JP2012146943A - 半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法 - Google Patents

半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 金属カルコゲナイドの原料から成る皮膜中のVI−B族元素の含有量を良好に制御することにより、光電変換効率の高い半導体層および光電変換装置を提供する。
【解決手段】 半導体層の製造方法は、金属元素およびカルコゲン元素含有有機化合物を具備する皮膜を形成する工程と、皮膜を大気圧よりも高い圧力雰囲気で加熱してカルコゲン元素含有有機化合物の有機成分を熱分解する工程と、金属元素とカルコゲン元素含有有機化合物のカルコゲン元素とを反応させて金属カルコゲナイドを含む半導体層を作製する工程とを具備する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属カルコゲナイドを含む半導体層の製造方法およびそれを用いた光電変換装置の製造方法に関するものである。
太陽光発電等に使用される光電変換装置として、CISやCIGS等のカルコパイライト系のI−III−VI族化合物半導体、あるいは、CdTe等のII−VI族化合物半導体等の金属カルコゲナイドによって光吸収層が形成されたものがある(例えば、特許文献1)。
このような金属カルコゲナイドを含む光電変換装置は、複数の光電変換セルが平面的に並設された構成を有する。各光電変換セルは、ガラス等の基板の上に、金属電極等の下部電極と、光吸収層やバッファ層等からなる光電変換層と、透明電極や金属電極等の上部電極とが、この順に積層されて構成される。また、複数の光電変換セルは、隣り合う一方の光電変換セルの上部電極と他方の光電変換セルの下部電極とが接続導体によって電気的に接続されることで、電気的に直列に接続されている。
このような金属カルコゲナイドを含む光吸収層は、下部電極上に金属カルコゲナイドの原料を含む皮膜が形成され、この皮膜が熱処理されることによって形成される。
このような金属カルコゲナイドの原料としては、金属カルコゲナイドを構成する元素の塩や錯体等が用いられる。例えば特許文献2には、1つの有機化合物内にCuと、Seと、InもしくはGaとを存在させた単一源前駆体(Single Source Precursor)がI−III−VI族化合物半導体の原料として用いられることが記載されている。
特開2000−299486号公報 米国特許第6992202号明細書
上記金属カルコゲナイドの原料を含む皮膜は、熱処理により有機成分が熱分解され、その後、原料同士が反応して金属カルコゲナイドの多結晶体(半導体層)となる。しかしながら、上記皮膜は、熱処理の際、VI−B族元素が気化して消失し、VI−B族元素の含有率の小さい半導体層となりやすい。そのため、大きな面積の半導体層が形成される場合、組成ばらつきが生じ、半導体層の光電変換効率が十分に高くなりにくい。このようなVI−B族元素の消失の対策として、皮膜中にVI−B族元素が多く添加された場合、生成される半導体層にクラックが発生し、半導体層の光電変換効率が低下しやすくなる傾向がある。また、VI−B族元素の消失の別の対策として、熱処理時の雰囲気中にVI−B族元素が多く含有された場合、生成される半導体層と下部電極層との密着力が低下して抵抗値が高くなり、光電変換効率が低下しやすくなる傾向がある。
本発明の目的は、金属カルコゲナイドの原料から成る皮膜中のVI−B族元素の含有量を良好に制御することにより、光電変換効率の高い半導体層および光電変換装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る半導体層の製造方法は、金属元素およびカルコゲン元素含有有機化合物を具備する皮膜を形成する工程と、該皮膜を大気圧よりも高い圧力雰囲気で加熱して前記カルコゲン元素含有有機化合物の有機成分を熱分解する工程と、前記金属元素と前記カルコゲン元素含有有機化合物のカルコゲン元素とを反応させて金属カルコゲナイドを含む半導体層を作製する工程とを具備する。
本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法は、電極上に金属元素およびカルコゲン元素含有有機化合物を具備する皮膜を形成する工程と、該皮膜を大気圧よりも高い圧力雰囲気で加熱して前記カルコゲン元素含有有機化合物の有機成分を熱分解する工程と、前記金属元素と前記カルコゲン元素含有有機化合物のカルコゲン元素とを反応させて金属カルコゲナイドを含む第1の半導体層を作製する工程と、該第1の半導体層上に該第1の半導体層とは異なる導電型の第2の半導体層を作製する工程とを具備する。
