JP2012138248A - 光殺菌装置および紫外線エックス線発生装置 - Google Patents

光殺菌装置および紫外線エックス線発生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】小型化、省電力化を図った光殺菌装置および紫外線エックス線発生装置を提供する。
【解決手段】陽極基板20と対向基板21と側面板22とによって囲まれた内部に真空の密閉空間18を形成する外囲筺体部と、電子放出部と、電子放出部から放出される電子を衝突させて紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線放射部と、を備える。紫外線エックス線放射部は、電子放出部に面して陽極14が配置され、陽極14と陽極基板20との間にターゲット材料15が配置されて形成され、加速された電子がターゲット材料15に衝突して紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線範囲で動作するような電圧を陽極14と電子放出部との間に印加し、陽極基板20は、エックス線および紫外線を透過する部材で形成した。
【選択図】図3

Description

本発明は、光殺菌装置、および、紫外線とエックス線とを同時に発生させることができる紫外線エックス線発生装置に関するものである。
紫外線発生装置が従来から知られている。紫外線発生装置には、低圧水銀ランプが多用されているが、紫外線発光材料に電子を衝突させて紫外線を発生させるものも提供されている(特許文献1を参照)。図7は、特許文献1に記載の紫外線光源を示す図である。紫外線光源は、透光性を有する陽極基板6、陽極基板6と所定間隔をおいて対面する対向基板7、陽極基板6と対向基板7との間の外周部分に設けられる枠状の側面板8とを有する。陽極基板6の内面には、紫外線を発光する蛍光体層3bが形成され、蛍光体層3bを覆うようにメタルバック層3cが形成される。電子を放出する線状陰極5が張架され、加速制御電極4が設けられる。線状陰極5から放出される電子を加速制御電極4で加速制御して蛍光体層3bに射突させることにより蛍光体層3bが発光する。また、このような紫外線発生装置を利用した光殺菌装置が知られている。光殺菌装置としては、紫外線を用いた単一波長帯の光殺菌装置の他に、ガンマ(γ)線を用いた光殺菌装置、またはエックス(X)線を用いた光殺菌装置の各々が知られている。
特開2002−033080号公報
単一波長帯の光殺菌装置では、多くの種類の菌を殺菌しようとすると、光強度を強くしなければならず、装置が大型化し、装置価格も高価なものとなり、装置の消費電力は大きなものとなっていた。本発明は、上述した課題を解決して、光強度がより弱くても十分な殺菌効果を有し、装置の小型化を図り、装置の消費電力の省電力化を図った光殺菌装置を提供する。また、このような光殺菌装置に用いるに好適な紫外線とエックス線を発生する紫外線エックス線発生装置を提供する。
本発明の紫外線エックス線発生装置は、陽極基板と対向基板と側面板とによって囲まれた内部に真空の密閉空間を形成する外囲筺体部と、前記外囲筺体部の内部に配置される電子放出部と、前記陽極基板の前記密閉空間の側に配され、前記電子放出部から放出される電子を衝突させて紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線放射部と、を備え、前記紫外線エックス線放射部は、前記電子放出部に面して陽極が配置され、該陽極と前記陽極基板との間にターゲット材料が配置されて形成され、加速された前記電子が前記ターゲット材料に衝突して紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線範囲で動作するような電圧を前記陽極と前記電子放出部との間に印加し、前記陽極基板は、前記エックス線および前記紫外線を透過する部材で形成される。
