JP2012189871A - 電子写真用透明トナーおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、結着樹脂、結晶性ポリエステル樹脂の示差走査熱量分析計(DSC)により測定される融点(mp:DSCファーストランのピークトップ値)が80〜130℃である結晶性ポリエステル樹脂、離型剤および滑剤を含むトナー原材料を混合する混合工程と、該混合工程で得られたトナー原材料の混合物を前記結晶性ポリエステル樹脂の融点以下の温度に制御して混練機で溶融混練する溶融混練工程を備え、前記溶融混練工程で得られた溶融混練物を冷却、粉砕および分級して、無彩色の電子写真用透明トナーとする。
【選択図】なし
Description
上記特許文献1〜特許文献4の方法によれば被記録媒体全面で光沢差をなくし均一な光沢を提供可能である。
しかしながら、オフセット印刷でこれを行うためには専用の版を用意する必要があり、また可変データには対応できないため、一定以上の印刷ロット枚数が必要になる。それに対して、レーザープリンター、乾式静電複写機等の画像形成装置に用いられる電子写真法により上記と同様のスポット印刷機能が実現できれば、印刷用の版が不要となり可変データにも対応することができる。
この問題を解決するため、例えば、特許文献8に記載されているように、結着樹脂中にガラス転移温度でシャープメルト性を有する特定の非オレフィン系結晶性重合体を添加することが提案されている。また、例えば、特許文献9に記載されているように、結晶性ポリエステルを用いることが提案されている。
例えば、結晶性ポリエステル樹脂はTg(ガラス転移温度)で結晶転移を起こす。また、結晶性ポリエステル樹脂は融点付近の温度において、固体状態から急激に溶融粘度が低下することで、低温定着性を発揮するが、融点を超える温度で溶融混練されると、結着樹脂と結晶性ポリエステルが相溶して、その効果が減少する。
あるいは、透明トナーは画像の最上層に形成され定着機に直接接触することから、有彩色トナーよりも高い耐ホットオフセット性が求められると共に、通常の有彩色トナー画像の上に透明トナーが形成されるため、トナー層が厚くなり、有彩色トナーは高いコールドオフセット性を持つ特性でないと本構成は安定性に欠けるものとなる。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、低温定着性、耐ホットオフセット性、高光沢、均一光沢性および耐熱保存性に優れた電子写真用透明トナーとその製造方法を提供することを目的とする。
なお、本発明のトナーは、少なくとも、結着樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、離型剤および滑剤を含むトナー原材料を混合、溶融混練、冷却、粉砕および分級する各工程を経て製造される無彩色の電子写真用透明トナー(粉砕型トナー)である。
前記結晶性ポリエステル樹脂の示差走査熱量分析計(DSC)により測定される融点(mp:DSCファーストランのピークトップ値)が80〜130℃であり、且つ前記溶融混練工程におけるトナー原材料の混合物温度が前記結晶性ポリエステル樹脂の融点以下であることを特徴とする電子写真用透明トナーにより解決される。
条件(1):前記透明トナーを含む二成分現像剤を用いて複写機(imagioNEO450:リコー製)で現像した未定着画像を、同装置の温度可変に改造した定着ロール(プロセススピード:230mm/sec)で定着し、コールドオフセットが発生しなくなる定着ロールの最低下限温度を求める。
条件(2):(1)で作成した画像を60度光沢で10箇所測定(日本電色工業社製グロスメーターVGS−1D)し、[最大光沢値]−[最低光沢値]=[光沢均一性]により算出する。
前記結晶性ポリエステル樹脂の示差走査熱量分析計(DSC)により測定される融点(mp:DSCファーストランのピークトップ値)が80〜130℃であり、且つ前記溶融混練時におけるトナー原材料の混合物温度を前記結晶性ポリエステル樹脂の融点以下に制御することを特徴とする電子写真用透明トナー製造方法により解決される。
前記結晶性ポリエステル樹脂の示差走査熱量分析計(DSC)により測定される融点(mp:DSCファーストランのピークトップ値)が80〜130℃であり、且つ前記溶融混練工程おけるトナー原材料の混合物温度が前記結晶性ポリエステル樹脂の融点以下であることを特徴とするものである。
溶融混練温度を結晶性ポリエステル樹脂の融点以下とすることにより、トナー原材料に用いる結晶性ポリエステル樹脂が、結晶転移を起こしたり、結着樹脂と相溶することなくトナー粒子中に分散されるため、結晶性ポリエステル樹脂の融点付近の温度において、固体状態から急激に溶融粘度が低下して低温定着性が発現するとともに高光沢性が発揮される。
