JP2012137502A - 複屈折特性を有する部材の検査方法および複屈折特性を有する部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前記被検査部材の光学補償層の複屈折特性を相殺する補正部材を用い、かつ、ラインセンサを用い、このラインセンサを、前記被検査部材の搬送方向に対して受光素子列を傾斜して配置することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図3
Description
例えば、本出願人にかかる特許文献1では、光学異方素子及びその製造方法が提案されている。それによると、液晶表示装置の液晶セルの液晶分子は、電圧印加時、液晶表示装置の基板の法線方向から若干傾くので、液晶表示装置はこの法線方向から若干傾いた方向に光軸を持つ正の一軸光学異方素子とみなすことができる。そのため、この傾きに合わせて負の一軸光学異方素子の光学軸を若干傾け、液晶セルによる位相差を光学異方素子の位相差で補償することによって、視角依存性のない良好な液晶表示装置を得ることができる。そして、本出願人から液晶用視野角改善フィルムが市販されている。
このような欠陥部分は、複雑な製造工程を経て得られる上記液晶用視野角改善の製造ラインにおいて、漏れなくしかも精度よく検出され、このような欠陥部分を有する液晶用視野角改善フィルムを市場に提供しないことが望まれている。
このような問題は、液晶視野角改善フィルムのみならず、複屈折率を利用する位相差膜全体に共通する問題である。
被検査部材は、複屈折特性を有する光学補償層が形成されてなるものであり、
第1の偏光子および第2の偏光子は、第1の偏光子の偏光透過軸が被検査部材の遅相軸と平行で、かつ、互いの偏光透過軸がクロスニコルとなるように第1の偏光子と第2の偏光子とを配置した状態から、第1の偏光子または第2の偏光子の偏光透過軸と、被検査部材の遅相軸との交差角を変更するように、第1の偏光子または第2の偏光子を回転した状態として配置されるものであり、
さらに、被検査部材の光学補償層の複屈折特性を相殺する補正部材を、第1の偏光子と被検査部材との間または第2の偏光子と被検査部材との間に配置した状態として、
被検査部材を搬送しつつ、照明光源から前記第1の偏光子および第2の偏光子のいずれかに投光し、光を投光された偏光子、補正部材、搬送される被検査部材、および他方の偏光子を透過した光を受光素子によって受光することにより、被検査部材の光学的欠陥を検査するものであり、
かつ、受光素子としてラインセンサを用い、このラインセンサを、被検査部材の搬送方向に対して受光素子列を傾斜して配置することを特徴とする複屈折特性を有する部材の検査方法を提供する。
また、複屈折特性を有する部材が液晶表示装置用部材であるのが好ましい。
さらに、少なくとも、支持体の上に液晶を塗布する工程、塗布した液晶を乾燥する工程、および、乾燥した液晶膜を配向する工程を行って、液晶用視野角改善フィルムを製造するものであるのが好ましい。
さらに、一対の偏光子の偏光透過軸の向きを変えることによって、製造工程中に生じるすべての光学的欠陥を漏れることなく精度よく検出することができる。特に、液晶表示装置等に用いる視野角改善フィルムの製造過程において、異物の混入や配向ムラや段ムラ等に起因する欠陥の検出を連続的に漏れなく行うことができ、製造工程でのインライン全数検査において有効である。特に、段ムラは、輝度信号の輝度信号値によって検出できるので、微分処理や画像処理を用いて、段ムラの発生周期や段ムラの強度を定量化することができる。
図1は、複屈折特性を有する部材の検査方法に対応する、フィルムの欠陥検査装置の好適実施例である視野角改善フィルムの欠陥を検出するフィルム欠陥検査装置10の概略の構成を示す。
フィルム欠陥検査装置10は、照明光源12と、被検査フィルムFを両面から挟む偏光子14aおよび偏光子14bからなる一対の偏光子14と、液晶補正フィルム16と、光学系18と、CCDカメラ20とを主に有して構成される。
偏光子14bは、偏光子14aとクロスニコルの状態(偏光子14aの偏光透過光軸と偏光子14bとの偏光透過光軸を直交させた状態)で被検査フィルムFのフィルム面に平行に配置され、被検査フィルムFおよび後述する液晶補正フィルム16を透過した透過光Lの一部分、すなわち、偏光子14bの偏光透過光軸方向の透過光Lの成分を透過させる部位である。
