JP2012134327A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents

窒化物半導体発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することにより、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を提供する。
【解決手段】n型バッファ層121やn型クラッド層122などのn型半導体層と、発光層124と、p型クラッド層126などのp型半導体層とを有する窒化物半導体発光素子100であって、リッジ側面として発光層124の側面を含むリッジ構造を備え、発光層124の側面は、発光層124よりも抵抗が高いAlGaIn1−x−yN(但し、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)で構成されるパッシベーション膜140によって覆われており、パッシベーション膜140は、発光層124の屈折率よりも屈折率が低い低屈折率膜151によって覆われている。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体発光素子に関し、特に、青紫から赤色までの可視光領域における発光を伴う半導体レーザまたはスーパールミネッセントダイオードに関する。
近年、プロジェクタなどのディスプレイ用の水銀レスの高輝度光源として、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や半導体レーザ(LD:Laser Diode)、スーパールミネッセントダイオード(SLD:Super Luminescent Diode)などの半導体発光素子が注目されている。
LEDは、発光効率が非常に高いという特長を持つ一方、発光面積が大きく出射光の指向性が低いという性質を持つ。このため、LEDをディスプレイ用光源に用いた場合、ディスプレイを構成する光学系に対する結合効率が低くなり、その結果、小型の光学系を用いてディスプレイの低消費電力化を実現することが難しい。
一方、半導体レーザなどの光導波路を有する半導体発光素子は、生成した光を光導波路によって素子外部へ放射させるため、出射光の指向性を高くすることができる。このため、光学系に対する結合効率を高くすることができ、小型の光学系を用いてディスプレイの低消費電力化を実現することが可能である。現在、半導体レーザを用いたディスプレイについては、更なる低消費電力化を実現するために、投入電力−光変換効率の高い、つまり高効率な半導体レーザの開発が進められている。
このような高効率な半導体レーザを実現する構造として、例えば、次のようなものが挙げられる。まず半導体レーザのような光導波路を有する発光素子の場合、発光層で生成した光を効率よく光導波路に結合させる必要がある。通常、半導体レーザに用いられる光導波路は、光導波路周辺部をエッチングにより取り除くことにより屈折率差を設けたリッジ型光導波路が一般的である。
リッジ型光導波路は、通常、発光層上部でエッチングを止めた構造が一般的であるが、結合効率を向上させる方法してとして、光導波路周辺を発光層下部までエッチングで掘り込み、光導波路下部における発光層の側面が露出するようにリッジを掘り込んだ構造(以下、「深堀リッジ構造」と呼ぶ)が提案されている。
この深堀リッジ構造は、発光層の側面を露出させることにより、臨界角を小さくし、発光層で発光した光が導波路外へ漏れ出るのを抑制するものであり、これによって、半導体レーザの発光効率を高めることができる。
一方、深堀リッジ構造においては、発光層の側面が露出するため、発光層の側面において欠陥が生じ、長期駆動時の発光効率が低下してしまうという問題がある。このような発光層側面での欠陥の影響を低減させるために、深堀リッジ構造の側面に対しては、パッシベーションが必要となる。
このような深堀リッジ構造における側面のパッシベーションについて、特許文献1には、InGaAsP系の半導体レーザにおけるパッシベーション方法が開示されている。
以下、図8を参照して、特許文献1に開示された従来のパッシベーション方法について説明する。図8は、深堀リッジ構造を有する従来の半導体レーザの断面図である。
図8に示すように、InGaAsP系の半導体レーザ801は、半導体基板810上に、バッファ層812、MQW(Multi Quantum Well)活性層813、クラッド層814、クラッド層818、および、コンタクト層819が順次積層され、バッファ層812が露出するまで掘りきるような深堀リッジ構造を備えている。深堀リッジ構造の側面は、エピタキシャル成長により成膜される薄膜保護層820により覆われている。薄膜保護層820は、バンドギャップが活性層813のバンドギャップよりも大きいp型半導体層で構成することができる。なお、コンタクト層819に接するように、p側電極821が設けられている。
このように、従来に係る半導体レーザ801は、深堀リッジ構造の側面に薄膜保護層20が形成されているので、活性層で発生する電子と正孔との非発光再結合を抑制することができる。これにより、光半導体レーザ素子の信頼性を向上させることができる。
特開2009−117539号公報
しかしながら、本発明者らが、深堀リッジ構造を有する窒化物半導体発光素子のパッシベーション方法について鋭意検討した結果、窒化物半導体発光素子については、直ちに従来のパッシベーション方法を適用することができないことが分かった。すなわち、窒化物半導体で構成された積層構造体を有する窒化物半導体発光素子において、当該積層構造体を深堀リッジ構造とし、さらに、活性層の側面を保護するために従来のInGaAsP系半導体レーザのように薄膜保護層を形成しただけでは、次のような問題があることを突き止めた。以下、検討した内容について詳細に説明する。
まず、本発明者らは、実際に深堀リッジ構造を有する窒化物半導体レーザを作製し、その特性を評価した。具体的には、以下の3種類のサンプルを作製し、その特性を比較した。
サンプル♯1(深堀リッジ構造ではない窒化物半導体レーザ)として、基板上に(Al、Ga、In、N)系の材料を用いた積層構造体を成膜したのちに、発光層の上部までClガスによるドライエッチングを行って光導波路を形成し、その後、プラズマCVD法により光導波路の側面にSiO保護膜を成膜したものを作製した。
サンプル♯2(深堀リッジ構造の窒化物半導体レーザ)として、サンプル♯1と同様に、基板上にAlGaInN系の積層構造体を形成し、発光層の下部までドライエッチングを行って光導波路を形成し、その後、同様にSiO保護膜を成膜したものを作製した。
