヘッド20のノズル19内に所定の負圧が高まった段階でチョーク弁38が開弁することにより、記録ヘッド20内から気泡混じりの増粘したインクが記録ヘッド20のノズル19から吸引されて排出されるクリーニング動作が実行される。
そして、インクカートリッジ23側から筐体61内へのインクの流入に伴って、筐体61内における下流側の空間域S3の圧力が吸引ポンプ55によるインクの吸引前の状態に次第に近づく。すると、筐体61内における下流側の空間域S3の内面の一部を構成するフィルム82の撓み変形が解消されるため、このフィルム82に固着された押圧部材90の凸部92の先端が弁体88から離間するように変位する。そして、弁体88は、キャリッジ15に連結されたコイルばね93の付勢力に従って弁座85に着座して貫通孔84を閉塞する位置(図6(b),(c)に示す位置)まで変位するようになる。
その後、記録ヘッド20に対するクリーニング動作が完了し、キャリッジ15がホームポジションから印刷領域の方向に変位すると、キャリッジ15に連結されたコイルばね93は、フィルム81に支持された弁部材86の軸部87における筐体61の外部に露出した第二端から離間する。すると、弁部材86の軸部87は、キャリッジ15に連結されたコイルばね93からの付勢力が解消される結果、図7(c)に示すように、弁部材86の弁体88は、コイルばね89の付勢力に従って弁座85から離間するように変位して貫通孔84を開放する。したがって、記録ヘッド20は、インクカートリッジ23側から開弁状態にあるチョーク弁38を介して供給されるインクを記録媒体に対して噴射することが可能となる。
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態に示す効果(1)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(4)記録ヘッド20のクリーニング動作時には、まず、コイルばね93から弁部材86に対して作用する弾性力に基づいて弁部材86が閉弁方向に付勢された状態となる。そして、インク流路45を閉塞している弁部材86よりも下流側の流路領域に蓄積した負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で弁部材86がコイルばね93の弾性力に抗して開弁方向に変位する。そのため、インク流路45を閉塞している弁部材86よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で弁部材86を開弁させる構成を簡易な構成で実現することができる。
(4)記録ヘッド20のクリーニング動作時には、まず、コイルばね93から弁部材86に対して作用する弾性力に基づいて弁部材86が閉弁方向に付勢された状態となる。そして、インク流路45を閉塞している弁部材86よりも下流側の流路領域に蓄積した負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で弁部材86がコイルばね93の弾性力に抗して開弁方向に変位する。そのため、インク流路45を閉塞している弁部材86よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で弁部材86を開弁させる構成を簡易な構成で実現することができる。
(5)記録ヘッド20のクリーニング時には、弁部材86が閉弁位置に位置した状態でインク流路45内において弁部材86よりも下流側の流路領域に負圧が蓄積される。すると、フィルム82は、この流路領域に蓄積された負圧に基づいて、インク流路45内の流路体積を減少させる方向に撓み変形する。そして、インク流路45内に蓄積される負圧が負圧閾値に達した時点で、フィルム82に固着された押圧部材90は弁部材86を開弁方向に押圧して開弁させる。そのため、弁部材86が閉弁位置から開弁位置に変位する時点でインク流路45内に蓄積されている負圧の大きさが一定となることにより、チョーククリーニング時のインクの吸引圧が一定となるため、インクが無駄に消費されることを抑制できる。
(6)記録ヘッド20のクリーニング時には、弁部材86がキャリッジ15に連結されたコイルばね93によって閉弁方向に押圧されているため、インク流路45において弁部材86よりも下流側の流路領域には負圧が蓄積される。また、記録ヘッド20のクリーニング動作が完了した後、キャリッジ15が弁部材86から離間するように主走査方向に移動すると、弁部材86はコイルばね89の付勢力に従って開弁方向に変位する。そのため、記録ヘッド20のクリーニング動作時には、インク流路45内に蓄積された負圧が負圧閾値に達するまでは弁部材86を閉弁状態とする一方で、記録ヘッド20が記録媒体に対してインクを噴射する際には弁部材86を開弁状態に維持する構成を実現することができる。
なお、上記各実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記第2実施形態において、弁体88を弁座85から離間させる方向に付勢するコイルばね89を省略した構成としてもよい。
・上記第2実施形態において、弁体88を弁座85から離間させる方向に付勢するコイルばね89を省略した構成としてもよい。
・上記第2実施形態において、キャリッジ15に連結されるコイルばね93を省略し、キャリッジ15を弁部材86の軸部87に対して直接当接させる構成としてもよい。この場合、弁体88がキャリッジ15に押圧されて閉弁された状態で吸引ポンプ55の駆動を開始した後に、キャリッジ15を弁部材86の軸部87における第二端から離間させたとしても、筐体61内に蓄積された負圧に基づいて弁体88は閉弁状態が維持される。そして、かかる状態で、筐体61内に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に到達した場合に、押圧部材90が弁体88を開弁方向に押圧して弁体88を開弁することが可能となる。
・上記第2実施形態において、記録ヘッド20のクリーニング動作時に、ホームポジションに移動したキャリッジ15が弁部材86の軸部87を押圧しない構成としてもよい。すなわち、記録ヘッド20のクリーニング動作に連動して駆動される駆動機構に基づいて、弁部材86の軸部87を押圧する構成としてもよい。
