JP2012164455A - 固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体酸化物型燃料電池用燃料極材料として好適な均一組成の(NiO−GDC)複合粉末(複合微粒子)及びその製造方法を提供する。
【解決手段】Ce元素とGd元素と酸素元素とからなる複合酸化物と、Ni元素と酸素元素とからなる酸化物とを含む複合粉末からなる固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末において、粉末の走査型電子顕微鏡像の複数の位置において、当該SEMに付随したEDXにより測定した特性X線のピーク面積比より算出したNi元素の含有量(wa(wt%))と、Ce元素とGd元素の和の含有量(wb(wt%))とを、式(1)の関係を満足するように決定し、それぞれの位置における含有量から算出したNi元素の平均含有量及びCe元素とGd元素の和の平均含有量とを比較した場合に、その平均含有量の大きい元素の変動係数(α)が15%以下である燃料極材料粉末を与える。wa+wb=100(1)
【選択図】図2

Description

本発明は、固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末及びその製造方法に関し、より詳しくは、前記複合粉末は前記複合粉末内における構成元素の均一性の高い燃料極材料複合粉末及びその製造方法に関するものである。
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、電解質として酸素イオン導電性を示す固体電解質を用いた燃料電池で、起電力を生じる電気化学反応が水素の酸化反応であり、炭酸ガスを発生させないため、クリーンエネルギーとして注目されている。固体酸化物型燃料電池は、一般に、酸化物である空気極と固体電解質と燃料極とからなる単セルをインターコネクターによって接続したスタック構造を採っており、その動作温度は、通常1000℃程度であり、種々の検討により、近年低温化し、実用化されているものの最低温度は600℃以上と依然として高温である。
このセル構造と高い動作温度のため、燃料極を構成する燃料極材料としての、NiO粉末(NiO相)と、一般式(I)GdxCe1-x2-δ で表されるガドリニウムがドープされたセリア粉末(GDC化合物)の粒子(GDC相)からなる複合粉末(NiO−GDC)は、これらの温度領域においても優れた発電特性を有するものとして知られている。
一般に、NiO−GDCからなる燃料極においては、NiO相は電子伝導パスを、GDC相はイオン導電パスを形成し、これと水素や炭化水素等の燃料パスの3種類の界面において電極反応が起こるとされている。したがって電極特性を向上させるためには、前記複合粉末のNiO相とGDC相ができるだけミクロ(微細)のレベルにおいて、均一に入り組んだ組成(均一組成)を形成することが好ましい。
従来、複合粉末(NiO−GDC)を形成する方法としては、NiO粉末とGDC粉末を固相状態で機械的に混合する方法(固相法)が、最も一般的な方法として広く実施されている。
例えば引用文献1には、NiO−GDC系固体酸化物形燃料電池用燃料極材料が記載され、NiO粒子と、これより粒径の大きいGDC粗粒子、及びこれより微細粒径のGDC微粒子との所定割合の混合物とすることにより、前記燃料極材料はガス透過性が良好で、電極反応性、導電性、耐久性が優れた燃料極を形成できるとしている。
そして均一な粒子混合物を得るために高速回転数(10000rpm)の回転羽根を備えた高性能の混合装置が使用されている(特許請求の範囲、段落〔0020〕、〔0034〕〜〔0035〕、〔0060〕を参照。)。
このような固相法では、原料元素含有粒子であるNiO粉末とGDC粉末を、固相にて粉砕・混合する限り、ミクロ(微細)のレベルで均一組成のものを得るのは原理的に困難であるという問題がある。
また、引用文献2は、固体酸化物型燃料電池燃料極材料として用いられる酸化ニッケル(NiO)からなる第1の相と、ガドリニウムがドープされたセリア(GDC)からなる第2の相からなるセラミック粉末の製造方法が記載され、Ni等の金属塩類(硝酸ニッケル、硝酸セリウム等)と、Ni等のカチオンのキレート形成が可能で重合性官能基を有するキレート剤を含有する原料液を調製し、これを液滴化して加熱する工程を備える方法が開示されている。この原料液を加熱して重合させる場合は、多孔質球状粒子が得られるが、重合しない場合は、中空粒子や薄片状粒子となる(特許請求の範囲、段落〔0020〕〜〔0021〕、〔0024〕〜〔0028〕、〔0033〕〜〔0034〕、〔0044〕) (これを錯体重合法と称する。)。
キレート剤としては、クエン酸などのオキシカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコール、プロピレングリコール等のポリオール類が好ましいものとされている。
この方法は、加熱重合した場合は粘度の高い中間生成物を生成するので収率が悪く、また、原料として硝酸塩を使用する場合には、加熱時にNOXが発生するので、工業的に実施するには排ガス浄化装置が必要となる。
なお、本発明者らの検討によると、後記する比較例1に示したように、単にNiOやGDCの原料をクエン酸水溶液に投入するクエン酸塩法では、系はスラリー状態となり、固相法と同様の不十分な混合状態しか実現できない。(本発明においてはこれを「混合法」と称する。)
特開2007−335142号公報 特開2006−188372号公報
本発明者らは、固相法や錯体重合法により調整される従来のNiO−GDC複合粉末においては、原理的に前記NiO相とGDC相がミクロ(微細)なレベルで均一になりにくいという問題があることを認識した。そして、かかる観点から鋭意検討したところ、クエン酸とアンモニウム化合物の両者を含有する水溶液を使用してNi、Ce、Gdを含む原料化合物を、液中でクエン酸及びアンモニウム化合物と反応させ、錯化合物として完全に溶解せしめ(これを「完全溶解法」と称する。)、これを微小液滴状態として噴霧乾燥することにより、従来存在しなかった程度のミクロ(微細)のレベルにおいても均一組成を有するNiO−GDC複合粉末が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の目的には、固体酸化物型燃料電池用燃料極材料として好適な均一組成の(NiO−GDC)複合粉末(複合微粒子)を提供すること、及びかかる均一組成のNiO−GDC複合粉末を得るための製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末が提供される。

〔1〕 セリウム元素とガドリニウム元素と酸素元素とからなる複合酸化物と、ニッケル元素と酸素元素とからなる酸化物とを含む複合粉末からなる固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末において、
前記複合粉末は、前記複合粉末の走査型電子顕微鏡像(SEM像)の複数の位置において前記走査型電子顕微鏡に付随したエネルギー分散X線分光装置(EDX)により測定した特性X線のピーク面積比より算出したニッケル元素の含有量(wa(wt%))と、セリウム元素とガドリニウム元素の和の含有量(wb(wt%))とを、式(1)の関係を満足するように決定し、それぞれの位置における含有量から算出したニッケル元素の平均含有量[waav(wt%)、及びセリウム元素とガドリニウム元素の和の平均含有量[wbav(wt%)とを比較した場合に、その平均含有量の大きい元素の変動係数(α)が15%以下であることを特徴とする固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末。
a+wb=100(%) (1)
