JP2012171942A - 非対称型フルオロブタジエン化合物の製造方法および非対称型フルオロブタジエン化合物 - Google Patents

非対称型フルオロブタジエン化合物の製造方法および非対称型フルオロブタジエン化合物 Download PDF

Info

Publication number
JP2012171942A
JP2012171942A JP2011037542A JP2011037542A JP2012171942A JP 2012171942 A JP2012171942 A JP 2012171942A JP 2011037542 A JP2011037542 A JP 2011037542A JP 2011037542 A JP2011037542 A JP 2011037542A JP 2012171942 A JP2012171942 A JP 2012171942A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
liquid crystal
group
aliphatic hydrocarbon
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011037542A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomoko Sugita
知子 杉田
Tomoyuki Asai
智之 淺井
Hidemasa Ko
英昌 高
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Seimi Chemical Ltd
Original Assignee
AGC Seimi Chemical Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by AGC Seimi Chemical Ltd filed Critical AGC Seimi Chemical Ltd
Priority to JP2011037542A priority Critical patent/JP2012171942A/ja
Publication of JP2012171942A publication Critical patent/JP2012171942A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Abstract

【課題】液晶材料等の機能性材料として有用な非対称型フルオロブタジエン化合物のトランス−トランス体を効率的および高選択的に得ることができる容易かつ簡便な製造方法の提供。新規な非対称型フルオロブタジエン化合物、該化合物を含む組成物および該組成物を含む液晶電気光学素子の提供。
【解決手段】R−(A1−Y)−(A−Y)−A−CF=CF−CF=CF−A−(Y−A)−(Y−A)−R(1)で表される非対称型フルオロブタジエン化合物の製造方法。式中、R、R:置換または非置換の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、またはシアノ基;A1、A2、A、A、AおよびA:相互に独立して、置換または非置換のトランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基または1,4−フェニレン基;Y、Y、YおよびY:相互に独立して、単結合、−O−、−S−、または置換または非置換の炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基;l、m、nおよびo:相互に独立して0または1;ただし、「R−(A1−Y)−(A−Y)−A−」と「−A−(Y−A)−(Y−A)−R」は同一の構造ではない。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶材料として有用な非対称型フルオロブタジエン化合物の製造方法および非対称型フルオロブタジエン化合物に関する。
液晶電気光学素子は、携帯電話やPDAのような携帯機器、複写機やパソコンモニタのようなOA機器用表示装置、液晶テレビなどの家電製品用表示装置をはじめ、時計、電卓、測定器、自動車用計器、カメラなどに幅広く使用されており、広い動作温度範囲、低動作電圧、高速応答性、化学的安定性等の種々の性能が要求されている。このような液晶電気光学素子には液晶相を示す材料が使用されているが、現在のところ、これら全ての特性を単独の化合物で満たすわけではなく、一つまたは二つ以上の特性の優れた複数の液晶化合物や非液晶性化合物を混合して液晶組成物として要求性能を満たしている。
液晶電気光学素子の分野において、液晶組成物に使用される化合物に要求される種々の特性の中でも、他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れ、化学的にも安定であり、かつ液晶光学素子に用いた場合に広い温度範囲での高速応答性に優れ、低電圧駆動できるなどの性質を有する液晶化合物を提供することは重要な課題である。
特に最近は、電池駆動用途においては低電圧駆動と高速応答性、OA機器等においては高精細表示と高速応答性、自動車用計器においては広い動作温度範囲と低温での高速応答性というように、多くの用途で他の条件も向上または維持しながら、高速応答性、つまり液晶電気光学素子の応答速度を向上させることが要求されている。特に、液晶は低温で応答性が著しく低下する傾向にあるため、その改善は重要な課題である。
応答速度を向上させる方法の一つとして液晶組成物の低粘性化がある。液晶組成物の粘性が低下すれば、一般に応答速度は向上し、低温での応答性も改善される。しかし、充分に低粘性であり有用な液晶組成物は得られていなかった。
また、液晶材料に使用される化合物と他の液晶化合物または非液晶化合物との低温での相溶性が良好であれば、併用される他の液晶材料等の種類の制約が少なく、目的に応じた様々な液晶組成物へ適用できる。さらに、優れた相溶性は低温においても液晶状態を示すことを表し、特に寒冷地で液晶材料を使用する場合には低温安定性の高い、信頼性の高い液晶電気光学素子を提供することができる。
上記のような課題を解決するものとして、−CF=CF−CF=CF−連結基(以下、−C44−とも記す)を含むフルオロブタジエン化合物が知られている(特許文献1〜2参照)。このフルオロブタジエン化合物は、特に低粘性化合物であり、液晶表示素子においては、その低粘性の特徴を充分に活かせることが可能な化合物である。
上記のようなフルオロブタジエン化合物(R1−C44−R2)の製造方法としては、フルオロエチレン化合物のカップリングによりフルオロブタジエン基を生成させる方法が知られている。
たとえば、上記特許文献1では、目的のフルオロブタジエン化合物が、−C44−を介して非対称(R1≠R2)か、対称(R1=R2)かによって、カップリング原料のフルオロエチレン化合物が2種か単種かの相違はあるが、ヘテロカップリングおよびホモカップリングいずれの場合も、まず、対応のR基をもつフルオロエチレン化合物を合成する。具体的には、出発原料のクロロトリフルオロエチレン(F2C=CFCl)のClをトリメチルシラン置換してフルオロエチレンの一端を封鎖する工程(F2C=CF−SiMe3)、次いで、R−Liと反応させて、フルオロエチレンの他端に該R基を導入する工程(R−CF=CF−SiMe3)、次いで脱シリル化工程を経て、カップリング原料のフルオロエチレン化合物(R−CF=CFH)を得る(特許文献1の段落0052参照)。
特許文献2には、R1−基がm−位にハロゲン置換基を有することのあるフェニル基であり、R2−基がo−位にハロゲンを有することのあるp−置換フェニル基であるジアリールフルオロブタジエン化合物(R1−C44−R2)について、上記とは別ルートによるフルオロエチレン化合物のカップリングによる合成方法が開示される。ここでは、上記R1−はジフロオロクロロエチレン化合物(R1−CF=CFCl)から導入し、R2−はトリフルオロエチレン化合物(R2−CF=CF2)から導入する。すなわち、カップリング反応位のフルオロエチレン末端構造も互いに異なるフルオロエチレン化合物をブチルリチウム存在下でヘテロカップリングさせる。したがって、上記カップリング原料は別々の原料から合成され、一方のR1−CF=CFClは、R1−Br化合物とF2C=CFClとから、他方のR2−CF=CF2は、R2−IとF2C=CFZnIとから合成される。
いずれの方法も、フルオロエチレン化合物のカップリングによりフルオロブタジエン基を生じさせる方法は、カップリング原料のフルオロエチレン化合物の合成に手間がかかるため、本質的に工程数が多い。
別に、市販品として入手可能な反応原料を用い、フルオロブタジエン化合物を1工程で製造する方法もある。たとえば、対称性ジフェニルパーフルオロポリオレフィンとしてのジフェニルパーフルオロブタジエンの合成として、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンとフェニルリチウムとをエーテル中で反応させる方法が示されている(非特許文献1参照)。
特開平06−40966号公報 独国特許出願公開第10102630号明細書
J. Gen. Chem. USSR(English. Transl.)38(1968)648
上記非特許文献1には、−CF=CF−CF=CF−連結基に対し非対称構造の化合物はなにも示されない。また、特許文献1および2には、非対称構造が示されるが、液晶化合物について粘性、液晶温度範囲、相溶性等は考慮されていない。このような液晶化合物の特性を、連結基に対し非対称な構造とするで設計することがあり、非対称なフルオロブタジエン化合物の簡便な製造方法が望まれる。
また、フルオロブタジエン化合物のうちでも液晶化合物として有用性の高い立体異性体を選択的に得ることが望まれる。ここで、フルオロブタジエン化合物の連結基部分を−CF=CF−CF=CF−と表すと、以下に示すトランス−トランス体、トランス−シス体、シス−シス体の3種類の立体異性体が存在するが、このうち、液晶化合物として有用性の高いのはトランス−トランス体である。
本発明者らは、非対称フルオロブタジエン化合物の工程数の少ない製造方法として、上記非特許文献1に記載の合成方法について検討したところ、単にエーテルと記載されている反応溶媒として、汎用のジエチルエーテルを用いた場合には、トランス−トランス体以外の2種の異性体も大量に生成してしまい、液晶化合物として有用なトランス−トランス体の選択性が悪いことが分かった。なお、上記非特許文献1には、得られるフルオロブタジエン化合物の立体異性体について何も記載しない。また、上記ジエチルエーテルは一般的な特殊引火物であり、フルオロブタジエン化合物の製造を工業的に実施するには、このような問題のない反応溶媒の使用が望まれる。
本発明は、液晶材料として有用な非対称型フルオロブタジエン化合物のトランス−トランス体を高選択的かつ効率的に得ることができる容易かつ簡便な製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は粘性が低く、液晶温度範囲が広く、相溶性が良好な新規な非対称型フルオロブタジエン化合物を提供することも目的とする。
