JP2004125815A - ポジ型感光性樹脂組成物及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高感度で、かつ高解像度であるポジ型感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、感光性ジアゾキノン化合物(B)1〜50重量部及び一般式(1)で示される構造を有するフェノール化合物(C)1〜30重量部を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
【化1】
【解決手段】アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、感光性ジアゾキノン化合物(B)1〜50重量部及び一般式(1)で示される構造を有するフェノール化合物(C)1〜30重量部を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
【化1】
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高感度かつ高解像度であるポジ型感光性樹脂組成物及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、耐熱性に優れ又卓越した電気特性、機械特性等を有するポリイミド樹脂が用いられているが、近年半導体素子の高集積化、大型化、半導体装置の薄型化、小型化、半田リフローによる表面実装への移行等により耐熱サイクル性、耐熱ショック性等の特性に対する著しい向上の要求があり、更に高性能の樹脂が必要とされるようになってきた。
【0003】
一方、ポリイミド樹脂自身に感光性を付与する技術が注目を集めてきており、例えば、下記式(5)に示される感光性ポリイミド樹脂が挙げられる。
【化5】
【0004】
これを用いるとパターン作成工程の一部が簡略化でき、工程短縮及び歩留まり向上の効果はあるが、現像の際にN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤が必要となるため、安全性、取扱い性に問題がある。
そこで最近、アルカリ水溶液で現像ができるポジ型感光性樹脂組成物が開発されている。例えば、特公平1−46862号公報にはベース樹脂であるポリベンゾオキサゾール前駆体と感光材であるジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂組成物が開示されている。これは高い耐熱性、優れた電気特性、微細加工性を有し、ウェハーコート用のみならず層間絶縁用樹脂組成物としての可能性も有している。このポジ型感光性樹脂組成物の現像メカニズムは以下のようになっている。未露光部のジアゾキノン化合物はアルカリ水溶液に不溶であり、ベース樹脂と相互作用することでこれに対し耐性を持つようになる。一方、露光することによりジアゾキノン化合物は化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となり、ベース樹脂を溶解させる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるものである。
【0005】
これらの感光性樹脂組成物を実際に使用する場合、特に重要となるのは感光性樹脂組成物の感度である。低感度であると、露光時間が長くなりスループットが低下する。そこで感光性樹脂組成物の感度を向上させようとして、例えばベース樹脂の分子量を小さくすると、現像時に未露光部の膜減りが大きくなるために、必要とされる膜厚が得られなかったり、パターン形状が崩れるといった問題が生じる。そして最近は半導体素子の縮小化の傾向が加速されており、より高解像度のパターンが形成できることも重要となっている。上述のように感度を優先させると未露光部のパターン形状が崩れるために、寸法幅の狭いパターンは形成できず低解像度となる。逆に未露光部が崩れないように、例えばベース樹脂の分子量を大きくしたり、感光材である感光性ジアゾキノン化合物の添加量を多くすると、露光部がアルカリ水溶液に難溶となるために低感度になったり、現像後のパターン底部に感光性樹脂組成物の残り(スカム)が発生するという問題が生じる。この様に、一般に感度と解像度はトレードオフの関係にあり、両者の特性を満足する感光性樹脂組成物の開発が最近強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高感度かつ高解像度であるポジ型感光性樹脂組成物及び半導体装置の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、感光性ジアゾキノン化合物(B)1〜50重量部及び一般式(1)で示される構造を有するフェノール化合物(C)1〜30重量部を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置であり、更に好ましくは、一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂(A)100重量部、感光性ジアゾキノン化合物(B)1〜50重量部及び一般式(1)で示される構造を有するフェノール化合物(C)1〜30重量部を含むポジ型感光性樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置の製造方法である。
【0008】
【化6】
【0009】
【化7】
【0010】
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂としては、主鎖又は側鎖に水酸基、カルボキシル基、又はスルホン酸基を持つ樹脂であり、クレゾール型ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂等が挙げられるが、最終加熱後の耐熱性の点から一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂が好ましい。
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂中のXは、2〜4価の環状化合物基を表し、R5は、水酸基、O−R7で、mは0〜2の整数、これらは同一でも異なっていても良い。Yは、2〜6価の環状化合物基を表し、R6は水酸基、カルボキシル基、O−R7、COO−R7で、nは0〜4の整数、これらは同一でも異なっていても良い。ここでR7は炭素数1〜15の有機基である。但し、R5として水酸基がない場合は、R6は少なくとも1つはカルボキシル基でなければならない。又R6としてカルボキシル基がない場合は、R5は少なくとも1つは水酸基でなければならない。
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂は、例えば、Xの構造を有するジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物、必要により配合されるZの構造を有するシリコーンジアミンとYの構造を有するテトラカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応して得られるものである。なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高めるため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステルの型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂において、Xの置換基としてのO−R7、Yの置換基としてのO−R7、COO−R7は、水酸基、カルボキシル基のアルカリ水溶液に対する溶解性を調節する目的で、炭素数1〜15の有機基で保護された基であり、必要により水酸基、カルボキシル基を保護しても良い。R7の例としては、ホルミル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