〔2〕 前記[waavと[wbavのうち大きい方の元素の変動係数(α)が7%以下であることを特徴とする〔1〕項に記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末。
〔3〕 前記複合粉末が、10重量%から95重量%のNiOと、90重量%から5重量%の一般式(I)
GdxCe1-x2-δ (I)
(式において、0<x≦0.5、 0<δ≦0.25である。)で表される複合酸化物とからなるものであることを特徴とする〔1〕項または〔2〕項に記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末。
また、本発明によれば、以下の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末の製造方法が提供される。
〔4〕 〔1〕〜〔3〕項のいずれかに記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末において、前記複合粉末を構成する金属元素を含有する原料化合物をクエン酸及びアンモニウム化合物の溶液を用いて溶液化し、乾燥・焼成することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末の製造方法。
〔5〕 前記複合粉末を構成する金属元素を含有する原料化合物をクエン酸及びアンモニウム化合物の溶液を用いて溶液化し、その溶液をスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して乾燥複合粉末を製造し、その乾燥複合粉末を750℃から1400℃で焼成することを特徴とする〔4〕項に記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末の製造方法。
〔6〕 前記複合酸化物を構成する金属元素を含有する原料化合物が、炭酸塩、酸化物、水酸化物、及び有機酸塩からなる群より選択される少なくとも1種類であることを特徴とする〔4〕項または〔5〕項に記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末の製造方法。
〔7〕 前記アンモニウム化合物が、アンモニア、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム及びクエン酸二アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種類であることを特徴とする〔4〕項または〔5〕項に記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末の製造方法。
〔8〕 前記乾燥複合粉末を800℃から1200℃で焼成することを特徴とする〔4〕項または〔5〕項に記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末の製造方法。
以下に詳述するように、本発明によれば、従来の固相法や混合法によるものと比較してより均一組成の新規なNiO−GDC複合粉末が提供される。
本発明においては、前記複合粉末を電極の形状に成型して焼結することにより、その成型焼結体は、固体酸化物型燃料電池用燃料極として好適に使用することができる。
また、本発明の製造方法によれば、このような均一組成のNiO−GDC複合粉末を得ることが可能になる。
実施例1におけるNiO−GDC複合粉末のSEM写真である。 実施例1におけるNiのEDXマッピング図である。 実施例1におけるCeのEDXマッピング図である。 実施例1におけるGdのEDXマッピング図である。 比較例1におけるNiO−GDC複合粉末のSEM写真である。 比較例1におけるNiのEDXマッピング図である。 比較例1におけるCeのEDXマッピング図である。 比較例1におけるGdのEDXマッピング図である。
本発明は、基本的に固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末であって、ニッケル元素と酸素元素からなる酸化物であるNiOと、セリウム元素とガドリニウム元素と酸素元素とからなる複合酸化物である一般式(I)
GdxCe1-x2-δ (I)
(ただし、式において、0<x≦0.5、 0<δ≦0.25である。)
で表されるGDC化合物(以下、単に「GDC」とも言う)とを含む複合粉末を対象とする。
ここで式中、x、δの範囲が0<x≦0.5、0<δ≦0.25であることは、ガドリニウムがドープされたセリウム相が好適にイオン導電パスとしての機能を奏する複合酸化物を形成するに好ましい範囲である。
具体的には、式(I)式で表されるGDCの一例としては、例えば以下のようなものが挙げられるが、もちろんこれに限定されるものではない。

Gd0.1Ce0.91.95
(式(I)において、x=0.1である。)

Gd0.05Ce0.951.975
(式(I)において、x=0.05である。)

Gd0.5Ce0.51.75
(式(I)において、x=0.5である。)
前記複合粉末において、NiOとGDCとの割合は、10重量%から95重量%のNiOと、90重量%から5重量%のGDC、好ましくは10重量%から90重量%のNiOと、90重量%から10重量%のGDCからなるものである。
本発明においては、NiO−GDC複合粉末(複合微粒子とも表現する。)は、本発明で規定する方法(「完全溶解法」)によって得られるものであるが、前記複合粉末は従来公知の方法によって得られた複合粉末に対して、前記複合粉末内における各成分(Ni、Ce、Gd)組成が均一性の高いものであることを特徴とする。
本発明においては、前記複合粉末において、成分のバラツキを次のように相対的標準偏差(変動係数)で評価し、規定する。
すなわち前記複合粉末について、前記複合粉末の走査型電子顕微鏡像(SEM像)の複数の位置(1,2,3,・・・)において前記走査型電子顕微鏡に付随したエネルギー分散X線分光装置(EDX)により測定した特性X線のピーク面積比より算出したニッケル元素の含有量(wa(wt%))と、セリウム元素とガドリニウム元素の和の含有量(wb(wt%))とを、式(1)の関係を満足するように決定する。
すなわち、それぞれの位置(1,2,3,・・・)におけるニッケル元素の含有量[wa1,[wa2,[wa3,・・・、及びセリウム元素とガドリニウム元素の和の含有量[wb1,[wb2,[wb3,・・・を求める。ただし、[wa1+[wb1=100、[wa2+[wb2=100, [wa3+[wb3=100,・・・であり、1,2,3,・・・は各位置を示す。〕から算出したニッケル元素の平均含有量[waav(wt%)、及びセリウム元素とガドリニウム元素の和の平均含有量[wbav(wt%)から、それぞれの変動係数を求める。
a+wb=100 (1)

具体的には、前記複合粉末の走査型電子顕微鏡像(SEM像)の複数の位置(1,2,3,・・・)として、例えば前記複合粉末の5000倍のSEM像において、約8μmの格子を設定し、合計20程度の格子点(1,2,3,・・・)において、〔wa1,[wa2,[wa3,・・・及び[wb1,[wb2,[wb3,・・・を求めることが好ましい。
以上のようにして求めた平均含有量[waav、平均含有量[wbavからそれぞれの標準偏差(バラツキ)を求め、平均含有量で除して変動係数が求められる。
本発明においては、このようにして着目したその平均含有量の大きい元素の変動係数(α)が、後記した実施例に示されているように、15%以下、好ましくは変動係数(α)が7%以下であることを特徴とする。すなわち、平均含有量の高い元素につき、その組成をバラツキの尺度である変動係数で評価した場合に当該変動係数が小さいことを特徴とする。
(後記する比較例において示されているように、従来法により調製されたNiO−GDC複合粉末は、組成的に大きくばらついており、その変動係数αは、本発明で規定する範囲を超えてずっと大きくなる。)
