JP2012137032A - 建設機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性材料により形成された中間シュラウドが摩耗、損傷することを防止でき、冷却効率の確保、信頼性の向上を図ることができる建設機械を提供する。
【解決手段】熱交換器側シュラウド23に熱交換器側係合突起26を設けると共に、中間シュラウド25に中間シュラウド側係合突起27を設ける。油圧ショベル1の稼働時におけるエンジン8の振動、揺動に伴って、中間シュラウド25が熱交換器側シュラウド23に対し周方向に変位する傾向になっても、中間シュラウド側係合突起27と熱交換器側係合突起26とが周方向に当接する。これにより、中間シュラウド25の周方向の変位が阻止され、中間シュラウド25の摩耗、損傷を防止することができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、例えば油圧ショベル、ホイルローダ等の建設機械に関し、特に、冷却風の流れを整えるシュラウドを備えた建設機械に関する。
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能なクローラ式の下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とにより車体が構成され、上部旋回体の前部側には、作業装置が俯仰動可能に設けられている。そして、油圧ショベルは、上部旋回体を旋回させつつ作業装置を用いて土砂の掘削作業等を行うものである。
ここで、油圧ショベルの上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの後端側に設けられ作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に位置して旋回フレームに搭載された原動機としてのエンジンと、該エンジンの近傍に設けられ加熱された液体を冷却する熱交換器と、該熱交換器に対面して配置されエンジンを動力源として回転することにより熱交換器に冷却風を供給する冷却ファンとを備えて構成されている。
この場合、熱交換器は、エンジンの冷却水を冷却するラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ等により構成され、エンジンの作動時に冷却ファンが回転することにより、熱交換器に向けて冷却風が供給され、冷却水、作動油等の冷却すべき液体を冷却することができる構成となっている。
一方、熱交換器に冷却風を供給する冷却ファンの外周側には、これら冷却ファンと熱交換器との間に冷却風通路を形成するシュラウドが設けられている。このようなシュラウドは、例えば、熱交換器側に設けられ開口部を有する熱交換器側シュラウドと、冷却ファン側に設けられ該冷却ファンを外周側から取囲む筒状のファン側シュラウド(エンジン側シュラウド)と、熱交換器側シュラウドとファン側シュラウドとの間に設けられ冷却風通路を画成する筒状の中間シュラウド(筒形ラバー)とにより大略構成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−212955号公報
従来技術によれば、筒状の中間シュラウドの両端部は、熱交換器側シュラウドの外周面とファン側シュラウドの外周面とに嵌合すると共に、その外周側に締結帯を巻き付けることにより、熱交換器側シュラウドとファン側シュラウドとに固定する構成となっている。このような構成の場合、例えば長期間の使用等に伴って締結帯の拘束力が低下した場合等に、次のような問題を生じる虞がある。
即ち、旋回フレームに防振マウントを介して取付けられたエンジンは、建設機械の走行や掘削作業等に伴って、旋回フレームに対し振動、揺動する。このとき、例えば締結帯の拘束力が低下していると、例えば中間シュラウドが熱交換器側シュラウドに対して周方向に変位(回転)し、中間シュラウドの端部内周面と熱交換器側シュラウドの端部外周面とが擦れ合う虞がある。