JPH10263646A - 熱間連続圧延機の板厚制御方法 - Google Patents

熱間連続圧延機の板厚制御方法

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JPH10263646A
JPH10263646A JP9069569A JP6956997A JPH10263646A JP H10263646 A JPH10263646 A JP H10263646A JP 9069569 A JP9069569 A JP 9069569A JP 6956997 A JP6956997 A JP 6956997A JP H10263646 A JPH10263646 A JP H10263646A
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JP
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stand
thickness
speed
downstream
looper
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Application number
JP9069569A
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English (en)
Inventor
Takayuki Kachi
孝行 加地
Sadayuki Mitsuyoshi
貞行 三吉
Yasuo Ichii
康雄 市井
Takushi Kagawa
卓士 香川
Soichiro Onda
聡一郎 音田
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱間圧延においてもマスフローAGCを可能
とし、板厚の制御精度を向上する。 【解決手段】 スタンド間に設置されたルーパー22の
ルーパー角度θ及びルーパー角速度ωを用いて、上流側
スタンドの出側板速度を補正し、マスフロー一定則によ
り演算される下流側スタンドの出側板厚h(i+1) の精度
を高めることにより、制御精度を向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間連続圧延機の
板厚制御方法に係り、特に、鋼板の熱間連続圧延に用い
るのに好適な、冷間圧延で用いられているマスフローA
GC(自動板厚制御)を熱間圧延にも適用して、熱間圧
延における圧延材の板厚精度を向上することが可能な、
熱間連続圧延機の板厚制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、熱間圧延及び冷間圧延において、
鋼板等の圧延材の長手方向の板厚精度に対する要求がま
すます厳しくなっている。このような要求に答えるた
め、AGCにおいても、応答速度の速い油圧圧下ミルや
新しい制御方法が採用されており、板厚精度向上が図ら
れている。
【0003】冷間圧延機におけるこのような新しい制御
方法の中にマスフローAGCがある。このマスフローA
GCでは、該当スタンドの入側板厚H(i+1) を該当スタ
ンド前に設けた板厚計により検出し、この検出したスタ
ンド入側板厚H(i+1) と、スタンドの入側板速度V(i+
1) 及び出側板速度v(i+1) から、マスフロー一定則を
用いて、次の(1)式によりスタンドの出側板厚h(i+
1) を演算し、該当スタンドの出側板厚h(i+1) が所定
の板厚となるように、上流側スタンドのロール速度や該
当スタンドの圧下位置を変更するようにしている。
【0004】 h(i+1) ={V(i+1) /v(i+1) }×H(i+1) …(1)
【0005】特開平6−154830に、該当スタンド
の圧下位置を変更する例が記載されている。
【0006】冷間圧延においては、下流側スタンド入側
板速度V(i+1) を上流側スタンド出側板速度v(i) で近
似しても、実用上問題のない誤差しか発生しないことが
判明したため、上記のようなマスフローAGCは、冷間
圧延機において広く用いられるようになった。
【0007】これに対し熱間連続圧延では、図1に示す
如く、例えば上流側の第iスタンド20i と下流側の第
i+1スタンド20i+1 間に設置されているルーパー2
2の角度θの変動が誤差となり、上流側スタンド出側板
速度v(i)が必ずしも下流側スタンド入側板速度V(i+
1) と一致しないことが広く知られていたため、又、入
側板厚を測定するためのセンサ設置環境が冷間圧延と比
べて劣悪なため、マスフローAGCを熱間連続圧延に適
用する試みは、近年に至るまで行われなかった。図1に