このポリアミド樹脂を約300〜400℃で加熱すると脱水閉環し、ポリイミド、又はポリベンゾオキサゾール、或いは両者の共重合という形で耐熱性樹脂が得られる。
【0011】
本発明の一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂のXは、例えば、
【化8】
等であるがこれらに限定されるものではない。
【0012】
これら中で特に好ましいものとしては、
【化9】
より選ばれるものであり、これらは2種以上用いても良い。
【0013】
又一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂のYは、例えば、
【化10】
等であるがこれらに限定されるものではない。
【0014】
これらの中で特に好ましいものとしては、
【化11】
より選ばれるものであり、これらは2種以上用いても良い。
【0015】
又本発明においては、保存性という観点から、例えば、Xの構造を有するジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物、必要により配合されるZの構造を有するシリコーンジアミンとYの構造を有するテトラカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応させて得られた一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂を合成した後、該ポリアミド樹脂中に含まれる末端のアミノ基をアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物を用いてアミドとしてキャップすることが好ましい。アミノ基と反応した後のアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物に起因する基としては、例えば、
【化12】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
これらの中で特に好ましいものとしては、
【化13】
より選ばれるものであり、これらは2種以上用いても良い。
【0017】
更に、必要によって用いる一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂のZは、例えば、
【化14】
【0018】
等であるがこれらに限定されるものではなく、又2種以上用いても良い。
【0019】
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂のZは、例えば、シリコンウェハーのような基板に対して、特に優れた密着性が必要な場合に用いるが、その使用割合bは最大40モル%までである。40モル%を越えると露光部の樹脂の溶解性が極めて低下し、現像残り(スカム)が発生し、パターン加工ができなくなる。
【0020】
本発明で用いる感光性ジアゾキノン化合物(B)は、1,2−ベンゾキノンジアジド或いは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物であり、米国特許明細書第2772975号、第2797213号、第3669658号により公知の物質である。例えば、下記のものが挙げられる。
【化15】
【0021】
【化16】
【0022】
これらの内で、特に好ましいのは、フェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステルである。フェノール化合物としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは2種以上用いても良い。
【化17】
【0023】
【化18】
【0024】
【化19】
【0025】
本発明で用いる感光性ジアゾキノン化合物(B)の添加量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して1〜50重量部である。1重量部未満だとポリアミド樹脂のパターニング性が不良となり、50重量部を越えると感度が大幅に低下する。
【0026】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、一般式(1)で示される構造を有するフェノール化合物を含有させることが重要である。
【0027】
【化20】
【0028】
フェノール化合物をポジ型レジスト組成物に添加する技術としては、例えば、特開平3−200251号公報、特開平3−200252号公報、特開平3−200253号公報、特開平3−200254号公報、特開平4−1650号公報、特開平4−11260号公報、特開平4−12356号公報、特開平4−12357号公報等に開示されている。しかし、これらに示されているようなフェノール化合物は、本発明におけるポリアミド樹脂をベース樹脂としたポジ型感光性樹脂組成物に用いた場合、感度向上の効果は小さい。しかし、本発明における一般式(1)で示される構造を有するフェノール化合物を用いた場合、芳香族環に置換基のないフェノール化合物又は一般式(1)で示される構造以外のフェノール化合物を用いた場合に較べて、現像液に対する露光部の溶解速度が速くなり感度が向上し、更にスカムの発生も抑えられる。又ベース樹脂の分子量を小さくして感度を向上した場合に見られるような未露光部の膜減りも非常に小さい。
【0029】
一般式(1)に示されるフェノール化合物としては、具体例として下記のものを挙げることができるがこれらに限定されない。これらは2種以上用いても良い。
【化21】
【0030】
【化22】
【0031】
【化23】
【0032】
【化24】
【0033】
【化25】
【0034】
【化26】
【0035】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、感度向上を目的として必要により、他のフェノール化合物を添加することができる。例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化27】
【0036】
【化28】
【0037】
【化29】
【0038】
【化30】
【0039】
一般式(1)で示されるフェノール化合物(C)の添加量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して1〜30重量部である。1重量部未満だと現像時における感度が低下し、30重量部を越えると現像時に著しい未露光部の膜減りが生じたり、冷凍保存中において析出が起こり実用性に欠ける。
【0040】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、必要により感光特性を高めるためにジヒドロピリジン誘導体を含んでいてもよい。ジヒドロピリジン誘導体としては、例えば、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2′−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、4−(2′−ニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン、4−(2′,4′−ジニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3,5−ジカルボメトキシ−1,4−ジヒドロピリジン等を挙げることができる。