偏光子14aおよび14bともに公知の偏光子が用いられる。
このように被検査フィルムFと同一の複屈折特性を備える液晶補正フィルム16をフィルム面内で180度回転し、あるいはフィルム面を表裏反転して用いるのは、以下の理由によるためである。
すなわち、被検査フィルムFは、所定の複屈折特性を持つように作られるため、液晶補正フィルム16がない場合、CCDカメラ20によって得られる輝度信号は、CCDカメラ20の受光素子の受光位置に依存する視角依存性を持つので、正常なフィルム面の輝度信号は一様なレベルの信号とならず、そのため、正常なフィルム面の輝度信号から欠陥部分を検出する検出精度が低下する。そのため、正常なフィルム面の輝度信号が、受光位置によらず一定レベルとなるように、すなわち輝度信号のレベルが一様になるように液晶補正フィルム16を用いて輝度信号を補正するのである。
欠陥検査装置30は、照明光源32から投光され偏光子34a、被検査フィルムFおよび偏光子34bを通過した透過光を、ラインセンサを受光面とするCCDカメラ36で受光して輝度信号を得るが、輝度信号は図2(b)に示される様に正常なフィルム面の輝度信号Gのレベルが図中右方向に傾斜する視角依存性を持つ。そのため、正常な輝度信号Gに乗る欠陥部分の輝度信号NのSN比が低く、欠陥検出精度が低い。
一方、本発明における液晶補正フィルムを用いる欠陥検査装置の一例である欠陥検査装置40(図2(c)参照)は、照明光源42から投光され偏光子44a、被検査フィルムF、液晶補正フィルム46(液晶補正フィルム16に対応)および偏光子44bを通過した透過光を、ラインセンサを受光面とするCCDカメラ48で受光して輝度信号を得るものであるが、液晶補正フィルム46を用いることによって、一様なレベル(勿論ノイズ成分を含んでいる)にある正常なフィルム部分の輝度信号G’上に欠陥部分の輝度信号N’が乗る輝度信号が得られる(図2(d)参照)。これによって、輝度信号Gから欠陥部分をシェーディング補正することなく検出することができる。
また、液晶補正フィルム16は、偏光子14aまたは14bに貼り合わせたものであってもよい。また、フィルム欠陥検査装置10では、液晶補正フィルム16を被検査フィルムFと偏光子14bとの間に配置するものであるが、偏光子14aと被検査フィルムFとの間に配置するものであってもよい。
しかし、被検査フィルムFが長尺物であって、被検査フィルムFが、搬送中にフィルム欠陥検査装置10によって検査される場合、CCDカメラ20の固体撮像素子を、被検査フィルムFの搬送方向と直交する方向に対して傾斜して配列するのが好ましい。
ここで、CCDカメラ20は、固体撮像素子が一列に並んだラインセンサで、被検査フィルムFの搬送方向と直交する方向に対して45度の傾斜が付くように、CCDカメラ20が配置されている。すなわち、CCDカメラ20の固体撮像素子は、被検査フィルムFの搬送方向と直交する方向に対して45度傾斜して一列に配列される。このようなCCDカメラ20の配置により、可撓性支持体上に液晶を塗布する被検査フィルムFの作製工程中の塗装むらによって生じる段ムラF1〜F5が搬送方向と直交する方向に発生しても、欠陥検出装置22に送られる輝度信号A(図3参照)は、段ムラF2〜F5に対応して輝度信号値が変化する。欠陥検出装置22は、この輝度信号Aを微分処理回路で微分処理して、輝度信号の変化を求め微分処理輝度信号Bを得る。これによって、欠陥を強調し、微分処理輝度信号Bの信号値と閾値との比較から容易に欠陥を検出することができる。このような処理輝度信号Aあるいは微分処理輝度信号Bは、被検査フィルムFの搬送方向が画面上で水平あるいは垂直となるように、画像の回転処理が施されて、モニタに画面Cが表示される。
図3の例では、固体撮像素子の配列方向は、被検査フィルムFの搬送方向と直交する方向に対して45度傾斜するが、本発明においては、この傾斜角度は限定されない。しかし、図示されないモニタ画面上で搬送方向を水平方向あるいは垂直方向にして画面表示する場合を考慮して、画像の回転処理を施し易いように、傾斜角度を45度とするのが好ましい。
フィルム欠陥検査装置10および欠陥検出装置22は以上の様に構成される。