おいて、10は鋼板等の圧延材である。
【0008】しかし、冷間圧延における実績を背景とし
て、熱間圧延における板厚精度向上対策として、前記の
ような冷間圧延機におけるマスフローAGCを熱間圧延
に適用する試みが開始されている。
【0009】例えば、特開平4−167913では、隣
り合う2つのスタンドのうち、下流側スタンドの入側板
厚偏差から、マスフロー一定則により下流側スタンドの
出側板厚偏差を演算すると共に、下流側スタンド入側材
料温度偏差を検出し、該入側材料温度偏差に起因する下
流側板厚偏差を演算し、これら演算された下流側スタン
ドの出側板厚偏差の和が零となるように、上流側スタン
ドのロール回転速度を操作している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
4−167913では、スタンド間に設置されているル
ーパーの角度変動による影響を考慮していないため、ル
ーパー角度変動が一旦発生すると、マスフロー一定則に
よる板厚制御により過度な板厚修正をしてしまい、板厚
偏差が大きくなるという問題点を有していた。即ち、ル
ーパー角度変動がなければ、下流側スタンド入側速度を
上流側スタンド出側速度と等しいと見なしても問題ない
が、ルーパー角度変動が始まると、下流側スタンド入側
速度が上流側スタンド出側速度と一致しなくなるため、
マスフロー一定則による板厚制御では、過度な板厚修正
をしてしまい、板厚偏差が大きくなってしまう。
【0011】例えば、図6(A)に示す如く、下流側第
i+1スタンドの入側鋼板温度が上昇すると、圧延材で
ある鋼板の変形抵抗が小さくなり、図6(B)に一点鎖
線Aで如く、第i+1スタンドの出側板厚が薄めに外れ
る一方、図6(C)に示す如く、ルーパー角度は上昇し
始める。特開平4−167913では、(1)式におい
て下流側スタンド入側板速度V(i+1) は上流側スタンド
出側板速度v(i) と等しいとしているため、実際よりも
速いと見積もってしまい、結果として、図6(D)に示
す如く、下流側第i+1スタンド出側板厚h(i+1) を実
際より厚く見積もってしまう。その結果、圧下位置を補
正するが、適正レベルまでは開けず、下流側スタンド出
側板厚h(i+1) は、薄めに外れる。更に、別のスタンド
間張力制御によりルーパーが下降を始めると、逆に下流
側スタンド出側板厚h(i+1) を実際より薄く見積もり、
そのうち厚めに外れ始める。このようにして、ルーパー
の変動が収まるまで、板厚が変動してしまう。
【0012】一方、板厚制御ではないが、板厚測定に関
するものとして、特開昭57−165119には、ルー
パー角度変動により、圧延速度を補正して、マスフロー
板厚の補正を行うことが記載されている。
【0013】しかしながら、マスフロー板厚測定の精度
が向上する結果、プリセット制御の精度が向上すること
が例示されているだけであり、ダイナミック制御への使
用例は示されていない。又、最終スタンド出側板厚から
上流側スタンド出側板厚を求めるものであり、中間スタ
ンド間板厚から下流側スタンド出側板厚を求めるもので
はなかった。
【0014】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、スタンド間に設置されたルーパーの
角度変動が発生した場合でも、該ルーパー角度変動の影
響を受けることなく、下流側スタンド出側板厚を演算す
ることができ、従って、熱間圧延へのマスフローAGC
の適用を可能として、熱間圧延の板厚精度を向上させる
ことを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、ロール回転速
度を制御するロール速度制御装置と圧下位置を制御する
圧下位置制御装置を備えた複数の圧延スタンド、及び、
該スタンド間に設置されたルーパーから構成される熱間
連続圧延機において、該スタンド間に配置されたルーパ
ーのルーパー角度、ルーパー角速度及び上流側スタンド
の出側板速度を用いて演算した下流側スタンド入側板速
度と、スタンド間にて測定した上流側スタンド出側板厚
を下流側スタンドまでトラッキングした下流側スタンド
入側板厚と、下流側スタンド出側板速度を用いて、制御
周期毎に、マスフロー一定則により下流側スタンドの出
側板厚を演算し、該下流側スタンドの出側板厚が所定の
目標板厚となるように板厚制御を行うことにより、前記
課題を解決したものである。
【0016】又、前記下流側スタンド入側板速度を、上
流側スタンドのロール周速度に先進率を乗ずることによ
って演算した上流側スタンドの出側板速度から、ルーパ
ー角度変化による板速度変動の吸収量を減ずることによ
って求めるようにしたものである。
