JP2010219287A - 半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに視認性の異なる複数種類の光を発生させることが可能な半導体発光素子を提供する。
【解決手段】半導体発光素子1Aは、レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bを、互いに同一の基板110上に備えたものである。レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bの間には、イオン打ち込み層10Cが設けられ、これによりレーザ素子部10Aへの電流狭窄がなされる。レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bにおいて、活性層113を含む半導体層と、p側電極117およびn側電極118とが、互いに共通の層として連続的に設けられている。LED素子部10Bでは、電流値に応じてリニアにLED光が放出される。レーザ素子部10Aでは、電流値が比較的低い状態ではLED光を放出される一方、電流値がある値を超えると、誘導放出によりレーザ光が放出される。
【選択図】図1
【解決手段】半導体発光素子1Aは、レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bを、互いに同一の基板110上に備えたものである。レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bの間には、イオン打ち込み層10Cが設けられ、これによりレーザ素子部10Aへの電流狭窄がなされる。レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bにおいて、活性層113を含む半導体層と、p側電極117およびn側電極118とが、互いに共通の層として連続的に設けられている。LED素子部10Bでは、電流値に応じてリニアにLED光が放出される。レーザ素子部10Aでは、電流値が比較的低い状態ではLED光を放出される一方、電流値がある値を超えると、誘導放出によりレーザ光が放出される。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば自動車のテールランプやストップランプ等の光源に好適に利用される半導体発光素子およびその製造方法に関する。
近年、電球や蛍光管に代わる照明あるいは表示用光源として、半導体発光素子を用いた光源が多く製品化されている。半導体発光素子は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)と半導体レーザに大別されるが、照明用途や表示用途に利用されているのは主に発光ダイオードである。発光ダイオードが用いられるアプリケーションとしては、例えば、車両用灯具、駅のホーム等に使用される電光表示装置、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)のバックライト、信号機に使用される表示灯等が挙げられる。一方、半導体レーザは、光ディスク、レーザビームプリンタおよびレーザポインタ等、主に測定用途として用いられている(例えば、特許文献1)。また最近では、半導体レーザの高出力化が進み、レーザマーカーや溶接等の加工用途や、半導体レーザを光源として用いたプロジェクタ等、高出力半導体レーザを利用したアプリケーションが発表されている。
ところが、半導体レーザから発振するレーザ光には、スペックルと呼ばれる特有の斑点模様が発生することが知られている。レーザ光は、拡散反射する面に照射されると、その面の各点において拡散反射することにより不規則な位相関係で干渉し合う。この現象は、人間の眼にぎらついた斑点状の模様、即ちスペックルとして認識され、絵や文字を視認する際に不快な印象を与えてしまう。このため、半導体レーザについては、照明用途や表示用途として積極的に使用されていないのが実状である。
ここで、上記のような発光ダイオードが用いられる照明の一例として、自動車のテールランプおよびストップランプ(ブレーキランプ)について考える。テールランプは、夜間、追尾のために常時点灯するものであり、ストップランプは、ブレーキを踏んだ際に一時的に点灯するものである。これらのランプにはいずれも、赤色の発光ダイオードが用いられることが多いが、ストップランプについては、後続車への警告を促すべく、テールランプよりも目立つように点灯させる必要がある。このためには、例えばテールランプよりもストップランプを高出力とすればよいが、赤色光は視感度が低く、出力の変化を明るさによって認識することが困難である。そのため、赤色光は一般的に視認度が低い。
加えて、ストップランプのような警告用ランプの点灯は、テールランプのような常時灯と異なり、安全上の観点から、遠方であっても、またいずれの角度方向からでも視認し易いことが望ましい。
即ち、例えば通常表示と、何らかの警告や通知等の周囲に対して特に目立たせたい表示とを両立させる光源として、互いに視認性の異なる複数種類の光を発生させることが可能な半導体発光素子の実現が望まれている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、互いに視認性の異なる複数種類の光を発生させることが可能な半導体発光素子およびその製造方法を提供することにある。
本発明の半導体発光素子は、半導体レーザを有する第1の素子部および発光ダイオードを有する第2の素子部が互いに同一の基板上に形成されているものである。
本発明の半導体発光素子の製造方法は、基板上に、半導体レーザを有する第1の素子部と発光ダイオードを有する第2の素子部とを、互いに同一のまたは異なる半導体層を成長させることにより形成するものである。
本発明の半導体発光素子では、第1の素子部では主に誘導放出により光(レーザ光)が発せられる一方、第2の素子部では自然放出により光が発せられる。これらのうちレーザ光は、互いに干渉し易いコヒーレント光である。このようなコヒーレント光は、物体面上で拡散反射されると、スペックルと呼ばれる斑点模様を生じるものであるが、その一方で、一点に焦点を結びにくいという性質を有している。このような性質により、誘導放出によるコヒーレント光は、自然放出による光(インコヒーレント光)に比べ、近視や遠視等の個人の視力によらず、また遠方や様々な角度方向においても視認され易くなる。
本発明の半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法によれば、半導体レーザを有する第1の素子部と、発光ダイオードを有する第2の素子部とを備えるようにしたので、第2の素子部からの光と、この光よりも視認性の高い光(第1の素子部からの光)とを同時に放出させることができる。即ち、レーザ光特有の性質を利用して、互いに視認性の異なる複数種類の光を発生させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態:レーザ素子部およびLED素子部をイオン打ち込み層を介して設けた例
2.変形例1:素子部間に不純物拡散層を設けた例
3.変形例2:素子部間に絶縁膜を設けた例
4.変形例3:p側電極を素子部ごとに独立して設けた例
5.変形例4:外部リフレクタを設けた例
6.第2の実施の形態:レーザ素子部およびLED素子部を溝部を介して設けた例
7.変形例5:溝部に逆型の半導体を埋め込んだ例
8.変形例6:溝部に誘電体を埋め込んだ例
9.変形例7:p側電極を素子部ごとに独立して設けた例
10.第3の実施の形態:レーザ素子部およびLED素子部を溝部を介して設け、レーザ素子部に2段階リッジを形成した例
11.第4の実施の形態:n側にブラッグ反射層を設けた例
12.変形例8:p側にブラッグ反射層を設けた例
13.第5の実施の形態:n側からも光取り出しを行う例
14.第6の実施の形態:レーザ素子部に上面発光型半導体レーザを用いた例
15.第7の実施の形態:LED素子部に共振器型発光ダイオードを用いた例
16.変形例9:側面に低反射率コートを施した例
1.第1の実施の形態:レーザ素子部およびLED素子部をイオン打ち込み層を介して設けた例
2.変形例1:素子部間に不純物拡散層を設けた例
3.変形例2:素子部間に絶縁膜を設けた例
4.変形例3:p側電極を素子部ごとに独立して設けた例
5.変形例4:外部リフレクタを設けた例
6.第2の実施の形態:レーザ素子部およびLED素子部を溝部を介して設けた例
7.変形例5:溝部に逆型の半導体を埋め込んだ例
8.変形例6:溝部に誘電体を埋め込んだ例
9.変形例7:p側電極を素子部ごとに独立して設けた例
10.第3の実施の形態:レーザ素子部およびLED素子部を溝部を介して設け、レーザ素子部に2段階リッジを形成した例
11.第4の実施の形態:n側にブラッグ反射層を設けた例
12.変形例8:p側にブラッグ反射層を設けた例
13.第5の実施の形態:n側からも光取り出しを行う例
14.第6の実施の形態:レーザ素子部に上面発光型半導体レーザを用いた例
15.第7の実施の形態:LED素子部に共振器型発光ダイオードを用いた例
16.変形例9:側面に低反射率コートを施した例
<第1の実施の形態>
[半導体発光素子1Aの構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1A)の断面構造(ストライプ方向に直交する断面の構造、以下同様)を表すものである。図2(A)は、半導体発光素子1Aをフロント端面の側からみたものであり、図2(B)は、半導体発光素子1Aをリヤ端面からみたものである。半導体発光素子1Aは、各種照明や表示灯等に利用される光源であり、特に、警告用と通常用との2種類の表示が必要とされる光源、例えば自動車のテールランプとストップランプとの双方を兼ねたランプや工事現場で使用される表示灯等に好適なものである。この半導体発光素子1Aは、主に一対の端面から発光が行われる、いわゆる端面発光(サイドエミッティング)型の発光素子である。
[半導体発光素子1Aの構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1A)の断面構造(ストライプ方向に直交する断面の構造、以下同様)を表すものである。図2(A)は、半導体発光素子1Aをフロント端面の側からみたものであり、図2(B)は、半導体発光素子1Aをリヤ端面からみたものである。半導体発光素子1Aは、各種照明や表示灯等に利用される光源であり、特に、警告用と通常用との2種類の表示が必要とされる光源、例えば自動車のテールランプとストップランプとの双方を兼ねたランプや工事現場で使用される表示灯等に好適なものである。この半導体発光素子1Aは、主に一対の端面から発光が行われる、いわゆる端面発光(サイドエミッティング)型の発光素子である。
半導体発光素子1Aは、レーザ素子部10A(第1の素子部)およびLED素子部10B(第2の素子部)を、互いに同一の基板110上に備えたものである。この半導体発光素子1Aは、レーザ素子部10A(ここでは、1つ)およびLED素子部10B(ここでは、2つ)を交互に配置してなるアレイ構造を有している。これらのレーザ素子部10AおよびLED素子部10Bの境界付近、即ちレーザ素子部10Aの両側にはイオン打ち込み層10Cが設けられている。
レーザ素子部10Aは、共振器構造を有し、主に誘導放出により光を放出する半導体発光素子である。LED素子部10Bは、自然放出により光を放出する半導体発光素子である。レーザ素子部10Aは、共振器長が例えば1000μm、幅(ストライプ幅)が例えば50μmとなっている。LED素子部10Bの幅は、例えば450μmである。このようなレーザ素子部10AおよびLED素子部10Bは、互いに同一の組成および厚みにより構成された半導体層(後述のバッファ層111〜p側コンタクト層116を含むエピタキシャル成長層)を有している。本実施の形態では、この半導体層が、レーザ素子部10AとLED素子部10Bとの間で、連続かつ一体的に形成されている。
基板110は、例えばn型GaAsより構成されている。この基板110上には、半導体層として、基板110の側から順に、バッファ層111、n型クラッド層112、活性層113、p型クラッド層114、保護層115およびp側コンタクト層116が積層されている。バッファ層111は、例えばn型GaAsおよびn型GaInPのうちの少なくとも一方からなり、厚みは例えば0.03μmである。n型クラッド層112は、例えばn型AlInPから構成されると共に、p型クラッド層114は例えばp型AlInPから構成され、厚みはそれぞれ例えば2.00μmである。保護層115は例えばGaInPからなり、厚みは例えば30nmである。p側コンタクト層116は、例えばp型GaAsからなり、厚みは例えば0.2μmである。n型のドーパントとしては、例えばケイ素(Si)やセレン(Se)、p型のドーパントとしては、例えば亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)およびベリリウム(Be)等が挙げられる。
活性層113は、例えば単一量子井戸(SQW:Single Quantum Well)構造または多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構造を有し、例えば光ガイド層と障壁層とを含んで構成されている。MQW構造の場合には、量子井戸層に隣接して複数の障壁層を更に備えていてもよい。光ガイド層は、例えばAlxGa1-xInP(0<x≦1)、障壁層は例えばAlyGa1-yInP(0<y≦1)からそれぞれ構成され、これらのAl組成については、x<yの関係を満たしている。例えば、SQW構造の場合、活性層113は、光ガイド層を一対の障壁層が上下から挟み込んだ積層構造となる。光ガイド層は、そのAl組成が例えばx=0であり、厚みは例えば12nmである。障壁層については、そのAl組成が例えばy=0.6であり、厚みは例えば0.12μmである。
このような積層構造を有する半導体層にキャリアを注入する電極として、p側コンタクト層116上にはp側電極117(第2電極)、基板110の裏面に、n側電極118(第1電極)がそれぞれ設けられている。これらのp側電極117およびn側電極118はいずれも、レーザ素子部10A、LED素子部10Bとの間で共通の電極として連続的に設けられている。
イオン打ち込み層10Cは、レーザ素子部10Aの一部とLED素子部10Bの一部とを電気的に絶縁して、レーザ素子部10Aへの電流を狭窄するものである。このイオン打ち込み層10Cは、半導体層に例えばボロンイオン(B+)が埋め込まれて構成されており、例えば後述のイオンインプランテーションにより形成されるものである。イオン打ち込み層10Cの深さ(厚み)の範囲は、具体的にはp型クラッド層114から保護層115およびp側コンタクト層116にかけてであるが、p型クラッド層114については完全に貫通していないことが望ましい。完全に貫通してしまうと、p側からのボロンイオンが深く注入されてn側と接触してしまい、その領域はダイオードとして機能せずにシリーズ抵抗が低くなり、電流が活性層に流れ込むことができなくなるためである。イオン打ち込み層10Cの幅は例えば25μmとなっている。
(端面の構成)