また、本発明は、該化合物を含有する液晶組成物および該液晶組成物を含有する液晶電気光学素子を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンと、第1の有機リチウム化合物とを反応させ、次いで別の有機リチウム化合物と反応させることにより、所望の非対称フルオロブタジエン化合物を生成しうること、さらに、この反応を、一方のアルキル基が炭素数3〜6の分岐状または環状アルキル基であるアルキルエーテル中で行うと、一般的なエーテル溶媒中での反応に比べ、第1の有機リチウム化合物がヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの片側のみと反応した中間体(一置換体)生成の反応速度に比べ、第1の有機リチウム化合物がヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの両側と反応した対称型フルオロブタジエン化合物の生成の反応速度を遅くすることができ、一置換体の選択率が向上することが判明した。すなわち、最初の反応工程において、反応条件の選択により第1の有機リチウム化合物がヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの片側のみと反応した中間体を生成させ得ること、したがって非対称化合物の生成が可能であるとともに、最終化合物のトランス−トランス体の選択性が高いという知見を得た。上記工程において、ハロゲン化合物のリチオ化反応により上記各有機リチウム化合物の生成反応を行うこともできるという知見を得た。ハロゲン化合物は、通常、有機メタル化合物よりも汎用な物質であり、この態様は特に商業的に有用である。
また、下式(1−1)で表される含フッ素液晶化合物は、粘性が低く、また光学異方性(Δn)が高く、かつ広い液晶温度範囲を有し、液晶材料として有用であることも見出し、本発明を完成するに至った。なお、「液晶透明点(Tc)が高い」ことと「液晶温度範囲が広い」ことは同義ではない。例えば、液晶相の上限温度(Tc)が高くても液晶相の下限温度も高い場合は液晶温度範囲は狭くなる。
したがって、以下のような本発明を提供する。
(A)下式(2)で表されるリチウム化合物と下式(4)で表されるヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンとを反応させ、
(B)上記で得られた反応物と下式(3)で表されるリチウム化合物とを反応させ、かつ上記工程(A)および(B)を下式(5)で表されるエーテルを含む溶媒中で行う、下式(1)で表される非対称型フルオロブタジエン化合物の製造方法。
−(A−Y)−(A−Y)−A−Li (2)
−(A−Y)−(A−Y)−A−Li (3)
CF2=CF−CF=CF2 (4)
−O−R (5)
−(A−Y)−(A−Y)−A−CF=CF−CF=CF−A−(Y−A)−(Y−A)−R (1)
式中の記号は、以下の意味を示す。
、R:相互に独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基、またはシアノ基。該脂肪族炭化水素基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基中の1つ以上の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。
〜A:相互に独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基または1,4−フェニレン基。A〜Aの基中の1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、A〜Aの基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
〜Y:相互に独立して、単結合、−O−、−S−、または炭素数1〜4の2価の非環式脂肪族炭化水素基。該脂肪族炭化水素基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基中の1つ以上の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。
l、m、n、o:相互に独立して0または1。
:炭素数1〜6の直鎖状アルキル基。
:炭素数3〜6の分岐状アルキル基または炭素数3〜6の環状アルキル基。
ただし、「R−(A1−Y)−(A−Y)−A−」と「−A−(Y−A)−(Y−A)−R」は同一の構造ではなく、また各化合物において化合物全体で上記−O−または−S−が連続することはない。
前記工程(A)において、下式(6)で表されるハロゲン化合物のリチオ化反応を行い前記式(2)で表されるリチウム化合物を生成させることができる。
−(A−Y)−(A−Y)−A−X (6)
上記式中、R、A、A、A、Y、Y、lおよびmは、前記と同じであり、Xは臭素原子またはヨウ素原子である。
上記において、下式(7)で表されるハロゲン化合物のリチオ化反応で得られる反応液を前記工程(B)に供することができる。
−(A−Y)−(A−Y)−A−X (7)
上記式中、R、A、A、A、Y、Y、oおよびnは、前記と同じであり、Xは臭素原子またはヨウ素原子である。
また上記では、第1の有機リチウム化合物として、末端にハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子またはシアノ基をもつもの、別(第2)の有機リチウム化合物として、末端に非環式脂肪族炭化水素基をもつものを選択すれば、最初の反応で生成する副生物すなわちヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンの両側に第1の有機リチウム化合物由来の有機基が結合した対称化合物の沸点が目的化合物より低く精製が容易である。
すなわち、前記化合物(2)中のRがR11:ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基、またはシアノ基であり、
前記化合物(3)中のRがR21:炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基である(ただし、R11およびR21における前記脂肪族炭化水素基中の1つ以上の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。)態様は、本発明の好ましい態様例である。
本発明において、前記式(5)で表されるエーテルとして、シクロペンチルメチルエーテルが好ましく挙げられる。
本発明は、下式(1−1)で表される非対称型フルオロブタジエン化合物を提供する。
11−(A1−Y)−(A−Y)−A−CF=CF−CF=CF−A−(Y−A)−(Y−A)−R21 (1−1)
式中の記号は、以下の意味を示す。
11:ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基、またはシアノ基。
21:炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基。
11およびR21における前記脂肪族炭化水素基中の1つ以上の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。
〜A、Y〜Y、l、m、nおよびoは、前記式(1)と同じ意味を示す。
本発明は、上記式(1−1)で表される化合物(1−1)を含有する液晶組成物を提供する。また、本発明は、該液晶組成物を、電極付き基板間に挟持した液晶電気光学素子を提供する。
本発明の製造方法は、簡便かつ容易な工程により液晶組成物を構成する液晶材料として有用な非対称型フルオロブタジエン化合物を高選択的かつ効率的に得ることができる。また、目的とするトランス−トランス体が高選択的に得られることにより、反応後の精製の回数を少なくできるため、高純度の目的物が容易に得られる。本発明は、実質的に反応溶媒の引火性の問題を回避できる上、特に、好ましい態様は、トランス−トランス体の高選択的な製造方法を、汎用の原料を用いて効率的に行うことができ、経済性に優れ、工業的に有用性の高い製造方法である。
また、本発明で提供する含フッ素液晶化合物は、高速応答に必要な低い粘性を有している。また、高い光学異方性(Δn)も有している。また、広い液晶温度範囲を有する。更に、他の液晶化合物または非液晶性化合物との相溶性に優れ、化学的にも安定である。
また、本発明の液晶組成物を用いることにより、応答性に優れ、動作温度範囲が広く、信頼性の高い液晶電気光学素子を得ることができる。
また、本発明の液晶電機光学素子は、応答性に優れ、動作温度範囲が広く、信頼性が高い。
以下では、式(1)で表されるフルオロブタジエン化合物を化合物(1)などとして簡略的表記することがあり、他の式で表される化合物も同様に記載することがある。
本発明で製造される目的のフルオロブタジエン化合物は、上記式(1)で示される通り、フルオロブタジエン連結基の片端にR−(A1−Y)−(A−Y)−A−([Z]と略記することもある)、他端にR−(A−Y)−(A−Y)−A−([Z]と略記することもある)を有する非対称化合物[Z]−CF=CF−CF=CF−[Z]である。
この導入基[Z]および[Z]は、反応原料であるリチウム化合物(2)および(3)から最終化合物(1)にそのまま導入される基である。したがって、本明細書において、化合物(2)、化合物(3)、および化合物(1)などを示す式中、同一記号で示される基は同一の意味である。
以下、まず、導入基[Z]および[Z]を構成するR、R、A1、A2、A、A、A、A、Y、Y、Y、Yの各基について具体的に説明する。
およびRは、相互に独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10の一価の非環式脂肪族炭化水素基、またはシアノ基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
上記脂肪族炭化水素基としては、具体的にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられ、これら基は、直鎖状と分岐状のどちらでもかまわないが直鎖状が好ましい。該脂肪族炭化水素基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該基中の1つ以上の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよく、このような置換および挿入の両方を含むものであってもよい。
上記のような脂肪族炭化水素基としてアルキル基を例にすれば、これらの基中の1つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換された基としては、フルオロアルキル基、クロロアルキル基が挙げられる。
これらの基中の炭素−炭素原子間に−O−または−S−が挿入された基としては、アルコキシアルキル基またはアルキルチオアルキル基が挙げられ、基の結合末端に−O−または−S−が挿入された基としては、アルコキシ基またはアルキルチオ基が挙げられる。
ハロゲン原子による置換と−O−の挿入が同一の脂肪族炭化水素基に行われた基としてはフルオロアルコキシ基が挙げられる。アルケニル基、アルキニル基についても同様の基が挙げられる。
上記のうちでも、Rとしては、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基、またはシアノ基が好ましく挙げられ、該脂肪族炭化水素基中の1つ以上の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に−O−または−S−が挿入(以下、「−O−または−S−が挿入」と略す)されていてもよい。
は、より好ましくは、ハロゲン原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子で置換された炭素数2〜10のアルケニル基、またはフッ素原子で置換された炭素数2〜10のアルキニル基であり、これら基は−O−または−S−が挿入されていてもよい。
