以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、後方超小旋回型の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。なお、本実施の形態では、上部旋回体の前,後方向に対し、この前,後方向に直交した水平方向を左,右方向とし、各機器、部材の構成、配置、空気の流れ方向について説明する。
図1ないし図3は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回中心を中心として旋回可能に設けられ、下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、上部旋回体3の前部に俯仰の動作が可能に設けられたフロント装置4とを備えている。フロント装置4は、土砂の掘削作業等を行うものである。
後方超小旋回型の油圧ショベル1の上部旋回体3は、下部走行体2の左,右方向の幅寸法(全幅)に対して予め定められた範囲内で旋回するように構成されている。詳しくは、下部走行体2の全幅に対して予め定められた範囲とは、下部走行体2の全幅の120%以内の範囲を示している。後方超小旋回型の油圧ショベル1の上部旋回体3は、後述するカウンタウエイト6の外周面が、前述した全幅の120%以内の範囲内に収まるように設定されている。そして、上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、カウンタウエイト6、エンジン7、熱交換装置10を含んで構成されている。
旋回フレーム5は、上部旋回体3のベースとなるもので、強固な支持構造体をなしている。具体的には、図2に示すように、旋回フレーム5は、左,右方向の中央に位置して前,後方向に延びた厚肉な平板状の底板5Aと、底板5Aの上面側に立設され前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cと、これら左,右の縦板5B,5Cの前端部に設けられた支持ブラケット5Dと、底板5Aの左側に設けられた円弧状の左サイドフレーム5Eと、底板5Aの右側に設けられた円弧状の右サイドフレーム5Fとを含んで構成されている。支持ブラケット5Dには、フロント装置4が取付けられ、底板5Aの後端側には、カウンタウエイト6が取付けられている。
カウンタウエイト6は、旋回フレーム5の後部に設けられている(図1参照)。このカウンタウエイト6は、フロント装置4との重量バランスをとるものである。カウンタウエイト6は、左,右方向の中央部が後側に突出した円弧状に形成されている。
エンジン7は、カウンタウエイト6の前面側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。エンジン7には、小型のディーゼルエンジンが用いられ、エンジン7は、左,右方向に延びる横置き状態に配置されている。エンジン7には、排気ガスを外部に排出するための排気管7Aが設けられている。この排気管7Aには、排気ガスを清浄化したり、排気音を低減したりするための排気ガス処理装置7Bが接続されている。
エンジン7の左側には、油圧ポンプ8が取付けられている。この油圧ポンプ8は、エンジン7によって駆動されることにより、油圧ショベル1に設けられた各種の油圧アクチュエータに作動用の圧油を供給するものである。
冷却ファン9は、エンジン7の軸方向の一方、本実施の形態では左,右方向の右側に設けられている。冷却ファン9は、例えばエンジン7によって回転されるものである。この冷却ファン9は、エンジン7および後述の熱交換装置10と左,右方向の一直線上に配置されている。図2中に矢示Aで示すように、冷却ファン9は、後述する外装カバー22の外部から吸込んだ冷却風を熱交換装置10に向け、右側から左側に流通する吸込式の冷却ファンとして構成されている。冷却ファン9は、中央に位置して有底円筒状の取付部9Aと、取付部9Aから放射状に延びた複数枚の羽根9Bとによって構成されている。なお、冷却ファン9は、エンジン7と切離し、電動モータまたは油圧モータを用いて回転させる構成としてもよい。
次に、流体としてのエンジン冷却水、作動油、冷媒、燃料を冷却風により冷却する本実施の形態による熱交換装置10の構成について説明する。
熱交換装置10は、冷却ファン9に隣接して車体を構成する上部旋回体3に設けられ、冷却ファン9からの冷却風により加熱された流体を冷却するものである。熱交換装置10は、冷却ファン9に対面するように旋回フレーム5上に設けられている。熱交換装置10は、後述の支持枠体11、ファンシュラウド12、ファンカバー13、ラジエータ15、オイルクーラ16、コンデンサ17、燃料クーラ18により構成されている。