上記のような半導体発光素子1Aは、対向する一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)を有し、これら一対の端面のそれぞれから光を放出するものである。これらのフロント端面およびリヤ端面は、ウェハプロセスにおける劈開面であり、レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bに共通の面となっている。これらの端面には、それぞれ所定の反射率となるようにコーティングが施されており、これにより、レーザ素子部10Aでは共振器構造が形成されて誘導放出による発光がなされ、LED素子部10Bでは自然放出による発光がなされるようになっている。
上記のような半導体発光素子1Aは、対向する一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)を有し、これら一対の端面のそれぞれから光を放出するものである。これらのフロント端面およびリヤ端面は、ウェハプロセスにおける劈開面であり、レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bに共通の面となっている。これらの端面には、それぞれ所定の反射率となるようにコーティングが施されており、これにより、レーザ素子部10Aでは共振器構造が形成されて誘導放出による発光がなされ、LED素子部10Bでは自然放出による発光がなされるようになっている。
具体的には、図2(A)に示したように、フロント端面では、その全域(レーザ素子部10AおよびLED素子部10B全体)が、低反射率コート11FAにより覆われている。一方、図2(B)に示したように、リヤ端面では、レーザ素子部10Aに対応する領域が高反射率コート11RB、LED素子部10Bに対応する領域が低反射率コート11RAによりそれぞれ覆われている。イオン打ち込み層10Cについては、LED素子部10Bと同様、フロント端面およびリヤ端面の双方において低反射率コート11FA,11RAにより覆われていることが望ましい。このような低反射率コート11FA,11RAおよび高反射率コート11RBは、例えばアルミナ(Al2O3)やアモルファスシリコン(α-Si)等からなる誘電体膜の単層あるいは多層構造から構成されている。これらの膜材料の屈折率や厚みにより、また積層構造によって、各反射率が制御されるようになっている。
[半導体発光素子1Aの製造方法]
半導体発光素子1Aは、例えば次のようにして製造することができる。即ち、まず、図3(A)に示したように、基板110上に、上述した材料等よりなるバッファ層111、n型クラッド層112、活性層113、p型クラッド層114、保護層115およびp側コンタクト層116を、順次エピタキシャル成長させる。具体的には、MOVPE(Metal-Organic vapor phase epitaxy)法やMOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法等の有機金属気相成長法を用いる。これにより、半導体発光素子1Aの縦構造を有する半導体層を形成する。
半導体発光素子1Aは、例えば次のようにして製造することができる。即ち、まず、図3(A)に示したように、基板110上に、上述した材料等よりなるバッファ層111、n型クラッド層112、活性層113、p型クラッド層114、保護層115およびp側コンタクト層116を、順次エピタキシャル成長させる。具体的には、MOVPE(Metal-Organic vapor phase epitaxy)法やMOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法等の有機金属気相成長法を用いる。これにより、半導体発光素子1Aの縦構造を有する半導体層を形成する。
続いて、図3(B)に示したように、形成したp側コンタクト層116上に、例えばフォトリソグラフィ法等を用いて、所定の領域(イオン打ち込み層10Cの形成領域)に開口M100を有するマスクM1を形成する。マスクM1は、次工程(イオンインプランテーション)において、所定の領域にのみイオンを打ち込むと共に、他の領域(レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bの形成領域)を保護するために設けられるものである。このマスクM1の構成材料としては、アルミニウム(Al)等の金属を用いることが望ましい。この際、具体的には、アルミニウム等の金属膜をp側コンタクト層116上に例えば蒸着法やスパッタ法等により成膜したのち、フォトレジストを用いたパターニングにより、開口M100を形成する。
次いで、図3(C)に示したように、マスクM1を用い、イオンインプランテーションにより例えばボロンイオン(B+)を打ち込む。マスクM1の開口M100に対応する領域では、ボロンイオンはp型クラッド層114にまで到達する。こののち、図3(D)に示したように、マスクM1を除去することにより、イオン打ち込み層10Cを形成する。
続いて、図4(A)に示したように、p側コンタクト層116上に、p側電極117を例えば蒸着法により形成する。こののち、基板110の裏面にラッピングを施し、この裏面にn側電極118を形成することにより、半導体発光素子用ウェハを形成する。続いて、形成したウェハをストライプ方向と垂直方向に劈開することにより一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)を形成する。
最後に、図4(B)に示したように、半導体発光素子1Aのフロント端面の全域に、反射率が例えば7〜15%程度となるように、上述した誘電体膜を例えば蒸着法やスパッタ法等を用いてコーティングすることにより、低反射率コート11FAを形成する。リヤ端面については、図4(C)に示したように、レーザ素子部10Aに対応する領域において、反射率が例えば90〜95%程度となるように、上記と同様の方法を用いてコーティングすることにより、高反射率コート11RBを形成する。一方、リヤ端面のLED素子部10Bにおいては、反射率が例えば7〜15%程度となるように、上記と同様の方法を用いてコーティングすることにより、低反射率コート11RAを形成する。また、イオン打ち込み層10Cには、フロント端面およびリヤ端面の双方に、低反射率コート11FA,11RAを形成する。以上により、図1に示した半導体発光素子1Aを完成する。
[半導体発光素子1Aの作用]
半導体発光素子1Aでは、p側電極117およびn側電極118からキャリアが注入されると、レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bのそれぞれに流れ込む。このとき、イオン打ち込み層10Cにはキャリアは流れ込むことができないため、レーザ素子部10Aにおいて電流が狭窄される。レーザ素子部10A及びLED素子部10Bに注入されたキャリアは活性層113に到達し、バンドギャップエネルギーに基づいた波長で再結合して発光する。以下、LED素子部10Bおよびレーザ素子部10Aのそれぞれにおける発光作用について説明する。
半導体発光素子1Aでは、p側電極117およびn側電極118からキャリアが注入されると、レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bのそれぞれに流れ込む。このとき、イオン打ち込み層10Cにはキャリアは流れ込むことができないため、レーザ素子部10Aにおいて電流が狭窄される。レーザ素子部10A及びLED素子部10Bに注入されたキャリアは活性層113に到達し、バンドギャップエネルギーに基づいた波長で再結合して発光する。以下、LED素子部10Bおよびレーザ素子部10Aのそれぞれにおける発光作用について説明する。
(1.LED素子部10Bによる発光)
LED素子部10Bでは、活性層113で発生した光は、活性層113を伝播したのち、低反射率コート11FAで覆われたフロント端面あるいは低反射率コート11RAで覆われたリヤ端面に入射すると、その大部分の光がそのまま透過して素子外へ放出される。このとき、一部の光は反射され、反対側の端面に向けて進行するが、この反対側の端面において素子外へ放出される。当然、これらの端面同士の間で反射の繰り返しが起こり得るが、両端面ともに反射率が低いために、ほとんどの光は素子外部へ放出される。即ち、LED素子部10Bからは、自然放出光(以下、LED光という)が放出される。このLED光は、干渉性の低いインコヒーレント光である。
LED素子部10Bでは、活性層113で発生した光は、活性層113を伝播したのち、低反射率コート11FAで覆われたフロント端面あるいは低反射率コート11RAで覆われたリヤ端面に入射すると、その大部分の光がそのまま透過して素子外へ放出される。このとき、一部の光は反射され、反対側の端面に向けて進行するが、この反対側の端面において素子外へ放出される。当然、これらの端面同士の間で反射の繰り返しが起こり得るが、両端面ともに反射率が低いために、ほとんどの光は素子外部へ放出される。即ち、LED素子部10Bからは、自然放出光(以下、LED光という)が放出される。このLED光は、干渉性の低いインコヒーレント光である。
(2.レーザ素子部10Aによる発光)
レーザ素子部10Aでは、活性層113で発生した光は、フロント端面とリヤ端面との間で活性層113を伝播する。このとき、低反射率コート11FAで覆われたフロント端面に到達した光は、速やかに素子外へ取り出されるが、一部の光は反射されてリヤ端面側へと進行する。一方、高反射率コート11RBで覆われたリヤ端面に到達した光は、その大部分が反射され、その結果、フロント端面とリヤ端面の間では、幾度もの反射を繰り返すことになる。
レーザ素子部10Aでは、活性層113で発生した光は、フロント端面とリヤ端面との間で活性層113を伝播する。このとき、低反射率コート11FAで覆われたフロント端面に到達した光は、速やかに素子外へ取り出されるが、一部の光は反射されてリヤ端面側へと進行する。一方、高反射率コート11RBで覆われたリヤ端面に到達した光は、その大部分が反射され、その結果、フロント端面とリヤ端面の間では、幾度もの反射を繰り返すことになる。
このとき、活性層113内の光密度が低い状態では、レーザ素子部10Aにおいても、LED素子部10Bと同様、フロント端面からLED光が素子外部へ放出される。即ち、注入キャリアが少ない状態では、レーザ素子部10AはLED素子として機能する。
一方、注入キャリアが多くなり、伝導体の電子、価電子体のホールが増すと、再結合発光が多くなり自然放出光も増えていく。そのため、注入電流が増加するに従って、光密度が高くなり、その光子エネルギーによる伝導体の電子の強制的な遷移、いわゆる誘導放出遷移が始まる。言い換えると、注入キャリアが増大し、伝導体の電子、価電子体のホールが反転分布を形成すると、より誘導放出過程の遷移が多くなり、光の増幅現象を生じる。このとき、フロント端面とリヤ端面との間における反射の繰り返しによって、活性層113内の光密度が上昇すると、光の増幅が自然放出に打ち勝ち、誘導放出による光(以下、レーザ光という)を生じる(レーザ発振が起こる)。
ここで、本実施の形態では、p側電極117、n側電極118は、レーザ素子部10A、LED素子部10Bとの間で共通の電極として連続的に設けられている。これにより、電流はレーザ素子部10AおよびLED素子部10Bの双方に対して同時に流れ込む。このとき、電流量が低い状態では、レーザ素子部10AおよびLED素子部10B共に、リニアにLED光が放出される。この一方で、電流量が増加していくと、レーザ素子部10Aにおいて、上述したような誘導放出過程の遷移が自然放出よりも支配的になり、レーザ発振が起こる。即ち、ある一定の電流値(閾値電流)を超えると、LED素子部10BからLED光が放出されると同時に、レーザ素子部10Aからは、レーザ光が放出されるようになる。これにより、半導体発光素子1A全体としての光出力が増加すると共に、LED光に混じってレーザ光が素子外へ取り出される。
一例として、レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bにおける電流に対する光出力の関係(L−I特性)を図5に示す。図5に示したように、LED素子部10Bでは、電流の増加に伴い、LED光の出力がほぼリニアに増加する。これに対し、レーザ素子部10Aでは、電流値が低い状態(ここでは、200mA程度以下の状態)では、若干の光出力が見られるだけで、ほとんど光が放出されないことがわかる。この段階では、レーザ素子部10Aから放出される光はLED光である。ところが、レーザ素子部10Aでは、ある電流値(ここでは、250mA付近)を超えると、急激に光出力が増加する。この段階で放出される光がレーザ光である。
図6には、LED光およびレーザ光の発光スペクトルを示す。図6に示したように、LED光のスペクトルは半値幅(FWHM:full width half maximum)の広いガウシアン状のプロファイル(例えば、FWHM=30nm)となる。これに対し、レーザ光のスペクトルは半値幅の狭いデルタ関数状のプロファイル(例えば、FWHM=2nm)となっている。また、LED光およびレーザ光は互いに同一組成の活性層から発せられた光であるが、このスペクトルでは、レーザ光の発光ピークがLED光の発光ピークよりも長波長側にずれている。これは、レーザ素子部10AとLED素子部10Bとの間で活性層における作用温度が異なっているためである。即ち、共振器構造を形成しているレーザ素子部10Aは、LED素子部10Bよりも注入電流密度が高くなることから、活性層の作用温度が高くなる。このため、レーザ光はLED光に比べ長波長側へずれる。勿論、各素子部間で、活性層の作用温度が同じである場合には、各発光ピークは同じになる。
また、本実施の形態では、レーザ素子部10AとLED素子部10Bとの間、即ちレーザ素子部10Aの両側に、イオン打ち込み層10Cが形成されている。これにより、イオン打ち込み層10Cの直下の活性層113には、キャリアはほとんど注入されない。このため、イオン打ち込み層10Cに対応する領域で発生する光は、自然放出による非常に弱い光である。従って、各端面におけるイオン打ち込み層10Cに対応する領域に、低反射率コート11FA,11RAが形成されていることにより、このような微弱な自然放出光をも取り出すことができる。
更に、このイオン打ち込み層10Cに対応する領域では、注入キャリアも少なく、発光量も少ない上、イオン(ここでは、ボロンイオン)の打ち込み、および熱や光の吸収によって実効的な屈折率が変化し、この結果、レーザ素子部10Aとの間で屈折率差を生じる。これにより、レーザ素子部10Aでは、横方向における光閉じ込めが可能となる。よって、レーザ素子部10Aにおいて、横モードが安定し、よりレーザ発振が起こり易くなる。
以上のように、本実施の形態では、基板110上に、レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bを設けたので、電流値に応じて、LED光と同時にレーザ光を放出させることができる。これにより、半導体発光素子1Aの光出力が増加すると共に、LED光と共にレーザ光を発生させることができる。
ここで、レーザ光は、LED光と異なり、干渉し易いコヒーレント光である。このようなコヒーレント光は、物体面上で拡散反射されると、スペックルと呼ばれる斑点模様を生じるものであるが、その一方で、一点に焦点を結びにくいという性質を有している。即ち、レーザ光(コヒーレント光)は、人間の網膜上に焦点を結ぶことができず、LED光(インコヒーレント光)に比べ、近視や遠視等の個人の視力によらず、また遠方や様々な角度方向においても視認され易い。よって、本実施の形態によれば、このようなレーザ光特有の性質を利用して、互いに視認性の異なる複数種類の光を発生させることが可能となる。