これにより、中間シュラウドの端部内周面が摩耗、損傷し、当該部位から冷却風が漏れ、冷却効率が低下するという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、中間シュラウドの摩耗、損傷を防止でき、冷却効率の確保、信頼性の向上を図ることができる建設機械を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するため本発明は、原動機が搭載され自走可能な車体と、該車体に設けられ加熱された液体を冷却する熱交換器と、該熱交換器に対面して配置され該熱交換器に冷却風を供給する冷却ファンと、該冷却ファンと前記熱交換器との間に冷却風通路を形成するシュラウドとを備え、該シュラウドは、前記熱交換器側に設けられ開口部を有する熱交換器側シュラウドと、前記冷却ファン側に設けられ該冷却ファンを外周側から取囲む筒状のファン側シュラウドと、前記熱交換器側シュラウドと前記ファン側シュラウドとの間に設けられ前記冷却風通路を画成する筒状の中間シュラウドとにより構成してなる建設機械に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記熱交換器側シュラウドの開口部には、熱交換器側係合部を設け、前記中間シュラウドのうち前記熱交換器側係合部と対応する部位には、中間シュラウド側係合部を設け、前記熱交換器側係合部と中間シュラウド側係合部が係合することにより前記中間シュラウドが前記熱交換器側シュラウドに対して周方向に変位するのを阻止する構成としたことにある。
請求項2の発明は、前記熱交換器側シュラウドは、前記中間シュラウド側に突出する筒状の取付筒部を有し、前記中間シュラウドは、前記取付筒部の外周側に取付けられる筒状の取付部を有し、前記熱交換器側係合部は、前記取付筒部の外周側に設けられる熱交換器側係合突起からなり、前記中間シュラウド側係合部は、前記取付部に設けられ前記熱交換器側係合突起と周方向に当接する中間シュラウド側係合突起からなる構成としたことにある。
請求項3の発明は、前記熱交換器側シュラウドは、前記中間シュラウド側に突出する筒状の取付筒部を有し、前記中間シュラウドは、前記取付筒部の外周側に取付けられる筒状の取付部を有し、前記熱交換器側係合部は、前記取付筒部に設けられる切欠き溝からなり、前記中間シュラウド側係合部は、前記取付部に設けられ前記切欠き溝内に挿嵌される係合突起からなる構成としたことにある。
請求項1の発明によれば、熱交換器側シュラウドに熱交換器側係合部を設けると共に中間シュラウドに中間シュラウド側係合部を設ける構成としているので、建設機械の走行、掘削作業等に伴ってエンジンが振動、揺動し、中間シュラウドが熱交換器側シュラウドに対して周方向に変位する傾向になっても、この変位を中間シュラウド側係合部と熱交換器側係合部との係合により阻止することができる。これにより、中間シュラウドの端部内周面が、熱交換器側シュラウドの端部外周面と擦れ合うことを防止でき、中間シュラウドの摩耗、損傷による冷却風の漏れを防止することができる。この結果、冷却効率の確保、信頼性の向上を図ることができる。
請求項2の発明によれば、熱交換器側係合部を熱交換器側係合突起により構成し、中間シュラウド側係合部を中間シュラウド側係合突起により構成している。このため、中間シュラウドが熱交換器側シュラウドに対して周方向に変位する傾向になっても、中間シュラウド側係合突起と熱交換器側係合突起とが周方向に当接することにより、中間シュラウドの周方向の変位が阻止される。これにより、中間シュラウドの摩耗、損傷による冷却風の漏れを防止でき、冷却効率の確保、信頼性の向上を図ることができる。
請求項3の発明によれば、熱交換器側係合部を切欠き溝により構成し、中間シュラウド側係合部を係合突起により構成している。このため、中間シュラウドが熱交換器側シュラウドに対して周方向に変位する傾向になっても、係合突起が切欠き溝内でその変位が阻止されることにより、中間シュラウドの周方向の変位が阻止される。これにより、中間シュラウドの摩耗、損傷による冷却風の漏れを防止でき、冷却効率の確保、信頼性の向上を図ることができる。
本発明の第1の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。 エンジン、熱交換器ユニット、冷却ファン、シュラウド等を示す図1中の矢示II−II方向からみた断面図である。 エンジン、熱交換器ユニット、冷却ファン、シュラウド等を示す図2中の(III)部の拡大断面図である。 エンジン、熱交換器ユニット、冷却ファン、シュラウド等を示す斜視図である。 シュラウド等を中間シュラウドを切断した状態で示す図4中の(V)部に相当する斜視図である。 熱交換器ユニットと中間シュラウドとを示す分解斜視図である。 中間シュラウドを単体で示す切断斜視図である。 冷却ファン、シュラウド等を示す図3中の(VIII)部の拡大断面図である。 本発明の第2の実施の形態によるシュラウド等を示す図5と同様な斜視図である。 熱交換器ユニットを示す斜視図である。 中間シュラウドを単体で示す図7と同様な切断斜視図である。 冷却ファン、シュラウド等を示す図8と同様な拡大断面図である。
