JP2012158551A - テトラキスフェノール化合物、それを用いた感光剤、及び感光性樹脂組成物、その硬化膜、並びにそれを用いた保護膜、絶縁膜、半導体装置、及び表示体装置 - Google Patents

テトラキスフェノール化合物、それを用いた感光剤、及び感光性樹脂組成物、その硬化膜、並びにそれを用いた保護膜、絶縁膜、半導体装置、及び表示体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性が良好で、かつ、露光感度と解像度を両立できる、ポジ型感光性樹脂に使用される新規なテトラキスフェノール化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、一般式(1)で表されるテトラキスフェノール化合物である。
Figure 2012158551

(式(1)中、Arはフェノール性水酸基を有するアリール基であり、同一でも異なってもよく、2位、3位、4位、5位、6位のいずれかで置換したものである。)
【選択図】なし

Description

本発明は、テトラキスフェノール化合物、それを用いた感光剤、及び感光性樹脂組成物、その硬化膜、並びにそれを用いた保護膜、絶縁膜、半導体装置、及び表示体装置に関する。特に、テトラキスフェノール化合物は感光性樹脂組成物に使用される新規な物質である。
近年、樹脂自身に感光性を付与することにより、レリーフパターン形成工程の一部の簡略化を可能とする感光性樹脂組成物が開発されている。
従来からポジ型感光性樹脂組成物を用いたレリーフパターンの作製は、以下のようにして行われている。まずウェハ上に形成されたポジ型感光性樹脂組成物からなる塗膜に、ステッパ−と呼ばれる露光装置でマスクの上から化学線を照射(露光)する。これにより、露光された部分(以下露光部)と露光されていない部分(以下未露光部)が出来る。未露光部に存在する感光性ジアゾキノン化合物は、現像液であるアルカリ水溶液に不溶であり、また塗膜中の樹脂と相互作用することで更にアルカリ水溶液に対し耐性を持つようになる。一方、露光部に存在する感光性ジアゾキノン化合物は、露光による化学線の作用によって化学変化を起こしてアルカリ現像液に可溶化し、さらに塗膜中の樹脂の溶解を促進させる。そこで、この露光部と未露光部との溶解性の差を利用して、露光部のみを溶解除去することにより、未露光部からなるレリーフパターンの作製が可能となる。
このようなレリーフパターンは、半導体素子の多ピン化に対応したフリップチップ構造のパッケージ等において、半田ボールのストレス緩和や、小型軽量化を目的としたウェハレベルパッケージの再配線技術における2層目以降の樹脂層のパターン化等に用いられている。また、レリーフパターンは、10μmを超える厚膜の樹脂層から加工される機会が増えている。そのため、より高感度な感光性樹脂組成物が強く望まれている。また、半導体素子の高集積化に伴い、レリーフパターン自体も微細化しており、感光性樹脂組成物の高解像度化も重要になっている。
一方、安全性の面から、アルカリ水溶液で現像可能なポジ型感光性樹脂組成物が開発されている。例えば、特許文献1には、アルカリ可溶性樹脂としてポリベンゾオキサゾール前駆体が用いられ、感光性ジアゾキノンをベースとしたポジ型レジストが開示されている。
このような感光剤に用いられる感光性ジアゾキノンは、支持体としてフェノール化合物が用いられている。例えば、特許文献2には、感光剤の支持体となるフェノール化合物として、主鎖骨格に脂肪族構造を有するテトラキスフェノール化合物が用いられ、1,2−ナフトキノンジアジド−5−(または−4−)スルホン酸とのエステル化合物を含むポジ型フォトレジスト組成物が開示されている。
また、特許文献3には、テトラキスフェノール化合物として、α,α,α',α'−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレンを用い、1,2−ナフトキノンジアジド−5−(及び/又は−4−)スルホニウムクロライドと反応させて得られる感光物、及び感光物とアルカリ可溶性樹脂とを含有するポジ型フォトレジスト組成物が開示されている。
特公平1−46862号公報 特開2001−240589号公報 特開平5−249665号公報
しかしながら、上記特許文献に記載されたような感光剤は、溶剤溶解性に乏しいため、結晶化し、保存中に析出する場合があった。さらに、半導体装置の製造工程においては、感光剤が長期に滞留した場合に歩留まりが低下する傾向にあった。
また、上記感光剤が、ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等のポリアミド樹脂とともに感光性樹脂組成物に適用された場合には、感光性樹脂組成物膜のパターニングの際に感度が足りず、露光時間が増えるなどの問題があった。
一方、露光感度を向上させようとして、感光剤の添加量を多くしすぎると、露光部の現像後のパターン底部に、化学線の作用によってアルカリ可溶性化合物にならなかった感光性樹脂組成物による溶け残り(スカム)が発生しやすくなり、その結果、解像度が低下する傾向があった。特に、感光剤として感光性ジアゾキノンを用いた場合、感光基であるナフトキノンジアジドスルホン酸のエステル化率を上げることで露光感度を向上できたが、上記スカム発生の問題を解決することはできなかった。このように、ポジ型感光性樹脂組成物において、露光感度と解像度とはトレ−ドオフの関係にあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、保存安定性が良好で、かつ、露光感度と解像度を両立できる新規なテトラキスフェノール化合物、それを用いた感光剤、及び感光性樹脂組成物、その硬化膜、並びにそれを用いた保護膜、絶縁膜、半導体装置、及び表示体装置を提供するものである。
本発明によれば、一般式(1)で表されるテトラキスフェノール化合物が提供される。
Figure 2012158551
(式(1)中、Arはフェノール性水酸基を有するアリール基であり、同一でも異なってもよく、2位、3位、4位、5位、6位のいずれかで置換したものである。)
また、本発明によれば、上記テトラキスフェノール化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸および1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸のエステルの少なくとも一方と、で構成されることを特徴とする感光剤が提供される。
また、本発明によれば、上記感光剤と、アルカリ可溶性樹脂と、を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、上記感光性樹脂組成物の硬化物で構成されていることを特徴とする硬化膜、並びにこの硬化膜で構成されていることを特徴とする保護膜、及び絶縁膜、並びにこの硬化膜を有していることを特徴とする半導体装置、及び表示対装置が提供される。
本発明によれば、保存安定性が良好で、かつ、露光感度と解像度を両立できる新規なテトラキスフェノール化合物、それを用いた感光剤、及び感光性樹脂組成物、その硬化膜、並びにそれを用いた保護膜、絶縁膜、半導体装置、及び表示体装置を提供できる。
以下、本発明の新規なテトラキスフェノール化合物、それを用いた感光剤、及び感光性樹脂組成物、その硬化膜、並びにそれを用いた保護膜、絶縁膜、半導体装置、及び表示体装置について説明する。
(テトラキスフェノール化合物)
本発明の一般式(1)で表されるテトラキスフェノール化合物(以下、テトラキスフェノール化合物(a))は、新規な物質であって、α,α,α',α'−テトラキス(ヒドロキシフェニル)−4,4'−ジメチルジフェニルエーテル化合物類である。
Figure 2012158551
(式(1)中、Arはフェノール性水酸基を有するアリール基であり、同一でも異なってもよく、2位、3位、4位、5位、6位のいずれかで置換したものである。)
一般式(1)中のArとしては、下記一般式(2)で示されるフェノール性水酸基を有するアリール化合物が挙げられる。
Figure 2012158551