以下、本発明に係るNiO−GDC複合粉末からなる固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末の製造方法について説明する。
(原料化合物の調整)
本発明に係るNiO−GDC複合粉末(但し、GDCは一般式(I)
GdxCe1-x2-δ (I)で表される。)の原料化合物となる金属元素含有化合物は、通常使用されるものを好適に使用することができ、たとえばNi、Gd、Ceを含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩などの有機酸塩などである。
特に環境的な側面、入手し易さの理由から、炭酸塩、水酸化物または酸化物が好ましい。また、原料化合物は1つの元素につき炭酸塩、酸化物、水酸化物、硝酸塩などから選ばれた任意の2種類以上の化合物を元素源として選択することもできる。
上記の原料化合物をNi、Gd、Ce各元素が所望の一般式(I)で表わされる目的の組成、及び所望のNiO/GDCの重量比になるように秤量する。
なお、秤量した各原料化合物は、予め粉砕・微細化しておくことが、溶解反応を迅速に進行させるため好ましい。また、その一部または全部を予め均一に混合しておいてもよい。混合は、乾式混合によってもよいが、比較的短時間で均質な原料化合物を得られることから、湿式混合法により混合を実施することが好ましく、特に、混合と同時に粉砕処理を行ってもよい。
湿式混合法を実施するための装置としては特に限定するものではないが、同時に粉砕を実施するものが好ましい。たとえば、ボールミル、ビーズミル、アトリションミル、コロイドミル等が好ましい。そのうち特に、ジルコニアボールのような、粉砕媒体を使用する形式のもの、例えばボールミル、ビーズミルなどが、より好ましく使用される。例えば原料化合物に上記の粉砕媒体を加え、ボールミルを用いて12〜24時間粉砕混合してもよい。ボールミル等の粉砕媒体による粉砕混合を行うと、より強い剪断力を付与でき、より均質な原料化合物の混合粉末が得られるので好ましい。
(クエン酸等水溶液)
一方、クエン酸の水溶液を予め調整する。本発明においては、クエン酸を単独で使用するのではなく、同時にアンモニウム化合物を用いることを特徴とする。これにより、クエン酸による溶解反応(錯体生成)をより容易に進行させることができる。このようなアンモニウム化合物としては、アンモニア、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム及びクエン酸二アンモニウムよりなる群より選択される少なくとも1種類であることが好ましい。(本発明においては、アンモニアもアンモニウム化合物の一つとして定義する。)
アンモニウム化合物の使用量としては、原料化合物中のCe原子のモル数とGd原子のモル数の和に対して好ましくは3〜10当量、さらに好ましくは5〜8当量である。アンモニウム化合物の使用量が原料化合物中のCe原子のモル数とGd原子のモル数の和に対して3当量以上であると、原料化合物が短時間で溶解し溶液化し、10当量を超えても原料化合物の溶解性に変化がないからである。
またクエン酸の使用量は、前記金属元素と錯体を形成し、これを完全に溶解することができる当量以上であることが好ましい。クエン酸水溶液の濃度は、特に限定するものではないが、操作の容易性及び反応速度を十分高くする点から10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%、さらに好ましくは30〜50重量%である。
(溶解反応)
以上のごとくして、調整した複合酸化物を構成する金属元素を含有する原料化合物を、上記のアンモニウム化合物を含有したクエン酸水溶液を用いて溶液化する。
この溶解反応を行うための装置としては、特に限定するものではないが、例えば撹拌手段、加熱手段、原料粉末の供給手段、クエン酸水溶液及びアンモニウム化合物の供給手段を備え、供給した原料化合物を沈殿させることなく浮遊させ、浮遊状態でクエン酸と反応させることができる槽型反応容器が好ましい。撹拌手段としては通常の撹拌機、例えば櫂型撹拌機、プロペラ型撹拌機、タービン型撹拌機等のいずれもが好適に使用される。なお、小規模の反応の場合はフラスコ型容器に撹拌機を設置して実施してもよい。
金属元素含有原料化合物とクエン酸水溶液の接触方式は、反応が化学工学的に固−液異相系反応として把握されるので、当該反応が効率的に実施され、最終的に均一溶液が得られるものであれば特に限定するものではない。通常は、まず反応容器にクエン酸水溶液とアンモニウム化合物を仕込んでおき、これに撹拌下に原料化合物を添加して反応、溶解させる方式が好ましい。
添加する原料化合物は、各原料化合物ごとに順次添加してもよいし、また、予め原料化合物を混合しておき、同時に前記混合原料化合物を供給して反応させてもよい。さらにこれらの供給方法を組み合わせてもよい。
なお、原料化合物を逐次添加する場合は、まず、一つの金属元素を含む原料化合物、例えば炭酸セリウムと炭酸ガドリニウムをクエン酸水溶液に供給して加熱下に反応溶解させ、引き続き残りの原料化合物(例えば炭酸ニッケル)を添加反応させるようにしてもよい。
反応温度は、ある程度加熱下で実施することにより、溶解反応が促進されるので好ましい。通常、30〜100℃、好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃である。また、反応時間、すなわち均一溶液が形成されるまでの時間は、反応温度、クエン酸濃度、アンモニウム化合物や原料化合物の種類、その粒径等によって変わりうるが、通常10分〜10時間、好ましくは30分〜5時間、さらに好ましくは1〜3時間程度である。
(噴霧乾燥等)
本発明においては、以上の反応操作により、原料化合物は溶解し、均一な溶液が得られる。かくして前記金属元素が溶解した溶液をスプレードライヤー等を用いて、液滴として気流中に浮遊させた状態で乾燥する噴霧乾燥処理し、その乾燥粉を焼成することが好ましい。
すなわち、アンモニウム化合物含有クエン酸水溶液で各原料化合物の金属元素が完全に溶解された溶液を、気流乾燥機もしくは噴霧乾燥機のごとき乾燥装置に供給し乾燥する。前記乾燥装置に供給された溶液は、装置内で、微小液滴となり、これが乾燥用の熱風により流動層を形成し、熱風により搬送されながら極めて短時間で乾燥され、短時間でその乾燥複合粉末が得られる。
乾燥装置としては、最も分散された乾燥複合粉末が得られる点で噴霧乾燥機(スプレードライヤー)が特に好ましい。噴霧乾燥機を使用する場合の噴霧機としては、回転円板、二流体ノズル、加圧ノズル等が適宜採用でき、また乾燥用熱風温度は、入口で150〜300℃、出口で100〜150℃程度にすることが好ましい。
かかる噴霧乾燥によれば、原料金属元素がすべて溶解した溶液は、微小液滴状態を形成し、各液滴中の水分は瞬間的、またはごく短時間に、蒸発除去されることにより、原理的にミクロ(微細)なレベルまで均一組成の固相が析出した乾燥複合粉末(各原料化合物が均一に混合され乾燥した混合粉末)が得られる。
(焼成)
次に、好ましくは噴霧乾燥させた乾燥複合粉末を焼成容器に移し、焼成炉にて焼成する。焼成は基本的には粗焼成、仮焼成、本焼成の焼成温度の異なる3工程からなるのが好ましいが、粗焼成と本焼成の2工程でもよく、仮焼成と本焼成の2工程でもよく、また本焼成のみからなる工程でもよい。焼成容器の材質は、特に限定されず、例えばムライト、コージェライトなどが挙げられる。
焼成炉は、熱源として、電気式またはガス式のシャトルキルンでも、場合によってはローラーハースキルンでもロータリーキルンでもよく、特に限定されない。
(粗焼成)
粗焼成工程においては、焼成炉の温度を20〜800℃/hの昇温速度で目的の焼成温度(300〜500℃)まで上げる操作を行う。昇温速度を20℃/h以上にすることにより、生産性が向上するので好ましい。また、昇温速度が800℃/h以下であると、各温度での反応物質の化学変化が十分に進行するので好ましい。
