JP6831620B2 - 口唇用化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、口唇用化粧料に関する。より詳細には、アスタキサンチン及びビタミンEが配合された口唇用化粧料に関する。なお、本明細書において、化粧料とは、薬用化粧料(医薬部外品)を含む概念である。
アスタキサンチンは、天然に存在する黄色から赤のテルペノイド類の色素である。アスタキサンチンは、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果などを有することが知られており、広く化粧料に配合されている。
しかし、アスタキサンチンは構造的に不安定であり、熱、光(紫外線)、酸化などにより分解が促進されるため、製剤に安定に配合することが困難である。そこで、アスタキサンチン配合化粧料を遮光性の容器に入れて、アスタキサンチンの含有率の低下を抑え、アスタキサンチンの効能を維持することが提案されている(特許文献1)。様々な化粧料のうち、特に口唇用化粧料は、塗布したときの口唇の色に影響を与えることから、高い審美性が求められる。従って、アスタキサンチンを配合した口唇用化粧料の退色・変色は、一般的なスキンケア化粧料以上に避けるべきものである。
特開2005−002175号公報
本発明は、アスタキサンチンが安定に維持され、かつアスタキサンチンの高い口唇荒れ改善効果も発揮される、口唇用化粧料を提供することを主目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、アスタキサンチンとビタミンEとを一定の量比で口唇用化粧料に配合することにより、紫外線等に暴露されても、アスタキサンチンの残存率を高くできることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明では、まず、アスタキサンチンとビタミンEとが配合され、該アスタキサンチンの濃度を100質量%としたときに、該ビタミンEの濃度が70質量%以上である、口唇用化粧料を提供する。
アスタキサンチンの配合量は、口唇用化粧料の全質量に対して、0.00001〜0.1質量%の量とすることが好ましい。
配合されるビタミンEは、特に限定されないが、トコフェロール及びそのエステル体並びにトコトリエノール及びそのエステル体からなる群から選択される1種又は2種以上であってよい。
本技術に係る口唇用化粧料は、口唇荒れを改善することができる。具体的には、口唇の角層細胞における有核細胞の比率を減少させることができる。また、口唇の角層細胞を蛍光分光測定装置に供したときの自家蛍光を減少させることができる。
本技術によれば、口唇用化粧料に配合されたアスタキサンチンの効果を、十分に発揮させかつ長く維持することができる。
リップクリームに3日間光照射した後のアスタキサンチンの発色を示す図である。 リップクリームを使用した被験者によるアンケート調査の結果を示したグラフである。 リップクリームを使用した被験者から採取した角層細胞中の有核細胞の増減を示したグラフである。 リップクリームを使用した被験者から採取した角層細胞の自家蛍光の蛍光強度の増減を示したグラフである。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<口唇用化粧料>
本技術に係る口唇用化粧料は、口唇荒れの予防・治療・改善の有効成分としてアスタキサンチンが配合され、更にビタミンEが配合されることで、アスタキサンチンの安定性が高まり、アスタキサンチンの作用が長く維持される。
(1)ビタミンE
本明細書において「ビタミンE」は、植物および穀物類に多く含まれる複数種のトコフェロールおよびトコトリエノールの総称を指す。トコフェロール、トコトリエノールは、それらの塩及び誘導体を含む概念である。
具体的なトコフェロール類としては、d−α−トコフェロール、d−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロール、d−δ−トコフェロール、l−α−トコフェロール、l−β−トコフェロール、l−γ−トコフェロール、l−δ−トコフェロール、それらの混合物であるdl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、それらの誘導体である酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、リン酸トコフェロール、アスパラギン酸トコフェノール、グルタミン酸トコフェノール、パルミチン酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、ポリエトキシル化トコフェノールなどが挙げられる。また、合成したトコフェロールも使用できる。更に、これらのトコフェロール及びトコフェロール誘導体は、食品、医薬品、化粧品等の分野で許容される塩であってもよい。