【0017】あるいは、前記下流側スタンド入側板速度
を、スタンド間に配置した板速度計により測定したスタ
ンド間板速度から、ルーパー角度変化による板速度変動
の吸収量に、スタンド間距離に対する上流側スタンドと
板速度計間距離の比を乗じたものを減ずることによって
求めるようにしたものである。
【0018】又、前記下流側スタンドの出側板厚演算値
が所定の下流側スタンド出側板厚目標値となるように、
下流側スタンドの圧下位置を操作するようにしたもので
ある。
【0019】あるいは、前記下流側スタンドの出側板厚
演算値が所定の下流側スタンド出側板厚目標値となるよ
うに、上流側スタンドのロール速度を操作するようにし
たものである。
【0020】あるいは、前記下流側スタンドの出側板厚
演算値が所定の下流側スタンド出側板厚目標値となるよ
うに、上流側スタンドのロール速度と下流側スタンドの
圧下装置を同時に操作するようにしたものである。
【0021】本発明は、前記のようなロール速度制御装
置と圧下位置制御装置を備えた複数の圧延スタンド及び
ルーパーから構成される熱間連続圧延機において、下流
側スタンドの入側板厚、上流側スタンドの出側板速度、
及び下流側スタンドの出側板速度を用いて、マスフロー
一定則により下流側スタンドの出側板厚を演算し、該下
流側スタンドの出側板厚が所定の目標板厚となるように
板厚制御を行うに際して、該スタンド間に設置されたル
ーパーのルーパー角度及びルーパー角速度を用いて、上
流側スタンドの出側板速度を補正し、前記下流側スタン
ドの出側板厚を演算することを特徴とする。
【0022】図1は、ルーパー角度θの変動が発生した
ときの、第iスタンド出側板速度v(i)、ルーパー角度
変化による板速度変動の吸収量Δv( ω,θ) 及び第i
+1スタンド入側板速度V(i+1) の関係を示したもので
ある。図において、sLはスタンド間距離、Lは第iス
タンドとルーパー回転中心22C間の距離、Hはパスラ
インとルーパー回転中心22C間の距離、Rはルーパー
のアーム22Aの長さ、Dはルーパーのロール22Rの
径、ωはルーパー角速度、αは第iスタンド側ストリッ
プ角度、βは第i+1スタンド側ストリップ角度であ
る。
【0023】第iスタンド出側板速度v(i) と第i+1
スタンド入側板速度V(i+1) の間に差が発生した場合、
ルーパー22は、図1に示したように、両者の速度差分
を、第iスタンドから第i+1スタンドまでの圧延材長
さによって吸収するため、上記変数の間には、次式の関
係が成立する。
【0024】 V(i+1) =v(i) −Δv( ω,θ) …(2)
【0025】なお、前記のようにルーパー角度変化によ
る板速度変動の吸収量Δv( ω,θ)は、ルーパー角度
変化によるスタンド間の圧延材長さ変化であるため、次
式により表わされる。
【0026】 Δv( ω,θ) =R×{sin(θ+β) −sin(θ−α) }×ω …(3)
【0027】今、従来例のように(2)式による補正を
行わないで、第iスタンド出側板速度v(i) を第i+1
スタンド入側板速度V(i+1) として、(1)式の第i+
1スタンド出側板厚演算に用いた場合には、次式に示す
板厚誤差err1が発生する。
【0028】 err1=(演算値−真値)/真値 ≒−Δv( ω,θ) /v(i) …(4)
【0029】スタンド間距離sL=6000mm、第i
スタンド〜ルーパー回転中心までの距離L=2150m
m、ルーパーアーム長さR=610mm、パスライン〜
ルーパー回転中心までの距離H=175mm、ルーパー
ロール径D=185mm、第iスタンド出側平均板速度
V(i) =800mpmとした場合について、ルーパー角
度変動が、ルーパー角度17°を中心に振幅a[m
m]、周期T[s]で変動したときの、最大板厚誤差の
発生例を図7に示す。例えば、5秒周期のルーパー角度
変動では、3°の振動が発生すると、1%の板厚演算誤
差が発生する。これは、板厚2mmの圧延材に対し、2
0μmの板厚変動が発生することを意味し、無視できな
い板厚変動である。
【0030】そこで、本発明においては、熱間連続圧延
にマスフローAGCを適用するにあたり、第iスタンド
ロール周速度VR(i) を用いて、第i+1スタンド入側
板速度V(i+1) を求める場合には、前記ルーパー角度変
動に伴う板厚演算誤差の発生を防止するため、次式によ
る補正を行う。
【0031】 V(i+1) =(1+f(i) )×VR(i) −Δv( ω,θ) …(5) ここで、f(i) は第iスタンドの先進率である。
【0032】あるいは図2に示したように、第iスタン
ドと第i+1スタンドの間に板速度計24を設置して第