(式(2)中、*は一般式(1)中の−CH基に結合することを示す。Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基の中から選ばれる基であり、それぞれ複数ある場合は同一でも異なってもよい。aは、0〜4の整数である。)
一般式(2)中のRにおいて、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、アルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、感光性樹脂組成物の感度と解像度により優れる観点から、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基が特に好ましい。
フェノール性水酸基を有するアリール化合物の具体的な例としては、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2,3−ジメトキシフェノール、2,4−ジメトキシフェノール、2,5−ジメトキシフェノール、2,6−ジメトキシフェノール、3,4−ジメトキシフェノール、3,5−ジメトキシフェノール、2−プロペニルフェノール、2−アリルフェノール、4−ヒドロキシスチルベン、3−ヒドロキシフェニルアセチレン、2−アリル−6−メチルフェノール、2−メトキシ−4−ビニルフェノール、2−メトキシ−4−プロペニルフェノール、4−アリル−2−メトキシフェノール、2−アリル−6−メトキシフェノール、4−アリル−2,6−ジメトキシフェノール、2−シクロヘキシルフェノール、2−メチル−5−シクロヘキシルフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、3−メトキシ−5−メチルフェノール等が挙げられる。この中でもテトラキスフェノール化合物を合成する際の反応性や感光性樹脂組成物の感度から、フェノール、2−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2−シクロヘキシルフェノール、2−メチル−5−シクロヘキシルフェノールが好ましい。
テトラキスフェノール化合物(a)としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記式(8)で示されるものが挙げられる。
Figure 2012158551
テトラキスフェノール化合物(a)は、以下のようにして製造することができる。例えば、一般式(6)で表される4,4'−ジホルミルジフェニルエーテルとフェノール類を、触媒として塩化水素とアルキルメルカプタン類の存在下に縮合させることにより製造することができる。
Figure 2012158551
原料である一般式(6)で表される4,4'−ジホルミルジフェニルエーテルの製法は特に限定されないが、例として、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、又は4,4'−ジメチルジフェニルエーテルを出発原料とした製法などが挙げられる。
4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸を出発原料とする場合は、まず塩化チオニル等の酸ハロゲン化剤を用いて酸クロライドとし、水素化リチウムアルミニウムや水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等の還元剤でジアルコール体に誘導した後に、二酸化マンガンによる酸化やジメチルスルホキシド(DMSO)と塩化オキサリル、又はジシクロヘキシルカルボジイミド、無水酢酸などの組み合わせによる酸化や、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)と次亜塩素酸の組合せによる酸化等により酸化して、4,4'−ジホルミルジフェニルエーテルを得ることができる。
また、酸クロライドにアルコールを作用させるか、又はジカルボン酸をジアルキル硫酸やアルコールと酸触媒を用いてジエステル体とした後に、水素化リチウムアルミニウムや水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等の還元剤によりジアルコール体とし、前述した方法により酸化する方法もある。
4,4'−ジメチルジフェニルエーテルを出発原料とする場合は、まず塩素、臭素、N−クロロスクシンイミド、又はN−ブロモスクシンイミドに代表されるようなハロゲン化剤等を用いて側鎖をハロゲン化した後に、加水分解してジアルコール体とし、前述した方法により酸化する方法や、側鎖ハロゲン化物をヘキサメチレンテトラミンと反応させて加水分解するソムレ−反応で、直接4,4'−ジホルミルジフェニルエーテルを得る方法もある。
本反応は、4,4'−ジホルミルジフェニルエーテルとフェノール類及び触媒であるアルキルメルカプタン類をそれぞれ所定量ずつ耐圧容器に仕込み、攪拌しながら所定の反応温度に加熱して反応液を形成させ、そこに塩化水素ガスを所定圧力になるまで投入して行われる。
フェノール類の使用量は、化学量論的には4,4'−ジホルミルジフェニルエーテル1モルに対して、フェノール類4モルでよいが、通常は溶媒兼用で使用するため、大過剰に使用することも可能である。使用量は、4,4'−ジホルミルジフェニルエーテルに対して、4〜50モル倍、好ましくは6〜30モル倍である。
触媒の塩化水素は、無水塩化水素ガスを使用することが好ましい。塩化水素ガスの使用量は、十分な反応速度を得るには、4,4'−ジホルミルジフェニルエーテルに対して、0.15モル以上使用することが好ましい。塩化水素の使用量の上限は特に規定されない。
塩化水素と共に触媒として用いるアルキルメルカプタン類としては、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン等が例示できるが、これらに限定されるものではない。アルキルメルカプタン類の使用量は、4,4'−ジホルミルジフェニルエーテルに対して、通常0.01〜0.5モル倍であり、好ましくは0.05〜0.3モル倍である。
反応温度は、反応が進行すれば特に限定はされないが、通常は室温〜100℃で行われる。また、反応時間は塩化水素及びアルキルメルカプタン類の量、反応温度等の条件にもよるが、通常1〜24時間である。
本反応の主生成物は、フェノール類の2位、3位、4位、5位、6位のいずれかで置換したものであるが、1つが別の位置で置換した化合物や2つが別の位置で置換した化合物等も生成する場合がある。高純度の単一構造体が必要な場合には、再結晶やカラムクロマトグラフィー等の手段を用いて分離することも可能である。
(感光剤)
本発明の感光剤は、上記テトラキスフェノール化合物(a)と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸および1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸のエステルの少なくとも一方からなる(以下、感光剤(A)とする)。また、本発明の感光剤は、例えば、上記テトラキスフェノール化合物(a)と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−(又は−5−)スルホニルクロライドとを、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトンなどの溶媒に溶解させた後、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基性触媒を発熱に注意しながらゆっくり滴下し、室温で数時間反応させた後、反応液を水中に投入して析出した生成物を濾過、水洗、乾燥させることで得ることができる。
(感光性樹脂組成物)
本発明の感光性樹脂組成物は、上記感光剤(A)と、アルカリ可溶性樹脂(B)と、を含む。これにより、感光性樹脂組成物の膜厚が10μmを超えても、露光感度及び解像度を両立しつつ、良好な保存安定性を得ることができる。その理由は、以下のように考えられる。