好ましいRは、さらに好ましくは、フッ素原子、炭素数1〜10のフルオロアルキル基、炭素数1〜10のフルオロアルコキシ基または炭素数2〜10のフルオロアルケニル基である。上記フルオロアルキル基およびフルオロアルコキシ基の炭素数は、より好ましくは1〜5であり、このフルオロアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ペンチルに対応する基が好ましく、特にトリフルオロメチル基が好ましく、フルオロアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシに対応する基が好ましく、特にフルオロメトキシ基が好ましい。
特に好ましいRは、フッ素原子、上記炭素数1〜5のフルオロアルキル基または炭素数2〜5のフルオロアルケニル基である。
また、Rとしては、上記のうちでも炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基が好ましく、具体的には、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、または炭素数2〜10のアルキニル基が挙げられ、これら基は−O−または−S−が挿入されていてもよい。
は、より好ましくは直鎖状で炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基または炭素数2〜10のアルケニル基である。上記アルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、より好ましくは1〜5であり、このアルキル基のうちでも、エチル基、プロピル基、またはペンチル基が好ましく、またこのアルコキシ基のうちでもメトキシ基またはエトキシ基が好ましい。
特に好ましいRは、上記直鎖状で炭素数1〜5のアルキル基または炭素数2〜5のアルケニル基である。
、A、A、A、AおよびAは、相互に独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基または1,4−フェニレン基であり、これら環を構成する炭素結合のうち、1つまたは2つの=CH−基は窒素原子(=N−)で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。また、A、A、A、A、AおよびAの基中の1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記環構成炭素および水素原子の置換を両方含むものであってもよい。
、A、A、A、AおよびAとしては、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基または1つ以上のフッ素原子で置換された1,4−フェニレン基が好ましい。
、Y、YおよびYは、相互に独立して、単結合、−O−、−S−、または炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基中の1つ以上の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。
上記脂肪族炭化水素基は、鎖構成炭素および水素原子の置換を両方含むものであってもよい。
またはYが単結合である場合にはYまたはYの両側の環基は直接結合することを意味する。例えば、Yが単結合でありlおよびmが1の場合はAとA2とは直接結合する。また、Yが単結合でありlが1、mが0の場合はA1とAとは直接結合する。
炭素数1〜4の2価の非環式脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数2〜4のアルケニレン基、または炭素数2〜4のアルキニレン基が挙げられる。また、これらの基中の1つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換された基としては、フルオロアルキレン基、クロロアルキレン基、またはフルオロアルケニレン基が挙げられる。更に、これらの基中の炭素−炭素原子間または基の結合末端に−O−または−S−が挿入された基としては、オキシアルキレン基、アルキルオキシアルキレン基、チオアルキレン基、オキシフルオロアルキレン基、またはチオフルオロアルキレン基が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキレン基としては、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、または−CH2CH2CH2CH2−が挙げられ、特に−CH2CH2−が好ましい。
炭素数2〜4のアルケニレン基としては、−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−CH=CH−CH2−CH2−、−CH=CH−CH=CH−、または−CH2−CH=CH−CH2−が挙げられ、特に−CH=CH−が好ましい。これらの基は逆向きでも構わない。
炭素数2〜4のアルキニレン基としては、−C≡C−、−C≡C−CH2−、−C≡C−CH2−CH2−、−C≡C−C≡C−、または−CH2−C≡C−CH2−が挙げられ、特に−C≡C−が好ましい。また、−CH=CH−C≡C−のように、二重結合と三重結合が混在しても構わない。また、これらの基は逆向きでも構わない。
炭素数1〜4のフルオロアルキレン基、クロロアルキレン基およびフルオロアルケニレン基としては、−CF2−、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2CF2−、−CH2CF2−、−CF=CF−、−CCl2CH2−、または−CF=CF−C≡C−が挙げられ、特に−CF2CF2−または−CF=CF−が好ましい。
炭素数1〜4のオキシアルキレン基、チオアルキレン基、アルキルオキシアルキレン基、オキシフルオロアルキレン基およびチオフルオロアルキレン基としては、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CH2CH2OCH2−、−OCF2−、−SCF2−、−CF2O−、または−CF2S−が挙げられ、−OCF2−または−CF2O−が好ましい。
、Y、YおよびYは、単結合、または炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、単結合が特に好ましい。該アルキレン基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
l、m、nおよびoは相互に独立して0または1である。
化合物(1)を製造する際、精製の負荷が大きくならないことから、l+m≦n+oであることが好ましい。
上記のような基を有する化合物(1)は、下記化合物(2)〜(4)を反応させることにより製造することができる。なお、以下に示す式中、式(1)と同じ記号は同じ意味を示す。
−(A−Y)−(A−Y)−A−Li([Z]−Li) (2)
−(A−Y)−(A−Y)−A−Li([Z]−Li) (3)
CF2=CF−CF=CF2 (4)
反応は、2段階で行われ、具体的には、
(A)化合物(2)とヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(4)とを反応させ、
(B)得られた反応物と化合物(3)とを反応させる。
なお、工程(A)で得られた反応物は、そのまま工程(B)に用いてもよく、精製してから工程(B)に用いてもよい。
本発明において、上記各反応は下式(5)で表される特定のエーテルを含む溶媒中で行われる。
−O−R (5)
:炭素数1〜6の直鎖状アルキル基。
:炭素数3〜6の分岐状アルキル基または炭素数3〜6の環状アルキル基。
としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。Rとしては、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、t−ブチル基またはシクロペンチル基が好ましい。
エーテル(5)として、上記に例示されるものの混合物を用いることもできる。また、エーテル(5)は、特殊引火物ではない。
エーテル(5)は、上記のとおり一方だけに嵩高い基の構造を有するが、これらのうちでも、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルが好ましく、特にシクロペンチルメチルエーテルが好ましい。
反応溶媒は、上記のような特定のエーテル(5)を含めばよく、本発明の目的を損なわない限り、通常使用される他の溶媒を含んでいてもよいが、化合物(1)の立体異性体の高い選択性を得るためには、上記エーテル(5)以外のエーテルは極力含まないことが望ましい。
また、この反応溶媒は、通常、エーテル(5)が主成分であり、具体的に、エーテル(5)が反応溶媒全体の50%(体積)以上を占めることが好ましい。
反応溶媒中に含まれていてもよい他の溶媒としては、好ましい態様において後述する炭化水素系溶媒が挙げられる。
上記工程(A)で使用されるヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(以下、化合物(4))は市販品として入手可能である。
化合物(4)は、あらかじめ上記エーテル(5)で希釈して反応に供してもよい。希釈溶媒量は、化合物(4)1gに対し、0.1倍から100倍の体積(mL)を使用するのが好ましく、0.5倍から50倍の体積(mL)を使用するのがより好ましい。
上記化合物(2)および(3)は、その構造によっては市販されているものもある。本発明では、上記工程(A)に供する化合物(2)は、該化合物(2)に対応する下記ハロゲン化合物(6)のリチオ化反応により、生成させることができる。
[Z]−X (6)
また工程(B)に供する化合物(3)を、該化合物(3)に対応するハロゲン化合物(7)のリチオ化反応を行い生成させることができる。
[Z]−X (7)
上記ハロゲン化合物(6)および(7)において、XおよびXは、リチオ化反応が進行するのであれば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれであっても構わない。
本発明では、化合物(2)および(3)の生成工程も含めて最終的に所望する化合物(1)を製造することが好ましく、特に、化合物(6)から化合物(2)の生成反応を行い同一系でそのままヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(4)との反応を行うことが好ましい。この工程(A)は、以下のスキームで示される。
また、ハロゲン化合物(7)のリチオ化反応で得られる反応液をそのまま工程(B)に供することができる。
この工程(B)は、以下のスキームで示される。
以下、主として、この好ましい態様例に基づいて説明する。なお、化合物(2)または(3)を出発原料とする場合には、以下の条件に準じて行うことができる。
上記ハロゲン化合物(6)および(7)は、市販品や公知の方法で得ることができる。一例として、ハロゲン化合物(6)を得る方法を説明する。以下、[R−(A1−Y)−(A−Y)]部分を[Z1']と、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を−Cy−と、1,4−フェニレン基を−Ph−と記す。
例えば式(6)中のAが−Cy−である場合、対応するヒドロキシ化合物[Z1']−Cy−OHをハロゲン化リンなどの試薬を用いて、所望するハロゲン化合物[Z1']−Cy−Xを得ることができる。
また、例えばAが−Ph−である場合、三臭化鉄などの触媒を用いた求電子置換反応により、Xが臭素原子であるハロゲン化合物[Z1']−Ph−Brを得ることができる。さらに、Aが−Ph−、Xが臭素原子であるハロゲン化合物[Z1']−Ph−Brをハロゲン交換することにより、Xがヨウ素原子であるハロゲン化合物[Z1']−Ph−Iを得ることができる。
ハロゲン化合物(7)においても、同様にして得ることができる。