i+1スタンド入側板速度V(i+1) を求める場合には、
次式による補正を行う。
【0033】 V(i+1) =v(SS)−(SS/sL)×Δv( ω,θ) …(6) ここで、SSは、上流側第iスタンドと板速度計24間
の距離、v(SS)は、板速度計24の出力である。
【0034】上記(5)式あるいは(6)式を用いて、
第i+1スタンド入側板速度V(i+1) を演算することに
より、ルーパー角度変動の影響を受けない第i+1スタ
ンド出側板厚h(i+1) の予測が可能となり、マスフロー
AGCを熱間圧延に適用して、極めて信頼性の高い高精
度の板厚制御が可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施形態を詳細に説明する。
【0036】本発明の第1実施形態は、図1のように、
第iスタンドロール周速度を用いて第i+1スタンド入
側板速度を求めるようにしたもので、図3に示す如く、
第iスタンド及び第i+1スタンドの圧下位置制御装置
30i、30i+1 と、同じくロール速度制御装置32
i、32i+1 と、該ロール速度制御装置32i、32i+
1 からそれぞれ出力されるロール周速度VR(i) 、VR
(i+1) を用いて、各スタンドの出側板速度v(i) 、v(i
+1) をそれぞれ演算する板速度演算装置34i 、34i+
1 と、該板速度演算装置34i 、34i+1 からの出力、
及び、遅延装置36を介して取り込んだ板厚計38の出
力h(i) を用いて、第i+1スタンド出側板厚推定値h
k(i+1)を演算する下流側スタンド出側板厚演算装置40
と、該下流側スタンド出側板厚演算装置40によって計
算された下流側出側板厚推定値hk(i+1)と出側板厚目標
値href(i+1)の差を求める比較器42と、該比較器42
の出力により、下流側第i+1スタンドの圧下位置制御
装置30i+1 を制御するコントローラ44とを含んで構
成されている。
【0037】前記遅延装置36は、第iスタンドと第i
+1スタンドの間に設置された板厚計38により計測さ
れた第iスタンド出側板厚h(i) を逐次記憶し、測定し
た圧延材10の該当部位が第i+1スタンドに到達した
時点において、前記第iスタンド出側板厚h(i) を第i
+1スタンド入側板厚H(i+1) として出力する。
【0038】前記板速度演算装置34i 、34i+1 は、
各スタンドのロール周速度VR(i)、VR(i+1) を入力
し、各スタンドの出側板速度v(i) 、v(i+1) を、次式
により求める。
【0039】 v(i) ={1+f(i) }×VR(i) …(7) v(i+1) ={1+f(i+1)}×VR(i+1) …(8) ここで、f(i) 、f(i+1) は、各スタンドの先近率であ
る。
【0040】前記下流側スタンド出側板厚演算装置40
は、前記第i+1スタンド入側板厚H(i+1) 、各スタン
ド出側板速度演算値v(i) 、v(i+1) 、ルーパー角度
θ、ルーパー角速度ωを入力し、前出(5)式及び
(1)式により、第i+1スタンド出側板厚推定値hk
(i+1)を演算する。
【0041】前記比較器42において、前記第i+1ス
タンド出側板厚推定値hk(i+1)と第i+1スタンド出側
板厚目標値href(i+1)を比較して、板厚偏差Δherr を
求め、該板厚偏差Δherr が零となるように、コントロ
ーラ44において、圧下位置変更量ΔS1 を演算し、第
i+1スタンドの圧下位置制御装置30i+1 へ出力す
る。
【0042】該コントローラ44においては、圧延材の
特性に応じて、例えば次式により適正なゲイン設定が行
われる、公知のPI演算が行われる。
【0043】 ΔS1 =gain1 ×{KP1 +(KI1 /s )} …(9) ここで、gain1 :圧延材の特性に応じたゲイン KP1 :比例ゲイン KI1 :積分ゲイン s :ラプラス演算子(1/s :積分を意味する)
【0044】この第1実施形態の(9)式による板厚制
御方法は、圧下位置変更による板厚への影響が大きい場
合に好適である。
【0045】なお、第1実施形態においては、比較器4
2で計算された板厚偏差Δherr に応じて、第i+1ス
タンドの圧下位置を変更するようにしていたが、板厚偏
差Δherr に応じて制御する方法はこれに限定されず、
図4に示す第2実施形態のように、コントローラ44′
で第iスタンドのロール周速変更量ΔVR2 を演算し、
第iスタンドのロール速度制御装置32i に出力するこ
とも可能である。
【0046】この第2実施形態においても、第1実施形
態と同様に、コントローラ44′において、圧延材の特
性に応じて、例えば次式により適正なゲイン設定が行わ
れる、公知のPI演算が行われる。