【0041】
本発明におけるポジ型感光性樹脂組成物には、必要によりレベリング剤、シランカップリング剤等の添加剤を含んでも良い。
本発明においては、これらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いても良い。
【0042】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該樹脂組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウェハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体装置の場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるように塗布する。膜厚が0.1μm未満だと半導体素子の保護表面膜としての機能を十分に発揮することが困難となり、30μmを越えると、微細な加工パターンを得ることが困難となる。塗布方法としては、スピンナーを用いる回転塗布、スプレーコーターを用いる噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。
【0043】
次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液及びこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。
【0044】
次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に加熱処理を行い、イミド環、もしくはオキサゾール環、又はイミド環とオキサゾール環の両方の環を形成し、耐熱性に富む最終パターンを得る。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜等としても有用である。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
4,4’―オキシジフタル酸無水物17.1g(0.055モル)と2−メチル−2−プロパノール12.4g(0.167モル)とピリジン10.9g(0.138モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン150gを加えて溶解させた。この反応溶液に1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール14.9g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン30gと共に滴下した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド22.7g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン50gと共に滴下し、室温で一晩反応させた。その後、この反応溶液にジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)27.1g(0.055モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン44.8g(0.122モル)をN−メチル−2−ピロリドン70gと共に添加し、室温で2時間攪拌した。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で十分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−1及びY−2で、a=100、b=0からなるポリアミド樹脂(A−1)を合成した。
【0046】
ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(A−1)100g、下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物19g、下記式(C−1)の構造を有するフェノール化合物15gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。
【0047】
特性評価
このポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分プリベークし、膜厚約13μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製・マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線ステッパー((株)ニコン製・4425i)を用いて、露光量を変化させて照射した。
次に2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に110秒浸漬することによって露光部を溶解除去した後、純水で10秒間リンスした。その結果、露光量350mJ/cm2で照射した部分よりパターンが形成されていることが確認できた。(感度は350mJ/cm2)。解像度は3μmと非常に高い値を示した。
【0048】
<実施例2>
ポリアミド樹脂の合成
テレフタル酸0.9モルとイソフタル酸0.1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)360.4g(0.9モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.3g(1モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。次にN−メチル−2−ピロリドン500gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物32.8g(0.2モル)を加え、更に12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−3及びY−4の混合物で、a=100、b=0からなる目的のポリアミド樹脂(A−2)を得た。
【0049】
ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(A−2)100g、下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物21g、下記式(C−2)の構造を有するフェノール化合物16gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。それ以外は実施例1と同様の評価を行った。
【0050】
<実施例3>
実施例2におけるポリアミド樹脂の合成において、テレフタル酸0.9モルとイソフタル酸0.1モルの替わりに、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1モルを用いて、実施例1と同様にして反応し、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−2で、a=100、b=0からなるポリアミド樹脂(A−3)を合成した。更に下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物17gと下記式(C−3)の構造を有するフェノール化合物15gを表1の様に変えた以外は実施例2と同様にポジ型感光性樹脂組成物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
<実施例4>
