JP2012183578A - 冷間圧延機の板厚制御方法及び板厚制御装置 - Google Patents

冷間圧延機の板厚制御方法及び板厚制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】冷間連続圧延での走変時に、圧延機にトラブルが発生したり、圧延材が切れたりといった不都合が生じず、可及的速やかに、後行圧延材の板厚を所定のものにすることのできるロールギャップ量の制御方法及び制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る走間板厚変更での板厚制御方法は、冷間圧延機での圧延であり且つ先行圧延材の後端部と後行圧延材の先端部の突き合わせ部が通過する際に実施される「走間板厚変更」の際に適用される板厚制御方法において、先行圧延材に対するロールギャップ量から後行圧延材に対するロールギャップ量へ変更する際の変更速度Vpを予め算出しておき、走間板厚変更においては、ロールギャップ量の変更速度をVp+αとしてロールギャップを変更し、実績圧延荷重を基にしたゲージメータ式から得られる出側板厚が目標板厚になった時点で、ロールギャップ量の変更操作を停止するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷間で連続圧延される圧延材の走間板厚変更において、ロールギャップ量を適切に制御する制御方法及び制御装置に関する。
従来より、薄鋼板などの圧延材を冷間で連続圧延する際には、先行する圧延材とそれに続く圧延材とを連続して圧延している。そのために、先行圧延材の後端部と後行圧延材の先端部を突き合わせ溶接する作業を実施し、一連の圧延材として圧延を止めることなく圧延作業を実施している。
係る連続圧延を行う際においては、先行圧延材の板厚を実現するロールギャップ量から後行圧延材の板厚を実現するためのロールギャップ量へと、ワークロール間のギャップを変更する必要がある。このロールギャップ変更は、圧延材を走行させている間に圧延材を止めることなく行われるため、このロールギャップ量の変更を「走間板厚変更」又は略して「走変」と呼ぶ。
冷間連続圧延機における溶接点の通過は非定常な圧延状況下であり、不適切な走変を行った場合、板厚が許容範囲を超えた廃棄部分が極端に多くなったり、圧延機自体にトラブルが発生したりして圧延材が切れたりといった不都合が生じる場合がある。
このような状況に対応する技術として、例えば、圧延荷重モデルの精度を向上させるセットアップモデルが広く適用されている。このセットアップモデルでは、変形抵抗や板厚は設定通りであることが前提となっている。しかしながら、これら変形抵抗、板厚(特に先端の板厚)は、冷間圧延の前の熱間圧延における板温度分布の影響などにより精確な予測が不可能であり、後行圧延材の先端部の板厚不良の大きな要因となっている。
これに対して、特許文献1に開示された技術も存在する。
特許文献1は、圧延機の走間板厚変更を行う際に、ロールギャップ設定動作は動作方向のみを設定して走間板厚変更開始と同時に該動作方向に動作し、後行圧延材の板厚が目標板厚に到達したときに該ロールギャップ設定動作を停止し、AGCによる板厚制御を行うことを特徴とする圧延機の走間板厚変更時の板厚制御方法を開示する。
特開2007−61850号公報
特許文献1の技術は、圧延材の板厚をマスフローの考えを基に算出し、このマスフロー板厚が目標値に到達するとロールギャップ操作を停止するものである。この技術を用いれば、元板厚の変化や変形抵抗変化があっても板厚精度を向上させることが可能と思われる。
しかしながら、冷間圧延において、後行圧延材の先端部が硬くなり変形抵抗が大となっている場合には、初期セットアップで求めた圧下量では目標板厚に到達できず、走変完了後でも板厚偏差が残る場合がある。また、ロールギャップ操作を停止して、走変を続けた場合にはロール速度は変更を続けるため、ロールギャップ停止後のロール速度変化による張力変化で板厚が変わってしまう可能性も否めない。特許文献1ではロールギャップ停止後ただちにAGCを作動させることになっているが、これらの操作量不足や張力変化はAGCで十分追従が出来ず、結果として板厚不良が発生してしまう可能性がある。