ハロゲン化合物(6)および(7)のリチオ化をハロゲン−メタル交換反応で行う場合には、リチウム化剤として、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等を用いることができる。好ましくはn−ブチルリチウムである。
ブチルリチウムを用いてリチオ化する場合、その使用量はハロゲン化合物(6)および(7)に対して1倍モルから2倍モル、好ましくは1.0倍モルから1.1倍モルである。
リチウム化剤は、通常、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン等の炭化水素系溶媒、なかでも好ましくはヘキサンの溶液として反応系に供される。
ハロゲン化合物(6)および(7)のリチオ化を金属リチウムを用いて実施する場合には、電子移動剤を共存させてもよい。この電子移動剤としては、芳香環が2個以上の化合物または縮合環となっている化合物が使用される。具体的にはナフタレン、ビフェニル、2,6−ジ−tert−ブチルナフタレン、2,7−ジ−tert−ブチルナフタレン、4,4’−ジ−tert−ブチルビフェニルまたはアントラセン等が挙げられるが、好ましくはナフタレン、ビフェニルまたは4,4’−ジ−tert−ブチルビフェニルである。
電子移動剤の使用量は、ハロゲン化合物(6)および(7)に対して0.01倍モルから4倍モル、好ましくは0.1倍モルから2.5倍モルである。また、金属リチウムの使用量はハロゲン化合物(6)および(7)に対して2倍モルから5倍モル、好ましくは2倍モルから3倍モルである。
上記のようなハロゲン化合物(6)および(7)のリチオ化における反応溶媒は、上記エーテル(5)が好ましく、特に、該リチオ化反応から続けて工程(A)、(B)を行う場合にはエーテル(5)が用いられる。この場合、ハロゲン化合物(6)および(7)をエーテル(5)に溶解して反応に供することができる。
溶媒量は、ハロゲン化合物(6)または(7)1gに対し、0.1倍から100倍の体積(mL)を使用するのが好ましく、0.5倍から50倍の体積(mL)を使用するのがより好ましい。
ハロゲン化合物(6)および(7)のリチオ化反応の反応温度は、通常、−100℃から80℃が好ましく、−80℃から20℃が特に好ましい。
ハロゲン化合物(6)および(7)のリチオ化反応の反応時間は、それぞれ0.5時間から24時間が好ましく、特に0.5時間から2時間が好ましい。
上記のようなハロゲン化合物(6)のリチオ化反応を工程(A)と続けて行えば、リチウム化合物(2)の生成と、リチウム化合物(2)と化合物(4)との反応は一反応系で行われることになる。
この場合、リチウム化合物(2)の反応液に化合物(4)を加えてもよく、化合物(4)に、上記リチウム化合物(3)の反応液を加えてもよい。
この工程(A)では、通常、化合物(4)に対し1モルに対し、ハロゲン化合物(6)を、0.5〜1倍モル、好ましくは0.6〜0.8倍モルの量で用いることができる。
このような条件であれば、上記化合物(8)を生成することができると考えられる。
工程(A)における化合物(2)と化合物(4)との反応温度は、−100℃から100℃が好ましく、特に−80℃〜−60℃が好ましい。
反応時間は0.5時間から48時間が好ましく、特に0.5時間から24時間が好ましい。
工程(B)に用いる化合物(3)をハロゲン化合物(7)のリチオ化反応により生成する場合、精製または単離することなく工程(A)で得られた化合物(8)を含む反応液に供することができる。なお、ハロゲン化合物(7)のリチオ化反応液に、工程(A)で得られた反応液を供してもよい。
化合物(3)として、ハロゲン化合物(7)のリチオ化工程で得られた反応液をそのまま用いる場合には、通常、工程(A)で用いた化合物(4)1モルに対し、ハロゲン化合物(7)を、0.5〜1倍モル、好ましくは0.6〜0.8倍モルの量で用いることができる。
工程(B)における化合物(3)と化合物(8)との反応温度は、−100℃から100℃が好ましく、特に−80℃〜−60℃が好ましい。
反応時間は0.5時間から48時間が好ましく、特に0.5時間から24時間が好ましい。
上記のように、ハロゲン化合物のリチオ化反応液を化合物(2)または(3)として、そのままに反応系に供することにより、単離の手間がかからないとともに、リチウム化合物の失活による収率の低下を防ぐこともでき好ましい。
上記において、化合物(2)は、上記[Z]基を含み、かつ化合物(4)と反応して化合物(8)を生成することができれば、どのようなリチウム化合物でもよいが、化合物(4)と最初に反応する化合物(2)は、最終的化合物(1)の精製の負荷が大きくならないことから、次工程(B)で反応させる化合物(3)との対比で、l+m≦n+oで、また特定のRをもつ[Z]基であることが好ましいことは上記したとおりである。また、リチウム化合物(3)は、上記のような[Z]基を含み、かつ化合物(8)と反応して、化合物(1)を生成することができればどのようなリチウム化合物でもよいが、化合物(2)との対比で上記した好ましい[Z]基を有することが望ましい。
より具体的には、[Z]基が「R11−(A1−Y)−(A−Y)−A−」であることが好ましく、「R12−(A11−Y11)−(A21−Y21)−A31−」であることがより好ましく、「R13−(A11−Y11)−(A21−Y21)−A31−」であることが特に好ましい。同様に、[Z]基が「−A−(Y−A)−(Y−A)−R21」であることが好ましく、「−A41−(Y31−A51)−(Y41−A61)−R22」であることがより好ましく、「−A41−(Y31−A51)−(Y41−A61)−R23」であることが特に好ましい。(これらの式中の記号は前記と同じ意味を示す。)
[Z]基および[Z]基がこれらの基であると、副生成物が生成しても単離しやすいため、精製の負荷が軽減できる。
反応後、通常の後処理作業、精製作業を実施することにより非対称型フルオロブタジエン化合物(1)を得ることができる。
上記のように得られる非対称型フルオロブタジエン化合物(1)は、1H−NMR、19F−NMRおよびGC−MSなどにより確認することができる。
本発明では、上記のとおり簡単で操作の容易な合成工程により液晶化合物として有用な所望の非対称型フルオロブタジエン化合物を効率よく製造することができる。
上記のように製造される化合物(1)のうちでも、下記化合物(1−1)が好ましく挙げられる。
11−(A1−Y)−(A−Y)−A−CF=CF−CF=CF−A−(Y−A)−(Y−A)−R21 (1−1)
式(1−1)中の記号は以下の意味を示す。
11:ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基、またはシアノ基。
21:炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基。
11およびR21における脂肪族炭化水素基は−O−または−S−が挿入されていてもよい。
〜A、Y〜Y、l、m、nおよびoは、前記式(1)と同じ意味を示し、各基の具体的説明も前記のとおりである。
より好ましくは、下記化合物(1−2)が挙げられる。
12−(A11−Y11)−(A21−Y21)−A31−CF=CF−CF=CF−A41−(Y31−A51)−(Y41−A61)−R22 (1−2)
式(1−2)中の記号は以下の意味を示す。
12:ハロゲン原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子で置換された炭素数2〜10のアルケニル基、またはフッ素原子で置換された炭素数2〜10のアルキニル基。
22:炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、または炭素数2〜10のアルキニル基。該アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基は−O−または−S−が挿入されていてもよい。
11〜A61:相互に独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基または2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基。A11〜A61において、フッ素原子の置換位置は、フェニレン基の炭素原子がR22に近い方を1位とする。
11〜Y41:相互に独立して、単結合、−O−、−S−、または炭素数1〜4のアルキレン基。ただし該アルキレン基中の1つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルキレン基は、−O−または−S−が挿入されていてもよい。
l,m,n,oは前記と同じ意味を示し、各基の具体的説明も前記のとおりである。
特に好ましくは、下記化合物(1−3)が挙げられる。
13−(A11−Y11)−(A21−Y21)−A31−CF=CF−CF=CF−A41−(Y31−A51)−(Y41−A61)−R23 (1−3)
式(1−3)中の記号は以下の意味を示す。
13:フッ素原子、炭素数1〜10のフルオロアルキル基、炭素数2〜10のフルオロアルケニル基または炭素数1〜10のフルオロアルコキシ基。
23:直鎖状で炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数1〜10のアルコキシ基。
11〜A61、Y11〜Y41、l、m、n、oは前記と同じ意味を示し、各基の具体的説明も前記のとおりである。
本発明の好ましい化合物(1−1)はその少なくとも1種を、他の液晶化合物および/または非液晶化合物と混合することにより、優れた性能を有する液晶組成物を得ることができる。例えば、従来の液晶組成物に化合物(1−1)を添加した場合、粘性の低下や広い液晶温度範囲を示すなどの効果が期待できる。
本発明の化合物(1−1)は、通常それ単独で液晶電気光学素子に使用されることはなく、他の液晶化合物との混合物である液晶組成物とされ、その液晶組成物が液晶電気光学素子等に使用される。液晶組成物の一成分として使用される本発明の化合物(1−1)が低い回転粘性を有しているため、この化合物(1−1)の配合により液晶組成物の粘性を低下させ、ひいてはその組成物を使用した液晶電気光学素子の応答性を向上させることができる。
また、本発明の化合物(1−1)は、他の液晶化合物または非液晶性化合物との相溶性に優れ、化学的にも安定であることより、併用される他の液晶化合物等の種類の制約が少なく、目的に応じた様々な液晶組成物へ適用できる。
本発明の化合物(1−1)の用途は特に限定されないが、優れた特性を有する点から液晶電気光学素子用の、特に液晶表示素子用の、液晶組成物の一成分として使用される用途に特に有用である。
次に、本発明の液晶組成物について説明する。
本発明の液晶組成物は、本発明の化合物(1−1)の1質量%以上と、他の液晶化合物の60質量%以上とを含有する。他の液晶化合物は2種類以上含有していてもよい。本発明の液晶組成物における本発明の化合物(1−1)の含有量が上記範囲未満であると本発 明の化合物(1−1)の特徴を充分に発揮しがたい。
また、本発明の液晶組成物は、これら液晶化合物以外に、非液晶性の化合物を含有していてもよい。
前記非液晶性化合物としては、例えば、カイラル剤、色素、安定剤、その他の液晶組成物に配合される種々の機能性化合物等が挙げられる。カイラル剤や色素等のうちには液晶を有する化合物もあり、本発明ではこのような液晶性を有する機能性化合物は液晶に分類する。