実施例2におけるポリアミド樹脂の合成において、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを348.0g(0.95モル)に減らし、替わりに1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン12.4g(0.05モル)を加え、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−3及びY−4の混合物、Zが下記式Z−1で、a=95、b=5からなるポリアミド樹脂(A−4)を合成した。更に感光性ジアゾキノン化合物(Q−1)とフェノール化合物(C−4)の添加量を表1に示す量に変えた以外は実施例2と同様にポジ型感光性樹脂組成物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
<実施例5>
実施例2におけるフェノール化合物(C−2)を(C−5)に替え、その添加量を表1に示す量に変えた以外は実施例1と同様の評価を行った。
<実施例6>
ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン44.0g(0.12モル)をN−メチル−2−ピロリドン200gに溶解させた後、N−メチル−2−ピロリドン160gに溶解させた無水トリメリット酸クロライド50.6g(0.24モル)を5℃以下に冷却しながら加えた。更にピリジン22.8g(0.29モル)を加えて、20℃以下で3時間攪拌した。次に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル24.0g(0.12モル)を加えた後、室温で5時間反応させた。次に内温を85℃に上げ、3時間攪拌した。反応終了後、濾過した反応混合物を、水/メタノール=5/1(体積比)に投入し、沈殿物を濾集して水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、X―2で、Yが下記式Y−5からなる混合物で、a=100、b=0からなる目的のポリアミド樹脂(A−5)を合成した。
合成したポリアミド樹脂(A−5)100g、下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物22g、下記式(C−1)の構造を有するフェノール化合物16gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。それ以外は実施例1と同様の評価を行った。
【0051】
比較例1〜6
表1の配合割合で、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を作製し、実施例1と同様にして評価した。なお比較例1に用いたポリアミド樹脂は実施例1、比較例2と比較例5は実施例2、比較例3は実施例3、比較例4は実施例4、比較例6は実施例6のものと同一である。実施例1に対応するのは比較例1、実施例2に対応するのは比較例2、実施例3に対応するのは比較例3、実施例4に対応するのは比較例4、実施例5に対応するのは比較例5、実施例6に対応するのは比較例6である。
以下に、実施例及び比較例のX−1、X−2、Y−1〜Y−5、Z−1、Q−1、C−1〜C−10の構造を示す。
【0052】
【化31】
【0053】
【化32】
【0054】
【化33】
【0055】
【化34】
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、膜減りが少なく、パターン形状の崩れがなく、更に露光部の感光性樹脂組成物の残り(スカム)がない特性を有する高感度で、かつ高解像度という優れた特徴を有している。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高感度かつ高解像度であるポジ型感光性樹脂組成物及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、耐熱性に優れ又卓越した電気特性、機械特性等を有するポリイミド樹脂が用いられているが、近年半導体素子の高集積化、大型化、半導体装置の薄型化、小型化、半田リフローによる表面実装への移行等により耐熱サイクル性、耐熱ショック性等の特性に対する著しい向上の要求があり、更に高性能の樹脂が必要とされるようになってきた。
【0003】
一方、ポリイミド樹脂自身に感光性を付与する技術が注目を集めてきており、例えば、下記式(5)に示される感光性ポリイミド樹脂が挙げられる。
【化5】
【0004】
これを用いるとパターン作成工程の一部が簡略化でき、工程短縮及び歩留まり向上の効果はあるが、現像の際にN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤が必要となるため、安全性、取扱い性に問題がある。
そこで最近、アルカリ水溶液で現像ができるポジ型感光性樹脂組成物が開発されている。例えば、特公平1−46862号公報にはベース樹脂であるポリベンゾオキサゾール前駆体と感光材であるジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂組成物が開示されている。これは高い耐熱性、優れた電気特性、微細加工性を有し、ウェハーコート用のみならず層間絶縁用樹脂組成物としての可能性も有している。このポジ型感光性樹脂組成物の現像メカニズムは以下のようになっている。未露光部のジアゾキノン化合物はアルカリ水溶液に不溶であり、ベース樹脂と相互作用することでこれに対し耐性を持つようになる。一方、露光することによりジアゾキノン化合物は化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となり、ベース樹脂を溶解させる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるものである。
【0005】
これらの感光性樹脂組成物を実際に使用する場合、特に重要となるのは感光性樹脂組成物の感度である。低感度であると、露光時間が長くなりスループットが低下する。そこで感光性樹脂組成物の感度を向上させようとして、例えばベース樹脂の分子量を小さくすると、現像時に未露光部の膜減りが大きくなるために、必要とされる膜厚が得られなかったり、パターン形状が崩れるといった問題が生じる。そして最近は半導体素子の縮小化の傾向が加速されており、より高解像度のパターンが形成できることも重要となっている。上述のように感度を優先させると未露光部のパターン形状が崩れるために、寸法幅の狭いパターンは形成できず低解像度となる。逆に未露光部が崩れないように、例えばベース樹脂の分子量を大きくしたり、感光材である感光性ジアゾキノン化合物の添加量を多くすると、露光部がアルカリ水溶液に難溶となるために低感度になったり、現像後のパターン底部に感光性樹脂組成物の残り(スカム)が発生するという問題が生じる。この様に、一般に感度と解像度はトレードオフの関係にあり、両者の特性を満足する感光性樹脂組成物の開発が最近強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高感度かつ高解像度であるポジ型感光性樹脂組成物及び半導体装置の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、感光性ジアゾキノン化合物(B)1〜50重量部及び一般式(1)で示される構造を有するフェノール化合物(C)1〜30重量部を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置であり、更に好ましくは、一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂(A)100重量部、感光性ジアゾキノン化合物(B)1〜50重量部及び一般式(1)で示される構造を有するフェノール化合物(C)1〜30重量部を含むポジ型感光性樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置の製造方法である。
