JP2012190567A - 多層の膜電極接合体の製造方法及び積層型電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、多層の膜電極接合体1の製造方法であって、正極板2及び負極板7の一の板面又は他の板面のいずれか又は双方に電解液を塗工し固体化又はゲル化して電解質膜を形成する工程と、複数の正極板2を積層して該正極板2の一端部13を接合する正極板積層体5を形成する工程と、複数の負極板7を積層し該負極板7の一端部21を接合する負極板積層体10を形成する工程と、正極板積層体5の一の正極板2をめくった後に、負極板積層体10の一の負極板7をめくり電解質膜を介在させた状態で正極板2上に積層する工程と、負極板積層体10の一の負極板7をめくった後に、正極板積層体5の一の正極板2をめくり電解質膜を介在させた状態で負極板7上に積層する工程とを交互に行う正負極板積層工程とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
また、上記方法により製造された積層体は、電解液と共に可撓性のあるシート状外装体等のケースに封止してリチウムイオン二次電池とされている。
本発明では、複数の正極板がその一端部において接合されており、複数の負極板もその一端部において接合されているため、正極板及び負極板の積層時に位置ずれし難い。また、正極板と負極板とを固体又はゲル状の電解質膜を挟みつつ積層するにあたっても、電解質膜は、予め正極板及び負極板の少なくとも一方の片面又は両面に積層固定されているため、積層を重ねても積層された正極板、電解質膜及び負極板が位置ずれし難い。更に、正極板及び負極板がそれぞれ一端部において接合されているため、積層を重ねるに応じて互いに堅固に噛み合って、積層された正極板、電解質膜及び負極板が位置ずれし難い。また更に、積層して接合された正極板積層体の正極板と負極板積層体の負極板とを交互に積層するものであるため、多層の接合体の製造装置をコンパクトにし易い。
本発明では、正極板又は負極板に電解質膜を形成した後に、正極板積層体が形成され又は負極板積層体が形成されるため、正負極板積層工程をより一層効率的に行うことができる。
本発明では、正極板又は負極板のいずれか一方又は双方の一端部が、正極活物質層又は負極活物質層が形成されていない接合代とされているため、接合代間で導通が確保されることにより、抵抗溶接や導電性ペーストによる接着などの容易な溶接方法を採用することができるとともに、一端部同士を確実に接合することができる。
本発明では、多層の膜電極接合体が位置ずれしにくい製造方法とされているため、積層型電池の積層状態が良好となる。また、固体又はゲル状の電解質膜を用いた多層の膜電極接合体が積層型電池に用いられるため、積層型電池の液漏れが発生しない。
すなわち、本発明によれば、正極板及び負極板がそれぞれ一端部において接合されているため、正極板と負極板とを固体又はゲル状の電解質膜を挟みつつ積層するにあたって位置ずれし難く、かつ積層を重ねるに応じて互いに堅固に噛み合って、積層された正極板、電解質膜及び負極板が位置ずれし難い。したがって、多層の膜電極接合体を簡便に製造することができるとともに、製造効率が高いという効果を奏する。また、積層して接合された正極板積層体の正極板と負極板積層体の負極板とを交互に積層するものであるため、多層の接合体の製造装置をコンパクトにし易いという効果を奏する。
図1は、本発明の一実施形態の製造方法により製造された多層の膜電極接合体を示した斜視図である。
導電助剤としてはアセチレンブラック等が用いられ、結着剤としてはポリフッ化ビニリデン等が用いられている。
正極板2の端子用タブ4は、正極板2の一端部13を一体化した接合部3に接合されて外方に突出するように設けられたものであり、例えばアルミニウム等により形成されているが、正極活物質層が形成されていない接合部3を端子用タブ4として兼用させたものであってもよい。
負極板7の端子用タブ9は、一端部21を一体化した接合部8に、更に接合されて外方に突出するように設けられたものであり、例えばニッケル等により形成されているが、負極活物質層が形成されていない接合部8を端子用タブ9として兼用させたものであってもよい。