サンプル♯3(深堀リッジ構造の窒化物半導体レーザ)として、サンプル♯1と同様に、基板上にAlGaInN系の積層構造体を形成し、発光層の下部までドライエッチングを行って光導波路を形成し、その後、光導波路の側面にGaNパッシベーション膜をエピタキシャル成長させたものを作製した。
以下、これら3つのサンプルについて考察する。まず、発光層の下部までエッチングした構造(深堀リッジ構造)のサンプル#2は、発光層の上部まででエッチングを止めたサンプル#1に対して、発光効率が低下することが分かった。サンプル♯1とサンプル♯2の電流電圧特性を評価したところ、これらのサンプルについては電流リーク等の電圧特性がほとんど変化していない。したがって、サンプル#2については、深堀リッジ構造の側面に露出した結晶表面に発生したダングリング・ボンドによって発生した準位による非発光再結合によって、半導体レーザの発光効率が低下していると考えられる。
そこで、上記のダングリング・ボンドを終端させるためにサンプル♯3を作製し、深堀リッジ構造の側面に対してGaNパッシベーション膜をエピタキシャル成長させた。しかしながら、サンプル#3では、リーク電流が発生し、結果的に電流−光変換効率が低下することが分かった。これは、発光層に用いられる窒化インジウムガリウム(InGaN)の結晶性の低下を防止するために、GaNパッシベーション膜のエピタキシャル成長温度を通常よりも200℃程度低くしたためであると考えられる。一方、このようなリーク電流を低減させるために、GaNパッシベーション膜のエピタキシャル成長温度を高くすることも考えられるが、高温によって窒化インジウムガリウム(InGaN)の結晶性が低下してしまい、結局この場合も発光効率が低下してしまう。すなわち、ダングリング・ボンドを終端させようとしても、このようなトレードオフの関係によって発光効率が低下するという問題がある。
以上、これら3つのサンプルから分かるように、深堀リッジ構造を有する窒化物半導体発光素子においては発光効率が低下するという問題がある。
さらに、深堀リッジ構造における外部との屈折率差に関して、従来のInGaAsP系の半導体レーザにおける発光層の屈折率は3.5程度であったのに対し、AlInGaN系の窒化物半導体レーザにおける発光層の屈折率は2〜2.5である。このため、深堀リッジ構造に対して、SiOやSiNなどの保護膜(屈折率1.5〜2)を形成しただけでは、発光層と十分な屈折率差を得ることができず、自然放出光を効果的に閉じ込めることができないという問題がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込め効果を向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することにより電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る窒化物半導体発光素子の一態様は、n型半導体層と、発光層と、p型半導体層とを有する窒化物半導体発光素子であって、リッジ側面として前記発光層の側面を含むリッジ構造を備え、前記発光層の側面は、前記発光層よりも抵抗が高いAlGaIn1−x−yN(但し、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)で構成されるパッシベーション膜によって覆われており、前記パッシベーション膜は、前記発光層よりも屈折率が低い低屈折率膜によって覆われているものである。
この構成により、パッシベーション膜に電流を流さずに、発光層側面のダングリング・ボンドを終端することが可能となる。さらに、パッシベーション膜を透過した発光層からの光は、低屈折率膜とパッシベーション膜との界面にて、効果的に閉じ込められる。したがって、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体発光素子の一態様において、前記パッシベーション膜は、エピタキシャル成長によって形成されることが好ましい。
この構成により、高抵抗のAlGaIn1−x−yNで構成されるパッシベーション膜を、エピタキシャル成長によって成膜することができる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体発光素子の一態様において、前記パッシベーション膜は、不純物がドープされていることが好ましい。
この構成により、パッシベーション膜がより高抵抗になり、高い電流閉じ込めを実現することができる。したがって、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体発光素子の一態様において、前記パッシベーション膜は、前記不純物としてMgがドープされていることが好ましい。
この構成により、パッシベーション膜がより高抵抗になり、高い電流閉じ込めを実現することができる。したがって、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
あるいは、本発明に係る窒化物半導体発光素子の一態様において、前記パッシベーション膜は、前記不純物として、C、Fe、またはRuがドープされていてもよい。
この構成によっても、パッシベーション膜がより高抵抗になり、高い電流閉じ込めを実現することができる。したがって、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体発光素子の一態様において、前記パッシベーション膜は、前記p型半導体層の側面に形成されたp型コンタクト膜と、前記発光層の側面に形成され、前記p型コンタクト膜よりも抵抗が高い高抵抗膜とで構成されていることが好ましい。さらに、前記高抵抗膜の水素濃度は、前記p型コンタクト膜の水素濃度よりも高いことが好ましい。
この構成により、p型半導体層の側面にp型導電性を示す領域を新たに形成することができるので、p型半導体層とp側電極とのコンタクト抵抗を低減することができる。そのため、動作電圧が下がり、消費電力を低減できる。したがって、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体発光素子の一態様において、前記低屈折率膜は、SiOであることが好ましい。
この構成により、パッシベーション膜と低屈折率膜との界面における屈折率差を1以上とすることができるので、発光層から発せられた光を効果的に光導波路内に閉じ込めることができる。したがって、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体発光素子の一態様において、前記低屈折率膜は、MgFまたはCaFであることが好ましい。
