JP2012153514A - シート、ロール状シート及び巻付方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】芯部跡及びブロッキングが発生しにくいシート、ロール状シート及び巻付方法を提供すること。
【解決手段】シート10は、巻芯100に巻き付けられるシートであって、シート10の巻き付け始めの長手方向Sのシート端11の、シート10の厚さ方向tの切断面において、巻芯100側となる裏側の表面14の先端部15が、巻芯100側とは反対側にあたる表側の表面12の先端部13よりもシート10を巻芯100に巻き付ける巻き付け方向S1の側にある。シート10は、基材シート20、粘着剤層30及び剥離シート40が順次積層されてなる。シート端11の側面と裏側の表面14との間のなす角度θは、95°以上175°以下の範囲内にある。ロール状シート150は、シート10と、シート10が巻き付けられる巻芯100と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、シート、ロール状シート及び巻付方法に関する。
一般に、合成樹脂等を薄い膜状に成型したシートは、図5に示すように、シート200の長手方向Sの端部から円筒状の巻芯100に渦巻き状に巻かれて、ロール状シート250とされる。そして、シート200は、ロール状シート250の状態で、保存、流通に供される。
ここで、シート200が巻芯100に渦巻き状に巻かれると、巻き付け圧力がシート200の厚さ方向tに作用する。
また、図6に示すように、シート200が巻芯100に巻き付けられる巻き付け始めの側のシート端の側面211と、巻芯側であるシート200の裏側の表面202との間のなす角度θは、略直角である。換言すると、シート200が巻芯100に巻かれた状態において、シート200の端部の側面211は、巻芯100の表面110に対して略直角に形成されている。
そして、シート200が巻芯100に巻かれると、シート200の端部の側面211において、巻芯100の表面110とシート200の表側の表面204との間にシート200の厚さTに相当する高さの段差が形成される。形成された段差の上にシート200が何周も巻かれると、巻かれたシート200の巻き付け圧力により、2周目以降の、形成された前記段差近傍のシート200のうち点線200aで示した範囲に芯部跡と呼ばれるうねりが発生しやすい。
平滑性が要求される用途にシートを使用する場合等は、シート200のうち芯部跡が発生しているところ(例えば、点線200aで示した範囲)を含む部分は、シートとしての商品価値がないために不良品となる場合がある。このため、芯部跡により不良品となる部分に応じた長さのシートを補填するために、芯部跡が発生する長さ(端部の側面211から芯部跡が発生しない位置までのシート200の長さ)を想定し、想定した長さ(例えば30m)を余分に長く巻芯100に巻いたロール状シート250をシート利用者に提供する必要があり、シートの製造時間が長時間化したり、余計なシートの材料費が必要になりシートが高価格化したりする問題がある。
芯部跡の発生を抑える技術として特許文献1に記載の技術が知られている。図7に示すように、特許文献1に開示されているシート230は、巻芯100の表面110と、シート230の長手方向Sにおける巻き付け始めの端部の側面231との間のなす角度θが鋭角とされている。このため、巻芯100の表面110とシート230の表側の表面235との間に形成される段差がゆるやかになり、特許文献1に記載の技術は、シート230の長手方向Sの端部の側面231における2周目以降のシート230の部分230aに発生する芯部跡を抑えることができる。
特開平9−315637号公報
しかしながら、図7に示すように、端部の側面231がシート230を刃物等で切断して形成されている場合、側面231の切断面は平滑でないことが多い。1周目のシート230に重ねて巻き取られる2周目のシート230の裏側の表面237が、巻き付け圧力により、そのような側面231に押圧されると、2周目の裏側の表面237に側面231の切断面の跡が生じるおそれがある。
また、特許文献1に記載の技術を、粘着剤層を含む複数の層からなるシート230に適用すると、次の問題が生じる。例えば、複数の層からなるシート230は、基材シート232と、基材シート232の裏面234に一様に粘着剤が塗布されて形成された粘着剤層236と、その粘着剤層236の全面を覆う剥離シート238とを備える。
このような複数の層からなるシート230の端部の側面231の面はシート230の厚さ方向tにおいて巻芯100とは反対の方向に向いている。このため、端部の側面231に露出している粘着剤層236の粘着剤が巻き付け圧力によって端部の側面231からはみ出て、はみ出た粘着剤が2周目のシート230の剥離シート238の例えば点線で示す範囲aに付着してしまうおそれがある。