また、液晶補正フィルム16の作用により、CCDカメラ20で得られる輝度信号は、視角依存性を持たない一様なレベルの信号となる。なお、本発明では、被検査フィルムFの複屈折特性によって光が楕円偏光するのを、液晶補正フィルム16の複屈折特性によって直線偏光に戻す訳でなく、つまり、被検査フィルムFの複屈折率の異方性を液晶補正フィルム16の複屈折率の異方性を用いて補償する訳でなく、被検査フィルムFの複屈折特性によってできるCCDカメラの視覚依存性、すなわち、受光素子の受光位置によって輝度信号の値が変化する視角依存性を、液晶補正フィルム16の複屈折特性を利用して補正することによって、輝度信号を一様なレベルに保たせるものである。
このような輝度信号は、欠陥検出装置22に送られ、微分処理や空間フィルタ処理が施され、一様なレベルの輝度信号の中からノイズ成分と区別して欠陥部分の輝度信号を識別して検出する種々の検出回路に送られ、輝度信号から欠陥検出が行われる。
フィルム欠陥検査システム50は、本発明に係るフィルムの欠陥検査装置の構成を備えるフィルム欠陥検査装置58、60および62および欠陥検出装置64を備える。ここで、検査の対象である被検査フィルムFは、可撓性支持体上に液晶を塗布し乾燥し、さらに配向し、膜を硬化する各種工程を経て製造されたものである。
フィルム欠陥検査システム50は、製造された被検査フィルムFを巻き取りロール52から、ローラ56a〜56jを介し、巻き取りロール54に最終的に連続搬送する搬送路中に、フィルム欠陥検査装置58、60および62を配置したシステムで、フィルム欠陥検査装置58、60および62の各々によって輝度信号を得、この輝度信号を欠陥検出装置64に送り、欠陥検出を行うものである。
ここで、偏光子58bと偏光子58dはクロスニコルに偏光透過光軸が配置されると共に、偏光子58bまたは偏光子58dの偏光透過光軸の一方は、搬送方向と平行に配置される。すなわち、一対の偏光子の偏光透過軸の搬送方向に対する交差角(搬送方向に対する交差角とは、一対の偏光子のうちどちらか一方の偏光子の偏光透過光軸の搬送方向に対する交差角をいう)は、略0度に設定される。ここで略0度とは、被検査フィルムFの複屈折特性によってその許容範囲は異なるが、例えば±2〜3度以内をいう。
また、フィルム欠陥検査装置60には、光学系18が含まれない。また、偏光子60bと偏光子60dはクロスニコルに偏光透過光軸が配置されると共に、偏光子60bまたは偏光子60dの偏光透過光軸の一方は、搬送方向に対して僅かに傾き、例えば、5度以上15度以下の範囲に傾斜して配置される。すなわち、一対の偏光子の偏光透過軸の搬送方向に対する交差角は、例えば5度以上15度以下、好ましくは、例えば略10度に設定される。
なお、フィルム欠陥検査装置62には、光学系18が含まれない。また、偏光子62bと偏光子62dはクロスニコルに偏光透過光軸が配置されると共に、偏光子62bまたは偏光子62dの偏光透過光軸の一方は、搬送方向に対して略45度程度、例えば35度以上45度以下の範囲に傾斜して配置される。すなわち、一対の偏光子の偏光透過軸の搬送方向に対する交差角は、例えば35度以上45度以下、好ましくは、例えば略45度に設定される。
図6には、フィルム欠陥検査装置10において、被検査フィルムFのレターデーション値が22nmである時の、一対の偏光子14の偏光透過軸と被検査フィルムFの遅相軸との交差角(遅相軸との交差角は、一対の偏光子のうちのどちらか一方の偏光子の偏光透過軸と被検査フィルムFの遅相軸の交差角をいう)に対して、一方の偏光子に入射される光量に対する他方の偏光子から透過する透過光量の比率(透過光量比)がどのように変化するかを示したものである。
図6に示す遅相軸と偏光子14の偏光透過軸の交差角が小さい場合、透過光量比が元々小さいため、上記位相差欠陥によるレターデーション値の変化に対応して透過光量比は大きく変化しない。一方、上記交差角が大きい場合、図7に上記交差角が45度の場合のレターデーション値に対する透過光量比の変化が示されているように、透過光量自体が多いため、レターデーション値に対する透過光量比の変化が大きい。
そのため、レターデーション値の変化する位相差欠陥の場合は、上記交差角を大きく、例えば35度以上45度以下、好ましくは例えば45度に設定することによって、レターデーション値の変化に対する透過光量比を大きく変化させることができ、位相差欠陥部分における輝度信号の変化を増幅し、SN比を向上させて位相差欠陥の検出の精度を高めることができる。上述した様に好ましい交差角の態様は45度であるが、この理由は、偏光子14がクロスニコルに配置されているため、交差角45度において透過光量比が最大となり、この交差角でのレターデーション値に対する透過光量比の変化が最大になるからである。