また、具体的なトコトリエノールとしては、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、それらの誘導体である酢酸トコトリエノール、コハク酸トコトリエノール、リン酸トコトリエノール、アスパラギン酸トコトリエノール、グルタミン酸トコトリエノール、パルミチン酸トコトリエノール、ニコチン酸トコトリエノール、ポリエトキシル化トコトリエノールなどが挙げられる。また、合成したトコトリエノールも使用できる。更に、これらのトコトリエノール及びトコトリエノール誘導体は、食品、医薬品、化粧品等の分野で許容される塩であってもよい。
トコフェロール及びトコトリエノールは、1種単独で用いてもよいし、又は2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
また、混合物の状態で使用してもよく、混合物の状態のものとしては抽出トコフェロール、抽出トコトリエノール、ミックストコフェロール、ミックストコトリエノールなどと呼ばれるものがある。
(2)ビタミンEの配合量
ビタミンEの配合量は、口唇用化粧料に配合されるアスタキサンチンの濃度を100質量%としたときに、70質量%以上である。アスタキサンチンとビタミンEとの配合比が質量比で100:70以上にすることで、アスタキサンチンの安定性を確保することができる。アスタキサンチンとビタミンEとの配合比は、好ましくは質量比で100:100以上、より好ましくは100:150以上、更に好ましくは100:700以上、特に好ましくは100:1000以上である。
あるいは、アスタキサンチンが口唇用化粧料の全質量に対して0.0001質量%のとき、ビタミンEは、好ましくは0.00007質量%以上、より好ましくは0.00015質量%以上、更に好ましくは0.0007質量%以上、特に好ましくは0.001質量%である。
ビタミンEを前記の量で配合すれば、口唇用化粧料が、アスタキサンチンを分解するストレス(例えば紫外線等の光)に暴露されたとしても、アスタキサンチンの分解が抑制され、アスタキサンチンの口唇荒れ予防・治療・改善効果を維持できる。
(3)アスタキサンチン
本明細書において「アスタキサンチン」は、特に断らない限り、アスタキサンチンエステルなどの誘導体を含めるものとする。
アスタキサンチンは、476nm(エタノール)、468nm(ヘキサン)に吸収極大を持つ赤色の色素でキサントフィル類に分類され、化学構造は3,3’−dihydroxy−β,β−carotene−4,4’−dione(C4052、分子量596.82)である。アスタキサンチンは、分子の両端に存在する環構造の3(3’)−位の水酸基の立体配置により異性体が存在する3S,3S’−体、3S,3R’−体(meso−体)、3R,3R’−体の三種で、さらに分子中央の共役二重結合のcis−、trans−の異性体も存在する。例えば、全cis−、9−cis体と13−cis体などの如くである。3,3’−位の水酸基は脂肪酸とエステルを形成することができる。オキアミから得られるアスタキサンチンは、脂肪酸二個結合したジエステル体、Haematococcus pluvialisから得られるものは3S,3S’−体である。脂肪酸一個結合したモノエステル体が多く含まれている、赤色酵母のPhaffia Rhodozymaより得られるアスタキサンチンは、3R,3R’−体で、通常天然に見出される3S,3S’−体と反対の構造を持っている。
本技術に用いられるアスタキサンチンは、例えば、オキアミ、サケ、マス、福寿草、赤色酵母、ヘマトコッカス藻などの天然物から抽出したものや、分離して得られるアスタキサンチン含有オイルでもよいし、それを適宜精製したもの、合成品でもよい。特に、ヘマトコッカス藻から抽出されたものが、品質、生産性の点から好ましい。
