JP2012176913A - 皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果をあたえる素材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 紫外線照射で発生する活性酸素による皮膚の酸化障害を抑制しかつ皮膚に美白効果を与える組成物を提供する。
【解決手段】 カプサンチン、カプソルビンまたはトウガラシ(パプリカ)から抽出されるカロテノイドを用いる紫外線による皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える組成物である。これを使用して、たとえば、0.01〜2(w/w)%のカプサンチンまたはカプソルビンを含有することを特徴とする皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える化粧品とすることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 カプサンチン、カプソルビンまたはトウガラシ(パプリカ)から抽出されるカロテノイドを用いる紫外線による皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える組成物である。これを使用して、たとえば、0.01〜2(w/w)%のカプサンチンまたはカプソルビンを含有することを特徴とする皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える化粧品とすることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、皮膚の光酸化を抑制しかつメラニン生成を抑制することによる美白効果をあたえる素材に関する。より詳細には、トウガラシに含まれるカロテノイドとその主成分であるカプサンチンまたはカプソルビンを有効成分として用いる皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果をあたえる素材に関するものである。
近年オゾンホールの拡大に伴い地球上に降り注ぐ太陽光紫外線量が増加の一途をたどっている。太陽光紫外線や、紫外線と酸素により発生する活性酸素により皮膚は日焼けや光アレルギーなどの急性反応を起こす。さらに慢性的な光酸化はシワ、シミ、皮膚老化のみならず皮膚癌などの原因となる。
皮膚に紫外線を照射したときに発生する活性酸素種は主に一重項酸素とスーパーオキサイドアニオンラジカルであることが知られている(H. Yasui and H. Sakurai. Biochem. Biophys. Res. Commun., 269, 131-136 2000)。皮膚は紫外線や活性酸素などの外的因子から体の内部を守る重要な働きをしている。しかし大量の紫外線や活性酸素に曝されると元々皮膚に備わっている生体防御機構では防ぎきれず光アレルギー、皮膚がんなどの各種疾病が引き起こされる。
皮膚の光酸化障害を防御するため種々の天然有機化合物の探索が行われ、ポリフェノール、キノン、カロテノイドなどが注目されている。特にβ―カロテンをはじめとするカロテノイドは分子内に長い共役二重結合構造を持つため太陽光紫外線を吸収し、一重項酸素を消去する働きを持っていることが報告されている (C.S.Foote, R.W Denny, J. Am. Chem. Soc., 90, 6233-6235 1968)。 またヒトの皮膚にはルテインなどのカロテノイドが蓄積していて紫外線防御の役割を果たしている。また強い太陽光に曝される環境に生育している海洋動物の表皮にはアスタキサンチンが存在しており、光酸化障害を防御している。その効果はβ―カロテンに比べて2〜3倍強いことが知られている(宮下和夫編、カロテノイドと最新の応用技術、シーエムシー出版、東京、2009、矢澤一良編アスタキサンチンの科学、成山堂書店、東京、2009)。
これらの知見から、強力な一重項酸素の消去活性を持つアスタキサンチンが皮膚の紫外線障害予防や化粧品素材として用いられている(特開2005-027589、特開2002-265313、特開平11-222412、特開平5-320036)。
紫外線による光酸化はまたメラニンの生成を促進する。メラニン生成を抑制し美白効果を与えるカロテノイドとしてアスタキサンチン(特開2000-128762、特開2004-331512)やフコキサンチン(特開2010-209023)、ルテイン(特開2005-289880)などが知られている。
本発明の目的は、紫外線および紫外線により発生する活性酸素から皮膚障害を防ぎかつ美白効果を与える物質を提供することにある。これらの目的を達成するためアスタキサンチンより強力な光酸化抑制効果のあるカロテノイドをスクリーニングした。