感光剤(A)は、1,2−ナフトキノンジアジド−4−(又は−5−)スルホン酸エステル構造で示される感光基間の距離が、従来の感光剤より離れている。そのため、少ない量でも広範囲のアルカリ可溶性樹脂と相互作用を起こすことができ、未露光部の現像液に対する耐性(溶解阻止能)が強まる。これにより、解像度が向上できるようになる。また、一般的なフェノール化合物の場合、末端以外の主骨格中にも水酸基が存在するが、立体障害により1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−(及び/又は−4−)スルホン酸とのエステルは形成されにくく、そのままの骨格で存在する場合が多い。この場合、未露光部の現像液に対する耐性(溶解阻止能)が低下するため、スカムの発生や溶解コントラストの低下による解像度の低下が起こる。したがって、本発明のテトラキスフェノール化合物(a)の主骨格中の芳香環は水酸基を有していないこと、また芳香環数が多いことにより疎水性が増加し、解像度は向上すると考えられる。
一方露光部では、本発明のテトラキスフェノール化合物(a)は、末端にのみに水酸基を有することから、そこに置換される1,2−ナフトキノンジアジド−4−(又は−5−)スルホン酸エステル構造の周囲に広範囲に存在するアルカリ可溶性樹脂を溶解させることができると反応できる。これにより、露光部の樹脂の現像液への溶解を促進できる。また一般に、現像液への溶解後に形成される空間部分には、さらに現像液が入り込み、これにより樹脂が除去され、パターニングが形成されると考えられている。そこで、本発明のテトラキスフェノール化合物(a)は分子量が大きいため、より多くの現像液が入り込むことでアルカリ可溶性樹脂が崩れ易くなり、露光部の樹脂が除去し易くなると考えられる。そしてその結果、露光感度が向上すると考えられる。
また、本発明のテトラキスフェノール化合物(a)は、主骨格中の芳香環連結基の自由回転可能なエーテル結合によって、高い溶剤溶解性、化学的安定性、析出等の経時変化を起こさない高い保存安定性を発揮させていると考えられる。その要因の一つとして、芳香環を多く含んでいるため、ポリアミド樹脂などのアルカリ可溶性樹脂との親和性が高いことが考えられる。
さらに本発明の感光性樹脂組成物は、スカムフリー性を有する。すなわち、本発明は、上記の理由から、アルカリ可溶性樹脂の分子量を低くしてアルカリ水溶液に対する溶解性を高くした樹脂を使用した場合でも、未露光部のレリーフパターンが崩れて露光部の底部にスカムが発生することを抑制することができると同時に、感光基であるナフトキノンジアジドスルホン酸のエステル化率を上げた場合においてもスカムの発生を抑制することができる。
感光剤(A)は、具体的には下記一般式(3)で表わされる感光性ジアゾキノン化合物である。
Figure 2012158551
(式(3)中、R、R、R、Rはそれぞれアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基から選ばれる基であり、それぞれ複数ある場合は同一でも異なってもよい。b、c、d、eはそれぞれ0〜4の整数である。Qは、水素原子、式(4)または式(5)のいずれかから選ばれるものである。式(3)中の各Qのうち、少なくとも1つは式(4)または式(5)で表される。)
Figure 2012158551
Figure 2012158551
一般式(3)中のR、R、R、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基の中から選ばれる基であり、それぞれ複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、アルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられるが、この中で感光性樹脂組成物の感度と解像度により優れる点から、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基が特に好ましい。
感光剤(A)として具体的には下記式(9)で示されるものが例示される。
Figure 2012158551
感光剤(A)の含有量は、特に限定されるものはないが、アルカリ可溶性樹脂(B)100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、10〜40重量部が特に好ましい。含有量を前記範囲内とすることで、スカム無く良好な感度と解像度を備えたポジ型感光性樹脂組成物を得ることが出来る。
また本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、感度、解像度、保存安定性に大きな影響を及ぼさない限り、他の感光剤を併用することも出来る。使用できる感光剤としては、200〜500nm、特に好ましくは350〜450nmの波長を持つ化学線の照射により酸を発生する化合物が好ましい。
具体的には本発明以外のフェノール化合物を用いた感光性ジアゾキノン化合物や、ジアリールヨ−ドニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、スルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩、2−ニトロベンジルエステル化合物、N−イミノスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン化合物や、ジヒドロピリジン化合物などを用いることができる。
併用可能な感光性ジアゾキノン化合物の支持体であるフェノール化合物としては、フェノール核数が1〜10個程度有するフェノール化合物や低分子量ノボラック樹脂などが使用できる。具体的にはビスフェノール、トリスフェノール、本発明のテトラキスフェノール化合物(a)以外のテトラキスフェノール、3〜6個程度のフェノール核がメチレン結合を介し直鎖状に結合されたフェノール化合物などが使用することができる。
より具体的には感度に優れる式(10)、式(11)に示すフェノール化合物を挙げることができるが特に限定されるものではない。これらの1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステルは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2012158551
Figure 2012158551
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(B)としては、水酸基、特にフェノール性水酸基および/またはカルボキシル基を有するものであり、例えばクレゾール型ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、メタクリル酸樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等のアクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられるが、これらの中でもポリアミド樹脂が好ましい。
ここで、本発明において、ポリアミド樹脂とは、ベンゾオキサゾール前駆体構造および/またはイミド前駆体構造を有する樹脂を指す。また、ポリアミド樹脂は、ベンゾオキサゾール前駆体構造、イミド前駆体構造の一部が閉環反応することにより生じるベンゾオキサゾール構造、イミド構造を有していてもよく、また、アミド酸エステル構造を有していてもよい。
また、ベンゾオキサゾール前駆体構造とは、下記式(12)で表される構造を指し、イミド前駆体構造とは、下記式(13)で表される構造を指し、ベンゾオキサゾール構造とは、下記式(14)で表される構造を指し、イミド構造とは、下記式(15)で表される構造を指し、アミド酸エステル構造とは、下記式(16)で表される構造を指す。
Figure 2012158551
Figure 2012158551
Figure 2012158551
Figure 2012158551
Figure 2012158551
なお、上記式(12)〜(16)中のDおよびRは有機基を示す。これらポリアミド樹脂の中でも、下記一般式(17)で示される繰り返し単位を有するポリアミド樹脂が好ましい。