天然物からアスタキサンチンを得る場合の抽出溶媒については、水系溶媒でも有機溶媒であってもよい。有機溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、エーテル、ヘキサンなどを用いることができる。また、超臨界状態の二酸化炭素などを用いることもできる。これらの溶媒は1種単独で用いてもよいし2種類以上を混合して用いてもよい。
ヘマトコッカス藻からの抽出物としては、例えば、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ヘマトコッカス・ラキュストリス(Haematococcus lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(Haematococcus capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバゲンシス(Haematococcus droebakensis)、ヘマトコッカス・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)などからの抽出物が挙げられるが、特に限定されない。
本技術では、市販されているアスタキサンチンを用いてもよく、例えば、マリン大王(株)製のASTAX(登録商標)−S、武田紙器(株)製のアスタッツ(登録商標)−SS、アスタッツ−S、アスタッツ−10O、アスタッツ−ECS、アスタッツ−2.0PW、アスタッツ−1.0PW、アスタッツ−1.5MBなど、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル(登録商標)50F、アスタリールオイル5F、アスタリールパウダー20F、水溶性アスタリール液、アスタリールWS液など、東洋酵素化学(株)製のBioAstin(登録商標)、オリザ油化社製のアスタキサンチン−5Cなどとして入手できる。
(4)アスタキサンチンと口唇荒れの予防・治療・改善
ここで、アスタキサンチンと口唇荒れの予防・治療・改善の関係について説明する。
アスタキサンチンは、従来から口唇用化粧料に、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果等の目的で配合されている。
通常、角層細胞は、細胞膜がコーニファイドエンベロープとして残り、細胞小器官は消失し、ケラチン繊維と繊維間物質(ケラトヒアリン顆粒、天然保湿因子)を内包する形態を有する。表皮角化細胞が角層細胞となり、角層の最外層では、その接着機構が弱まって角層細胞が皮膚からはがれ落ちる。角層が最終的に表面から離脱するまで、口唇で約3〜4日を要するとされる。
このような角層の離脱には、角層細胞における、角層細胞同士のデスモソームによる接着の変化や角層細胞間脂質の変化が関係していると考えられている。
本技術の口唇用化粧料は、アスタキサンチンを有効成分として含むことにより、口唇荒れを改善することができる。この効果は、角層細胞における有核細胞の比率が減少したこと、角層細胞を蛍光顕微鏡で観察したときに自家蛍光が減少したことで確認できる。
(5)アスタキサンチンの配合量
本技術の口唇用化粧料へのアスタキサンチンの配合量は、特に限定されないが、口唇荒れ改善効果を考慮すると、口唇用化粧料の全質量に対して、好ましくは0.00001質量%以上、より好ましくは0.0001質量%以上である。また、原料や製造のコスト、口唇化粧料の審美性等を考慮すると、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以下である。
(6)他の配合成分
本技術に係る口唇化粧料には、通常化粧料に使用される成分、例えば、油性成分、粉体、界面活性剤、繊維、水性成分、紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等を本技術の効果を妨げない範囲で配合することができる。
本技術では、ビタミンEと共に、抗酸化剤として、ビタミンC、ビタミンB及びその誘導体であるビタミンB酪酸エステルなどの抗酸化ビタミン、多価不飽和脂肪酸、スクワレン、ルチンなどを使用してもよい。
本技術の口唇化粧料は、口紅、リップグロス、口紅ベースコート、口紅オーバーコート、リップクリーム、リップトリートメント等が挙げられ、特に限定されないが、口紅、リップグロスであることが好ましい。形状は、特に限定されないが、固形状、スティック状であることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