皮膚表面で障害を起こす活性酸素種は主として一重項酸素である。従って一重項酸素の消去活性が皮膚における光酸化抑制物質をスクリーニングする指標になる。一重項酸素の消去活性測定方法は化学的方法、ESRスピントラップ法などいくつかの方法が知られている。しかしこれらは間接的に一重項酸素を測定するもので直接測定したものではない。発明者の安井らは微弱発光測定装置NightOWL(EG&G Berthold社製)を用いる高感度な一重項酸素測定方法(H. Yasui and H. Sakurai. Biochem. Biophys. Res. Commun., 269, 131-136 2000)を開発した。本方法は紫外線などにより生じる一重項酸素を化学発光法を用いてCCDカメラで直接検出するものである。さらにこの方法は生体皮膚表面で発生する一重項酸素の検出にも適している。そこでこの微弱化学発光法を用いてアスタキサンチンより強力な一重項酸素の消去活性を持つカロテノイドのスクリーニングを行った。
発明者はすでにカプサンチンおよびカプソルビンがフリーラジカルに起因する脂質酸化連鎖作用を効果的に抑制する効果を報告している (T. Maoka, Y. Goto, K. Isobe, Y. Fujiwara, K. Hashimoto and K. Mochida, J. Oleo Sci., 50, 663-665 2001、特許公開平10−195433)。またHirayamaらはトルデンブルーを光増感剤とした光酸化反応による脂質酸化をカプサンチンおよびカプソルビンが抑制する働きを報告している (O. Hirayama, K. Nakamura, S. Hamada, and Y. Kobayashi, Lipids, 29, 149-150 1994)。さらに発明者らはカプサンチンおよびカプソルビンまたはトウガラシ(パプリカ)カロテノイドががん細胞増殖抑制効果および発癌ウイルス活性化抑制効果を持つことを見出している(がん細胞増殖抑制剤 特開2004-043418、発癌ウイルス活性化抑制剤 特開平10-217820、特開平11-139966、発癌ウイルス活性化抑制剤 特開平10-236968)。しかしカプサンチンおよびカプソルビンが直接一重項酸素を消去するという報告は今までに無い。今回、発明者らは微弱化学発光検出法を持いてカプサンチンおよびカプソルビンが直接一重項酸素を消去できることを見出した。さらにその活性はアスタキサンチンに比べればカプサンチンで1.3倍、カプソルビンで1.6倍、β―カロテンに比べれば実にカプサンチンで25倍、カプソルビンで31倍も強力であることを見出した。
さらにカプサンチンおよびカプソルビンを皮膚に塗布することにより紫外線照射により皮膚から発生する活性酸素を効果的に消去しかつメラニンの生成を抑制するという刮目すべき知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)カプサンチンまたはカプソルビンまたは両者を有効成分とする皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える素材、
(2)トウガラシに含まれるカロテノイドを有効成分とする皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える素材、
(3)0.01〜2重量%のカプサンチンまたはカプソルビンを含有することを特徴とする皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える化粧品、
である。
(1)カプサンチンまたはカプソルビンまたは両者を有効成分とする皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える素材、
(2)トウガラシに含まれるカロテノイドを有効成分とする皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える素材、
(3)0.01〜2重量%のカプサンチンまたはカプソルビンを含有することを特徴とする皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える化粧品、
である。
本発明の皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果をあたえる素材であるカプサンチン、カプソルビンは、優れた抗酸化機能を持ち皮膚の酸化障害を軽減するだけでなくメラニン生成を抑制し美白効果を与える。従って化粧品などの外用剤として用いることができる。さらにカプサンチン、カプソルビンは食経験が長く、毒性が非常に低いため、安全性が極めて高い。また内服すればカプサンチン、カプソルビンは体内に吸収されるので日焼け防止、紫外線障害の予防を目的とする健康食品などとして用いることもできる。