Figure 2012158551
(式(17)中、X、Yは有機基である。Rは水酸基、−O−R、アルキル基、アシルオキシ基、シクロアルキル基であり、同一でも異なってもよい。Rは水酸基、カルボキシル基、−O−R、−COO−Rのいずれかであり、同一でも異なってもよい。gは0〜8の整数、hは0〜8の整数である。Rは炭素数1〜15の有機基である。ここで、Rが複数ある場合は、それぞれ異なっていても同じでもよい。Rとして水酸基がない場合は、Rは少なくとも1つはカルボキシル基でなければならない。また、Rとしてカルボキシル基がない場合、Rは少なくとも1つは水酸基でなければならない。)
一般式(17)で示されるポリアミド樹脂において、Xの置換基としてのO−R、Yの置換基としてのO−R、COO−Rは、水酸基、カルボキシル基のアルカリ水溶液に対する溶解性を調節する目的で、炭素数1〜15の有機基であるRで保護された基であり、必要により水酸基、カルボキシル基を保護してもよい。Rの例としては、ホルミル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
一般式(17)で示される構造を含むポリアミド樹脂は、例えば、Xを含むジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物と、Yを含むテトラカルボン酸二無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応して得られるものである。なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高めるため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
一般式(17)で示されるポリアミド樹脂を、高温で加熱する場合は280℃〜380℃、低温で加熱する場合は150℃〜280℃で処理すると脱水閉環し、ポリイミド樹脂、またはポリベンゾオキサゾール樹脂、或いは両者の共重合という形で耐熱性樹脂が得られる。
一般式(17)で示されるポリアミド樹脂のXは、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族化合物、ビスフェノール類、ピロール類、フラン類等の複素環式化合物、シロキサン化合物等が挙げられ、より具体的には下記(18)式で示されるものが好ましいものとして挙げることができる。これらは、必要により1種類または2種類以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2012158551
(式(18)中*は、NH基に結合することを示す。Aは、アルキレン、置換アルキレン、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF−または単結合である。R10は、アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを示し、それぞれ同じでも異なってもよい。R11は、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを示す。R12〜R15は、有機基である。i=0〜2の整数である。)
上記式(17)で示すように、XにはRが0〜8個結合される(式(17)において、Rは省略)。
上記式(18)中で特に好ましいものとしては、下記式(19)、下記式(20)で表されるものが挙げられる。
Figure 2012158551
(式(19)、式(20)中、*はNH基に結合することを示す。式(19)中、Aは、アルキレン、置換アルキレン、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF−、又は単結合である。式中Aは、アルキレン、置換アルキレン、−O−、−SO−、または単結合である。R16は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、シクロアルキル基のいずれかであり、同一でも異なってもよい。jは0〜3の整数である。)
Figure 2012158551
上記式(19)、式(20)中で特に好ましいものとしては、下記式(21)で表されるものが挙げられる。
Figure 2012158551
(式(21)中*は、NH基に結合することを示す。式中Aは、アルキレン、置換アルキレン、−O−、−SO−、−C(CF−、又は単結合である。R17はアルキレン、置換アルキレン、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF−、単結合から選ばれる有機基である。)
上記式(18)のA、上記式(19)のA及びA、上記式(21)のR17及びAのアルキレン、置換アルキレンの具体的な例としては、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CHCH)(CHCH)−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−CH(CH(CH)−、−C(CH)(CH(CH)−、−CH(CHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCHCH)−、−CH(CHCH(CH)−、−C(CH)(CHCH(CH)−、−CH(CHCHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCHCHCH)−、−CH(CHCHCHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCHCHCHCH)−等が挙げられるが、その中でも−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−が、アルカリ水溶液だけでなく溶剤に対しても十分な溶解性を持つ、よりバランスに優れるポリアミド樹脂を得ることができて好ましい。
また、式(17)のYは有機基であり、前記Xと同様のものが挙げられ、例えばベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族化合物、ビスフェノール類、ピロール類、ピリジン類、フラン類等の複素環式化合物、シロキサン化合物等が挙げられ、より具体的には下記式(22)で示されるものを好ましく挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2012158551
(式(22)中*は、C=O基に結合することを示す。Jは、−CH−、−C(CH−、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF−または単結合である。Aは、アルキレン、置換アルキレン、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF−または単結合である。R18は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを示し、それぞれ同じでも異なってもよい。R19は、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを示す。R20〜R23は、有機基である。k=0〜2の整数である。)
式(17)で示すように、YにはRが0〜8個結合される(式(17)において、Rは省略)。
これらの中で特に好ましいものとしては、下記式(23)で表されるものが挙げられる。下記式(23)中のテトラカルボン酸二無水物由来の構造については、C=O基に結合する位置が両方メタ位であるもの、両方パラ位であるものを挙げているが、メタ位とパラ位をそれぞれ含む構造でもよい。
Figure 2012158551