図2に示すように、支持枠体11は、冷却ファン9の右側に位置して旋回フレーム5上に取付けられている。支持枠体11は、左,右方向に貫通した四角形状の角枠体として形成され、その内部には、ラジエータ15、オイルクーラ16、コンデンサ17が収容されている。支持枠体11は、エンジン7が左,右方向に延在する横置き状態に搭載された構造では、上部旋回体3の前,後方向が横幅方向となるように配置されている。
ファンシュラウド12は、支持枠体11のエンジン7側となる左側を覆うように、その周囲が支持枠体11に取付けられている。ファンシュラウド12は、前,後方向および上,下方向に延びた長方形状の板体として形成され、中央には、冷却ファン9を取囲む大きな円形状の冷却風流通開口12Aが形成されている。この冷却風流通開口12Aは、上部旋回体3の右側から左側に向けて流れる冷却風の流れ方向に対し、一の熱交換器となるラジエータ15、オイルクーラ16、コンデンサ17よりも冷却風の流れ方向の下流側に設けられている。ファンシュラウド12には、冷却風流通開口12Aの一部を覆うように後述のファンカバー13が設けられている。
ファンカバー13は、ファンシュラウド12の冷却風流通開口12Aを通じて冷却風が流通するのを許しつつ、冷却ファン9の一部を覆うものである。ファンカバー13には、後述の燃料クーラ18が取付けられている。ファンカバー13は、後述する外装カバー22のエンジンカバー22Aを開いたときに、冷却ファン9と接しないように、この開口に対応した冷却ファン9の後側上部を覆っている。ファンカバー13は、冷却風の流通を妨げないように網目状に形成されている。
ファンカバー13は、冷却風流通開口12Aの円形状に対応するように湾曲しつつ冷却ファン9の周囲を覆う周面カバー部13Aと、周面カバー部13Aのエンジン7側の端縁から冷却ファン9の取付部9Aに向けて延び、各羽根9Bを覆った扇状カバー部13Bと、周面カバー部13Aのファンシュラウド12側の端縁に設けられた例えば2個のブラケット部13Cとにより構成されている。
ファンカバー13は、扇状カバー部13Bによって冷却ファン9の各羽根9Bを覆うようにファンシュラウド12の後側上部に配置し、この状態で、各ブラケット部13Cに挿通したボルト14をファンシュラウド12に螺着することにより、ファンシュラウド12に取付けられている。これにより、冷却風を流通させつつ、エンジンカバー22Aを開いて作業するときの冷却ファン9との接触を防止することができる。
次に、熱交換装置10に設けられた一の熱交換器としてのラジエータ15、オイルクーラ16、コンデンサ17と、他の熱交換器としての燃料クーラ18との構成について述べる。なお、エンジン7に過給機が取付けられている場合には、一の熱交換器として、過給機によって温度上昇したエンジン吸気を冷却するインタクーラが設けられる。
ラジエータ15は、支持枠体11の内部の後側寄りに位置し、冷却ファン9およびファンシュラウド12に対面して配置されている。ラジエータ15は、冷却ファン9による冷却風の流れ方向に対し直交するように、旋回フレーム5の前,後方向を横幅方向として配置されている。ラジエータ15は、エンジン7を冷却して温度上昇したエンジン冷却水を冷却するもので、エンジン7のウォータジャケットに接続されている。
オイルクーラ16は、ラジエータ15と同様に、冷却ファン9およびファンシュラウド12に対面して支持枠体11内に設けられている。このオイルクーラ16は、ラジエータ15の前側で冷却風の流れ方向に対して直交するように設けられている。オイルクーラ16は、支持枠体11内の前側に位置し、ラジエータ15とほぼ同一の平面をなすように配置されている。オイルクーラ16は、冷却ファン9による冷却風を通過させることにより、冷却対象となる流体としての作動油を冷却するもので、制御弁装置、作動油タンク等(いずれも図示せず)に接続されている。
コンデンサ17は、ラジエータ15、オイルクーラ16の右サイドフレーム5F側(冷却風の流れ方向の上流側)に隣接して、ラジエータ15、オイルクーラ16と同様に、支持枠体11内に設けられている(図2中に点線で図示)。このコンデンサ17は、後述するキャブ21内の室内機(図示せず)から供給される気化した冷媒の熱を放出(冷却)して液体に戻すもので、空調装置の室外機を構成している。ここで、コンデンサ17は、冷却風の流れ方向で、ラジエータ15およびオイルクーラ16に直列に重なるように、当該ラジエータ15およびオイルクーラ16の上流側に配置されている。
