JP2009037872A - セラミックス粉体と該粉体を用いた中温作動固体酸化物型燃料電池の空気極と電解質層との積層部材並びにその製造方法 - Google Patents

セラミックス粉体と該粉体を用いた中温作動固体酸化物型燃料電池の空気極と電解質層との積層部材並びにその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009037872A
JP2009037872A JP2007201252A JP2007201252A JP2009037872A JP 2009037872 A JP2009037872 A JP 2009037872A JP 2007201252 A JP2007201252 A JP 2007201252A JP 2007201252 A JP2007201252 A JP 2007201252A JP 2009037872 A JP2009037872 A JP 2009037872A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
air electrode
powder
specific surface
surface area
cerium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007201252A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Ryu
宇 劉
Masashi Mori
昌史 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Research Institute of Electric Power Industry
Original Assignee
Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Research Institute of Electric Power Industry filed Critical Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority to JP2007201252A priority Critical patent/JP2009037872A/ja
Publication of JP2009037872A publication Critical patent/JP2009037872A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Inert Electrodes (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】空気極支持型のIT−SOFC用の空気極と電解質との積層部材を得る。
【解決手段】空気極材料を比表面積が4m/g超のランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体と比表面積が30m/g超のセリウム系酸化物固溶体粉体との混合粉体とし、電解質材料を比表面積が10m/g超〜40m/g未満のセリウム系酸化物固溶体粉体とし、空気極材料からなる空気極基材3と、空気極基材3の片側表面に形成された電解質材料からなる電解質層2とを有し、空気極基材3と電解質層2とが共焼結されているものとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、中温作動固体酸化物型燃料電池(以下、IT−SOFCと呼ぶ)の空気極と電解質層との積層部材に関する。さらに詳述すると、本発明は、セリウム系酸化物固溶体を電解質層とした空気極支持型のIT−SOFC用単セルを作製する際に好適なIT−SOFC空気極用のセラミックス粉体材料と該粉体材料を用いたIT−SOFC用の空気極と電解質層との積層部材の製造方法並びにIT−SOFC用の空気極と電解質層との積層部材に関する。
尚、本明細書において、中温作動固体酸化物型燃料電池とは、400℃〜600℃で作動させる固体酸化物型燃料電池を意味している。
環境に優しい燃料電池を最大限活用した社会構築の取り組みが始まっている。貴金属触媒を用いない固体酸化物型燃料電池(SOFC)の実現は、資源的制約を受けることがないため、普及を阻害することなく、燃料電池社会の構築に大きく寄与できると考えられる。1000℃付近で作動する高温型の固体酸化物型燃料電池(HT−SOFC)は、電池本体以外にも、ボトミングサイクルによる発電が期待できるため、電気事業用大容量発電に適している。一方で、コンパクト性を必要とされる家庭用コージェネレーションや自動車用動力源、移動用電源などの用途では電池本体のみの発電となり、燃料電池本体の発電効率と共に、急速起動・停止特性も重要になってくる。高温作動固体酸化物型燃料電池の高い性能を維持したまま燃料電池の作動温度を低下できれば、起電力が高くなると共に燃料電池本体での発電効率も向上し、急速起動・停止特性を付与し易くなる。そこで、燃料電池の作動温度の低温化を図るための研究が各種行われている。
セリウム系酸化物固溶体は、以前から低い機械強度、還元雰囲気下における電子伝導性及び還元膨張の発現などの問題点が指摘されているものの、その豊富な資源量や高い酸化物イオン導電性は作動温度の低い燃料電池用の電解質材料として魅力ある長所を持っている。セリウム系酸化物固溶体のイオン導電性は、従来HT−SOFC(高温固体酸化物型燃料電池)の電解質材料として用いられているイットリア安定化ジルコニア(YSZ)と比較し、かなり高いことが知られている。例えば、特許文献1では、電解質層としてセリウム系酸化物固溶体を用いた固体酸化物型燃料電池が開示されている。
しかしながら、セリウム系酸化物固溶体のイオン導電性は、500〜600℃の温度域で作動させる燃料電池であるIT−SOFCの電解質として用いる場合には、十分に高いものとは言えない。そこで、電解質の厚みを10〜30μmに薄膜化して高性能化を図ることが不可欠であるが、このような薄膜を単体で扱うことは極めて困難である。したがって、厚みを持たせることが可能な多孔質電極の上にセリウム系酸化物固溶体の薄膜を緻密成膜し、機械強度を高めて取り扱う必要がある。
ところで、焼成した多孔質電極を基材101として、その基板上に電解質材料を薄膜コーティングして電解質層102を形成し、基材101と電解質層102とを同時に焼成すると、基材101は膨脹し、コーティングした電解質層102は収縮挙動を示す(図23)。そのため、基材101と電解質層102にかかる応力の方向が異なることに起因して、強度の弱い電解質層102にクラック103が発生することになる。これを防ぐためには、未焼成の基材と電解質層とを同時に焼成する共焼結技術が有効である。
ここで、共沈法等で合成したセリウム系酸化物固溶体微粒子を用いて緻密電解質を形成するためには1300℃以上の焼成温度が必要である。しかしながら、このような高温焼成処理を行った場合、電極の多孔性喪失や電極と電解質の化学反応によるセル部材の変質等によるセル特性の喪失等の問題が生じる。
酸化ニッケルとセリウム系酸化物固溶体を混合した燃料極材料により燃料極部材を作製すると、高温焼成により多孔性が喪失して緻密になった場合でも、燃料電池作動中に燃料極部材が還元雰囲気に晒されることで、燃料極部材中のNiOが還元されてNiに変化すると同時に気孔が形成され、再び多孔性となることが知られている。しかも酸化ニッケルとセリウム系酸化物固溶体は反応しないため、1300℃で焼成しても反応生成物の形成が無く、導電率等の性質を低下させることは無い。したがって、IT−SOFCの分野においては、燃料極支持型構造の単セルの開発が主流となっている(例えば、非特許文献1、2を参照)。燃料極支持型構造の単セルは、燃料極を基材としてその外側表面に電解質層を形成し、基材と電解質層とを同時に焼成(共焼結)した後、最終工程で空気極層を形成し、焼成処理することにより製造される。
特開2004−143023 T.Suzuki, T. Yamaguchi,Y.Fujishiro, M. Awano, and Y. Funahashi,"Micro Tubular SOFCs for Micro Ceramic Reactor System", P0403, in Proceedings (CD) of 7thEuropean Solid Oxide Fuel Cell Forum, Lucerne/Switzerland, 3-7, July 2006. S.Pinol, M. Morales,M.Segarra, and F. Espiell,"Low Temperature Anode Supported SOFCs Based on DopedCeriaElectrolyte", P0432, inProceedings (CD) of 7th European Solid Oxide Fuel Cell Forum,Lucerne/Switzerland,3-7, July 2006.
しかしながら、上述の燃料極支持型構造の単セルの場合、最終工程の焼成処理で燃料極基材と電解質層との共焼結体は膨張し、空気極層が収縮するため、電解質層にクラックが入ったりセルが破壊したりする虞があった。そして、この虞は空気極層の厚みが厚くなるほど高まることから、上述した燃料極支持型構造の単セルにおいては、空気極層を厚くすることができなかった。その結果として空気極層の集電損失が大きくなり、単セルの出力特性の向上を十分に図れない問題があった。
また、燃料極支持型構造のセルを円筒型とした場合、集電体が設けられているセルの外側には空気が流されるので、集電体が酸素に晒されてしまう。したがって、酸化する材料、例えば金属を集電体として用いると、集電体が劣化してしまうため、集電体として使用可能な材料が限られてしまう問題があった。
そこで、セルの構造を空気極支持型とすれば、空気極を基材としてその厚みを厚くできると共に、燃料極を空気極基材の外側に形成することができるので、集電に関する欠点は解消されるが、空気極と電解質とを1300℃で共焼結すると、電解質の緻密性と共に空気極の緻密性も高まって、空気極のガス拡散性能が喪失してしまうという問題があった。
酸化ニッケルとセリウム系酸化物固溶体を混合した燃料極部材の場合、共焼結により緻密性が高まってガス拡散性能が喪失しても、燃料電池作動中に還元性ガスによりNiOがNiに還元されて再び多孔性となり、ガス拡散性能が発現することが知られている。しかし、空気に晒すことにより多孔性が発現する空気極材料は知られていない。したがって、電解質と空気極とを共焼結する場合には、共焼結直後に空気極として必要な多孔性が確保されている必要がある。
また、共焼結を行うことで、空気極基材の熱収縮方向と電解質薄膜の熱収縮方向を同じ方向としても、空気極基材と薄膜電解質の熱収縮率の差により、電解質薄膜にクラックが生じる虞がある。したがって、空気極基材と薄膜電解質の熱収縮率をできるだけ近づける必要がある。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、空気極支持型構造のIT−SOFC単セルを提供することを目的とする。
また、本発明は、空気極支持型のIT−SOFC単セルを共焼結により製造することを目的とする。
かかる目的を解決するため、本願発明者らが鋭意研究した結果、1200℃の焼成温度でもIT−SOFCに必要な相対密度を確保できる電解質材料の条件を見出した。そして、さらに鋭意研究を行ったところ、この電解質材料により形成された電解質層の熱収縮率に近づけるための空気極材料の条件を知見し、本願発明に至った。
かかる知見に基づく請求項3に記載のセラミックス粉体は、組成式(L1−xAE1−y(Fe1−z)O3+δで表され、Lはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、AEはカルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)の群からなる一種又は二種の元素であり、Mはマグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<x<0.5、0≦y≦0.04、0≦z<1であるランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物であり、比表面積が4m/g超であることを特徴としている。
また、請求項4に記載のセラミックス粉体は、組成式(La1−xAE1−y(Fe1−z)O3+δで表され、AEはカルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)の群からなる一種又は二種の元素であり、Mはマグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<x<0.5、0≦y≦0.04、0≦z<1であるランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物であり、比表面積が4m/g超であることを特徴としている。
これらのセラミックス粉体によると、比表面積を4m/g超としているので、これらのセラミックス粉体により形成された成形体(以下、セラミックス成形体と呼ぶこともある)の熱収縮率を高めることができる。また、上記ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物の組成を0<y≦0.04とした場合には、セラミックス成形体の熱収縮率をさらに高めることができる。したがって、セラミックス成形体の熱収縮率をセリウム系酸化物固溶体粉体により形成された電解質層の熱収縮率に近づけることができる。
また、上記組成としたランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物は、ペロブスカイト型結晶構造の単相となる。したがって、電極性能は低下することがない。
さらに、上記セラミックス粉体は、成形時に添加するバインダーや、空気極の多孔性を確保するために添加する造孔剤による熱収縮率の変化がほとんどない。したがって、空気極に必要な所望の多孔性を確保しやすい。
尚、本明細書において組成式中に記載されている「δ」は、組成や温度等で種々変化する酸素量であり、規定することに意味の無い数値である。
また、本明細書における「比表面積」は、BET法により測定した値である。