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は建設機械としての油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより車体が構成されている。そして、上部旋回体3の前部側には、作業装置4が俯仰動可能に設けられ、この作業装置4によって土砂の掘削作業等を行うものである。
ここで、上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、キャブ6、カウンタウエイト7、エンジン8、建屋カバー10、熱交換器ユニット11、冷却ファン18、シュラウド21等により構成されている。
5は上部旋回体3を構成する旋回フレームで、該旋回フレーム5は支持構造体として形成されている。そして、旋回フレーム5は、図2および図4等に示すように、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左センタビーム5B,右センタビーム5Cと、該各センタビーム5B,5Cの左,右に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム5D,右サイドフレーム5Eと、底板5Aおよびセンタビーム5B,5Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム5D,5Eを支持する複数本の張出しビーム5Fと、底板5Aとサイドフレーム5D,5Eとの間に設けられた複数枚のアンダカバー5Gとにより大略構成されている。そして、各センタビーム5B,5Cの前側には作業装置4が俯仰動可能に取付けられている。
旋回フレーム5には、その左後部に位置して前,後方向に延びる取付ブラケット5Hが設けられ、該取付ブラケット5Hは、図2および図3等に示すように、後述する熱交換器ユニット11の下側ブラケット14等が取付けられるものである。ここで、取付ブラケット5Hは、例えば断面コ字状の鋼材からなり、その端部が前,後に位置する張出しビーム5Fに溶接手段等を用いて固着されている。
6は旋回フレーム5の左前側に搭載されたキャブ(図1参照)で、該キャブ6は、オペレータが搭乗するものである。また、キャブ6の内部には、オペレータが着座する運転席、各種操作レバー、空調装置の室内機等(いずれも図示せず)が配設されている。
7は旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイト(図1参照)で、該カウンタウエイト7は、重量物として形成され、作業装置4との重量バランスをとるものである。
8はカウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載された原動機としてのエンジンを示している。ここで、エンジン8は、クランク軸8Aの軸線が左,右方向に延びる横置き状態で配置され、例えばその四隅が旋回フレーム5に防振マウント8Bを介して取付けられている。また、エンジン8は、エンジン冷却水が循環するウォータジャケット(図示せず)を有し、該ウォータジャケットは冷却水の熱を放出する後述のラジエータ15Aに接続されている。
エンジン8のクランク軸8Aの端部には、駆動プーリ8Cが取付けられている。該駆動プーリ8Cの回転は、Vベルトと呼ばれる無端ベルト8Dを介して従動プーリ8Eに伝達され、該従動プーリ8Eに取付けられた後述の冷却ファン18が回転する構成となっている。
エンジン8の左側(冷却ファン18側)には、後述のファン側シュラウド24が複数(例えば3個)のブラケット8Fを介して取付けられている。また、各ブラケット8Fには、冷却ファン18への巻き込みを防止するためのファンガード8G(図4参照)が取付けられている。
9はエンジン8の右側に取付けられた油圧ポンプを示し、該油圧ポンプ9は、エンジン8によって駆動されることにより、作業装置4等に向け作動油を圧油として吐出するものである。また、作業装置4等から戻される作動油は、後述のオイルクーラ15Bを流通することにより冷却することができる。