なお、本発明において、被検査フィルムFの複屈折特性によっては、上記交差角を35度以上45度以下に限定する必要はなく、図6に示される様な交差角に対する透過光量比の曲線に応じて、交差角を適宜設定するとよい。
すなわち、フィルム欠陥検査装置58では、大きな配向欠陥を精度よく検出できる様に、被検査フィルムFの遅相軸と偏光子58bまたは58dの偏光透過光軸の交差角を略0度、即ち略平行に設定するために、偏光子58bまたは58dの偏光透過光軸を搬送方向に対して略0度、即ち略平行に配置する。
これによって、欠陥検査装置58は、大きな配向欠陥を精度よく検出できる輝度信号を得ることができる他、さらに、遅相軸の方向が様々に変動しレターデーション値も様々に変動する異物混入による欠陥も精度よく検出できる輝度信号を得ることができる。
欠陥検査システム50では、欠陥検査装置の一対の偏光子の偏光透過光軸を搬送方向に対して略0度、略10度および略45度に交差して3台の欠陥検査装置を配置するが、本発明の欠陥検査システムでは、台数に限定はなく、また、交差角度も限定されず、被検査フィルムFの遅相軸の向きやレターデーション値等の複屈折特性に応じて、上記交差角を種々変化すればよい。
12,32,42,58a,60a,62a 照明光源
14 一対の偏光子
14a,14b,34a,34b,44a、44b,58c,60c,62c 偏光子
16,46,58c,60c,62c 液晶補正フィルム
18,58e 光学系
20,36,48,58f,60e,62e CCDカメラ
22,64 欠陥検出装置
Claims (6)
- 複屈折特性を有する被検査部材を第1の偏光子および第2の偏光子の間に配置し、照明光源から投光し、前記第1の偏光子および第2の偏光子と被検査部材とを透過した光を受光することによって、前記被検査部材の光学的欠陥を検査する部材の検査方法において、
前記被検査部材は、複屈折特性を有する光学補償層が形成されてなるものであり、
前記第1の偏光子および第2の偏光子は、前記第1の偏光子の偏光透過軸が前記被検査部材の遅相軸と平行で、かつ、互いの偏光透過軸がクロスニコルとなるように前記第1の偏光子と第2の偏光子とを配置した状態から、前記第1の偏光子または第2の偏光子の偏光透過軸と、前記被検査部材の遅相軸との交差角を変更するように、前記第1の偏光子または第2の偏光子を回転した状態として配置されるものであり、
さらに、前記被検査部材の光学補償層の複屈折特性を相殺する補正部材を、前記第1の偏光子と前記被検査部材との間または前記第2の偏光子と前記被検査部材との間に配置した状態として、
前記被検査部材を搬送しつつ、前記照明光源から前記第1の偏光子および第2の偏光子のいずれかに投光し、前記光を投光された偏光子、前記補正部材、搬送される被検査部材、および他方の偏光子を透過した光を受光素子によって受光することにより、前記被検査部材の光学的欠陥を検査するものであり、
かつ、前記受光素子としてラインセンサを用い、このラインセンサを、前記被検査部材の搬送方向に対して受光素子列を傾斜して配置することを特徴とする複屈折特性を有する部材の検査方法。 - 複屈折特性を有する光学補償層が形成された部材の製造方法であって、
前記部材を連続搬送し、かつ、請求項1に記載の検査方法による複屈折特性を有する部材の検査工程を製造工程中に含むことを特徴とする複屈折特性を有する部材の製造方法。 - 可撓性支持体上に液晶を塗布する工程、塗布した液晶を乾燥する工程、乾燥した液晶を配向する工程、配向した液晶膜を硬化する工程、および、請求項1に記載の検査方法による複屈折特性を有する部材の検査工程を、連続的に行なうことを特徴とする複屈折特性を有する部材の製造方法。
- 前記複屈折特性を有する部材が視野角改善用部材である請求項2または3に記載の複屈折特性を有する部材の製造方法。
- 前記複屈折特性を有する部材が液晶表示装置用部材である請求項2または3に記載の複屈折特性を有する部材の製造方法。
- 少なくとも、支持体の上に液晶を塗布する工程、塗布した液晶を乾燥する工程、および、乾燥した液晶膜を配向する工程を行って、液晶用視野角改善フィルムを製造するものである請求項2または3に記載の複屈折特性を有する部材の製造方法。
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