粗焼成時の焼成温度は、300〜500℃が好ましく、350〜450℃がより好ましい。300℃以上にすることにより炭素成分が残留しにくくなるので好ましい。また、500℃以下にすることにより構成元素が偏析しにくくなるので好ましい。
粗焼成の焼成時間は、4〜24時間が好ましく、8〜20時間がより好ましい。4時間以上にすることにより、炭素成分が残留しにくくなるので好ましい。また、24時間を超えても、生成物に変化はないが、生産性を勘案すると24時間以下にすることが好ましい。この粗焼は一定温度、たとえば400℃で8時間保持するようにしてもよいし、300℃から450℃に少しずつ昇温するようにしてもよい。
粗焼成を行う際の雰囲気は、酸素含有雰囲気であり、空気中(大気中)または酸素濃度が21体積%以下の雰囲気中であることが好ましい。酸素濃度が21体積%を超えると原料混合粉中の炭素成分が燃焼し、部分的に酸化反応が進む結果、生成物の構成元素が局在化する場合があるので、21体積%以下の雰囲気にすることが好ましい。
粗焼成を所定時間行った後、室温まで降温する。降温速度は、100〜800℃/hが好ましく、100〜400℃/hがより好ましい。生産性を勘案すると降温速度を100℃/h以上にすることが好ましい。また、これを800℃/h以下にすることにより用いる焼成容器が熱衝撃のために割れてしまう可能性が低くなるので好ましい。
次いで、粗焼成工程で得られた酸化物を必要に応じて解砕する。解砕にはカッターミル、ジェットミル、アトマイザーなどの粉砕機を用い、一般に乾式で行う。解砕後の体積平均粒径としては1〜50μmが好ましい。より好ましくは1〜20μmである。
(仮焼成)
引き続き、上記の解砕された粗焼成粉を仮焼成温度(500〜800℃)で仮焼成する。
仮焼成工程においては、焼成炉の温度を50〜800℃/h、好ましくは50〜400℃/hの昇温速度で目的の焼成温度まで上げる。生産性を勘案すると昇温速度を50℃/h以上にすることが好ましい。また、昇温速度を800℃/h以下にすることにより、各温度での反応物質の化学変化が十分に進行するので好ましい。
仮焼成の温度は、500〜800℃が好ましく、500〜700℃がより好ましい。500℃以上であると炭素成分が残留しにくくなるので好ましい。また、800℃以下であると焼成粉が過度に焼結しにくくなるので好ましい。
焼成時間は、4〜24時間が好ましく、8〜20時間がより好ましい。4時間以上であると、炭素成分が残留しにくくなるので好ましい。また、24時間を超えても、生成物に変化はないが、生産性を勘案すると24時間以下にすることが好ましい。
仮焼成を行う際の雰囲気は、粗焼成時と同様の酸素含有雰囲気が好ましい。
仮焼成を所定時間行った後、室温まで降温する。降温速度は、100〜800℃/hが好ましく、100〜400℃/hがより好ましい。生産性を勘案すると100℃/h以上にすることが好ましい。また、800℃/h以下にすることにより目的とする物質が生成しやすくなるので好ましい。
次いで、仮焼成で得られた酸化物を粗焼成の後に行ったのと同様に必要に応じて解砕する。解砕にはカッターミル、ジェットミル、アトマイザーなどの粉砕機を用い、一般に乾式で行なう。解砕後の体積平均粒径としては1〜50μmが好ましい。より好ましくは1〜20μmである。
(本焼成)
さらに、この仮焼成粉を、本焼成温度(750〜1400℃)で本焼成する。
本焼成工程においては、焼成炉の温度を50〜750℃/h、好ましくは100〜400℃/hの昇温速度で目的の焼成温度まで上げる。生産性を勘案すると昇温速度を50℃/h以上にすることが好ましい。また、昇温速度を750℃/h以下にすることにより、各温度での反応物質の化学変化が十分に進行し、反応物質が均一な状態で目的の焼成温度に到達するため、焼成物中に副生成物を生じにくいので好ましい。
本焼成の温度は、基本的に750〜1400℃であり、800〜1200℃が好ましく、800〜1000℃がより好ましい。750℃以上にすることにより焼成が十分に進行しやすく、または1400℃以下にすることにより、偏析が生じにくいので好ましい。特に1450℃を超えると、Ni元素、Ce元素成分の偏析が生ずる。
焼成時間は、4〜24時間が好ましく、5〜20時間がより好ましい。4時間以上にすることにより、未反応物質が目的とする酸化物中に混在しにくく、また、24時間を超えても、生成物に変化はないが、生産性を勘案すると24時間以下とすることが好ましい。
本焼成を行う際の雰囲気は、粗焼成または仮焼成時と同様の酸素含有雰囲気中であることが好ましい。
本焼成を所定時間行った後、室温まで降温する。降温速度は、50〜750℃/hが好ましい。生産性を勘案すると50℃/h以上にすることが好ましい。また、750℃/h以下とすることにより、目的とする物質以外の物質が生成しにくいので好ましい。
次いで、本焼成で得られた酸化物を粗焼成の後に行ったのと同様に必要に応じて解砕する。解砕にはカッターミル、ジェットミル、アトマイザーなどの粉砕機を用い、一般に乾式で行う。解砕後の粉体の体積平均粒径は0.5〜50μmが好ましい。より好ましくは0.5〜20μmである。その後、必要に応じて粒度調整のために湿式で粉砕してもよい。
(成型体、焼結体)
以上のように本焼成して得られた焼成複合粉末(微粒子)は、NiO相とGDC相のそれぞれの粉末がミクロ(微細)のレベルにおいても、均一な複合粉末であるとともに、GdxCe1-x2-δ (I)で表される、GDC相も、均一な複合酸化物を形成している。
本発明においては、前記複合粉末を電極の形状に成型して焼結することにより、その成型焼結体は、固体酸化物型燃料電池用燃料極として好適に使用することができる。すなわち、前記成型焼結体は、均一組成の複合粉末組成をそのまま受け継ぐので、原理的に均一組成のNiO−GDC焼結体を形成することが理解される。
前記成型体、焼結体を形成する手段としてはそれ自体公知の手段が適用される。たとえば、NiO−GDC複合粉末をバインダと混合し、一定の体積を有する金型に充填し、加圧することにより、前記粉末の成型体を作成する。
加圧する方法は、機械的一軸プレス、冷間等方圧(CIP)プレスなど特に限定されない。
次に、この成型体を焼成し燃料極として使用しうる焼結体を得る。焼成温度は、1100〜1450℃が好ましく、1200〜1400℃がより好ましい。焼成温度が1100℃以上では成型体の機械的強度が十分であり、また1450℃以下であると生成したNiO−GDCの一部が分解して、不純物を形成し、組成が不均一となるおそれがないので好ましい。焼成時間は、2〜24時間が好ましく、2〜6時間がより好ましい。
一方、上記のように、前記複合微粒子を成型体とする代わりに、前記複合粉末にバインダなどを配合して塗布スラリーとし、これを固体電解質の表面に塗布し、さらに同様に焼成することにより、燃料極として好適に使用しうる成型体が得られる。
以下に、本発明の具体的な実施例(実施例1〜12)を、比較例(比較例1)と対比して説明する。しかしながら、これら実施例は、本発明の実施の態様の一例であり、本発明がこれらの実施例に特に限定されるものではなく、また、これにより限定的に解釈されたりするものではない。なお、以下%とあるものは、とくに断りなき限り、質量(または重量)%である。
〔実施例1〕
(1)(原料化合物及びクエン酸水溶液の準備)
NiO/Gd0.1Ce0.91.95を(NiO/GDC=(40wt%/60wt%))を形成するように各原料の秤量を行った。
すなわち、表1に示すようにNi源としての含水炭酸ニッケル(NiCO3)(Ni含量30.69%)870.6g、Ce源としての炭酸セリウム(Ce2(CO33・8H2O)(Ce含量40.54%)916.9g、及びGd源としての炭酸ガドリニウム(Gd2(CO33・nH2O (Gd含量57.59%)80.48g(原子比で、Gd:Ceが0.1:0.9となるようにする。)を秤量した。