そして、はみ出た粘着剤が2周目のシート230の剥離シート238に付着すると、端部の側面231と2周目のシート230の剥離シート238とが、互いに密着し、剥がれなくなるブロッキングと呼ばれる現象が発生しやすい。
特に、ジャンボロール製品群と呼ばれる幅及び巻き取り長さが長いサイズのシートは、巻き付け圧力が大きくなるので、ブロッキングが発生する可能性はより高くなる。
本発明は、芯部跡やブロッキングが発生しにくいシート、ロール状シート及び巻付方法を提供することを目的とする。
本発明に係るシートは、巻芯に巻き付けられるシートであって、前記シートの巻き付け始めの長手方向のシート端の、前記シートの厚さ方向の切断面において、前記巻芯側となる裏側の表面の先端部が、前記巻芯側とは反対側にあたる表側の表面の先端部よりも、前記シートの長手方向のうち、シートを巻き付ける巻き付け方向の側にあることを特徴とする。
本発明のシートによれば、巻芯側となる裏側の表面の先端部が、巻芯側と反対側にあたる表側の表面の先端部よりも巻き付け方向の側にあるので、シートが巻芯に巻かれた際に、シート端の側面と巻芯の表面との間に、シート端が巻芯側に撓むための空間が形成される。シート端は、シート端に巻かれた2周目以降のシートによる巻き付け圧力により、この空間内で巻芯側に撓み、巻芯の表面からシートにおいて裏側の表面とは反対側にあたる表側の表面への緩やかな傾斜面を形成する。このため、シート端の近傍に巻かれたシートの部分に、芯部跡が付きにくくすることができる。
本発明に係るシートは、基材シート、粘着剤層及び剥離シートが順次積層されていてもよい。上述のように、巻芯側となる裏側の表面の先端部が、巻芯側と反対側にあたる表側の表面の先端部よりも、シートの長手方向のうち、巻き付ける方向の側にあるので、シートが巻芯に巻かれた際に、シート端の側面と巻芯の表面との間に、シート端が巻芯側に撓むための空間が形成される。そして、シートは、さらに、基材シート、粘着剤層及び剥離シートが順次積層されているので、シート端の側面において、粘着剤層は巻芯側に向いており、かつ、その表側の表面の先端部と粘着剤層との間に基材シートが露出している。このため、シートが巻芯に巻かれたときに、シート端の側面からはみ出た粘着剤は、2周目のシートの剥離シート材に付着しにくくなるので、はみ出た粘着剤が2周目のシートの剥離シート材に付着することにより生じるブロッキングの発生を抑えることができる。
前記シートの長手方向の前記シート端の側面と前記裏側の表面との間のなす角度は、95°以上175°以下の範囲内にあることが好ましく、100°以上170°未満の範囲内にあることがより好ましく、115°以上165°未満の範囲にあることがさらに好ましい。前記角度が95°未満又は175°以上になると、シート端が巻芯側に十分に撓むことができないので、前記のような効果を十分に得ることができない。
本発明に係るロール状シートは、前記いずれかに記載のシートと、前記シートが巻き付けられる巻芯と、を備える。本発明のロール状シートによれば、芯部跡がシートに発生しにくくすることができる。
本発明に係る巻付方法は、上述のシートを前記巻芯に巻き付ける巻付方法であって、前記シート端の側面が前記巻芯側に向くように、前記シート端を前記巻芯に巻き付ける。本発明の巻付方法によれば、巻付方法によって巻かれたシートには、芯部跡が発生しにくい。
本発明によれば、芯部跡やブロッキングが発生しにくいシート、ロール状シート及び巻付方法を提供することができる。
本発明に係るシートを巻芯に巻いた状態の部分拡大断面図である。 図1に示したシートを巻芯に巻いた状態において巻き付け圧力が作用した状態を示す部分拡大断面図である。 本発明に係る別のシートの部分拡大断面図である。 図1及び図2に示したシートの試験の状態を説明する概略斜視図である。 ロール状シートの正面図である。 従来のシートの巻付部分の拡大図である。 従来の別のシート及びロール状シートの部分拡大図である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
〔第1実施形態〕
図1及び図2を参照して、本発明に係るシート10及びロール状シート150の第1実施形態について説明する。
図1は、シート10を巻芯100に巻いたロール状シート150の部分拡大断面図である。図2は、図1に示したロール状シート150において巻き付け圧力が作用した状態を示す部分拡大断面図である。ここで、図1及び図2に示すシート10は、シート10の厚さ方向tに重なった状態となっている。