例えば、混練温度が結晶性ポリエステル樹脂の融点以上である場合には、トナー粒子中の結晶性ポリエステル樹脂が融点付近の温度において、固体状態からの急激な溶融粘度低下を示さなくなり、十分な低温定着性、高光沢、均一光沢が得られ難くなる。
上記のように、本発明の透明トナーにおける結晶性ポリエステル樹脂の融点は80〜130℃の範囲であることを特徴とする。
結晶性ポリエステル樹脂の融点が80℃未満の場合には、低温定着性、高光沢性、均一光沢性は良いが、耐熱保存性を悪化させてしまう。また、130℃を超える場合には、耐熱保存性は良いが、低温定着性、高光沢性、均一光沢性が悪化してしまう。より好ましくは、85〜115℃である。
ここで、キャリアスペントとは、キャリア粒子にトナー粒子が固着し、キャリアを汚染する現象を指す。
条件(1):前記透明トナーを含む二成分現像剤を用いて複写機(imagioNEO450:リコー製)で現像した未定着画像を、同装置の温度可変に改造した定着ロール(プロセススピード:230mm/sec)で定着し、コールドオフセットが発生しなくなる定着ロールの最低下限温度を求める。
条件(2):(1)で作成した画像を60度光沢で10箇所測定(日本電色工業社製グロスメーターVGS−1D)し、[最大光沢値]−[最低光沢値]=[光沢均一性]により算出する。
上記、トナー構成とすれば、より安定した低温定着性が確保され、更に均一な光沢性を保持した画像が形成される。
なお、透明トナーは無彩色であることからトナー原材料として着色剤は含有しない。
ここで、上記溶融混練工程で用いる混練機、所謂、溶融混練機としては、一般的に使用されているバレル内にスクリューを有する押し出し混練機や、開放式のロール型混練機を用いることができる。特に、混練部分が開放系であるロール型混練機で混練を行うことが好ましい。ロール型混練機は比較的低温で混練することが可能のため、本発明の混練機としては有用である。
具体的な混練温度としては、結晶性ポリエステル樹脂のmpよりも20〜40℃程度低い温度(−20〜−40℃程度)が好ましい。これにより、トナー原材料に用いる結晶性ポリエステル樹脂が、結晶転移を起こしたり、結着樹脂と相溶することなく結晶性を保持でき、トナーの定着時において固体状態から急激に溶融粘度が低下し、低温定着性を発現し、且つ高光沢性を示す。すなわち、結着樹脂、融点(mp)が80〜130℃の結晶性ポリエステル樹脂、離型剤および滑剤の選択により、低温定着性、耐ホットオフセット性、高光沢、均一光沢性および耐熱保存性に優れた電子写真用透明トナーが製造される。
本発明においては結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有することが好ましく、特にポリエステル樹脂を主成分とすることが好ましい。ポリエステル樹脂は一般的に他の樹脂に比べ、耐熱保存性を維持したまま低温定着が可能であるため本発明には適した結着樹脂である。
また、カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1、2、4−ベンゼントリカルボン酸、1、2、5−ベンゼントリカルボン酸、1、2、4−シクロヘキサントリカルボン酸、1、2、4−ナフタレントリカルボン酸、1、2、5−ヘキサントリカルボン酸、1、3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1、2、7、8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。ここで、ポリエステル樹脂のTgは50〜75℃が好ましく、50〜60℃がより好ましい。
なお、前記式中、Rは、好ましくは、直鎖状不飽和脂肪族二価カルボン酸残基を示し、炭素数2〜20であり、より好ましくは2〜4の直鎖状不飽和脂肪族基である。
nは、好ましくは、2〜6の整数である。前記直鎖状不飽和脂肪族基の具体例としては、マレン酸、フマル酸、1,3−n−プロペンジカルボン酸、1,4−n−ブテンジカルボン酸等の直鎖状不飽和二価カルボン酸由来の直鎖状不飽和脂肪族基を挙げることができる。
前記(CH2)nは直鎖状脂肪族二価アルコール残基を示す。この場合における直鎖状脂肪族二価アルコール残基の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖状脂肪族二価アルコールから誘導されたものを示すことができる。
その含有量は、全アルコール単位に対して、30モル%以下、好ましくは10モル%以下であり、得られるポリエステルが結晶性を有する範囲内で適宜添加される。