電解質塩としては、特に限定されないが六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム等のリチウム塩等が使用できる。
正極板2及び負極板7に電解質膜6を形成する工程においては、まず予め正極板2及び負極板7を形成しておく。
正極板2の形成においては、アルミニウム箔等を用いて正極集電体11とし、該正極集電体11に図2(a)に示すような接合部3と電極塗工部14とを設定する。そして、電極塗工部14の両面に正極用スラリーを塗布し、乾燥させて正極集電体11上に正極活物質層を設けロール状にした正極シートを作製しておく。この正極シートを延出し、所定の寸法で順次切断または打ち抜きし、図2(a)に示す正極板2を得る。なお、正極用スラリーの塗布後は、必要に応じてプレスを行ってもよい。
そして、この正極板2の片面又は両面の板面に、電解液を塗布し、冷却して図3(a)に示す固体又はゲル状の電解質膜6を形成する。
又は、ゲル状の電解質膜6は、正極シートを作製した時点、すなわち電極塗工部14の両面に正極用スラリーを塗布し、乾燥させて正極活物質層とした後に同正極シート上に形成しておいてもよく、このように正極シート状にゲル状の電解質膜6を形成しておいたものをロール状にしておき、所定の大きさに切り出して正極板2を作製してもよい。
そして、この負極板7の片面又は両面の板面に、電解液を塗布し、冷却して図3(b)に示す固体又はゲル状の電解質膜6を形成する。
ゲル状の電解質膜6は、負極シートを作製した時点、すなわち電極塗工部22の両面に負極用スラリーを塗布し、乾燥させて負極活物質層とした後に同負極シート上に形成しておいてもよく、このように負極シート状にゲル状の電解質膜6を形成しておいたものをロール状にしておき、所定の大きさに切り出して負極板7を作製してもよい。
図3(a)に示すように、正極板積層体5を形成するに際しては、上記電解質膜6が板面に形成された正極板2を、接合部3が一方向を向くようにして複数積層し、これら複数の正極板2,2・・の一端部13,13・・を抵抗溶接,導電性ペーストによる接着,超音波溶接,導電性の粘着剤を塗布した金属テープ等の導電性テープによる貼着等の方法により接合して正極板積層体5を得る。なお、電解質膜6が正極板2の一方の板面に形成されている場合には、この一方の板面を一方向に向けて正極板2同士の間に電解質膜6が必ず介装されるように積層する。正極板積層体5において一体となるよう接合された接合部3には、例えばアルミニウム等よりなる端子用タブ4を溶接により接合し、正極板2の外方に向けて突出させるか、正極活物質層が形成されていない接合部3を端子用タブ4と兼用させる。
負極板積層体10は、正極板積層体5と略同様の方法で作製される。
すなわち、図3(b)に示すように、上記の電解質膜6が形成された負極板7を、接合部8が一方向を向くようにして複数積層し、これら複数の負極板7,7・・の一端部21,21・・を抵抗溶接,導電性ペーストによる接着,超音波溶接,導電性テープによる貼着等の方法により接合して負極板積層体10を得る。なお、電解質膜6が負極板7の一方の板面に形成されている場合には、この一方の板面を一方向に向けて負極板7同士の間に電解質膜6が必ず介装されるように積層する。負極板積層体10において、一体となるよう接合された接合部8には、例えばニッケル等よりなる端子用タブ9を溶接により接合し、負極板7の外方に向けて突出させるか、負極活物質層が形成されていない接合部8を端子用タブ9と兼用させる。
この負極板積層体10の負極板7は、正極板積層体5の正極板2の積層よりも一枚多く積層されている。
正負極板積層工程においては、正極板積層体5及び負極板積層体10のそれぞれの接合部3,8を平行に対向させて、図3(c)に示すように、これら接合部3,8をそれぞれ軸として正極板2,2・・及び負極板7,7・・を反転させる。
そして、負極板積層体10の負極板7,7・・同士が電解質膜6により融着している場合には、該負極板積層体10を加熱して電解質膜6を僅かに溶融させ、電解質膜6によって互いに融着した負極板積層体10の負極板7,7・・同士を分離して負極板積層体10の最上部に位置する負極板7を捲り反転させて接合部3,8間に配置し、次いで、正極板積層体5の最上部に位置する正極板2をめくって電解質膜6を介装させるようにして正極板2を積層する。この際、上記と同様に、正極板積層体5の正極板2,2・・同士が電解質膜6により融着している場合には、正極板積層体5を加熱して電解質膜6によって互いに融着した正極板2,2・・を分離しておく。