・上記第2実施形態において、筐体61内における上流側の空間域S2の内面の一部を構成するフィルム81の内面に対して受圧板を固着すると共に、この受圧板を弁座85に対して離接するように変位させる構成としてもよい。この場合、キャリッジ15に連結されたコイルばね93は、フィルム81における受圧板が固着された部分の裏面側に対して押圧力を作用させるようにしてもよい。
・上記第1実施形態において、弁部材67に対して円環状のシールリングを嵌合させると共に、このシールリングを第1連通孔62の孔縁部62aに対して接離するように変位させる構成としてもよい。
・上記第1実施形態において、第1連通孔62の孔縁部62aに対して弁部材67を当接させるように、インク流路45における第1連通孔62よりも上流側からインク流路45内に向けて弁部材67を押す構成としてもよい。
・上記各実施形態において、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化しても良い。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体消費装置にも適用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体消費装置が噴射させることができるような材料であれ良い。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施例の形態で説明したようなインク等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種流体組成物を包含するものとする。液体消費装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる流体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。
11…液体噴射装置の一例としてのインクジェット式プリンター、15…キャリッジ、38…弁機構の一例としてのチョーク弁、45…液体供給流路の一例としてのインク流路、62…弁座口の一例としての第1連通孔、67…弁部材、69…弾性部材の一例としての弾性片部、82…可撓性部材の一例としてのフィルム、84…弁座口の一例としての貫通孔、86…弁部材、89…付勢部材の一例としてのコイルばね、90…変位部材の一例としての押圧部材、93…弾性部材の一例としてのコイルばね。
Claims (6)
- 液体を噴射するノズルを有した液体噴射ヘッドが接続される下流側に向けて前記液体を供給する液体供給流路の途中位置に設けられた前記液体が通過する弁座口と、
該弁座口を開放する位置から外力が付与されることに基づき閉塞する位置に変位可能な弁部材と、
を備え、
前記弁部材は、前記弁座口を閉塞した状態で前記弁座口よりも下流側の流路領域に負圧を蓄積し、前記負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で前記弁座口から離間して前記液体供給流路を開放することを特徴とする弁機構。 - 請求項1に記載の弁機構において、
前記弁部材を前記弁座口に対して着座状態に保持させる弾性部材を更に備え、
前記液体供給流路における前記弁座口よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で、前記弾性部材の弾性力に抗して前記弁部材が前記弁座口から離間する方向に変位することを特徴とする弁機構。 - 請求項2に記載の弁機構において、
前記弾性部材は、前記弁部材に対して一体的に設けられると共に、前記液体供給流路における前記弁座口よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧の大きさが負圧閾値に達した時点で、前記負圧に基づく弾性変形を伴いながら前記弁座口を前記液体供給流路の上流側から下流側に向けて通過することを特徴とする弁機構。 - 請求項1又は請求項2に記載の弁機構において、
前記液体供給流路の前記弁座口よりも下流側の内面の一部は可撓性部材によって構成されると共に、
前記可撓性部材には、該可撓性部材の撓み方向において前記弁座口と対向する位置に変位部材が固定されており、
前記変位部材は、前記可撓性部材が前記液体供給流路における前記弁座口よりも下流側の流路領域に蓄積される負圧に基づいて該流路領域内の流路体積を減少させる方向に撓み変形した場合に、前記弁座口に対して接近する方向に変位して前記弁部材を前記弁座口から離間させるように押圧することを特徴とする弁機構。 - 請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の弁機構と、
前記液体をターゲットに対して噴射する液体噴射ヘッドと
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項5に記載の液体噴射装置において、
前記液体噴射ヘッドを搭載しつつ主走査方向に移動するキャリッジを備えると共に、
前記弁機構は、前記弁部材を開弁方向に付勢する付勢部材を有し、
前記キャリッジは、前記液体噴射ヘッドのクリーニング動作時には、前記主走査方向に移動して前記付勢部材の付勢力に抗して前記弁部材を閉弁方向に押圧することを特徴とする液体噴射装置。
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JP2011059059A JP2012192661A (ja) | 2011-03-17 | 2011-03-17 | 弁機構及び液体噴射装置 |
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JP2016097555A (ja) * | 2014-11-20 | 2016-05-30 | セイコーエプソン株式会社 | 弁装置、圧力調整装置および液体噴射装置 |
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CN105620042A (zh) * | 2014-11-20 | 2016-06-01 | 精工爱普生株式会社 | 阀装置及其开闭方法、压力调节装置、液体喷射装置 |
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