10はキャブ6とカウンタウエイト7との間に位置して旋回フレーム5上に設けられた建屋カバーを示している。この建屋カバー10は、図1および図2等に示すように、旋回フレーム5の左,右両側に位置して前,後方向に延びた左,右の側面板10A,10Bと、該各側面板10A,10Bの上端部間を水平方向に延びた上面板10Cと、該上面板10Cの開口部10C1を覆うエンジンカバー10Dとにより大略構成されている。また、建屋カバー10の左側面板10Aには、後述の熱交換器15に供給する冷却風Fを流入させる流入口10Eが形成され、右側面板10Bには、エンジン8等を通過した冷却風Fを外部に流出させる流出口10Fが形成されている。
11はエンジン8の左側に後述の冷却ファン18に対面して設けられた熱交換器ユニットで、該熱交換器ユニット11は、後述の支持枠体12、上側ブラケット13、下側ブラケット14、熱交換器15等により構成されている。
12は熱交換器ユニット11の枠構造をなす支持枠体で、該支持枠体12は、後述の熱交換器15を旋回フレーム5の左後部に配設すると共に後述の熱交換器側シュラウド23を構成するものである。ここで、支持枠体12は、図2、図4および図6等に示すように、上部旋回体3の前,後方向に所定の間隔をもって平行に対面する側面板12A,12Bと、該各側面板12A,12Bの上部を連結するように前,後方向に延び、熱交換器15の上部を覆う長箱状の連結部材12Cと、各側面板12A,12Bおよび連結部材12Cの下流側(エンジン8側)に位置してこれら各側面板12A,12Bおよび連結部材12Cと一体的に設けられた後述の熱交換器側シュラウド23とにより大略構成されている。
支持枠体12の上流側には、冷却風Fの流通を許容しつつ強度を高めるための補強部材12Dが、各側面板12A,12Bを跨ぐように取付けられている。また、各側面板12A,12Bの下端側には、これら各側面板12A,12Bを張出しビーム5Fにボルト止めするためのボルト挿通孔12E(図6参照)が設けられている。更に、各側面板12A,12Bの中央部位には、後述するコンデンサ15C等を支持するための取付板12F(図2参照)が側面板12A,12Bの間を架け渡すように取付けられている。
13は連結部材12Cの下面側に位置して上部旋回体3の前,後方向に延びる上側ブラケットで、該上側ブラケット13は、例えば上側が屈曲した断面略L字状の鋼材等により形成されている。ここで、上側ブラケット13は、後述する熱交換器15の上端部を支持枠体12に固定するものである。このために、上側ブラケット13には、熱交換器15を構成するラジエータ15Aの上端部とオイルクーラ15Bの上端部が、上側ブラケット13の長さ方向(前,後方向)に並列に取付けられている。そして、上側ブラケット13は、支持枠体12の連結部材12Cにねじ止めにより取付けられている。
14は上側ブラケット13の下側に位置して前,後方向に延びる下側ブラケットで、該下側ブラケット14は、例えば下側が屈曲した断面略L字状の鋼材等により形成されている。ここで、下側ブラケット14は、熱交換器15の下端部を支持枠体12に固定すると共に、これら熱交換器15と支持枠体12とを旋回フレーム5の取付ブラケット5Hに固定するものである。このために、下側ブラケット14には、熱交換器15を構成するラジエータ15Aの下端部とオイルクーラ15Bの下端部とが、下側ブラケット14の長さ方向に並列に取付けられている。そして、下側ブラケット14は、その長さ方向(前,後方向)両端部が支持枠体12の各側面板12A,12Bの下端側にねじ止めにより取付けられると共に、その下端側が旋回フレーム5の取付ブラケット5Hの上面にねじ止めにより取付けられている。
15は支持枠体12の内部に配置された熱交換器を示し、該熱交換器15は、エンジン冷却水、作動油等の加熱された流体を冷却するものである。ここで、熱交換器15は、支持枠体12に上側ブラケット13と下側ブラケット14とを介して取付けられたラジエータ15A、オイルクーラ15Bと、支持枠体12に取付板12Fを介して取付けられたコンデンサ15C等により構成されている。