結晶性ポリエステル樹脂の分子量は、そのo−ジクロルベンゼン可溶分のGPCによる分子量分布において、その重量平均分子量(Mw)が4000〜9000、その数平均分子量(Mn)が1000〜2000およびそのMw/Mn比が2〜5であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂についての前記分子量分布は、横軸をlog(M:分子量)とし、縦軸を重量%とする分子量分布図に基づくものである。本発明で用いられる結晶性ポリエステル樹脂の場合、この分子量分布図において、3.5〜4.0(重量%)の範囲に分子量ピークを有することが好ましく、また、そのピークの半値幅が1.5以下であることが好ましい。前述のように、示差走査熱量分析(DSC)により測定される融点(mp:DSCファーストランのピークトップ値)が80〜130℃の範囲であることが好ましい。
DSCはJIS−K7122−1987に準じて測定し、吸熱ピークの温度を融点とする。
変性ワックスとしては酸化ワックスと合成樹脂等をブレンドした配合ワックスに大別することができる。酸化ワックスは、原料のワックスを薬品や空気中の酸素で酸化することにより生成される。また、配合ワックスは機械的強度が小さいという欠点を補うため、相溶性の良い合成樹脂(エチレン酢ビ共重合体、ポリエチレン、合成ロジン等)を適当量ブレンドしたものである。
針入度は、JISの規格(K−2235−5.4)に定められた方法により、離型剤の硬さを求める測定法である。測定装置で規定温度下に定められた針に100gの荷重をかけ、5秒間で試料に何mm侵入するかを求め、この10倍の数値で表すことができる。
電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部である。
ここで、母体粒子は、溶融混練により得られた溶融混練物を冷却後、粗粉砕、微粉砕、分級して得られる。
粗粉砕機としては、ロートプレックス、パルペライザー等が使用できる。また、微粉砕機としては、気流式ジェットミルや機械式粉砕機等を用いることができる。分級機としては、気流式分級機やロータ式分級機等を用いることができる。
測定装置として島津製作所製TA−60WS、およびDSC−60を用い、次に示す測定条件で測定される。
測定条件
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
なお、結着樹脂のTgは2度目の昇温のDSC微分曲線からショルダー値で求める。
すなわち、トナー粒子をミクロトームで薄片化し、ルテニウムで処理すると、離型剤はそのままで、結晶性ポリエステルが染色するため、容易に識別できる。このサンプルを倍率10000倍で観察し、2値化などの処理をして平均粒径を算出する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII/III(いずれもコールター社製)が挙げられる。具体的な測定は以下のように実施される。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは、1級塩化ナトリウムを用いて約1%塩化ナトリウム水溶液を調製したもので、例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。
試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用い、トナー粒子またはトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径を求めることができる。
なお、チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
上記のチャンネルデータから4μm以下のトナー粒子含有量、8μm以上のトナー粒子含有量を求めることができる。
温度計、攪伴機および窒素挿入管の付いたオートクレーブ反応槽器中に、1,3−プロパンジオール3部、L−乳酸ラクチド450部、D−乳酸ラクチド50部および2−エチルヘキシル酸スズ2部を入れ、常圧で160℃3時間開環重合し、さらに常圧で130℃反応させた。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕粒子化しポリヒドロキシカルボン酸骨格を含有するポリエステルジオールを得た(光学純度80モル%)。得られたヒドロキシル価が11.2のポリヒドロキシカルボン酸骨格を含有するポリエステルジオール400部とヒドロキシル価が56のポリエステルジオール[ビスフェノールA・EO2モル付加物とテレフタル酸をモル比l:lで脱水縮合して合成して得た]100部をメチルエチルケトン中に溶解し、続いて伸長剤としてIPDIを20部加えて、50℃で6時間伸長反応を行い、溶媒を留去して[ポリエステル−1]を得た。[ポリエステル−1]のTgは53℃であった。