図1に示すように、シート10は、基材シート20と、基材シート20の一方の面22に積層された粘着剤層30と、粘着剤層30に積層された剥離シート40とを備える。基材シート20の材質としては、合成樹脂が好ましい。
シート10は、基材シート20において基材シート20の一方の面22と反対側にあたる面である表側の表面12と、シート10において表側の表面12とは反対側にあたる裏側の表面14とを有する。
シート10は、シート10の幅方向と直角の長手方向Sにおいて、一方のシート端11と他方のシート端(図示せず)とを有する。シート10は、長手方向Sにおいて、一方のシート端11から他方のシート端(図示せず)に向けて順に巻芯100に巻き付けられる(このときの一方のシート端11から他方のシート端(図示せず)への方向を巻き付け方向S1という。)。シート10は、裏側の表面14が在る範囲のシート本体部50と、シート10の長手方向Sのシート本体部50よりシート端11の側の範囲のシート端部60とを有する。
シート端部60は、シート10の表側の表面12の先端部13と、シート10の裏側の表面14の先端部15とをつなぐ側面62を有する。シート端部60の側面62は、シート端11の側面でもある。ここで、シート10の巻き付け始めの長手方向Sのシート端11の、シート10の厚さ方向tの切断面において、シート10の裏側の表面14の先端部15は、シート10の表側の表面12の先端部13よりも、シート10の長手方向Sのうち、巻き付け方向S1の側(シート10の長手方向Sにおいて、一方のシート端11より他方のシート端(図示せず)の側)にある。
シート端部60の側面62と、裏側の表面14を長手方向Sにおいて巻き付け方向S1とは反対方向S2に延長した仮想平面16との間には、シート10の厚さ方向tにおいて、シート端部60の側面62と仮想平面16との間の寸法がシート10の裏側の表面14の先端部15から表側の表面12の先端部13に向かうに従って大きくなる空間70が形成されている。
つまり、シート本体部50は裏側の表面14を備えている範囲であるので、シート10が巻芯100に巻かれた状態においてシート本体部50はシート10の厚さ方向tにおいて巻芯100側に撓まない。これに対して、シート端部60は、シート端部60の側面62と仮想平面16との間に空間70があるので、シート10が巻芯100に巻かれた状態においてシート端部60は、空間70が減少するように、シート10の厚さ方向tにおける巻芯100側に撓む(図2参照)。
なお、図1においては、表側の表面12の先端部13とシート10の長手方向Sにおけるシート端11とは一致している。
シート端部60の側面62は、図1においては、平面として説明しているが、表側の表面12側に凸の曲面や、仮想平面16側に凸の曲面や、これらの組み合わせであってもよい。
シート端部60の側面62は、例えば、シート10をカッターのような切断装置により切断して形成される。
また、シート端部60は、長手方向Sにおいて、シート10の裏側の表面14の先端部15から表側の表面12の先端部13に向かってシート10の断面積が小さくなる形状を有する。
シート10の裏側の表面14の先端部15を挟んで、シート端部60の側面62と裏側の表面14との間のなす角度θは、95°以上175°以下の範囲内、好ましくは、100°以上170°未満の範囲内にあり、より好ましくは、115°以上165°未満の範囲である。
巻芯100の側に向いているシート端部60の側面62には、表側の表面12の先端部13から裏側の表面14の先端部15に向けて、順に、基材シート20と粘着剤層30と剥離シート40とのそれぞれの切断面が露出している。したがって、シート端部60の側面62に露出している粘着剤層30と表側の表面12の先端部13との間には、巻芯100の側に向くように傾斜している基材シート20の露出面32がある。
図1及び図2に示すように、ロール状シート150は、上述のシート10と、シート10が長手方向Sに巻き付けられる巻芯100とを備える。
本発明で用いる基材シート20としては特に制限はなく、様々なものを用いることができる。基材シートの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセテート、ABS、ポリスチレン、塩化ビニル等の樹脂からなるシート及びこれらの樹脂の混合物又は積層物からなるシート、これらのシートにアルミニウム等の金属蒸着を施したもの等があげられる。これらプラスチックの基材シートは、未延伸でもよいし、縦又は横等の一軸方向若しくは二軸方向に延伸されていてもよい。