この構成により、パッシベーション膜と低屈折率膜との界面における屈折率差をSiOの屈折率以上にすることができるので、発光層から発せられた光を効果的に光導波路内に閉じ込めることができる。したがって、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体発光素子の一態様において、前記低屈折率膜は、誘電体の多層膜からなることが好ましい。
この構成により、パッシベーション膜と低屈折率膜との界面に対して臨界角よりも小さい角度で入射した発光層からの光の一部を、光導波路内へ反射させることができる。したがって、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体発光素子の一態様において、前記パッシベーション膜の膜厚は、100nm以下であり、前記低屈折率膜の膜厚は、100nm以上であることが好ましい。
この構成により、パッシベーション膜での光の吸収を抑制することができ、低屈折率膜によりp側電極の形成が容易になる。したがって、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
さらに、本発明に係る窒化物半導体発光素子の一態様において、当該窒化物半導体発光素子は、スーパールミネッセントダイオードであることが好ましい。
この構成により、窒化物半導体発光素子がスーパールミネッセントダイオードであるので、自然放出光を増幅させることができる。スーパールミネッセントダイオードは、半導体レーザと同様に光導波路を用いた半導体発光素子であるが、端面反射率を大きく下げることでレーザ発振を抑制し、低コヒーレント光と高指向性との両立を図ることができる。また、スーパールミネッセントダイオードから発せられる光は低コヒーレントなため、スペックルノイズは生じない。さらに、スーパールミネッセントダイオードでは自然放出光を増幅して出射することから、半導体レーザと比べて自然放出光の閉じ込め向上の効果がより顕著となる。したがって、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
また、本発明に係る窒化物半導体発光素子の他の一態様は、n型半導体層と、発光層と、p型半導体層とを有する窒化物半導体発光素子であって、リッジ側面として前記発光層の側面を含むリッジ構造を備え、前記発光層の側面は、Gaの酸化物からなるパッシベーション膜によって覆われており、前記パッシベーション膜は、前記発光層よりも屈折率が低い低屈折率膜によって覆われているものである。
この構成により、パッシベーション膜に電流を流さずに、発光層側面のダングリング・ボンドを終端することが可能となる。さらに、パッシベーション膜を透過した発光層からの光は、低屈折率膜とパッシベーション膜との界面にて、効果的に閉じ込められる。したがって、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
本発明に係る窒化物半導体発光素子によれば、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
図1(a)は、本発明の実施形態1に係る窒化物半導体発光素子の上面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A’線における同窒化物半導体発光素子の断面図である。 図2は、本発明の実施形態1に係る窒化物半導体発光素子の動作および作用効果を説明するための図である。 図3は、本発明の実施形態1に係る窒化物半導体発光素子100の製造方法における各工程を説明するための図である。 図4(a)は、本発明の実施形態2に係る窒化物半導体発光素子の上面図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A’線における同窒化物半導体発光素子の断面図である。 図5は、本発明の実施形態2に係る窒化物半導体発光素子の動作を説明するための図である。 図6(a)は、本発明の実施形態2に係る窒化物半導体発光素子において、発光光の電界方向が発光層の積層方向に平行な方向(TEwave)における反射率の計算結果を示す図であり、図6(b)は、同窒化物半導体発光素子において、発光光の電界方向が発光層の積層方向に垂直な方向(TMwave)における反射率の計算結果を示す図である。 図7は、本発明の実施形態2に係る窒化物半導体発光素子200の製造方法における各工程を説明するための図である。 図8は、深堀リッジ構造を有する従来の半導体レーザの断面図である。
以下に、本発明の実施形態に係る窒化物半導体発光素子およびその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係る窒化物半導体発光素子100について、図1(a)および図1(b)を用いて説明する。図1(a)は、本発明の実施形態1に係る窒化物半導体発光素子の上面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A’線における同窒化物半導体発光素子の断面図である。
(構造)
本発明の実施形態1に係る窒化物半導体発光素子100は、n型半導体層と、発光層と、p型半導体層とを有する窒化物半導体発光素子であって、図1(b)に示すように、例えばSiドープされたn型GaN基板である基板110上に形成された窒化物半導体層120を備える。
窒化物半導体層120は、基板110上に、例えばn型GaNであるn型バッファ層121、例えばn型AlGaNであるn型クラッド層122、例えばn型GaNであるn型ガイド層123、例えばInGaN量子井戸層とGaN量子障壁層とが交互に3層積層された発光層(活性層)124、例えばMgがドープされたp型GaNであるp型ガイド層125、および、例えばp型AlGaNであるp型クラッド層126が順に積層された積層構造体となっている。
このような窒化物半導体発光素子100において、窒化物半導体層120に形成される光導波路130は、リッジ側面として発光層124の側面を含む深堀リッジ構造で構成されている。深堀リッジ構造の光導波路130は、当該光導波路130を形成する箇所以外のp型クラッド層126の上方から、発光層124を貫通し、n型クラッド層122の積層方向の面が平坦面として露出するようにして形成される。これにより、n型クラッド層122の一部、n型ガイド層123、発光層124、p型ガイド層125、および、p型クラッド層126の各層の側面が露出する。また、光導波路130は、図1(a)に示すように、窒化物半導体発光素子100の後端面から前端面(光出射端面)にかけてストライプ状に形成されている。