このように、一の熱交換器を構成するラジエータ15、オイルクーラ16、コンデンサ17は、冷却ファン9よりも当該冷却ファン9が発生する冷却風の流れ方向の上流側に配置されている。この場合、ラジエータ15、オイルクーラ16の上流側には、コンデンサ17が配置されているだけであるから、安定した冷却性能が要求されるラジエータ15、オイルクーラ16には、冷却風を安定的に供給することができる。
他の熱交換器としての燃料クーラ18は、冷却ファン9よりも冷却風の流れ方向の下流側に配置されている。具体的には、燃料クーラ18は、ファンカバー13に取付けられている。燃料クーラ18は、エンジン7に供給する燃料を冷却することにより、燃料の膨張を抑制して燃料消費率の向上を図るものである。
図3に示すように、燃料クーラ18は、燃料が流通する管路とこの管路に取付けられた複数枚の放熱フィンからなる長方形状の冷却部18Aと、冷却部18Aに設けられた取付板部18Bとを含んで構成されている。燃料クーラ18は、ファンカバー13の扇状カバー部13Bに対して左側から対面するように縦長状態で配置され、取付板部18Bに挿通したボルト19を用いて扇状カバー部13Bに取付けられている。そして、燃料クーラ18の冷却部18Aには、2本の燃料ホース20A,20Bが接続されている。
このように、他の熱交換器を構成する燃料クーラ18は、冷却ファン9よりも当該冷却ファン9が発生する冷却風の流れ方向の下流側に配置されている。この場合、冷却ファン9によって発生する多くの冷却風を燃料クーラ18に供給することができるから、燃料クーラ18に要求される冷却性能を得ることができる。
なお、キャブ21は、旋回フレーム5の左前側に設けられている(図1参照)。このキャブ21は、オペレータが搭乗するもので、内部にはオペレータが着座する運転席21A、走行用の操作レバー21B、作業用の操作レバー21C等が配設されている。さらに、キャブ21には、空調装置の室内機(いずれも図示せず)が設けられている。
外装カバー22は、キャブ21の後側から側方に亘って旋回フレーム5に設けられている。この外装カバー22は、旋回フレーム5上に搭載されたエンジン7、油圧ポンプ8、冷却ファン9、熱交換装置10等を覆うものである。外装カバー22は、エンジン7の後側に位置して開,閉可能なエンジンカバー22Aを有している。このエンジンカバー22Aを開いた状態では、エンジン7の周囲を後方に開放することができ、各種のメンテナンスを行うことができる。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、この油圧ショベル1の動作について説明する。
まず、オペレータは、キャブ21に搭乗して運転席21Aに着座する。この状態で走行用の操作レバー21Bを操作することにより、油圧ショベル1を前進または後進させることができる。一方、オペレータは、作業用の操作レバー21Cを操作することにより、フロント装置4等を動作させて土砂の掘削作業を行うことができる。
油圧ショベル1を稼動しているときには、エンジン7の冷却ファン9により外装カバー22を通じて外部の空気を流入させ、この空気を冷却風として熱交換装置10のラジエータ15、オイルクーラ16、コンデンサ17、燃料クーラ18に供給することにより、それぞれを流れる流体を冷却することができる。
この場合、ラジエータ、オイルクーラに対し、冷却風の上流側にコンデンサや燃料クーラを重ねて配置した場合(冷却風の流れ方向で直列に重ねた場合)には、ラジエータ、オイルクーラに供給される冷却風の温度がコンデンサや燃料クーラによって上昇した分だけ、ラジエータとオイルクーラの冷却性能が低下する虞がある。しかも、ラジエータ、オイルクーラの冷却風の上流側にコンデンサや燃料クーラを重ねた構造では、ラジエータやオイルクーラに付着した塵埃等の清掃作業に手間を要してしまう。
然るに、第1の実施の形態によれば、冷却ファン9に隣接して旋回フレーム5に設けられた熱交換装置10は、複数種類の流体をそれぞれ冷却する複数の熱交換器、具体的には、エンジン7の冷却水を冷却するラジエータ15、作動油を冷却するオイルクーラ16、空調用の冷媒を冷却するコンデンサ17、エンジン7に供給する燃料を冷却する燃料クーラ18を含んで構成されている。そして、一の熱交換器としてのラジエータ15、オイルクーラ16およびコンデンサ17は、冷却ファン9よりも冷却風の流れ方向の上流側に配置されている。一方、他の熱交換器としての燃料クーラ18は、冷却ファン9よりも冷却風の流れ方向の下流側に配置されている。