<アスタキサンチンの紫外線安定性>
(1)実験方法
アスタキサンチンを0.00025質量%と、エタノールを25%とを含有し、かつトコトリエノールを0、0.01、0.05、0.5、5mMの濃度で含有する水溶液を調整した(後記表1を参照、得られた水溶液をそれぞれサンプルa、b、c、d、eとする)。この溶液を96ウェルプレートに添加し、紫外線(強度はUVA:23.32J/cm、UVB:4.60J/cm)を照射した。アスタキサンチンは波長470nm付近に特有の吸収を有しており、アスタキサンチンの分解が生じた場合には、波長470nm付近の吸収が減少するという性質を利用して、アスタキサンチンの安定性を評価した。
アスタキサンチン残存率は、各サンプルの470nmでの吸光度を測定し、
アスタキサンチン残存率(%)=(A/B)×100
(ここで、Aは、紫外線照射アスタキサンチン含有サンプルの吸光度、Bは、紫外線非照射アスタキサンチン含有サンプルの吸光度を表す。)
を求めた。
(2)結果
前記計算式にて算出されたアスタキサンチン残存率を後記表1に示す。
サンプルa、bはアスタキサンチン残存率が50%台であったが、サンプルc、d、eにおいて、アスタキサンチン残存率が70%以上の高い結果が得られた。
<アスタキサンチン配合リップクリームの製造>
後記成分を配合するリップクリームを製造した。
[基本成分リップクリーム(以下、「リップクリームベース」ということがある)]
成分1 ポリエチレンワックス 6.0質量%
成分2 マイクロクリスタリンワックス 10.0質量%
成分3 2−エチルヘキサン酸セチル 10.0質量%
成分4 トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 20.0質量%
成分5 ワセリン 20.0質量%
成分6 ポリブテン 10.0質量%
成分7 トリイソステアリン酸ジグリセリル 残量
成分8 フェノキシエタノール 0.3質量%
前記リップクリームベースの成分に加えて、下記表2の配合割合に従って、アスタキサンチンと、ビタミンE又はルチンとを配合し、リップクリームA〜Cを製造した。
なお、アスタキサンチンはオリザ油化株式会社、ビタミンEはタマ生化学社製を使用した。ルチンは、東洋精糖株式会社製を使用した。
前記成分1〜6を混合、加熱し、均一に溶解した。一方、前記成分7、8とアスタキサンチンと、ルチン又はビタミンEとを、均一に混合し、混合物を調製した。成分1〜6の溶解物に、該混合物を加え、成型して、リップクリームA〜Cを製造した。
<リップクリームに配合されるアスタキサンチンの安定性>
(1)評価方法
(i)光ストレス
リップクリームA〜Cに照度9000Luxの条件下で光照射を3日間行った。その後、目視にて、光照射前後のリップクリームの色(アスタキサンチン由来の赤色)を比較し、退色したものを「×」、若干変化したものを「△」、変化がなかったものを「○」とした。結果を前記表2に示す。
(ii)温度ストレス−1
50℃(高温)で30日、もしくは5℃(低温)で30日静置した。その後、目視にて、光照射前後のリップクリームの色(アスタキサンチン由来の赤色)を比較し、退色したものを「×」、若干変化したものを「△」、変化がなかったものを「○」とした。結果を前記表2に示す。
(iii)温度ストレス−2
40℃(高温)で24時間、5℃(低温)で24時間のサイクルを15回繰り返した。その後、目視にて、リップクリームの色(アスタキサンチン由来の赤色)を比較し、退色したものを「×」、若干変化したものを「△」、変化がなかったものを「○」とした。結果を前記表2に示す。
(iv)湿度ストレス
湿度75%の条件下で、40℃で30日間静置した。その後、目視にて、光照射前後のリップクリームの色(アスタキサンチン由来の赤色)を比較し、退色したものを「×」、若干変化したものを「△」、変化がなかったものを「○」とした。結果を前記表2に示す。
(2)結果
光ストレスでは、リップクリームA、Bにおいて退色し、リップクリームCでは退色しなかった(図1)。一方、リップクリームA〜Cのいずれにおいても、温度ストレスに暴露されたとき、アスタキサンチンはほとんど分解されなかったことが観察された。