本発明の光殺菌装置は、陽極基板と対向基板と側面板とによって囲まれた内部に真空の密閉空間を形成する外囲筺体部と、前記外囲筺体部の内部に配置される電子放出部と、前記陽極基板の前記密閉空間の側に配され、前記電子放出部から放出される電子を衝突させて紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線放射部と、を備え、前記紫外線エックス線放射部は、前記電子放出部に面して陽極が配置され、該陽極と前記陽極基板との間にターゲット材料が配置されて形成され、加速された前記電子が前記ターゲット材料に衝突して紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線範囲で動作するような電圧を前記陽極と前記電子放出部との間に印加し、前記陽極基板は、前記エックス線および前記紫外線を透過する部材で形成される。
本発明の光殺菌装置および紫外線エックス線発生装置では、紫外線エックス線放射部は、所定の値以上の運動エネルギーを有する電子を衝突させることによって紫外線とエックス線とを放出するターゲット材料を有するので、紫外線とエックス線とを同時に発生させることができ、光強度がより弱くても十分な殺菌効果を有し、装置の小型化を図り、装置の消費電力の省電力化を図ることができる。
単一波長帯の光を用いる場合の殺菌に必要な必要光量を示す図である。 実施形態の殺菌の原理を示す図である。 紫外線とエックス線とを同時に発生させる実施形態の紫外線エックス線発生装置を示す図である。 発明者らが得た知見の内容を示す図である。 ターゲット材料の異なりによって発生するエックス線線量を示す図である。 陽極基板の材質によるエックス線の透過率の違いを示す図である。 背景技術に示す紫外線光源を示す図である。
実施形態の光殺菌装置および紫外線エックス線発生装置は、陽極基板と対向基板と側面板とによって囲まれた内部に真空の密閉空間を形成する外囲筺体部と、電子放出部と、電子放出部から放出される電子を衝突させて紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線放射部と、を備える。紫外線エックス線放射部は、電子放出部に面して陽極が配置され、陽極と陽極基板との間にターゲット材料が配置されて形成され、加速された電子がターゲット材料に衝突して紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線範囲で動作するような電圧を陽極と電子放出部との間に印加する。陽極基板は、エックス線および紫外線を透過する部材で形成される。
「光殺菌の原理」
(光殺菌に必要な単一波長帯の光量)
図1は、単一波長帯の光を用いる場合の殺菌に必要な必要光量を示す図である。図1では、単一波長帯の光として、紫外線、ガンマ線、エックス線について示す。また、必要光量とは、菌の99.99%を殺菌できる光量を言う。ガンマ線とエックス線とは、波長帯は共通するが、発生原理によって通常は区別される。以下では、ガンマ線とエックス線とを代表するものとしてエックス線の用語を用いて説明をする。また、以下では、通常用いられる用語に従い、エックス線の光量はエックス線線量と称し、紫外線の光量は紫外線光量と称する。図1の縦軸はエックス線線量を示し、単位はkGy(キログレイ)である。図1の横軸は紫外線光量を示し、単位はmW/cm2(ミリワット/平方センチメートル)である。
図1の横軸に注目すれば、例えば、水銀ランプからの波長254nmの紫外線のみを照射した場合には、例えば、黄色ブドウ球菌、アデノウイルス、大腸菌、枯草菌(芽胞)、黒麹カビ(胞子)、の順に、殺菌の目的を達するためにより強い光量(大きい光量)の紫外線が必要とされる。そして、900mW/cm2付近の光量によって、上述した菌がすべて殺菌される(図1の紫外線のみ(B)の線を参照)。
図1の縦軸に注目すれば、エックス線のみを照射した場合には、例えば、大腸菌、黒麹カビ(胞子)、黄色ブドウ球菌、枯草菌(芽胞)、アデノウイルス、の順に、殺菌の目的を達するためにより強い線量(大きい線量)のエックス線が必要とされる。そして、50kGy付近の線量によって、上述した菌がすべて殺菌される(図1のX線のみ(A)の線を参照)。