従って、エンジン7の高出力化、高効率化、排気ガス規制等による熱交換装置10の大型化、旋回半径を小さくするための上部旋回体3の小型化に伴って熱交換装置10の設置スペースが制限された場合でも、ラジエータ15、オイルクーラ16の上流側には、コンデンサ17が配置されているだけであるから、安定した冷却性能が要求されるラジエータ15、オイルクーラ16に冷却風を安定的に供給することができる。しかも、燃料クーラ18には、冷却ファン9によって発生する多くの冷却風を供給することができるから、要求される冷却性能を得ることができる。
さらに、ラジエータ15、オイルクーラ16の上流側にコンデンサ17だけを配置した構成では、ラジエータ15やオイルクーラ16を容易に目視することができ、また、ラジエータ15やオイルクーラ16に付着した塵埃等を容易に洗浄することができる。
この結果、熱交換装置10を構成するラジエータ15、オイルクーラ16、コンデンサ17および燃料クーラ18の冷却性能を向上することができる上に、ラジエータ15、オイルクーラ16、コンデンサ17および燃料クーラ18の清掃作業を含むメンテナンスを容易に行うことができる。
また、熱交換装置10は、一の熱交換器としてのラジエータ15、オイルクーラ16、コンデンサ17の冷却風の流れ方向の下流側に設けられ、冷却ファン9を取囲む冷却風流通開口12Aを有するファンシュラウド12と、ファンシュラウド12に設けられ冷却風の流通を許しつつ冷却ファン9を覆っているファンカバー13とを備えている。この上で、他の熱交換器としての燃料クーラ18は、ファンカバー13に取付けられている。これにより、冷却ファン9が発生した冷却風をファンカバー13を通して燃料クーラ18に供給することができる。
次に、図4ないし図7は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、車体には、エンジンの後側に位置して当該車体のバランスをとるためのカウンタウエイトが設けられ、カウンタウエイトには、エンジンに備えられた補器類を駆動するためのベルトを覆うベルトカバーが設けられ、他の熱交換器は、ベルトカバーに取付けられていることにある。また、他の特徴は、ベルトカバーには、他の熱交換器に向けて冷却風を導く導風板が設けられていることにある。
なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態による油圧ショベル1よりも大型な油圧ショベル31を例示しているものの、全体的な構成については大きく変わるところがない。このため、本実施の形態の特徴部分に関する構成を除き、構成要素に新たな符号を付す一方で、第1の実施の形態と同様の構成要素の説明を簡略化するものとする。
図4において、建設機械としての後方超小旋回型の油圧ショベル31は、下部走行体32と、下部走行体32と共に車体を構成する上部旋回体33と、土砂の掘削作業等を行うフロント装置34とを備えている。
上部旋回体33は、下部走行体32の左,右方向の幅寸法(全幅)に対して予め定められた範囲、即ち、下部走行体32の全幅の120%以内で旋回するように構成されている。そして、上部旋回体33は、後述の旋回フレーム35、カウンタウエイト36、エンジン37、熱交換装置41を含んで構成されている。
図5に示すように、旋回フレーム35は、左,右方向の中央に位置して前,後方向に延びた厚肉な平板状の底板35Aと、底板35Aの上面側に立設され前,後方向に延びた左縦板35B,右縦板35Cと、底板35Aおよび左,右の縦板35B,35Cから左,右方向に延びて前,後方向に間隔をもって配置された複数本の張出しビーム35Dと、底板35Aおよび左縦板35Bの左側に位置して左側の張出しビーム35Dの先端部に取付けられた左サイドフレーム35Eと、底板35Aおよび右縦板35Cの右側に位置して右側の張出しビーム35Dの先端部に取付けられた右サイドフレーム35Fとを含んで構成されている。左,右の縦板35B,35Cの前部には、フロント装置34が取付けられ、後部にはカウンタウエイト36が取付けられている。
カウンタウエイト36は、後述するエンジン37の後側に位置して車体の一部を構成する旋回フレーム35の後部に設けられている。カウンタウエイト36は、フロント装置34との重量バランスをとるものである。カウンタウエイト36は、旋回動作したときの旋回半径が小さくなるように、左,右両側を前側に向けて湾曲させることにより円弧状の外周面36Aを有し、旋回中心に近い前側寄りに配置されている。
カウンタウエイト36は、左,右方向の中央に位置する中央ウエイト部36Bと、中央ウエイト部36Bの左側に位置して中央ウエイト部36Bよりも低い高さ寸法をもって形成された左側方ウエイト部36Cと、中央ウエイト部36Bの右側に位置して中央ウエイト部36Bよりも低い高さ寸法をもって形成された右側方ウエイト部36Dとにより構成されている。中央ウエイト部36Bは、後方に突出し、左,右の側方ウエイト部36C,36Dは、中央ウエイト部36Bから左,右方向に延びつつ前側に湾曲している。