次に、上記第1の実施の形態の変形例(変形例1〜4)について説明する。以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
<変形例1>
図7は、変形例1に係る半導体発光素子(半導体発光素子1B)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Bは、レーザ素子部10AとLED素子部10Bとの境界付近に不純物拡散層10C1が形成されていること以外は、上記第1の実施の形態と同様の構成となっている。不純物拡散層10C1は、上記第1の実施の形態におけるイオン打ち込み層10Cとほぼ同等の機能を有するものであり、この不純物拡散層10C1により、レーザ素子部10Aへの注入電流が狭窄され、効率の良いレーザ発振を実現することができる。なお、この不純物拡散層10C1の幅や深さについては、上記第1の実施の形態のイオン打ち込み層10Cと同様である。このようにレーザ素子部10AとLED素子部10Bとの境界付近に不純物拡散層10C1を形成してもよく、この場合であっても、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
図7は、変形例1に係る半導体発光素子(半導体発光素子1B)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Bは、レーザ素子部10AとLED素子部10Bとの境界付近に不純物拡散層10C1が形成されていること以外は、上記第1の実施の形態と同様の構成となっている。不純物拡散層10C1は、上記第1の実施の形態におけるイオン打ち込み層10Cとほぼ同等の機能を有するものであり、この不純物拡散層10C1により、レーザ素子部10Aへの注入電流が狭窄され、効率の良いレーザ発振を実現することができる。なお、この不純物拡散層10C1の幅や深さについては、上記第1の実施の形態のイオン打ち込み層10Cと同様である。このようにレーザ素子部10AとLED素子部10Bとの境界付近に不純物拡散層10C1を形成してもよく、この場合であっても、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
<変形例2>
図8は、変形例2に係る半導体発光素子(半導体発光素子1C)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Cは、レーザ素子部10AとLED素子部10Bとの境界付近に絶縁膜10C2が配置されていること以外は、上記第1の実施の形態と同様の構成となっている。絶縁膜10C2は、上記第1の実施の形態におけるイオン打ち込み層10Cとほぼ同等の機能を有するものであり、この絶縁膜10C2により、レーザ素子部10Aへの注入電流が狭窄され、効率の良いレーザ発振を実現することができる。このような絶縁膜10C2は、例えば、SiO2により構成されている。また、上述した手法により半導体層を形成したのち、この半導体層の選択的な領域に、例えばCVD法、蒸着法およびスパッタ法等の成膜技術と、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術とにより形成することができる。p側電極117を形成する際には、この絶縁膜10C2を覆うようにp側コンタクト層116の全面に形成する。この絶縁膜10C2の厚みは、例えば0.2μmであり、幅については、上記第1の実施の形態のイオン打ち込み層10Cと同様となっている。このように、レーザ素子部10AとLED素子部10Bとの境界付近に絶縁膜10C2を形成してもよく、この場合であっても、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
図8は、変形例2に係る半導体発光素子(半導体発光素子1C)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Cは、レーザ素子部10AとLED素子部10Bとの境界付近に絶縁膜10C2が配置されていること以外は、上記第1の実施の形態と同様の構成となっている。絶縁膜10C2は、上記第1の実施の形態におけるイオン打ち込み層10Cとほぼ同等の機能を有するものであり、この絶縁膜10C2により、レーザ素子部10Aへの注入電流が狭窄され、効率の良いレーザ発振を実現することができる。このような絶縁膜10C2は、例えば、SiO2により構成されている。また、上述した手法により半導体層を形成したのち、この半導体層の選択的な領域に、例えばCVD法、蒸着法およびスパッタ法等の成膜技術と、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術とにより形成することができる。p側電極117を形成する際には、この絶縁膜10C2を覆うようにp側コンタクト層116の全面に形成する。この絶縁膜10C2の厚みは、例えば0.2μmであり、幅については、上記第1の実施の形態のイオン打ち込み層10Cと同様となっている。このように、レーザ素子部10AとLED素子部10Bとの境界付近に絶縁膜10C2を形成してもよく、この場合であっても、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
<変形例3>
図9は、変形例3に係る半導体発光素子(半導体発光素子1D)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Dでは、p側の電極が、レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bごとに互いに独立して設けられていること以外は、上記第1の実施の形態と同様の構成となっている。即ち、レーザ素子部10Aでは、p側コンタクト層116上にp側電極117A、LED素子部10Bでは、p側コンタクト層116上にp側電極117Bがそれぞれ設けられている。
図9は、変形例3に係る半導体発光素子(半導体発光素子1D)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Dでは、p側の電極が、レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bごとに互いに独立して設けられていること以外は、上記第1の実施の形態と同様の構成となっている。即ち、レーザ素子部10Aでは、p側コンタクト層116上にp側電極117A、LED素子部10Bでは、p側コンタクト層116上にp側電極117Bがそれぞれ設けられている。
このように、レーザ素子部10Aにp側電極117A、LED素子部10Bにp側電極117Bがそれぞれ互いに独立して設けられていることにより、レーザ素子部10AおよびLED素子部10Bを独立に駆動することが可能となる。これにより、LED光の発生とレーザ光の発生をそれぞれ独立して制御することができる。従って、半導体発光素子1Dの用途に応じて、LED光の出力とレーザ光の出力の組み合わせを自由に設定することができる。よって、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができると共に、例えば表示用途に用いられる場合に、その必要とされる視認性に応じて、各光の出力を設定することが可能となる。
<変形例4>
図10は、変形例4に係る半導体発光素子の断面構造を模式的に表すものである。この半導体発光素子は、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aの発光面に対向して光反射面を有するリフレクタ2を備えている。リフレクタ2は、半導体発光素子1Aのサイド端面から放出された光を所望の方向(例えば、垂直方向)に立ち上げると共に、放出光を拡散反射させるために設けられるものである。端面発光型の半導体発光素子1Aでは、レーザ光LAおよびLED光LBは水平方向に放出されて使い勝手が悪いが、リフレクタ2を用いることにより、放出されたレーザ光LAおよびLED光LBを上方に立ち上げ、使い勝手を良くすることができる。
図10は、変形例4に係る半導体発光素子の断面構造を模式的に表すものである。この半導体発光素子は、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aの発光面に対向して光反射面を有するリフレクタ2を備えている。リフレクタ2は、半導体発光素子1Aのサイド端面から放出された光を所望の方向(例えば、垂直方向)に立ち上げると共に、放出光を拡散反射させるために設けられるものである。端面発光型の半導体発光素子1Aでは、レーザ光LAおよびLED光LBは水平方向に放出されて使い勝手が悪いが、リフレクタ2を用いることにより、放出されたレーザ光LAおよびLED光LBを上方に立ち上げ、使い勝手を良くすることができる。
<第2の実施の形態>
[半導体発光素子1Eの構成]
図11は、本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1E)の断面構造を表すものである。図12(A)は、半導体発光素子1Eをフロント端面の側からみたものであり、図12(B)は、半導体発光素子1Eをリヤ端面からみたものである。半導体発光素子1Eは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、各種照明や表示灯等に利用される光源であり、主に一対の端面から発光が行われる端面発光型の発光素子である。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[半導体発光素子1Eの構成]
図11は、本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1E)の断面構造を表すものである。図12(A)は、半導体発光素子1Eをフロント端面の側からみたものであり、図12(B)は、半導体発光素子1Eをリヤ端面からみたものである。半導体発光素子1Eは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、各種照明や表示灯等に利用される光源であり、主に一対の端面から発光が行われる端面発光型の発光素子である。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
半導体発光素子1Eは、上記第1の実施の形態と同様、レーザ素子部20A(第1の素子部)およびLED素子部20B(第2の素子部)を、互いに同一の基板110上に交互に配置してなるアレイ構造を有している。また、活性層113を含む半導体層(バッファ層111〜p側コンタクト層116)についても、レーザ素子部20AとLED素子部20Bとの間で、互いに同一の組成および厚みで構成されている。
但し、本実施の形態では、これらのレーザ素子部20AおよびLED素子部20Bの境界付近、即ちレーザ素子部20Aの両側の領域に溝部20Cが設けられている。即ち、本実施の形態では、半導体層が連続的に設けられた上記第1の実施の形態と異なり、溝部20Cによって、半導体層の一部が分断された構造となっている。この溝部20Cは、例えば後述のエッチングを用いて形成されるものである。
レーザ素子部20Aは、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aと同様、主に誘導放出により光を放出する半導体発光素子であり、LED素子部20Bは、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様、自然放出により光を放出する半導体発光素子である。レーザ素子部20AおよびLED素子部20Bの幅等の寸法についても上記第1の実施の形態のレーザ素子部10AおよびLED素子部10Bと同様となっている。
これらのレーザ素子部20AおよびLED素子部20Bは、上述のように、互いに同一の組成および厚みで構成された半導体層を有するが、この半導体層における積層構造の一部は、上記第1の実施の形態と異なっている。即ち、基板110上には、半導体層として、基板110の側から順に、バッファ層111、n型クラッド層112、活性層113、第1p型クラッド層114a、エッチングストップ層120が積層されている。これらの層はいずれも、レーザ素子部20AおよびLED素子部20Bにおいて連続的に形成されている。一方、エッチングストップ層120よりも上の層では、第2p型クラッド層114b、保護層115およびp側コンタクト層116が、溝部20Cにより分断されて積層されている。
第1p型クラッド層114aおよび第2p型クラッド層114bは、例えばp型AlInPから構成され、第1p型クラッド層114aの厚みは例えば0.25μm、第2p型クラッド層114bの厚みは例えば0.55μmである。エッチングストップ層120は、溝部20Cをエッチングにより形成する際に、溝部20Cの深さ制御を行うためのものである。このエッチングストップ層120は、例えばGaInPよりなり、厚みは例えば15nmである。
このような積層構造を有する半導体層にキャリアを注入する電極として、第2p型クラッド層114bおよび保護層115の側面、p側コンタクト層116の表面およびエッチングストップ層120の表面の一部を覆うように、p側電極121が形成されている。言い換えると、p側コンタクト層116上には、溝部20Cを埋め込むように、p側電極121が形成されている。一方、基板110の裏面には、n側電極118が設けられている。これらのp側電極121およびn側電極118はいずれも、レーザ素子部20A、LED素子部20Bとの間で共通の電極として連続的に設けられている。
溝部20Cは、上記第1の実施の形態のイオン打ち込み層10Cと同様、レーザ素子部20Aへの注入電流を狭窄するものであり、この溝部20Cにより効率の良いレーザ発振を実現することが可能となる。この溝部20Cの深さは、上述のように、エッチングストップ層120の配置に応じて設定され、例えば0.78μmである。溝部20Cの幅は、例えば25μmである。
(端面の構成)
上記のような半導体発光素子1Eは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、対向する一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)のそれぞれから光を放出するものである。これらのフロント端面およびリヤ端面は、レーザ素子部20AおよびLED素子部20Bに共通の面であり、上述したような反射率制御のためのコーティングがなされている。具体的には、図12(A)に示したように、フロント端面では、その全域が、低反射率コート21FAにより覆われている。一方、図12(B)に示したように、リヤ端面では、レーザ素子部20Aに対応して高反射率コート21RB、LED素子部20Bに対応して低反射率コート21RAが形成されている。溝部20Cに対応する領域については、上記第1の実施の形態のイオン打ち込み層10Cの場合と同様の理由から、フロント端面およびリヤ端面の双方に低反射率コート21FA,21RAが形成されていることが望ましい。但し、低反射率コート21FA,21RAおよび高反射率コート21RBは、上記第1の実施の形態の低反射率コート11FA,11RAおよび高反射率コート11RBと同様の手法により、その反射率制御がなされるようになっている。