カプサンチンおよびカプソルビンは、下記化学構造式[化1]を有し、トウガラシ(パプリカ)(学名 Capsicum annuum)およびCapsicum属の植物の果実から抽出、分離することができる。本発明においてはトウガラシ(パプリカ)をアセトン等で抽出したエキスにもプサンチンおよびカプサンチンが含まれるので用いることができる。但し、これらのものに限定されるものではなく、他の植物から抽出されたものであっても、合成品であっても問題はない。また抽出方法は特に限定されるものではなく、抽出溶媒もエタノール、メタノール、クロロホルムなど他のものを用いてもよい。
本発明の素材は、紫外線による紅斑抑制、紫外線による日焼け防止、美肌や美白(しみ、そばかすなどの原因であるメラニン色素の沈着防止など)および抗シワを目的として、クリーム剤、ローション剤や化粧水などの化粧品に適宜添加することができる。さらには経口で用いることもできる。
本発明の素材を化粧品に配合させるときは、通常化粧品に用いられる成分を適宜添加させることができる。それらの成分としては、例えば、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸べンジル等のニコチン酸類、レチノール、酢酸レチノール、ビタミンA油等のビタミンA類、リボフラビン、酢酸リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド等のビタミンB2類、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、パントテニルエチルエーテル、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、その他のビタミン類;グリシン、アラニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、グルタミン、グルタミン酸、グルタミン酸塩、リジン、メチオニン、システイン、シスチン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン等のアミノ酸、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸ナトリウム、N−パルミトイル−L−アスパラギン酸ジェチル等のN−アシル酸性アミノ酸塩、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン等のアシル中性アミノ酸塩、ピロリドンカルボン酸及びその塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、ヤシ油脂肪酸−L−アルギニンエチルエステル−dl−ピロリドンカルボン酸塩等のアミノ酸誘導体、米ぬか油、落花生油、バーム油、牛脂、アボガド脂、ホホバ脂、ラノリン、流動パラフィン、スクワラン、カルナウバロウ、イソステアリルアルコール、パルミチン酸イソステアリル、トリ−2−エチルへキサン酸グリセロール等の油類、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、1,3−プチレングリコール等の多価アルコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールエーテル、コラーゲン、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デキストラン硫酸ナトリウム等の粘性多糖類、パラヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム等の酸化防止剤、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ジエタノールアミン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、イソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジグリセリルジイソステアレート、リン脂質等の界面活性剤、エチルパラべン、プロピルパラベン、ブチルパラべン等の保存剤、ヒノキチオール、サリチル酸誘導体、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アラントイン、酸化亜鉛等の消炎剤、その他pH調節剤、緩衝剤、香料および着色剤等が挙げられる。
本発明の素材を化粧品の添加剤として用いる場合は、その化合物の種類、配合しようとする化粧品の種類や配合目的などによっても異なるが、通常約0.001〜5(w/w)%、好ましくは約0.01〜2重量%程度配合するのがよい。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