【0047】 ΔVR2 =gain2 ×{KP2 +(KI2 /s )} …(10) ここで、gain2 : 圧延材の特性に応じたゲイン KP2 :比例ゲイン KI2 :積分ゲイン
【0048】この第2実施形態の(10)式による板厚
制御は、圧下位置変更による板厚への影響よりも、張力
変更による板厚への影響が大きい場合に好適である。な
お、圧下位置変更及び張力変更による影響が、第1実施
形態と第2実施形態の中間の場合には、図4に破線で示
したように、次式により第i+1スタンドの圧下位置変
更量ΔS3 を演算し、第i+1スタンドの圧下位置制御
装置30i+1 に同時に出力してもよい。
【0049】 ΔS3 =gain3 ×{KP3 +(KI3 /s )} …(11) ここで、gain3 :圧延材の特性に応じたゲイン KP3 :比例ゲイン KI3 :積分ゲイン
【0050】なお、前記実施形態においては、いずれ
も、ロール周速度を用いて第i+1スタンド入側板速度
を計算していたが、第i+1スタンド入側板速度を計算
する方法はこれに限定されず、図2に示したように、ス
タンド間に板速度計38を設置し、該板速度計38の出
力により第i+1スタンド入側板速度を計算することも
可能である。この場合は、(7)、(8)式を、各々
(6)式に対応した式に置き換えればよい。
【0051】又、前記圧下位置制御装置30i 、30i+
1 において、図5に示す如く、圧延荷重ベンダー力等か
らミル伸びを演算するミル伸び演算器46、及び、該ミ
ル伸び演算器46の出力を圧下位置制御装置への指令値
から減算する補正器48を設けて、制御開始からのミル
伸びを補償するミル剛性可変制御を付加してもよい。こ
のときは、(9)式及び(11)式におけるgain1 、ga
in2 を、ミル剛性可変制御の未実施/実施により変更す
る。
【0052】
【実施例】本発明実施時の板厚挙動例を図6に実線Bで
示す。圧延途中において、図6(A)に示す如く、例え
ば第i+1スタンドの入側鋼板温度が高くなった場合、
第i+1スタンド出側板厚は図6(B)に示すように薄
くなる。このとき、第i+1スタンドにおける圧下率が
大きくなるため、第i+1スタンド入側板速度は遅くな
る。応答性が向上した現在のスタンド間張力制御におい
ても、この第i+1スタンド入側板速度と完全に同期し
て第iスタンド出側速度を変更することは難しいため、
例えば、ルーパー角度は図6(C)に示すように、上昇
を開始する。
【0053】このとき、第iスタンド出側板速度を用い
て第i+1スタンド出側板厚を演算する従来法(一点鎖
線A)では、実際の第i+1スタンド入側板厚よりも小
さな板速度変化量を用いることになるため、実際の過薄
量を小さく推定する。即ち、図6(D)のEのように、
第i+1スタンド出側マスフロー板厚演算誤差{hk(i+
1)−h(i+1) }がプラスとなり、板厚偏差に対する
(9)式〜(11)式による修正量が、必要な量よりも
小さくなる。
【0054】又、図6(D)にFで示したように、従来
法においては、実際の板厚変動に対して、過大、過小に
推定してしまうため、過度な板厚修正及びその結果とし
てのルーパー角度変動を発生する場合があり、制御性を
上げることが困難となる。
【0055】これに対して、ルーパー角度変動による影
響を考慮する本発明においては、図6(D)に実線で示
す如く、ルーパー角度変動に伴う第i+1スタンド出側
マスフロー板厚hk(i+1)に対する演算誤差が発生しない
ため、板厚偏差に対する(9)式〜(11)式による適
正な修正量を求めることが可能となり、板厚精度を向上
することができる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、熱間圧延で、スタンド
間に設置されたルーパーの角度変動が発生した場合にお
いても、マスフロー一定則により、該ルーパー角度変動
の影響を受けることがないスタンド出側板厚の推定が可
能となり、特に、第i+1スタンド出側に厚み計が設置
されていない場合において、スタンド出側板厚を、目標
板厚に制御して高い板厚精度を達成することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロール周速度から板速度を計算する場合におけ
る本発明の作用を説明するための線図
【図2】スタンド間の板速度を実測して下流側スタンド
入側板速度を計算する場合における本発明の作用を説明
するための線図
【図3】本発明の第1実施形態の構成を示すブロック線
【図4】同じく第2実施形態の構成を示すブロック線図
【図5】前記実施形態の変形例の要部を示すブロック線
【図6】従来例及び本発明の実施例における板厚制御例