上記のような半導体発光素子1Eは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、対向する一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)のそれぞれから光を放出するものである。これらのフロント端面およびリヤ端面は、レーザ素子部20AおよびLED素子部20Bに共通の面であり、上述したような反射率制御のためのコーティングがなされている。具体的には、図12(A)に示したように、フロント端面では、その全域が、低反射率コート21FAにより覆われている。一方、図12(B)に示したように、リヤ端面では、レーザ素子部20Aに対応して高反射率コート21RB、LED素子部20Bに対応して低反射率コート21RAが形成されている。溝部20Cに対応する領域については、上記第1の実施の形態のイオン打ち込み層10Cの場合と同様の理由から、フロント端面およびリヤ端面の双方に低反射率コート21FA,21RAが形成されていることが望ましい。但し、低反射率コート21FA,21RAおよび高反射率コート21RBは、上記第1の実施の形態の低反射率コート11FA,11RAおよび高反射率コート11RBと同様の手法により、その反射率制御がなされるようになっている。
[半導体発光素子1Eの製造方法]
半導体発光素子1Eは、例えば次のようにして製造することができる。即ち、まず、図13(A)に示したように、上記第1の実施の形態と同様の手法を用いて、基板110上に半導体層を形成する。具体的には、基板110上に、バッファ層111、n型クラッド層112、活性層113、第1p型クラッド層114a、エッチングストップ層120、第2p型クラッド層114b、保護層115およびp側コンタクト層116を順次形成する。
半導体発光素子1Eは、例えば次のようにして製造することができる。即ち、まず、図13(A)に示したように、上記第1の実施の形態と同様の手法を用いて、基板110上に半導体層を形成する。具体的には、基板110上に、バッファ層111、n型クラッド層112、活性層113、第1p型クラッド層114a、エッチングストップ層120、第2p型クラッド層114b、保護層115およびp側コンタクト層116を順次形成する。
続いて、図13(B)に示したように、p側コンタクト層116の上面に、例えばフォトリソグラフィ法等を用いて、所定の領域(溝部20Cの形成領域)に開口M101を有するマスクM2を形成する。マスクM2は、次工程(エッチング工程)において、所定の領域のみを選択的に除去すると共に他の領域(レーザ素子部20AおよびLED素子部20Bの形成領域)を保護するために設けられるものである。このマスクM2の構成材料としては、二酸化ケイ素(SiO2)等の誘電体を用いることが望ましい。この際、具体的には、SiO2等の誘電体膜をp側コンタクト層116上に例えば蒸着法やスパッタ法等により成膜したのち、フォトレジストを用いたパターニングにより、開口M101を形成する。
次いで、図13(C)に示したように、マスクM2を用いて、例えばウェットエッチング法によりエッチングを行う。これにより、開口M101に対応する領域において、エッチングストップ層120の表面に至るまでエッチングが進み、p側コンタクト層116、保護層115および第2p型クラッド層114bが順に除去される。このとき、エッチャントとしては、p側コンタクト層116に対しては燐酸系、保護層115に対しては塩酸系や酢酸系、第2p型クラッド層114bに対しては硫酸系をそれぞれ使用するとよい。硫酸系エッチャントを使用することにより、第2p型クラッド層114bと、エッチングストップ層120との間においてエッチング選択性をとることができ、エッチングの進行をエッチングストップ層120で停止させることができる。このため、再現性に優れたエッチングが可能となる。こののち、図13(D)に示したように、マスクM2をp側コンタクト層116上から除去することにより、溝部20Cが形成される。
なお、エッチングとしては、上記ウェットエッチング法の他にも、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等のドライエッチング法を用いるようにしてもよい。
続いて、図14(A)に示したように、p側コンタクト層116上に、溝部20Cを埋め込むように、p側電極121を、例えば蒸着法により形成する。こののち、上記第1の実施の形態と同様、基板110の裏面をラッピング後、n側電極118を形成したのち、劈開することにより一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)を形成する。
最後に、図14(B)に示したように、半導体発光素子1Eのフロント端面の全域に、上記第1の実施の形態と同様のコーティングにより、低反射率コート21FAを形成する。リヤ端面については、図14(C)に示したように、レーザ素子部20Aに対応する領域に、上記と同様の方法を用いて、高反射率コート21RBを形成する一方、LED素子部20Bに対応する領域に、低反射率コート21RAを形成する。また、溝部20Cに対応する領域には、フロント端面およびリヤ端面の双方に、低反射率コート21FA,21RAを形成する。以上により、図11に示した半導体発光素子1Eを完成する。
[半導体発光素子1Eの作用]
半導体発光素子1Eでは、p側電極121およびn側電極118からキャリアが注入されると、LED素子部20Bでは、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様の発光作用により、各端面からLED光が放出される。一方、レーザ素子部20Aでは、溝部20Cにより電流が狭窄されると共に、注入された電流量に応じて、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aと同様の発光作用により、各端面からレーザ光が放出される。
半導体発光素子1Eでは、p側電極121およびn側電極118からキャリアが注入されると、LED素子部20Bでは、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様の発光作用により、各端面からLED光が放出される。一方、レーザ素子部20Aでは、溝部20Cにより電流が狭窄されると共に、注入された電流量に応じて、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aと同様の発光作用により、各端面からレーザ光が放出される。
但し、本実施の形態では、レーザ素子部20Aの両側に溝部20Cが設けられ、この溝部20Cを埋め込むように、p側電極121が形成されている。即ち、溝部20Cにおいて、p側電極121と、p側コンタクト層116、保護層115および第2p型クラッド層114bとがそれぞれ接合されている。ところが、この接合面の近傍では、p型のドーパント濃度が薄く、いわゆるショットキー接合となるため、電流は流れない。そのため、溝部20Cの直下における活性層113では、注入されるキャリアが少なくなる。このため、溝部20Cに対応する領域で発生する光は、自然放出による非常に弱い光である。従って、各端面における溝部20Cに対応する領域に、低反射率コート21FA,21RAが形成されていることにより、このような微弱な自然放出光をも取り出すことができる。
また、溝部20Cに対応する領域では、注入キャリアも少なく、発光量も少ない上、クラッド層(第1p型クラッド層114a)が薄く、また熱や光の吸収によって実効的な屈折率が変化し、この結果、レーザ素子部20Aとの間で屈折率差を生じる。これにより、レーザ素子部20Aでは、横方向における光閉じ込めが可能となる。この溝部20Cによる光閉じ込め効果は、上記第1の実施の形態におけるイオン打ち込み層10Cによるものよりも大きくなる。よって、レーザ素子部20Aでは、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aよりも、横モードが安定し、効率の良いレーザ発振が生じる。
以上のように、本実施の形態では、基板110上に、レーザ素子部20AおよびLED素子部20Bを設けたので、上記第1の実施の形態と同様の作用原理により、LED光を放出させると同時にレーザ光を放出させることができる。よって、半導体発光素子1Eの光出力が増加すると共に、LED光と共にレーザ光を発生させることができる。即ち、上記第1の実施の形態とほぼ同等の効果を得ることができる。また、レーザ素子部20AおよびLED素子部20B同士の間に溝部20Cを形成したので、上記第1の実施の形態に比べ、レーザ光を効率良く取り出すことができる。
次に、上記第2の実施の形態の変形例(変形例5〜7)について説明する。以下では、上記第2の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
<変形例5>
図15は、変形例5に係る半導体発光素子(半導体発光素子1F)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Fは、レーザ素子部20AとLED素子部20Bとの間に設けられた溝部20Cにn型半導体122が充填されていること以外は、上記第2の実施の形態の半導体発光素子1Fと同様の構成となっている。即ち、溝部20Cには、溝部20Cによって分断された半導体層(ここでは、第2p型クラッド層114a、保護層115およびp側コンタクト層116)と逆型の半導体(ここでは、n型半導体122)が充填されている。このn型半導体122は、溝部10Cの形成後に、マスクM2を除去せずに、そのまま逆型の半導体層を成長させることにより形成することができる。これは、誘電体により構成されマスクM2上では共有結合できないので結晶成長が生じず、溝部10Cのみに逆型の半導体層が成長するためである。なお、n型半導体122を形成した後には、マスクM2を除去する。このように、溝部20Cを、これに隣接する半導体層と逆型の半導体によって充填するようにしてもよい。この場合であっても、n型半導体122により、レーザ素子部20Aへの電流が狭窄され、上記第2の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
図15は、変形例5に係る半導体発光素子(半導体発光素子1F)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Fは、レーザ素子部20AとLED素子部20Bとの間に設けられた溝部20Cにn型半導体122が充填されていること以外は、上記第2の実施の形態の半導体発光素子1Fと同様の構成となっている。即ち、溝部20Cには、溝部20Cによって分断された半導体層(ここでは、第2p型クラッド層114a、保護層115およびp側コンタクト層116)と逆型の半導体(ここでは、n型半導体122)が充填されている。このn型半導体122は、溝部10Cの形成後に、マスクM2を除去せずに、そのまま逆型の半導体層を成長させることにより形成することができる。これは、誘電体により構成されマスクM2上では共有結合できないので結晶成長が生じず、溝部10Cのみに逆型の半導体層が成長するためである。なお、n型半導体122を形成した後には、マスクM2を除去する。このように、溝部20Cを、これに隣接する半導体層と逆型の半導体によって充填するようにしてもよい。この場合であっても、n型半導体122により、レーザ素子部20Aへの電流が狭窄され、上記第2の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
<変形例6>
図16は、変形例6に係る半導体発光素子(半導体発光素子1G)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Gは、レーザ素子部20AとLED素子部20Bとの間に設けられた溝部20Cに絶縁体123が充填されていること以外は、上記第2の実施の形態の半導体発光素子1Fと同様の構成となっている。このように、溝部20Cを、絶縁体123によって充填するようにしてもよい。具体的には、マスクM2の除去後、全面に例えばSiO2よりなる絶縁膜を、溝部20Cを埋めるように成膜する。その後、成膜した絶縁膜のうち溝部20Cに埋め込まれた部分を保護するために、フォトリソグラフィ技術によりSiO2膜上にフォトマスクをパターニングする。続いて、エッチングを施すことにより、フォトマスクにより保護されていない絶縁膜を選択的に除去する。最後に、フォトマスクを除去することにより、図16に示したような絶縁体123を形成する。この場合であっても、絶縁体123により、レーザ素子部20Aへの電流が狭窄され、上記第2の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
図16は、変形例6に係る半導体発光素子(半導体発光素子1G)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Gは、レーザ素子部20AとLED素子部20Bとの間に設けられた溝部20Cに絶縁体123が充填されていること以外は、上記第2の実施の形態の半導体発光素子1Fと同様の構成となっている。このように、溝部20Cを、絶縁体123によって充填するようにしてもよい。具体的には、マスクM2の除去後、全面に例えばSiO2よりなる絶縁膜を、溝部20Cを埋めるように成膜する。その後、成膜した絶縁膜のうち溝部20Cに埋め込まれた部分を保護するために、フォトリソグラフィ技術によりSiO2膜上にフォトマスクをパターニングする。続いて、エッチングを施すことにより、フォトマスクにより保護されていない絶縁膜を選択的に除去する。最後に、フォトマスクを除去することにより、図16に示したような絶縁体123を形成する。この場合であっても、絶縁体123により、レーザ素子部20Aへの電流が狭窄され、上記第2の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
<変形例7>
図17は、変形例7に係る半導体発光素子(半導体発光素子1H)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Hでは、p側の電極が、レーザ素子部20AおよびLED素子部20Bごとに互いに独立して設けられていること以外は、上記第2の実施の形態と同様の構成となっている。即ち、レーザ素子部20Aでは、p側コンタクト層116上にp側電極124A、LED素子部20Bでは、p側コンタクト層116上にp側電極124Bがそれぞれ設けられている。
図17は、変形例7に係る半導体発光素子(半導体発光素子1H)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Hでは、p側の電極が、レーザ素子部20AおよびLED素子部20Bごとに互いに独立して設けられていること以外は、上記第2の実施の形態と同様の構成となっている。即ち、レーザ素子部20Aでは、p側コンタクト層116上にp側電極124A、LED素子部20Bでは、p側コンタクト層116上にp側電極124Bがそれぞれ設けられている。