さらには、基材シートとしては、上質紙、含浸紙、アート紙、コート紙、グラシン紙等からなる紙類、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙等の各種紙類、アルミニウム箔や銅箔や鉄箔等の金属箔、さらには不織布、合成紙等が用いられる。
これらの基材シートの厚さは、特に制限はなく、通常2μm〜1000μm程度の範囲であるが、取り扱いやすさの面から、好ましくは10μm〜500μm程度の範囲である。
粘着剤層30に用いられる粘着剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、ポリエステル樹脂系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等が挙げられる。
合成ゴム系粘着剤の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、イソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル熱可塑性エラストマー等が挙げられる。アクリル樹脂系粘着剤の具体例としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル等の単独重合体若しくは共重合体等が挙げられる。ポリエステル樹脂系粘着剤は、多価アルコールと多塩基酸の共重合体であり、多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等が挙げられ、多塩基酸としては、テレフタル酸、アジピン酸、マレイン酸等が挙げられる。ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤の具体例としては、ポリビニルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。シリコーン樹脂系粘着剤の具体例としては、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの粘着剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記粘着剤層には、必要に応じて粘着付与剤、軟化剤、老化防止剤、填料、染料又は顔料等の着色剤等を配合することができる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。軟化剤としては、プロセスオイル、液状ゴム、可塑剤等が挙げられる。填料としては、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。
粘着剤層の厚さは、特に制限ないが、通常1μm〜200μmであればよく、好ましくは3μm〜100μmである。
なお、本発明における粘着剤層30とは、シート状の中間基材の両側に粘着剤を積層した両面テープタイプのものも含む。中間基材としては、基材シート20として前述したものの中から選択でき、中間基材の両側に積層する粘着剤としては、前記で例示した粘着剤を使用することができる。
本発明の剥離シート40としては、例えばグラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材、これらの紙基材にポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、また前記基材にセルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル−スチレン樹脂等で目止め処理を行なった紙基材、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムのようなプラスチックフィルム、及びこれらのプラスチックフィルムに易接着処理を施したフィルム等に剥離剤を塗布し、剥離剤層を形成させたもの等が挙げられる。
剥離剤層を形成させるために用いる剥離剤としては、例えばオレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が用いられる。
巻芯100としては、その材質は特に限定されるものではなく、例えば、紙の積層重合体のほか、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂類、エポキシ等の熱硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を繊維で強化したFRP等が使用可能である。