次に、請求項5に記載のセラミックス粉体は、上述したセラミックス粉体に、組成式Ce1−wLn2+δで表され、Lnはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素(但し、セリウム(Ce)は除く)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<w≦0.4であるセリウム系酸化物固溶体であり、比表面積が30m/g超であるセリウム系酸化物固溶体粉体が20体積%超〜50体積%未満の割合で混合されていることを特徴としている。
このセラミックス粉体によると、比表面積が30m/g超である上記組成のセリウム系酸化物固溶体の粉体を上述のセラミックス粉体50体積%超〜80体積%未満に対して、20体積%超〜50体積%未満の割合で混合しているので、このセラミックス粉体により形成された成型体の熱収縮率をさらに高めて、セリウム系酸化物固溶体粉体により形成された電解質層の熱収縮率に近づけることができる。
また、このセラミックス粉体によると、セリウム系酸化物固溶体の粉体が混合されているので、このセラミックス粉体により形成された成形体を空気極基材としてその片側表面にセリウム系酸化物固溶体粉体により電解質層を形成し、空気極基材と電解質層とを共焼結した際に、三相界面、即ち、空気極、電解質及び空気の接触面積を増大させることができる。したがって、反応場を増大させて発電効率を高めることができる。
尚、セリウム系酸化物固溶体の混合割合は、20体積%超〜50体積%未満とすることが好ましい。セリウム系酸化物固溶体の導電率は上記ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物の導電率よりも三桁低い値であるから、セリウム系酸化物固溶体粉体の混合割合を50体積%以上とすると導電率が著しく低くなり、電極性能が低下してしまう。一方、20体積%以下にすると十分な収縮率が得られ難くなり、共焼結時に電解質層にクラックが発生する虞がある。
次に、請求項1に記載のIT−SOFC用の空気極と電解質との積層部材は、空気極材料を比表面積が4m/g超のランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体と比表面積が30m/g超のセリウム系酸化物固溶体粉体との混合粉体とし、電解質材料を比表面積が10m/g超〜40m/g未満のセリウム系酸化物固溶体粉体とし、ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体の組成式は、(L1−xAE1−y(Fe1−z)O3+δで表され、Lはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、AEはカルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)の群からなる一種又は二種の元素であり、Mはマグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<x<0.5、0≦y≦0.04、0≦z<1であり、各セリウム系酸化物固溶体粉体の組成式は、Ce1−wLn2+δで表され、Lnはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素(但し、セリウム(Ce)は除く)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<w≦0.4であり、混合粉体には、比表面積が30m/g超のセリウム系酸化物固溶体粉体が20体積%超〜50体積%未満含まれ、空気極材料からなる空気極基材と、空気極基材の片側表面に形成された電解質材料からなる電解質層とを有し、空気極基材と電解質層とが共焼結されているものである。
このIT−SOFC用の空気極と電解質との積層部材は、請求項2に記載のように、空気極の気孔率が30%以上であり、且つ電解質の相対密度が92%以上となる。しかも、空気極材料粉体にセリウム系酸化物固溶体粉体が混合されているので、三相界面、即ち、空気極と電解質と空気との接触面積が増大する。したがって、反応場が増大して発電効率が高められる。
ここで、「相対密度」とは、試料の実測密度と、格子定数値から得られた理論密度から、以下に示す数式1により計算される値である。
[数式1] (相対密度)=100×(試料密度)/(理論密度)
また、「気孔率」とは、数式1により計算される相対密度から、以下に示す数式2により計算される値である。
[数式2] (気孔率)=100−(相対密度)
また、請求項6に記載のIT−SOFC用の空気極と電解質層との積層部材の製造方法は、空気極材料を成形して空気極基材を作製する工程と、空気極基材の片側表面に電解質材料を湿式法によりコーティングして電解質層を形成する工程と、空気極基材と電解質層とを共焼結する工程とを含み、空気極材料として比表面積が4m/g超のランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体と比表面積が30m/g超のセリウム系酸化物固溶体粉体との混合粉体を使用し、電解質材料として比表面積が10m/g超〜40m/g未満のセリウム系酸化物固溶体粉体を使用し、各セリウム系酸化物固溶体粉体の組成式は、Ce1−wLn2+δで表され、Lnはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素(但し、セリウム(Ce)は除く)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<w≦0.4であり、ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体の組成式は、(L1−xAE1−y(Fe1−z)O3+δで表され、Lはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、AEはカルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)の群からなる一種又は二種の元素であり、Mはマグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<x<0.5、0≦y≦0.04、0≦z<1であり、混合粉体には、比表面積が30m/g超の前記セリウム系酸化物固溶体粉体が20体積%超〜50体積%未満含まれるようにしている。
したがって、この製造方法によると、空気極基材の熱収縮率と電解質層の熱収縮率とを近づけて、空気極基材と電解質層とを電解質層にクラックを生じさせることなく共焼結することができる。
請求項1及び2に記載のIT−SOFC用の空気極と電解質層との積層部材によれば、IT−SOFC用の空気極に必要な気孔率と、IT−SOFC用の電解質に必要な相対密度が確保されているので、この積層部材を用いることで、優れた特性を有するIT−SOFCを作製することができる。しかも、空気極基材を構成する空気極材料粉体にセリウム系酸化物固溶体粉体が混合されているので、三相界面、即ち、空気極と電解質と空気との接触面積が増大する。したがって、反応場を増大させて発電効率を高めることが可能となる。また、空気極を基材としているので、空気極の厚みが確保される。したがって、空気極の過電圧を低減して集電損失を減らすことができる。
請求項3及び4に記載のセラミックス粉体によれば、このセラミックス粉末により形成された成形体の熱収縮率をセリウム系酸化物固溶体粉体により形成された電解質層の熱収縮率に近づけることができる。また、このセラミックス粉体によれば、成形時に添加するバインダーや、空気極の多孔性を確保するために添加する造孔剤による熱収縮率の変化がほとんどなく、空気極に必要な所望の多孔性を確保しやすい。さらに、このセラミックス粉体は、ペロブスカイト型結晶構造の単相となるから、電極性能は低下することがない。
請求項5に記載のセラミックス粉体によれば、このセラミックス粉体により形成された成型体の熱収縮率を請求項3及び4に記載のセラミックス粉体よりもさらに高めて、セリウム系酸化物固溶体粉体により形成された電解質層の熱収縮率に近づけることができ、セラミックス成形体を空気極基材としてその片側表面にセリウム系酸化物固溶体粉体により電解質層を形成し、電解質層にクラックを生じさせることなく空気極基材と電解質層とを共焼結することが可能となり、空気極支持型の空気極と電解質層との積層部材の作製が可能となる。また、このセラミックス粉体によると、セリウム系酸化物固溶体の粉体が混合されているので、このセラミックス粉体により形成された成形体を空気極基材としてその片側表面にセリウム系酸化物固溶体粉体により電解質層を形成し、空気極基材と電解質層を共焼結した際に、三相界面、即ち、空気極、電解質及び空気の接触面積を増大させることができる。したがって、反応場を増大させて発電効率を高めることができる。
請求項6に記載のIT−SOFC用の空気極と電解質層との積層部材の製造方法によれば、空気極基材と電解質層とを電解質層にクラックを生じさせることなく共焼結することができる。しかも、空気極基材と電解質層とを共焼結した際に、三相界面、即ち、空気極、電解質及び空気の接触面積を増大させることができる。また、IT−SOFC用の空気極に必要な気孔率と、IT−SOFC用の電解質に必要な相対密度が確保されるので、優れた特性を有するIT−SOFC用電解質/空気極積層部材の作製が可能になる。また、円筒状のIT−SOFC単セルを作製する場合、空気極を内側にすることができると共にその厚みを厚くすることができるので、集電体を酸化させることなく、集電ロスを最小限に抑えて、長期に亘って安定に集電することが可能となる。また、集電体の酸化が起こらないので、集電体の材料として金属等の使用が可能となる。さらに、空気極基材と電解質層とを同時に焼成することができるので、焼成にかかるコストと時間を抑えて製造コストの低減並びに製造時間の短縮を図ることが可能となる。また、空気極基材の熱収縮挙動と電解質層の熱収縮挙動が近似しているので、空気極と電解質層との積層部材に残留応力が発生しにくく、機械的に信頼性の高い部材を製造することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に本発明のIT−SOFC用の空気極と電解質層との積層部材を示す。この積層部材1’は、空気極材料粉体を成形して空気極基材3を作製する工程と、空気極基材3の片側表面に電解質材料粉体を湿式法によりコーティングして電解質層2を形成する工程と、空気極基材3と電解質層2とを共焼結する工程とにより製造される。そして、図2に示す単セル1は、図1に示す積層部材1’の電解質層2の表面に燃料極層4が形成されているものである。尚、本明細書における電解質層とは、IT−SOFCの固体電解質層を意味している。
空気極材料として比表面積が4m/g超のランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体と比表面積が30m/g超のセリウム系酸化物固溶体粉体との混合粉体を使用し、
電解質材料として比表面積が10m/g超〜40m/g未満のセリウム系酸化物固溶体粉体を使用する。
空気極材料及び電解質材料に用いられる各セリウム系酸化物固溶体粉体は、その組成を同じものとしながらも、比表面積の範囲を異にしている。以下、電解質材料と空気極材料について詳細に説明する。
電解質材料は電解質層2を形成するための材料であり、比表面積が10m/g超〜40m/g未満のセリウム系酸化物固溶体粉体である(以下、電解質用CLO粉体と呼ぶ)。
電解質用CLO粉体の比表面積(S)は、10<S<40m/gとすることが好ましく、より好ましくは20≦S<40m/g、さらに好ましくは30≦S<40m/g、最も好ましくはS=30m/gである。S>10m/gとすることで、当該粉体から形成された電解質層2の相対密度(緻密性)の十分に高めてIT−SOFCに求められる電解質性能を満たすことができる。S≦10m/gの場合には、1200℃で焼成しても相対密度が十分に高まらない。その反面、S≧40m/gの場合には、1100℃程度で相対密度が十分に高まるものの、熱収縮率が高まり過ぎて、空気極管3との共焼結が難しくなる。尚、S≧30m/gとすれば、1200℃で少なくとも5時間焼成することで92%以上の相対密度を確実に確保でき、好ましい。
電解質用CLO粉体は組成式Ce1−wLn2+δで表され、Lnはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素(但し、Ceは除く)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<w≦0.4である。
このセリウム系酸化物固溶体の代表的な組成の一例として、Ce0.9Gd0.11.95が知られている。そして、セリウム(Ce)とガドリニウム(Gd)は希土類元素であり、Gdの代わりに、スカンジウム(Sc)やイットリウム(Y)を含む他の希土類元素(La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)により部分置換できることが知られている。
部分置換範囲wは、0<w<0.5であれば、酸化物イオン導電性を確保できるが、0<w≦0.4とすることが好ましく、0<w≦0.3とすることがより好ましい。部分置換する前のCeOの結晶構造は、ホタル石形構造である。希土類元素でこのホタル石形構造をとるのは、セリウム系酸化物固溶体だけであり、その他の希土類元素は、A−希土構造、B−希土構造、C−希土構造をとる。したがって、wが0.5以上になると、ホタル石形構造をとらなくなる可能性があり、ホタル石形構造の特徴である酸化物イオン導電性が喪失してしまう。そのため、結晶系が確実にホタル石形構造をとるwが0.4以下とすることが好ましい。
上記組成式で表されるセリウム系酸化物固溶体は、上記組成式を構成する元素を含む原料により合成される。即ち、Ceを含む原料、Lnを含む原料を出発原料とする。出発原料の形態としては、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、或いは構成元素そのもの等が挙げられるが、これらに限られるものではなく、上記組成式で表されるセリウム系酸化物固溶体を生成し得る原料であれば用いることができる。
出発原料は上記組成式の組成比となる比で混合する。混合は、例えばエタノール等の有機溶媒を用いて湿式混合により行う。湿式混合後は乾燥して溶媒を揮発させる。次に、空気中で仮焼する。仮焼の条件としては、例えば700〜1200℃の温度で、5〜20時間程度行えばよいが、この条件に限られるものではない。この一連の工程を一度行えば目的の試料を合成できるが、合成が十分に行えない場合には、この一連の工程を数回繰り返してもよい。仮焼後の試料は、ボールミル等を用いて所望の粒径に粉砕する。尚、ここで挙げた合成方法は一つの例であり、この合成方法に限定されない。