より詳細に検討すれば、走変時における板厚不良を回避するために重要なのは、走変部分での板厚であり、入側板厚は走変中に刻々変化し、出側板厚も刻々変化するために、入側及び出側の板速度V1,V2も刻々変化する。それ故、特許文献1で用いているマスフロー板厚を精確に求めるためには、入側板厚をX線板厚計などで測定し、その部位をトラッキングしながらワークロールに進入した瞬間にマスフロー則を適用する必要がある。
とはいえ、板速が刻々変化している状態で板厚測定部位をトラッキングすることは簡単ではなく、トラッキング位置がずれることにより、板厚精度はさらに悪化する。また、板速度は一般にドップラー板速計を用いて測定されるが、走変を行う時には低速圧延となっているため、低速時の速度測定精度の悪化から板厚精度も悪化する。これに対して、本願発明者は、ゲージメータ板厚は、トラッキングや速度計則が不要であり、しかも計算が簡単であるため、時間遅れが許されない走変部での板厚測定には有利であるとの知見を有している。
以上まとめれば、特許文献1の技術を、冷間圧延機での圧延であり且つ先行圧延材の後端部と後行圧延材の先端部の突き合わせ部が通過する際に実施される「走間板厚変更」の際に適用される板厚制御方法として採用することは、現実的には困難であって、適用したとしても、冷間連続圧延機における走変時での安定した圧延を行うことは難しいと思われる。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、冷間連続圧延での走変時に圧延機にトラブルが発生したり圧延材が切れたりといった不都合が生じず、可及的速やかに後行圧延材の板厚を所定のものにすることが可能な、ゲージメータ板厚を用いたロールギャップ量の制御方法及び制御装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係る冷間圧延機の板厚制御方法は、冷間圧延機での圧延であり且つ先行圧延材の後端部と後行圧延材の先端部の突き合わせ部が通過する際に実施される「走間板厚変更」の際に適用される板厚制御方法において、先行圧延材に対するロールギャップ量から後行圧延材に対するロールギャップ量へ変更する際の変更速度Vpを予め算出しておき、走間板厚変更においては、ロールギャップ量の変更速度をVp+α(Vpとαとは同符号)としてロールギャップを変更し、実績圧延荷重を基にしたゲージメータ式から得られる出側板厚が目標板厚になった時点で、ロールギャップ量の変更操作を停止することを特徴とする。
好ましくは、前記出側板厚と目標板厚との偏差Δhを算出し、算出された偏差Δhが所定の値以下になった際に、ロールギャップ量の変更操作を停止するとよい。
好ましくは、前記後行圧延材の先端部に関し、変形抵抗の平均値及び変形抵抗の変動量σを過去の実績より求めておき、前記変形抵抗の平均値に対するロールギャップ量の変化量ΔS1、「変形抵抗の平均値+変動量σ」の際のロールギャップ量の変化量ΔS2、「変形抵抗の平均値−変動量σ」の際のロールギャップ量の変化量ΔS3、走間板厚変更に要する時間tをそれぞれ算出し、(ΔS2−ΔS1)/tの絶対値と(ΔS3−ΔS1)/tの絶対値との大きい方を上記したαとするとよい。
好ましくは、上記したαを、過去の実績値より得られた「先行圧延材と後行圧延材との板厚差」、「先行圧延材と後行圧延材との強度差」、「先行圧延材と後行圧延材との板幅差」ごとに層別化しておくとよい。
好ましくは、前記ロールギャップ量の変更操作を停止するに際しては、ロールギャップ量の変更操作を停止する冷間圧延機のロール速度の変更を停止すると共に、当該冷間圧延機の上流側及び下流側に配備された冷間圧延機のロール速度の変更も停止するとよい。
一方、本発明に係る冷間圧延機の板厚制御装置は、冷間圧延機に備えられており、且つ先行圧延材の後端部と後行圧延材の先端部の突き合わせ部が通過する際に実施される「走間板厚変更」の際に適用される板厚制御を行う板厚制御装置であって、前記板厚制御装置には、先行圧延材に対するロールギャップ量から後行圧延材に対するロールギャップ量へ変更する際の変更速度Vpを予め算出しておき、走間板厚変更においては、ロールギャップ量の変更速度をVp+α(Vpとαとは同符号)としてロールギャップを変更し、実績圧延荷重を基にしたゲージメータ式から得られる出側板厚が目標板厚になった時点で、ロールギャップ量の変更操作を停止する制御を行う走変制御部が備えられていることを特徴とする。
本発明の冷間圧延機の板厚制御技術を用いることで、冷間連続圧延での走変時に圧延機にトラブルが発生したり圧延材が切れたりといった不都合が生じず、可及的速やかに後行圧延材の板厚を所定のものにすることができる。