(式(23)中、*はC=O基に結合することを示す。式中、Aは、−O−、−SO−、−C(=O)−から選ばれる有機基である。式中A、Aは、−C(CH−、−C(=O)−、−O−、−SO−、−C(CF−、又は単結合である。R24は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基、ハロゲン原子の内から選ばれた1つを表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。R25は、水素原子又は炭素数1〜15の有機基から選ばれた1つを示し、一部が置換されていてもよい。l=0〜2の整数である。)
また、上述の一般式(17)で示される繰り返し単位を有するポリアミド樹脂は、該ポリアミド樹脂の末端をアミノ基とし、該アミノ基をアルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基、または環式化合物基を含む酸無水物を用いてアミドとしてキャップすることが好ましい。これにより、保存性を向上することができる。
このような、アミノ基と反応した後のアルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物に起因する基としては、例えば式(24)、式(25)で示される基等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2012158551
Figure 2012158551
またこの方法に限定される事はなく、該ポリアミド樹脂中に含まれる末端のカルボン酸をアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含むアミン誘導体を用いてアミドとしてキャップすることもできる。
更に、上述の式(17)で示されるポリアミド樹脂の場合、低温で硬化した際の機械物性、耐熱性に影響を及ぼさない程度に、末端の少なくとも一方に窒素含有環状化合物を有してもよい。これにより金属配線(特に銅配線)等との密着性を向上することが出来る。
前記窒素含有環状化合物としては、例えば1−(5−1H−トリアゾイル)メチルアミノ基、3−(1H−ピラゾイル)アミノ基、4−(1H−ピラゾイル)アミノ基、5−(1H−ピラゾイル)アミノ基、1−(3−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(4−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(5−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、(1H−テトラゾル−5−イル)アミノ基、1−(1H−テトラゾル−5−イル)メチル−アミノ基、3−(1H−テトラゾル−5−イル)ベンズ−アミノ基等が挙げられる。
更に本発明では、高感度で更に現像後の樹脂残り(スカム)無くパターニングできるようにフェノール性化合物を添加することができる。
本発明における樹脂組成物および感光性樹脂組成物には、必要によりオキシラン化合物、オキシラン樹脂、メチロール基含有化合物、アルコキシアルキル基含有化合物、N−アルコキシアルキル基含有化合物、2官能以上の不飽和二重結合もしくは三重結合含有化合物等の架橋剤、アクリル系、シリコ−ン系、フッ素系、ビニル系等のレベリング剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、熱により酸を発生する化合物、アルカリ水溶液に対する溶解抑制剤、可塑剤等の添加剤を含んでもよい。
本発明においては、これらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ−ト、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテ−ト、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネ−ト等が挙げられ、単独でも混合して用いてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウェハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体素子上に塗布する場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるよう塗布する。膜厚が下限値を下回ると、半導体素子の保護膜、絶縁膜としての機能を十分に発揮することが困難となり、上限値を越えると、微細なレリーフパターンを得ることが困難となるばかりでなく、加工に時間がかかりスループットが低下する。塗布方法としては、スピンナ−を用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコ−ティング等がある。
次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。
次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液、およびこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。
次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に加熱処理(硬化)を行い、オキサゾール環、又はオキサゾール環およびイミド環を形成し、耐熱性に富む硬化物を得る。
加熱処理は高温でも低温でも可能であり、高温での加熱処理温度は、280℃〜380℃が好ましく、より好ましくは290℃〜350℃である。低温での加熱処理温度は150℃〜280℃が好ましく、より好ましくは180℃〜260℃である。加熱処理にはオーブン、ホットプレート、電気炉(ファーネス)、赤外線、マイクロ波などが使われる。
(保護膜、絶縁膜)
また、本発明の保護膜、絶縁膜は、上記感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜で構成されていることを特徴とする。感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜は、半導体素子等の半導体装置用途のみならず、TFT型液晶や有機EL等の表示体装置用途、多層回路の層間絶縁膜やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜としても有用である。
(半導体装置、表示体装置)
また、本発明の半導体装置、表示体装置は、上記硬化膜で構成されていることを特徴とする。半導体装置用途の例としては、半導体素子上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなるパッシベーション膜、パッシベーション膜上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなるバッファーコート膜等の保護膜、また、半導体素子上に形成された回路上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなる層間絶縁膜等の絶縁膜、また、α線遮断膜、平坦化膜、突起(樹脂ポスト)、隔壁等を挙げることができる。
表示体装置用途の例としては、表示体素子上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなる保護膜、TFT素子やカラーフィルター用等の絶縁膜または平坦化膜、MVA型液晶表示装置用等の突起、有機EL素子陰極用等の隔壁等を挙げることができる。その使用方法は、半導体装置用途に準じ、表示体素子やカラ−フィルタ−を形成した基板上にパターン化された感光性樹脂組成物層を、上記の方法で形成することによるものである。表示体装置用途の、特に絶縁膜や平坦化膜用途では、高い透明性が要求されるが、この感光性樹脂組成物層の硬化前に、後露光工程を導入することにより、透明性に優れた樹脂層が得られることもでき、実用上更に好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。尚、分析は高速液体クロマトグラフィーを用いて実施した。
(合成例1)4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロライドの合成