試料の比表面積は、例えば、共沈法やクエン酸法等の各種液相方法、ボールミル等による粉砕の方法や処理時間、合成温度・時間により制御することができるが、所望の比表面積に制御できるのであれば、これらの方法には限られない。
空気極材料は空気極管3を形成するための材料であり、比表面積が4m/g超のランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体(以下、LFO粉体と呼ぶ)と比表面積が30m/g超のセリウム系酸化物固溶体粉体(以下、空気極用CLO粉体と呼ぶ)とを混合した混合粉体が用いられる。
ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物の組成式は、(L1−xAE1−y(Fe1−z)O3+δで表され、Lはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、AEはカルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)の群からなる一種又は二種の元素であり、Mはマグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<x<0.5、0≦y≦0.04、0≦z<1である。
ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物はペロブスカイト型酸化物(ABO)である。代表的な組成の一例として、La0.6Sr0.4Fe0.8Co0.23+δが知られており、この場合、AサイトにはLaとSrが、BサイトにはFeとCoが配されている。AサイトはLaの代わりに、スカンジウム(Sc)やイットリウム(Y)を含む他の希土類元素(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)により部分置換でき、Srの代わりに、Caで部分置換できることが知られてる。BサイトはCoの代わりに、イオン半径がCoに近い遷移金属元素であるMg、Sc、Ti、V、Cr、Niにより部分置換できることが知られている。
Aサイト中のLとAEの組成比については、0<x<0.5であることが好ましく、より好ましくは0.1≦x≦0.4、さらに好ましくは0.2≦x≦0.3である。x=0、x≧0.5とした場合には触媒活性及び導電率が低下する。
Bサイト中のFeとMの組成比については、0≦z<1と幅を持たせているが、例えば、La1−xSrFeOは熱膨張率が外の部材と一致しやすいのに対し、La1−xSrMO、特に、La1−xSrCoOは触媒活性や導電率が高い。つまり、zが1に近づけば熱膨張率が外の部材と一致し易くなり、zが0に近づけば触媒活性や導電率が高まる。したがって、必要とする電極特性との兼ね合いによりzの値を決定すればよい。
AサイトとBサイトの組成比を決定するyは、0≦y≦0.04の範囲で単相のペロブスカイト型酸化物となる。また、0<y≦0.04とすることで、このLFO粉体により成形される空気極管3の熱収縮率を高める効果がある。この効果は、0.01≦y≦0.03とすることでより高まり、y=0.02とすることでさらに高まる。
そして、このランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物は、0<y≦0.04の範囲ではBサイト過剰組成の不定比ペロブスカイト酸化物となるにもかかわらず、その結晶構造が単相となる。したがって、0≦y≦0.04の範囲内では、スピネル(Fe,Co)等の析出が起こらず、空気極としての電極活性が十分に維持される。
ここで、xの値とyの値が大きくなるにつれて、ペロブスカイト型酸化物が単相となるzの範囲が狭まる場合がある。本願発明者等の実験によると、(La1−xSr1−y(FeCo1−z)O3+δの場合、x=0.2とすると、y=0.02では、0.1<z≦0.9の範囲で単相となり、y=0.04では、0.2<z<0.9の範囲で単相となることが確認されている。また、x=0.4とすると、y=0.02では、0.1<z<0.9の範囲で単相となり、y=0.04では、0.3<z<0.8の範囲で単相となることが確認されている。
つまり、zの値は、空気極として要求される電極特性と共に、空気極がペロブスカイト型酸化物の単相となる範囲となるよう、xの値とyの値とにより適宜決定される。
このランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物からセラミックス粉体(LFO粉体)を形成し、その比表面積(S)をS>4m/gとすることにより、このセラミックス粉体により形成された成形体の熱収縮率を高めることができる。S≦4m/gの範囲では、熱収縮率が十分に高まらないため、電解質層2の熱収縮率に近づけることができず、空気極管3と電解質層2とを共焼結した際に電解質層2にクラックが発生する虞があり、好ましくない。
また、LFO粉体の比表面積(S)の上限値については、S≦13m/gであれば、問題なく使用できた。ここで、LFO粉体がペロブスカイト構造を有する複合酸化物であるため、結晶構造の形成に際し加熱する必要がある。したがって、比表面積が13m/gを超えるLFO粉体は入手が困難であり、上限値を規定することが難しい。しかしながら、電解質層2の熱収縮率と近く、且つ空気極管3と電解質層2とを共焼結した際に電解質層2にクラックが発生したり、電解質層2が空気極管3から剥離することのない比表面積を有するLFO粉体であれば、比表面積が13m/gを超えるLFO粉体を使用することも可能である。
ここで、本発明者等の実験によれば、ボールミル工程により熱収縮率が高まることが確認されている。粒子には、一次粒子と二次粒子があり、粒子の最小単位は一次粒子である。一次粒子が小さいと、一次粒子単独では存在できなくなり、静電気的な力で一次粒子同士が凝集する。これが二次粒子である。そして、ボールミル工程を行うことにより、凝集していた二次粒子が解砕されるため、熱収縮率が高まる。尚、ボールミル工程を行うことで、比表面積も若干大きくなるものの、ボールミル工程前後の比表面積の変化がBET法の測定値に表れないほど小さい場合がある。つまり、比表面積(S)が4m/gのセラミックス粉体をボールミル処理しても、BET法の測定値として、比表面積がボールミル処理前と同様の4m/gを示す場合がある。しかしながら、この場合も、理論上はセラミックス粉体の比表面積が4m/gよりも若干大きくなっていると考えられ、本発明の範囲に含まれる。
上記組成式で表されるランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物は、上記組成式を構成する元素を含む原料により合成される。即ち、Lを含む原料、AEを含む原料、Feを含む原料、Mを含む原料を出発原料とする。出発原料の形態としては、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、或いは構成元素そのもの等が挙げられるが、これらに限られるものではなく、上記組成式で表されるランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物を生成し得る原料であれば用いることができる。
出発原料は上記組成式の組成比となる比で混合する。混合は、例えばエタノール等の有機溶媒を用いて湿式混合により行う。湿式混合後は乾燥して溶媒を揮発させる。次に、空気中で仮焼する。仮焼の条件としては、例えば800〜1200℃の温度で、5〜20時間程度行えばよいが、この条件に限られるものではない。この一連の工程を一度行えば目的の試料を合成できるが、合成が十分に行えない場合には、この一連の工程を数回繰り返してもよい。仮焼後の試料は、ボールミル等を用いて所望の粒径に粉砕する。尚、ここで挙げた合成方法は一つの例であり、この合成方法に限定されない。
試料の比表面積は、例えば、共沈法やクエン酸法等の各種液相方法、ボールミル等による粉砕の方法や処理時間、合成温度・時間により制御することができるが、所望の比表面積に制御できるのであれば、これらの方法には限られない。
空気極用CLO粉体は、電解質材料粉体である電解質用CLO粉体と同じ組成を有するものである。但し、比表面積の範囲は電解質用CLO粉体とは異なり、比表面積を30m/g超とするものである。
空気極用CLO粉体の比表面積は、電解質用CLO粉体の比表面積よりも大きくすることが好ましい。この場合には、ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体と空気極用CLO粉体とを混合した粉体を成形して得られる空気極管3の熱収縮率を電解質層2の熱収縮率に近づけ易くなる。本発明者等の実験によると、電解質用CLO粉体の比表面積が30m/gの場合、ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体(比表面積4m/g)をボールミル処理した粉体に対して空気極用CLO粉体の比表面積を40m/gとすることが好ましいことが確認されている。つまり、空気極用CLO粉体は、電解質用CLO粉体よりも大きい比表面積、特に電解質用CLO粉体よりも比表面積を10m/g程度大きくすることが好ましい。そして、空気極用CLO粉体の比表面積(S)は、30<S<50m/gとすることが好ましく、40≦S<50m/gとすることがさらに好ましい。
ここで、LFO粉体に対する空気極用CLO粉体の混合割合αは、α≦20体積%の範囲では、熱収縮率が十分に高まらないため、電解質層2の熱収縮率に近づけることができず、空気極管3と電解質層2とを共焼結した際に電解質層2にクラックが発生する虞がある。また、ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物はセリウム系酸化物固溶体と反応しないが、セリウム系酸化物固溶体の導電率はランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物と比較して3桁程度低いため、α≧50体積%の範囲では、空気極としての電極特性の低下が引き起こされる。したがって、混合割合αは20<α<50体積%とすることが好ましく、より好ましくは25<α<45体積%、さらに好ましくは30<α<40体積%である。尚、体積%は以下に示す数式3により計算される値である。
[数式3] (混合割合α(体積%))=(空気極用CLO粉体の体積)/((空気極用CLO粉体の体積)+(LFO粉体))×100
また、LFO粉体に空気極用CLO粉体を混合した場合、電解質層2と空気極管3と空気の接触面積を増大させて、反応場を増やすことにより、発電効率を高めることができる。
次に、本発明のIT−SOFC用の空気極と電解質との積層部材を適用したIT−SOFC単セルの製造方法について説明する。
空気極管3は、LFO粉体と空気極用CLO粉体との混合粉体とバインダーと造孔剤とを混合して成形することにより作製される。ここで、空気極管3は、多孔性であることが不可欠である。バインダーの混合のみで所望の多孔性を確保しようとすると、押し出し用の粘土が柔らかくなり過ぎて、押し出しの際の高い精度を確保できなくなるため、粘土の粘性に影響せず孔の形成を促進する造孔剤を混合する。また、溶媒の水系、非水系の選択、押し出す管の大きさによってもバインダーの添加量は大きく影響する。したがって、バインダーの添加重量はこれらの因子を考慮し、決定する必要があるが、一般的に、2mmφのチューブを押し出す場合、バインダーは3〜15重量%混合することが好ましい。3重量%以下では押し出す粘度が固すぎて押し出すことができず、15重量%以上では押し出す粘度が柔らかすぎて変形してしまう。押し出す圧力に関しては、押し出しチューブの大きさによって大きく依存するが、2mmφのチューブの場合、セラミックス粉体とバインダーの混合物を、200kgf/cm程度で加圧成形することにより空気極管3が得られる。この場合、空気極管3の厚みは例えば0.3mm程度である。尚、空気極管3の厚みは、空気極管の直径にも大きく依存するが、例えば2mm付近直径をもつ空気極管の場合、300μm〜800μmとすることが好ましい。空気極管3の厚みを300μm未満とすると、機械強度不足のため基材として十分に機能せず、また、電流が流れる部位の電気抵抗が高くなるため集電損失を十分に低減することができない虞がある。空気極管3の厚みを800μm超とすると、ガス流路も狭くなりガス拡散性が著しく劣る。
水系バインダーとしては、エチルセルロースなどのセルロースを用いることができる。本発明者等の実験によれば、エチルセルロースを混合することにより、空気極管3の熱収縮率にほとんど影響を与えることなく、さらに所望の気孔率も確保できることが確認されている。したがって、バインダーを混合することによる熱収縮率への影響は考慮する必要が無い。尚、バインダーはセルロースに限られるものではなく、セルロースと同様の効果を得られる物質を適宜用いることができ、例えばエマルジョン樹脂なども用いることができる。
空気極の多孔性はバインダーの添加量により調整することができるが、量を多くすると押し出し時に成型体が変形してしまう。そのため、多孔性をさらに高める為に、グラファイトやメタクリル樹脂(PMMA)等の有機物を造孔剤として混合してもよい。ただし、造孔剤を多く混合すると焼結体が脆くなってしまうため、造孔剤の添加重量はこれらの因子を考慮し、決定する必要がある。本発明者等の実験によれば、グラファイトを混合することにより、空気極管3の熱収縮率にほとんど影響を与えることなく、気孔率を高めることができることが確認されている。したがって、グラファイトを混合することによる熱収縮率への影響は考慮する必要が無い。グラファイトの混合量は20重量%未満とすることが好ましく、10重量%以下とすることがさらに好ましい。20重量%以上では焼結体が脆くなる。尚、造孔剤はグラファイトやメタクリル樹脂(PMMA)に限られるものではなく、これらと同様の効果を得られる物質を適宜用いることができる。
電解質層2は、電解質用CLO粉体を湿式法により空気極基材の外側表面にコーティングして形成する。湿式法としては、スラリーコーティング法が挙げられる。他にも、スプレー法、ディッピング法を用いることができる。電解質層2の厚みは例えば10〜30μmとすることが好ましい。30μmを超えると、IT−SOFC用単セルとしての性能を確保し難くなる。また、10μm未満とすると、電解質層2に電子伝導性が発現し、本来、外部回路を通ってエネルギーとして用いられるはずの電子が電解質層2の中を通過し、熱エネルギーとして放出されてしまう。その結果、IT−SOFC用単セルとしての性能を確保し難くなる。