ここで、中央ウエイト部36Bは、油圧ポンプ39から熱交換装置41までの左,右方向の長さ寸法に対応する幅寸法を有している。中央ウエイト部36Bは、エンジン37、油圧ポンプ39、熱交換装置41に対面する前面部36B1を有している。また、中央ウエイト部36Bには、エンジン37と熱交換装置41との間に位置して凹陥部36B2が形成されている。この凹陥部36B2は、エンジン37に取付けられるオルタネータ37E等の補器類および各種ホース類(図示せず)との干渉を避けるもので、後述するベルト38の後側に位置して前面部36B1の一部を後退させることにより形成されている。凹陥部36B2には、後述のベルトカバー53が取付けられている。
エンジン37は、カウンタウエイト36の前側に位置して旋回フレーム35上に設けられている。エンジン37には、小型のディーゼルエンジンが用いられ、エンジン37は、左,右方向に延びる横置き状態に配置されている。エンジン37には、排気ガスを外部に排出するための排気管37Aが設けられている。この排気管37Aには、排気ガスを清浄化したり、排気音を低減したりするための排気ガス処理装置37Bが接続されている。
エンジン37には、左,右方向の左側に突出して回転軸37Cが設けられ、この回転軸37Cには、後述の冷却ファン40が取付けられている。また、回転軸37Cには、エンジン37と冷却ファン40との間に位置して駆動プーリ37Dが取付けられている。さらに、エンジン37には、左側の後部に位置してオルタネータ37Eが設けられている。このオルタネータ37Eは、エンジン37の補器類の1つを構成している。オルタネータ37Eは、従動プーリ37E1が後述のベルト38を介してエンジン37によって駆動されることにより、バッテリ(図示せず)に充電を行うものである。
ベルト38は、エンジン37の補器類であるオルタネータ37Eを駆動するものである。ベルト38は、エンジン37の駆動プーリ37Dとオルタネータ37Eの従動プーリ37E1とに亘って巻回されている。これにより、エンジン37の稼働時には、ベルト38を介してオルタネータ37Eを駆動することができる。なお、ベルト38は、他の補器類、例えば、空調装置の一部をなすコンプレッサ(図示せず)を駆動するのに用いることもできる。また、1本のベルト38で複数の補器類を駆動することもできる。ベルト38としては、Vベルト、歯付きベルト、溝付きベルト等を用いることができる。
油圧ポンプ39は、エンジン37の右側に取付けられている。この油圧ポンプ39は、エンジン37によって駆動されることにより、油圧ショベル31に設けられた各種の油圧アクチュエータに作動用の圧油を供給するものである。
冷却ファン40は、エンジン37の軸方向の一方、本実施の形態では左,右方向の左側に設けられている。冷却ファン40は、例えばエンジン37によって回転されるもので、回転軸37Cの先端に取付けられている。この冷却ファン40は、エンジン37および後述の熱交換装置41と左,右方向の一直線上に配置されている。図5中に矢示Bで示すように、冷却ファン40は、後述する外装カバー57の外部から吸込んだ冷却風を熱交換装置41に向け、左側から右側に流通する吸込式の冷却ファンとして構成されている。冷却ファン40は、中央に位置して有底円筒状の取付部40Aと、取付部40Aから放射状に延びた複数枚の羽根40Bとによって構成されている。なお、冷却ファン40は、エンジン37と切離し、電動モータまたは油圧モータを用いて回転させる構成としてもよい。
次に、流体としてのエンジン冷却水、作動油、冷媒、燃料を冷却風により冷却する本実施の形態による熱交換装置41の構成について説明する。
熱交換装置41は、冷却ファン40に隣接して車体を構成する上部旋回体33に設けられ、冷却ファン40からの冷却風により加熱された流体を冷却するものである。熱交換装置41は、冷却ファン40に対面するように旋回フレーム35上に設けられている。熱交換装置41は、後述の支持枠体42、ファンシュラウド43、各ファンカバー44,45、ラジエータ47、オイルクーラ48、コンデンサ49、燃料クーラ50により構成されている。
図5に示すように、支持枠体42は、冷却ファン40の左側に位置して旋回フレーム35上に取付けられている。支持枠体42は、左,右方向に貫通した四角形状の角枠体として形成され、その内部には、ラジエータ47、オイルクーラ48、コンデンサ49が収容されている。支持枠体42は、エンジン37が左,右方向に延在する横置き状態に搭載された構造では、上部旋回体33の前,後方向が横幅方向となるように配置されている。