巻芯100に巻かれるシート10の長さ寸法は、例えば、1m〜5万mとされ、好ましくは30m〜3万mとされ、より好ましくは100m〜1万mとされる。幅寸法は、例えば、10mm〜1万mmとされ、好ましくは50mm〜5000mmとされ、より好ましくは100mm〜3000mmとされる。厚さ寸法は、例えば、5μm〜5000μmとされ、好ましくは50μm〜1000μmとされ、より好ましくは100μm〜500μmとされる。
巻芯100は、通常円筒の外形を有する。巻芯100は、シート10の幅寸法と略同じかそれ以上の幅寸法を有する。巻芯100の内径Dr(図5参照)は、例えば、5mm〜3mとされ、好ましくは1cm〜1mとされ、より好ましくは3cm〜50cmとされる。
巻芯100の円筒を形成する素材の厚さtr(図5参照)は特に限定されないが、例えば1mm〜10cmとされ、好ましくは5mm〜5cmとされる。
以上のシート10は巻芯100に以下のように巻かれる。なお、シート10を巻芯100に巻き取る時は、シート10の巻き付け方向S1の所定の張力をシート10に付与させた状態で行うことが好ましい。
シート10は、シート端部60の側面62が巻芯100の表面110に向くように、かつ、長手方向Sと巻芯100に巻き付けられる巻き付け方向S1とが同一となるように、裏側の表面14を巻芯100側に向けて、巻芯100に巻かれる。
シート10を巻芯100に巻き付けるときは、まず、シート10のシート端11を巻芯100の表面110に直接巻き付けるか、又は巻き付け始めの部位であるシート10の長手方向Sのシート端11の近傍のシート10の裏側の表面14に粘着剤層を形成して、巻芯100の表面110に巻き付ける。
(シート10を巻芯100に1周巻いた状態)
シート10を巻芯100に巻き付けると、シート本体部50は、巻芯100の表面110に1周分直接巻かれる(ここで、巻芯100の表面110に巻かれた1周分のシート本体部50を1周目の部分10aとする。)。
シート10のシート本体部50が巻芯100に巻かれると、裏側の表面14の先端部15の近傍において、裏側の表面14を長手方向Sにおいて巻き付け方向S1とは反対方向S2に延長した仮想平面16は、巻芯100の表面110と略一致する。このため、シート10は、シート端部60の側面62と巻芯100の表面110との間に空間70が形成されるように、巻芯100に巻かれる。
シート本体部50は、巻芯100に巻かれているので、梁構造でいう固定端として作用する。また、シート端部60の巻芯100側には空間70が形成されているので、シート端部60はシート10の長手方向Sにおいて巻き付け方向S1とは反対方向S2のシート端11を自由端とする片持ち梁の構造を構成する。
(シート10を巻芯100に2周巻いた状態)
さらに、2周目のシート10をシート端部60及び1周目の部分10aの表側の表面12に巻き付けると、2周目のシート10は、1周目の部分10aの表側の表面12にさらに1周分巻かれる(ここで、さらに1周分巻かれたシート本体部50の部分を2周目の部分10bとする。)。
図2に示すように、シート端部60における表側の表面12に2周目の部分10bが巻かれると、表側の表面12の先端部13は、シート端部60の弾性変形により、空間70内において巻芯100側に撓む。
撓んだシート端部60における表側の表面12は、巻芯100とは反対側に出っ張る凸の曲面となる。この曲面は、繋ぎ目や段差のない緩やかな面となる。また、表側の表面12は、シート本体部50から撓んだシート端部60に亘って繋ぎ目や段差のない緩やかな凸の曲面を形成する。
その結果、シート端部60は巻芯100の表面110側に撓むので、巻芯100の表面110から離れたシート10が1周目の部分10aのシート本体部50の表側の表面12に巻かれるまでの部分bに段差が生じにくくなる。
シート端部60の側面62がシート10の切断により形成されている等により、シート端部60の側面62の表面粗さが表側の表面12の表面粗さと異なっていても、シート端部60の側面62は、巻芯100の表面110側に向いており、2周面の部分10bの裏側の表面14側に向いていないので、シート端部60の側面62が裏側の表面14に接触することがない。このため、2周目以降の裏側の表面14にシート端部60の側面62の切断面の粗さによる跡が形成されることがない。
シート端部60の側面62が巻芯100の表面110側に向いており、かつ、シート端部60の側面62には、シート10の長手方向Sにおけるシート端11(表側の表面12の先端部13でもある)と粘着剤層30との間に基材シート20の切断面が露出している露出面32がある。このため、シート10が巻芯100に巻かれたときに、粘着剤層30の粘着剤がシート端部60の側面62からはみ出ても、はみ出た粘着剤の位置と2周目の部分10bの剥離シート40との間に距離があるので、はみ出た粘着剤は、2周目の部分10bの剥離シート40に到達しにくい。