上述したように、図1によれば、紫外線によって殺菌されやすい菌と、エックス線によって殺菌されやすい菌があることが判明する。これは、エックス線による殺菌のメカニズムと紫外線による殺菌のメカニズムとが異なることに起因するものである。
本特許出願の願書に記載の発明者ら(以下、発明者らと省略する)が認識するところの殺菌のメカニズムについて簡単に説明をする。エックス線など電離放射線により引き起こされるDNA損傷は、1本鎖切断、2本鎖切断、塩基損傷、塩基遊離、架橋形成などがある。これに対し、紫外線では、電離は起こさず励起のみが起こりピリミジンダイマーなどを形成する。このように、紫外線とエックス線とでは、DNAに対する反応メカニズムが異なる。また、紫外線とエックス線とでは、物質の透過特性も異なる。すなわち、エックス線は紫外線に比べてより深く浸透する。このように、紫外線とエックス線とでは、DNAに対する反応メカニズムが異なり、さらには物質の透過特性も異なることが、上述したように各菌に対する殺菌効果の違いとなるのではないかと発明者らは考えている。
(実施形態の殺菌の原理)
図2は実施形態の殺菌の原理を示す図である。図2に示すように、紫外線とエックス線の両方を用いて、紫外線で殺菌すると効率的である菌(他の菌よりも小さい光量で殺菌ができる菌)に対しては紫外線を照射して殺菌し、エックス線で殺菌すると効率的である菌(他の菌よりも小さい線量で殺菌ができる菌)に対してはエックス線を照射して殺菌するのが実施形態の原理である。なお、図2の破線(A)はエックス線のみを用いた場合の線量を示し、図2の破線(B)は紫外線のみを用いた場合の光量を示すものである(図1を参照)。図2の線(A’)、線(B’)から見てとれるように、エックス線線量を例えば、2kGy付近とし、紫外線光量を例えば、200mw/cm2付近とすれば効率良く、図1に示すと同じ種類の菌を殺菌できる。図2に示すように、殺菌のために必要とされるエックス線線量は50kGy付近から2kGy付近と約1/25に低減し、殺菌のために必要とされる紫外線光量は900mW/cm2付近から200mw/cm2付近と約1/4.5に低減している。
ここで、エックス線線量と紫外線光量とをどのような比率で割り振るかについては、適宜に定め得るものである。図2の線(A’)、線(B’)に示す例は、図4(後述する)に示すように、蛍光体としてhBNを用い、石英の陽極基板の厚さを100μm(マイクロメートル)とし、アノード電圧を20kV(キロボルト)とし、100秒間照射した場合に対応している。なお、図4では図示されていないが、石英の陽極基板の厚さを100μmとした場合のアノード電圧20kVにおける紫外線強度の値は500μm,1mm(ミリメートル)の場合と大きな差はない。
図2において、右側縦軸と破線(A)と線(A’)と線(B’)とで囲まれた左上の領域は紫外線で殺菌がおこなわれる領域(紫外線殺菌エリア)であり、破線(B)と線(A’)と線(B’)とで囲まれた右下の領域はエックス線で殺菌がおこなわれる領域(エックス線殺菌エリア)であり、右側縦軸と横軸と線(A’)と線(B’)とで囲まれた左下の領域は紫外線およびエックス線のいずれでも殺菌がおこなわれる領域(紫外線・エックス線殺菌エリア)である。
同時に紫外線とエックス線とを発生させるのではなく、紫外線とエックス線とを従来の技術を用いて順次発生させ、紫外線で殺菌してその後にエックス線で殺菌する殺菌方法、またはエックス線で殺菌してその後に紫外線で殺菌する殺菌方法、のいずれかを採用することもできる。しかしながら、この順次殺菌の方法では、エックス線発生装置と紫外線発生装置との2種類の装置を用いなければならず、装置の小型化、低価格化、迅速な殺菌、省電力化には限界がある。実施形態の殺菌装置では、紫外線とエックス線の両方を同時に発生することができる紫外線エックス線発生装置を用いて、これによって殺菌をするものである。このようにして、実施形態の殺菌装置では、装置の小型化、低価格化、迅速な殺菌、省電力化を図っている。
「実施形態の殺菌装置および紫外線エックス線発生装置」