液晶電気光学素子用(特に液晶表示素子用)の液晶組成物は、通常、種々の液晶化合物の混合物からなる。この用途の液晶組成物は5種類以上(特に10種類以上)の液晶化合物を含むことが少なくない。液晶組成物の全液晶化合物に対するある1種の液晶化合物の含有割合が50質量%を超えることは少なく、通常30質量%以下である。したがって、液晶組成物中の各液晶化合物は1〜25質量%の範囲内にあることが多い。液晶組成物に含まれるある種の液晶化合物は1質量%未満(通常は0.1質量%以上)であることもあるが、このような少量であっても液晶組成物に含有されることには技術的意義が存在する。また、この用途の液晶組成物はカイラル剤を含むことが少なくないが、通常その含有量は全液晶化合物に対して10質量%以下、特に5質量%以下である。
なお、本発明における液晶化合物は、単独の化合物として常温で液晶性を示す化合物に限られるものではなく、液晶組成物がある用途に使用された場合にその使用温度下の液晶組成物中において液晶性を示す化合物であればよい。例えば、単独の化合物としては常温で固体であっても、液晶組成物中に溶解されると上記使用温度下で液晶性を示す化合物であってもよい。
上記のような状況を考慮すると、本発明の液晶組成物は、本発明の化合物(1−1)の1〜30質量%と他の液晶化合物の60液晶%以上とを含有することが好ましく、本発明の化合物(1−1)の1〜25質量%と他の液晶化合物の70質量%以上とを含有することがより好ましい。また、他の液晶化合物の含有量は99質量%以下が好ましい。
また、本発明の化合物(1−1)と他の液晶化合物の合計量は、液晶組成物に対して90質量%以上、特に95質量%以上であることが好ましい。
なお、本発明の化合物(1−1)が本発明の化合物(1−1)の2種以上を含有する場合は、本発明の化合物(1−1)の割合はそれら2種以上の本発明化合物(1−1)の合計量を表す。
本発明の液晶組成物における他の液晶化合物の種類は限定されるものではない。目的に応じて任意の種類の液晶化合物を選択して本発明の化合物(1−1)とともに液晶組成物を構成することができる。また必要によりカイラル剤等の機能性化合物を配合できる。また既存の液晶組成物(例えば、市販されている液晶組成物)に本発明の化合物(1−1)を配合して本発明の液晶組成物とすることもできる。本発明の液晶組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、上述した各成分を撹拌機等により混合して得ることができる。
本発明の液晶組成物を構成する他の液晶化合物は、液晶化合物として公知ないし周知である下記液晶化合物から選択することが好ましい。ただし、本発明の液晶組成物における他の液晶化合物はこれらに限られるものではない。
−Cy−Cy−R
−Cy−Ph−R
−Ph−Ph−R
−Ph−C≡C−Ph−R
−Cy−COO−Ph−R
−Ph−COO−Ph−R
−Cy−CH=CH−Ph−R
−Cy−CHCH−Ph−R
−Ph−CHCH−Ph−R
−Cy−Cy−Ph−R
−Cy−Ph−Ph−R
−Cy−Ph−C≡C−Ph−R
−Ph−Ph−Ph−R
−Cy−Ph−Ph−Cy−R
−Ph−Ph−C≡C−Ph−R
−Cy−COO−Ph−Ph−R
−Cy−Ph−COO−Ph−R
−Cy−COO−Ph−COO−Ph−R
−Ph−COO−Ph−COO−Ph−R
−Ph−COO−Ph−OCO−Ph−R
前記各式中、RおよびRは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。また、RおよびRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。−Cy−、−Ph−は、上記したとおりである。
これらの化合物は例示であり、前記化合物中の環構造または末端基に存在する水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基、メチル基等に置換されたものでもよい。また、環基Cyと環基Phが、ピリミジン環やジオキサン環等に置換されたものでもよい。また、環基と環基との間の連結基が、−CHO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−COOCH−、−OCOCH−または−COCH−等に変更されているものでもよい。これらは所望の性能に合わせて選択することができる。
次に、本発明の液晶電気光学素子について説明する。
本発明は、液晶相の構成材として好適に用いられる液晶電気光学素子を提供する。
本発明の液晶電気光学素子は、本発明の液晶組成物を電極付き基板間に挟持した液晶電気光学素子である。
本発明の液晶電気光学素子は、本発明の液晶組成物を用いること以外は特に限定されず、通常の液晶電気光学素子の構成を採用することができる。
本発明の液晶電気光学素子としては、例えば、本発明の液晶組成物を液晶セル内に注入する等して形成される液晶相を電極を備える2枚の基板間に挟持して構成される電気光学素子部を有する液晶電気光学素子が挙げられる。上記液晶電気光学素子は、TN方式、STN方式、ECBモード、VAモード、ゲスト・ホスト(GH)方式、動的散乱方式、フェーズチェンジ方式、DAP方式、二周波駆動方式、強誘電性液晶表示方式等種々のモードで駆動されるものが挙げられる。駆動モードとしては、パッシブ駆動、アクティブ駆動で使用できる。
以下に、液晶電気光学素子の構成および製法の具体例を示す。プラスチック、ガラス等の基板上に、必要に応じてSiO、Al等のアンダーコート層やカラーフィルタ層を形成し、In−SnO(ITO)、SnO等の電極を設け、パターニングした後、必要に応じてポリイミド、ポリアミド、SiO、Al等のオーバーコート層を形成し、配向処理し、これにシール材を印刷し、電極面が相対向するように配して周辺をシールし、シール材を硬化して空セルを形成する。
この空セルに、本発明の化合物(1−1)を含む組成物を注入し、注入口を封止剤で封止して液晶セルを構成する。この液晶セルに必要に応じて偏光板、カラー偏光板、光源、カラーフィルタ、半透過反射板、反射板、導光板、紫外線カットフィルタ等を積層する、文字、図形等を印刷する、ノングレア加工するなどして液晶電気光学素子とする。
なお、上記の説明は、液晶素子の基本的な構成及び製法を説明したものであり、他の構成も採用出来る。例えば、2層電極を用いた基板、2層の液晶層を形成した2層液晶セル、反射電極を用いた基板、TFT、MIM等の能動素子を形成したアクティブマトリクス基板を用いたアクティブマトリクス素子等、種々の構成のものが使用できる。特に本発明の組成物は、TFT、MIM等のアクティブマトリクス素子にも好適である。
さらに、前記したTN型以外のモード、即ち、高ツイスト角のスーパーツイストネマチック(STN)型液晶素子や、多色性色素を用いたゲスト−ホスト(GH)型液晶素子、横方向の電界で液晶分子を基板に対して平行に駆動させるインプレーンスイッチング(IPS)型液晶素子、液晶分子を基板に対して垂直配向させるVA型液晶素子、強誘電性液晶素子等、種々の方式で使用することが出来る。また、電気的に書き込みをする方式ではなく、熱により書き込みをする方式に用いることもできる。
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。しかしながら、以下に示す実施例は本発明の例示を目的とするものであり、本発明はこれに限定されない。なお特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
化合物の物性値を測定する試料としては、化合物そのものを試料とする場合、化合物を母液晶と混合して試料とする場合の2種類がある。
化合物を母液晶と混合した試料を用いる後者の場合には、以下の方法で測定を行う。まず、得られた化合物20質量%と母液晶80質量%とを混合して試料を作製する。そして、得られた試料の測定値から、下記式に示す式に示す外挿法にしたがって、外挿値を計算する。この外挿値をこの化合物の物性値とする。
〈外挿値〉=(100×〈試料の測定値〉−〈母液晶の質量%〉×〈母液晶の測定値〉)/〈化合物の質量%〉
化合物と母液晶との割合がこの割合であっても、スメクチック相、または結晶が25℃で析出する場合には、化合物と母液晶との割合を10質量%:90質量%、5質量%:95質量%の順に変更をしていき、スメクチック相、または結晶が25℃で析出しなくなった組成で試料の物性値を測定し上記式にしたがって外挿値を求めて、これを化合物の物性値とする。
上記測定に用いる母液晶としてはメルク社製液晶組成物ZLI−4792を使用した。ZLI−4792は標準液晶として広く知られている液晶組成物であり、前記化学式で表した公知ないし周知の液晶化合物等を数種類含む液晶組成物と推定される。文献によれば、ZLI−4792の物性は以下の通りである。
C→N<−40℃
N→I=92℃
粘度ν(20℃)=15mm/s
Δε(20℃)=+5.2
33/K11=1.39
上記測定に用いる液晶組成物は、例えば、各成分を構成する化合物が液体の場合には、それぞれの化合物を混合し振とうさせることにより、また固体を含む場合には、それぞれの化合物を混合し、加熱溶解によってお互い液体にしてから振とうさせることにより調製することができる。
物性値の測定は後述する方法で行った。測定値のうち、化合物単体そのものを試料として得られた値と、液晶組成物そのものを試料として得られた値は、そのままの値を実験データとして記載した。化合物を母液晶に混合し試料として得られた場合には、外挿法で得られた値を外挿値とした。
相構造および転移温度(℃)
以下(1)、および(2)の方法で測定を行った。
(1)偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−82HT型ホットステージ)に化合物を置き、1℃/分の速度で加熱しながら相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、相の種類を特定した。
(2)エスアイアイ・ナノテクノロジー社製示差走査熱量計DSC−6220システムを用いて、1℃/分の速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピーク、または発熱ピークの開始点を外挿により求め(on set)、転移温度を決定した。
以下、結晶はCと表した。また、スメクチック相はSm、ネマチック相はNと表した。液体(アイソトロピック)はIと表した。転移温度の表記として、例えば、「C 50.0 N 100.0 I」とは、結晶からネマチック相への転移温度(CN)が50.0℃であり、ネマチック相から液体への転移温度(NI)が100.0℃であることを示す。他の表記も同様である。
ネマチック相の上限温度(TNI;℃)
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−82HT型ホットステージ)に、試料(化合物と母液晶との混合物)を置き、1℃/分の速度で加熱しながら偏光顕微鏡を観察した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度をネマチック相の上限温度とした。
粘度(ν;20℃で測定;mm/s)
測定は、20℃の温度下で、オストワルド粘度計を用いて行った。オストワルド粘度計に試料(化合物と母液晶との混合物)を入れて、規定の2箇所を通過する時間を測定した。粘度計校正用標準液(日本グリース社製)も同様に測定した。試料の通過時間をt、試料の粘度をη、粘度計校正用標準液の通過時間をt、粘度計校正用標準液の粘度をηとして、η=η×(t/t)の式から試料の粘度ηを求めた。
光学異方性(屈折率異方性;25℃で測定;Δn)
測定は、25℃の温度下で、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行った。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料(化合物と母液晶との混合物)を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性(Δn)の値は、Δn=n‖−n⊥の式から計算した。