本発明によれば、光電変換効率の高い半導体層および光電変換装置を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態にかかる半導体層の製造方法および本発明の一実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置の実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる半導体層の製造方法および本発明の一実施形態にかかる光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置の実施の形態の他の例を示す断面図である 図2の光電変換装置の斜視図である。 条件を変えて作製した半導体層のSe含有量を示すグラフである。 条件を変えて作製した光電変換装置の光電変換効率を示すグラフである。
以下に本発明の実施形態に係る半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
<(1)光電変換装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体層の製造方法および本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置を示す断面図である。図1〜図3において同じ構成のものには同じ符号を付している。光電変換装置11は、基板1と、第1の電極層2と、金属カルコゲナイドを含む第1の半導体層3と、第2の半導体層4と、第2の電極層5とを含んでいる。
第1の半導体層3と第2の半導体層4は導電型が異なっており、第1の半導体層3と第2の半導体層4とで光照射により生じた正負のキャリアの電荷分離を良好に行うことができる。例えば、第1の半導体層3がp型であれば、第2の半導体層4はn型である。あるいは、第2の半導体層4が、バッファ層と第1の半導体層3とは異なる導電型の半導体層とを含む複数層であってもよい。本実施形態では、第1の半導体層3が一方導電型の光吸収層であり、第2の半導体層4がバッファ層と他方導電型半導体層とを兼ねている例を示している。
また、本実施形態における光電変換装置11は第2の電極層5側から光が入射されるものを示しているが、これに限定されず、基板1側から光が入射されるものであってもよい
図1において、光電変換装置11は複数個の光電変換セル10が並べられて形成されている。光電変換セル10は、第1の半導体層3の基板1側に第1の電極層2と離間して設けられた第3の電極層6を具備している。そして、第1の半導体層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。図1においては、この第3の電極層6は、隣接する光電変換セル10の第1の電極層2が延伸されたものである。この構成により、隣接する光電変換セル10同士が直列接続されている。また、一つの光電変換セル10内において、接続導体7は第1の半導体層3および第2の半導体層4を貫通するように設けられており、第1の電極層2と第2の電極層5とで挟まれた第1の半導体層3と第2の半導体層4とで光電変換が行なわれる。
基板1は、第1の半導体層3および第2の半導体層4を支持するためのものである。基板1に用いられる材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂および金属等が挙げられる。
第1の電極層2および第3の電極層6は、Mo、Al、TiおよびAu等から選ばれる導電体が用いられ、基板1上にスパッタリング法および蒸着法等から選ばれる方法で形成される。
第1の半導体層3は、金属カルコゲナイドを主に含んだ半導体層である。金属カルコゲナイドとは、金属元素とカルコゲン元素との化合物である。また、カルコゲン元素とは、VI−B族元素のうちのS、Se、Teをいう。第1の半導体層3に含まれる金属カルコゲナイドとしては、例えば、I−III−VI化合物半導体およびII−VI化合物半導体等が挙げられる。
I−III−VI化合物半導体とは、I−B族元素(11族元素ともいう)とIII−B族元素(13族元素ともいう)とVI−B族元素(16族元素ともいう)との化合物半導体であり、カルコパイライト構造を有し、カルコパイライト系化合物半導体と呼ばれる(CIS系化合物半導体ともいう)。I−III−VI化合物半導体としては、例えば、Cu(In,Ga)Se(CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)(CIGSSともいう)、およびCuInSe(CISともいう)等が挙げられる。なお、Cu(In,Ga)Seとは、CuとInとGaとSeとから主に構成された化合物をいう。また、Cu(In,Ga)(Se,S)とは、CuとInとGaとSeとSとを主成分として含む化合物をいう。10μm以下の薄層でも光電変換効率を高めることができるという観点からは、第1の半導体層3はこのようなI−III−VI化合物半導体であってもよい。