このように、レーザ素子部20Aにp側電極124A、LED素子部20Bにp側電極124Bがそれぞれ互いに独立して設けられていることにより、レーザ素子部20AおよびLED素子部20Bを独立に駆動することが可能となる。これにより、LED光の発生とレーザ光の発生をそれぞれ独立して制御することができる。よって、上記第2の実施の形態と同等の効果を得ることができると共に、上記変形例3と同等の効果を得ることができる。
なお、上記第2の実施の形態の半導体発光素子1Eは、端面発光型であるため、上記変形例4と同様のリフレクタ2を用いて、半導体発光素子1Eから放出される光を上方に立ち上げるようにしてもよい。
<第3の実施の形態>
[半導体発光素子1Jの構成]
図18は、本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1J)の断面構造を表すものである。図19(A)は、半導体発光素子1Jをフロント端面の側からみたものであり、図19(B)は、半導体発光素子1Jをリヤ端面からみたものである。半導体発光素子1Jは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、各種照明や表示灯等に利用される光源であり、主に一対の端面から発光が行われる端面発光型の発光素子である。以下では、上記第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[半導体発光素子1Jの構成]
図18は、本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1J)の断面構造を表すものである。図19(A)は、半導体発光素子1Jをフロント端面の側からみたものであり、図19(B)は、半導体発光素子1Jをリヤ端面からみたものである。半導体発光素子1Jは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、各種照明や表示灯等に利用される光源であり、主に一対の端面から発光が行われる端面発光型の発光素子である。以下では、上記第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
半導体発光素子1Jは、上記第1および第2の実施の形態と同様、レーザ素子部30A(第1の素子部)およびLED素子部30B(第2の素子部)を、互いに同一の基板110上に交互に配置してなるアレイ構造を有している。また、活性層113を含む半導体層(バッファ層111〜p側コンタクト層116)についても、レーザ素子部30AとLED素子部30Bとの間で、互いに同一の組成および厚みで構成されている。更に、半導体層は、上記第2の実施の形態の半導体発光素子1Eと同様の積層構造を有すると共に、溝部30Cによって、レーザ素子部30AとLED素子部30Bとの間で分断されている。この溝部30Cは、上記第2の実施の形態と同様、エッチングを用いて形成されるものである。
但し、本実施の形態では、溝部20Cが半導体層の一部を分断してなる上記第2の実施の形態と異なり、溝部30Cが基板110の表面まで貫通しており、レーザ素子部30AとLED素子部30Bとを完全に分断している。また、レーザ素子部30Aは、互いに幅の異なる2段のリッジ(上部リッジR1および下部リッジR2)から構成されている。溝部30Cは、2段階のエッチングによって形成され、これにより、上部リッジR1および下部リッジR2が形成されるようになっている。
レーザ素子部30Aは、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aと同様、主に誘導放出により光を放出する半導体発光素子であり、LED素子部30Bは、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様、自然放出により光を放出する半導体発光素子である。レーザ素子部30Aの共振器長は、例えば1000μmであり、幅(下部リッジR2の幅に同じ)は例えば70μmとなっている。LED素子部30Bの幅は、例えば450μmである。
上部リッジR1は、半導体積層構造のうち、上側の層(ここでは、第1p型クラッド層114a、保護層115、および第2p型クラッド層114b)によって形成され、電流狭窄層として機能するものである。下部リッジR2は、上部リッジR1よりも幅(ストライプ幅)が広くなっていると共に、積層構造のうちの下側の層(ここでは、バッファ層111、n型クラッド層112、活性層113およびエッチングストップ層120)によって形成されている。上部リッジR1の幅は、例えば50μmであり、下部リッジR2の幅は、例えば70μmである。下部リッジR2において上部リッジR1から露出した領域(片側)aの幅は例えば10μmとなっている。
このようなレーザ素子部30AおよびLED素子部30Bにキャリアを注入する電極として、p側コンタクト層116上に、レーザ素子部30Aではp側電極130A、LED素子部30Bではp側電極130Bがそれぞれ設けられている。即ち、本実施の形態では、p側の電極が、レーザ素子部30AおよびLED素子部30Bごとに互いに独立して設けられている。一方、基板110の裏面には、n側電極118が設けられている。
溝部30Cは、レーザ素子部30AとLED素子部30Bとを基板110上において分断するものであり、この溝部30Cにより効率の良いレーザ発振を実現することが可能となる。この溝部30Cの深さは、例えば約2.4μmである。
(端面の構成)
上記のような半導体発光素子1Jは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、対向する一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)のそれぞれから光を放出するものである。これらのフロント端面およびリヤ端面は、レーザ素子部30AおよびLED素子部30Bに共通の面であり、上述したような反射率制御のためのコーティングがなされている。具体的には、図19(A)に示したように、フロント端面では、その全域が、低反射率コート31FAにより覆われている。一方、図19(B)に示したように、リヤ端面では、レーザ素子部30Aに対応して高反射率コート31RB、LED素子部30Bに対応して低反射率コート31RAが形成されている。但し、低反射率コート31FA,31RAおよび高反射率コート31RBは、上記第1の実施の形態の低反射率コート11FA,11RAおよび高反射率コート11RBと同様の手法により、その反射率制御がなされるようになっている。
上記のような半導体発光素子1Jは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、対向する一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)のそれぞれから光を放出するものである。これらのフロント端面およびリヤ端面は、レーザ素子部30AおよびLED素子部30Bに共通の面であり、上述したような反射率制御のためのコーティングがなされている。具体的には、図19(A)に示したように、フロント端面では、その全域が、低反射率コート31FAにより覆われている。一方、図19(B)に示したように、リヤ端面では、レーザ素子部30Aに対応して高反射率コート31RB、LED素子部30Bに対応して低反射率コート31RAが形成されている。但し、低反射率コート31FA,31RAおよび高反射率コート31RBは、上記第1の実施の形態の低反射率コート11FA,11RAおよび高反射率コート11RBと同様の手法により、その反射率制御がなされるようになっている。
[半導体発光素子1Jの製造方法]
半導体発光素子1Jは、例えば次のようにして製造することができる。即ち、まず、図20(A)に示したように、上記第1の実施の形態と同様の手法を用いて、基板110上に半導体層を形成する。具体的には、基板110上に、バッファ層111、n型クラッド層112、活性層113、第1p型クラッド層114a、エッチングストップ層120、第2p型クラッド層114b、保護層115およびp側コンタクト層116を順次形成する。
半導体発光素子1Jは、例えば次のようにして製造することができる。即ち、まず、図20(A)に示したように、上記第1の実施の形態と同様の手法を用いて、基板110上に半導体層を形成する。具体的には、基板110上に、バッファ層111、n型クラッド層112、活性層113、第1p型クラッド層114a、エッチングストップ層120、第2p型クラッド層114b、保護層115およびp側コンタクト層116を順次形成する。
続いて、図20(B)に示したように、p側コンタクト層116の上面の所定の領域(溝部30Cの形成領域)に開口M102を有してなるマスクM3を形成する。マスクM3は、次工程(1回目のエッチング工程)において、所定の領域の第2p型クラッド層114b、保護層115およびp側コンタクト層116を選択的に除去し、他の領域を保護するために設けられるものである。このマスクM3は、上記第2の実施の形態で用いたマスクM2と同様の材料および手法を用いて形成することができる。
次いで、図20(C)に示したように、マスクM3を用いて、例えばウェットエッチング法によりエッチング(1回目のエッチング)を行う。これにより、開口M102に対応する領域において、エッチングストップ層120の表面に至るまでエッチングが進み、p側コンタクト層116、保護層115および第2p型クラッド層114bが順に除去される。なお、この際に使用するエッチャントとしては、上記第2の実施の形態と同様のものが挙げられる。こののち、図20(D)に示したように、マスクM3をp側コンタクト層116上から除去することにより、上部リッジR1を形成する。
続いて、図21(A)に示したように、p側コンタクト層116上に、上記1回目のエッチングにより形成された上部リッジR1の上面および側面を覆うように、マスクM4を形成する。マスクM4には、所定の領域(溝部30Cの形成領域)に開口M103が設けられている。このマスクM4は、次工程(2回目のエッチング工程)において、所定の領域のバッファ層111、n型クラッド層112、活性層113、第1p型クラッド層114aおよびエッチングストップ層120を除去し、他の領域を保護するために設けられるものである。このマスクM4は、上記第2の実施の形態で用いたマスクM2と同様の材料および手法を用いて形成することができるが、その開口M103の幅は、上記開口M102よりも狭くなるように形成する。
次いで、図21(B)に示したように、マスクM4を用いて、例えばウェットエッチング法によりエッチング(2回目のエッチング)を行う。これにより、開口M103に対応する領域において、基板110の表面に至るまでエッチングが進み、エッチングストップ層120、第1p型クラッド層114a、活性層113、n型クラッド層112およびバッファ層111が順に除去される。このとき、エッチャントとしては、エッチングストップ層120および活性層部113に対しては塩酸系や酢酸系、第1p型クラッド層114a、n型クラッド層112およびバッファ層111に対しては硫酸系をそれぞれ使用するとよい。硫酸系エッチャントを使用することにより、n型クラッド層112と、基板110あるいはバッファ層111との間でエッチング選択性をとることができ、エッチングを基板110あるいはバッファ層で停止させることができる。よって、再現性に優れたエッチングが可能となる。こののち、図21(C)に示したように、マスクM4をp側コンタクト層116上から除去することにより、下部リッジR2が形成されると共に、溝部30Cが形成される。
なお、1回目および2回目のエッチングでは、上記ウェットエッチング法の他にも、反応性イオンエッチング等のドライエッチング法を用いるようにしてもよい。
続いて、図22(A)に示したように、p側コンタクト層116上に、レーザ素子部30Aではp側電極130A、LED素子部30Bではp側電極130Bをそれぞれ、例えば蒸着法により形成する。こののち、上記第1の実施の形態と同様、基板110の裏面をラッピング後、n側電極118を形成したのち、劈開することにより一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)を形成する。
最後に、図22(B)に示したように、半導体発光素子1Jのフロント端面の全域に、上記第1の実施の形態と同様のコーティングにより、低反射率コート31FAを形成する。リヤ端面については、図22(C)に示したように、レーザ素子部30Aに対応する領域に、上記と同様の方法を用いて、高反射率コート31RBを形成する一方、LED素子部30Bに対応する領域に、低反射率コート31RAを形成する。以上により、図18に示した半導体発光素子1Jを完成する。
[半導体発光素子1Jの作用]
半導体発光素子1Jでは、LED素子部30Bにおいて、p側電極130Bおよびn側電極118からキャリアが注入されると、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様の作用原理により、各端面からLED光が放出される。一方、レーザ素子部30Aでは、p側電極130Aおよびn側電極118からキャリアが注入されると、リッジR1により電流が狭窄されると共に、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aと同様の作用原理により、各端面からレーザ光が放出される。
半導体発光素子1Jでは、LED素子部30Bにおいて、p側電極130Bおよびn側電極118からキャリアが注入されると、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様の作用原理により、各端面からLED光が放出される。一方、レーザ素子部30Aでは、p側電極130Aおよびn側電極118からキャリアが注入されると、リッジR1により電流が狭窄されると共に、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aと同様の作用原理により、各端面からレーザ光が放出される。
但し、本実施の形態では、レーザ素子部30Aの両側に溝部30Cが設けられ、この溝部30Cは基板10の表面まで完全に貫通しているため、溝部30Cに対応する領域には活性層113が存在せず、発光は生じない。また、この溝部30Cにより、レーザ素子部30AおよびLED素子部30Bとの間で活性層113が分断されることにより、各素子間でのキャリアの流れ込み、光の干渉、モード競合、位相整合等がなくなる。よって、レーザ素子部30AおよびLED素子部30B共に、非常に安定した作用がなされる。
また、レーザ素子部30Aは、上部リッジR1および下部リッジR2から構成され、p側電極130Aはp側コンタクト層116の間でしかオーミックがとれないため、p側コンタクト層116の幅、即ち上部リッジR1にしか電流は流れない。なお、p側電極130Aは保護層115、第2p型クラッド層114bおよびエッチングストップ層120の側面部分を覆うように形成されていてもよい。このような場合であっても、上記第2の実施の形態で説明したように、ショットキー接合となるため、電流は流れない。このため、下部リッジR2における領域aでは、注入キャリアも少なく、発光量も少ない上、クラッド層(第1p型クラッド層114a)が薄く、また熱や光の吸収によって実効的な屈折率が変化し、横方向における光閉じ込めが可能となる。このような2段階リッジ構造(溝部30C)による光閉じ込め効果は、上記第1の実施の形態におけるイオン打ち込み層10Cによるものよりも大きくなる。よって、レーザ素子部30Aでは、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aよりも、横モードが安定し、効率の良いレーザ発振が生じる。