さらに、シート端部60の側面62は、巻芯100の表面110から離れる方向に凹んだ凹曲面を形成するので、シート端部60の側面62からはみ出た粘着剤は、凹曲面を形成するシート端部60の側面62と巻芯100の表面110とにより形成される空間に溜まる。
このため、シート端部60の側面62からはみ出た粘着剤は、露出面32と、凹曲面を形成するシート端部60の側面62と巻芯100の表面110とにより形成される空間とによって、2周目の部分10bの剥離シート40に付着することを防止するので、ブロッキングが発生しにくい。
〔第2実施形態〕
図3を参照して、本発明に係るシート10A及びロール状シート150Aについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、剥離シート40の端部(後述の先端部15)は、剥離シート40に粘着剤層30を介して積層された基材シート20の端部(後述の先端部13)よりも巻き付け方向S1の側にある。また、粘着剤層30は、基材シート20の一方の面22の全体に亘って形成されている。このため、シート10の長手方向Sにおいてシート本体部50よりシート端11の側(巻き付け方向S1とは反対方向S2の側)の範囲であるシート端部60Aは、基材シート20及び粘着剤層30で構成される。粘着剤層30が基材シート20に対して巻芯100側に配置されている。
シート10Aの切断面において、シート10Aの裏側の表面14の先端部15が、シート10Aの表側の表面12の先端部13よりも巻き付け方向S1の側(図3において左側)にある。したがって、剥離シート40の端部の側面62aと、裏側の表面14を長手方向Sに延長した仮想平面16と、粘着剤層30の巻芯100側の表面と、基材シート20の露出面32(切断面)をシート10Aの厚さ方向tに延長した仮想面とによって囲まれた領域には、シート端部60Aが巻芯100側に撓むための空間70aが形成されている。つまり、空間70aは、剥離シート40の端部の側面62aよりもシート10Aの長手方向Sにおいてシート端11の側に形成されている。
また、空間70aは、シート10Aの厚さ方向tにおいて、仮想平面16と、粘着剤層30の巻芯100側の表面との間の寸法が略一定の矩形状とされる。
なお、シート10Aの表側の表面12の先端部13は、シート10Aの幅方向に延びる線状部分である。一方、シート10Aの長手方向Sにおけるシート端11は、基材シート20の端部であるので、シート10Aの幅方向及び厚さ方向tに延びる面状部分である。
シート10Aが巻芯100に巻かれると、巻かれる際に生じる巻き付け圧力によって、粘着剤層30においてシート本体部50とシート端部60Aとの間の境目bにある粘着剤が、巻き付け方向S1とは反対方向S2に押し出される。しかし、粘着剤が押し出された位置(境目b)と2周目のシート10Aの部分の剥離シート40との間には、長手方向Sにおいてシート端部60Aの長さに相当する距離があり、また、前述の空間70aが形成されているので、はみ出た粘着剤は空間70aに溜まる状態となる。このため、はみ出た粘着剤は、2周目のシート10Aの部分の剥離シート40に到達しにくい。
〔他の実施形態〕
第1実施形態及び第2実施形態では、シートは、基材シート、粘着剤層及び剥離シートを有しているとして説明したが、これに限定されず、基材シートのみで構成されていてもよいし、基材シートと粘着剤層とのみで構成されていてもよい。
図1及び図2に示すシート10について、以下の試験1〜3を行い、芯部跡様うねり又は芯部跡及びブロッキングの発生の有無を確認する試験を行った。なお、シート10の作製については後述する。
〔実施例1〜3、比較例1〕
(試験1:裏側の表面とシート端の側面との間のなす角度θの違いによる確認試験)
表1に示す試験条件のシート(実施例1〜3、比較例1)を作製し、万能材料試験機5581(インストロンジャパンカンパニィリミテッド社製)を用いて芯部跡と同じ原理で発生するうねり(芯部跡様うねり)及びブロッキングの発生の有無を確認した。すなわち、図4に示すように、複数のシート330を束ねたシート束320に試験対象のシート340を置き、その上におもり310を置くように構成されている試験装置300を作成した。この試験装置300を用いて荷重をかけることにより、シート340(巻芯に巻かれた1周目のシートに相当)とシート束320(巻芯に巻かれた2周目以降のシートに相当)に巻き付け圧力が作用したのと同じ状態を再現できる。
ここで、試験対象のシート340の裏側の表面(おもり310が置かれる面)と長手方向のシート端の側面との間のなす角度θを、表1に示すようにした。
Figure 2012153514
試験条件を以下に示す。
おもり310の荷重:1MPa