次に、空気極管3と電解質層2とを共焼結する。空気極は、焼成温度を1300℃とすると気孔率が10%程度になるため、空気極としての性能を確保できない。したがって、焼成温度を1300℃よりも低い温度とする必要がある。焼成温度を1200℃、焼成時間を10時間とした場合には30%の気孔率を確保できる。また、電解質層2を形成している電解質用CLO粉体は、焼成温度を1200℃として5時間以上焼成することで92%の相対密度を確保できる。したがって、共焼結する際の温度を1200℃、焼成時間を5〜10時間とすれば、焼成後の空気極管3の気孔率を30%以上、電解質層2の相対密度を92%以上とすることができる。尚、焼成後の空気極管3の気孔率が30%以上、電解質層2の相対密度が92%となるのであればこの焼成温度及び焼成時間に限定されるものではない。例えば、焼成温度xを1100℃<x<1300℃、好ましくは1150℃<x<1250℃の範囲として、5〜10時間焼成するようにするとよい。
また、共焼結時の昇温速度は、電解質層2の熱収縮に空気極管3の熱収縮が追随して電解質層2にクラックが発生しない速度であればよい。一般的には、0.5〜2℃/minであるが、この昇温速度に限定されるものではなく、空気極管3と電解質層2の熱収縮率がかなり近い値であり、且つ温度分布の存在しない電気炉などを用いればさらに速い昇温速度での共焼結が可能である。
以上の工程により、本発明のIT−SOFC用の空気極と電解質との積層部材を作製することができる。
次に、電解質層2の外面に燃料極4を塗布焼き付けする。燃料極4の材料としては、空気極管3の気孔率を低下させない焼き付け温度、例えば1200℃以下で焼き付け可能な材料を適宜選択できる。例えば、クエン酸法や共沈法で作製された焼き付け温度が低い酸化ニッケル−セリウム系酸化物の混合物を用いることができるが、この材料に限定されない。また、燃料極4は溶射法や電気化学的蒸着などの物理蒸着等を採用するようにしてもよいが、これらの方法には限定されない。尚、燃料極層4の厚みは例えば5〜50μmとすることが好ましい。5μm未満とすると、燃料極層4として要求される導電性の確保が難しくなる。また、50μm超とすると、燃料極層4が酸化・還元される際の体積変化により、燃料極層4が壊れやすくなる。つまり、本発明のIT−SOFC用の空気極と電解質との積層部材1’によれば、空気極を基材としていることから、燃料極を基材とすることなくその厚みを薄くすることができ、酸化・還元される際の体積変化により、燃料極層が破壊されるのを防止できるという利点を有する。しかも、酸化ニッケル−セリウム系酸化物の混合物の燃料極層は上述の空気極基材よりも導電率が高く、その厚みを5〜50μmとすれば集電損失を十分に防ぐことができる。
次に、IT−SOFCの形状及びモジュール構造について、図18〜図20に基づいて説明する。
図18に示す空気極支持型構造の円筒状IT−SOFC用単セルは、比較的大きい空気極円筒管への適用が考えられ、単セルにインターコネクタを有しているケースである。単セルが大きい場合、インターコネクタを単セルに設けることが容易となる。このIT−SOFC用単セル1は、円筒型の空気極管3と電解質層2と燃料極層4とにより同心状に形成されており、電解質層2と燃料極層4とを分断するように空気極管3上に形成されたインターコネクタ5によって空気極管3の電流が取り出せるように設けられている。インターコネクタ5と燃料極層4との間には電解質層2が露出しており、当該露出部分においてインターコネクタ5と燃料極層4とは電気的に絶縁されている。上側の単セル1の燃料極層4と下側の単セル1のインターコネクタ5とは、集電体6を介して直列に接続され、左右の単セル1の燃料極層4同士は、集電体6を介して並列に接続される。さらに、上側の単セル1のインターコネクタ5と上部集電板7、下側の単セル1燃料極層4と下部集電板8とは、それぞれ集電体6を介して電気的に接続される。これにより、上部集電板7にはセル全体のプラス出力電圧が、下部集電板8にはセル全体のマイナス出力電圧が出力される。
この円筒型IT−SOFC用単セルにおいては、空気が空気極管3の内側を流れ、燃料極層4の外側には燃料(水素、炭化水素等)が流れる。燃料極層4の外側を流れる燃料には酸素が含まれていないので、インターコネクタ5が設けられているこの単セルを電気的に直列・並列に接続する金属材料からなる集電体6が酸化することがない。したがって、集電体6として酸化しやすい材料を用いることが可能となり、材料の選択の幅が広がる。また、集電体の酸化による劣化が無くなるので、長期に亘って安定に集電することができる。さらに、この場合、空気極管3の厚みを厚くすることが可能になるので、空気極管3に内部電気抵抗が発生するのを防いで、集電ロスを少なくすることが可能となる。また、単セルやモジュールを格納する容器に金属を用いることが容易となる。
インターコネクタ5は、例えば、ランタンクロマイト系酸化物やチタン系酸化物等の酸化物系セラミックス、銀および銀合金系等の金属を、スラリーコーティング法、溶射法や電気化学蒸着法を用いて形成することができるが、これらに限定されるものではない。
ここで、比較的小さい空気極円筒管、例えば50μm〜5mmのチューブ径の円筒管の場合、単セルにインターコネクタを設けることが極めて困難になる。この場合には、図19に示すように、単セルを電気的に並列に配置して、立方体形状としたサブモジュール10を形成することが考えられる(特開2005−166470号公報参照)。
図19は、IT−SOFCサブモジュールの分解斜視図であり、図20は、IT−SOFCサブモジュールの外観斜視図である。図19に示すように、IT−SOFCサブモジュール10は、固体酸化物型燃料電池部11と、第1導電性マニホールド12と、第1シール部材13と、インターコネクタ14と、第2導電性マニホールド15と、第2シール部材16と、集電部材17とを備えている。
固体酸化物型燃料電池部11は、複数本の単セル1と、管接合電極部19とを備えている。
単セル1は、図2に示すように、空気極管3の外側表面に、薄膜状に形成された電解質層2が接合され、電解質層2の表面上にさらに燃料極層4が形成されたものである。空気極管3の一端には、電解質層2が接合されることなく空気極管3の一部がむき出し状態とされることにより、露出部3’が形成されている。この露出部3’は、空気極の外部引き出し電極として機能する。尚、燃料極層4の形成は省略して、電解質層2と管接合電極部19を直接接合するようにしてもよい。
管接合電極部19は、燃料極材料より形成された通気性のある多孔質体である。管接合電極部19の外形としては、IT−SOFCサブモジュール10を集積し易いなどの観点から、立方体形状または直方体形状に形成されることが好ましいが、特に限定されるものではなく、直方体、円柱、三角柱形状など、他の形状に形成されていても良い。
管接合電極部19は、単セル1を並列接続して集電する集電体(電気的接続部材)として機能する。
また、管接合電極部19は、複数本の単セル1を互いに長手方向に平行に配列固定し、隣り合う複数本の単セル1同士を電気的に接続する役割も有している。
また、管接合電極部19中において、単セル1は、空気極管3の一端に形成された露出部3’とこの露出部3’に隣接する電解質層2の一部とが、管接合電極部19の面19aより外側に突出されて固定され、管接合電極部19と露出部3’とが電気的に接触してショートするのを回避するようにしている。管の他端も、管接合電極部19の面19bより外側に向かって僅かに突出されて固定されている。なお、管の他端は、管接合電極部19の面19bと一致していても構わない。
第1導電性マニホールド12は、LaCrOなどの導電性セラミックス、ステンレスなどの耐熱性金属などにより内部が空洞とされた箱状に形成されており、管接合電極部19の面19b側に設けられる。なお、この第1導電性マニホールド12は、単セル1と平行な方向に列設される他のIT−SOFCサブモジュール10の第2導電性マニホールド15との間で電気的接続を担う必要があることから、導電性が要求される。
また、第1導電性マニホールド12の面12aの下方には、アルミナ、ジルコニアなどの絶縁性セラミックスなどにより形成された絶縁性の管体24が設けられ、マニホールド12内部と連通されている。この管体24は、第1導電性マニホールド12内に酸化剤ガスを供給する役割や、単セル1と垂直な方向に一定間隔離れて列設される他のIT−SOFCサブモジュール10の第2導電性マニホールド15(直列接続時)、あるいは、第1導電性マニホールド12(並列接続時)に連通接続する役割を果たす。
また、第1導電性マニホールド12の面12aに対向する面12bの下方には、接続孔25が形成され、単セル1と垂直な方向に列設される他のIT−SOFCサブモジュール10の第2導電性マニホールド15に設けられた絶縁性の管体29(直列接続時)、あるいは、第1導電性マニホールド12に設けられた絶縁性の管体24(並列接続時)を接続することができるようになっている。
また、第1導電性マニホールド12の固体酸化物型燃料電池部11側の面12cには、単セル1の開口端の位置に対応してガス孔26が形成されており、管体24から第1導電性マニホールド12内に供給された酸化剤ガスを単セル1内に供給することができるようになっている。
第1シール部材13は、マイカガラス、スピネル(MgAl)などのセラミックスなどの材料より形成されており、管接合電極部19の面19bにおける単セル1の周縁部および単セル1同士の隙間に相当する部分に設けられる。なお、第1シール部材13は、管接合電極部19の熱膨張係数に整合している必要がある。
第1シール部材13は、第1導電性マニホールド12から単セル1内に導入される酸化剤ガスが、管接合電極部19内を通らないようにシールするとともに、単セル1の空気極管3と第1導電性マニホールド12との間で導通しないようにシールする役割を果たす。
インターコネクタ14は、LaCrO、LaCoOなどの導電性セラミックス、ステンレスなどの耐熱性金属などにより形成されており、第1シール部材13の周囲に設けられている。このインターコネクタ14は、管接合電極部19の集電を行うためのものであり、管接合電極部19と第1導電性マニホールド12との間に介在される。そのため、インターコネクタ14と管接合電極部19との間にこの第1シール部材13が介在されることはない。
第2導電性マニホールド15は、上記第1導電性マニホールド12と同様に、LaCrOなどの導電性セラミックス、ステンレスなどの耐熱性金属などにより内部が空洞とされた箱状に形成されており、管接合電極部19の面19a側に設けられている。なお、この第2導電性マニホールド15は、単セル1と平行な方向に列設される他のIT−SOFCサブモジュール10の第1導電性マニホールド12との間で電気的接続を担う必要があることから、導電性が要求される。
第2導電性マニホールド15の面15bの下方には、アルミナ、ジルコニアなどの絶縁性セラミックスなどにより形成された絶縁性の管体29が設けられ、マニホールド15内部と連通されている。この管体29は、第2導電性マニホールド15内の酸化剤ガスを排出する役割や、単セル1と垂直な方向に一定間隔離れて列設される他のIT−SOFCサブモジュール10の第1導電性マニホールド12(直列接続時)、あるいは、第2導電性マニホールド15(並列接続時)に連通接続する役割を果たすものである。
また、第2導電性マニホールド12の面15bに対向する面15aには、接続孔30が形成され、単セル1と垂直な方向に列設される他のIT−SOFCサブモジュール10の第1導電性マニホールド12に設けられた絶縁性の管体24(直列接続時)、あるいは、第2導電性マニホールド15に設けられた絶縁性の管体29(並列接続時)を接続することができるようになっている。
第2導電性マニホールド15の電池部19側の面15cには、単セル1の露出部3’の位置に対応して挿通孔39が形成されており、露出部3’を第2導電性マニホールド15内に挿通することができるようになっている。
第2シール部材16は、マイカガラス、スピネル(MgAl)などのセラミックスなどの材料より形成されており、管接合電極部19の面19aにおける露出部3’以外の部分を覆うようにして設けられる。なお、第2シール部材16は、管接合電極部19の熱膨張係数に整合している必要がある。
この第2シール部材16は、第2導電性マニホールド15内の酸化剤ガスが、管接合電極部19内を通らないようにシールするとともに、管接合電極部19と第2導電性マニホールド15との間で導通しないようにシールする役割を果たす。
集電部材17は、第2導電性マニホールド15の内部に設けられるものであり、第2導電性マニホールド15の内壁面と接触して電気的に接続されるとともに、第2導電性マニホールド15内に貫通された露出部3’と接触して電気的に接続されるものである。
集電部材17を形成する具体的な材料としては、銀や白金などの貴金属メッシュなど、通気可能な形態を有する金属であって、酸化雰囲気下でも導電性が損なわれにくいものを好適に用いることができる。また、LaCrO、LaCoOなどの多孔質導電性セラミックスなどを用いても良い。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では円筒状のIT−SOFC用単セルについて説明したが、平板型のIT−SOFC用単セルに適用することも可能である。この場合にも、空気極支持型構造とできるので、空気極の厚みを厚くすることにより集電ロスを抑えて、空気極からの集電をおこない易い形態にすることが可能となる。
以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
IT−SOFC用空気極材料の代表的な組成の一例であるLa0.6Sr0.4Fe0.8Co0.23+δ(以下、LSFC−Aと呼ぶ)を各種焼成温度で焼成し、試料の気孔率について検討した。
比表面積が4m/gのLSFC−A(セイミケミカル株式会社、クエン酸塩法により合成)にエチルセルロース(ユケン工業株式会社製、YB−132A)を12重量%加え、アルミナ乳鉢で5分間混合した後、100kgf/cmで加圧成形して20mmφ、厚さ2mmのペレット状とした。これらの試料を昇温速度200℃/時間として、以下に示す(a)または(b)の条件で焼成した後、保持時間無しの条件で焼成炉内で室温まで冷却した。焼成処理した試料表面を走査型電子顕微鏡(日立製、S−4300SE1N)により観察し、図3に示す結果が得られた。また、焼成した試料の直径をノギスで測定し、厚さをマイクロメーターで測定して、試料の体積を計算した。次に、試料の重さを電子天秤で測定して、試料の体積との関係から、試料密度を計算した。そして、上記の数式1により計算された相対密度を用いて、上記の数式2により気孔率を計算した。尚、LSFC−Aの理論密度は6.43g/cmである。