更に、本実施形態では、レーザ素子部30AとLED素子部30Bとの間で、p側電極は互いに独立に形成されていることにより、電流はレーザ素子部30A、LED素子部30Bのそれぞれに互いに独立に流れ込む。これにより、LED光の発生とレーザ光の発生をそれぞれ独立して制御することができる。従って、半導体発光素子1Jの用途に応じて、LED光の出力とレーザ光の出力の組み合わせを自由に設定することができる。よって、例えば表示用途に用いられる場合に、その必要とされる視認性に応じて、各光の出力を設定することが可能となる。
以上のように、本実施の形態では、基板110上に、レーザ素子部30AおよびLED素子部30Bを設けたので、上記第1の実施の形態と同様の作用原理により、LED光を放出させると同時に、レーザ光を放出させることができる。よって、半導体発光素子1Jの光出力を増大させると共に、LED光と共にレーザ光を発生させることができる。即ち、上記第1の実施の形態とほぼ同等の効果を得ることができる。但し、本実施の形態では、p側電極130A,130Bを互いに独立に形成したので、レーザ素子部30AおよびLED素子部30Bをそれぞれ独立に駆動制御することが可能である。また、レーザ素子部30AおよびLED素子部30B同士の間に溝部30Cを形成したので、上記第1の実施の形態に比べ、レーザ光を効率良く取り出すことができる。更に、溝部30Cにより、レーザ素子部30AとLED素子部30Bとの間で活性層113を分断すると共に、レーザ素子部30Aを2段階のリッジ構造としたので、上記第2の実施の形態よりも、レーザ発振を安定化させることが可能となる。
なお、上記第3の実施形態では、レーザ素子部30AとLED素子部30Bとの間に、溝部30Cを形成したが、この溝部30Cに、例えば上記変形例5,6で説明したような、逆型の半導体(n型(上層)とp型(下層)の半導体を積層したもの)や、絶縁体等を埋め込むようにしてもよい。
また、上記第3の実施の形態の半導体発光素子1Jは、端面発光型であるため、上記変形例4と同様のリフレクタ2を用いて、半導体発光素子1Jから放出される光を上方に立ち上げるようにしてもよい。
更に、上記第3実施の形態では、レーザ素子部30Aを上部リッジR1と下部リッジR2とからなる2段階リッジ構造としたが、2段階に限らず、3段階以上のリッジ構造としてもよい。また、溝部30Cが基板110の表面まで完全に貫通して、下部リッジR2を形成する構成を例に挙げたが、溝部30Cは、少なくとも活性層113を貫通していればよく、必ずしも基板110の表面まで達していなくともよい。活性層113が分断されていれば、上述したように、レーザ素子部30AおよびLED素子部30Bにおける各発光作用がより安定するからである。
<第4の実施の形態>
[半導体発光素子1Kの構成]
図23は、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1K)の断面構造を表すものである。図24(A)は、半導体発光素子1Kをフロント端面の側からみたものであり、図24(B)は、半導体発光素子1Kをリヤ端面からみたものである。半導体発光素子1Kは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、各種照明や表示灯等に利用される光源であり、主に一対の端面から発光が行われる端面発光型の発光素子である。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[半導体発光素子1Kの構成]
図23は、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1K)の断面構造を表すものである。図24(A)は、半導体発光素子1Kをフロント端面の側からみたものであり、図24(B)は、半導体発光素子1Kをリヤ端面からみたものである。半導体発光素子1Kは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、各種照明や表示灯等に利用される光源であり、主に一対の端面から発光が行われる端面発光型の発光素子である。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
半導体発光素子1Kは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、レーザ素子部40A(第1の素子部)およびLED素子部40B(第2の素子部)を、互いに同一の基板110上に交互に配置してなるアレイ構造を有している。活性層113を含む半導体層(バッファ層111〜p側コンタクト層116)についても、上記第1の実施の形態と同様の積層構造を有すると共に、レーザ素子部40AとLED素子部40Bとの間で、互いに同一の組成および厚みで連続的に形成されている。また、レーザ素子部40AとLED素子部40Bとの境界付近には、イオン打ち込み層10Cが形成され、このイオン打ち込み層10Cにより、レーザ素子部40Aへ注入される電流が狭窄されるようになっている。p側電極117およびn側電極118は、レーザ素子部40AとLED素子部40Bとの間で共通の電極として連続的に形成されている。
レーザ素子部40Aは、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aと同様、主に誘導放出により光を放出する半導体発光素子であり、LED素子部40Bは、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様、自然放出により光を放出する半導体発光素子である。レーザ素子部40AおよびLED素子部40Bの幅等の寸法についても、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10AおよびLED素子部10Bと同様である。
但し、本実施の形態では、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと異なり、半導体層の積層構造において、バッファ層111とn型クラッド層112との間に、ブラッグ反射層140が設けられている。ブラッグ反射層部140は、例えばn型AlInPおよびn型GaAsを1または複数回交互に積層したものである。例えば、厚みが50nmのn型AlInPと、厚みが40nmのn型GaAsとの積層体を1ペアとして、例えば10ペア分組み合わせたものが挙げられる。ブラッグ反射層部140は、このような積層構造により、入射した光を所定の角度方向に反射させるようになっている。
(端面の構成)
上記のような半導体発光素子1Kは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、対向する一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)のそれぞれから光を放出するものである。これらのフロント端面およびリヤ端面は、レーザ素子部40AおよびLED素子部40Bに共通の面であり、上述したような反射率制御のためのコーティングがなされている。具体的には、図24(A)に示したように、フロント端面では、その全域が、低反射率コート41FAにより覆われている。一方、図24(B)に示したように、リヤ端面では、レーザ素子部40Aに対応して高反射率コート41RB、LED素子部40Bに対応して低反射率コート41RAが形成されている。溝部10Cに対応する領域については、上記第1の実施の形態と同様、フロント端面およびリヤ端面の双方に低反射率コート41FA,41RAが形成されていることが望ましい。これらの低反射率コート41FA,41RAおよび高反射率コート41RBは、上記第1の実施の形態の低反射率コート11FA,11RAおよび高反射率コート11RBと同様の手法により、その反射率制御がなされるようになっている。
上記のような半導体発光素子1Kは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、対向する一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)のそれぞれから光を放出するものである。これらのフロント端面およびリヤ端面は、レーザ素子部40AおよびLED素子部40Bに共通の面であり、上述したような反射率制御のためのコーティングがなされている。具体的には、図24(A)に示したように、フロント端面では、その全域が、低反射率コート41FAにより覆われている。一方、図24(B)に示したように、リヤ端面では、レーザ素子部40Aに対応して高反射率コート41RB、LED素子部40Bに対応して低反射率コート41RAが形成されている。溝部10Cに対応する領域については、上記第1の実施の形態と同様、フロント端面およびリヤ端面の双方に低反射率コート41FA,41RAが形成されていることが望ましい。これらの低反射率コート41FA,41RAおよび高反射率コート41RBは、上記第1の実施の形態の低反射率コート11FA,11RAおよび高反射率コート11RBと同様の手法により、その反射率制御がなされるようになっている。
[半導体発光素子1Kの製造方法]
半導体発光素子1Kは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aとほぼ同様のプロセスにより形成することができる。但し、基板110上に半導体層を順次エピタキシャル成長させる工程において、バッファ層111上にブラッグ反射層140を上述した積層構造となるように成長させるようにする。
半導体発光素子1Kは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aとほぼ同様のプロセスにより形成することができる。但し、基板110上に半導体層を順次エピタキシャル成長させる工程において、バッファ層111上にブラッグ反射層140を上述した積層構造となるように成長させるようにする。
[半導体発光素子1Kの作用]
半導体発光素子1Kでは、p側電極117およびn側電極118からキャリアが注入されると、LED素子部40Bでは、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様の発光作用により、各端面からLED光が放出される。一方、レーザ素子部40Aでは、イオン打ち込み層10Cにより電流が狭窄されると共に、注入された電流量に応じて、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aと同様の発光作用により、各端面からレーザ光が放出される。
半導体発光素子1Kでは、p側電極117およびn側電極118からキャリアが注入されると、LED素子部40Bでは、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様の発光作用により、各端面からLED光が放出される。一方、レーザ素子部40Aでは、イオン打ち込み層10Cにより電流が狭窄されると共に、注入された電流量に応じて、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aと同様の発光作用により、各端面からレーザ光が放出される。
ここで、本実施の形態では、バッファ層111とn型クラッド層112との間にブラッグ反射層140が設けられていることにより、活性層113で発生した光のうち、下側(n側)へ染み出す光は、ブラッグ反射層140で反射され、活性層113の側へ戻される。このため、発光光が基板110やバッファ層111において吸収されることが抑制される。ブラッグ反射層140において反射された光は、フロント端面およびリヤ端面間で活性層113内を伝播した後、LED光あるいはレーザ光として、素子外へ放出される。
以上のように、本実施の形態では、基板110上に、レーザ素子部40AおよびLED素子部40Bを設けたので、上記第1の実施の形態と同様の作用原理により、LED光を放出させると同時にレーザ光を放出させることができる。よって、半導体発光素子1Kの光出力が増加すると共に、LED光と共にレーザ光を発生させることができる。即ち、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。また、バッファ層111とn型クラッド層112との間にブラッグ反射層140を形成したので、n側(基板110やバッファ層111)での光吸収を抑制することができ、これにより、上記第1〜第3の実施の形態よりも光取り出し効率を向上させることができる。
また、ここで、上記第4の実施の形態では、ブラッグ反射層140がn側に設けられているので、実装時には、p側から光が取り出されるようにすることが望ましい。即ち、n側を下にして、例えばヒートシンク機能を兼ねた電極ブロック(以下、単にヒートシンクという)にマウントした、いわゆるジャンクションアップ実装とするとよい。
更に、上記第4の実施の形態では、フロント端面およびリヤ端面だけでなく、上面(p側)からも光(LED光)の取り出しが可能な構造となっていることが望ましい。例えば、p側コンタクト層116としてp型GaPを用いると共に、p側電極117としてITO(インジウム錫酸化物)等を用い、p側が発光波長に対して透明となるようにする。あるいは、p側電極117に複数の開口を設けることにより、光取り出しを行うようにしてもよい。これは、活性層113で発生した光が、n側のブラッグ反射層140で反射された後、そのままp側へと進行し、最終的にp側コンタクト層116やp側電極117によって吸収されてしまうことがあるためである。上記のように、p側からも光取り出しを行うようにすれば、n側だけでなく、p側での光吸収をも抑制することができ、より光取り出し効率を向上させることができる。
<変形例8>
次に、上記第4の実施の形態の変形例(変形例8)について説明する。図25は、変形例8に係る半導体発光素子(半導体発光素子1L)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Lは、上記第4の実施の形態と同様、基板110上にレーザ素子部40AとLED素子部40Bとを有すると共に、これらの間にイオン打ち込み層10Cが形成されたものである。但し、本実施の形態では、半導体積層構造において、ブラッグ反射層140がn側に設けられてなる上記第4の実施の形態と異なり、ブラッグ反射層140がp側、具体的にはp型クラッド層114と保護層115との間に設けられている。
次に、上記第4の実施の形態の変形例(変形例8)について説明する。図25は、変形例8に係る半導体発光素子(半導体発光素子1L)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Lは、上記第4の実施の形態と同様、基板110上にレーザ素子部40AとLED素子部40Bとを有すると共に、これらの間にイオン打ち込み層10Cが形成されたものである。但し、本実施の形態では、半導体積層構造において、ブラッグ反射層140がn側に設けられてなる上記第4の実施の形態と異なり、ブラッグ反射層140がp側、具体的にはp型クラッド層114と保護層115との間に設けられている。