また、II−VI化合物半導体とは、II−B族元素(12族元素ともいう)とVI−B族元素との化合物半導体である。II−VI化合物半導体としては、例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS,CdSe、およびCdTe等が挙げられる。
第2の半導体層4は上記第1の半導体層3上に形成されている。本実施形態では、第1の半導体層3が一方導電型の光吸収層であり、第2の半導体層4がバッファ層と他方導電型半導体層とを兼ねている例を示している。リーク電流の低減という観点からは、第2の半導体層4は抵抗率が1Ω・cm以上であってもよい。第2の半導体層4としては、CdS、ZnS、ZnO、InSe、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等が挙げられる。第2の半導体層4は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で形成される。なお、In(OH,S)とは、InとOHとSとを主成分として含む化合物をいう。(Zn,In)(Se,OH)は、ZnとInとSeとOHとを主成分として含む化合物をいう。(Zn,Mg)Oは、ZnとMgとOとを
主成分として含む化合物をいう。第2の半導体層4は、第1の半導体層3の吸収効率を高めるため、第1の半導体層3が吸収する光の波長領域に対して高い光透過性を有するものであってもよい。
また、第2の半導体層4は、その厚みが10〜200nmである。第2の半導体層4上に第2の電極層5がスパッタリング等で製膜される際のダメージが抑制される観点から言えば、第2の半導体層4の厚みは100〜200nmとされ得る。
第2の電極層5は、ITO、ZnO等の0.05〜3.0μmの厚みを有する透明導電膜である。第2の電極層5は、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法等で形成される。第2の電極層5は、第2の半導体層4よりも抵抗率の低い層であり、第1の半導体層3で生じた電荷を取り出すためのものである。電荷を良好に取り出すという観点からは、第2の電極層5の抵抗率が1Ω・cm未満でシート抵抗が50Ω/□以下であってもよい。
第2の電極層5としては、第1の半導体層3の吸収効率を高めるため、第1の半導体層3の吸収光に対して高い光透過性を有するものが用いられてもよい。光透過性を高めると同時に光反射ロス低減効果および光散乱効果を高め、さらに光電変換によって生じた電流を良好に伝送するという観点から、第2の電極層5は0.05〜0.5μmの厚さであってもよい。また、第2の電極層5と第2の半導体層4との界面での光反射ロスを低減する観点からは、第2の電極層5と第2の半導体層4の屈折率は略等しくてもよい。
光電変換セル10は、複数個が並べられて電気的に接続され、光電変換装置11と成る。隣接する光電変換セル10同士を容易に直列接続するために、図1に示すように、光電変換セル10は、第1の半導体層3の基板1側に第1の電極層2と離間して設けられた第3の電極層6を具備している。そして、第1の半導体層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。
図1において、接続導体7は第2の電極層5が形成される際に、第2の電極層5と同じ工程で、第2の電極層5と一体化して形成されている例が示されているが、これに限定されない。例えば、導電性ペーストが充填されて形成されていてもよい。
<(2)第1の半導体層の製造方法>
金属カルコゲナイドを含む第1の半導体層3は、次のようにして作製される。先ず、第1の電極層2を有する基板1上に、金属元素およびカルコゲン元素含有有機化合物を含む皮膜が形成される。金属元素は第1の半導体層3を構成する金属元素(例えばI−B族元素、III−B族元素、またはII−B族元素)を含むものであり、金属の状態、あるいは、金属塩や金属錯体のような金属化合物の状態で皮膜中に含まれている。また、カルコゲン元素含有有機化合物は、カルコゲン元素を含む有機化合物であり、炭素元素とカルコゲン元素との共有結合を有する有機化合物である。カルコゲン元素含有有機化合物としては、例えば、チオール、スルフィド、ジスルフィド、チオフェン、スルホキシド、スルホン、チオケトン、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホン酸アミド、セレノール、セレニド、ジセレニド、セレノキシド、セレノン、テルロール、テルリド、ジテルリド等が挙げられる。金属元素とカルコゲン元素含有有機化合物のカルコゲン元素との反応が良好に進行して金属カルコゲナイドが容易に生成するという観点からは、金属元素はカルコゲン元素含有有機化合物と錯体を形成した状態で皮膜中に含まれていてもよい。