本発明に係る板厚制御方法が適用される冷間タンデム圧延機の要部を示す図である。 先行圧延材と後行圧延材との接続部付近における圧延状況を模式的に示した図である。 先行圧延材と後行圧延材との接続部付近における圧延状況を示した図である(従来例、第4圧延スタンド)。 本発明におけるロールギャップ量の変更速度と板厚の変化を示した図である。 (a),(b)は従来の技術を用いた際の板厚変化を示した図であり、(c)は本発明の技術を用いた際の板厚変化を示した図である。
以下、本発明の実施形態を、冷間タンデム圧延機2を例示しつつ図を基に説明する。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
冷間タンデム圧延機2は、複数の圧延スタンド1(冷間圧延機)と、圧延後の圧延材Wを巻き取るコイル巻き取り機とを備えたものであり、図1には、冷間タンデム圧延機2の中途部に存在する複数の圧延スタンド1を模式的に示している。
圧延スタンド1は、上下のワークロール3とそれぞれのワークロール3をバックアップするバックアップロール4を備える。圧延スタンド1のワークロール3は、圧下機構5によりそのギャップ量が変更可能となっている。各圧延スタンド1には、圧延荷重を測定する荷重計6が備えられる。
圧延スタンド1の出側には、圧延材Wの板厚を検出する板厚計7や圧延材Wの速度を計測する板速計8が設けられる。圧延スタンド1と圧延スタンド1との間には、各圧延スタンド1間の張力を検出可能な張力計9も備えられている。
この冷間タンデム圧延機2においては、圧延材Wは、複数の圧延スタンド1を通ることで冷間圧延されて、所望の板厚、板幅、板クラウンを有する製品板へとなり、コイル巻き取り機で巻き取られ次の工程へと搬送される。
この冷間タンデム圧延機2には、圧延スタンド1に設けられた圧下機構5を動かしワークロール3間のギャップ量を制御する板厚制御装置が備えられている。板厚制御装置は、冷間タンデム圧延機2の少なくとも1つ以上又は全ての圧延スタンド1を制御する。
板厚制御装置は、プロコンやPLC等で構成され、圧延材Wの定常部(先端部や尾端部ではなく中途部)に対してAGC制御を行うAGC制御部20(定常制御部)を備えている。
AGC制御部20は、各圧延スタンド1における圧延荷重の偏差に伴うロールギャップ変化量を補償すべく、所定の比例ゲインで各圧延スタンド1のロールギャップを制御する。詳しくは、BISRA−AGCやミル剛性可変制御と呼ばれる制御を行い、板厚変動をゼロに近づける制御を行う。さらに、板厚制御装置は、圧延スタンド1の圧延速度に応じて、AGC制御部20内で使用される比例ゲインを決定するゲイン決定手段などを備えている。ミル剛性Mの同定誤差や定常時のAGC制御との干渉による過応答を防止すべく、チューニング率は1.0以下の値が採用される。
上記した板厚制御装置には、走変時における板厚の制御(圧延ロール3,3間の隙間量であるロールギャップ量の制御)を行う走変制御部21が備えられている。
周知の如く、圧延材Wの連続圧延を行う際においては、先行圧延材の板厚を実現するロールギャップ量から後行圧延材の板厚を実現するためのロールギャップ量へと、ワークロール間のギャップを変更する必要がある。このロールギャップ変更は、圧延材を走行させている間に圧延材を止めることなく行われるため、このロールギャップ量の変更を「走間板厚変更」又は略して「走変」と呼ぶ。
図2,図3には、走変時における先行圧延材及び後行圧延材の圧延状況が示されている。圧延条件は、
・先行圧延材:入側板厚偏差ΔH=0.0、ミル定数M=500ton/mm、出側塑性定数Q=入側塑性常数Q’=500ton/mm
・後行圧延材:入側板厚偏差ΔH=0.8、ミル定数M=510ton/mm、出側塑性定数Q=入側塑性常数Q’=800ton/mm
・ロールギャップ量の操作量:0.4mm
・後行圧延材の変形抵抗が高い場合:Q=Q’=900ton/mm
・後行圧延材の変形抵抗が低い場合:Q=Q’=700ton/mm
である。
図3(a)には、第4圧延スタンドにおける上記条件下での走変時間に対する板厚変化を示しており、図3(b)には、第4圧延スタンドにおける上記条件下での走変時間に対する板厚偏差変化を示している。なお、基準板厚とは、後行圧延材が「入側板厚偏差ΔH=0.8、ミル定数M=510ton/mm、出側塑性定数Q=入側塑性常数Q’=800ton/mm」の時の後行圧延材の板厚のことである。