さらに、窒化物半導体発光素子100では、n型クラッド層122、n型ガイド層123、発光層124、p型ガイド層125、および、p型クラッド層126からなる深堀リッジ構造の側面を覆うようにして、パッシベーション膜140が形成されている。なお、パッシベーション膜140は、露出されたn型クラッド層122の平坦面にも形成されている。
本実施形態において、パッシベーション膜140は、発光層124の抵抗よりも高い抵抗であるAlGaIn1−x−yN(但し、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)で表される窒化物半導体材料によって形成されており、高抵抗膜141とp型コンタクト膜142とで構成されている。パッシベーション膜140は、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)による結晶成長により成膜することができる。本実施形態において、パッシベーション膜140には不純物がドープされている。
パッシベーション膜140の高抵抗膜141は、n型クラッド層122およびn型ガイド層123で構成されるn型半導体層と発光層124との側面を覆うようにして形成されている。高抵抗膜141は、不純物としてMg(マグネシウム)がドープされたAlGaNによって構成することができる。
パッシベーション膜140のp型コンタクト膜142は、p型クラッド層126の側面を覆うようにして形成されている。p型コンタクト膜142は、不純物としてMgがドープされたAlGaNによって構成することができ、p型クラッド層126までを覆うようにして形成した高抵抗膜141の一部を、例えばレーザアニール等によってアニールすることにより形成することができる。
このように、本実施形態において、パッシベーション膜140には不純物がドープされている。これにより、パッシベーション膜140の抵抗を、より高抵抗化することができ、高い電流閉じ込めを実現することができる。また、p型クラッド層126の側面をp型コンタクト膜142で覆うことにより、p型クラッド層126とp側電極161とのコンタクト抵抗を低減することができるので、動作電圧を低減して消費電力を低減することができる。
ここで、パッシベーション膜140において、高抵抗膜141の抵抗はp型コンタクト膜142の抵抗よりも高いことが好ましい。本実施形態では、高抵抗膜141の水素濃度が、p型コンタクト膜142の水素濃度よりも高くなるように構成されている。これにより、p側電極161から発光層124への電流注入を、より効率良く行うことができる。
さらに、窒化物半導体発光素子100では、パッシベーション膜140を覆うようにして、発光層124よりも屈折率が低い低屈折率膜151が形成されている。
低屈折率膜151は、例えば、SiO(二酸化シリコン)によって構成することができる。低屈折率膜151としてSiOを用いることにより、パッシベーション膜140と低屈折率膜151との界面における屈折率差を1.0以上とすることができるので、発光層124で発生した光を効果的に光導波路130内に閉じ込めることができる。また、低屈折率膜151としては、MgF(フッ化マグネシウム)またはCaF(フッ化カルシウム)等のSiO以外の低屈折率の誘電体によって構成することもできる。これにより、パッシベーション膜140と低屈折率膜151との界面における屈折率差をSiOの屈折率以上とすることができるので、発光層124で発生した光をさらに効果的に光導波路130内に閉じ込めることができる。
さらに、窒化物半導体発光素子100では、p型クラッド層126およびp型コンタクト膜142に接するようにしてp側電極161が形成されている。これにより、p側電極161と、p型クラッド層126およびp型コンタクト膜142とが電気的に接続される。p側電極161は、例えば、Cr(クロム)、Ti(チタン)、Ni(ニッケル)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、Au(金)等の中から選ばれる少なくとも一つ以上の金属の単層または多層膜で構成されている。p側電極161としては、PdまたはPtの金属の多層膜で構成することが好ましい。
なお、図示しないが、基板110の裏面には、例えば、Cr、Ti、Ni、Pd、Pt、Au等の中から選ばれる少なくとも一つ以上の金属の単層または多層膜からなるn側電極が形成されている。
このように、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子100は、p側電極161とn側電極との間に高い電流を注入することにより、レーザ動作またはスーパールミネッセントダイオード動作する構造となっている。
なお、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子100において、発光層124は、例えば波長450nmもしくは波長520nmを中心波長とする青色もしくは緑色の発光を示すように調整されている。但し、これに限らず、例えば発光層124のインジウムの組成を変化させることにより、波長400nm〜650nmの間の特定の波長を中心波長として発光するように構成することができる。
また、本実施形態において、基板110は、導電性を示すn型GaNとしたが、これに限らない。基板110としては、例えばn型SiCやn型Siなどの異種基板を用いても構わない。さらには、サファイア基板等の絶縁基板を用いることも可能である。この場合、光導波路130外部においてn型クラッド層122が露出した表面に、p側電極161とは電気的に絶縁されたn側電極を形成することにより、窒化物半導体層120に電力を供給することができる。
(動作および作用効果)
次に、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子100の動作および作用効果について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態1に係る窒化物半導体発光素子の動作および作用効果を説明するための図である。
上述のとおり、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子100は、発光層124の側面が、MgをドープしたAlGaNからなるパッシベーション膜140によって覆われているので、パッシベーション膜140に電流を流すことなく、発光層124の側面に存在するダングリング・ボンドを効果的に終端させることが可能となる。これにより、ダングリング・ボンドに由来する、電子と正孔との非発光再結合を抑制することができるので、高発光効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