図3は、実施形態の紫外線とエックス線とを同時に発生させる紫外線エックス線発生装置を示す図である。図3に示す紫外線エックス線発生装置1では、陽極基板20と側面板22の一方の端面とがフリットガラスで固着され、対向基板21と側面板22の他方の端面とがフリットガラスで固着されている。側面板22は、陽極基板20と対向基板21とが大気圧に耐えて所定間隔を保つようにする柱材として機能する。そして、陽極基板20と対向基板21と側面板22とで囲まれて形成される内部領域に密閉空間18を形成している。密閉空間18は高真空状態に保たれている。
陽極基板20は、紫外線とエックス線の両方を透過する材料によって形成され、その透過方向の厚さは紫外線とエックス線との減衰量を小さくして透過特性を良好とするように十分に薄いものとされるとともに大気圧によって大きく変形することがない厚さを有するようにされている。
上述したようにして陽極基板20と対向基板21と側面板22とは外囲筺体部を構成している。
密閉空間18の内部には、フィラメント10、フィラメント10と対向基板21の間に配置された背面電極11、フィラメント10を挟んで対向基板21の反対側に配置された制御電極12、制御電極12を挟んでフィラメント10の反対側に配置されたシールド電極13、が各々配置されている。シールド電極13は、陽極基板20に配された後述する陽極14と対面して配置されている。
図3には図示しない導電線が、フィラメント10、背面電極11、制御電極12、シールド電極13、後述する陽極(メタルバック)14の各々に接続されて密閉状態を維持しつつ、密閉空間18の内部から外囲筺体部の外部に引き出されている。そして、これらの各々の導電線によって所定の電圧が各々の電極に印加されるようになされている。
フィラメント10は、図3の紙面の表裏方向に延びる線状の形状に形成され、その表面には、電子放射物質として、例えば、Ba、Sr、Caの酸化物が塗布されている。フィラメント10に電流を流し電子放射物質を高温にすることによって熱電子放射をさせる陰極として機能する。
背面電極11は熱電子が制御電極12の方向に向かうように、または、電子の拡散を目的として、フィラメント10に対して電圧が印加される板状の電極である。
制御電極12は、フィラメント10で発生した電子を加速してシールド電極13側に電子を走行させるか、制御電極12とフィラメント10の間に電子を閉じ込めてシールド電極13側に電子を走行させないようにするか、を制御するための電極である。制御電極12は、フィラメント10と同方向に延びる線状のメッシュまたはフィラメント10と同方向に線状に延びる開口部を有する導体板として形成されている。
シールド電極13は、制御電極12で加速した電子をさらに加速して陽極14側に走行させる。シールド電極13は、フィラメント10と同方向に延びる線状のメッシュまたはフィラメント10と同方向に延びる線状の開口部を有する導体板として形成されている。
フィラメント10、背面電極11、制御電極12、シールド電極13、は電子を放出する電子放出部を構成している。図3の太い白抜きの矢印は、電子放出部で発生する電子の放出方向を示すものである。
外囲筺体部の一部である陽極基板20の密閉空間18側の面には電子の衝突によって紫外線とエックス線とを発生させるターゲット材料15が配置され、ターゲット材料15の電子放出部に対向する側の面には陽極14が配置されている。
ターゲット材料15、陽極14は紫外線エックス線放射部を構成している。紫外線エックス線放射部は、上述したように、電子放出部に面して陽極14が配置され、陽極14と陽極基板20との間にターゲット材料15が配置されて形成されている。ここで、陽極基板20は外囲筺体部を構成する部材であるとともに、この陽極基板20の密閉空間の側に、紫外線エックス線放射部を配することができる部材とされている。
陽極14は導電材料で形成され、電子が透過できる程度に薄い箔状または電子が透過できるように多くの細かい孔を有するポーラス状とされている。陽極14には、フィラメント10に対して15kV(キロボルト)以上の電圧であるアノード電圧が印加されている。陽極14に印加されるアノード電圧に応じて、電子の陽極14における速度、すなわち、陽極14に衝突する電子の運動エネルギーの大きさが異なる。アノード電圧が高ければ高いほど電子は加速され電子の運動エネルギーの大きさは大きくなる。運動エネルギーが一定値以上となると電子は陽極14を透過してターゲット材料15に衝突する。