温度計、攪枠機および窒素挿入管の付いたオートクレーブ反応槽中に、1,4−ブタンジオール3部、L−乳酸ラクチド400部、D−乳酸ラクチド100部および2−エチルヘキシル酸スズ2部を入れ、常圧で160℃3時間開環重合し、さらに常圧で130℃反応させた。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕粒子化しポリヒドロキシカルボン酸骨格を含有するポリエステルジオールを得た(光学純度60モル%)。得られたヒドロキシル価が11.2のポリヒドロキシカルボン酸骨格を含有するポリエステルジオール200部とヒドロキシル価が56のポリエステルジオール[ビスフェノールA・EO2モル付加物とテレフタル酸をモル比l:1で脱水縮合して合成して得た]300部をメチルエチルケトン中に溶解し、続いて伸長剤としてIPDIを38部加えて、50℃で6時間伸長反応を行い、溶媒を留去して[ポリエステル−2]を得た。[ポリエステル−2]のTgは56℃であった。
温度計、攪伴機および窒素挿入管の付いたオートクレーブ反応槽中に、1,3−プロパンジオール3部、L−乳酸ラクチド400部、グリコリド100部および2−エチルヘキシル酸スズ2部を入れ、常圧で160℃3時間開環重合し、さらに常圧で130℃反応させた。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕粒子化しポリヒドロキシカルボン酸骨格を含有するポリエステルジオールを得た(光学純度100モル%)。得られたヒドロキシル価が11.2のポリヒドロキシカルボン酸骨格を含有するポリエステルジオール250部とヒドロキシル価が56のポリエステルジオール[ビスフェノールA・EO2モル付加物とテレフタル酸をモル比1:1で脱水縮合して合成して得た]250部を溶融し、続いて伸長剤としてアジピン酸25部を加えて、10〜l5mmHgの減圧で5時間反応を行い、[ポリエステル−3]を得た。[ポリエステル−3]のTgは59℃であった。
それぞれ下記表1に示した組成の酸成分とアルコール成分からなる組成物4000gとハイドロキノン4gを、温度計、攪拌器、コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた容量5リットルの4つ口丸底フラスコ内に入れ、このフラスコをマントルヒーターにセットし、窒素ガス導入管より窒素ガスを導入してフラスコ内を不活性雰囲気下に保った状態で昇温し、160℃に保って5時間、続いて200℃で1時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させ、各結晶性ポリエステル1〜5を得た。
下記処方のトナー原材料をヘンシェルミキサーにて均一に混合した。混合工程で得られたトナー原材料混合物を2軸エクストルーダー混練機にて90℃で溶融混練した。次いで、溶融混練工程で得られた溶融混練物を冷却した後カウンタージェットミルにて微粉砕した。粉砕工程で得た微粉砕物をロータリー式分級機にて過粉砕トナーを分級除去し、平均8.5μmの粒子(母体粒子)を得た。分級により得た粒子(母体粒子)に、流動化剤として平均粒径18nmの疎水性コロイダルシリカを1.0重量部混合して評価用トナーとした。下記表2に、用いた結着樹脂、結晶性ポリエステル樹脂(mp、含有量)、混連時におけるトナー原材料混合物の温度(略、混連時のトナー温度)、トナーの粒径等をまとめて示す。
〈トナー原材料の処方〉
結着樹脂(ポリエステル−1): 63重量部
結晶性ポリエステル樹脂1: 30重量部
離型剤:カルナウバワックス: 5重量部
〔酸価;2.5mgKOH/g、融点;87.5℃、
粒径;4μm、針入度;5mm〕
滑剤:N,N’−エチレン-ビスステアリン酸アマイド: 2重量部
実施例1において用いた結着樹脂(ポリエステル−1)、結晶性ポリエステル樹脂1とその配合量(30重量部)、溶融混練温度(90℃)、トナーの粒径の少なくともいずれかのファクタを、下記表2に示すように変更した以外は、離型剤としてカルナウバワックス〔酸価;2.5mgKOH/g、融点;87.5℃、粒径;4μm、針入度;5mm〕5重量部、滑剤としてN,N’−エチレン-ビスステアリン酸アマイド2重量部に固定して用い、実施例1と同様にして実施例2〜15および比較例1〜15の評価用トナーを作製した。下記表2に、併せてトナーの粒径等をまとめて示す。
ただし、実施例16のみトナー原材料混合物の溶融混練はオープンロール型混練機を用いて実施した。
評価項目
(1)定着下限温度
トナー5重量部と重量平均粒径60μmのシリコーンコートキャリア95重量部を均一混合し、評価用の二成分現像剤とした。前記現像剤を用い市販複写機(imagioNEO450:リコー製)で現像した未定着画像を、同じく市販複写機(imagioNEO450:リコー製)の定着ユニットを改造し熱ローラー温度を可変にし定着機でプロセススピード230mm/secで定着した。
定着後の画像を目視で確認し、コールドオフセットが発生しなくなる定着ロール温度をもって最低下限温度とした。
(2)ホットオフセット温度
上記定着下限温度と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット温度とした。
(3)光沢(あるいは「光沢性」)