一方で、温度調節器及び撹拌機を備えた20Lセパラブルフラスコ中で、原料化合物中に含まれるNi原子のモル数に対して4/3当量、Ce原子、Gd原子のモル数に対してそれぞれ3当量のクエン酸3166gを2125L(リットル)の純水に加えてクエン酸溶液を調製した。これにCe原子のモル数とGd原子のモル数の和に対して6当量の重炭酸アンモニウム1472gを加えて前記容器中で、撹拌下室温で溶解させた。
(2)(中間生成物及び乾燥)
上記の重炭酸アンモニウムとクエン酸の混合水溶液に炭酸セリウム及び炭酸ガドリニウムを投入し、75℃まで加熱し、その温度で1時間反応させた。
これに、炭酸ニッケルを添加して同温度でさらに2時間反応させた。2時間で各金属塩は完全に溶解し、濃緑色透明溶液が得られた。
反応終了後、得られた溶液をスプレードライヤーで乾燥させ、中間生成物である複合クエン酸塩の乾燥複合粉末を得た。なお、スプレードライヤーとしては、BDP−10型スプレーバッグドライヤー(大川原化工機社製)を使用し、入口温度:200℃、出口温度:125℃、アトマイザー回転数:15000rpmの条件で乾燥を行った。
(3)(粗焼成、仮焼成、本焼成)
前記乾燥複合粉末7800gをムライト質の30cmの角サヤ8枚に充填し、大気中において、電気炉で、400℃で10時間焼成し、有機物を分解させた(粗焼成)。室温から400℃までの昇温速度は130℃/hとし、400℃から室温までの降温速度は100℃/hとした。
得られた粗焼成粉1704.36gのうち、850.5gをムライト質の30cmの角サヤ1枚に充填し、大気中において、電気炉で、600℃で10時間焼成し、残存炭素を分解させた(仮焼成)。室温から500℃までの昇温速度は170℃/h、さらに600℃までの昇温時間は50℃/h、とし、600℃から室温までの降温速度は100℃/hとし、仮焼成粉を得た。
前記仮焼成粉806.81gをムライト質の30cmの角サヤ1枚に充填し、大気中において、電気炉で、800℃で6時間焼成し、目的のNiO/GDC焼成複合粉末(NiO/Gd0.1Ce0.91.95(NiO/GDC=(40wt%/60wt%))を得た(本焼成)。室温から700℃までの昇温速度は170℃/h、さらに800℃までの昇温時間は100℃/hとし、800℃から室温までの降温速度は100℃/hとした。
(4)(粉砕)
得られた焼成複合粉末のうち575.26gをボールミルで25時間粉砕して粉砕粉末を得た。前記粉砕粉末の収量は551.77gであった。なお、ボールミルのポット容量は3Lであり、粉砕ボールとしてはジルコニアボール(5mmφ×5000g)を、粉砕溶媒としてはAK225−AEを650mL使用した。得られた粉末はBET6.5m2/g、粒径(D50)は0.79μmであった。
(5)(成分分析)
(SEM及びEDX分析)
前記粉砕粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)及びこれに付随したエネルギー分散X線分光装置(EDX)により分析した。使用SEMは日立社製のFE−SEM S−4300であり、EDX検出器は、堀場製作所製のEDX EMAX6853−H、分解能:137eVである。また、測定条件は、管電圧40kV、管電流40mA、倍率5000倍、WD15mm、プロセスタイム4,計数400万カウント以上とした。
図1は、前記粉末のSEM写真(倍率×5000)である。また、図2〜4はEDXによる、Ni、Ce、Gd、のマッピング図である。これより、各成分の偏析は確認されず均一に分布していることが確認された。(なお、図1に示されたような粉末のSEM写真上において、一辺が約8μmの格子状に分割し、20個の格子点(位置)をポイント分析箇所とした。)
(6)(結果)
以上のごとくして測定した前記複合粉末について、走査型電子顕微鏡に付随したエネルギー分散X線分光装置(EDX)により測定した特性X線のピーク面積比より算出したニッケル元素の含有量(wa(wt%))と、セリウム元素とガドリニウム元素の和の含有量(wb(%))とを、式(1)の関係を満足するように、SEM像の20格子点のそれぞれの位置において決定し、[wa1,[wa2,[wa3,・・・及び[wb1,[wb2,[wb3,・・・を求めた。(すなわち、[wa1+[wb1=100(wt%)、[wa2+[wb2=100(wt%), [wa3+[wb3=100(wt%),・・・である。)
a+wb=100(wt%) (1)
これにより、ニッケル元素の20点の平均含有量[waav=37.22wt%、セリウム元素とガドリニウム元素の和の20点の平均含有量[wbav=62.78wt%が得られ、これからの標準偏差は共にσa=σb=0.83%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるCeとGdの和の平均含有量の変動係数(α)は1.3%と算出された。以上の結果を表2にまとめて示した。これから、αは本発明で規定する15%以下であり、実施例1の複合粉末は、構成元素が均一に分散していることが確認された。
〔実施例2〕
(1)実施例1において、焼成温度を1000℃とするほかは、表1に示すように実施例1と同様の実験を行い、NiO/Gd0.1Ce0.91.95(NiO/GDC=(40wt%/60wt%))で表される複合粉末を得た。
なお、本焼成の温度プログラムは、室温から700℃までの昇温速度は170℃/h、さらに1000℃までの昇温速度は100℃/hとした。また1000℃から室温までの降温速度は100℃/hとした。
得られた複合粉末を実施例1と同様に20個所の位置について分析し平均含有量を求めたところ、[waav=37.62wt%、[wbav=62.38wt%が得られ、これからの標準偏差は共にσa=σb=1.61%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるCeとGdの和の平均含有量の変動係数(α)は、2.6%と算出された。結果を表2にまとめて示した。これから、αは本発明で規定する15%以下であり、実施例2の複合粉末は、構成元素が均一に分散していることが確認された。
〔実施例3〕
(1)実施例1において、焼成温度を1200℃とするほかは、実施例と同様の実験を行い、NiO/Gd0.1Ce0.91.95(NiO/GDC=(40wt%/60wt%))で表される複合粉末を得た。
なお、本焼成の温度プログラムは、室温から700℃までの昇温速度は170℃/h、さらに1000℃までの昇温速度は100℃/h、1200℃までの昇温速度は70℃/hとした。また1200℃から室温までの降温速度は100℃/hとした。
得られた複合粉末を実施例1と同様に分析したところ、[waav=34.47wt%、[wbav=65.53wt%が得られ、これからの標準偏差は共にσa=σb=4.23%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるCeとGdの和の平均含有量の変動係数(α)は、6.5%と算出された。結果を表2にまとめて示した。これから、αは本発明で規定する15%以下であり、実施例3の複合粉末は、構成元素が均一に分散していることが確認された。
〔実施例4〕
(1)実施例2において、表1に示すようにGd源としての酢酸ガドリニウム(Gd(CH3COO)3・4H2O(Gd含量37.90%)122.3g、アンモニウム化合物として炭酸アンモニウム895g(炭酸アンモニウム1モルは、2モルのアンモニウムイオンを含有するので、Ce原子のモル数とGd原子のモル数の和に対して3当量に相当する。)を使用するほかは、実施例2と同様の実験を行い、NiO/Gd0.1Ce0.91.95(NiO/GDC=(40wt%/60wt%))で表される複合粉末を得た。