また、正極板2と負極板7とは、それぞれの電極塗工部14,22すなわち正極活物質層と負極活物質層同士が互いに対向して重なり合うように積層する。
同様にして、正極板2の電極塗工部14に電解質膜6を介装させた状態で負極板7を積層する。
このようにして多層の膜電極接合体1を形成することにより、最外層に正極板2を位置させることにより生じ得るリチウムの樹枝状析出物(デンドライト)の発生を防止してショート等の不具合を引き起こすおそれを回避することができる。なお、左記デンドライトの発生は、多層の膜電極接合体1の最外層に正極板2が位置し、かつ正極板2の外方を向く(すなわち負極板7に対向していない)板面に正極活物質層が形成されている場合であるので、多層の膜電極接合体1の正極板2と負極板7の双方の枚数を調整せず正極板2を最外層に位置させる場合であっても、該最外層に位置する正極板2の外方を向く板面に正極活物質層を形成しないことによっても、デンドライトの発生を防止してショート等の不具合を引き起こすおそれを回避することができる。
上記のようにして多層の膜電極接合体1を作製した場合には、一端部13が接合されて連結固定された複数の正極板2,2・・と、一端部21が接合されて連結固定された複数の負極板7,7・・とを用いて積層しているため、積層時に正極板2及び負極板7が位置ずれし難く、また相互に挟み込んだ状態となるため、積層を重ねるにしたがって各正極板2及び負極板7が動き難くなり、交互に積層された正極板2及び負極板7の積層体自身が堅固に位置決めされた状態となる。
2 正極板
3 接合部
5 正極板積層体
6 電解質膜
7 負極板
8 接合部
10 負極板積層体
13 一端部(接合代)
14 電極塗工部
15 開放端
21 一端部(接合代)
22 電極塗工部
23 開放端
A リチウムイオン二次電池(積層型電池)
Claims (4)
- 正極板と負極板との間に電解質膜を介装させつつこれら正極板と負極板とを交互に積層して形成される多層の膜電極接合体の製造方法であって、
前記正極板及び前記負極板の一の板面又は他の板面のいずれか一方又は双方に電解液を塗工し固体化又はゲル化して電解質膜を形成する工程と、
複数の前記正極板を積層するとともに、これら複数の正極板の一端部を接合して閉じ、他端部を開放端とする正極板積層体を形成する工程と、
複数の前記負極板を積層するとともに、これら複数の負極板の一端部を接合して閉じ、他端部を開放端とする負極板積層体を形成する工程と、
前記正極板積層体の一の前記正極板をめくった後に、前記負極板積層体の一の前記負極板をめくり電解質膜を介在させた状態で前記正極板上に前記負極板を積層する工程と、前記負極板積層体の一の前記負極板をめくった後に、前記正極板積層体の一の前記正極板をめくり電解質膜を介在させた状態で前記負極板上に前記正極板を積層する工程とを交互に行う正負極板積層工程とを有することを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。 - 請求項1に記載の多層の膜電極接合体の製造方法であって、
前記電解質膜を形成する工程の後に、前記正極板積層体が形成され又は前記負極板積層体が形成されることを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の多層の膜電極接合体の製造方法であって、
前記正極板又は負極板のいずれか又は双方の前記一端部は、正極活物質層又は負極活物質層が形成されていない接合代とされていることを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の多層の膜電極接合体の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする積層型電池。
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