図3から明らかなように、先行圧延材は、AGC制御部20の板厚制御により、所定の板厚にコントロールされているが、後行圧延材との連結点である溶接点が圧延スタンド1を通る約1秒前から走変状況下となり、板厚を増すべくロールギャップ量が増えるようになる。それに伴い、溶接点前後を挟んで板厚が増加する。
しかしながら、例えば、後行圧延材の加熱温度が予定より若干低く、後行圧延材の変形抵抗が高かった場合は、設定したロールギャップ量では圧下量が足りず、板厚が厚いものとなる。逆に、後行圧延材の加熱温度が予定より若干高いなどして後行圧延材の変形抵抗が低かった場合は、設定したロールギャップ量では圧下量が大きすぎて、板厚が薄くなる。
このように、圧延スタンド1における溶接点の通過は非定常な圧延状況下であり、不適切な走変を行った場合、板厚が許容範囲を超えた廃棄部分が極端に多くなったり、圧延スタンド1自体にトラブルが発生したりして圧延材が切れたりといった不都合が生じる場合がある。
そこで、本実施形態の走変制御部21は、このような不安定状況下となる走変時の圧延を適切に行うべく、次の(i)ステップ〜(iv)ステップを有する圧延を行う。
(i) 先行圧延材に対するロールギャップ量から後行圧延材に対するロールギャップ量へ変更速度Vpを予め算出しておく。
(ii) 走変時においては、定常時の板厚制御(AGC制御)を停止すると共に、ロールギャップ量の変更速度をVp+αとしてロールギャップ量を、先行圧延材のロールギャップ量→後行圧延材のロールギャップ量とする。ここで、ロールギャップ量の変化方向(ギャップ操作)は常に一方向とする。すなわち、走変時において、ロールギャップ量を増やしたり減らしたりと交互に行うことはしない。ロールギャップ量は増える又は減るのみである。また、Vpと補正量αとは同じ符号とする。
(iii) 実績圧延荷重を基にしたゲージメータ式(数1)から圧延スタンド1の出側板厚を求め、得られた出側板厚が目標板厚になった時点で、ロールギャップ量の変更操作を停止する。例えば、圧延スタンド1の出側板厚と目標板厚との偏差Δhを算出し、算出された偏差Δhが所定の値(目標板厚精度)以下になった際に、ロールギャップ量の変更操作を停止するとよい。
すなわち、走変完了より少しだけ早く目標板厚になるようにして、目標板厚になればギャップ操作を止めるようにする。
(iv) その後は、定常部の板厚制御であるAGC制御を行う。言い換えれば、圧延スタンド1の走間板厚変更を行う際には、圧延材の定常部におけるAGC制御をオフとしている故、そのAGC制御を再開する。このように、好ましくは、圧延スタンド1の走間板厚変更を行う際には、圧延材Wの定常部における通常の板厚制御をオフとするとよい。
ところで、補正量αの具体的な決め方としては、様々な考えを採用可能であるが、本実施形態では、以下の方法で求めることとした。
一般的に、冷延材の先端部は熱延材の最後部(先尾端)と考えることができる。それ故、先尾端では温度が下がり変形抵抗が高くなって、熱延材の先尾端は目標値(指令値あるいは設計値)より厚くなる。また、熱間圧延で低温圧延をされるため、熱延後も先尾端は冷間強度も高くなっている。この先尾端の板厚差や強度差は、熱延の操業条件に依存するため、一般的にその値を見越すことは出来ない。補正量αはこのような熱延材の厚さや強度を事前に補正するものである。
補正量αを求めるには、まず、αを0.0とする通常の圧延を数本行い、走変完了時の板厚と目標板厚の偏差Δhを求める。このΔhの統計量として、Δhの平均値Δhmと標準偏差σhを求める。この標準偏差σhを基に求められたδH(=Δhm+σh)分だけ、ギャップ操作が不足していると考える。
この時の圧延材の塑性定数をQとする。この塑性定数Qは、データ解析から求めても良いし、変形抵抗と摩擦係数を用いて理論値としても良い。その際に、δH分さらに圧下する必要があれば、圧延理論より圧下板厚と操作ロールギャップ量δSは、Mを圧延スタンド1のミル定数とすると、δS=δH・(M+Q)/Mとなる。したがって、走変時に本来動かすロールギャップ量ΔSに対して、δSだけ増やす必要がある。この時のロールギャップ操作速度V、走変時間t(走変開始から終了するまでの時間)とすると、V=ΔS/tが設定される。この際、補正量αはα=δS/tとなる。