また、パッシベーション膜140を覆うようにして低屈折率膜151が形成されているので、パッシベーション膜140を透過した光は、低屈折率膜151とパッシベーション膜140との界面で反射して、効果的に光を閉じ込めることができる。
なお、パッシベーション膜140の結晶成長後に活性化を行わないことが好ましい。これにより、パッシベーション膜140における高抵抗膜141は、低温で成長した場合においても高抵抗となる。
このように構成される本実施形態に係る窒化物半導体発光素子100では、図2に示すように、p側電極161からp型クラッド層126およびp型コンタクト膜142に注入された電流は、高抵抗膜141を流れずに、発光層124に集中して流れることになる。したがって、光閉じ込めを効果的に向上させることができるとともに、非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現することができる。
さらに、本実施形態では、高抵抗膜141がAlGaNによって構成されているので、Mgドープ時における抵抗をより高くすることができる。これにより、図2下に示すように、発光層124と高抵抗膜141との屈折率差をより大きくとることができる。この結果、さらに効果的に光および電流を閉じ込めることができ、また、光が発光層124の側面のダングリング・ボンドにより吸収されることを抑制することができる。したがって、さらに高発光効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
なお、p型クラッド層126の側面に形成されたp型コンタクト膜142は、パッシベーション膜140を構成する高抵抗膜141の表面近傍のみを例えばレーザアニール技術等によりアニールすることにより活性化された状態とすることが好ましい。これにより、p側電極161との接触面積を拡大することができ、pコンタクト抵抗を低減することができる。したがって、一層高発光効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
さらに、低屈折率膜151は、SiO、MgF、CaF等の低屈折率の誘電体で構成することが好ましい。これにより、パッシベーション膜140との屈折率差を大きくとることが可能となる。したがって、効率的に光を発光層124に閉じ込めることができるので、さらに高発光効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
さらに、本実施形態において、パッシベーション膜140の膜厚は100nm以下とし、低屈折率膜151の膜厚は100nm以上とすることが好ましい。これにより、パッシベーション膜において光が吸収されてしまうことを抑制することができる。
(製造方法)
次に、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子100の製造方法について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態1に係る窒化物半導体発光素子100の製造方法における各工程を説明するための図である。
まず、図3(a)に示すように、n型導電性を有するGaNからなる基板110上に、n型バッファ層121、n型クラッド層122、n型ガイド層123、発光層124、p型ガイド層125、および、p型クラッド層126からなる窒化物半導体層120を形成する。
次に、図3(b)に示すように、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより、p型クラッド層126上に、SiOを形成して、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法を用いて、ストライプ状のSiOマスク101をパターン形成し、p型クラッド層126を露出させる。
次に、図3(c)に示すように、例えばClガスによるドライエッチングを施し、p型クラッド層126の上方から、発光層124を貫通してn型クラッド層122が露出するまでエッチングを行い、発光層124の側面を露出させる。これにより、発光層124の側面が露出するように構成されたリッジ構造を形成することができる。
次に、図3(d)に示すように、MOCVD法などにより、パッシベーション膜としてMgをドープしたAlGaNからなる高抵抗膜141を、露出した窒化物半導体層120の側面に結晶成長させる。このとき、図示しないが、結晶成長前にKOHや熱リン酸によって、露出した窒化物半導体層120の側面に対して表面処理を施すことが好ましい。このようにすることで、より高品質な結晶成長が可能となり、高発光効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。このように、本実施形態において、高抵抗膜141は、エピタキシャル成長によって成膜されている。
次に、図3(e)に示すように、レーザアニール法などにより、高抵抗膜141のうち、p型クラッド層126の側面の領域のみを、800℃以上の温度まで加熱を行う。このようにすることで、加熱された領域の高抵抗膜141は、p型コンタクト膜142として構成することができ、p型導電性を示すようになる。
次に、図3(f)に示すように、HFなどのウェットエッチングにより、SiOマスク101を除去する。その後、プラズマCVD法や真空蒸着法などにより、SiO、MgF、CaF等の低屈折率材料からなる低屈折率膜151を形成する。
次に、図3(g)に示すように、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法を用いて、p型クラッド層126およびp型コンタクト膜142が露出するように、深堀リッジ構造の上面の低屈折率膜151をエッチング除去する。
次に、図3(h)に示すように、フォトリソグラフィ法と真空蒸着法を用いて、p型クラッド層126およびp型コンタクト膜142と電気的に接するように、所定形状のp側電極161を形成する。
次に、図示しないが、フォトリソグラフィ法と真空蒸着法を用いて、基板110の裏面に、Ti、Al、Ni、Au等の多層膜からなるn側電極を形成する。
最後に、ブレードを用いたダイシング、またはへき開によりチップ分離を行うことにより、窒化物半導体発光素子を作製することができる。