(実施例1)
以下のスキームを連続的に行って、F−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C(Ph:1,4−フェニレン基)(化合物1−a)を合成した。
窒素置換した200mLの四口フラスコに、公知の方法で合成したF−Ph−Brを7.2g含むシクロペンチルメチルエーテル(CPME)溶液35mLを加え、−20℃に冷却した。次いで1.6Mのn−ブチルリチウム溶液(溶媒:ヘキサン)26.5mLを加え、同温で1時間撹拌した溶液を、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン(昭和電工社製)を8.4g含むCPME溶液70mL中に加え、−70℃で1時間攪拌した後、反応液を徐々に室温まで昇温し、F−Ph−CF=CF−CF=CFを含む反応液Aを得た。別途、窒素置換した300mLの四口フラスコに、公知の方法で合成したC−Ph−Brを8.3g含むCPME溶液65mLを加え、−20℃に冷却した。次いで1.6Mのn−ブチルリチウム溶液(溶媒:ヘキサン)26.5mLを加え、0℃で1時間撹拌した後、さらに前記反応液Aを加え、−70℃で1時間攪拌した。反応液を徐々に室温まで昇温し、7.2%塩酸水溶液60mLを加え、ヘキサン20mLで抽出した。ヘキサン溶液を水50mL、重曹水50mL、水50mLの順で洗浄した後、溶媒を留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−により精製し、目的化合物を収率30.5%にて得た。
得られた化合物の1H−NMR、19F−NMRとGC−MSのデ−タを以下に示す。
H−NMR(300MHz,CDCl)0.84−0.89(t,3H),1.51−1.64(m,2H),2.52−2.57(t,2H),7.02−7.19(d,4H),7.57−7.69(d,4H)
19F−NMR(283MHz,CFCl)−109.57(s,1F),−142.37(m,2F),−160.07(m,2F)
GC−MS m/e 338(M
なお、目的物(トランス−トランス体)の選択率は次の式で表される。
目的物(トランス−トランス体)選択率=(トランス−トランス体GC面積)/{(トランス−トランス体GC面積)+(トランス−シス体GC面積)+(シス−シス体GC面積)}
実施例1における目的物選択率は、79%であった。
(実施例2)
F−Ph−Brを公知の方法で合成したCF−Ph−Br 5.0gに変えた以外は、実施例1と同様に反応を行い、CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C(化合物1−b)を収率26.4%にて得た。このときの目的物(トランス−トランス体)選択率は81%であった。
H−NMR(300MHz,CDCl)0.84−0.89(t,3H),1.51−1.64(m,2H),2.52−2.57(t,2H),7.17−7.79(m,8H)
19F−NMR(283MHz,CFCl))−63.51(s,3F),−142.63(m,2F),−158.88(m,2F)
GC−MS m/e 388(M
(実施例3)
F−Ph−Brを公知の方法で合成したCFO−Ph−Br 5.0gに変えた以外は、実施例1と同様に反応を行い、CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C(化合物1−c)を収率23.1%にて得た。このときの目的物(トランス−トランス体)選択率は75%であった。
H−NMR(300MHz,CDCl)0.84−0.90(t,3H),1.53−1.64(m,2H),2.53−2.57(t,2H),7.18−7.73(d,8H),7.58−7.61(d,2H)
19F−NMR(283MHz,CFCl)−58.26(s,3F),−142.51(m,2F),−159.59(m,2F)
GC−MS m/e 404(M
(実施例4)
F−Ph−Brを公知の方法で合成したC−Cy−Ph−Br 8.0g(Cy:トランス−1,4−シクロヘキシレン基)に変えた以外は、実施例1と同様に反応を行い、F−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C(化合物1−d)を収率18.1%にて得た。このときの目的物(トランス−トランス体)選択率は76%であった。
H−NMR(300MHz,CDCl)0.88−0.93(t,3H),0.98−1.52(m,9H),1.85−1.91(m,4H),2.45−2.55(m,1H),7.09−7.76(d,8H)
19F−NMR(283MHz,CFCl)−109.57(s,1F),−142.37(m,2F),−160.11(m,2F)
GC−MS m/e 420(M
(比較例1)
反応溶媒のシクロペンチルメチルエーテルをテトラヒドロフランに変えた以外は、実施例1と同様に反応を行い、C−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Fを収率16.7%で得た。このときの目的物(トランス−トランス体)選択率は、56%であった。
実施例1〜4の結果から明らかなように、化合物(1)および本発明の化合物(1−1)をシクロペンチルメチルエーテル溶媒で合成すると、目的物(トランス−トランス体)の選択率が高くなることが分かった。
実施例に基づいて、下記の化合物を製造することができる。
以下の各式中の記号は以下の意味を示す。
−Cy−:トランス−1,4−シクロヘキシレン基
−Ph−:1,4−フェニレン基
−Ph(2F)−:2−フルオロ−1,4−フェニレン基
−Ph(3F)−:3−フルオロ−1,4−フェニレン基
−Ph(2F,3F)−:2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
−Ph(3F,5F)−:3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
−Ph(2F,6F)−:2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
上記におけるフッ素原子の置換位置は、フェニレン基の炭素原子が右辺側を1位とする。
CH−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C11
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C11
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C15
11−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C15
F−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C
F−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C
F−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C15
CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C
CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C
CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C15
CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C
CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C11
CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C15
F−Ph(2F)−CF=CF−CF=CF−Ph−C
F−Ph(2F)−CF=CF−CF=CF−Ph−C11
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph−C
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph−C11
F−Ph(2F,6F)−CF=CF−CF=CF−Ph−C
F−Ph(2F,6F)−CF=CF−CF=CF−Ph−C11
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−C
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F,5F)−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F,5F)−C11
CH−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C
−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C
−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C
−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C15
11−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C15
F−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C
F−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
F−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C15
CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C
CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C15
CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C
CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Cy−C15
F−Ph(2F)−CF=CF−CF=CF−Cy−C
F−Ph(2F)−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Cy−C
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Cy−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
F−Ph(2F,6F)−CF=CF−CF=CF−Cy−C
F−Ph(2F,6F)−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
CH−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C
−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C
−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C15
11−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C15