(実施形態の特徴)
実施形態の紫外線エックス線発生装置では、紫外線とエックス線とを発生する性質を有する特定のターゲット材料15を用い、陽極14に印加するアノード電圧の大きさ、陽極基板20の光透過面の材質・厚さを適宜に定めて、紫外線とエックス線とを共に発生させるようにしている。さらに、実施形態の光殺菌装置では、殺菌の対象の菌の性質に応じて、紫外線とエックス線との発生比率を適宜に定めている。上述した実施形態の特徴について以下の実施例によって具体的に説明をする。
図3とともに、図4、図5、図6を参照して紫外線エックス線発生装置の一実施例について説明をする。実施例の紫外線エックス線発生装置1(図3を参照)では、図3に図示するように陽極基板20は、密閉空間18と殺菌対象物が置かれた外部空間とを分離する。紫外線とエックス線とは、陽極基板20を透過して、陽極基板20の外部空間側の表面から所定距離の位置に置かれた殺菌対象物に照射される。
(ターゲット材料)
発明者らは、ターゲット材料15として、アルミン酸亜鉛(ZnAl2O4)、六方晶窒化ホウ素(hBN)、窒化アルミニウム(AlN)、ピロリン酸カルシウム(Ca2P2O7:Pr)を用いて紫外線とエックス線とが同時に得られることを、今までに知られていない新規な知見として得た。つまり、ZnAl2O4、hBN、AlN、Ca2P2O7:Prに電子を衝突させ紫外線を発生することは知られていた。しかしながら、ZnAl2O4、hBN、AlN、Ca2P2O7:Prに電子を衝突させエックス線を発生する現象については、発明者らによって明らかにされる以前は知られていない。
図4は、発明者らが得た知見の内容の一例を示す図である。図4に示すグラフの縦軸は、陽極基板20の外部空間側の表面から距離10mm離れた点における紫外線強度(mw/cm2・sec)とエックス線(X線)強度(kGy/s)とを示し、横軸はアノード電圧(kV)を示す。発明者らは、図3に示す構造の装置において、陽極14に印加するアノード電圧の大きさを変化させて、ターゲット材料15としてのhBNに電子を衝突させ、陽極基板20の材料としては石英を用いて放出される光の種類と光量との関係を測定した。
従来知られていた範囲(紫外線範囲と以下称し、図4のグラフの左側の矢印で示す)は、アノード電圧が10kV未満の範囲であり、この範囲では紫外線のみが発生している。図4の実線で示すグラフは紫外線強度である。アノード電圧が5kVから10kVの範囲ではアノード電圧を大きくするに従って紫外線の光量は大きく増加する。アノード電圧が10kV以上の範囲では紫外線の光量の増加量はアノード電圧に応じて大きく増加することはない。よって、従来は、アノード電圧の最大値は、上述した紫外線範囲を出ない10kV程度までとされていた。
発明者らは、10kVよりもさらにアノード電圧を高くして、アノード電圧が15kV以上の範囲(紫外線エックス線範囲と以下称し、図4のグラフの右側の矢印で示す)において、紫外線とともにエックス線が生じるという従来は知られていない現象を観測した。図4の破線で示すグラフはエックス線線量である。なお、図4では20kVまでを示したが、20kV以上においても紫外線とエックス線がともに発生する範囲である紫外線エックス線範囲が広がることを観測している。
図4に示すグラフを得るに際して用いた、図3に示す各構成部のパラメータ・材料について以下に示す。ターゲット材料15はhBNであり、電子が照射されるターゲット材の面積は2cm2であり、アノード電圧10kVにおけるアノード電流は200μAである。陽極基板20の材料は石英である。なお、エックス線線量測定はアロカ製サーベイメータを用いて行った。
図4の線(1)は、石英の陽極基板20の厚さが500μmの場合の紫外線強度を示し、図4の線(2)は、石英の陽極基板20の厚さが1mm(ミリメートル)の場合の紫外線強度を示す。