(a)1200℃、10時間
(b)1300℃、10時間
この結果から、(a)の焼成条件では30%の気孔率が得られ、(b)の焼成条件では10%の気孔率しか得られないことが確認された。気孔率が30%程度であれば、パーコレーション理論により気孔同士が繋がっていると考えられるので、空気極に必要なガス拡散性能を確保することが可能である。したがって、焼成条件を1200℃、10時間とすれば、空気極として確保すべき気孔率が得られることがわかった。
(実施例2)
IT−SOFC用電解質材料の代表的な組成の一例であるCe0.9Gd0.11.95(以下、CGO−10と呼ぶ)粉体の比表面積とその焼結体の相対密度との関係について検討をおこなった。
比表面積が(a)10m/g、(b)30m/g、(c)40m/gのCGO−10(セイミケミカル株式会社、クエン酸塩法により合成)を、それぞれアルミナ乳鉢で5分間混合した後、100kgf/cmで加圧成形して20mmφ、厚さ2mmのペレット状の試料を複数作製した。これらの試料を、700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃または1200℃まで昇温して焼成処理(昇温速度200℃/時間、各温度での保持時間無し)した後、保持時間無しの条件で焼成炉内で室温まで冷却し、相対密度を測定して、図4に示す結果を得た。
相対密度は以下に説明する計算方法により得た。まず、焼成した試料の直径をノギスで測定し、厚さをマイクロメーターで測定して、試料の体積を計算した。次に、試料の重さを電子天秤で測定して、試料の体積との関係から、試料密度を計算した。そして、上記の数式1により相対密度を計算した。尚、CGO−10の理論密度は7.21g/cmである。
図4において、破線以上(相対密度92%以上)の領域は気体透過性の無い相対密度領域である。この領域内に存在するのは、(b)の1200℃焼結体と(c)の1100℃焼結体と1200℃焼結体であった。したがって、30m/g以上の比表面積を有するCGO−10を1200℃で焼成すれば、気体透過性の無い相対密度を有する電解質を得られることがわかった。
(実施例3)
CGO−10粉体の比表面積とその焼結体の熱収縮率との関係について検討をおこなった。
比表面積が(a)10m/g、(b)30m/g、(c)40m/gのCGO−10(セイミケミカル株式会社、クエン酸塩法により合成)を、それぞれアルミナ乳鉢で5分間混合した後、100kgf/cmで加圧成形して20mmφ、厚さ2mmのペレット状の試料を複数作製した。これらの試料を、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃または1200℃まで昇温して焼成処理(昇温速度200℃/時間、各温度での保持時間無し)した後、保持時間無しの条件で焼成炉内で室温まで冷却し、熱収縮率を測定して、図5に示す結果を得た。
熱収縮率は以下に説明する計算方法により得た。まず、加圧成形直後(焼成前)のペレットの直径をノギスで測定し、この値を「初期長さ」とした。次に、焼成後のペレットの直径をノギスで測定し、この値を「焼成後長さ」とした。そして、数式4により熱収縮率を計算した。
[数式4] (熱収縮率)=−100×((初期長さ)−(焼成後の長さ))/(初期の長さ)
図5に示す結果から、CGO−10の比表面積が増加するほど、熱収縮率が大きくなり、(c)40m/gのCGO−10が最も熱収縮率が大きくなることがわかった。この結果は、CGO−10の比表面積が大きくなると表面エネルギーが増大し、焼結性が高まることに起因していると考えられる。
(実施例4)
CGO−10とLSFC−Aの熱収縮率を比較検討した。
比表面積が4m/gのLSFC−A(セイミケミカル株式会社、クエン酸塩法により合成)にエチルセルロース(ユケン工業株式会社製、YB−132A)を12重量%加え、アルミナ乳鉢で5分間混合した後、100kgf/cmで加圧成形して20mmφ、厚さ2mmのペレット状の試料を複数作製した。この試料を、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃または1200℃まで昇温して焼成処理(昇温速度200℃/時間、各温度での保持時間無し)した後、保持時間無しの条件で焼成炉内で室温まで冷却し、熱収縮率を測定した。この結果と実施例3で得られた比表面積(b)30m/g、(c)40m/gのCGO−10の熱収縮率を図6に示す。この結果から、比表面積30m/gのCGO−10とLSFC−Aの熱収縮率が近いことがわかった。そこで、比表面積30m/gのCGO−10が、空気極との共焼結を行う電解質材料として有望と考えられたので、比表面積30m/gのCGO−10とLSFC−Aの熱収縮率をさらに近づけるべく、以下の実施例において、さらに検討を行った。
(実施例5)
LSFC−A粉末のボールミル工程の有無による熱収縮率の影響について検討した。
比表面積が4m/gのLSFC−A(セイミケミカル株式会社、クエン酸塩法により合成)40gに対して200gのイットリア部分安定化ジルコニアボールを用い、エタノール100mLを加えて回転式ボールミルで湿式混合した。回転速度は200〜240回転/分とした。また、混合時間は48時間とした。ボールミル工程を行った後のLSFC−Aにエチルセルロース(ユケン工業株式会社製、YB−132A)を12重量%加え、アルミナ乳鉢で5分間混合した後、100kgf/cmで加圧成形して20mmφ、厚さ2mmのペレット状とした。この試料を昇温速度200℃/時間として、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃、1200℃における試料の熱収縮率を測定した。この結果と実施例4で得られたボールミル工程を行う前のLSFC−Aの熱収縮率を図7に示す。この結果から、ボールミル工程を行うことで、熱収縮率を高めることができることが確認された。
粒子には、一次粒子と二次粒子があり、粒子の最小単位は一次粒子である。ここで、一次粒子が小さいと、一次粒子単独では存在できなくなり、静電気的な力で一次粒子同士が凝集する。これが二次粒子である。そして、ボールミル工程を行うことにより、凝集していた二次粒子が解砕されると共に、粒子の比表面積が若干高まる傾向にあるため、熱収縮率が高まったと考えられる。つまり、ボールミル工程を行うことが、非常に熱収縮率を高めるための非常に有効な手段となることが明らかとなった。
(実施例6)
実施例5の条件によりボールミル工程を行った後のLSFC−AにCGO−10を添加することによる熱収縮率への影響について検討した。
実施例5と同様の方法でボールミル工程を行ったLSFC−Aに、比表面積40m/gのCGO−10を添加した。LSFC−AとCGO−10の体積比は(a)8:2、(b)7:3、(c)6:4とした。これらの試料にエチルセルロース(ユケン工業株式会社製、YB−132A)を12重量%加え、アルミナ乳鉢で5分間混合した後、100kgf/cmで加圧成形して20mmφ、厚さ2mmのペレット状の試料を複数作製した。この試料を、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃または1200℃まで昇温して焼成処理(昇温速度200℃/時間、各温度での保持時間無し)した後、保持時間無しの条件で焼成炉内で室温まで冷却し、試料の熱収縮率を測定した結果を図8に示す。尚、図8には実施例5で得られたボールミル工程後のLSFC−Aの熱収縮率を参照データとして掲載した。この結果から、700℃〜1100℃の温度領域において、(a)の試料以外ではCGO−10の混合により熱収縮率を低下させることが可能であることがわかった。1200℃での熱収縮率は、(b)及び(c)の試料の熱収縮率とCGO−10無添加のLSFC−Aの熱収縮率がほぼ一致した。これは、LSFC−Aの方がCGO−10より融点が低いため、LSFC−Aは、1100℃〜1200℃の温度領域で熱収縮率が粒径ではなく粒成長に支配され易くなるためだと考えられる。
次に、比表面積30m/gのCGO−10と上記(b)及び(c)の試料の熱収縮率の比較図を図9に示す。(b)及び(c)の試料は、比表面積30m/gの表面積を有するCGO−10の熱収縮率と測定した全温度領域(500℃〜1200℃)で極めて近くなることがわかった。したがって、CGO−10とLSFC−Aを、昇温途中でクラックを発生させることなく共焼結できることがわかった。
尚、空気極の電極性能保持と上記結果を考慮すると、LSFC−AとCGO−10の好ましい混合比(体積比)は、50<(LSFC−A)<80体積%、20<(CGO−10)<50体積%であることがわかった。より好ましい範囲は、60≦(LSFC−A)<80体積%、20<(CGO−10)≦40体積%、さらに好ましい範囲は、60≦(LSFC−A)≦70体積%、30≦(CGO−10)≦40体積%である。
(実施例7)
CGO−10を添加したLSCF−Aにバインダーや造孔剤を添加したときの熱収縮率と気孔率に与える影響について検討した。
実施例5と同様の方法でボールミル工程を行ったLSFC−A(セイミケミカル株式会社、クエン酸塩法により合成)と比表面積が40m/gのCGO−10(セイミケミカル株式会社、クエン酸塩法により合成)を6:4の体積比で混合し、この中に、(a)グラファイト(関東化学製)を10、30重量%になるように添加し、さらに、エチルセルロース(ユケン工業株式会社製、YB−132A)を12重量%加えて、アルミナ乳鉢中で5分間混合した後、100kgf/cmで加圧成形して20mmφ、厚さ2mmのペレット状とした。この試料を昇温速度200℃/時間として、1200℃、10時間焼成して試料Aを作製した。また、(b)エチルセルロース(ユケン工業株式会社製、YB−132A)のみを添加して同様の処理を行い、試料Bを作製した。これらの試料の熱収縮率と気孔率を測定し、図10を得た。
セルロースはバインダーとして用いられており、10〜12重量%の添加量が最適であることが知られている。添加量を15重量%以上とした場合、気孔率が高くなるが、粘度が低くなってしまい、押し出し成型が困難になる。一方、グラファイトは、バインダーとして機能せず、造孔剤として働く。図10の結果から、セルロースやグラファイトの添加は、気孔率に与える影響が大きいが、熱収縮率に与える影響は小さく、所望の気孔率を得やすいことがわかった。
次に、試料A及びBを走査型電子顕微鏡(日立製、S−4300SE1N)により観察し、図11を得た。この結果、グラファイトを用いた方が細かなミクロ構造を形成することができることがわかった。また、気孔率は30%以上維持しており、1200℃で焼成した後もガス拡散性を有することが確認された。
(実施例8)
比表面積が30m/gのCGO−10を電解質材料として、実施例5と同様の方法でボールミル工程を行ったLSFC−A及び比表面積が40m/gのCGO−10を6:4の体積比で混合した粉体を空気極材料として電解質/空気極構造を形成し、これを共焼結した際の電解質層の緻密性について検討した。
空気極材料粉体は、エチルセルロース(ユケン工業株式会社製、YB−132A)を12重量%加え、アルミナ乳鉢で5分間混合した後、100kgf/cmで加圧成形して20mmφ、厚さ2mmのペレット状とした。次に、電解質材料はスラリーにして、空気極ペレットの片側表面にコーティングし、1200℃で10時間焼成した。スラリー液は以下の組成とした。即ち、電解質としてCe0.9Gd0.11.95(比表面積30m/g)30gに対し、トルエン30mL、イソプロパノール35mL、日本油脂製ノニオン1mL、バインダーとしてナカライテスク社製ポリビニルブチラル5gを用い、ボールミルにより混合した。得られた試料の断面を走査型電子顕微鏡(日立製、S−4300SE1N)により観察し、図12を得た。この結果から、電解質層には気孔も無く、極めて緻密に焼結していることが確認された。
(実施例9)
不定比組成においてもペロブスカイト型構造を示すランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物の組成範囲について検討した。
(1)材料合成
(La1−xSr1−y(Co1−zFe)O3+δは固相反応法を用いて合成した。出発原料は酸化ランタン(La、高純度化学製、純度99.9%、1500℃、1時間仮焼)、SrCO(純度99.9%、高純度化学)、Co(純度99.9%、高純度化学)、Fe(純度99.9%、高純度化学)を用い、所定のモル数で秤量し、アルミナ製乳鉢で混合した。この混合物を40MPaで加圧成形して20mmφ、厚さ2mmのペレット状とし、1000℃で10時間仮焼した。
以下に、試料の組成及び秤量した出発原料の重量を示す。仮焼粉末は乳鉢により混合し、この混合物を40MPaで加圧成形して20mmφ、厚さ2mmのペレット状とし、さらに、1200℃で10時間仮焼した。この工程を2回繰り返した。
(I)x=0.2
(i)0≦z≦1、y=0
試料1:(La0.8Sr0.2)CoO3:La2O3,1.5g;SrCO3, 0.3398g; Co3O4, 0.9229g;
試料2:(La0.8Sr0.2)(Co0.9Fe0.1)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.8315g; Fe2O3,0.0919g;
試料3:(La0.8Sr0.2)(Co0.8Fe0.2)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.7392g; Fe2O3,0.1838g;
試料4:(La0.8Sr0.2)(Co0.7Fe0.3)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.6466g; Fe2O3,0.2757g;
試料5:(La0.8Sr0.2)(Co0.6Fe0.4)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.5543g; Fe2O3,0.3676g;
試料6:(La0.8Sr0.2)(Co0.5Fe0.5)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.4619g; Fe2O3,0.4595g;