得られた複合粉末を実施例1と同様に分析したところ、[waav=36.66wt%、[wbav=63.34wt%が得られ、これからの標準偏差は共にσa=σb=1.58%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるCeとGdの和の平均含有量の変動係数(α)は、2.5%と算出された。結果を表2にまとめて示した。これから、αは本発明で規定する15%以下であり、実施例4の複合粉末は、構成元素が均一に分散していることが確認された。
〔実施例5〕
表1に示すようにNi源として水酸化ニッケル(Ni(OH)2)(Ni含量62.02%)430.8g、Ce源として酢酸セリウム(Ce(CH3COO)3・H2O)(Ce含量40.96%)907.5g、アンモニウム化合物としてクエン酸二アンモニウム2041g(クエン酸二アンモニウム1モルは、2モルのアンモニウムイオンを含有するので、Ce原子のモル数とGd原子のモル数の和に対して3当量に相当する。)を使用するほかは、実施例2と同様の実験を行い、NiO/Gd0.1Ce0.91.95(NiO/GDC=(40wt%/60wt%))で表される複合粉末を得た。
得られた複合粉末を実施例1と同様に分析したところ、[waav=36.16wt%、[wbav=63.84wt%が得られ、これからの標準偏差は共にσa=σb=1.62%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるCeとGdの和の平均含有量の変動係数(α)は、2.5%と算出された。結果を表2にまとめて示した。これから、αは本発明で規定する15%以下であり、実施例5の複合粉末は、構成元素が均一に分散していることが確認された。
〔実施例6〕
(1)表1に示すように実施例2において、Ni源としての酢酸ニッケル(Ni(CH3COO)2・4H2O)(Ni含量23.11%)1156.1gを使用するほかは、実施例2と同様の実験を行い、NiO/Gd0.1Ce0.91.95(NiO/GDC=(40wt%/60wt%))で表される複合粉末を得た。
得られた複合粉末を実施例1と同様に分析したところ、[waav=37.04wt%、[wbav=62.96wt%が得られ、これからの標準偏差は共にσa=σb=1.60%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるCeとGdの含有量の和の平均変動係数(α)は、2.5%と算出された。結果を表2に示した。これから、αは本発明で規定する15%以下であり、実施例6の複合粉末は、構成元素が均一に分散していることが確認された。
〔実施例7〕
(1)表1に示すように実施例2において、アンモニウム化合物として濃度26%のアンモニア水1158gを使用するほかは、実施例2と同様の実験を行い、NiO/Gd0.1Ce0.91.95(NiO/GDC=(40wt%/60wt%))で表される複合粉末を得た。
得られた複合粉末を実施例1と同様に分析したところ、[waav=36.82wt%、[wbav=63.18wt%が得られ、これからの標準偏差は共にσa=σb=1.62%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるCeとGdの含有量の和の平均変動係数(α)は、2.6%と算出された。以上の結果を表2にまとめて示した。これから、αは本発明で規定する15%以下であり、実施例7の複合粉末は、構成元素が均一に分散していることが確認された。
〔実施例8〕
(1)(原料化合物及び有機酸の準備)
NiO/Gd0.1Ce0.91.95(NiO/GDC=(20wt%/80wt%))を形成するように各原料の秤量を行った。
すなわち、表1に示すようにNi源としての含水炭酸ニッケル(NiCO3)(Ni含量30.69%)435.3g、Ce源としての炭酸セリウム(Ce2(CO33・8H2O)(Ce含量40.54%)1222.5g、及びGd源としての炭酸ガドリニウム(Gd2(CO33・nH2O (Gd含量57.59%)107.31g(原子比で、Gd:Ceが0.1:0.9となるようにする。)を秤量した。
一方で、温度調節器及び撹拌機を備えた20Lセパラブルフラスコ中で、原料化合物中のNi原子のモル数に対して4/3当量、Ce原子、Gd原子のモル数に対してそれぞれ3当量のクエン酸3147gを2125L(リットル)の純水に加えてクエン酸溶液を調製した。これにCe原子のモル数とGd原子のモル数の和に対して6当量の重炭酸アンモニウム1962gを加えて前記容器中で、撹拌下室温で溶解させた。
(2)(中間生成物及び乾燥)
上記の重炭酸アンモニウムとクエン酸の混合水溶液に炭酸セリウム及び炭酸ガドリニウムを投入し、75℃まで加熱し、その温度で1時間反応させた。
これに、炭酸ニッケルを添加して同温度でさらに2時間反応させた。2時間で各金属塩は完全に溶解し、濃緑色透明溶液が得られた。
反応終了後、得られた溶液をスプレートドライヤーで乾燥させ、中間生成物である複合クエン酸塩の乾燥複合粉末を得た。なお、スプレードライヤーとしては、BDP−10型スプレーバッグドライヤー(大川原化工機社製)を使用し、入口温度:200℃、出口温度:125℃、アトマイザー回転数:15000rpmの条件で乾燥を行った。
(3)(粗焼成、仮焼成、本焼成、粉砕)
得られた乾燥複合粉末を実施例2と同様にして、粗焼成、仮焼成、本焼成し、さらに同様にして粉砕した。
(4)(成分分析)
得られた粉末について、実施例1と同様にしてSEM及びEDX分析を行った。
前記粉末のSEM写真(倍率×5000)は実施例1と同様であった。また、EDXによる、Ni、Gd、Ceのマッピング図によれば、各成分の偏析は確認されず均一に分布していることが確認された。
(5)(結果)
以上のごとくして測定した当該複合粉末について、走査型電子顕微鏡に付随したエネルギー分散X線分光装置(EDX)により測定した特性X線のピーク面積比より算出したニッケル元素の含有量(wa(wt%))と、セリウム元素とガドリニウム元素の和の含有量(wb(%))とを、式(1)の関係を満足するように、SEM像の20格子点のそれぞれの位置において決定した。
これにより、ニッケル元素の20点の平均含有量[waav=17.72wt%、セリウム元素とガドリニウム元素の和の20点の平均含有量[wbav=82.28wt%が得られ、これからの標準偏差は共にσa=σb=0.98%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるCeとGdの和の平均含有量の変動係数(α)は1.2%と算出された。以上の結果を表2にまとめて示した。これから、αは本発明で規定する15%以下であり、実施例8の複合粉末は、構成元素が均一に分散していることが確認された。
〔実施例9〕
(1)(原料化合物及び有機酸の準備)
NiO/Gd0.1Ce0.91.95を(NiO/GDC=(90wt%/10wt%))を形成するように各原料の秤量を行った。
すなわち、表1に示すようにNi源としての含水炭酸ニッケル(NiCO3)(Ni含量30.69%)1958.9g、Ce源としての炭酸セリウム(Ce2(CO33・8H2O)(Ce含量40.54%)152.8g、及びGd源としての炭酸ガドリニウム(Gd2(CO33・nH2O(Gd含量57.59%)13.41g(原子比で、Gd:Ceが0.1:0.9となるようにする。)を秤量した。
一方で、温度調節器及び撹拌機を備えた20Lセパラブルフラスコ中で、原料化合物中のNi原子のモル数に対して4/3当量、Ce原子、Gd原子のモル数に対してそれぞれ3当量のクエン酸3211gを2125L(リットル)の純水に加えてクエン酸溶液を調製した。これにCe原子のモル数とGd原子のモル数の和に対して6当量の重炭酸アンモニウム245gを加えて前記容器中で、撹拌下室温で溶解させた。
(2)(中間生成物及び乾燥並びに焼成)