図4の線(3)、線(4)、線(5)、線(6)はエックス線強度を示す。線(3)は、石英の陽極基板20の厚さが100μmの場合を示し、線(4)は、石英の陽極基板20の厚さが300μmの場合を示し、線(5)は、石英の陽極基板20の厚さが500μmの場合を示し、線(6)は、石英の陽極基板20の厚さが1mmの場合を示す。
実施例の紫外線エックス線発生装置を殺菌装置として用いる場合に、陽極基板20の外部空間側の表面から殺菌対象物(細菌)の塗布面までの距離(L)は10mmとした。図4に示す縦軸の紫外線強度(mw/cm2・sec)とエックス線(X線)強度(kGy/s)の値は、陽極基板20からの距離が10mm離れた場所における値である。
図4に示される内容につき詳細に説明をする。図4の線(1)、線(2)に示す紫外線強度に関しては、石英の陽極基板20の厚さが500μmと1mmとで大きな異なりはない。また、アノード電圧が10kVから20kVの範囲では、アノード電圧が5kVから10kVの範囲に比べて紫外線強度の大きな変化はない。
図4の線(3)、線(4)、線(5)、線(6)に示すエックス線強度に関しては、石英の陽極基板20の厚さが100μm、300μm、500μm、1mmの順でエックス線強度が大きく異なる。つまり、陽極基板20の厚さが厚くなるほどエックス線強度が小さくなる。また、アノード電圧が15kVを超えると生じるエックス線の強度は、アノード電圧が15kVから20kVの範囲では大きく変化する。なお、図示しないがアノード電圧が20kV以上であってもエックス線強度はアノード電圧に応じて増加する。よって、アノード電圧が15kVを超える紫外線エックス線範囲においては、アノード電圧を大きくするほどエックス線強度と紫外線強度との比率を大きくすることができる。実施例では、紫外線エックス線発生装置1の寿命と熱設計、消費電力の観点から20kVの範囲までとした。
(ターゲット材料によるエックス線線量の異なり)
図5はターゲット材料の異なりによって発生するエックス線線量を示す図である。縦軸はエックス線線量であり、単位はμGy/hである。横軸はアノード電圧であり、単位はkV(キロボルト)である。測定したターゲット材料は、図5の線(1)で示すZnAl2O4、線(2)で示すAlN、線(3)で示すhBNである。
(陽極基板の透過率)
図6は陽極基板20の材質によるエックス線の透過率の違いを示す図である。図6の縦軸は透過率を示す。図6の横軸はエネルギーであり、単位はkeV(キロエレクトロンボルト)である。陽極基板20の材質は、図6の線(1)で示す厚み1.0mmのイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、線(2)で示す厚み1.8mmの石英、線(3)で示す厚み1.0mmのサファイア、線(4)で示す厚み1.0mmの水晶である。
「実施形態の変形例」
(電子放出部の変形例)
電子放出部の構造は実施例に限定されるものではない。例えば、電子放出部はフィラメント、制御電極、シールド電極を用いるものの他に、フィラメントおよび制御電極のみを用いるものであっても良い。また、電子放出部はフィラメントを用いて熱電子放出の原理により電子を発生するのみならず、高電界電子放射の原理により電子を発生するものとしても良い。高電界電子放射をする電子放出部としては、周知技術である、フィールドエミッションデバイス(FED)、カーボンナノチューブ(CNT)を用いる電子放出部とすることができる。
(陽極基板の変形例)
上述した、イットリウム・アルミニウム・ガーネット、石英、サファイア、水晶の各陽極基板の厚みに関しては、いずれについても厚さが薄ければ薄いほど、紫外線およびエックス線の透過率が向上することは公知である。陽極基板を選択するに際しては、強度と透過率の関係を考慮して、陽極基板の材料とその厚さとを適宜に選択することが可能である。また、陽極基板の紫外線およびエックス線が透過する部分にのみ厚さを薄くした上述した材料を用い、陽極基板の紫外線およびエックス線を透過させる必要がない部分は厚さを厚くするかまたは剛性の高い他の材料を用いて、陽極基板全体として大気圧に耐える十分な剛性を得ることができる。