次に、上記皮膜が、窒素およびアルゴン等から選ばれる不活性ガス、水素等の還元ガスあるいはこれらの混合ガスの雰囲気下で50〜350℃で加熱されることにより、皮膜中の有機成分が熱分解される。この際、雰囲気の圧力が大気圧よりも高く設定される。具体
的には、雰囲気圧力は標準気圧(101.3kPa)よりも0.2kPa以上高く設定される。これにより、皮膜中のカルコゲン元素の消失が有効に低減される。
そして、上記有機成分が熱分解により除去された皮膜が、さらに400〜600℃で加熱されることにより、金属元素とカルコゲン元素とが反応して金属カルコゲナイドの多結晶体が形成され、第1の半導体層3となる。このような金属カルコゲナイドの多結晶体が形成される熱処理時の雰囲気圧力は特に限定されず、上記有機成分が熱分解される熱処理時の雰囲気圧力のように大気圧よりも高く設定されてもよく、大気圧と同じに設定されてもよく、あるいは、大気圧よりも低く設定されてもよい。なお、この第1の半導体層3を形成するための加熱時の雰囲気ガスとしては、不活性ガス、還元ガスまたはこれらの混合ガスが用いられる。この雰囲気ガスには、カルコゲン元素が、例えば、Se蒸気、S蒸気、HSeまたはHSとして混合されてもよい。
<(2-1)皮膜の製造方法>
上述した第1の半導体層3の作製方法における皮膜の作製工程をより詳細に説明する。金属元素およびカルコゲン元素含有有機化合物を含む皮膜は、原料が溶媒中に溶解(分散でもよい)されて成る原料溶液が、例えば、スピンコータ、スクリーン印刷、ディッピング、スプレー、またはダイコータ等によって第1の電極層2上に膜状に被着され、溶媒が乾燥により除去されることにより形成される。
原料溶液中に溶解される原料としては、金属元素を含んだ金属原料およびカルコゲン元素含有有機化合物の混合体であってもよく、金属元素とカルコゲン元素含有有機化合物とが配位結合した錯体であってもよい。
原料溶液の作製方法の一例としては、例えば、金属元素を含んだ金属原料がカルコゲン元素含有有機化合物とともに溶媒に溶解されて原料溶液が作製されるという方法がある。このような金属原料としては、金属微粒子または金属化合物(この金属化合物としては、例えば、有機酸等の金属塩およびアセチルアセトナート錯体等の金属錯体金属化合物が挙げられる。)が用いられる。このようにして作製された原料溶液を用いて形成された皮膜は、金属原料およびカルコゲン元素含有有機化合物の混合体の状態である場合もあり得るが、金属原料中の金属元素とカルコゲン元素含有有機化合物とが配位結合した錯体の状態である場合もあり得る。
ここで、溶媒としてルイス塩基性有機化合物とを含む溶媒が用いられ、カルコゲン元素含有有機化合物として、金属に対する配位力の高い、チオール、スルフィド、ジスルフィド、セレノール、セレニド、ジセレニド、テルロール、テルリド、ジテルリド等が、用いられた場合、金属原料中の金属元素とカルコゲン元素含有有機化合物とが配位結合した錯体と成りやすい。これは、ルイス塩基性有機化合物が、カルコゲン元素含有有機化合物の配位力を高める役割をし、配位力が高められたカルコゲン元素含有有機化合物が金属元素に良好に配位して錯体を形成するためと考えられる。このように金属元素とカルコゲン元素含有有機化合物との錯体が形成される場合、金属元素とカルコゲン元素との反応が良好に進行し、金属カルコゲナイドが容易に形成されやすくなる。このような錯体の具体例としては、I−B族元素(例えばCu)とフェニルセレノールとの錯体や、III−B族元素(例えば、InまたはGa)とフェニルセレノールとの錯体等がある。
なお、ルイス塩基性有機化合物とは、ルイス塩基となり得る官能基を有する有機化合物のことである。ルイス塩基となり得る官能基としては、例えば、非共有電子対を有するV−B族元素(15族元素とも言う)を具備した官能基、および非共有電子対を有するVI−B族元素を具備した官能基等が挙げられる。ルイス塩基性有機化合物の具体例としては、ピリジン、アニリン等である。
原料溶液の作製方法の他の例としては、例えば、I−B族元素とIII−B族元素とカルコゲン元素含有有機化合物が一つの分子内に含まれた単一源前駆体(特許文献2参照)が溶媒に溶解されて原料溶液が作製されるという方法がある。このような単一源前駆体が用いられる場合、I−III−VI族化合物のような複数種の金属元素を含む金属カルコゲナイドが容易に作製可能となる。単一源前駆体の具体的な構造としては、例えば一般式(1)および一般式(2)で示されるようなものがある(一般式(1)および(2)において、Phはフェニル基を示す)。