また、湿度ストレスについては一般的にアスタキサンチンの安定化剤として知られているルチンもやや有効であったが、本実施例ほどの効果はなかった。アスタキサンチンは、ビタミンEを本技術の量、比で配合することにより口唇化粧料においても高い安定性を維持することがわかった。
<口唇用化粧料使用における口唇荒れ改善アンケート>
20〜50代の女性被験者25名に、リップクリームCならびにリップクリームベースをそれぞれ1週間使用させた。それぞれの使用開始時及び1週間適用時に被験者にアンケートを行った。具体的には口唇荒れの程度を−2、−1、0、+1、+2のスコアで表してもらった。そのスコアの平均値を図2のグラフに示した。
リップクリームCを1週間適用した場合と、リップクリームベースを1週間適用した場合とにアンケートを行った結果、リップクリーム適用前は、いずれの群においても、口唇荒れがひどく、平均スコアに有意差はなかった。しかし、1週間使用後は、リップクリームベースを適用した群よりも、リップクリームCを適用した群のスコア平均値が有意に高かった。
このことより、本技術の口唇用化粧料を使用すると、口唇荒れが改善したと被験者に実感されることがわかった。
<アスタキサンチン配合リップクリームの有核細胞の減少効果>
口唇荒れの改善に被験対象の口唇用化粧料が有効かどうかを評価する方法として、角層を採取し、その細胞中に核があるかどうか(有核細胞か否か)をみる方法がある。皮膚が荒れたときには、角層細胞に核が残る不全角化が認められることから、単に角層のみの変化にとどまらず、表皮角化細胞の増殖や角化の過程の異常を伴っていると考えられている。そこで、本技術の口唇用化粧料を口唇に適用し、角層細胞のうち、有核細胞の数が少なくなれば、表皮角化細胞の増殖や角化の過程の異常が改善され、肌荒れ・口唇荒れが改善されたと評価することができる。
(1)実験方法
(i)試料の採取
20〜40代の男性被験者20名を10名ずつ2群に分け、1群に前記リップクリームCを、もう1群にリップクリームベースを、3ヶ月間、1日2回以上使用させた。リップクリーム使用前、使用3日後、使用1週間後、使用1ヶ月後、使用3ヵ月後にそれぞれ下口唇の角層のテープストリッピングを行った。テープストリッピングは、テープの粘着面を下口唇の中央部に一定圧で押し当て、下口唇から剥がし、スライドグラスに貼り付けた。
(ii)測定
得られた試料をケルンエヒトロート染色し、倒立蛍光顕微鏡(オリンパス製)にて画像を取得した。その画像を画像解析ソフトWinROOF(三谷商事株式会社)にて有核細胞の割合を測定した。
(iii)スコア
リップクリーム使用前の有核細胞の割合を初期値としてスコア「0」とした。次に、リップクリームC又はリップクリームベースをそれぞれ適用した被験者の有核細胞の割合の程度が、それぞれリップクリーム使用前の有核細胞の割合の程度と比較して、同程度のもの(変化なし)は、スコア「0」とした。有核細胞の割合が減少したと観察されたもの(口唇荒れが改善)は、スコア「1」とした。有核細胞の割合が増加したと観察されたもの(口唇荒れが悪化)は、スコア「−1」とした。図3に、リップクリームC又はリップクリームベースを使用した後の被験者から採取した角層細胞中の有核細胞の増減をスコアから数値化してグラフにしたものを示す。
(2)結果
リップクリームベースを使用した被験者の群では、使用期間に伴い、有核細胞の変化がほとんどなかったのに対し、リップクリームCを使用した被験者の群では、使用期間に伴い、有核細胞の割合が低減した。従って、本技術のリップクリームCは、高い口唇荒れ効果があり、かつその効果が持続することがわかった。
<口唇用化粧料の自家蛍光の低減効果>
口唇荒れの改善に被験対象の口唇用化粧料が有効かどうかを評価する別の方法として、スライドガラスなどに採取した口唇の角層と、標準物質試料として、スライドガラスなどに載せたトリプトファン試薬とを、蛍光分光測定装置を用いて蛍光分光測定を行う方法がある。この方法では、蛍光スペクトルから、トリプトファンの極大蛍光波長よりも短波長側に極大値が観察されると健常な皮膚と評価され、長波長側に極大値が観察されると皮膚が荒れていると評価される(特開平2008−281496号公報参照)。このことから、スライドガラスなどに採取した口唇の角層を蛍光顕微鏡下にて蛍光の発光度合いを観察することで、簡易的に口唇荒れ改善を評価することもできる。
(1)実験方法