試料7:(La0.8Sr0.2)(Co0.4Fe0.6)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.3694g; Fe2O3,0.5514g;
試料8:(La0.8Sr0.2)(Co0.3Fe0.7)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.2772g; Fe2O3,0.6433g;
試料9:(La0.8Sr0.2)(Co0.2Fe0.8)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.1849g; Fe2O3,0.7532g;
試料10:(La0.8Sr0.2)(Co0.1Fe0.9)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.0923g; Fe2O3,0.8271g;
試料11:(La0.8Sr0.2)FeO3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Fe2O3,0.9190g;
(ii)0≦z≦1、y=0.02
試料12:(La0.8Sr0.2)0.98CoO3: La2O3, 1.5g; SrCO3,0.3398g;Co3O4, 0.9416g;
試料13:(La0.8Sr0.2)0.98(Co0.9Fe0.1)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.8484g; Fe2O3,0.09378g;
試料14:(La0.8Sr0.2)0.98(Co0.8Fe0.2)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.7542g; Fe2O3,0.1876g;
試料15:(La0.8Sr0.2)0.98(Co0.7Fe0.3)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.6598g; Fe2O3,0.2813g;
試料16:(La0.8Sr0.2)0.98(Co0.6Fe0.4)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.5656g; Fe2O3,0.3751g;
試料17:(La0.8Sr0.2)0.98(Co0.5Fe0.5)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.4714g; Fe2O3,0.4689g;
試料18:(La0.8Sr0.2)0.98(Co0.4Fe0.6)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.3769g; Fe2O3,0.5627g;
試料19:(La0.8Sr0.2)0.98(Co0.3Fe0.7)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.2912g; Fe2O3,0.6546g;
試料20:(La0.8Sr0.2)0.98(Co0.2Fe0.8)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.1886g; Fe2O3,0.7502g;
試料21:(La0.8Sr0.2)0.98(Co0.1Fe0.9)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.09417g; Fe2O3,0.84398g;
試料22:(La0.8Sr0.2)0.98FeO3: La2O3, 1.5g; SrCO3,0.3398g;Fe2O3, 0.93776g;
(iii)0≦z≦1、y=0.04
試料23:(La0.8Sr0.2)0.96CoO3: La2O3, 1.5g; SrCO3,0.3398g;Co3O4, 0.96137g;
試料24:(La0.8Sr0.2)0.96(Co0.9Fe0.1)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.8661g; Fe2O3,0.09573g;
試料25:(La0.8Sr0.2)0.96(Co0.8Fe0.2)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.76996g; Fe2O3,0.19146g;
試料26:(La0.8Sr0.2)0.96(Co0.7Fe0.3)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.67354g; Fe2O3,0.28719g;
試料27:(La0.8Sr0.2)0.96(Co0.6Fe0.4)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.5774g; Fe2O3,0.38292g;
試料28:(La0.8Sr0.2)0.96(Co0.5Fe0.5)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.4812g; Fe2O3,0.4787g;
試料29:(La0.8Sr0.2)0.96(Co0.4Fe0.6)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.3848g; Fe2O3,0.5744g;
試料30:(La0.8Sr0.2)0.96(Co0.3Fe0.7)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.2887g; Fe2O3,0.67g;
試料31:(La0.8Sr0.2)0.96(Co0.2Fe0.8)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.1926g; Fe2O3,0.7658g;
試料32:(La0.8Sr0.2)0.96(Co0.1Fe0.9)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.3398g; Co3O4,0.096g; Fe2O3,0.8616g;
試料33:(La0.8Sr0.2)0.96FeO3: La2O3, 1.5g; SrCO3,0.3398g;Fe2O3, 0.9573g;
(II)x=0.4
(i)0≦z≦1、y=0
試料34:(La0.6Sr0.4)CoO3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,1.2306g;
試料35:(La0.6Sr0.4)(Co0.9Fe0.1)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,1.109g; Fe2O3,0.1225g;
試料36:(La0.6Sr0.4)(Co0.8Fe0.2)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.9856g; Fe2O3,0.2451g;
試料37:(La0.6Sr0.4)(Co0.7Fe0.3)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.8621g; Fe2O3,0.3676g;
試料38:(La0.6Sr0.4)(Co0.6Fe0.4)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.7391g; Fe2O3,0.4901g;
試料39:(La0.6Sr0.4)(Co0.5Fe0.5)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.6159g; Fe2O3,0.6127g;
試料40:(La0.6Sr0.4)(Co0.4Fe0.6)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.4926g; Fe2O3,0.7352g;
試料41:(La0.6Sr0.4)(Co0.3Fe0.7)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.3695g; Fe2O3,0.8577g;
試料42:(La0.6Sr0.4)(Co0.2Fe0.8)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.2465g; Fe2O3,0.9803g;
試料43:(La0.6Sr0.4)(Co0.1Fe0.9)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.1231g; Fe2O3,1.1028g;
試料44:(La0.6Sr0.4)FeO3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Fe2O3,1.2253g;
(ii)0≦z≦1、y=0.02
試料45:(La0.6Sr0.4)0.98CoO3: La2O3, 1.5g; SrCO3,0.9062g;Co3O4, 1.2557g;
試料46:(La0.6Sr0.4)0.98(Co0.9Fe0.1)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,1.1312g; Fe2O3,0.125g;
試料47:(La0.6Sr0.4)0.98(Co0.8Fe0.2)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,1.0056g; Fe2O3,0.25005g;
試料48:(La0.6Sr0.4)0.98(Co0.7Fe0.3)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.8797g; Fe2O3,0.3751g;
試料49:(La0.6Sr0.4)0.98(Co0.6Fe0.4)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.7542g; Fe2O3,0.5001g;
試料50:(La0.6Sr0.4)0.98(Co0.5Fe0.5)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.6285g; Fe2O3,0.62517g;
試料51:(La0.6Sr0.4)0.98(Co0.4Fe0.6)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.50264g; Fe2O3,0.7502g;
試料52:(La0.6Sr0.4)0.98(Co0.3Fe0.7)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.3771g; Fe2O3,0.87525g;
試料53:(La0.6Sr0.4)0.98(Co0.2Fe0.8)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.2515g; Fe2O3,1.0003g;
試料54:(La0.6Sr0.4)0.98(Co0.1Fe0.9)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.12557g; Fe2O3,1.1253g;
試料55:(La0.6Sr0.4)0.98FeO3: La2O3, 1.5g; SrCO3,0.9062g;Fe2O3, 1.2504g;
(iii)0≦z≦1、y=0.04
試料56:(La0.6Sr0.4)0.96CoO3: La2O3, 1.5g; SrCO3,0.9062g;Co3O4, 1.281g;
試料57:(La0.6Sr0.4)0.96(Co0.9Fe0.1)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,1.1548g; Fe2O3,0.1276g;
試料58:(La0.6Sr0.4)0.96(Co0.8Fe0.2)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O41.0266g;Fe2O3,, 0.25528g;
試料59:(La0.6Sr0.4)0.96(Co0.7Fe0.3)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.8981g; Fe2O3,0.3829g;
試料60:(La0.6Sr0.4)0.96(Co0.6Fe0.4)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.7698g; Fe2O3,0.51056g;
試料61:(La0.6Sr0.4)0.96(Co0.5Fe0.5)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.6416g; Fe2O3,0.6382g;
試料62:(La0.6Sr0.4)0.96(Co0.4Fe0.6)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.5131g; Fe2O3,0.7658g;
試料63:(La0.6Sr0.4)0.96(Co0.3Fe0.7)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.3849g; Fe2O3,0.8935g;
試料64:(La0.6Sr0.4)0.96(Co0.2Fe0.8)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.2568g; Fe2O3,1.02112g;
試料65:(La0.6Sr0.4)0.96(Co0.1Fe0.9)O3:La2O3,1.5g; SrCO3, 0.9062g; Co3O4,0.12818g; Fe2O3,1.1488g;
試料66:(La0.6Sr0.4)0.96FeO3: La2O3, 1.5g; SrCO3,0.9062g;Fe2O3, 1.2764g;
(2)試料の評価法
合成した試料は粉末X線回折(Mac Science社 M18XHF22)装置によって、二次成分が残っているか分析した。
図13に、(La0.6Sr0.41−y(Co0.2Fe0.8)O3+δ(x=0.4、z=0.8)のX線回折測定結果を示す(y=0、0.02、0.04)。y=0.02はy=0と同じピークを示しており、ペロブスカイト型構造の単相であることが確認された。一方、y=0.04に関しては、CoやFe、あるいは(Co,Fe)のスピネル型構造に起因すると考えられる小さなピーク(図中の↓部分)が観察され、x=0.4、y=0.04、z=0.8では、ペロブスカイト相とスピネル相の2相混合相であることが確認された。