を比較して示す線図
【図7】従来例においてルーパー角度変動が発生した場
合の板厚演算誤差の一例を示す線図
【符号の説明】
10…圧延材 20i 、20i+1 …スタンド 22…ルーパー θ…ルーパー角度 ω…ルーパー角速度 24…板速度計 30i 、30i+1 …圧下位置制御装置 32i 、32i+1 …ロール速度制御装置 34i 、34i+1 …板速度演算装置 36…遅延装置 38…板厚計 40…下流側スタンド出側板厚演算装置 42…比較器 44、44′…コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市井 康雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 香川 卓士 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 音田 聡一郎 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ロール回転速度を制御するロール速度制御
    装置と圧下位置を制御する圧下位置制御装置を備えた複
    数の圧延スタンド、及び、該スタンド間に設置されたル
    ーパーから構成される熱間連続圧延機において、 該スタンド間に配置されたルーパーのルーパー角度、ル
    ーパー角速度及び上流側スタンドの出側板速度を用いて
    演算した下流側スタンド入側板速度と、スタンド間にて
    測定した上流側スタンド出側板厚を下流側スタンドまで
    トラッキングした下流側スタンド入側板厚と、下流側ス
    タンド出側板速度を用いて、 制御周期毎に、マスフロー一定則により下流側スタンド
    の出側板厚を演算し、 該下流側スタンドの出側板厚が所定の目標板厚となるよ
    うに板厚制御を行うことを特徴とする熱間連続圧延機の
    板厚制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記下流側スタンド入
    側板速度を、上流側スタンドのロール周速度に先進率を
    乗ずることによって演算した上流側スタンドの出側板速
    度から、ルーパー角度変化による板速度変動の吸収量を
    減ずることによって求めることを特徴とする熱間連続圧
    延機の板厚制御方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記下流側スタンド入
    側板速度を、スタンド間に配置した板速度計により測定
    したスタンド間板速度から、ルーパー角度変化による板
    速度変動の吸収量に、スタンド間距離に対する上流側ス
    タンドと板速度計間距離の比を乗じたものを減ずること
    によって求めることを特徴とする熱間連続圧延機の板厚
    制御方法。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記下流側スタンドの出側板厚演算値が所定の下流側ス
    タンド出側板厚目標値となるように、下流側スタンドの
    圧下位置を操作することを特徴とする熱間連続圧延機の
    板厚制御方法。
  5. 【請求項5】請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記下流側スタンドの出側板厚演算値が所定の下流側ス
    タンド出側板厚目標値となるように、上流側スタンドの
    ロール速度を操作することを特徴とする熱間連続圧延機
    の板厚制御方法。
  6. 【請求項6】請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記下流側スタンドの出側板厚演算値が所定の下流側ス
    タンド出側板厚目標値となるように、上流側スタンドの
    ロール速度と下流側スタンドの圧下装置を同時に操作す
    ることを特徴とする熱間連続圧延機の板厚制御方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007075850A (ja) * 2005-09-14 2007-03-29 Nippon Steel Corp 熱間連続圧延機の板厚制御装置,板厚制御システム,方法,コンピュータプログラム,およびコンピュータで読み取り可能な記憶媒体
JP2010240720A (ja) * 2009-04-08 2010-10-28 Nippon Steel Corp 連続圧延機における板厚制御方法

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