(紫外線エックス線放射部の変形例)
紫外線エックス線放射部のターゲット材料と陽極基板とは、上述した、種々の実施形態の各部を種々に組み合わせることが可能である。例えば、ターゲット材料はZnAl2O4、hBN、AlN、Ca2P2O7:Prのいずれかの一つを用いることができる。陽極基板はイットリウム・アルミニウム・ガーネット、石英、サファイア、水晶のいずれかの一つを用いることができる。
(陽極電圧について)
実施例における紫外線エックス線発生装置において陽極に印加するアノード電圧(下限値)は15kV以上であるとしたが、アノード電圧の値は、紫外線範囲を越えて紫外線エックス線範囲となるような所定の値以上の電子の運動エネルギーを発生させるものであれば良い。実施例とは異なる構造を各部が有する場合にはアノード電圧の下限値は、ターゲット材料に紫外線エックス線範囲において動作させるに必要最小の電子の運動エネルギーを与える電圧であれば良い。また、アノード電圧の上限値は、紫外線エックス線発生装置の寿命と熱設計、消費電力によっておのずと限定されるものである。紫外線エックス線発生装置を殺菌装置として用いる場合には、その上限値は殺菌効果が得られる十分な電圧とすれば良いことは言うまでもない。
1、2 紫外線エックス線発生装置、 10 フィラメント、 11 背面電極、 12 制御電極、 13 シールド電極、 14 陽極、 15 ターゲット材料、 18 密閉空間、 19 導電線、 20 陽極基板、 21 対向基板、 22 側面板

Claims (3)

  1. 陽極基板と対向基板と側面板とによって囲まれた内部に真空の密閉空間を形成する外囲筺体部と、
    前記外囲筺体部の内部に配置される電子放出部と、
    前記陽極基板の前記密閉空間の側に配され、前記電子放出部から放出される電子を衝突させて紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線放射部と、を備え、
    前記紫外線エックス線放射部は、
    前記電子放出部に面して陽極が配置され、該陽極と前記陽極基板との間にターゲット材料が配置されて形成され、
    加速された前記電子が前記ターゲット材料に衝突して紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線範囲で動作するような電圧を前記陽極と前記電子放出部との間に印加し、
    前記陽極基板は、前記エックス線および前記紫外線を透過する部材で形成される、
    紫外線エックス線発生装置。
  2. 前記ターゲット材料は、
    ZnAl2O4、hBN、AlN、Ca2P2O7:Prのいずれかの一つとされ、
    前記陽極に印加される電圧は、前記電子放出部に対して15kV以上で20kV未満である、請求項1に記載の紫外線エックス線発生装置。
  3. 陽極基板と対向基板と側面板とによって囲まれた内部に真空の密閉空間を形成する外囲筺体部と、
    前記外囲筺体部の内部に配置される電子放出部と、
    前記陽極基板の前記密閉空間の側に配され、前記電子放出部から放出される電子を衝突させて紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線放射部と、を備え、
    前記紫外線エックス線放射部は、
    前記電子放出部に面して陽極が配置され、該陽極と前記陽極基板との間にターゲット材料が配置されて形成され、
    加速された前記電子が前記ターゲット材料に衝突して紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線範囲で動作するような電圧を前記陽極と前記電子放出部との間に印加し、
    前記陽極基板は、前記エックス線および前記紫外線を透過する部材で形成される、
    光殺菌装置。
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