上記(1)で作成した画像の光沢を日本電色工業社製グロスメーターVGS−1Dを用いて60度光沢で測定(10箇所の画像を評価)し、その平均値を光沢(あるいは「光沢性」)とした。
(4)光沢均一性
上記(3)で10箇所の画像を評価したときの最大光沢値と最低光沢値を用いて、次式により算出する。[光沢均一性]=[最大光沢値]−[最低光沢値]
ここで、最低光沢値は小さい方が光沢均一性が優れていることを示す。
すなわち、本発明の低温定着性、高光沢、均一光沢性、耐ホットオフセット性、および耐熱保存性に優れた電子写真用透明トナーを複写機、レーザープリンターあるいはファクシミリ等の電子写真プロセスに用いることにより、省エネルギー化、画像形成処理速度の高速化、高画質化等の要求に対応することが可能となる。
Claims (11)
- 少なくとも、結着樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、離型剤および滑剤を含むトナー原材料を混合、溶融混練、冷却、粉砕および分級する各工程を経て製造される無彩色の電子写真用透明トナーであって、
前記結晶性ポリエステル樹脂の示差走査熱量分析計(DSC)により測定される融点(mp:DSCファーストランのピークトップ値)が80〜130℃であり、且つ前記溶融混練工程におけるトナー原材料の混合物温度が前記結晶性ポリエステル樹脂の融点以下であることを特徴とする電子写真用透明トナー。 - 前記トナーの体積平均粒径が4〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用透明トナー。
- 前記トナーにおける粒径4μm以下の粒子含有量が10〜50個数%であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用透明トナー。
- 前記トナーにおける粒径8μm以上の粒子含有量が1.0〜20.0体積%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真用透明トナー。
- 前記トナー中に分散している結晶性ポリエステル樹脂の平均粒径が、トナーの体積平均粒径の1/50〜1/10であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真用透明トナー。
- 前記トナー中の結晶性ポリエステル樹脂含有量が、トナー総量の5.0〜25.0wt%であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用透明トナー。
- 前記トナー中に分散している離型剤の平均粒径が、トナー体積平均粒径の1/30〜1/10であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真用透明トナー。
- 前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真用透明トナー。
- 前記透明トナーの下記条件(1)で測定されるコールドオフセットが発生しなくなる定着ロールの最低下限温度が110〜140℃の範囲であり、下記条件(2)で測定される光沢均一性が12以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真用透明トナー。
条件(1):前記透明トナーを含む二成分現像剤を用いて複写機(imagioNEO450:リコー製)で現像した未定着画像を、同装置の温度可変に改造した定着ロール(プロセススピード:230mm/sec)で定着し、コールドオフセットが発生しなくなる定着ロールの最低下限温度を求める。
条件(2):(1)で作成した画像を60度光沢で10箇所測定(日本電色工業社製グロスメーターVGS−1D)し、[最大光沢値]−[最低光沢値]=[光沢均一性]により算出する。 - 少なくとも、結着樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、離型剤および滑剤を含むトナー原材料を混合する混合工程と、該混合工程で得られたトナー原材料の混合物を混練機で溶融混練する溶融混練工程を備え、前記溶融混練工程で得られた溶融混練物を冷却、粉砕および分級して、無彩色透明トナーとする電子写真用透明トナーの製造方法であって、
前記結晶性ポリエステル樹脂の示差走査熱量分析計(DSC)により測定される融点(mp:DSCファーストランのピークトップ値)が80〜130℃であり、且つ前記溶融混練時におけるトナー原材料の混合物温度を前記結晶性ポリエステル樹脂の融点以下に制御することを特徴とする電子写真用透明トナー製造方法。 - 前記溶融混練工程において、混練部分が開放系であるロール型混練機を用いてトナー原材料の混合物を溶融混練することを特徴とする請求項10に記載の電子写真用透明トナーの製造方法。
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