そして、ラジエータ15Aは、エンジン8のウォータジャケットとの間で循環するエンジン冷却水の熱を冷却風F中に放熱することにより、加熱されたエンジン冷却水を冷却するものである。オイルクーラ15Bは、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータから作動油タンク(図示せず)に環流する作動油(戻り油)の熱を冷却風F中に放熱することにより、加熱された作動油を冷却するものである。コンデンサ15Cは、キャブ6内に設けられた空調装置に用いる冷媒(圧縮された冷媒)の熱を冷却風F中に放熱することにより、加熱された冷媒を冷却するものである。
16は支持枠体12の側面板12Aに取付けられたリザーバタンクで、該リザーバタンク16は、ラジエータ15Aに補充するエンジン冷却水を収容するものである。また、17はラジエータ15A、オイルクーラ15Bの上流側を覆う防塵ネットで、該防塵ネット17は、上側,下側各ブラケット13,14に着脱可能に取付けられている。
18は熱交換器15と対面して配置された吸込式の冷却ファンで、該冷却ファン18は、エンジン8の従動プーリ8Eに取付けられている。そして、冷却ファン18は、エンジン8を動力源として回転駆動されることにより、建屋カバー10内に外気を吸込み、この外気を冷却風Fとして熱交換器15のラジエータ15A、オイルクーラ15B、コンデンサ15C等に供給するものである。
次に、冷却風Fの流れを整えるシュラウド21について説明する。
即ち、21は冷却ファン18と熱交換器15との間に設けられたシュラウドで、該シュラウド21は、冷却ファン18と熱交換器15との間に冷却風通路22を形成するものである。ここで、シュラウド21は、熱交換器側シュラウド23と、ファン側シュラウド24と、中間シュラウド25とにより大略構成されている。
23は熱交換器15側に設けられた熱交換器側シュラウドで、該熱交換器側シュラウド23は、熱交換器ユニット11の支持枠体12のうち熱交換器15よりも下流側となる部位により構成されている。ここで、熱交換器側シュラウド23は、ラジエータ15Aおよびオイルクーラ15Bから冷却ファン18側に突出する箱状をなし、冷却ファン18と対面する面には開口部23Aが形成されている。
開口部23Aの周囲には、エンジン8側(冷却ファン18側)に突出する円筒状の取付筒部23Bが設けられ、該取付筒部23Bには、後述の中間シュラウド25が取付けられている。また、取付筒部23Bの外周面には、図6等に示すように、後述の熱交換器側係合突起26が設けられている。
24は冷却ファン18側に設けられたファン側シュラウドで、該ファン側シュラウド24は、冷却ファン18を外周側から取囲む断面略U字状の円筒体として構成されている。ここで、ファン側シュラウド24は、図2、図4および図5等に示すように、基端側がエンジン8に固定されている。即ち、ファン側シュラウド24には、外周面24Aから径方向外向に突出する複数の取付片24Bが設けられ、これら各取付片24Bをエンジン8に設けたブラケット8Fにボルト24Cを用いて取付けることにより、ファン側シュラウド24をエンジン8に対して固定する構成となっている。また、ファン側シュラウド24は図8等に示すように、先端側が自由端となって後述の中間シュラウド25に重なるように延び、軸方向の中間部24Dは、略U字状の断面形状を有し、その外周面24Aは、軸方向両端側に向けて拡径する凹湾曲状の曲面となっている。
25は熱交換器側シュラウド23とファン側シュラウド24との間に設けられ冷却風通路22を画成する中間シュラウドで、該中間シュラウド25は、例えばゴム等の弾性材料を用いて形成された筒状体からなるものである。ここで、中間シュラウド25は、熱交換器側シュラウド23の取付筒部23Bの外周側に取付けられる取付部25Aと、該取付部25Aの端縁からエンジン8側に延びる中間筒部25Bと、該中間筒部25Bの端縁から径方向内側に延びる内向フランジ部25Cと、該内向フランジ部25Cの先端側に設けられた接触部25Dと、該接触部25Dの近傍に設けられた内側突起部25Eと、後述の中間シュラウド側係合突起27とにより大略構成されている。
ここで、取付部25Aには、後述する結束バンド28が巻回される凹溝25Fが全周にわたり設けられている。また、接触部25Dは、ファン側シュラウド24の外周面24Aに全周にわたって接触するもので、該ファン側シュラウド24の外周面24Aに所定の締め代をもって(締り嵌めにより)嵌合している。これにより、接触部25Dとファン側シュラウド24の外周面24Aとの間から冷却風Fが漏れないようにして、接触部25Dとファン側シュラウド24との密着性(密封性)を確保している。