半導体発光素子1Lでは、ブラッグ反射層140が、p側に設けられていることにより、活性層113で発生した光のうち、p側へ染み出す光は、ブラッグ反射層140で反射され、活性層113の側へ戻される。このため、発光光がp側電極117やp側コンタクト層116において吸収されることが抑制される。このブラッグ反射層140において反射された光は、フロント端面およびリヤ端面間で活性層113内を伝播したのち、LED光あるいはレーザ光として、素子外へ放出される。
従って、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができると共に、p側における光吸収を抑制することができるため、上記第1〜第3の実施の形態よりも光取り出し効率を向上させることができる。
また、本変形例によれば、p側を下にしてヒートシンクにマウントする、いわゆるジャンクションダウン実装を行うことができる。これにより、n側を下にしてジャンクションアップ実装がなされる上記第4の実施の形態よりも、半導体発光素子IKの排熱を効率的に行うことが可能となる。
なお、上記第4の実施の形態では、レーザ素子部40AとLED素子部40Bとの間に、イオン打ち込み層10Cを設けた構成を例に挙げたが、これに限定されず、上記変形例1の不純物拡散層10C1や上記変形例2の絶縁膜10C2を設けるようにしてもよい。
また、上記第4の実施の形態では、p側電極117が、レーザ素子部40AおよびLED素子部40Bの共通の電極として連続的に形成された構成を例に挙げて説明したが、p側電極117の構成はこれに限定されない。上記変形例3のように、レーザ素子部40AとLED素子部40Bとの間で互いに独立となるように形成してもよい。
更に、上記第4の実施の形態の半導体発光素子1Jは、端面発光型であるため、上記変形例4と同様のリフレクタ2を用いて、半導体発光素子1Jから放出される光を上方に立ち上げるようにしてもよい。
加えて、上記第4の実施の形態では、レーザ素子部40AとLED素子部40Bとの間で、半導体層が連続的に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、上記第2および第3の実施の形態のように、各素子部間に溝部を設けるようにしてもよい。また、この溝部を、変形例5,6のように、逆型の半導体や絶縁体で埋め込むようにしてもよい。
また、上記第4の実施の形態では、上記第1の実施の形態における半導体層と同様の積層構造を例に挙げて説明したが、これに限定されず、上記第2および第3の実施の形態のような半導体積層構造としてもよい。いずれの場合にも、上述した有機金属気相成長法によるエピタキシャル成長工程において、ブラッグ反射層140を形成すればよい。
<第5の実施の形態>
[半導体発光素子1Mの構成]
図26は、本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1M)の断面構造を表すものである。図27(A)は、半導体発光素子1Mをフロント端面の側からみたものであり、図27(B)は、半導体発光素子1Mをリヤ端面からみたものである。半導体発光素子1Mは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、主に一対の端面から発光が行われる端面発光型の発光素子であるが、本実施の形態では、n側電極の側からも光(LED光)が取り出されるようになっている。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[半導体発光素子1Mの構成]
図26は、本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1M)の断面構造を表すものである。図27(A)は、半導体発光素子1Mをフロント端面の側からみたものであり、図27(B)は、半導体発光素子1Mをリヤ端面からみたものである。半導体発光素子1Mは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、主に一対の端面から発光が行われる端面発光型の発光素子であるが、本実施の形態では、n側電極の側からも光(LED光)が取り出されるようになっている。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
半導体発光素子1Mは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、レーザ素子部50A(第1の素子部)およびLED素子部50B(第2の素子部)を、互いに同一の基板150上に交互に配置してなるアレイ構造を有している。活性層113を含む半導体層(n型クラッド層112〜p側コンタクト層116)についても、上記第1の実施の形態と同様の積層構造を有すると共に、レーザ素子部50AとLED素子部50Bとの間で、互いに同一の組成および厚みで連続的に形成されている。また、レーザ素子部50AとLED素子部50Bとの境界付近には、イオン打ち込み層10Cが形成され、このイオン打ち込み層10Cにより、レーザ素子部50Aへ注入される電流が狭窄されるようになっている。p側電極117およびn側電極152は、レーザ素子部50AとLED素子部50Bとの間で共通の電極として連続的に形成されている。
レーザ素子部50Aは、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aと同様、主に誘導放出により光を放出する半導体発光素子であり、LED素子部50Bは、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様、自然放出により光を放出する半導体発光素子である。レーザ素子部50AおよびLED素子部50Bの幅等の寸法についても、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10AおよびLED素子部10Bと同様である。
但し、本実施の形態では、n側に配置された基板150、バッファ層151およびn側電極152が発光波長に対して透明な材料で構成されている点で、上記第1の実施の形態と異なっている。即ち、基板150は、例えばn型GaPからなり、バッファ層151は、例えばn型GaPおよびn型GaInPのうちの少なくとも一方により構成されている。n側電極152は、例えばITO等から構成されている。このような構成により、半導体発光素子1Mでは、n側電極152の側からも光取り出しが可能となる。なお、基板150は、上記のようにn型GaPから構成されていることが望ましいが、用途によってはn型InPにより構成されていてもよい。
また、上記のようにn側からも光取り出しを行うべく、半導体発光素子1Mでは、p側を下にして、n側を上にしたジャンクションダウン実装となるように、図示しないヒートシンクにマウントされるようになっている。
(端面の構成)
上記のような半導体発光素子1Mは、対向する一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)のそれぞれから光を放出するものである。これらのフロント端面およびリヤ端面は、レーザ素子部50AおよびLED素子部50Bに共通の面であり、上述したような反射率制御のためのコーティングがなされている。具体的には、図27(A)に示したように、フロント端面では、その全域が、低反射率コート51FAにより覆われている。一方、図27(B)に示したように、リヤ端面では、レーザ素子部50Aに対応して高反射率コート51RB、LED素子部50Bに対応して低反射率コート51RAが形成されている。溝部10Cに対応する領域については、上記第1の実施の形態と同様、フロント端面およびリヤ端面の双方に低反射率コート51FA,51RAが形成されていることが望ましい。これらの低反射率コート51FA,51RAおよび高反射率コート51RBは、上記第1の実施の形態の低反射率コート11FA,11RAおよび高反射率コート11RBと同様の手法により、その反射率制御がなされるようになっている。
上記のような半導体発光素子1Mは、対向する一対の端面(フロント端面およびリヤ端面)のそれぞれから光を放出するものである。これらのフロント端面およびリヤ端面は、レーザ素子部50AおよびLED素子部50Bに共通の面であり、上述したような反射率制御のためのコーティングがなされている。具体的には、図27(A)に示したように、フロント端面では、その全域が、低反射率コート51FAにより覆われている。一方、図27(B)に示したように、リヤ端面では、レーザ素子部50Aに対応して高反射率コート51RB、LED素子部50Bに対応して低反射率コート51RAが形成されている。溝部10Cに対応する領域については、上記第1の実施の形態と同様、フロント端面およびリヤ端面の双方に低反射率コート51FA,51RAが形成されていることが望ましい。これらの低反射率コート51FA,51RAおよび高反射率コート51RBは、上記第1の実施の形態の低反射率コート11FA,11RAおよび高反射率コート11RBと同様の手法により、その反射率制御がなされるようになっている。
[半導体発光素子1Mの製造方法]
半導体発光素子1Mは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aとほぼ同様のプロセスにより形成することができる。但し、本実施の形態では、基板150がn型GaPからなり、この基板150と半導体層との格子整合を行うことが非常に困難である。従って、他のn型GaAs等よりなる基板上に、一旦、上述した材料よりなる半導体層をエピタキシャル成長させた後、形成した半導体層からn型GaAs基板を、例えば研磨やエッチングにより除去して、基板150を貼り合わせるようにすればよい。
半導体発光素子1Mは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aとほぼ同様のプロセスにより形成することができる。但し、本実施の形態では、基板150がn型GaPからなり、この基板150と半導体層との格子整合を行うことが非常に困難である。従って、他のn型GaAs等よりなる基板上に、一旦、上述した材料よりなる半導体層をエピタキシャル成長させた後、形成した半導体層からn型GaAs基板を、例えば研磨やエッチングにより除去して、基板150を貼り合わせるようにすればよい。
[半導体発光素子1Mの作用]
半導体発光素子1Mでは、p側電極117およびn側電極152からキャリアが注入されると、LED素子部50Bでは、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様の発光作用により、各端面からLED光が放出される。一方、レーザ素子部50Aでは、イオン打ち込み層10Cにより電流が狭窄されると共に、注入された電流量に応じて、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aと同様の発光作用により、各端面からレーザ光が放出される。
半導体発光素子1Mでは、p側電極117およびn側電極152からキャリアが注入されると、LED素子部50Bでは、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様の発光作用により、各端面からLED光が放出される。一方、レーザ素子部50Aでは、イオン打ち込み層10Cにより電流が狭窄されると共に、注入された電流量に応じて、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aと同様の発光作用により、各端面からレーザ光が放出される。
ここで、本実施の形態では、基板150、バッファ層151およびn側電極152がそれぞれ発光波長に対して透明な材料により構成されている。これにより、活性層113で発生した光のうち、n側へ染み出す光は、バッファ層151、基板150およびn側電極152を透過して、n側電極152から取り出される。
このように本実施の形態では、基板150上に、レーザ素子部50AおよびLED素子部50Bを設けたので、上記第1の実施の形態と同様の作用原理により、LED光を放出させると同時にレーザ光を放出させることができる。よって、半導体発光素子1Mの光出力が増加すると共に、LED光と共にレーザ光を発生させることができる。即ち、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。また、基板150、バッファ層151およびn側電極152を透明としたので、n側における光吸収を抑制することができ、これにより、上記第1〜第3の実施の形態よりもLED光の光取り出し効率を向上させることができる。
なお、上記第5の実施の形態では、活性層113で発生した光のうち、n側へ染み出す光は、上述のようにn側を透過して素子外へ取り出されるが、p側へ染み出す光については、p側コンタクト層116やp側電極117により吸収されてしまうことがある。従って、上記変形例8のように、p側にブラッグ反射層を設けるようにしてもよい。これにより、活性層113からp側へ染み出した光をブラッグ反射層で反射させて、活性層113の側へ戻すことができる。活性層113へ戻った光は、活性層113内を伝播した後、LED光あるいはレーザ光として各端面から取り出される。また、この一方で、ブラッグ反射層で反射された光のうち、そのままn側へ向けて進行する光が生じることがあるが、このような光は、バッファ層151、基板150およびn側電極152を透過して、n側から取り出される。よって、上記第5の実施の形態において、上記変形例8で説明したブラッグ反射層(p側)を用いることにより、上記第1〜第4の実施の形態よりも、光取り出し効率を向上させることができる。
また、上記第5の実施の形態では、n側電極152を透明電極により構成したが、これに限定されず、n側電極152に光取り出し用の複数の開口を設けるようにしてもよい。
更に、上記第5の実施の形態では、レーザ素子部50AとLED素子部50Bとの間に、イオン打ち込み層10Cを設けた構成を例に挙げたが、これに限定されず、上記変形例1の不純物拡散層10C1や、上記変形例2の絶縁膜10C2を設けるようにしてもよい。
加えて、上記第5の実施の形態では、p側電極117が、レーザ素子部50AおよびLED素子部50Bの共通の電極として連続的に形成された構成を例に挙げて説明したが、p側電極117の構成はこれに限定されない。上記変形例3のように、レーザ素子部50AとLED素子部50Bとの間で互いに独立となるように形成してもよい。
また、上記第5の実施の形態の半導体発光素子1Mは、上面(n側電極の側)からLED光が取り出されるものの、レーザ光や一部のLED光については端面から取り出される。このため、上記変形例4と同様のリフレクタ2を用いて、半導体発光素子1Mから放出される光を上方に立ち上げるようにしてもよい。
更に、上記第5の実施の形態では、レーザ素子部50AとLED素子部50Bとの間で、半導体層が連続的に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、上記第2および第3の実施の形態のように、各素子部間に溝部を設けるようにしてもよい。また、この溝部を、変形例5,6のように、逆型の半導体や絶縁体で埋め込むようにしてもよい。