ただし、補正量αは、熱延条件や材質により変化するため、過去の実績値より得られた「先行圧延材と後行圧延材との板厚差」、「先行圧延材と後行圧延材との強度差」、「先行圧延材と後行圧延材との板幅差」ごとに層別化しておくことが好ましい。層別化したαをテーブル化して、走変制御部21内に備えるようにすることは非常に好ましい。
さて、図4は、上記(i)ステップ〜(iv)ステップを行った際のロールギャップ量の変化やその速度変化を模式的に示している。
図4(a)は、後行圧延材の変形抵抗が先行圧延材と略同じ値を有する場合を示している。図4(b)は、後行圧延材の変形抵抗が先行圧延材より低い、すなわち柔らかい材料である場合を示している。図より明らかなように、図4(a)に比して、早い時間で板厚が所定のものとなっているため、それ以降は走変制御を止め、通常のAGC制御としている。図4(c)は、後行圧延材の変形抵抗が先行圧延材より高い、すなわち硬い材料である場合を示している。図より明らかなように、図4(a)に比して、板厚が所定のものとなる時間は遅いものの、ロールギャップ量変更速度をVp+αとしているため、確実に所定の板厚とすることができている。
このような制御は、例えば、走変時に対応できるような複雑なAGC制御などに比して、非常に簡単なロジックであり、実際の圧延機への適用が容易である。また、実際の圧延現象との対応も容易に把握でき、現場でのチューニングが非常に容易となる。
図5には、本発明技術による実施例が示されている。
図5(a)は、従来から用いられている手法、すなわちセットアップのみで板厚を制御した場合の結果であり、図5(b)は、特許文献1の技術乃至はそれに類似する技術を用いて目標板厚に到達するとロールギャップ操作を停止する板厚制御を行った場合である。図5(c)は、本実施形態の技術を用いて走変時の板厚制御を行った場合である。各図とも、第4圧延スタンドにおける走変中の板厚の絶対値の変化を示す。
本実施例での圧延条件は、以下の通りである。
・先行圧延材:入側板厚偏差ΔH=0.0、ミル定数M=500ton/mm、出側塑性定数Q=入側塑性常数Q’=500ton/mm
・後行圧延材:入側板厚偏差ΔH=0.8、ミル定数M=510ton/mm、出側塑性定数Q=入側塑性常数Q’=800ton/mm
・ロールギャップ量の操作量:0.4mm
・後行圧延材の変形抵抗が高かった場合:Q=Q’=900ton/mm
・後行圧延材の変形抵抗が低かった場合:Q=Q’=700ton/mm
である。
図5(a)より、変形抵抗の値が変わると、それに連動して板厚変化を生じ不都合な状況となっていることがわかる。
図5(b)の結果に関しては、後行圧延材が硬い場合は比較的うまく制御できていることが見てとれる。とはいえ、後行圧延材が柔らかい場合には、制御の効果が無く、図5(a)の場合と略同じ状況であることは明らかである。
これに対して、図5(c)から明らかなように、本発明の技術を適用した場合、後行圧延材が柔らかい場合も硬い場合も走変時における板厚制御が確実に行われていることがわかる。
上記した実施例より、本発明に係る走間板厚変更での板厚制御技術が有効であることは明らかであるが、さらに精確な板厚制御を期するためには、圧延スタンド1のロールギャップ速度(ロールギャップ変更速度)を適切に設定する必要がある。
具体的には、まず、後行圧延材が柔らかい場合と硬い場合を仮定して、それぞれロールギャップ操作量ΔS2、ΔS3を求める。すなわち、過去の圧延実績から、変形抵抗の平均値に対するロールギャップ量の変化量ΔS1、「変形抵抗の平均値+変動量σ」の際のロールギャップ量の変化量ΔS2、「変形抵抗の平均値−変動量σ」の際のロールギャップ量の変化量ΔS3、走間板厚変更に要する時間tをそれぞれ求め、ロールギャップ速度であるα1=(ΔS1-ΔS2)/tの値と、α2=(ΔS1-ΔS3)/tの値を算出する。
ロールギャップの操作は、その操作量の大きい方(先行圧延材のギャップ実績値からの変更量が大の方)にロールギャップ速度を合わせる必要がある故、算出したα1とα2の値を比較し、大きい値をとる方を補正量αとする。
ところで、補正量αを用いた板厚制御を実施した場合、走変完了時間より早く目標板厚に到達するため、この時点で圧延スタンド1及びその前後の圧延スタンドの速度変化も止めてしまわないと、その後の張力変化による板厚不良が発生する。それ故、ロールギャップ量の変更操作を停止するに際しては、圧延スタンド1のロール速度の変更を停止すると共に、当該圧延スタンド1の上流側及び下流側に配備された圧延スタンドのロール速度の変更も停止するようにするとよい。