上記の重炭酸アンモニウムとクエン酸の混合水溶液に炭酸セリウム及び炭酸ガドリニウムを投入し、75℃まで加熱し、その温度で1時間反応させた。
これに、炭酸ニッケルを添加して同温度でさらに2時間反応させた。2時間で各金属塩は完全に溶解し、濃緑色透明溶液が得られた。
反応終了後、得られた溶液を実施例8と同様にスプレートドライヤーで乾燥させ、得られた乾燥複合粉末を実施例2と同様にして、粗焼成、仮焼成、本焼成し、さらに同様にして粉砕した。
(3)(成分分析)
得られた粉末について、実施例1と同様にしてSEM及びEDX分析を行った。
前記粉末のSEM写真(倍率×5000)は実施例1と同様であった。また、EDXによる、Ni、Gd、Ceのマッピング図によれば、各成分の偏析は確認されず均一に分布していることが確認された。
(4)(結果)
以上のごとくして測定した前記複合粉末について、走査型電子顕微鏡に付随したエネルギー分散X線分光装置(EDX)により測定した特性X線のピーク面積比より算出したニッケル元素の含有量(wa(wt%))と、セリウム元素とガドリニウム元素の和の含有量(wb(%))とを、式(1)の関係を満足するように、SEM像の20格子点のそれぞれの位置において決定した。
これにより、ニッケル元素の平均含有量[waav=88.58wt%、セリウム元素とガドリニウム元素の和の平均含有量[wbav=11.42wt%が得られ、これからの標準偏差は共にσa=σb=2.25%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるNiの含有量の変動係数(α)は2.5%と算出された。以上の結果を表2にまとめて示した。これから、αは本発明で規定する15%以下であり、実施例9の複合粉末は、構成元素が非常に均一に分散していることが確認された。
〔実施例10〕
(1)(原料化合物及び有機酸の準備)
NiO/Gd0.05Ce0.951.975(NiO/GDC=(40wt%/60wt%))を形成するように各原料の秤量を行った。
すなわち、表1に示すようにNi源としての含水炭酸ニッケル(NiCO3)(Ni含量30.69%)870.6g、Ce源としての炭酸セリウム(Ce2(CO33・8H2O)(Ce含量40.54%)970.4g、及びGd源としての炭酸ガドリニウム(Gd2(CO33・nH2O(Gd含量57.59%)40.35g(原子比で、Gd:Ceが0.05:0.95となるようにする。)を秤量した。
一方で、温度調節器及び撹拌機を備えた20Lセパラブルフラスコ中で、原料化合物中のNi原子のモル数に対して4/3当量、Ce原子、Gd原子のモル数に対してそれぞれ3当量のクエン酸3170gを2125L(リットル)の純水に加えてクエン酸溶液を調製した。これにCe原子のモル数とGd原子のモル数の和に対して6当量の重炭酸アンモニウム1476gを加えて前記容器中で、撹拌下室温で溶解させた。
(2)(中間生成物及び乾燥並びに焼成)
上記の重炭酸アンモニウムとクエン酸の混合水溶液に炭酸セリウム及び炭酸ガドリニウムを投入し、75℃まで加熱し、その温度で1時間反応させた。
これに、炭酸ニッケルを添加して同温度でさらに2時間反応させた。2時間で各金属塩は完全に溶解し、濃緑色透明溶液が得られた。
反応終了後、得られた溶液を実施例8と同様にスプレートドライヤーで乾燥させ、得られた乾燥複合粉末を実施例2と同様にして、粗焼成、仮焼成、本焼成し、さらに同様にして粉砕した。
(3)(成分分析)
得られた複合粉末について、実施例1と同様にしてSEM及びEDX分析を行った。
前記粉末のSEM写真(倍率×5000)は実施例1と同様であった。また、EDXによる、Ni、Gd、Ceのマッピング図によれば、各成分の偏析は確認されず均一に分布していることが確認された。
(4)(結果)
以上のごとくして測定した前記複合粉末について、ニッケル元素の含有量(wa(wt%))と、セリウム元素とガドリニウム元素の和の含有量(wb(%))とを、式(1)の関係を満足するように、SEM像の20格子点のそれぞれの位置において決定した。
これにより、ニッケル元素の平均含有量[waav=36.56wt%、セリウム元素とガドリニウム元素の和の平均含有量[wbav=63.44wt%が得られ、これからの標準偏差は共にσa=σb=1.59%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるCeとGdの含有量の和の平均変動係数(α)は2.5%と算出された。以上の結果を表2にまとめて示した。これから、αは本発明で規定する15%以下であり、実施例10の複合粉末は、構成元素が均一に分散していることが確認された。
〔実施例11〕
(1)(原料化合物及び有機酸の準備)
NiO/Gd0.5Ce0.51.75(NiO/GDC=(40wt%/60wt%))を形成するように各原料化合物の秤量を行った。
すなわち、Ni源としての含水炭酸ニッケル(NiCO3)(Ni含量30.69%)870.6g、Ce源としての炭酸セリウム(Ce2(CO33・8H2O)(Ce含量40.54%)498.8g、及びGd源としての炭酸ガドリニウム(Gd2(CO33・nH2O(Gd含量57.59%)394.1g(原子比で、Gd:Ceが0.5:0.5となるようにする。)を秤量した。
一方で、温度調節器及び撹拌機を備えた20Lセパラブルフラスコ中で、原料化合物中のNi原子のモル数に対して4/3当量、Ce原子、Gd原子のモル数に対してそれぞれ3当量のクエン酸3126gを2125L(リットル)の純水に加えてクエン酸溶液を調製した。これにCe原子のモル数とGd原子のモル数の和に対して6当量の重炭酸アンモニウム1441gを加えて当該容器中で、撹拌下室温で溶解させた。
(2)(中間生成物及び乾燥並びに焼成)
上記の重炭酸アンモニウムとクエン酸の混合水溶液に炭酸セリウム及び炭酸ガドリニウムを投入し、75℃まで加熱し、その温度で1時間反応させた。
これに、炭酸ニッケルを添加して同温度でさらに2時間反応させた。2時間で各金属塩は完全に溶解し、濃緑色透明溶液が得られた。
反応終了後、得られた溶液を実施例8と同様にスプレートドライヤーで乾燥させ、得られた乾燥複合粉末を実施例2と同様にして、粗焼成、仮焼成、本焼成し、さらに同様にして粉砕した。
(3)(成分分析)
得られた複合粉末について、実施例1と同様にしてSEM及びEDX分析を行った。
前記粉末のSEM写真(倍率×5000)は実施例1と同様であった。また、EDXによる、Ni、Gd、Ceのマッピング図によれば、各成分の偏析は確認されず均一に分布していることが確認された。
(4)(結果)
以上のごとくして測定した前記複合粉末について、ニッケル元素の含有量(wa(wt%))と、セリウム元素とガドリニウム元素の和の含有量(wb(%))とを、式(1)の関係を満足するように、SEM像の20格子点のそれぞれの位置において決定した。
これにより、ニッケル元素の平均含有量[waav=38.52wt%、セリウム元素とガドリニウム元素の和の平均含有量[wbav=61.48wt%が得られ、これから標準偏差は共にσa=σb=1.61%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるCeとGdの和の平均含有量の変動係数(α)は2.6%と算出された。以上の結果を表2にまとめて示した。これから、αは本発明で規定する15%以下であり、実施例11の複合粉末は、構成元素が均一に分散していることが確認された。
〔実施例12〕
焼成温度を1400℃とするほかは実施例1と同様の実験を行った。
得られた粉末について、実施例1と同様にしてSEM及びEDX分析を行った。
前記粉末のSEM写真(倍率×5000)は実施例1と同様であった。また、EDXによる、Ni、Gd、Ceのマッピング図によれば、各成分の偏析が若干確認されたが許容範囲であった。