図14に、(La0.6Sr0.41−y(Co0.2Fe0.8)O3+δのX線回折測定結果(y=0、0.02、0.04)から計算した格子定数(a軸)の不定比組成依存性を示す。不定比性が増加する程、格子定数も増加していることが確認された。このことから、不定比性が増加する程、結晶格子のAサイト中に空孔が形成し、結晶格子を大きくすることがわかった。また、(La0.6Sr0.41−y(Co0.2Fe0.8)O3+δの場合、0≦y<0.04が、ペロブスカイト型構造単相で安定に存在できる組成領域であることがわかった。
図15に、固相反応合成法とX線回折測定法により得られた(La0.8Sr0.21−y(Co1−zFe)O3+δ(x=0.2、0≦z≦1.0)のペロブスカイト相の単相領域(斜線部)を示す。y=0の場合には、0≦z<1.0の範囲で単相となるが、yの値が大きくなるにつれて、単相となる領域が減少し、y=0.02では、0.1<z≦0.9の範囲で、y=0.04では、0.2<z<0.9の範囲で単相となることが確認された。
この結果から以下のことが明らかとなった。即ち、x=0.2で且つy=0の場合には、0≦z<1.0で単相となり、0≦z≦0.9の範囲であればより確実に単相となる。x=0.2で且つy=0.02の場合には、0.1<z≦0.9で単相となり、0.2≦z≦0.9であればより確実に単相となる。x=0.2で且つy=0.04の場合には、0.2<z<0.9で単相となり、0.3≦z≦0.8であればより確実に単相となる。
図16に、固相反応合成法とX線回折測定法により得られた(La0.6Sr0.41−y(Co1−zFe)O3+δ(x=0.4、0≦z≦1.0)のペロブスカイト相の単相領域(斜線部)を示す。y=0の場合には、0≦z<1.0の範囲で単相となるが、yの値が大きくなるにつれて、単相となる領域が減少し、y=0.02では、0.1<z<0.9の範囲で、y=0.04では、0.3<z<0.8の範囲で単相となることが確認された。
この結果から以下のことが明らかとなった。即ち、x=0.4で且つy=0の場合には、0≦z<1.0で単相となり、0≦z≦0.9の範囲であればより確実に単相となる。x=0.4で且つy=0.02の場合には、0.1<z<0.9で単相となり、0.2≦z≦0.8であればより確実に単相となる。x=0.4で且つy=0.04の場合には、0.3<z<0.8で単相となり、0.4≦z≦0.7であればより確実に単相となる。
(実施例10)
(La0.6Sr0.41−z(Co0.2Fe0.8)O3+δ(x=0.4、z=0.8)を不定比組成(Bサイト過剰組成)としたときの熱収縮率に与える影響について検討した。
実施例5と同様の方法(但し、処理時間は24時間とした)でボールミル工程を行った比表面積が4m/gの(La0.6Sr0.41−z(Co0.2Fe0.8)O3+δ(y=0、0.02、0.04)(セイミケミカル株式会社、クエン酸塩法により合成)にエチルセルロース(ユケン工業株式会社製、YB−132A)に12重量%加え、アルミナ乳鉢で5分間混合した後、100kgf/cmで加圧成形して20mmφ、厚さ2mmのペレット状の試料を複数作製した。
これらの試料を昇温速度200℃/時間として、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃または1200℃まで昇温した後、保持時間無しの条件で焼成炉内で室温まで冷却し、熱収縮率を測定した。結果を図17に示す。
図17に、不定比組成の(La0.6Sr0.41−z(Co0.2Fe0.8)O3+δの熱収縮率を示す。熱収縮率は、y=0.02で最大となった。この理由は、不定比組成になるとAサイト空孔や酸素空孔が形成されて、元素拡散が促進されることによるものと考えられる。一方、y=0.04のランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物は2相混合物であり、空孔形成による元素拡散の促進効果があるものの、不純物である(Fe,Co)スピネルが存在することにより熱収縮率が低下していると推測される。実施例9では、x=0.2の場合、0.2<z<0.9であれば、y=0.04でも単相となることが確認されており、x=0.4の場合、0.3<z<0.8であれば、y=0.04でも単相となることが確認されていることから、この範囲のランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物であれば、不純物である(Fe,Co)スピネルが存在することによる熱収縮率の低下が生じることなく、Aサイト空孔や酸素空孔が形成されて、元素拡散が促進されることによる効果によって熱収縮率が高まるものと推定される。
以上、Aサイト欠損型の0<y≦0.04のランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物を用いた場合には、定比(y=0)の場合よりも熱収縮率が高まることから、電解質層との共焼結をさらに好適に実施できることがわかった。そして、熱収縮率を高める効果は、0.01≦y≦0.03とすることで向上し、y=0.02とすることでさらに向上することが示唆された。
(実施例11)
空気極基材3と電解質層2とを共焼結した後、電解質層2の表面に燃料極層4をコーティングしてこれを焼成処理した単セルの発電性能の評価を行った。
空気極材料粉体として、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8(セイミケミカル社製13.648g(比表面積9m/g))とCGO(セイミケミカル社製10.3752g(比表面積40m/g))を水10mL、バインダーとして関東化学社製セルロース6g、関東化学社製グラファイト6gを混ぜ、ボールミルで混合し、乾燥後、200MPaの圧力で3cmφのペレットにした。電解質は阿南化成社製CGO(30m/g)を30g、トルエン30mL、イソプロパノール35mL、日本油脂製ノニオン1mL、バインダーとしてナカライテスク社製ポリビニルブチラル5gを用い、ボールミルにより混合し、スラリーにした後、空気極ペレットにコーティングし、1200℃で10時間共焼結した。燃料極スラリーとして、セイミケミカル社製NiO-CGO(比表面積14m/g、NiOをNi金属の体積換算量で50体積%含有),トルエン30mL、イソプロパノール35mL、日本油脂製ノニオン1mL、バインダーとしてナカライテスク社製ポリビニルブチラル5gを用い、造孔材として関東化学社製グラファイト6gボールミルにより混合し、スラリーにした後、電解質上にコーティングした。その後、1100℃、1時間で焼成し、単セルとした。
この単セルの発電性能を図22に示す測定系39により評価した。空気極3側及び燃料極4側の集電は、電圧及び電流端子の白金線を白金ペーストで固定した白金メッシュ40で行った。燃料極4側のみパイレックス(登録商標)ガラスのOリング41でシールした。空気を50mL/分で供給し、燃料ガスとして水素を50mL/分で供給した。電流はカレントパルスジェネレータ(日厚計測NCPG-105S)で流し、電圧測定にはエレクトロメータ(北斗電工HC-104)を用いた。
単セルの発電性能は作動温度を500℃、550℃並びに600℃として評価した。結果を図21に示す。図21において、(a)は500℃における測定結果を表し、(b)は550℃における測定結果を表し、(c)は600℃における測定結果を表している。この結果から、500℃では0.0185W/cm(0.37V、0.05A/cm)、550℃では0.034W/cm(0.34V、0.1A/cm)、600℃では0.05W/cm(0.27V、0.2A/cm)の出力が得られることが確認された。この結果から、空気極3と電解質層2とを共焼結して得られた空気極と電解質との積層部材の電解質層表面に燃料極層4を形成することで、500℃〜600℃で0.0185〜0.05W/cmという優れた出力密度を有する単セルを作製することが可能であることが明らかとなった。この効果は、空気極基材と電解質層とを共焼結することにより空気極基材と電解質層との接着性が高まり、空気極基材と電解質層の界面における物質移動がスムーズに進行した結果、空気極の過電圧が低くなったことに起因するものと推定された。
空気極支持型構造のIT−SOFC用の空気極と電解質との積層部材の一例を示した図である。 空気極支持型構造のIT−SOFC用単セルの一例を示した図である。 LSFC−Aの電子顕微鏡写真である。 異なる比表面積(10m/g、30m/g、40m/g)を有するCGO−10の焼成温度と相対密度の関係を示した図である。 異なる比表面積(10m/g、30m/g、40m/g)を有するCGO−10の焼成温度と熱収縮率の関係を示した図である。 比表面積30m/g及び40m/gを有するCGO−10と比表面積4m/gを有するLSFC−Aの焼成温度と熱収縮率の関係を示した図である。 ボールミル工程前後のLSFC−Aの焼成温度と熱収縮率の関係を示した図である。 ボールミル工程後のLSFC−Aに比表面積40m/gを有するCGO−10を添加した試料の焼成温度と熱収縮率の関係を示した図である。 LSFC−AとCGO−10(比表面積40m/g)の混合物と、CGO−10(比表面積30m/g)の焼成温度と熱収縮率の関係を示した図である。 LSFC−AとCGO−10(比表面積40m/g)を6:4の体積比で混合した混合物にセルロース(バインダー)とグラファイト(造孔剤)を添加したときの添加量と熱収縮率、添加量と気孔率の関係を示した図である。 LSFC−AとCGO−10(比表面積40m/g)を6:4の体積比で混合した混合物にセルロース(バインダー)とグラファイト(造孔剤)を添加した試料の電子顕微鏡写真を示した図である。 比表面積30m/gのCGO−10を電解質材料とし、LSFC−AとCGO−10(比表面積40m/g)を6:4の体積比で混合した粉体を空気極材料として空気極と電解質との積層構造を形成し、これを共焼結した際の電子顕微鏡による断面写真である。 (La0.6Sr0.41−y(Co0.2Fe0.8)O3+δのX線回折測定結果を示した図である(y=0、0.02、0.04)。 (La0.6Sr0.41−y(Co0.2Fe0.8)O3+δのX線回折測定結果(y=0、0.02、0.04)から、計算した格子定数a軸の不定比組成依存性を示した図である。 固相反応合成法とX線回折測定法により得られた(La0.6Sr0.41−y(Co1−zFe)O3+δ(0≦z≦1.0)のペロブスカイト相の単相領域(斜線部)を示した図である。 固相反応合成法とX線回折測定法により得られた(La0.8Sr0.21−y(Co1−zFe)O3+δ(0≦z≦1.0)のペロブスカイト相の単相領域(斜線部)を示した図である。 (La0.6Sr0.41−yFe0.8Co0.23+δ(y=0、0.02、0.04)の熱収縮率の温度依存性を示した図である。 単セルを接続したIT−SOFCの例を示す図である。 単セルを接続したIT−SOFCの他の例を示す分解斜視図である。 単セルを接続したIT−SOFCの他の例を示す外観斜視図である。 空気極基材と電解質層とを同時共焼結した後、燃料極層を別途形成した空気極支持単セルの発電特性を示した図である。 空気極基材と電解質層とを同時共焼結した後、燃料極層を別途形成した空気極支持型単セルの測定系を示す図である。 多孔質焼結チューブを用いたときの焼成時における部材の伸び縮みの概念を示した図である。
符号の説明
1 単セル
1’空気極と電解質との積層部材
2 電解質層
3 空気極管

Claims (6)

  1. 空気極材料を比表面積が4m/g超のランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体と比表面積が30m/g超のセリウム系酸化物固溶体粉体との混合粉体とし、
    電解質材料を比表面積が10m/g超〜40m/g未満のセリウム系酸化物固溶体粉体とし、
    前記ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体の組成式は、(L1−xAE1−y(Fe1−z)O3+δで表され、Lはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、AEはカルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)の群からなる一種又は二種の元素であり、Mはマグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<x<0.5、0≦y≦0.04、0≦z<1であり、
    前記各セリウム系酸化物固溶体粉体の組成式は、Ce1−wLn2+δで表され、Lnはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素(但し、セリウム(Ce)は除く)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<w≦0.4であり、
    前記混合粉体には、前記比表面積が30m/g超のセリウム系酸化物固溶体粉体が20体積%超〜50体積%未満含まれ、
    前記空気極材料からなる空気極基材と、前記空気極基材の片側表面に形成された前記電解質材料からなる電解質層とを有し、前記空気極基材と前記電解質層とが共焼結されていることを特徴とする中温作動固体酸化物型燃料電池の空気極と電解質層との積層部材。
  2. 前記空気極基材の気孔率が30%以上であり、且つ前記電解質の相対密度が92%以上である請求項1に記載の中温作動固体酸化物型燃料電池の空気極と電解質層との積層部材。
  3. 組成式(L1−xAE1−y(Fe1−z)O3+δで表され、Lはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、AEはカルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)の群からなる一種又は二種の元素であり、Mはマグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<x<0.5、0≦y≦0.04、0≦z<1であるランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物であり、比表面積が4m/g超であることを特徴とするセラミックス粉体。