荷重負荷時間:おもり310を16時間乗せる。
荷重環境:室温23℃、相対湿度50%
シート330、340:サイズ 100mm×100mm
基材シート:厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名「PET25T620EW07」]
粘着剤:アクリル系粘着剤[リンテック株式会社製、商品名「PU−V」]
剥離シート:厚さ38μmの離型ポリエステルフィルム[リンテック株式会社製、商品名「スーパステックSP−PET38(S)」]
シート10の作製:前記基材シートに前記粘着剤を固形分で20g/m2塗布して得られた粘着シートと前記剥離シートを、上下2軸剥離ラミ試験機HDF−905L−800[萩原工業株式会社製]を用いて積層してシート10(総厚83μm)を得た。
シート330の作製:得られたシート10を裁断し100mm×100mmの大きさになるようにシート330を作製した。
シート340の作製:得られたシート10の長手方向におけるシート端11を、角度θが表1の角度になるように切断した後、他の部分を裁断し100mm×100mmの大きさになるようにシート340を作製した。
図4に示すように、角度θが表1の角度になるように切断したシートの長手方向Sのシート端の側面がシート束320の最上部のシート330の中央に位置するように、試験対象のシート340(実施例1〜3及び比較例1)を裏側の表面、つまり、剥離シートが上になるように、最上部のシート330に積層し、おもり310を前記シート端の側面の上に16時間載置した後におもり310を外して、おもり310の載置によりシート330に生じた芯部跡様のうねり及びブロッキングの発生具合を確認した。なお、図4における矢印S1は巻き付け方向に相当する。
芯部跡様うねりの測定方法:シート330の、シート340の端部に重なる部分かつおもり310が載置された部分について、おもり310が載置された側のシート330の表面(剥離シート面)からレーザ顕微鏡Wyko NT1100(日本ビーコ株式会社製)にてRt値を測定する。
Rt値:JIS B0601:2001に基づき、おもり310が載置されたシート330の表面における粗さ曲線の最大断面高さ(μm)(粗さ曲線の最大値とおもり310の載置によりシート330に生じた芯部跡様のうねりにおける谷深さの最大値との和)、サンプリング数n=3の平均値とする。
ブロッキングの発生の評価:目視により「なし」、「ややあり」、「あり」の3段階で評価する。
実施例1〜3及び比較例1の試験結果を表1に記載した。表1に示すように、角度θが鈍角の実施例1〜3は、角度θが90°の比較例1よりもRt値が低い、つまり、凹凸が少ないことから、おもり310の載置によりシート330に生じた芯部跡様のうねりが発生しにくいことが確認できた。
なお、実施例1〜3及び比較例1のいずれも、ブロッキングは発生しなかった。
〔実施例4、5及び比較例2、3〕
(試験2:材質の異なる基材シートを用いた確認試験)
基材シート20の材質、シート10の厚さ(図1において寸法T)及びシート束320を構成するシート330の枚数を表2のように変えたシートを作製し、それ以外の条件を試験1の条件と同一にして、材質の違う基材シートによる芯部跡様のうねりの発生確認試験を行った。
ガラスカバーシート03[リンテック社製]:総厚450μm、材質はポリカーボネート(PC)とポリエチレンテレフタレート(PET)。
ヒートカット IR−50HD[リンテック社製]:総厚112μm、材質はポリエチレンテレフタレート(PET)。
なお、ガラスカバーシート03及びヒートカット(登録商標)IR−50HDの厚さを考慮し、実施例4及び比較例2では、シート束320の全体の高さが試験1とほぼ同じになるように、シート束320を構成するシート330の枚数を200枚とし、実施例5及び比較例3では、シート330の枚数を100枚とした。
Figure 2012153514
試験結果を表2に記載した。表2に示すように、実施例4、5は、比較例2、3に比べてRt値が低く、芯部跡様のうねりが発生しにくいといえる。このことから、本発明の芯部跡のうねりの発生を低減させる効果は、基材シートの材質に関わらず発揮されるといえる。
〔実施例6及び比較例4、5〕
(試験3:高温雰囲気環境下における芯部跡及びブロッキングの発生の確認試験)
下記の条件で作製したシート10のシート端11を角度θが表3に示す値になるように切断し、シート10を巻芯100に巻いて、ロール状シートを作製し、以下に示す試験条件で芯部跡及びブロッキングの発生の有無の確認試験をした。なお、環境試験室を53℃にした。これにより、巻芯100の膨張によって巻き付け圧力が強くなり、シート10に芯部跡やブロッキングが発生しやすくなるため、比較が容易になる。