前記粉末について、ニッケル元素の平均含有量[waav=31.94wt%、セリウム元素とガドリニウム元素の和の平均含有量[wbav=68.06wt%が得られ、これから標準偏差は共にσa=σb=9.01%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるCeとGdの和の平均含有量の変動係数(α)は13.2%と算出された。以上の結果を表2にまとめて示した。これから、αは本発明で規定する15%以下であり、実施例12の複合粉末は、構成元素が均一に分散していることが確認された。
〔比較例1〕
(1) (NiOの合成)
含水炭酸ニッケル(NiCO3)(Ni含量30.69%)870.6gを800℃で10時間焼成し、酸化ニッケル(NiO)とした。
(2) (GDCの合成)
表1に示すようにCe源としての炭酸セリウム(Ce2(CO33・8H2O)(Ce含量40.54%)916.9g、及びGd源としての炭酸ガドリニウム(Gd2(CO33・nH2O(Gd含量57.59%)80.48g(原子比で、Gd:Ceが0.1:0.9となるようにする。)を秤量した。
一方で、温度調節器及び撹拌機を備えた20Lセパラブルフラスコ中で、原料化合物中に含まれるCe原子、Gd原子のモル数に対してそれぞれ3当量のクエン酸1877gを2125L(リットル)の純水に加えてクエン酸溶液を調製した。
(3) (中間生成物及び乾燥)
反応終了後、得られた溶液をスプレートドライヤーで乾燥させ、中間生成物である複合クエン酸塩の乾燥複合粉末を得た。なお、スプレードライヤーとしては、BDP−10型スプレーバッグドライヤー(大川原化工機社製)を使用し、入口温度:200℃、出口温度:125℃、アトマイザー回転数:15000rpmの条件で乾燥を行った。
(4) (粗焼成、仮焼成、本焼成)
前記乾燥複合粉末を実施例1と同様の焼成条件で粗焼成、仮焼成、本焼成した。続いて得られたGDC焼成複合粉末を実施例1と同様に粉砕した。
(5) (NiOとGDCの混合)
(1)により得られたNiOと(2)により得られたGDCを重量比で40:60になるように秤量し、サンプルミルで3分間混合しNiOとGDCの混合粉末を得た。
(6)(成分分析)
得られた混合粉末について、実施例1と同様にしてSEM及びEDX分析を行った。
図5は、当該粉末のSEM写真(倍率×5000)である。また、図6〜8はEDXによる、Ni、Ce、Gdのマッピング図である。また、EDXによる、Ni、Ce、Gdのマッピング図によれば、特にNiとCeに成分の偏析が認められた。
当該粉末について、ニッケル元素の平均含有量[waav=38.08wt%、セリウム元素とガドリニウム元素の和の平均含有量[wbav=61.92wt%が得られ、これから標準偏差は共にσa=σb=10.7%であった。したがって、平均含有量[Waavと[Wbavの大きい方であるCeとGdの和の平均含有量の変動係数(α)は17.3%と算出された。以上の結果を表2にまとめて示した。これから、αは本発明で規定する15%を超えており、比較例1(混合法)の複合粉末は、構成元素が不均一に分散していることが確認された。
Figure 2012164455
Figure 2012164455
上記詳述したように、本発明によれば、固体酸化物型燃料電池用燃料極材料として好適な均一組成を有する(NiO−GDC)複合粉末(複合微粒子)及びかかる均一組成のNiO−GDC複合粉末を得るための製造方法が提供される。
本発明の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料として好適な均一組成の(NiO−GDC)複合粉末は、従来の固相法や混合法によるものと比較してより高い均一組成のものである。この均一組成のNiO−GDC複合粉末を成形体として焼結したり、固体電解質上に塗布により層状に形成し、焼結した場合、当該焼結体はこの均一組成を受け継ぐので原理的に均一組成のNiO−GDC焼結体が得られると合理的に期待することができる。
また、本発明の製造方法によれば、このような均一組成のNiO−GDC複合粉末を得ることが可能になるのでその産業上の利用可能性は大きい。

Claims (8)

  1. セリウム元素とガドリニウム元素と酸素元素とからなる複合酸化物と、ニッケル元素と酸素元素とからなる酸化物とを含む複合粉末からなる固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末において、
    前記複合粉末は、前記複合粉末の走査型電子顕微鏡像(SEM像)の複数の位置において前記走査型電子顕微鏡に付随したエネルギー分散X線分光装置(EDX)により測定した特性X線のピーク面積比より算出したニッケル元素の含有量(wa(wt%))と、セリウム元素とガドリニウム元素の和の含有量(wb(wt%))とを、式(1)の関係を満足するように決定し、それぞれの位置における含有量から算出したニッケル元素の平均含有量[waav(wt%)、及びセリウム元素とガドリニウム元素の和の平均含有量[wbav(wt%)とを比較した場合に、その平均含有量の大きい元素の変動係数(α)が15%以下であることを特徴とする固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末。
    a+wb=100(wt%) (1)
  2. 前記[waavと[wbavのうち大きい方の元素の変動係数(α)が7%以下であることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末。
  3. 前記複合粉末が、10重量%から95重量%のNiOと、90重量%から5重量%の一般式(I)
    GdxCe1-x2-δ (I)
    (式において、0<x≦0.5、 0<δ≦0.25である。)で表される複合酸化物とからなるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末において、前記複合粉末を構成する金属元素を含有する原料化合物をクエン酸及びアンモニウム化合物の溶液を用いて溶液化し、乾燥・焼成することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末の製造方法。
  5. 前記複合粉末を構成する金属元素を含有する原料化合物をクエン酸及びアンモニウム化合物の溶液を用いて溶液化し、その溶液をスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して乾燥複合粉末を製造し、その乾燥複合粉末を750℃から1400℃で焼成することを特徴とする請求項4に記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末の製造方法。
  6. 前記複合酸化物を構成する金属元素を含有する原料化合物が、炭酸塩、酸化物、水酸化物、及び有機酸塩からなる群より選択される少なくとも1種類であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末の製造方法。
  7. 前記アンモニウム化合物が、アンモニア、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム及びクエン酸二アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種類であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末の製造方法。
  8. 前記乾燥複合粉末を800℃から1200℃で焼成することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末の製造方法。
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