JP5167475B2 - 光殺菌装置および紫外線エックス線発生装置 - Google Patents
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Description
(光殺菌に必要な単一波長帯の光量)
図1は、単一波長帯の光を用いる場合の殺菌に必要な必要光量を示す図である。図1では、単一波長帯の光として、紫外線、ガンマ線、エックス線について示す。また、必要光量とは、菌の99.99%を殺菌できる光量を言う。ガンマ線とエックス線とは、波長帯は共通するが、発生原理によって通常は区別される。以下では、ガンマ線とエックス線とを代表するものとしてエックス線の用語を用いて説明をする。また、以下では、通常用いられる用語に従い、エックス線の光量はエックス線線量と称し、紫外線の光量は紫外線光量と称する。図1の縦軸はエックス線線量を示し、単位はkGy(キログレイ)である。図1の横軸は紫外線光量を示し、単位はmW/cm2(ミリワット/平方センチメートル)である。
図2は実施形態の殺菌の原理を示す図である。図2に示すように、紫外線とエックス線の両方を用いて、紫外線で殺菌すると効率的である菌(他の菌よりも小さい光量で殺菌ができる菌)に対しては紫外線を照射して殺菌し、エックス線で殺菌すると効率的である菌(他の菌よりも小さい線量で殺菌ができる菌)に対してはエックス線を照射して殺菌するのが実施形態の原理である。なお、図2の破線(A)はエックス線のみを用いた場合の線量を示し、図2の破線(B)は紫外線のみを用いた場合の光量を示すものである(図1を参照)。図2の線(A’)、線(B’)から見てとれるように、エックス線線量を例えば、2kGy付近とし、紫外線光量を例えば、200mw/cm2付近とすれば効率良く、図1に示すと同じ種類の菌を殺菌できる。図2に示すように、殺菌のために必要とされるエックス線線量は50kGy付近から2kGy付近と約1/25に低減し、殺菌のために必要とされる紫外線光量は900mW/cm2付近から200mw/cm2付近と約1/4.5に低減している。ここで、エックス線線量と紫外線光量とをどのような比率で割り振るかについては、適宜に定め得るものである。
(光殺菌装置および紫外線エックス線発生装置の構成の概略)
図3は、実施形態の紫外線とエックス線とを同時に発生させる紫外線エックス線発生装置を示す図である。図3(a)は紫外線とエックス線の放出方向の断面図を示し、図3(b)は一部拡大図を示す。
実施形態の紫外線エックス線発生装置では、エックス線放出用材料19に電子を衝突させてエックス線(図3(a)、図3(b)の破線白抜き矢印を参照)を放出させるとともに陽極14を透過した電子を紫外線発光用蛍光体17に衝突させて紫外線(図3(a)、図3(b)の実線黒塗り矢印を参照)を放出させて、紫外線とエックス線とを発生させるようにしている。また、陽極基板20は、紫外線とエックス線とを透過するように、その材料と厚さが選択されている。
陽極14は、導電材料であり、薄くした場合に電子を透過させる材料であれば、広範囲のものが使用可能である。例えば、アルミニウム(Al)を用いることができる。
(電子放出部)
電子放出部の構造は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、電子放出部はフィラメント、制御電極、シールド電極を用いるものの他に、フィラメントおよび制御電極のみを用いるものであっても良い。また、電子放出部はフィラメントを用いて熱電子放出の原理により電子を発生するのみならず、高電界電子放射の原理により電子を発生するものとしても良い。高電界電子放射をする電子放出部としては、周知技術である、フィールドエミッションデバイス(FED)、カーボンナノチューブ(CNT)を用いる電子放出部とすることができる。
上述した、イットリウム・アルミニウム・ガーネット、石英、サファイア、水晶の各陽極基板の厚みに関しては、いずれについても厚さが薄ければ薄い程、紫外線およびエックス線の透過率が向上することは公知である。陽極基板を選択するに際しては、強度と透過率の関係を考慮して、陽極基板の材料とその厚さとを適宜に選択することが可能である。また、陽極基板の紫外線およびエックス線が透過する部分にのみ厚さを薄くした上述した材料を用い、陽極基板の紫外線およびエックス線を透過させる必要がない部分は厚さを厚くするかまたは剛性の高い他の材料を用いて、陽極基板全体として大気圧に耐える十分な剛性を得ることができる。
エックス線放出用材料としては上述した材料に限ることなく公知の種々の材料を用いることが可能であり、紫外線発光用蛍光体としては上述した材料に限ることなく公知の種々の材料を用いることが可能である。また、陽極に関してもメタルバックとして機能する公知の種々の材料を用いることが可能である。そして、紫外線エックス線放射部は、公知のエックス線放出用材料、公知の紫外線発光用蛍光体、公知のメタルバック材、公知の陽極基板の材料を任意に組み合わせて構成することができる。そして、このときに発生するエックス線のエネルギーに応じて、十分な透過率を確保できるように陽極基板の厚さを選択するようにして効率的に紫外線とエックス線を同時に放出するように構成することができる。
Claims (3)
- 陽極基板と対向基板と側面板とによって囲まれた内部に真空の密閉空間を形成する外囲筺体部と、
前記外囲筺体部の内部に配置される電子放出部と、
前記陽極基板の前記密閉空間の側に配され、前記電子放出部から放出される電子を衝突させて紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線放射部と、を備え、
前記紫外線エックス線放射部は、
前記電子放出部に面してエックス線放出用材料が配置され、前記陽極基板に面して紫外線発光用蛍光体が配置され、該エックス線放出用材料、陽極、該紫外線発光用蛍光体の順に積層されて形成され、
前記陽極に前記電子放出部に対して正の電圧が印加されて加速された前記電子が前記エックス線放出用材料に衝突して透過してエックス線を発生させ、前記陽極を透過した前記電子が前記紫外線発光用蛍光体に衝突して紫外線を発生させ、
前記陽極基板は、前記エックス線および前記紫外線を透過する部材で形成される、
紫外線エックス線発生装置。 - 前記紫外線エックス線放射部は、
前記陽極は箔状の導体で形成され、
前記陽極の一面に対して蒸着法またはスパッタリング法により前記エックス線放出用材料が配置され、
前記陽極の他の面に対して塗布により前記紫外線発光用蛍光体が配置される、請求項1に記載の紫外線エックス線発生装置。 - 陽極基板と対向基板と側面板とによって囲まれた内部に真空の密閉空間を形成する外囲筺体部と、
前記外囲筺体部の内部に配置される電子放出部と、
前記陽極基板の前記密閉空間の側に配され、前記電子放出部から放出される電子を衝突させて紫外線とエックス線とを発生させる紫外線エックス線放射部と、を備え、
前記紫外線エックス線放射部は、
前記電子放出部に面してエックス線放出用材料が配置され、前記陽極基板に面して紫外線発光用蛍光体が配置され、該エックス線放出用材料、陽極、該紫外線発光用蛍光体の順に積層されて形成され、
前記陽極に前記電子放出部に対して正の電圧が印加されて加速された前記電子が前記エックス線放出用材料に衝突して透過してエックス線を発生させ、前記陽極を透過した前記電子が前記紫外線発光用蛍光体に衝突して紫外線を発生させ、
前記陽極基板は、前記エックス線および前記紫外線を透過する部材で形成される、
光殺菌装置。
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