また、内側突起部25Eは、内向フランジ部25Cのうち接触部25Dよりも径方向外側に位置して冷却風通路22内に全周にわたって突出するように形成されている。内側突起部25Eは、稼働時におけるエンジン8の揺動に伴い熱交換器側シュラウド23に対してファン側シュラウド24が傾いたときに、該ファン側シュラウド24の外周面24Aと当接することにより、ファン側シュラウド24の端縁部24Eが中間シュラウド25と接触することを防止するものである。
次に、中間シュラウド25が熱交換器側シュラウド23に対して周方向に変位(回転)するのを阻止する熱交換器側係合部としての熱交換器側係合突起26と、中間シュラウド側係合部としての中間シュラウド側係合突起27について説明する。
26は熱交換器側シュラウド23に設けられた複数(例えば10〜15個)の熱交換器側係合突起で、該各熱交換器側係合突起26は、図6等に示すように、熱交換器側シュラウド23の開口部23Aから中間シュラウド25側に突出する取付筒部23Bの外周側に設けられている。ここで、各熱交換器側係合突起26は、例えば鋼材等の金属材料により円柱状に形成され、取付筒部23Bの外周側に周方向等間隔に離間した状態で溶接手段等を用いて固着されている。そして、図5等に示すように、各熱交換器側係合突起26は、その端面が後述する中間シュラウド側係合突起27と係合(当接)することにより、中間シュラウド25が熱交換器側シュラウド23に対し周方向に変位するのを阻止するものである。
27は中間シュラウド25に設けられた複数(例えば2〜4個)の中間シュラウド側係合突起で、該各中間シュラウド側係合突起27は、中間シュラウド25の取付部25Aのうち熱交換器側シュラウド23の取付筒部23Bの外周面から径方向外側に立ち上がった内側面25A1に設けられている。ここで、各中間シュラウド側係合突起27は、取付部25Aの内側面25A1のうち、周方向に関し熱交換器側係合突起26に対応する部位に、内側面25A1からエンジン8側に向けて突出す略立方体状の突起部(突片)として取付部25Aと一体に形成されている。そして、図5等に示すように、各中間シュラウド側係合突起27は、熱交換器側係合突起26の端面と周方向に係合(当接)することにより、中間シュラウド25がエンジン8の振動、揺動に伴って周方向に変位するのを阻止するものである。
ここで、例えば図5に示した中間シュラウド側係合突起27は、熱交換器側係合突起26のうち周方向一側(エンジン8側からみて時計方向側)の端面と当接する構成となっている。ただし、例えば図6に示す別の中間シュラウド側係合突起27の少なくとも何れかは、別の熱交換器側係合突起26の周方向他側(エンジン8側からみて反時計方向側)の端面と当接するように構成している。これにより、中間シュラウド25が周方向の何れの方向(時計方向、反時計方向の何れ)に変位する傾向となっても、その変位を阻止できるようにしている。
28は中間シュラウド25の取付部25Aを熱交換器側シュラウド23の取付筒部23Bに押さえ付ける結束バンドで、該結束バンド28は、例えば合成樹脂材料等により形成され、基端側に位置するクランプ部28Aと、該クランプ部28Aから延びる可撓性をもった細長い帯状部28Bとからなり、クランプ部28Aには帯状部28Bが抜止め状態に差込まれている。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータは、キャブ6に搭乗して走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2によって油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、作業用の操作レバー(いずれも図示せず)を操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
油圧ショベル1を稼働しているときには、エンジン8により駆動される冷却ファン18により建屋カバー10の流入口10Eから空気を流入させ、この空気を冷却風Fとして熱交換器15(ラジエータ15A、オイルクーラ15B、コンデンサ15C等)に供給することにより、それぞれの冷却すべき流体を冷却することができる。また、熱交換器15を通過した冷却風Fは、シュラウド21(熱交換器側シュラウド23、中間シュラウド25、ファン側シュラウド24)を通じてエンジン8側に導かれ、該エンジン8、油圧ポンプ9等の周囲を通って流出口10Fから外部に流出する。