  4. 組成式(La1−xAE1−y(Fe1−z)O3+δで表され、AEはカルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)の群からなる一種又は二種の元素であり、Mはマグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<x<0.5、0≦y≦0.04、0≦z<1であるランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物であり、比表面積が4m/g超であることを特徴とするセラミックス粉体。
  5. 請求項3または4に記載のセラミックス粉体に、組成式Ce1−wLn2+δで表され、Lnはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素(但し、セリウム(Ce)は除く)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<w≦0.4であるセリウム系酸化物固溶体であり、比表面積が30m/g超であるセリウム系酸化物固溶体粉体が20体積%超〜50体積%未満の割合で混合されていることを特徴とするセラミックス粉体。
  6. 空気極材料を成形して空気極基材を作製する工程と、
    前記空気極基材の片側表面に電解質材料を湿式法によりコーティングして電解質層を形成する工程と、
    前記空気極基材と前記電解質層とを共焼結する工程とを含み、
    前記空気極材料として比表面積が4m/g超のランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体と比表面積が30m/g超のセリウム系酸化物固溶体粉体との混合粉体を使用し、
    前記電解質材料として比表面積が10m/g超〜40m/g未満のセリウム系酸化物固溶体粉体を使用し、
    前記各セリウム系酸化物固溶体粉体の組成式は、Ce1−wLn2+δで表され、Lnはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素(但し、セリウム(Ce)は除く)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<w≦0.4であり、
    前記ランタンフェライト系ペロブスカイト酸化物粉体の組成式は、(L1−xAE1−y(Fe1−z)O3+δで表され、Lはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及び希土類元素からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、AEはカルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)の群からなる一種又は二種の元素であり、Mはマグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群より選ばれた一種又は二種以上の元素であり、0<x<0.5、0≦y≦0.04、0≦z<1であり、
    前記混合粉体には、比表面積が30m/g超の前記セリウム系酸化物固溶体粉体が20体積%超〜50体積%未満含まれている
    ことを特徴とする中温作動固体酸化物型燃料電池の空気極と電解質層との積層部材の製造方法。
JP2007201252A 2007-08-01 2007-08-01 セラミックス粉体と該粉体を用いた中温作動固体酸化物型燃料電池の空気極と電解質層との積層部材並びにその製造方法 Pending JP2009037872A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007201252A JP2009037872A (ja) 2007-08-01 2007-08-01 セラミックス粉体と該粉体を用いた中温作動固体酸化物型燃料電池の空気極と電解質層との積層部材並びにその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007201252A JP2009037872A (ja) 2007-08-01 2007-08-01 セラミックス粉体と該粉体を用いた中温作動固体酸化物型燃料電池の空気極と電解質層との積層部材並びにその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009037872A true JP2009037872A (ja) 2009-02-19

Family

ID=40439595

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007201252A Pending JP2009037872A (ja) 2007-08-01 2007-08-01 セラミックス粉体と該粉体を用いた中温作動固体酸化物型燃料電池の空気極と電解質層との積層部材並びにその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009037872A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012164455A (ja) * 2011-02-04 2012-08-30 Agc Seimi Chemical Co Ltd 固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末及びその製造方法
JP2012227142A (ja) * 2011-04-19 2012-11-15 Samsung Electronics Co Ltd 燃料電池用正極材料、これを含む燃料電池用正極および固体酸化物形燃料電池
KR101213060B1 (ko) 2009-03-12 2012-12-17 한창산업 주식회사 고체산화물 연료전지용 공기극 물질
EP2642570A1 (en) * 2012-03-23 2013-09-25 Institute of Nuclear Energy Research Atomic Energy Council, Executive Yuan A current collection apparatus and method of processing for a solid oxide fuel cell thereof
JP2016110830A (ja) * 2014-12-05 2016-06-20 日産自動車株式会社 固体酸化物型燃料電池用空気極材料、及び、固体酸化物型燃料電池
EP2985825A4 (en) * 2013-04-12 2016-11-09 Ngk Insulators Ltd AIR ELECTRODE MATERIAL AND FUEL CELL
JP2017065932A (ja) * 2015-09-28 2017-04-06 Dowaホールディングス株式会社 複合酸化物およびその製造方法
KR20170116064A (ko) * 2015-02-06 2017-10-18 케레스 인텔렉츄얼 프로퍼티 컴퍼니 리미티드 전해질 형성 공정
CN110006981A (zh) * 2017-12-12 2019-07-12 日本特殊陶业株式会社 气体传感器元件以及气体传感器
US10978727B2 (en) 2015-02-06 2021-04-13 Ceres Intellectual Property Company Limited Electrolyte forming process for a metal-supported solid-oxide fuel cell

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101213060B1 (ko) 2009-03-12 2012-12-17 한창산업 주식회사 고체산화물 연료전지용 공기극 물질
JP2012164455A (ja) * 2011-02-04 2012-08-30 Agc Seimi Chemical Co Ltd 固体酸化物型燃料電池用燃料極材料複合粉末及びその製造方法
JP2012227142A (ja) * 2011-04-19 2012-11-15 Samsung Electronics Co Ltd 燃料電池用正極材料、これを含む燃料電池用正極および固体酸化物形燃料電池
EP2642570A1 (en) * 2012-03-23 2013-09-25 Institute of Nuclear Energy Research Atomic Energy Council, Executive Yuan A current collection apparatus and method of processing for a solid oxide fuel cell thereof
US10749187B2 (en) 2013-04-12 2020-08-18 Ngk Insulators, Ltd. Cathode material and fuel cell
EP2985825A4 (en) * 2013-04-12 2016-11-09 Ngk Insulators Ltd AIR ELECTRODE MATERIAL AND FUEL CELL
EP3425709A1 (en) * 2013-04-12 2019-01-09 NGK Insulators, Ltd. Air electrode material and fuel battery cell
US10312525B2 (en) 2013-04-12 2019-06-04 Ngk Insulators, Ltd. Cathode material and fuel cell
JP2016110830A (ja) * 2014-12-05 2016-06-20 日産自動車株式会社 固体酸化物型燃料電池用空気極材料、及び、固体酸化物型燃料電池
KR20170116064A (ko) * 2015-02-06 2017-10-18 케레스 인텔렉츄얼 프로퍼티 컴퍼니 리미티드 전해질 형성 공정
KR102066121B1 (ko) * 2015-02-06 2020-01-14 케레스 인텔렉츄얼 프로퍼티 컴퍼니 리미티드 전해질 형성 공정
US10897056B2 (en) 2015-02-06 2021-01-19 Ceres Intellectual Property Company Limited Electrolyte forming process
US10978727B2 (en) 2015-02-06 2021-04-13 Ceres Intellectual Property Company Limited Electrolyte forming process for a metal-supported solid-oxide fuel cell
JP2017065932A (ja) * 2015-09-28 2017-04-06 Dowaホールディングス株式会社 複合酸化物およびその製造方法
CN110006981A (zh) * 2017-12-12 2019-07-12 日本特殊陶业株式会社 气体传感器元件以及气体传感器
CN110006981B (zh) * 2017-12-12 2022-12-20 日本特殊陶业株式会社 气体传感器元件以及气体传感器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Shen et al. Medium-Entropy perovskites Sr (FeαTiβCoγMnζ) O3-δ as promising cathodes for intermediate temperature solid oxide fuel cell
JP6601488B2 (ja) プロトン伝導体、燃料電池用固体電解質層、セル構造体およびそれを備える燃料電池
JP2009037872A (ja) セラミックス粉体と該粉体を用いた中温作動固体酸化物型燃料電池の空気極と電解質層との積層部材並びにその製造方法
JP2719049B2 (ja) ランタンクロマイト膜の製造方法及び固体電解質型燃料電池用インターコネクターの製造方法
JP5317274B2 (ja) 電気化学リアクターユニット、それらから構成される電気化学リアクターモジュール及び電気化学反応システム
JP2007172846A (ja) チューブ型電気化学リアクターセル及びそれらから構成される電気化学反応システム
JP2009205933A (ja) 電気化学リアクターバンドル、スタック及びそれらから構成される電気化学反応システム
JP2009037874A (ja) 中温作動固体酸化物形燃料電池の空気極支持形単セルの製造方法
JP2009035447A (ja) セラミックス粉体及びその焼結体とそれを利用した固体酸化物型燃料電池用空気極
JP2008140710A (ja) リアクターセル支持体、電気化学リアクタースタック、及び電気化学リアクターシステム
US8337939B2 (en) Method of processing a ceramic layer and related articles
JP3786402B2 (ja) 固体電解質型燃料電池用空気極への電極活性酸化物の導入方法
JP6370696B2 (ja) セル構造体、電解質膜−電極接合体、および、燃料電池
JP2006073230A (ja) 燃料電池セル
JP5336207B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP5110801B2 (ja) 固体電解質形燃料電池セル及びセルスタック並びに燃料電池
JP2015088490A (ja) 固体酸化物形燃料電池セルスタック
JP7016615B2 (ja) プロトン伝導体、固体電解質層、セル構造体、およびそれを備える水蒸気電解セルならびに燃料電池
JP4828104B2 (ja) 燃料電池セル
JP5935220B2 (ja) 電気化学リアクターセル
JP2004303455A (ja) 固体電解質型燃料電池セル
JP3729194B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP6836156B2 (ja) 燃料電池
JP2009037873A (ja) 中温作動固体酸化物形燃料電池の管状の単セルとその製造方法
JP5483013B2 (ja) フラットチューブ型電気化学セル及び電気化学反応システム