CH=CH−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C
CH=CH−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
CH=CH−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C15
CH=CHCHCH−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C
CH=CHCHCH−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
CH=CHCHCH−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C15
CH−CH=CHCHCH−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C
CH−CH=CHCHCH−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C11
CH−CH=CHCHCH−Cy−CF=CF−CF=CF−Cy−C15
CH−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C11
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C11
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C15
11−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C15
F−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C
F−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C11
F−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C15
CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C
CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C11
CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C15
CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C
CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C11
CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C15
F−Ph(2F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C
F−Ph(2F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C11
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C11
F−Ph(2F,6F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C
F−Ph(2F,6F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Cy−C11
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Cy−C
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Cy−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Cy−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Cy−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F,5F)−Cy−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F,5F)−Cy−C11
CH−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C11
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C11
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C15
11−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C15
F−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C
F−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C11
F−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C15
CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C
CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C11
CF−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C15
CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C
CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C11
CFO−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C15
F−Ph(2F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C
F−Ph(2F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C11
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C
F−Ph(2F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C11
F−Ph(2F,6F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C
F−Ph(2F,6F)−CF=CF−CF=CF−Ph−Ph−C11
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Ph−C
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Ph−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Ph−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Ph−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F,5F)−Ph−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F,5F)−Ph−C11
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Ph(3F)−C
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Ph(3F)−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Ph(3F)−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Ph(3F)−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F,5F)−Ph(3F)−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F,5F)−Ph(3F)−C11
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Ph(3F,5F)−C
F−Ph(3F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Ph(3F,5F)−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Ph(3F,5F)−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F)−Ph(3F,5F)−C11
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F,5F)−Ph(3F,5F)−C
F−Ph(3F,5F)−CF=CF−CF=CF−Ph(3F,5F)−Ph(3F,5F)−C11
(実施例5〜6および比較例2)液晶温度範囲の測定
次の方法で、前記化合物(1−a)、(1−c)および(1−d)、下記化合物(R−1)について、液晶温度範囲の測定および液晶相の特定を行った。結果を表1に示す。
−Ph−CF=CF−Ph−C (R−1)
前記化合物(R−1)は特開平03−41037に記載のルートで合成した。
なお、「液晶温度範囲」は、表1中のN相温度範囲と液晶相温度範囲を総括した表現である。
前記表1に示す結果から明らかなように、本発明の化合物(1−a)、(1−c)および(1−d)は比較例2の化合物(R−1)と比べて広い液晶相温度範囲、ネマチック相温度範囲を有することがわかった。
(実施例8〜9および比較例3)相溶性の観察
メルク社製液晶組成物「ZLI−4792」に本発明の化合物(1−a)および(1−d)を下記表に示す量添加し、溶解した後、0℃で保存した。72時間後、組成物の状態を目視で観察した。
同様の操作を下記化合物(R−2)についても実施した。
−Ph−CF=CF−CF=CF−Ph−C (R−2)
前記化合物(R−2)は非特許文献1に記載のルートで合成した。
固体の析出が無かったものを「○」、固体の析出が見られたものを「×」とした。結果を下記表2に示す。
前記表2に示す結果から明らかなように、本発明の化合物(1−a)および(1−d)は化合物(R−2)と比べて格段に優れた相溶性を示すことがわかった。
(実施例10)
メルク社製液晶組成物「ZLI−4792」90質量%、および前記本発明の化合物(1−a)10質量%の割合で混合し、液晶組成物を調整した。この液晶組成物を液晶組成物Aとする。
(実施例11)
メルク社製液晶組成物「ZLI−4792」90質量%、および前記本発明の化合物(1−b)10質量%の割合で混合し、液晶組成物を調整した。この液晶組成物を液晶組成物Bとする。
(実施例12)
メルク社製液晶組成物「ZLI−4792」90質量%、および前記本発明の化合物(1−c)10質量%の割合で混合し、液晶組成物を調整した。この液晶組成物を液晶組成物Cとする。
(実施例13)
メルク社製液晶組成物「ZLI−4792」90質量%、および前記本発明の化合物(1−d)10質量%の割合で混合し、液晶組成物を調整した。この液晶組成物を液晶組成物Dとする。
(比較例4)