Figure 2012146943
Figure 2012146943
<(3)光電変換装置の変形例>
次に本発明の一実施形態に係る半導体層の製造方法および本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置の変形例を図2、図3に基づき説明する。図2は光電変換装置21の断面図であり、図3は光電変換装置21の斜視図である。図2、図3は、第2の電極層5上に集電電極8が形成されている点で図1の光電変換装置11と異なっている。図2、図3において、図1と同じ構成のものには、同じ符号が付されている。図2、図3に示すように、光電変換装置21は、図1と同様、互いに接続された複数の光電変換セル20を具備している。集電電極8は、第2の電極層5の電気抵抗を小さくするためのものである。第2の電極層5上に集電電極8が設けられることにより、第2の電極層5の厚さを薄くして光透過性を高めるとともに第1の半導体層3で発生した電流が効率よく取り出される。その結果、光電変換装置21の発電効率が高められる。
集電電極8は、例えば、図3に示すように、光電変換セル20の一端から接続導体7にかけて線状に形成されている。これにより、第1の半導体層3の光電変換により生じた電荷が第2の電極層5を介して集電電極8に集電され、接続導体7を介して隣接する光電変換セル20に良好に伝達される。その結果、光電変換装置20の発電効率が高められる。
集電電極8の幅は、第1の半導体層3への光を遮るのを低減するとともに良好な導電性を有するという観点からは、50〜400μmとされ得る。また、集電電極8は、枝分か
れした複数の分岐部を有していてもよい。
集電電極8は、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散させた金属ペーストがパターン状に印刷され、これが硬化されることによって形成される。
本発明の実施形態にかかる半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法について、以下のようにして評価した。本実施例においては半導体層に含まれる金属カルコゲナイドとしてCIGSが用いられた。
まず、2種類の原料溶液(第1の原料溶液および第2の原料溶液)が調整された。これらの調整方法を以下に示す。
<第1の原料溶液の調整>
[a1]カルコゲン元素含有有機化合物であるフェニルセレノール(HSeC)が、ルイス塩基性有機溶剤であるアニリンに対して、同じmol数となるように溶解されて混合溶媒が調製された。
[a2]次に、地金のCu、地金のIn、および地金のGaが、上記混合溶媒に直接溶解されることで第1の原料溶液が調製された(各金属元素はフェニルセレノールと錯体を形成することにより混合溶媒中に溶解すると考えられる)。この第1の原料溶液では、Cuの濃度が2.3質量%、Inの濃度が3.2質量%、Gaの濃度が1.3質量%とされた。
<第2の原料溶液の調整>
[b1]10ミリモル(mmol)のCu(CHCN)・PFと、20mmolのP(Cとが、100mlのアセトニトリルに溶解された後、室温(25℃)における5時間の攪拌によって第1錯体溶液が調製された。
[b2]40mmolのナトリウムメトキシド(NaOCH)と、カルコゲン元素含有有機化合物である40mmolのHSeCとが、300mlのメタノールに溶解され、更に、6mmolのInClと4mmolのGaClとが溶解された後、室温における5時間の攪拌によって第2錯体溶液が調製された。
[b3]工程[b1]で調製された第1錯体溶液に対して、工程[b2]で調製された第2錯体溶液が1分間に10mlの速度で滴下され、白い析出物(沈殿物)が生じた。上記滴下処理の終了後、室温における1時間の攪拌と、遠心分離機による沈殿物の抽出とが、順次に行われた。この沈殿物の抽出時には、遠心分離機によって一旦取り出された沈殿物を500mlのメタノールに分散させた後に遠心分離機で沈殿物を再度取り出す工程が2回繰り返され、最後にこの沈殿物が室温で乾燥されることで、一般式(1)および一般式(2)に示すような単一源前駆体の混合体を含む沈殿物が得られた。この単一源前駆体の混合体では、1つの錯体分子に、CuとInとSeとが含まれるか、またはCuとGaとSeとが含まれる。
[b4]工程[b3]で得られた単一源前駆体を含む沈殿物に有機溶媒であるピリジンが添加されることで、単一源前駆体の濃度が45質量%である第2の原料溶液が生成された。
<第1の半導体層の作製>