300mL四つ口フラスコに4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸22.0g(0.085モル)、トルエン99.0g、N,N−ジメチルホルムアミド0.20g(0.003モル)を仕込み、75℃まで昇温し、75〜80℃で塩化チオニル30.4g(0.256モル)を滴下した。同温度で7時間保持した後、30℃まで冷却し、活性炭2.19gを添加後に1時間保持した。活性炭を濾過し、トルエンで活性炭を洗浄した後、フラスコ内の物質の全量が50gになるまで溶媒留去した。ヘプタン21.6gを室温で滴下し、70℃まで昇温し、溶解させた。60℃以上を保ちながら不溶分を濾過し、得られた濾液を50℃まで冷却した後、種晶1gを添加し、0℃まで冷却した後、そのまま2時間保持した。析出した結晶を濾過し、ヘプタン10.0gとトルエン6.60gの混合溶媒で洗浄し、20℃で減圧乾燥することで、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロライド21.0gを得た。収率は83.4%で、HPLC純度は99.4%であった。
(合成例2)4,4'−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテルの合成
300mL四つ口フラスコに水素化リチウムアルミニウム3.86g(0.102モル)とテトラヒドロフラン150gを仕込み、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロライド10g(0.034モル)を1gずつ分割して入れた。還流するまで昇温し、6時間保持した後に10℃まで冷却した。そこへ水60gを1時間かけて滴下し、次いで35%塩酸4.30gを滴下し、酢酸エチルを50g添加した。不溶分を濾過し、得られた濾液から溶媒を留去し、50℃で乾燥することで白色の4,4'−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル7.45gを得た。収率は95.5%で、HPLC純度は97.5%であった。
(合成例3)4,4'−ジホルミルジフェニルエーテル(II)の合成
1L四つ口フラスコに4,4'−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル10g(0.043モル)、塩化メチレン200g、TEMPOを0.14g(0.001モル)、臭化カリウム水溶液4.52g(0.004モル)を仕込み、−10℃まで冷却した。これに5%次亜塩素酸ナトリウム142.2g(0.096モル)と炭酸水素ナトリウム2.42g(0.029モル)の混合物を20分かけて滴下し、0〜10℃で1時間保持した後に分液した。水層に塩化メチレン80gを入れて抽出したものを有機層と混合させ、10%塩酸50g、次いで10%チオ硫酸ナトリウム水溶液50g、最後に水50gで洗浄した。これを溶媒留去することで褐色液状の4,4'−ジホルミルジフェニルエーテル(II)9.9gを定量的に得た。HPLC純度は99.3%であった。
(実施例1)α,α,α',α'−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,4'−ジメチルジフェニルエーテルの合成
温度計、及び攪拌機を備えた300mLガラス製オートクレーブに、4,4'−ジホルミルジフェニルエーテル12.9g(0.057モル)、2−メチルフェノール148g(1.369モル)、1−ブタンチオール0.82g(0.009モル)を加えた後、60℃まで昇温した。系内を0.1MPaの窒素で3回置換し、塩化水素ガス1g(0.027モル)を投入して、内圧を0.02MPa程度にし、60℃で8時間反応させた。反応終了後、系内を窒素で置換した後、反応混合物を500mL四つ口フラスコに移し、80〜110℃で2−メチルフェノールを留去した。残さにトルエン194gと活性炭2.6gの混合物を加えて、室温で2時間保持した。活性炭を濾過してトルエンを留去し、粗製品57.9gを得た。HPLC分析より反応収率は74.3%であった。また、粗製品の組成は、純度55.9%、1つの2−メチルフェノール置換位置が異なる異性体が23.4%、2つの2−メチルフェノール異性体置換位置が異なる異性体は2.1%であった。
(実施例2)α,α,α',α'−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,4'−ジメチルジフェニルエーテル(I)の精製
実施例1で得られた粗製品を酢酸エチルに溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。展開溶媒にクロロホルム/酢酸エチル(比率8/1〜6/1)を用い、フラクションから溶媒留去して70℃で減圧乾燥することで、標題化合物(I)を得た。HPLC純度は99.8%であった。
1H−NMR(CDCl3,δ):2.18(s,12H),4.65(br,s,4H),5.31(s,2H),6.66(d,4H,J=8.3Hz),6.76(dd,4H,J=2.3,8.3Hz),6.85(d,4H,J=2.3Hz),6.89(m,4H),7.01(m,4H)
MS(EI) m/z:622[M+]
(実施例3)
まず、感光剤(Q−1)を以下のようにして合成した。
実施例1で得られた、粗製品のα,α,α',α'−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,4'−ジメチルジフェニルエーテル12.46g(0.020モル)と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド17.20g(0.064モル)とアセトン170gとを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れて撹拌、溶解させた。次に、反応溶液の温度が35℃以上にならないようウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン7.12g(0.070モル)とアセトン6.0gの混合溶液を、ゆっくり滴下した。そのまま室温で3時間反応させた後、酢酸1.00g(0.016モル)を添加し、更に30分反応させた。反応混合物を濾過した後、濾液を水/酢酸(990ml/10ml)の混合溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、α,α,α',α'−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,4'−ジメチルジフェニルエーテルの水酸基の80%が1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸のエステルで置換された感光剤(Q−1)20.7g(収率78.8%)を得た。
得られた感光剤(Q−1)をHPLC(日本分光株式会社製LC−2000)で分析したところ、ピーク面積比よりテトラエステル体が60.3%、トリエステル体が21.1%、ジエステル体が3.1%の混合物であることが分かった。
1H−NMR(DMSO−d6,δ):2.01(s,2H),2.10(s,10H),5.47(s,2H),6.67(d,2H),6.78〜6.90(m,10H),7.01〜7.05(m,8H),7.64〜7.70(m,4H),7.87〜7.91(m,4H),8.25〜8.30(m,7H),8.46(s,3H)
次に、アルカリ可溶性樹脂(A−1)を以下のようにして合成した。
ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸0.85モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール1.70モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)418.59g(0.85モル)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.26g(1.00モル)を温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3200gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて16時間反応させた。次に、N−メチル−2−ピロリドン150gに溶解させた4−エチニルフタル酸無水物51.64g(0.30モル)を加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、数平均分子量が10700で、表1で示される配合量のアルカリ可溶性樹脂(A−1)として、ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂を得た。
上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−1)10g、感光剤(Q−1)1.5gをN−メチル−2−ピロリドン1.5gとγ−ブチロラクトン13.5gの混合溶媒に溶解した後、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルタ−で濾過、ポリプロピレン製容器に受け、感光性樹脂組成物を得た。得られた感光性樹脂組成物について、評価を行い、その結果を表1に示した。
(加工性評価)
得られた感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレ−トにて120℃で4分プリベークし、膜厚約13μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷株式会社製マスク(テストチャ−トNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線ステッパ−(株式会社ニコン製・NSR−4425i)を用いて、露光量を変化させて照射した。
次に現像液として2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、プリベーク後の膜厚と現像後の膜厚の差が2.0μmになるように現像時間を調節して2回パドル現像を行うことによって露光部を溶解除去した後、純水で10秒間リンスした。その後、露光部を観察し、感度と解像度の確認と、スカムの発生の有無を調べた。
(保存性安定性評価)
(i)室温で2ヵ月放置した場合
得られた感光性樹脂組成物が入ったポリプロピレン容器を室温のイエロール−ムに2カ月放置した。その後、この感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて2枚塗布した後、ホットプレ−トにて120℃で4分プリベークし、膜厚約10μmの塗膜を得た。プリベーク後得られた塗膜の外観を金属顕微鏡で観察し、結晶物の有無を調べた。
次に、もう一枚の塗膜付きシリコンウェハーを、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、プリベーク後の膜厚と現像後の膜厚の差が約2μmになるように現像時間を調節して2回パドル現像を行った。現像後の塗膜の外観を金属顕微鏡で観察し、結晶物の有無を調べた。
(ii)冷凍で1週間保存した場合
さらに、ポリスチレン製コンテナに、ドライアイスと、ドライアイスが直接接するように上記感光性樹脂組成物が入ったポリプロピレン容器を配置し、密閉した上で−20℃の冷凍庫に1週間放置した。その後室温まで解凍し、上記同様にこの感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて2枚塗布し、プリベーク後と現像後の塗膜の外観を観察し、結晶物の有無を調べた。
(実施例4)
感光剤(Q−2)を以下のようにして合成した。
実施例2で得られた、標題化合物(I)12.46g(0.020モル)と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド17.20g(0.064モル)と、アセトン170gとを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れて撹拌、溶解させた。次に、反応溶液の温度が35℃以上にならないようウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン7.12g(0.070モル)とアセトン6.0gの混合溶液を、ゆっくり滴下した。そのまま室温で3時間反応させた後、酢酸1.00g(0.016モル)を添加し、更に30分反応させた。反応混合物を濾過した後、濾液を水/酢酸(990ml/10ml)の混合溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、α,α,α',α'−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,4'−ジメチルジフェニルエーテルの水酸基の80%が1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸のエステルで置換された感光剤(Q−2)23.4g(収率89.1%)を得た。
得られた感光剤(Q−2)をHPLCで分析したところ、ピーク面積比よりテトラエステル体が52.8%、トリエステル体が24.5%、ジエステル体が15.6%の混合物であることが分かった。
1H−NMR(DMSO−d6,δ):2.02(s,5H),2.10(s,15H),5.47(s,2H),6.65(s,2H),6.78〜6.90(m,18H),7.01〜7.05(m,12H),7.64〜7.69(m,6H),7.87〜7.91(m,6H),8.25〜8.30(m,10H),8.47(s,4H)
実施例3の感光性樹脂組成物において、感光剤(Q−1)の替わりに感光剤(Q−2)を用いた他は、実施例3と同様に感光性樹脂組成物を作成し、実施例3と同様に評価を行った。その結果を、表1に示した。
(実施例5)
アルカリ可溶性樹脂(A−2)を以下のようにして合成した。
3,3'−ジアミノジフェニルメタン29.74g(0.15モル)とN−メチル−2−ピロリドン300gを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ溶解させた。4,4'−オキシジフタル酸無水物40.02g(0.13モル)を添加し、室温で1時間反応させた後、オイルバスを用いて65℃で2時間反応させた。次にヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン311.32g(0.85モル)、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸0.73モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール1.46モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)359.99g(0.73モル)をN−メチル−2−ピロリドン2600gと共に添加し、75℃で16時間反応させた。次に、N−メチル−2−ピロリドン150gに溶解させた4−エチニルフタル酸無水物48.20g(0.28モル)を加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、数平均分子量が8600で、表1で示される配合量のアルカリ可溶性樹脂(A−2)として、ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂を得た。
実施例3の感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂(A−1)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−2)を用い、感光剤(Q−1)1.5gの替わりに感光剤(Q−2)1.8gを用い、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンの混合溶剤の替わりにγ−ブチロラクトン15gを用いた他は、実施例3と同様に感光性樹脂組成物を作成し、実施例3と同様に評価を行った。その結果を、表1に示した。