以上、本発明の冷間圧延機の板厚制御技術を用いることで、冷間連続圧延での走変時に、圧延機にトラブルが発生したり、圧延材が切れたりといった不都合が生じず、可及的速やかに、後行圧延材の板厚を所定のものにすることができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、発明を実施するための形態において、複数の圧延スタンドを備えた冷間タンデム圧延機を例示したが、本願発明は、単一の圧延スタンドからなる冷間圧延機にも採用可能である。
1 圧延スタンド(冷間圧延機)
2 冷間タンデム圧延機
3 圧延ロール
4 バックアップロール
5 圧下機構
6 荷重計
7 板厚計
8 板速計
9 張力計
20 AGC制御部(定常制御部)
21 走変制御部
W 圧延材

Claims (6)

  1. 冷間圧延機での圧延であり且つ先行圧延材の後端部と後行圧延材の先端部の突き合わせ部が通過する際に実施される「走間板厚変更」の際に適用される板厚制御方法において、
    先行圧延材に対するロールギャップ量から後行圧延材に対するロールギャップ量へ変更する際の変更速度Vpを予め算出しておき、
    走間板厚変更においては、ロールギャップ量の変更速度をVp+α(Vpとαとは同符号)としてロールギャップを変更し、実績圧延荷重を基にしたゲージメータ式から得られる出側板厚が目標板厚になった時点で、ロールギャップ量の変更操作を停止することを特徴とする走間板厚変更での板厚制御方法。
  2. 前記出側板厚と目標板厚との偏差Δhを算出し、
    算出された偏差Δhが所定の値以下になった際に、ロールギャップ量の変更操作を停止することを特徴とする請求項1に記載の走間板厚変更での板厚制御方法。
  3. 前記後行圧延材の先端部に関し、変形抵抗の平均値及び変形抵抗の変動量σを過去の実績より求めておき、
    前記変形抵抗の平均値に対するロールギャップ量の変化量ΔS1、「変形抵抗の平均値+変動量σ」の際のロールギャップ量の変化量ΔS2、「変形抵抗の平均値−変動量σ」の際のロールギャップ量の変化量ΔS3、走間板厚変更に要する時間tをそれぞれ算出し、
    (ΔS2−ΔS1)/tの絶対値と(ΔS3−ΔS1)/tの絶対値との大きい方を上記したαとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の走間板厚変更での板厚制御方法。
  4. 上記したαを、過去の実績値より得られた「先行圧延材と後行圧延材との板厚差」、「先行圧延材と後行圧延材との強度差」、「先行圧延材と後行圧延材との板幅差」ごとに層別化しておくことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の走間板厚変更での板厚制御方法。
  5. 前記ロールギャップ量の変更操作を停止するに際しては、
    ロールギャップ量の変更操作を停止する冷間圧延機のロール速度の変更を停止すると共に、当該冷間圧延機の上流側及び下流側に配備された冷間圧延機のロール速度の変更も停止することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の走間板厚変更での板厚制御方法。
  6. 冷間圧延機に備えられており、且つ先行圧延材の後端部と後行圧延材の先端部の突き合わせ部が通過する際に実施される「走間板厚変更」の際に適用される板厚制御を行う板厚制御装置であって、
    前記板厚制御装置には、先行圧延材に対するロールギャップ量から後行圧延材に対するロールギャップ量へ変更する際の変更速度Vpを予め算出しておき、走間板厚変更においては、ロールギャップ量の変更速度をVp+α(Vpとαとは同符号)としてロールギャップを変更し、実績圧延荷重を基にしたゲージメータ式から得られる出側板厚が目標板厚になった時点で、ロールギャップ量の変更操作を停止する制御を行う走変制御部が備えられていることを特徴とする冷間圧延機の板厚制御装置。
JP2011050250A 2011-03-08 2011-03-08 冷間圧延機の板厚制御方法及び板厚制御装置 Active JP5637906B2 (ja)

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