次に、ガラスを含む基板1の表面に、Mo等を含む第1の電極層2が成膜されたものが複数枚用意された。そして、窒素ガスの雰囲気下において第1の電極層2の上に上記第1
および第2の原料溶液がそれぞれブレード法によって塗布され、皮膜が形成された。
次に、この皮膜が、図4および図5のグラフの横軸に示されるような種々の圧力を有する窒素ガスの雰囲気下において、300℃で10分間加熱されることにより有機成分が除去された。なお、図4および図5のグラフの横軸に示される差圧とは、雰囲気圧力と標準圧力(101.3kPa)との差を意味している。差圧が0kPaの場合は比較例である。差圧が正の値を示している場合は、比較例よりも高い圧力の雰囲気である。
さらに、この有機成分が除去された皮膜が、標準圧力の水素ガスの雰囲気下において、550℃で1時間加熱されることにより、主にCIGSから成る第1の半導体層3が形成された。
これらの第1の半導体層3に対して、蛍光X線分析(XRF)を用いた分析によって第1の半導体層3中に含まれるSeの含有率が測定された。図4のグラフは第1および第2の原料溶液を用いて作製された第1の半導体層3のSe含有率を示している。図4のグラフにおけるSe含有率は、Cuの原子%に対するSeの原子%を示している。第1および第2の原料溶液のいずれを用いた場合においても、標準圧力で熱分解が行われた比較例(差圧が0kPaのもの)に比べ、標準圧力よりも高い圧力(0.2kPa以上)で熱分解が行なわれた方が、高いSe含有率を示すことが分かった。
<光電変換装置の作製>
次に、上述のように作製された第1の半導体層3の上に、それぞれ、第2の半導体層4と第2の電極層5とが順に形成されて光電変換装置が作製された。
具体的には、アンモニア水に酢酸カドミウムおよびチオ尿素が溶解された溶液に、主にCIGSから成る第1の半導体層3が形成された基板1が浸漬されることで、第1の半導体層3の上に厚さが50nmのCdSを含む第2の半導体層4が形成された。更に、この第2の半導体層4の上に、スパッタリング法によってAlがドープされた酸化亜鉛を含む透明の導電膜が形成された。
<光電変換装置における光電変換効率の測定>
作製された光電変換装置の光電変換効率が、定常光ソーラーシミュレーターを用いて測定された。ここでは、光電変換装置の受光面に対する光の照射強度が100mW/cmであり且つエアマス(AM)が1.5である条件下で光電変換効率が測定された。なお、光電変換効率は、光電変換装置において太陽光のエネルギーが電気エネルギーに変換される割合を示し、ここでは、光電変換装置から出力される電気エネルギーの値が、光電変換装置に入射される太陽光のエネルギーの値で除されて、100が乗じられることで導出された。
図5のグラフは、図4の各半導体層を用いて作製された光電変換装置の光電変換効率を示している。図4で示されたSe含有率に応じて光電変換効率も高くなっていることが分かる。つまり、標準圧力よりも高い圧力(0.1kPa以上)で熱分解が行なわれることにより、光電変換効率が高められることが分かった。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が施されることは何等差し支えない。
1:基板
2:第1の電極層
3:第1の半導体層(金属カルコゲナイドを含む半導体層)
4:第2の半導体層
5:第2の電極層
6:第3の電極層
7:接続導体
8:集電電極
10、20:光電変換セル
11、21:光電変換装置

Claims (3)

  1. 金属元素およびカルコゲン元素含有有機化合物を具備する皮膜を形成する工程と、
    該皮膜を大気圧よりも高い圧力雰囲気で加熱して前記カルコゲン元素含有有機化合物の有機成分を熱分解する工程と、
    前記金属元素と前記カルコゲン元素含有有機化合物のカルコゲン元素とを反応させて金属カルコゲナイドを含む半導体層を作製する工程と
    を具備することを特徴とする半導体層の製造方法。
  2. 前記金属元素は、前記カルコゲン元素含有有機化合物との錯体の状態で前記皮膜中に含まれている、請求項1に記載の半導体層の製造方法。
  3. 電極上に金属元素およびカルコゲン元素含有有機化合物を具備する皮膜を形成する工程と、
    該皮膜を大気圧よりも高い圧力雰囲気で加熱して前記カルコゲン元素含有有機化合物の有機成分を熱分解する工程と、
    前記金属元素と前記カルコゲン元素含有有機化合物のカルコゲン元素とを反応させて金属カルコゲナイドを含む第1の半導体層を作製する工程と、
    該第1の半導体層上に該第1の半導体層とは異なる導電型の第2の半導体層を作製する工程と
    を具備することを特徴とする光電変換装置の製造方法。

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