(i)試料の採取と測定
前記「(i)試料の採取」の方法で、被験者から角層試料を得た。得られた試料を、340nmの紫外部領域の波長の光より生じる自家蛍光を倒立型蛍光顕微鏡(オリンパス社製)を用いて測定を行った。
(ii)スコア
リップクリーム使用前の自家蛍光の蛍光強度を初期値「0」とした。次に、リップクリームC又はリップクリームベースを適用した後の被験者の自家蛍光の蛍光強度が、それぞれリップクリーム使用前の自家蛍光の蛍光強度の程度と比較して、蛍光強度が同程度のもの(変化なし)は、スコア「0」とした。蛍光強度が低減したと観察されたものは、スコア「1」とした。蛍光強度が増加したと観察されたものは、スコア「−1」とした。図4に、リップクリームC又はリップクリームベースを使用した後の被験者から採取した角層細胞の自家蛍光の蛍光強度の増減をスコアから数値化してグラフにしたものを示す。
(2)結果
リップクリームベースを使用した被験者の群では、使用期間に伴い、口唇荒れがやや悪化からほとんど改善効果が見られなかったのに対し、リップクリームCを使用した被験者の群では、使用期間に伴い、明らかに自家蛍光の低減効果が見られた。
<アスタキサンチン含有リップクリーム使用における使用後アンケート>
(1)実験方法
下記表3に示す成分を含有するアスタキサンチン含有リップクリーム(以下、「リップクリームA’」ということがある。)を製造した。
また、表3の成分6の代わりに、成分4のトリイソステアリン酸ポリグリセリル−2をその分増量したアスタキサンチンを含有しないリップクリーム(以下、「リップクリームN’」ということがある。)を製造した。
20〜50代の男女被験者20名を2群に分け、I群にリップクリームA’又はII群にリップクリームN’をそれぞれ2週間使用してもらい、アンケートを実施した。
次に3週間使用を中止した後に、I群にはリップクリームN’を、II群にはリップクリームA’をそれぞれ2週間使用してもらい、同様にアンケートを実施した。
評価項目は、口唇のふっくら感、シワ、荒れ、なめらかさの4項目とし、使用前に比べて悪化、やや悪化、変化なし、やや改善、改善の5段階で評価した。結果はやや改善以上で評価した被験者の数の割合を算出した。
(2)結果
使用前に比べてやや改善もしくは改善を実感した被験者の数の割合(%)を表4に示した。
リップクリームN’に比べてリップクリームA’使用により、ふっくら感、シワ、荒れ、なめらかさの評価項目において改善が確認された。
以上のことから、本技術の口唇用化粧料を使用により、ふっくら感、シワ、荒れ、なめらかさが改善することが明らかとなった。
本発明は、アスタキサンチンの効果を長期間、高く維持し、口唇用化粧料やその他の化粧料、医薬等に適用できる。

Claims (3)

  1. アスタキサンチンとビタミンEとが配合され、配合されるアスタキサンチンの濃度を100質量%としたときに、配合されるビタミンEの濃度が76.8質量%以上6000質量%以下であり、
    前記アスタキサンチンが、化粧料の全質量に対して、0.00025〜0.015質量%の量で配合される、
    口唇荒れ改善用のスティック状口唇用化粧料(但し、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩及びL−アスコルビン酸グルコシドから選ばれる少なくとも1種、3,3’−アスタキサンチンジメチルジスクシネート、リコピン、及び椿油を含まない)。
  2. アスタキサンチンとビタミンEとが配合され、配合されるアスタキサンチンの濃度を100質量%としたときに、配合されるビタミンEの濃度が76.8質量%以上6000質量%以下であり、
    前記アスタキサンチンが、化粧料の全質量に対して、0.00025〜0.015質量%の量で配合される、
    口唇荒れ改善用のスティック状化粧料(但し、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩及びL−アスコルビン酸グルコシドから選ばれる少なくとも1種、及び椿油を含まない)。
  3. ビタミンEが、トコフェロール及びそのエステル体並びにトコトリエノール及びそのエステル体からなる群から1種又は2種以上選ばれるものである、請求項1又は2に記載の化粧料。
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