試験条件
テスト用シートの構成
寸法:幅150mm×80m
基材シート:厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名「PET25T620EW07」]
粘着剤:テルペン系水素添加樹脂[ヤスハラケミカル株式会社製、商品名「クリアロンM105GK」]
剥離シート:シリコーン系剥離層を設けたポリエステル長尺剥離フィルム[三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名「SP−PET MRF#38」]
シート10の作製:前記基材シートに前記粘着剤を20g/m2塗布して得られた粘着シートと前記剥離シートとを、上下2軸剥離ラミ試験機HDF−905L−800[萩原工業株式会社製]を用いて積層してシート10(ロール状シート)を得た。
巻き取り条件
巻芯:3インチABSコア
巻き取り張力:60N(400N/m)
巻き取り速度:10m/min
保存条件
環境試験室条件:53℃
環境試験室投入時間:18時間
芯部跡の測定方法:シートの表面(剥離シート面)からレーザ顕微鏡Wyko NT1100(日本ビーコ株式会社製)にてRt値を測定。
Rt値:JIS B0601:2001に基づき、フィルムの巻き付け始めに重なる部分の表面における粗さ曲線の最大断面高さ(μm)(粗さ曲線の最大値と芯部跡における谷深さの最大値との和)、サンプリング数n=3の平均値とする。
ブロッキングの発生の評価:目視により「なし」、「ややあり」、「あり」の3段階で評価する。
Figure 2012153514
試験結果を表3に記載した。表3において「110周目(46m)」の欄は、巻かれたシートの表層から数えた巻数が110であり、巻き付け始めからの長さが46mの位置におけるRt値を示し、「210周目(10m)」の欄は、巻かれたシートの表層から数えた巻数が210であり、巻き付け始めからの長さが10mの位置におけるRt値を示す。
表3に示すように、実施例6のシートの芯部跡のRt値は、比較例4及び5のシートの芯部跡のRt値よりも小さい。したがって、実施例6のように、角度θを鈍角にすることにより、芯部跡の発生を抑えることができるといえる。また、実施例6では比較例4と比べてブロッキングが抑制されたといえる。実施例6の形態では粘着剤がはみ出ても、2層目の剥離シートに付着しにくいためと考えられる。
10 シート
11 シートの長手方向におけるシート端
12 表側の表面
13 表側の表面の先端部
14 裏側の表面
15 裏側の表面の先端部
16 裏側の表面を長手方向に延長した仮想平面
20 基材シート
30 粘着剤層
32 シート端部の側面における基材シートの露出面
40 剥離シート
50 シート本体部
60 シート端部
62 シート端部の側面(シート端の側面)
62a 剥離シートの端部の側面
70 シート端部の側面と、裏側の表面を長手方向に延長した仮想平面との間に形成された三角形状の空間
70a シート10Aの長手方向Sにおいて剥離シート40の端部の側面62aよりもシート端11の側に形成された矩形状の空間
100 巻芯
110 巻芯の表面
S シートの長手方向
S1 シートの長手方向のうち巻き付け方向
S2 シートの長手方向のうち巻き付け方向とは反対方向
t シートの厚さ方向
T シートの厚さ寸法

Claims (5)

  1. 巻芯に巻き付けられるシートであって、
    前記シートの巻き付け始めの長手方向のシート端の、前記シートの厚さ方向の切断面において、前記巻芯側となる裏側の表面の先端部が、前記巻芯側とは反対側にあたる表側の表面の先端部よりも、前記シートの長手方向のうち、シートを巻き付ける巻き付け方向の側にあることを特徴とするシート。
  2. 基材シート、粘着剤層及び剥離シートが順次積層されてなる、請求項1に記載のシート。
  3. 前記シートの長手方向の前記シート端の側面と前記裏側の表面との間のなす角度は、95°以上175°以下の範囲内にある、請求項1又は2に記載のシート。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のシートと、前記シートが巻き付けられている巻芯とを備えるロール状シート。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載のシートを前記巻芯に巻き付ける巻き付け方法であって、前記シート端の側面が前記巻芯側に向くように、前記シート端から前記巻芯に巻き付ける巻き付け方法。
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