以上により、光閉じ込めを向上させるとともに、深堀リッジ構造の側面での非発光再結合を抑制することができ、電力−光変換効率の高い窒化物半導体発光素子を実現できる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る窒化物半導体発光素子200について、図4(a)および図4(b)を用いて説明する。図4(a)は、本発明の実施形態2に係る窒化物半導体発光素子の上面図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A’線における同窒化物半導体発光素子の断面図である。
(構造)
本発明の実施形態2に係る窒化物半導体発光素子200は、実施形態1と同様に、n型半導体層と、発光層と、p型半導体層とを有する窒化物半導体発光素子であって、図4(b)に示すように、例えばSiドープされたn型GaN基板である基板210上に形成された、積層構造体である窒化物半導体層220を備える。
窒化物半導体層220は、基板210上に、例えばSiがドープされたGaNからなるn型バッファ層221、例えばSiがドープされたAlGaNからなるn型クラッド層222、例えばSiがドープされたGaNからなるn型ガイド層223、InGaNとGaNの多重量子井戸からなる発光層224、例えばMgがドープされたGaNからなるp型ガイド層225、および、例えばMgがドープされたAlGaNからなるp型クラッド層226が順に積層された積層構造体となっている。
本実施形態に係る窒化物半導体発光素子200でも、窒化物半導体層220に形成された光導波路230は、深堀リッジ構造で構成されている。深堀リッジ構造の光導波路230は、当該光導波路230を形成する個所以外のp型クラッド層226の上方から、発光層224等を貫通し、n型バッファ層221の積層方向の面が平坦面として露出するようにして形成される。これにより、n型バッファ層221の一部、n型クラッド層222、n型ガイド層223、発光層224、p型ガイド層225、および、p型クラッド層226の各層の側面が露出する。また、光導波路230は、図4(a)に示すように、一部曲線構造を有し、後端面から前端面(光出射端面)に向かって途中まではストライプ状に形成され、前端面側において前端面に対して傾斜した構造となっている。
さらに、窒化物半導体発光素子200では、n型バッファ層221、n型クラッド層222、n型ガイド層223、発光層224、p型ガイド層225、および、p型クラッド層226からなる深堀リッジ構造の側面を覆うようにして、パッシベーション膜240が形成されている。なお、パッシベーション膜240は、露出されたn型バッファ層221の平坦面にも形成されている。
本実施形態において、パッシベーション膜240は、発光層224の抵抗よりも高い抵抗であるAlGaIn1−x−yN(但し、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)で表される窒化物半導体材料によって形成されており、MOCVDによる結晶成長により成膜することができる。
また、パッシベーション膜240には不純物がドープされており、本実施形態では、例えば、Fe(鉄)、C(炭素)、Ru(ルテニウム)の中から選ばれるいずれか一つもしくは複数が不純物としてドープされている。これにより、パッシベーション膜240をより高抵抗化することができ、高い電流閉じ込めを実現することができる。なお、AlGaNからなるパッシベーション膜240において、Alの組成は0.5%〜20%の間であって、AlGaNの膜厚がAl組成に対して臨界膜厚以下であることが好ましい。
さらに、窒化物半導体発光素子100でも、パッシベーション膜240を覆うようにして、発光層224よりも屈折率が低い低屈折率膜251が形成されている。低屈折率膜251は、実施形態1と同様に、例えば、SiO、MgF、CaFによって構成することができる。
本実施形態では、さらに、低屈折率膜251を覆うようにして、誘電体多層膜270が形成されている。誘電体多層膜270は、SiO、TiO、MgF、CaF等の誘電体を複数種用いて、多層膜として構成することが好ましい。さらに、誘電体多層膜270は、発光層224からの光を、ブラッグ反射するように構成されていることが好ましい。
さらに、窒化物半導体発光素子100では、p型クラッド層226に接するようにして、p側電極261が形成されている。これにより、p側電極261とp型クラッド層226とが電気的に接続される。p側電極261は、例えばPdまたはPt等の金属の多層膜で構成することが好ましい。なお、図示しないが、基板210の裏面には、n側電極が形成されている。
このように、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子200は、p側電極261とn側電極との間に電流を注入することにより、レーザ動作またはスーパールミネッセントダイオード動作する構造となっている。
なお、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子200において、発光層224は、例えば波長450nmを中心とする青色の発光を示すように調整されている。但し、これに限らず、例えば発光層224のインジウムの組成を変化させることにより、波長400nm〜650nmの間の特定の波長を中心波長として発光するように構成することができる。
また、本実施形態において、基板210は、導電性を示すn型GaNとしたが、これに限らない。基板210としては、例えばn型SiCやn型Siなどの異種基板を用いても構わない。さらには、サファイア基板等の絶縁基板を用いることも可能である。この場合、例えば、光導波路230外部においてn型クラッド層222が露出した表面に、p側電極261と電気的に絶縁されたn側電極を形成することにより、窒化物半導体層220に電力を供給することができる。
なお、本実施形態において、パッシベーション膜240の膜厚は100nm以下とし、低屈折率膜251の膜厚は100nm以上とすることが好ましい。これにより、パッシベーション膜において光が吸収されてしまうことを抑制することができる。
(動作および作用効果)
次に、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子200の動作および作用効果について説明する。
上述のとおり、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子200は、発光層224の側面が、Fe、C、Ruのいずれか一つもしくは複数をドープしたAlGaNからなるパッシベーション膜240によって覆われているので、パッシベーション膜240に電流を流すことなく、発光層224の側面に存在するダングリング・ボンドを効果的に終端させることが可能となる。これにより、ダングリング・ボンドに由来する、電子と正孔との非発光再結合を抑制することができるので、高発光効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