図6、図7に示すように、ファンシュラウド43は、支持枠体42のエンジン37側となる右側を覆うように、その周囲が支持枠体42に取付けられている。ファンシュラウド43は、前,後方向および上,下方向に延びた長方形状の板体として形成され、中央には、冷却ファン40を取囲む大きな円形状の冷却風流通開口43Aが形成されている。この冷却風流通開口43Aは、上部旋回体33の左側から右側に向けて流れる冷却風の流れ方向に対し、一の熱交換器となるラジエータ47、オイルクーラ48、コンデンサ49よりも冷却風の流れ方向の下流側に設けられている。ファンシュラウド43には、冷却風流通開口43Aの一部を覆うように後述の各ファンカバー44,45が設けられている。
第1のファンカバー44と第2のファンカバー45は、ファンシュラウド43の冷却風流通開口43Aを通じて冷却風が流通するのを許しつつ、冷却ファン40の一部を覆うものである。各ファンカバー44,45は、後述する外装カバー57のエンジンカバー57Aを開いたときに、冷却ファン40と接しないように、この開口に対応した冷却ファン40の上部から後側を覆っている。各ファンカバー44,45には、冷却風の流通を妨げないように通気用の複数本のスリット44C,45Cが形成されている。
第1のファンカバー44は、冷却風流通開口43Aの上側に位置して左,右方向に延びた横面カバー部44Aと、横面カバー部44Aの右端部から下向きに延びた縦面カバー部44Bとからなり、各カバー部44A,44Bには、複数のスリット44Cが設けられている。第1のファンカバー44は、横面カバー部44Aの左端部がボルト46を用いてファンシュラウド43に取付けられている。これにより、第1のファンカバー44は、横面カバー部44Aによって冷却ファン40(各羽根40B)の上側を覆い、縦面カバー部44Bによって冷却ファン40(各羽根40B)の右側を覆うことができる。
第2のファンカバー45は、第1のファンカバー44よりも後側、具体的には、第1のファンカバー44と後述のベルトカバー53との間に位置してファンシュラウド43に取付けられている。第2のファンカバー45は、第1のファンカバー44と同様に、複数のスリット45Cを備えた横面カバー部45Aと縦面カバー部45Bとからなり、横面カバー部45Aがボルト46を用いてファンシュラウド43に取付けられている。
ラジエータ47、オイルクーラ48、コンデンサ49(図5中に点線で図示)は、熱交換装置41に設けられた一の熱交換器を構成している。ラジエータ47は、支持枠体42の内部の後側寄りに冷却ファン40に対面して設けられている。オイルクーラ48は、ラジエータ47の前側に位置するように支持枠体42内に冷却ファン40と対面して設けられている。コンデンサ49は、ラジエータ47、オイルクーラ48に対し冷却風の流れ方向の上流側に隣接して、支持枠体42内に設けられている。なお、エンジン37に過給機が取付けられている場合には、一の熱交換器として、過給機によって温度上昇したエンジン吸気を冷却するインタクーラが設けられる。
他の熱交換器としての燃料クーラ50は、冷却ファン40よりも冷却風の流れ方向の下流側に配置されている。具体的には、燃料クーラ50は、後述のベルトカバー53に取付けられている。燃料クーラ50は、エンジン37に供給する燃料を冷却することにより、燃料の膨張を抑制して燃料消費率の向上を図るものである。
図6に示すように、燃料クーラ50は、第1の実施の形態による燃料クーラ18と同様に、冷却部50Aと取付板部50Bとを含んで構成されている。燃料クーラ50は、ベルトカバー53の傾斜板部53Cに対して後側から対面するように横長状態(左,右方向に延びた状態)で配置され、取付板部50Bに挿通したボルト51を用いて傾斜板部53Cに取付けられている。そして、燃料クーラ50の冷却部50Aには、2本の燃料ホース52A,52Bが接続されている。
このように、他の熱交換器を構成する燃料クーラ50は、冷却ファン40よりも当該冷却ファン40が発生する冷却風の流れ方向の下流側に配置されている。この場合、冷却ファン40によって発生する多くの冷却風を、後述の導風板55で導いて燃料クーラ50に供給することができるから、燃料クーラ50に要求される冷却性能を得ることができる。
ベルトカバー53は、エンジン37のベルト38を覆うもので、カウンタウエイト36に設けられている。ベルトカバー53は、冷却風を流通させつつ、エンジンカバー57Aを開いて作業するときに、ベルト38との接触を防止するものである。図6、図7に示すように、ベルトカバー53は、カウンタウエイト36を構成する中央ウエイト部36Bの凹陥部36B2に対面して設けられた取付板部53Aと、取付板部53Aの上縁部から屈曲して前側(エンジン37側)に延びた水平板部53Bと、水平板部53Bの前縁部から前側に向け斜め上側に延びた傾斜板部53Cとにより構成されている。また、水平板部53Bと傾斜板部53Cとには、複数本のスリット53Dが設けられている。