カプサンチン、カプソルビンの抽出、分離
カプサンチン、カプソルビンは一例として、次のような手順により抽出、分離される。すなわち、パプリカの可食部800gを裁断し、アセトンに浸漬して室温で暗所に静置して、時々浸透して赤色のアセトン抽出物を得た。抽出残渣に再びアセトンを加えて同じ操作をさらに3回繰り返してアセトン抽出液を集めた。この抽出液を減圧で濃縮乾固してアセトンエキスを得た。なお、アセトンのかわりにエタノール、メタノールまたはクロロホルムなどの有機溶媒を用いて抽出することもできる。これらのエキスに5%KOH/メタノール溶液を加え室温で6時間攪拌してケン化を行った。その後不ケン化物をエーテルで抽出、抽出液を水洗した後減圧で濃縮乾固した。これをシリカゲルを吸着剤とするカラムクロマトグラフィーに付し、エーテル−アセトン(8:2)で溶出したフラクションによりカプサンチンを70mg、アセトンで溶出するフラクションによりカプソルビンを20mgそれぞれ分離した。
カプサンチン、カプソルビンは一例として、次のような手順により抽出、分離される。すなわち、パプリカの可食部800gを裁断し、アセトンに浸漬して室温で暗所に静置して、時々浸透して赤色のアセトン抽出物を得た。抽出残渣に再びアセトンを加えて同じ操作をさらに3回繰り返してアセトン抽出液を集めた。この抽出液を減圧で濃縮乾固してアセトンエキスを得た。なお、アセトンのかわりにエタノール、メタノールまたはクロロホルムなどの有機溶媒を用いて抽出することもできる。これらのエキスに5%KOH/メタノール溶液を加え室温で6時間攪拌してケン化を行った。その後不ケン化物をエーテルで抽出、抽出液を水洗した後減圧で濃縮乾固した。これをシリカゲルを吸着剤とするカラムクロマトグラフィーに付し、エーテル−アセトン(8:2)で溶出したフラクションによりカプサンチンを70mg、アセトンで溶出するフラクションによりカプソルビンを20mgそれぞれ分離した。
化学発光法によるカロテノイドの一重項酸素消去活性の測定
高感度の化学発光プローブであるCLA (2-methoxy-6-phenyl-3,7-dihydroimidazo [1,2-a]-pyrazin-3-one) の存在下でH2O2-NaClO系より一重項酸素を発生させ、CLAと一重項酸素の反応にもとづく微弱光を高感度CCDカメラを備えた微弱発光測定装置NightOWL (EG&G Berthold社製)で測定した。この発光量をコントロールの半分に減少させるカロテノイドの濃度をIC50値(mM)として求めた。なお比活性としてb-カロテンの消去値を1としたそれぞれの化合物の活性値を表1に示した。カプサンチン、カプソルビンは強力な一重項酸素消去剤として知られるアスタキサンチンよりそれぞれ1.3倍、1.6倍も強力な消去活性を示した。この効果はβ―カロテンに比べれば実にカプサンチンで25倍、カプソルビンで31倍も強力である。
高感度の化学発光プローブであるCLA (2-methoxy-6-phenyl-3,7-dihydroimidazo [1,2-a]-pyrazin-3-one) の存在下でH2O2-NaClO系より一重項酸素を発生させ、CLAと一重項酸素の反応にもとづく微弱光を高感度CCDカメラを備えた微弱発光測定装置NightOWL (EG&G Berthold社製)で測定した。この発光量をコントロールの半分に減少させるカロテノイドの濃度をIC50値(mM)として求めた。なお比活性としてb-カロテンの消去値を1としたそれぞれの化合物の活性値を表1に示した。カプサンチン、カプソルビンは強力な一重項酸素消去剤として知られるアスタキサンチンよりそれぞれ1.3倍、1.6倍も強力な消去活性を示した。この効果はβ―カロテンに比べれば実にカプサンチンで25倍、カプソルビンで31倍も強力である。
カプサンチンおよびカプソルビンの紫外線照射による皮膚からの活性酸素発生抑制効果
カプサンチンとカプソルビンをそれぞれ0.1mM, 1mMおよび5mMの濃度でヘアレスマウスの皮膚に塗布した後、紫外線(UVA)を皮膚に照射し皮膚から発生する活性酸素を微弱発光測定装置NightOWL (EG&G Berthold社製)で測定した。すなわち、ペントバルビタールの麻酔下でヘアレスマウス腹部にカロテノイドを0.1mM, 1mM, 5mMの濃度で塗布した。左右ひとつずつ直径8mmの穴の開いた黒布で腹部皮膚を覆い、UVA照射装置を用いて、一方の穴に3分間UVAを18J/cm2の強度で照射した。照射後、UVA照射部位および非照射部位にそれぞれCLAを塗布して微弱光測定装置NightOWLを用いて活性酸素にもとづくCLAの発光を測定した。
カプサンチンとカプソルビンをそれぞれ0.1mM, 1mMおよび5mMの濃度でヘアレスマウスの皮膚に塗布した後、紫外線(UVA)を皮膚に照射し皮膚から発生する活性酸素を微弱発光測定装置NightOWL (EG&G Berthold社製)で測定した。すなわち、ペントバルビタールの麻酔下でヘアレスマウス腹部にカロテノイドを0.1mM, 1mM, 5mMの濃度で塗布した。左右ひとつずつ直径8mmの穴の開いた黒布で腹部皮膚を覆い、UVA照射装置を用いて、一方の穴に3分間UVAを18J/cm2の強度で照射した。照射後、UVA照射部位および非照射部位にそれぞれCLAを塗布して微弱光測定装置NightOWLを用いて活性酸素にもとづくCLAの発光を測定した。
UVAを照射したマウス腹部の皮膚では、非照射皮膚と比べて活性酸素にもとづく強い発光が観測された。この発光はカプサンチンおよびカプソルビンを塗布することにより濃度依存的に抑制された。5mMカプサンチンではコントロールに比べ活性酸素の発生を1/2に、5mMカプソルビンではコントロールに比べ活性酸素の発生を1/4以下に抑制するという顕著な消去効果が見られた。
カプサンチンおよびカプソルビンによるメラニン生成抑制効果
MEL-300ヒト3次元モデル(正常ヒト表皮メラニン細胞を含む正常ヒト表皮角化細胞、クラボウ)を用いてメラニン生成抑制効果を検討した。定法により細胞を維持培地で37℃、5%炭酸ガス下にて培養。これに披見物質(カロテノイド)を添加(対称区は無添加)した後UVBを2.25 mJ/min/cm2 x 6 minの強度で照射した。培養終了後、細胞に含まれるメラニン量を吸光度法により測定した。すなわち、細胞を一旦凍結した後に室温にて溶解、D-PBSで洗浄して過剰の培地を除いた。これにプロテインキナーゼKを加え45℃で24時間反応させ細胞のタンパク質を分解した後、500mM炭酸ナトリウムおよび30%過酸化水素水を加え80℃で30分間反応した。反応終了後クロロホルム:メタノール(2:1)を加え攪拌した後、10,000gにて10分間遠心してその上清をとり405nmの吸光度からメラニン量を求めた(表2)。
MEL-300ヒト3次元モデル(正常ヒト表皮メラニン細胞を含む正常ヒト表皮角化細胞、クラボウ)を用いてメラニン生成抑制効果を検討した。定法により細胞を維持培地で37℃、5%炭酸ガス下にて培養。これに披見物質(カロテノイド)を添加(対称区は無添加)した後UVBを2.25 mJ/min/cm2 x 6 minの強度で照射した。培養終了後、細胞に含まれるメラニン量を吸光度法により測定した。すなわち、細胞を一旦凍結した後に室温にて溶解、D-PBSで洗浄して過剰の培地を除いた。これにプロテインキナーゼKを加え45℃で24時間反応させ細胞のタンパク質を分解した後、500mM炭酸ナトリウムおよび30%過酸化水素水を加え80℃で30分間反応した。反応終了後クロロホルム:メタノール(2:1)を加え攪拌した後、10,000gにて10分間遠心してその上清をとり405nmの吸光度からメラニン量を求めた(表2)。
カプサンチン、カプソルビン投与区ではコントロール区(無添加区)に比べ顕著なメラニン生成抑制効果が認められた。特に5mMで顕著な効果が見られた。この効果はすでにメラニン生成抑制剤として特許出願されているルテイン(特開2005-289880)に比べ同等もしくはカプソルビンでより顕著であった。
H. Yasui and H. Sakurai. Biochem. Biophys. Res. Commun., 269, 131-136 2000
C.S.Foote, R.W Denny, J. Am. Chem. Soc., 90, 6233-6235 1968
宮下和夫編、カロテノイドと最新の応用技術、シーエムシー出版、東京、2009
矢澤一良編アスタキサンチンの科学、成山堂書店、東京、2009
T. Maoka, Y. Goto, K. Isobe, Y. Fujiwara, K. Hashimoto and K. Mochida, J. Oleo Sci., 50, 663-665 2001
O. Hirayama, K. Nakamura, S. Hamada, and Y. Kobayashi, Lipids, 29, 149-150 1994
Claims (3)
- カプサンチンまたはカプソルビンまたは両者を有効成分とする皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える素材。
- トウガラシに含まれるカロテノイドを有効成分とする皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える素材。
- 0.01〜2重量%のカプサンチンまたはカプソルビンを含有することを特徴とする皮膚の光酸化を抑制しかつ美白効果を与える化粧品。
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