ところで、油圧ショベル1の走行、掘削作業等に伴って、エンジン8が、例えば図4に矢印X1で示すように旋回フレーム5に対して振動、揺動すると、該エンジン8に固定されたファン側シュラウド24も同方向に振動、揺動する。一方、中間シュラウド25の取付部25Aに巻回された結束バンド28は、例えば長期間の使用等に伴って拘束力が低下する場合がある。このような場合、ファン側シュラウド24の揺動、振動に伴って、該ファン側シュラウド24の外周面24Aに締り嵌めで接触部25Dが嵌着された中間シュラウド25が、例えば図5に矢印X2に示すように熱交換器側シュラウド23に対して周方向に変位する傾向になる。
この場合、本実施の形態では、熱交換器側シュラウド23に熱交換器側係合突起26を設けると共に、中間シュラウド25に中間シュラウド側係合突起27を設ける構成としている。このため、中間シュラウド25が熱交換器側シュラウド23に対して周方向(矢印X2方向)に変位する傾向になっても、中間シュラウド側係合突起27と熱交換器側係合突起26とが周方向に当接することにより、中間シュラウド25の周方向の変位が阻止される。
これにより、例えば中間シュラウド25の取付部25Aの内周面が、熱交換器側シュラウド23の取付筒部23Bの外周面と擦れ合うことを防止でき、中間シュラウド25の摩耗、損傷による冷却風Fの漏れを防止することができる。この結果、冷却効率の確保、信頼性の向上を図ることができる。
次に、図9ないし図12は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、熱交換器側シュラウドに設けた切欠き溝と中間シュラウドに設けた係合突起との係合により中間シュラウドが周方向に変位(回転)するのを阻止する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、31は熱交換器側シュラウド23に設けられた熱交換器側係合部としての切欠き溝で、該切欠き溝31は、図10等に示すように、熱交換器側シュラウド23の開口部23Aから中間シュラウド25側に突出する取付筒部23Bに設けられている。ここで、切欠き溝31は、取付筒部23Bの周方向1個所位置に、該取付筒部23Bの端縁から熱交換器15側に凹陥するように形成されている。そして、図9等に示すように、切欠き溝31は、後述する係合突起32が挿嵌され、該係合突起32と切欠き溝31との係合により、中間シュラウド25が熱交換器側シュラウド23に対し周方向に変位するのを阻止する構成となっている。
32は中間シュラウド25に設けられた中間シュラウド側係合部としての係合突起を示している。ここで、係合突起32は、図11等に示すように、中間シュラウド25の取付部25Aの内周面の1個所位置(取付筒部23Bの切欠き溝31に対応する部位)に、該内周面から内径側に突出す略立方体状の突片として取付部25Aと一体に形成されている。そして、図9等に示すように、係合突起32は、熱交換器側シュラウド23の取付筒部23Bに設けられた切欠き溝31に挿嵌され、係合突起32と切欠き溝31との係合により、中間シュラウド25が熱交換器側シュラウド23に対し周方向に変位するのを阻止する構成となっている。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き切欠き溝31と係合突起32との係合により熱交換器側シュラウド23に対する中間シュラウド25の変位を阻止するもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
即ち、本実施の形態によれば、油圧ショベル1の走行、掘削作業等に伴ってエンジン8が振動、揺動し、中間シュラウド25が、例えば図9に矢印X3に示すように熱交換器側シュラウド23に対して周方向に変位する傾向になっても、係合突起32が切欠き溝31内でその変位が阻止されることにより、中間シュラウド25の周方向(矢印X3方向)の変位が阻止される。これにより、例えば中間シュラウド25の取付部25Aの内周面が、熱交換器側シュラウド23の取付筒部23Bの外周面と擦れ合うことを防止でき、中間シュラウド25の摩耗、損傷による冷却風Fの漏れを防止することができる。この結果、冷却効率の確保、信頼性の向上を図ることができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、熱交換器側係合突起26と中間シュラウド側係合突起27との数を異ならせた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば熱交換器側係合突起と中間シュラウド側係合突起との数を同じにしてもよい。