【0008】
【化6】
【0009】
【化7】
【0010】
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂としては、主鎖又は側鎖に水酸基、カルボキシル基、又はスルホン酸基を持つ樹脂であり、クレゾール型ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂等が挙げられるが、最終加熱後の耐熱性の点から一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂が好ましい。
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂中のXは、2〜4価の環状化合物基を表し、R5は、水酸基、O−R7で、mは0〜2の整数、これらは同一でも異なっていても良い。Yは、2〜6価の環状化合物基を表し、R6は水酸基、カルボキシル基、O−R7、COO−R7で、nは0〜4の整数、これらは同一でも異なっていても良い。ここでR7は炭素数1〜15の有機基である。但し、R5として水酸基がない場合は、R6は少なくとも1つはカルボキシル基でなければならない。又R6としてカルボキシル基がない場合は、R5は少なくとも1つは水酸基でなければならない。
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂は、例えば、Xの構造を有するジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物、必要により配合されるZの構造を有するシリコーンジアミンとYの構造を有するテトラカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応して得られるものである。なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高めるため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステルの型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂において、Xの置換基としてのO−R7、Yの置換基としてのO−R7、COO−R7は、水酸基、カルボキシル基のアルカリ水溶液に対する溶解性を調節する目的で、炭素数1〜15の有機基で保護された基であり、必要により水酸基、カルボキシル基を保護しても良い。R7の例としては、ホルミル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
このポリアミド樹脂を約300〜400℃で加熱すると脱水閉環し、ポリイミド、又はポリベンゾオキサゾール、或いは両者の共重合という形で耐熱性樹脂が得られる。
【0011】
本発明の一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂のXは、例えば、
【化8】
等であるがこれらに限定されるものではない。
【0012】
これら中で特に好ましいものとしては、
【化9】
より選ばれるものであり、これらは2種以上用いても良い。
【0013】
又一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂のYは、例えば、
【化10】
等であるがこれらに限定されるものではない。
【0014】
これらの中で特に好ましいものとしては、
【化11】
より選ばれるものであり、これらは2種以上用いても良い。
【0015】
又本発明においては、保存性という観点から、例えば、Xの構造を有するジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物、必要により配合されるZの構造を有するシリコーンジアミンとYの構造を有するテトラカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応させて得られた一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂を合成した後、該ポリアミド樹脂中に含まれる末端のアミノ基をアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物を用いてアミドとしてキャップすることが好ましい。アミノ基と反応した後のアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物に起因する基としては、例えば、
【化12】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
これらの中で特に好ましいものとしては、
【化13】
より選ばれるものであり、これらは2種以上用いても良い。
【0017】
更に、必要によって用いる一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂のZは、例えば、
【化14】
【0018】
等であるがこれらに限定されるものではなく、又2種以上用いても良い。
【0019】
一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂のZは、例えば、シリコンウェハーのような基板に対して、特に優れた密着性が必要な場合に用いるが、その使用割合bは最大40モル%までである。40モル%を越えると露光部の樹脂の溶解性が極めて低下し、現像残り(スカム)が発生し、パターン加工ができなくなる。
【0020】
本発明で用いる感光性ジアゾキノン化合物(B)は、1,2−ベンゾキノンジアジド或いは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物であり、米国特許明細書第2772975号、第2797213号、第3669658号により公知の物質である。例えば、下記のものが挙げられる。
【化15】
【0021】
【化16】
【0022】
これらの内で、特に好ましいのは、フェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステルである。フェノール化合物としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは2種以上用いても良い。
【化17】
【0023】
【化18】
【0024】
【化19】
【0025】
本発明で用いる感光性ジアゾキノン化合物(B)の添加量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して1〜50重量部である。1重量部未満だとポリアミド樹脂のパターニング性が不良となり、50重量部を越えると感度が大幅に低下する。
【0026】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、一般式(1)で示される構造を有するフェノール化合物を含有させることが重要である。
【0027】
【化20】
【0028】