メルク社製液晶組成物「ZLI−4792」90質量%、および化合物中に−CF=CF−CF=CF−連結基を含む化合物(R−2)10質量%の割合で混合し、液晶組成物を調整した。この液晶組成物Eとする。
得られた液晶組成物A〜Eについて、Δnおよび粘性を上述の方法で測定し、その時の測定値から得られた外挿値を表3に示す。
表3に示す結果から明らかなように、実施例10〜13の本発明の化合物(1−a)〜(1−c)を含有する液晶組成物は、比較例4の対称型フルオロブタジエンを用いた液晶組成物よりも低い粘性を有することが分かった。
以上のように、本発明の化合物(1−1)は、低い粘性を有し、高い光学異方性(Δn)を併せ持つ組成物の調整ができることが明らかになった。

Claims (8)

  1. (A)下式(2)で表されるリチウム化合物と下式(4)で表されるヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンとを反応させ、
    (B)上記で得られた反応物と下式(3)で表されるリチウム化合物とを反応させ、かつ上記工程(A)および(B)を下式(5)で表されるエーテルを含む溶媒中で行う、下式(1)で表される非対称型フルオロブタジエン化合物の製造方法。
    −(A−Y)−(A−Y)−A−Li (2)
    −(A−Y)−(A−Y)−A−Li (3)
    CF2=CF−CF=CF2 (4)
    −O−R (5)
    −(A−Y)−(A−Y)−A−CF=CF−CF=CF−A−(Y−A)−(Y−A)−R (1)
    式中の記号は、以下の意味を示す。
    、R:相互に独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基、またはシアノ基。該脂肪族炭化水素基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基中の1つ以上の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。
    〜A:相互に独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基または1,4−フェニレン基。A〜Aの基中の1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、A〜Aの基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
    〜Y:相互に独立して、単結合、−O−、−S−、または炭素数1〜4の2価の非環式脂肪族炭化水素基。該脂肪族炭化水素基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基中の1つ以上の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。
    l、m、n、o:相互に独立して0または1。
    :炭素数1〜6の直鎖状アルキル基。
    :炭素数3〜6の分岐状アルキル基または炭素数3〜6の環状アルキル基。
    ただし、「R−(A1−Y)−(A−Y)−A−」と「−A−(Y−A)−(Y−A)−R」は同一の構造ではなく、また各化合物において化合物全体で上記−O−または−S−が連続することはない。
  2. 前記工程(A)において、下式(6)で表されるハロゲン化合物のリチオ化反応を行い前記式(2)で表されるリチウム化合物を生成させる請求項1に記載の方法。
    −(A−Y)−(A−Y)−A−X (6)
    上記式中、R、A、A、A、Y、Y、lおよびmは、前記と同じであり、Xは臭素原子またはヨウ素原子である。
  3. 下式(7)で表されるハロゲン化合物のリチオ化反応で得られる反応液を前記工程(B)に供する請求項1または2に記載の方法。
    −(A−Y)−(A−Y)−A−X (7)
    上記式中、R、A、A、A、Y、Y、oおよびnは、前記と同じであり、Xは臭素原子またはヨウ素原子である。
  4. 前記化合物(2)中のRがR11:ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基、またはシアノ基であり、
    前記化合物(3)中のRがR21:炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基であり、
    11およびR21における前記脂肪族炭化水素基中の1つ以上の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記式(5)で表されるエーテルがシクロペンチルメチルエーテルである、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 下式(1−1)で表される非対称型フルオロブタジエン化合物。
    11−(A−Y)−(A−Y)−A−CF=CF−CF=CF−A−(Y−A)−(Y−A)−R21 (1−1)
    式中の記号は、以下の意味を示す。
    11:ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基、またはシアノ基。
    21:炭素数1〜10の非環式脂肪族炭化水素基。
    11およびR21における前記脂肪族炭化水素基中の1つ以上の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。
    〜A、Y〜Y、l、m、nおよびoは、請求項1の規定と同じ意味を示す。
  7. 請求項6記載の化合物を含有する液晶組成物。
  8. 請求項7に記載の液晶組成物を電極付き基板間に挟持した液晶電気光学素子。
JP2011037542A 2011-02-23 2011-02-23 非対称型フルオロブタジエン化合物の製造方法および非対称型フルオロブタジエン化合物 Pending JP2012171942A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011037542A JP2012171942A (ja) 2011-02-23 2011-02-23 非対称型フルオロブタジエン化合物の製造方法および非対称型フルオロブタジエン化合物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011037542A JP2012171942A (ja) 2011-02-23 2011-02-23 非対称型フルオロブタジエン化合物の製造方法および非対称型フルオロブタジエン化合物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012171942A true JP2012171942A (ja) 2012-09-10

Family

ID=46975162

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011037542A Pending JP2012171942A (ja) 2011-02-23 2011-02-23 非対称型フルオロブタジエン化合物の製造方法および非対称型フルオロブタジエン化合物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012171942A (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0640966A (ja) * 1992-07-24 1994-02-15 Asahi Glass Co Ltd フルオロブタジエン誘導体化合物およびそれを含有する液晶組成物

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0640966A (ja) * 1992-07-24 1994-02-15 Asahi Glass Co Ltd フルオロブタジエン誘導体化合物およびそれを含有する液晶組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6623810B2 (en) Phenylacetylene compound, liquid crystal composition, and liquid crystal element produced with the same
JP2021529860A (ja) チオフェン化合物、液晶媒体、およびそれを含む液晶ディスプレイ
US9315727B2 (en) Compound having fluorinated naphthalene structure and liquid crystal composition of the same
JP5401085B2 (ja) 含フッ素液晶化合物、それを含有する液晶組成物および液晶電気光学素子
US8273420B2 (en) Liquid crystal compound and process for production thereof, liquid crystal composition, and liquid crystal electrooptical element
JP5199552B2 (ja) 含フッ素化合物、含フッ素化合物の製造方法およびその用途
US8574455B2 (en) Fluorine-containing liquid crystal compound, liquid crystal composition, and liquid crystal electro-optic element
WO2005095311A9 (ja) ベンゼン誘導体、液晶組成物および液晶表示素子
JP2012171942A (ja) 非対称型フルオロブタジエン化合物の製造方法および非対称型フルオロブタジエン化合物
JP4668431B2 (ja) 光学活性化合物、それを含有する液晶組成物および液晶素子
JP5335275B2 (ja) 含フッ素液晶化合物、その製造方法および合成中間体、該含フッ素液晶化合物を含有する液晶組成物ならびに液晶電気光学素子
JP5680381B2 (ja) 液晶化合物、その製造方法、液晶組成物および液晶電気光学素子
JP5362266B2 (ja) 含フッ素液晶化合物、その製造法および合成中間体、該含フッ素液晶化合物を含有する液晶組成物および液晶電気光学素子
JP2008546727A (ja) ヒドロアズレン構造を有する液晶分子
JP4788014B2 (ja) 液晶媒体
JP5680380B2 (ja) 液晶化合物、その製造方法、液晶組成物および液晶電気光学素子
JP3856508B2 (ja) トラン誘導体化合物およびその用途
JP3902834B2 (ja) トラン誘導体化合物、液晶組成物、および液晶電気光学素子
JP4573399B2 (ja) ジフルオロベンゾニトリル化合物およびその中間体、製造方法、液晶組成物および液晶電気光学素子
JP3673875B2 (ja) ネマチック液晶組成物
JP2782762B2 (ja) 2環式エチレングリコール誘導体
JP2701426B2 (ja) 3環式エチレングリコール誘導体
JP2012126709A (ja) 液晶化合物、液晶組成物および液晶素子
JP2012006860A (ja) 含フッ素液晶化合物、該化合物の製造方法、液晶組成物および液晶電気光学素子
JP2006069914A (ja) トリフルオロナフタレン誘導体を含有する液晶組成物と表示素子及び液晶性化合物とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131206

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150331