上述した第2の実施の形態では、切欠き溝31と係合突起32とを1個ずつ設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば切欠き溝と係合突起とを複数個ずつ設けてもよい。
上述した第2の実施の形態では、熱交換器側シュラウド23に切欠き溝31を設けると共に中間シュラウド25に係合突起32を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、熱交換器側シュラウドに係合突起を設けると共に中間シュラウドに切欠き溝を設けてもよい。
上述した実施の形態では、原動機としてエンジン8を設け、該エンジン8に取付けられた冷却ファン18を無端ベルト8Dを介して回転駆動する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば冷却ファンをエンジンから切離し、電動モータ、油圧モータ等の他の駆動源により冷却ファンを回転駆動する構成としてもよい。
さらに、上述した実施の形態では、建設機械として油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイルローダ、油圧クレーン、ブルドーザ等の他の建設機械に適用してもよい。
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
8 エンジン(原動機)
11 熱交換器ユニット
15 熱交換器
15A ラジエータ
15B オイルクーラ
15C コンデンサ
18 冷却ファン
21 シュラウド
22 冷却風通路
23 熱交換器側シュラウド
23B 取付筒部
24 ファン側シュラウド
25 中間シュラウド
25A 取付部
26 熱交換器側係合突起(熱交換器側係合部)
27 中間シュラウド側係合突起(中間シュラウド側係合部)
31 切欠き溝(熱交換器側係合部)
32 係合突起(中間シュラウド側係合部)

Claims (3)

  1. 原動機が搭載され自走可能な車体と、該車体に設けられ加熱された液体を冷却する熱交換器と、該熱交換器に対面して配置され該熱交換器に冷却風を供給する冷却ファンと、該冷却ファンと前記熱交換器との間に冷却風通路を形成するシュラウドとを備え、
    該シュラウドは、前記熱交換器側に設けられ開口部を有する熱交換器側シュラウドと、前記冷却ファン側に設けられ該冷却ファンを外周側から取囲む筒状のファン側シュラウドと、前記熱交換器側シュラウドと前記ファン側シュラウドとの間に設けられ前記冷却風通路を画成する筒状の中間シュラウドとにより構成してなる建設機械において、
    前記熱交換器側シュラウドの開口部には、熱交換器側係合部を設け、
    前記中間シュラウドのうち前記熱交換器側係合部と対応する部位には、中間シュラウド側係合部を設け、
    前記熱交換器側係合部と中間シュラウド側係合部が係合することにより前記中間シュラウドが前記熱交換器側シュラウドに対して周方向に変位するのを阻止する構成としたことを特徴とする建設機械。
  2. 前記熱交換器側シュラウドは、前記中間シュラウド側に突出する筒状の取付筒部を有し、前記中間シュラウドは、前記取付筒部の外周側に取付けられる筒状の取付部を有し、前記熱交換器側係合部は、前記取付筒部の外周側に設けられる熱交換器側係合突起からなり、前記中間シュラウド側係合部は、前記取付部に設けられ前記熱交換器側係合突起と周方向に当接する中間シュラウド側係合突起からなる構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
  3. 前記熱交換器側シュラウドは、前記中間シュラウド側に突出する筒状の取付筒部を有し、前記中間シュラウドは、前記取付筒部の外周側に取付けられる筒状の取付部を有し、前記熱交換器側係合部は、前記取付筒部に設けられる切欠き溝からなり、前記中間シュラウド側係合部は、前記取付部に設けられ前記切欠き溝内に挿嵌される係合突起からなる構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
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