さらに、パッシベーション膜240を覆うよう形成された誘電体多層膜270は、SiOやTiO等の誘電体の多層膜で構成されている。これにより、光を効率よく発光層224に閉じ込めることができる。この点について、図5を用いてさらに詳細に説明する。図5は、本発明の実施形態2に係る窒化物半導体発光素子の動作を説明するための図である。
発光層224で発生した光は、図5に示すように、光導波路230と低屈折率膜251との界面で屈折され、光導波路230から外部へと導かれた光を、ブラッグ反射により反射させて、光導波路230の内部へと戻すことが可能となる。
そのため、光線Lcで示すように、パッシベーション膜240と誘電体多層膜270との界面に対してパッシベーション膜240からの臨界角よりも小さい角度で入射した光の一部は、再び光導波路230(発光層224)内へ閉じ込めることが可能となる。つまり、光導波路230と低屈折率膜251との界面で反射することなく光導波路230内を伝播する光線Laと、光導波路230と低屈折率膜251との界面で全反射して光導波路230内を伝播する光線Lbと、上記のように、誘電体多層膜270においてブラッグ反射により反射して光導波路230内を伝播する光線Lcとを、光導波路230内に閉じ込めることが可能となる。これにより、光を効率的に発光層224に閉じ込めることができるので、高発光効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
この効果について、図6の計算例を用いて具体的に示す。図6(a)は、本発明の実施形態2に係る窒化物半導体発光素子において、発光光の電界方向が発光層の積層方向に平行な方向(TEwave)における反射率の計算結果を示す図であり、図6(b)は、同窒化物半導体発光素子において、発光光の電界方向が発光層の積層方向に垂直な方向(TMwave)における反射率の計算結果を示す図である。
なお、図6(a)および図6(b)の計算において、発光層224は、膜厚が0.5μmで、屈折率が2.45のGaNとし、発光層224で発光する光はGaNの光導波路中の発光層の中央部とし、光導波路の幅は1μm(発光位置からの側面への距離は0.5μm)とした。また、低屈折率膜251は、膜厚が0.7μmで、屈折率が1.5であるSiO膜とした。また、誘電体多層膜270は、膜厚が0.045μmで、屈折率が2.5であるTiOと、膜厚が0.075μmで、屈折率が1.5であるSiOとが1組となって構成される多層膜を用いて、これらの組を3ペア積層して構成した。なお、窒化物半導体発光素子200の外部は、屈折率が1.0の空気とした。
図6(a)および図6(b)に示すように、光導波路(GaN)と空気との反射率に対して、光導波路(GaN)と低屈折率膜(SiO膜)と誘電体多層膜(TiO/SiO(3ペア))との反射率は、発光光が発光点に対して、全方位(0〜90度)において十分に高いことが分かる。
また、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子200では、n型クラッド層222、発光層224、p型クラッド層226などからなる深堀リッジ構造が一部に曲線構造を有しており、光導波路230が窒化物半導体発光素子200の光出射端面に対して傾斜した構造となっている。これにより、光出射端面での反射率を低減することができ、効果的にスーパールミネッセントダイオード動作させることが可能となる。このため、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子200は、高効率であるとともに、ディスプレイ用光源として適当な低スペックルノイズを実現できる。
(製造方法)
次に、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子200の製造方法について、図7を用いて説明する。図7は、本発明の実施形態2に係る窒化物半導体発光素子200の製造方法における各工程を説明するための図である。
まず、図7(a)に示すように、n型導電性を有するGaNからなる基板210上に、n型バッファ層221、n型クラッド層222、n型ガイド層223、発光層224、p型ガイド層225、および、p型クラッド層226からなる窒化物半導体層220を形成する。
次に、図7(b)に示すように、プラズマCVD法などにより、p型クラッド層226上に、SiOを形成して、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法を用いて、光出射端面に対して傾斜するようにSiOマスク201をパターン形成し、p型クラッド層226を露出させる。
次に、図7(c)に示すように、例えばClガスによるドライエッチングを施し、p型クラッド層226および発光層224を貫通し、n型バッファ層221が露出するまでエッチングを行い、発光層224の側面を露出させる。これにより、発光層224の側面が露出するように構成されたリッジ構造を形成することができる。
次に、図7(d)に示すように、MOCVD法などにより、Fe、C、Ru等のいずれか一つもしくは複数をドープしたAlGaNからなるパッシベーション膜240を、露出した窒化物半導体層220の側面に結晶成長させる。このとき、図示しないが、結晶成長前にKOHや熱リン酸によって、露出した窒化物半導体層220の側面に対して表面処理を施すことが好ましい。このようにすることで、より高品質な結晶成長が可能となり、高発光効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
次に、図7(e)に示すように、HFなどのウェットエッチングにより、SiOマスク201を除去する。
次に、図7(f)に示すように、プラズマCVD法や真空蒸着法などにより、SiOやTiO等の誘電体材料からなる低屈折率膜251と、SiOやTiO等の誘電体材料の多層膜からなる誘電体多層膜270とを順次形成する。
次に、図7(g)に示すように、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法を用いて、p型クラッド層226が露出するように、深堀リッジ構造の上面における低屈折率膜251および誘電体多層膜270をエッチング除去する。
次に、図7(h)に示すように、フォトリソグラフィ法と真空蒸着法を用いて、p型クラッド層226と電気的に接するように、所定形状のp側電極261を形成する。
次に、図示しないが、フォトリソグラフィ法と真空蒸着法を用いて、基板210の裏面に、Ti、Al、Ni、Au等の多層膜からなるn側電極を形成する。