フェノール化合物をポジ型レジスト組成物に添加する技術としては、例えば、特開平3−200251号公報、特開平3−200252号公報、特開平3−200253号公報、特開平3−200254号公報、特開平4−1650号公報、特開平4−11260号公報、特開平4−12356号公報、特開平4−12357号公報等に開示されている。しかし、これらに示されているようなフェノール化合物は、本発明におけるポリアミド樹脂をベース樹脂としたポジ型感光性樹脂組成物に用いた場合、感度向上の効果は小さい。しかし、本発明における一般式(1)で示される構造を有するフェノール化合物を用いた場合、芳香族環に置換基のないフェノール化合物又は一般式(1)で示される構造以外のフェノール化合物を用いた場合に較べて、現像液に対する露光部の溶解速度が速くなり感度が向上し、更にスカムの発生も抑えられる。又ベース樹脂の分子量を小さくして感度を向上した場合に見られるような未露光部の膜減りも非常に小さい。
【0029】
一般式(1)に示されるフェノール化合物としては、具体例として下記のものを挙げることができるがこれらに限定されない。これらは2種以上用いても良い。
【化21】
【0030】
【化22】
【0031】
【化23】
【0032】
【化24】
【0033】
【化25】
【0034】
【化26】
【0035】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、感度向上を目的として必要により、他のフェノール化合物を添加することができる。例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化27】
【0036】
【化28】
【0037】
【化29】
【0038】
【化30】
【0039】
一般式(1)で示されるフェノール化合物(C)の添加量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して1〜30重量部である。1重量部未満だと現像時における感度が低下し、30重量部を越えると現像時に著しい未露光部の膜減りが生じたり、冷凍保存中において析出が起こり実用性に欠ける。
【0040】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、必要により感光特性を高めるためにジヒドロピリジン誘導体を含んでいてもよい。ジヒドロピリジン誘導体としては、例えば、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2′−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、4−(2′−ニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン、4−(2′,4′−ジニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3,5−ジカルボメトキシ−1,4−ジヒドロピリジン等を挙げることができる。
【0041】
本発明におけるポジ型感光性樹脂組成物には、必要によりレベリング剤、シランカップリング剤等の添加剤を含んでも良い。
本発明においては、これらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いても良い。
【0042】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該樹脂組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウェハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体装置の場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるように塗布する。膜厚が0.1μm未満だと半導体素子の保護表面膜としての機能を十分に発揮することが困難となり、30μmを越えると、微細な加工パターンを得ることが困難となる。塗布方法としては、スピンナーを用いる回転塗布、スプレーコーターを用いる噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。
【0043】
次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液及びこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。
【0044】
次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に加熱処理を行い、イミド環、もしくはオキサゾール環、又はイミド環とオキサゾール環の両方の環を形成し、耐熱性に富む最終パターンを得る。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜等としても有用である。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
4,4’―オキシジフタル酸無水物17.1g(0.055モル)と2−メチル−2−プロパノール12.4g(0.167モル)とピリジン10.9g(0.138モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン150gを加えて溶解させた。この反応溶液に1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール14.9g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン30gと共に滴下した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド22.7g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン50gと共に滴下し、室温で一晩反応させた。その後、この反応溶液にジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)27.1g(0.055モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン44.8g(0.122モル)をN−メチル−2−ピロリドン70gと共に添加し、室温で2時間攪拌した。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で十分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−1及びY−2で、a=100、b=0からなるポリアミド樹脂(A−1)を合成した。
【0046】
ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(A−1)100g、下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物19g、下記式(C−1)の構造を有するフェノール化合物15gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。
【0047】
特性評価
このポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分プリベークし、膜厚約13μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製・マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線ステッパー((株)ニコン製・4425i)を用いて、露光量を変化させて照射した。
次に2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に110秒浸漬することによって露光部を溶解除去した後、純水で10秒間リンスした。その結果、露光量350mJ/cm2で照射した部分よりパターンが形成されていることが確認できた。(感度は350mJ/cm2)。解像度は3μmと非常に高い値を示した。