そして、ベルトカバー53は、取付板部53Aに挿通したボルト54を中央ウエイト部36Bの凹陥部36B2に螺着することにより、中央ウエイト部36Bに取付けられている。また、ベルトカバー53の傾斜板部53Cには、後面側(エンジン37と反対側)に位置して燃料クーラ50が取付けられている。
導風板55は、燃料クーラ50に向けて冷却風を導くもので、ベルトカバー53に設けられている。図7に示すように、導風板55は、ベルトカバー53の傾斜板部53Cに対面する長方形状の板体として形成され、左,右方向に延びた右側(冷却ファン40と反対側)の右端部55Aが傾斜板部53Cの右端部位に、例えば溶接、螺着等の手段を用いて固着されている。一方、導風板55は、左端部55Bに向けて傾斜板部53Cから離間することにより、冷却ファン40側となる左側が拡開して配置されている。これにより、冷却ファン40によってエンジン37側に流入した冷却風は、導風板55に当たることで、導風板55によってベルトカバー53に取付けられた燃料クーラ50に導かれる。
なお、キャブ56は、旋回フレーム35の左前側に設けられている(図4参照)。このキャブ56内には、運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバーが設けられている。また、キャブ56には、空調装置の室内機(いずれも図示せず)が設けられている。
外装カバー57は、キャブ56の後側から側方に亘って旋回フレーム5に設けられている。この外装カバー57は、旋回フレーム35上に搭載されたエンジン37、油圧ポンプ39、冷却ファン40、熱交換装置41等を覆うものである。外装カバー57は、エンジン37の後側に位置して開,閉可能なエンジンカバー57Aを有している。このエンジンカバー57Aを開いた状態では、エンジン37の周囲を後方に開放することができ、各種のメンテナンスを行うことができる。
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、エンジン37に備えられたオルタネータ37Eを駆動するためのベルト38を覆うベルトカバー53をカウンタウエイト36に設けている。この上で、燃料クーラ50は、ベルトカバー53に取付ける構成としている。これにより、燃料クーラ50には、冷却ファン40によって発生する多くの冷却風を供給することができる。
しかも、ベルトカバー53には、燃料クーラ50に向けて冷却風を導く導風板55が設けられている。これにより、冷却ファン40による冷却風を、導風板55によって燃料クーラ50に積極的に導くことができ、冷却性能を向上することができる。
なお、第2の実施の形態では、カウンタウエイト36に設けられたベルトカバー53に燃料クーラ50を取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、図8に示す変形例のように構成してもよい。即ち、図8の変形例では、第1のファンカバー44に燃料クーラ50′を取付ける構成としている。
第2の実施の形態では、カウンタウエイト36の中央ウエイト部36Bに凹陥部36B2を設け、この凹陥部36B2にベルトカバー53を取付ける構成とした場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、凹陥部を削除してカウンタウエイトの前面を平らにし、この平らな前面にベルトカバー53を取付ける構成としてもよい。
第1の実施の形態では、一の熱交換器としてラジエータ15、オイルクーラ16、コンデンサ17を例示し、他の熱交換器として燃料クーラ18を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、他の熱交換器をラジエータ15、オイルクーラ16、コンデンサ17の中から選択してもよい。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
さらに、第1の実施の形態では、建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。さらに、例えば油圧クレーン、ホイールローダ等の他の建設機械にも広く適用できるものである。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができるものである。