JP3801379B2 - ポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高解像度で高残膜率のパターンを得ることができ、かつ高感度のポジ型感光性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、耐熱性が優れ又卓越した電気特性、機械特性等を有するポリイミド樹脂が用いられているが、近年半導体素子の高集積化、大型化、パッケージの薄型化、小型化、半田リフローによる表面実装への移行等により耐熱サイクル性、耐熱ショック性等の著しい向上の要求があり、更に高性能の樹脂が必要とされるようになってきた。
【0003】
一方、ポリイミド樹脂自身に感光性を付与する技術が最近注目を集めてきており、例えば下記式(8)に示される感光性ポリイミド樹脂が挙げられる。
【化10】
【0004】
これを用いるとパターン作成工程の一部が簡略化でき、工程短縮および歩留まり向上の効果はあるが、現像の際にN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤が必要となるため、安全性、取扱い性に問題がある。
そこで最近、アルカリ水溶液で現像ができるポジ型の感光性樹脂が開発されている。例えば、特公平1−46862号公報においてはベース樹脂であるポリベンゾオキサゾール前駆体と感光材であるジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂が開示されている。これは高い耐熱性、優れた電気特性、微細加工性を有し、ウェハーコート用のみならず層間絶縁用樹脂としての可能性も有している。このポジ型の感光性樹脂の現像メカニズムは、未露光部のジアゾキノン化合物はアルカリ水溶液に不溶であるが、露光することによりジアゾキノン化合物が化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるものである。
【0005】
これら感光性樹脂を実際に使用する場合、特に重要となるのは感光性樹脂の感度である。低感度であると、露光時間が長くなりスループットが低下する。そこで感光性樹脂の感度を向上させようとして、例えばベース樹脂の分子量を小さくすると、現像時に未露光部の膜減りが大きくなるために、必要とされる膜厚が得られなかったり、パターン形状が崩れるといった問題が生じる。この様なことから、上記特性を満足しながら高感度である感光性樹脂の開発が強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高解像度で高残膜率のパターンを得ることができ、かつ高感度のポジ型感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(1)で示されるポリアミド(A)100重量部と、一般式(2)で示される構造を骨格に有するフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル化合物又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル化合物である感光材(B)1〜50重量部と、一般式(3)で表されるフェノール化合物(C)1〜30重量部とからなるポジ型感光性樹脂組成物である。
【0008】
【化11】
【0009】
【化12】
【0010】
【化13】
【0011】
式(1)のポリアミドは、Xの構造を有するビスアミノフェノールとYの構造を有するジカルボン酸と、更にEの構造を有する酸無水物からなり、このポリアミドを約300〜400℃で加熱すると脱水閉環し、ポリベンゾオキサゾールという耐熱性樹脂に変化する。
【0012】
本発明の式(1)のポリアミドのXは、例えば、
【化14】
等であるがこれらに限定されるものではない。
【0013】
これら中で特に好ましいものとしては、
【化15】
より選ばれるものである。
【0014】
又式(1)のYは、例えば、
【化16】
等であるがこれらに限定されるものではない。
【0015】
これらの中で特に好ましいものとしては、
【化17】
より選ばれるものである。
【0016】
又式(1)のEは、例えば、
【化18】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
この中で特に好ましいものとしては、
【化19】
より選ばれるものである。
【0018】
本発明はYの構造を有するジカルボン酸誘導体とXの構造を有するビスアミノフェノールを反応させてポリアミドを合成した後、式(1)のEに示すアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する酸無水物を用いて末端のアミノ基をキャップするものである。
【0019】
更に、式(1)のZは、例えば
【化20】
等であるがこれらに限定されるものではない。
【0020】
式(1)のZは、例えば、シリコンウェハーのような基板に対して、特に優れた密着性が必要な場合に用いるが、その使用割合bは最大40モル%までである。40モル%を越えると樹脂の溶解性が極めて低下し、現像残り(スカム)が発生し、パターン加工ができない。なお、これらX、Y、E、Zの使用にあたっては、それぞれ1種類であっても2種類以上の混合物であっても構わない。
【0021】
本発明で用いる感光材(B)は、下記一般式(2)で示される構造を骨格に有するフェノール化合物の、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル化合物又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル化合物である。
【化21】
【0022】
なお、上記に記載したR7、R8は、水酸基を有するアルキル基、水酸基を有するアルコキシ基、水酸基を有するアリール基、または水酸基を有するシクロアルキル基の中から選ばれるものであり、好ましい感光特性を付与する。
【0023】
本発明で用いる感光材(B)の例として下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化22】
【0024】
【化23】
【0025】
また、本発明で用いる感光材(B)のポリアミド(A)への配合量は、ポリアミド100重量部に対して1〜50重量部である。配合量が1重量部未満だと樹脂のパターニング性が不良となり、逆に50重量部を越えると感度が大幅に低下するために好ましくない。
【0026】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、必要により感光特性を高めるためにジヒドロピリジン誘導体を加えることができる。ジヒドロピリジン誘導体としては、例えば2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2′−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、4−(2′−ニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン、4−(2′,4′−ジニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3,5−ジカルボメトキシ−1,4−ジヒドロピリジン等を挙げることができる。
【0027】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては更に一般式(3)で示されるフェノール化合物(C)を含有させることが重要である。
【化24】
【0028】
フェノール化合物類をポジ型レジスト組成物に添加する技術としては、例えば、特開平3−200251号公報、特開平3−200252号公報、特開平3−200253号公報、特開平3−200254号公報、特開平4−1650号公報、特開平4−11260号公報、特開平4−12356号公報、特開平4−12357号公報に示されている。しかし、これらに示されているようなフェノール化合物は、本発明におけるポリアミドをベース樹脂としたポジ型感光性樹脂に用いても感度向上の効果は小さい。
しかし、本発明における一般式(3)で表されるフェノール化合物を用いた場合、露光部における溶解速度が増して感度が向上する。また分子量を小さくして感度を上げた場合に見られるような未露光部の膜減りも非常に小さい。
【0029】
一般式(3)に示されるフェノール化合物としては下記のものを挙げることが出来るがこれらに限定されない。
【化25】
【0030】
【化26】
【0031】
【化27】
【0032】
【化28】
【0033】
これらの中で、感度および残膜率の点で好ましいものとしては、一般式(5)で表されるものであり、更に一般式(6)又は(7)で表される化合物は特に好ましく、単独、または混合物の形で全フェノール化合物(C)中に50重量%以上含まれるものが好ましい。