最後に、ブレードを用いたダイシング、またはへき開によりチップ分離を行うことにより、窒化物半導体発光素子を作製することができる。
以上により、光閉じ込めを向上させるとともに、深堀リッジ構造の側面での非発光再結合を抑制することができ、電力−光変換効率の高い窒化物半導体発光素子を実現できる。
以上、本発明に係る窒化物半導体発光素子について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記の実施形態では、パッシベーション膜は、AlGaInN系の窒化物半導体によって、特に、AlGaNによって構成したが、これに限らない。例えば、パッシベーション膜として、Gaの酸化物(Ga)を用いても構わない。Gaの酸化物によってパッシベーション膜を構成した場合でも、AlGaInNによってパッシベーション膜を構成した場合と同様の効果を奏する。すなわち、パッシベーション膜に電流を流さずに、発光層側面のダングリング・ボンドを終端することが可能となる。さらに、パッシベーション膜を透過した発光層からの光を、低屈折率膜とパッシベーション膜との界面にて効果的に閉じ込めることができる。これにより、窒化物半導体を用いた半導体レーザやスーパールミネッセントダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、光閉じ込めを効果的に向上させるとともに非発光再結合や電流リークを抑制することができるので、電力−光変換効率の高い高効率な窒化物半導体発光素子を実現できる。
また、上記の第1の実施形態では、n型クラッド層122が露出するまでエッチングを行うことによりリッジ構造を形成したが、第1の実施形態において、第2の実施形態のように、n型バッファ層121が露出までエッチングを行うことによりリッジ構造を形成しても構わない。
逆に、上記の第2の実施形態では、n型バッファ層221が露出するまでエッチングを行うことによりリッジ構造を形成したが、第2の実施形態において、第1の実施形態のように、n型クラッド層22が露出するまでエッチングを行うことによりリッジ構造を形成しても構わない。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施形態に施したもの、または異なる実施形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
本発明に係る窒化物半導体発光素子は、半導体レーザまたはスーパールミネッセントダイオードとして利用することができ、高輝度の光源として、特にプロジェクタなどのディスプレイ用光源として広く有用である。
100、200 窒化物半導体発光素子
110、210 基板
120、220 窒化物半導体層
121、221 n型バッファ層
122、222 n型クラッド層
123、223 n型ガイド層
124、224 発光層
125、225 p型ガイド層
126、226 p型クラッド層
130、230 光導波路
140、240 パッシベーション膜
141 高抵抗膜
142 p型コンタクト膜
151、251 低屈折率膜
161、261 p側電極
270 誘電体多層膜
101、201 SiOマスク

Claims (13)

  1. n型半導体層と、発光層と、p型半導体層とを有する窒化物半導体発光素子であって、
    リッジ側面として前記発光層の側面を含むリッジ構造を備え、
    前記発光層の側面は、前記発光層よりも抵抗が高いAlGaIn1−x−yN(但し、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)で構成されるパッシベーション膜によって覆われており、
    前記パッシベーション膜は、前記発光層よりも屈折率が低い低屈折率膜によって覆われている
    窒化物半導体発光素子。
  2. 前記パッシベーション膜は、エピタキシャル成長によって形成される
    請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記パッシベーション膜は、不純物がドープされている
    請求項1又は2に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記パッシベーション膜は、前記不純物としてMgがドープされている
    請求項3に記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 前記パッシベーション膜は、前記不純物として、C、Fe、またはRuがドープされている
    請求項3に記載の窒化物半導体発光素子。
  6. 前記パッシベーション膜は、前記p型半導体層の側面に形成されたp型コンタクト膜と、前記発光層の側面に形成され、前記p型コンタクト膜よりも抵抗が高い高抵抗膜とで構成されている
    請求項4に記載の窒化物半導体発光素子。
  7. 前記高抵抗膜の水素濃度は、前記p型コンタクト膜の水素濃度よりも高い
    請求項6に記載の窒化物半導体発光素子。
  8. 前記低屈折率膜は、SiOである
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  9. 前記低屈折率膜は、MgFまたはCaFである
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  10. 前記低屈折率膜は、誘電体の多層膜からなる
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  11. 前記パッシベーション膜の膜厚は、100nm以下であり、
    前記低屈折率膜の膜厚は、100nm以上である
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  12. 当該窒化物半導体発光素子は、スーパールミネッセントダイオードである
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  13. n型半導体層と、発光層と、p型半導体層とを有する窒化物半導体発光素子であって、
    リッジ側面として前記発光層の側面を含むリッジ構造を備え、
    前記発光層の側面は、Gaの酸化物からなるパッシベーション膜によって覆われており、
    前記パッシベーション膜は、前記発光層よりも屈折率が低い低屈折率膜によって覆われている
    窒化物半導体発光素子。
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