(実施例6)
アルカリ可溶性樹脂(A−3)を以下のようにして合成した。
イソフタル酸0.34モルとジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸0.50モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール1.68モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)382.61g(0.84モル)と、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン85.91g(0.30モル)と、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン69.08g(0.30モル)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン146.50g(0.40モル)を温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン2000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて16時間反応させた。次に、N−メチル−2−ピロリドン200gに溶解させた4−エチニルフタル酸無水物55.08g(0.32モル)を加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、数平均分子量が9800で、表1で示される配合量のアルカリ可溶性樹脂(A−3)として、ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂を得た。
実施例3の感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂(A−1)の替わりにアルカリ可溶性樹脂(A−3)を用い、感光剤(Q−1)の替わりに感光剤(Q−2)を用いて更に添加量を1.6gに変更した他は、実施例3と同様に感光性樹脂組成物を作成し、実施例3と同様に評価を行った。その結果を、表1に示した。
(比較例1)
感光剤(Q−3)を以下のようにして合成した。
4,4',4''−トリヒドロキシフェニルメタン5.85g(0.020モル)と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド12.90g(0.024モル)とアセトン106gとを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れて撹拌、溶解させた。次に反応溶液の温度が35℃以上にならないようウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン5.34g(0.053モル)とアセトン3.0gの混合溶液を、ゆっくり滴下した。そのまま室温で3時間反応させた後、酢酸0.72g(0.012モル)を添加し、更に30分反応させた。反応混合物を濾過した後、濾液を水/酢酸(600ml/6ml)の混合溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、4,4',4''−トリヒドロキシフェニルメタンの水酸基の80%が1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸のエステルで置換された感光剤(Q−3)14.5g(収率89.5%)を得た。
得られた感光剤(Q−3)をHPLCで分析したところ、ピーク面積比よりトリエステル体が59.2%、ジエステル体が22.5%の混合物であることが分かった。
実施例3の感光性樹脂組成物において、感光剤(Q−1)の替わりに感光剤(Q−3)を用いた他は、実施例3と同様に感光性樹脂組成物を作成し、実施例3と同様に評価を行った。その結果を、表1に示した。
(比較例2)
実施例5の感光性樹脂組成物において、感光剤(Q−2)の替わりに感光剤(Q−3)を用いた他は、実施例5と同様に感光性樹脂組成物を作成し、実施例5と同様に評価を行った。その結果を、表1に示した。
(比較例3)
実施例6における感光性樹脂組成物の作製において、感光剤(Q−2)の替わりに感光剤(Q−3)を用いた他は、実施例6と同様に感光性樹脂組成物を作成し、実施例6と同様に評価を行った。その結果を、表1に示した。
Figure 2012158551
なお、表中の「問題無し」とは結晶物が発生しなかったことを示す。
表1に示すように、実施例3〜6は、10μmを超える厚膜条件下でも非常に感度が優れていることが分かり、半導体の生産に差し支えない十分な感度と解像度を有しているのが分かった。

Claims (11)

  1. 一般式(1)で表されるテトラキスフェノール化合物。
    Figure 2012158551
    (式(1)中、Arはフェノール性水酸基を有するアリール基であり、同一でも異なってもよく、2位、3位、4位、5位、6位のいずれかで置換したものである。)
  2. 一般式(1)中のArが、下記一般式(2)で示される基であることを特徴とする請求項1記載のテトラキスフェノール化合物。
    Figure 2012158551
    (式(2)中、*は一般式(1)の−CH基に結合することを示す。Rはアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基から選ばれる基であり、複数ある場合は同一でも異なってもよい。aは0〜4の整数である。)
  3. 請求項1または2に記載のテトラキスフェノール化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸および1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸のエステルの少なくとも一方と、で構成されることを特徴とする感光剤。
  4. 前記感光剤が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項3に記載の感光剤。
    Figure 2012158551
    (式(3)中、R,R,R,Rはそれぞれアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基から選ばれる基であり、それぞれ複数ある場合は同一でも異なってもよい。b,c,d,eはそれぞれ0〜4の整数である。Qは、水素原子、式(4)または式(5)のいずれかから選ばれるものである。また式(3)中の各Qのうち、少なくとも1つは式(4)または式(5)で表される。)
    Figure 2012158551
    Figure 2012158551
  5. 請求項3または4記載の感光剤と、アルカリ可溶性樹脂と、を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
  6. 前記アルカリ可溶性樹脂が、ベンゾオキサゾール前駆体構造およびイミド前駆体構造の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 請求項5または6に記載の感光性樹脂組成物の硬化物で構成されていることを特徴とする硬化膜。
  8. 請求項7に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする保護膜。
  9. 請求項7に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする絶縁膜。
  10. 請求項7に記載の硬化膜を有していることを特徴とする半導体装置。
  11. 請求項7に記載の硬化膜を有していることを特徴とする表示体装置。
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