【化29】
【0034】
フェノール化合物(C)の添加量は、一般式(1)で示されるポリアミド100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。フェノール化合物の添加量が30重量部より多いと、現像時に著しい残膜率の低下が起こったり、冷凍保存中において析出が起こり実用性に欠ける。添加量が1重量部未満では、現像時における感度が低下する。
【0035】
本発明におけるポジ型感光性樹脂組成物には、必要によりレベリング剤、シランカップリング剤等の添加剤を添加することができる。
【0036】
本発明においてはこれらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いてもよい。
【0037】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウェハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体装置の場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜20μmになるよう塗布する。膜厚が0.1μm以下であると、半導体素子の保護表面膜としての機能を十分に発揮することが困難となり、20μm以上であると、微細な加工パターンを得ることが困難となるばかりでなく、加工に時間がかかりスループットが低下する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。
次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。
【0038】
次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液、及びこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。
現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。
【0039】
次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に加熱処理を行い、オキサゾール環を形成し、耐熱性に富む最終パターンを得る。
【0040】
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜等としても有用である。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
《実施例1》
*ポリアミドの合成
テレフタル酸0.9モルとイソフタル酸0.1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体360.4g(0.9モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.3g(1モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。
【0042】
次にN−メチル−2−ピロリドン500gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物32.8g(0.2モル)を加え、更に12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物をろ過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−1及びY−2の混合物で、a=100、b=0からなる目的のポリアミド(A−1)を得た。
【0043】
*ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド(A−1)100g、下記式(Q−1)の構造を有する1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル化合物20g、下記式(P−1)の構造を有するフェノール化合物12gをN−メチル−2−ピロリドン200gに溶解した後、0.2μmのテフロンフィルターで濾過し感光性樹脂組成物を得た。
【0044】
*特性評価
このポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分乾燥し、膜厚約6μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターンおよび抜きパターンが描かれている)を通して高圧水銀灯を用いて、フィルターより取り出した365nmの紫外光線を露光量を変化させて照射した。
次に1.4%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に50秒浸漬することによって露光部を溶解除去した後、純水で30秒間リンスした。その結果、露光量200mJ/cm2で照射した部分よりパターンが形成されていることが確認できた。(感度は200mJ/cm2)。この時の残膜率(現像後の膜厚/現像前の膜厚×100)は90.5%、解像度は4μmと非常に高い値を示した。
【0045】
《実施例2》
実施例1における1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル化合物(Q−1)を(Q−2)に替えて、更に該成分の添加量を表1の様に変えた他は実施例1と同様の評価を行った。
《実施例3》
実施例1におけるフェノール化合物(P−1)を(P−2)に替えて、更に該成分の添加量を表1の様に変えた他は実施例1と同様の評価を行った。
《実施例4》
実施例1におけるフェノール化合物(P−1)の添加量を4gにして、更に各成分の添加量を表1の様に変えた他は実施例1と同様の評価を行った。
【0046】
《実施例5》
実施例1におけるポリアミドの合成において、テレフタル酸0.9モルとイソフタル酸0.1モルの代わりに、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1モルに替えて、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−3で、a=100、b=0からなるポリアミド(A−2)を合成し、更に各成分の添加量を表1の様に変えた他は実施例1と同様の評価を行った。
《実施例6》
実施例5におけるポリアミドの合成において、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルの代わりに、3,3‘−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン1モルを用いて、一般式(1)で示され、Xが下記式X−2、Yが下記式Y−3で、a=100、b=0からなるポリアミド(A−3)を合成した。
更に、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル化合物(Q−1)を(Q−2)に替え、更に各成分の添加量を表1の様に変えた他は実施例1と同様の評価を行った。
【0047】
《比較例1》
実施例1における1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル化合物(Q−1)を(Q−3)に替えた他は実施例1と同様の評価を行った。
《比較例2》
実施例1における1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル化合物(Q−1)を(Q−4)に替え、更に各成分の添加量を表1の様に変えた他は実施例1と同様の評価を行った。
《比較例3》
実施例5におけるフェノール化合物の添加量を0.5gに減らし、更に各成分の添加量を表1の様に変えた他は実施例1と同様の評価を行った。
【0048】
《比較例4》
実施例5におけるフェノール化合物の添加量を40gに増やし、更に各成分の添加量を表1の様に変えた他は実施例1と同様の評価を行った。
《比較例5》
実施例1におけるフェノール化合物(P−1)を(P−3)に替え、更に該成分の添加量を表1の様に変えた他は実施例1と同様の評価を行った。
【0049】
【化30】
【0050】
【化31】
【0051】
【化32】
【0052】
【化33】
【0053】
以上実施例1〜6、比較例1〜5の評価結果を表1に示す。
【表1】
【0054】
【発明の効果】
本発明によって、高解像度で高残膜率のパターンを形成することができ、かつ高感度であるポジ型感光性樹脂を得ることが出来る。
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