【0048】
<実施例2>
ポリアミド樹脂の合成
テレフタル酸0.9モルとイソフタル酸0.1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)360.4g(0.9モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.3g(1モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。次にN−メチル−2−ピロリドン500gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物32.8g(0.2モル)を加え、更に12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−3及びY−4の混合物で、a=100、b=0からなる目的のポリアミド樹脂(A−2)を得た。
【0049】
ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(A−2)100g、下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物21g、下記式(C−2)の構造を有するフェノール化合物16gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。それ以外は実施例1と同様の評価を行った。
【0050】
<実施例3>
実施例2におけるポリアミド樹脂の合成において、テレフタル酸0.9モルとイソフタル酸0.1モルの替わりに、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1モルを用いて、実施例1と同様にして反応し、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−2で、a=100、b=0からなるポリアミド樹脂(A−3)を合成した。更に下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物17gと下記式(C−3)の構造を有するフェノール化合物15gを表1の様に変えた以外は実施例2と同様にポジ型感光性樹脂組成物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
<実施例4>
実施例2におけるポリアミド樹脂の合成において、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを348.0g(0.95モル)に減らし、替わりに1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン12.4g(0.05モル)を加え、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−3及びY−4の混合物、Zが下記式Z−1で、a=95、b=5からなるポリアミド樹脂(A−4)を合成した。更に感光性ジアゾキノン化合物(Q−1)とフェノール化合物(C−4)の添加量を表1に示す量に変えた以外は実施例2と同様にポジ型感光性樹脂組成物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
<実施例5>
実施例2におけるフェノール化合物(C−2)を(C−5)に替え、その添加量を表1に示す量に変えた以外は実施例1と同様の評価を行った。
<実施例6>
ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン44.0g(0.12モル)をN−メチル−2−ピロリドン200gに溶解させた後、N−メチル−2−ピロリドン160gに溶解させた無水トリメリット酸クロライド50.6g(0.24モル)を5℃以下に冷却しながら加えた。更にピリジン22.8g(0.29モル)を加えて、20℃以下で3時間攪拌した。次に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル24.0g(0.12モル)を加えた後、室温で5時間反応させた。次に内温を85℃に上げ、3時間攪拌した。反応終了後、濾過した反応混合物を、水/メタノール=5/1(体積比)に投入し、沈殿物を濾集して水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(2)で示され、Xが下記式X−1、X―2で、Yが下記式Y−5からなる混合物で、a=100、b=0からなる目的のポリアミド樹脂(A−5)を合成した。
合成したポリアミド樹脂(A−5)100g、下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物22g、下記式(C−1)の構造を有するフェノール化合物16gをγ−ブチロラクトン150gに溶解した後、0.2μmのテフロン(R)フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。それ以外は実施例1と同様の評価を行った。
【0051】
比較例1〜6
表1の配合割合で、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を作製し、実施例1と同様にして評価した。なお比較例1に用いたポリアミド樹脂は実施例1、比較例2と比較例5は実施例2、比較例3は実施例3、比較例4は実施例4、比較例6は実施例6のものと同一である。実施例1に対応するのは比較例1、実施例2に対応するのは比較例2、実施例3に対応するのは比較例3、実施例4に対応するのは比較例4、実施例5に対応するのは比較例5、実施例6に対応するのは比較例6である。
以下に、実施例及び比較例のX−1、X−2、Y−1〜Y−5、Z−1、Q−1、C−1〜C−10の構造を示す。
【0052】
【化31】
【0053】
【化32】
【0054】
【化33】
【0055】
【化34】
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、膜減りが少なく、パターン形状の崩れがなく、更に露光部の感光性樹脂組成物の残り(スカム)がない特性を有する高感度で、かつ高解像度という優れた特徴を有している。
Claims (7)
- 一般式(2)で示される構造を含むポリアミド樹脂が、アルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物によって末端封止された請求項2〜4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 感光性ジアゾキノン化合物(B)が、フェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステルである請求項1〜5のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を加熱脱水閉環後の膜厚が、0.1〜30μmになるように半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、現像、加熱して得られることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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- 2002-08-27 JP JP2002247366A patent/JP2004125815A/ja active Pending
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