加えて、上記第5の実施の形態では、上記第1の実施の形態における半導体層と同様の積層構造を例に挙げて説明したが、これに限定されず、上記第2〜第4の実施の形態のような半導体積層構造としてもよい。いずれの場合にも、上述したように、n型のGaAs基板へのエピタキシャル成長工程の後、n型のGaAs基板を除去して、透明な基板150を貼り付けるようにすればよい。
<第6の実施の形態>
[半導体発光素子1Nの構成]
図28は、本発明の第6の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1N)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Nは、主にn側電極152の側から光が取り出される、いわゆる面発光型の半導体発光素子である。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[半導体発光素子1Nの構成]
図28は、本発明の第6の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1N)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Nは、主にn側電極152の側から光が取り出される、いわゆる面発光型の半導体発光素子である。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
半導体発光素子1Nは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、レーザ素子部60A(第1の素子部)およびLED素子部50B(第2の素子部)を、互いに同一の基板150上に交互に配置してなるアレイ構造を有している。レーザ素子部60AおよびLED素子部50Bは、上記第5の実施の形態で説明したように、発光波長に対して透明な基板150(バッファ層151)上に設けられている。なお、本実施の形態では、半導体発光素子1Nがp側を下にしたジャンクションダウンにより実装されるため、p側を下側、n側を上側として説明する。
但し、本実施の形態では、上記第1〜第5の実施の形態と異なり、レーザ素子部60AおよびLED素子部50Bが、互いに異なる半導体積層構造を有している。即ち、レーザ素子部60Aは、面発光型の半導体レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)となっている。このレーザ素子部60Aは、例えば基板150上に、バッファ層151、上側ブラッグ反射層162、n型クラッド層163、活性層113、p型クラッド層165、下側ブラッグ反射層166およびp側コンタクト層116がこの順に積層してなるものである。上側ブラッグ反射層162および下側ブラッグ反射層166は、上記第4の実施の形態におけるブラッグ反射層140と同様の積層構造により構成されている。本実施の形態では、これらの上側ブラッグ反射層162および下側ブラッグ反射層166が、レーザ素子部60Aにおける一対の共振器反射面を形成する。このため、上側ブラッグ反射層162が低反射率、下側ブラッグ反射層166が高反射率となるように反射率制御を行う。n型クラッド層163は、例えばn型AlGaInPからなり、p型クラッド層165は、例えばp型AlGaInPから構成されている。
これらのうち、n型クラッド層163、活性層113およびp型クラッド層165は、一対の電流狭窄層167によって挟み込まれている。電流狭窄層167は、例えばイオンインプランテーションにより形成され、例えばプロトンイオンを含んで構成されている。この電流狭窄層167により、レーザ素子部60Aにおいて、横方向の光閉じ込めが可能となる。p側コンタクト層116上には、p側電極168が設けられている。n側電極152は、基板150の裏面において、レーザ素子部60AからLED素子部50Bにかけて連続的に形成されている。なお、本実施の形態では、フロント端面およびリヤ端面の双方に低反射率コートが施されていることが望ましい。
[半導体発光素子1Nの製造方法]
半導体発光素子1Nを製造する際には、上記第1〜第5の実施の形態と異なり、レーザ素子部60AとLED素子部50Bとにおいて、エピタキシャル成長をそれぞれ独立に行う必要がある。レーザ素子部60AおよびLED素子部50Bのうちどちらを先に形成してもよいが、ここでは、レーザ素子部60Aの半導体積層構造を形成した後、LED素子部50Bの積層構造を形成する場合を例に挙げて説明する。
半導体発光素子1Nを製造する際には、上記第1〜第5の実施の形態と異なり、レーザ素子部60AとLED素子部50Bとにおいて、エピタキシャル成長をそれぞれ独立に行う必要がある。レーザ素子部60AおよびLED素子部50Bのうちどちらを先に形成してもよいが、ここでは、レーザ素子部60Aの半導体積層構造を形成した後、LED素子部50Bの積層構造を形成する場合を例に挙げて説明する。
即ち、まず、n型GaAsよりなる基板の全面に、バッファ層151、上側ブラッグ反射層162、n型クラッド層163、活性層113、p型クラッド層165、下側ブラッグ反射層166およびp側コンタクト層116を順次形成する(第1成長工程)。この後、例えばフォトリソグラフィ法を用いて、形成した半導体層のうち、選択的な領域(レーザ素子部60Aの形成領域)のみを残し、他の領域(LED素子部50Bの形成領域)の半導体層を除去する。続いて、この他の領域に、バッファ層151、n型クラッド層112、活性層113、p型クラッド層114、保護層115およびp側コンタクト層116を順次形成する(第2成長工程)。この後、それぞれの領域で成長させた半導体層表面にガラスや樹脂あるいは半導体からなるウェハを貼り合わせたのち、n型GaAs基板を研磨やエッチングによって除去し、基板150を貼り付ける。
なお、ここでは、上記第1成長工程においてレーザ素子部60Aとしての半導体層を全面に形成したのち、不要な部分を除去することにより、所望の領域に半導体層を形成するようにしたが、これに限定されず、例えば次のような手法を用いることもできる。即ち、n型GaAs基板上に、エピタキシャル成長の妨げとなる物質、例えば二酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)などの材料を予めパターニングしておき、その後にエピタキシャル成長を行うようにしてもよい。
次いで、レーザ素子部60Aに対応する半導体層の所定の領域に、例えばプロトンイオンをイオンインプランテーションにより打ち込むことにより、電流狭窄層167を形成する。最後に、p側コンタクト層116の表面にp側電極117,168、基板150の裏面にn側電極152をそれぞれ形成することにより、図28に示した半導体発光素子1Nを完成する。
[半導体発光素子1Nの作用]
半導体発光素子1Nでは、LED素子部50Bにおいて、p側電極117およびn側電極152からキャリアが注入されると、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様の作用原理により、各端面からLED光が放出される。また、活性層113から発生したLED光は、バッファ層151、基板150およびn側電極152を透過してn側からも放出される。
半導体発光素子1Nでは、LED素子部50Bにおいて、p側電極117およびn側電極152からキャリアが注入されると、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bと同様の作用原理により、各端面からLED光が放出される。また、活性層113から発生したLED光は、バッファ層151、基板150およびn側電極152を透過してn側からも放出される。
一方、レーザ素子部60Aでは、p側電極168およびn側電極152からキャリアが注入されると、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aとほぼ同様の作用原理により、レーザ光が放出される。但し、本実施の形態では、活性層113から発生した光が、上側ブラッグ反射層162と下側ブラッグ反射層166との間で反射を繰り返すことにより、誘導放出が起こる。増幅された光は、上側ブラッグ反射層162を透過して、n側電極152の上面からレーザ光として放出される。
以上のように、本実施の形態では、基板150上に、レーザ素子部60AおよびLED素子部50Bを設けたので、LED光を放出させると同時にレーザ光を放出させることができる。よって、半導体発光素子1Nの光出力が増加すると共に、LED光と共にレーザ光を発生させることができる。即ち、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。また、レーザ素子部60AおよびLED素子部50Bの光取り出しをn側電極152の上面から行うようにしたので、リフレクタ等の設置が不要となり、使い勝手が良くなる。
<第7の実施の形態>
[半導体発光素子1Pの構成]
図29は、本発明の第7の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1P)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Pは、n側電極152の側から光が取り出される、いわゆる面発光型の半導体発光素子である。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[半導体発光素子1Pの構成]
図29は、本発明の第7の実施形態に係る半導体発光素子(半導体発光素子1P)の断面構造を表すものである。半導体発光素子1Pは、n側電極152の側から光が取り出される、いわゆる面発光型の半導体発光素子である。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
半導体発光素子1Pは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様、レーザ素子部60A(第1の素子部)およびLED素子部60B(第2の素子部)を、互いに同一の基板150上に交互に配置してなるアレイ構造を有している。なお、本実施の形態では、半導体発光素子1Pがp側を下にしたジャンクションダウンにより実装されるため、p側を下側、n側を上側として説明する。レーザ素子部60Aは、上記第6の実施の形態と同様、VCSELにより構成されている。
本実施の形態では、LED素子部60Bが、共振器構造を有する上面発光型の発光ダイオード(RCLED:Resonant-Cavity Light Emitting Diode)となっている。このRCLEDとVCSELとにおける半導体層は、互いに同一の組成および厚みで形成されると共に、共通の層として連続的に形成されている。但し、LED素子部60Bは、電流狭窄層167を有しておらず、また、レーザ素子部60Aよりも広い幅(面積)となるように形成されている。なお、本実施の形態においても、上記第6の実施の形態と同様、フロント端面およびリヤ端面の双方に低反射率コートが施されていることが望ましい。
[半導体発光素子1Pの製造方法]
半導体発光素子1Pを製造する際には、上記のように、RCLEDおよびVCSELにおける半導体積層構造が共通であるため、エピタキシャル成長工程は一回でよい。例えば、まず、他のn型GaAs等よりなる基板上に、一旦、上述した材料よりなる半導体層を順次成長させた後、n型GaAs基板を除去して、代わりに基板150を貼り合わせる。この後、レーザ素子部60Aの所定の領域に、例えばプロトンイオンをイオンインプランテーションによって打ち込むことにより、電流狭窄層167を形成する。最後に、p側コンタクト層116の表面にp側電極117,168、基板150の裏面にn側電極152をそれぞれ形成することにより、図29に示した半導体発光素子1Pを完成する。
半導体発光素子1Pを製造する際には、上記のように、RCLEDおよびVCSELにおける半導体積層構造が共通であるため、エピタキシャル成長工程は一回でよい。例えば、まず、他のn型GaAs等よりなる基板上に、一旦、上述した材料よりなる半導体層を順次成長させた後、n型GaAs基板を除去して、代わりに基板150を貼り合わせる。この後、レーザ素子部60Aの所定の領域に、例えばプロトンイオンをイオンインプランテーションによって打ち込むことにより、電流狭窄層167を形成する。最後に、p側コンタクト層116の表面にp側電極117,168、基板150の裏面にn側電極152をそれぞれ形成することにより、図29に示した半導体発光素子1Pを完成する。
[半導体発光素子1Pの作用]
半導体発光素子1Pでは、LED素子部60Bにおいて、p側電極117およびn側電極152からキャリアが注入されると、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bとほぼ同様の作用原理により、LED光が放出される。但し、本実施の形態では、活性層113から発生した光は、上側ブラッグ反射層162を透過して、n側電極152の上面からLED光として放出される。
半導体発光素子1Pでは、LED素子部60Bにおいて、p側電極117およびn側電極152からキャリアが注入されると、上記第1の実施の形態のLED素子部10Bとほぼ同様の作用原理により、LED光が放出される。但し、本実施の形態では、活性層113から発生した光は、上側ブラッグ反射層162を透過して、n側電極152の上面からLED光として放出される。
一方、レーザ素子部60Aでは、p側電極168およびn側電極152からキャリアが注入されると、上記第1の実施の形態のレーザ素子部10Aとほぼ同様の作用原理により、レーザ光が放出される。但し、本実施の形態では、活性層113から発生した光が、上側ブラッグ反射層162と下側ブラッグ反射層166との間で反射を繰り返すことにより、誘導放出が起こる。増幅された光は、上側ブラッグ反射層162を透過して、n側電極152の上面からレーザ光として放出される。
ここで、レーザ素子部60Aが、LED素子部60Bに比べて狭い幅で設けられると共に、電流狭窄層167を有することにより、レーザ素子部60Aでは、注入電流密度が高くなり、レーザ発振が起こり易くなる。一方、LED素子部60Bの幅はレーザ素子部60Aよりも広く、電流狭窄構造を有していないため、LED素子部60Bでは、注入電流密度が低くなり、レーザ発振には至らずLED光を放出する。
以上のように、本実施の形態では、基板150上に、レーザ素子部60AおよびLED素子部60Bを設けたので、LED光を放出させると同時にレーザ光を放出させることができる。よって、半導体発光素子1Nの光出力が増加すると共に、LED光と共にレーザ光を発生させることができる。即ち、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。また、レーザ素子部60AおよびLED素子部60Bの光取り出しをn側電極152の上面から行うようにしたので、上記第6の実施の形態と同等の効果を得ることができる。更に、LED素子部60BをRCLEDとすることにより、VCSELからなるレーザ素子部60Aと、共通の半導体積層構造とすることができるため、1回のエピタキシャル成長で各素子部を形成することができる。よって、上記第6の実施の形態よりもプロセスを簡易化させることが可能となる。
なお、上記第6および第7の実施の形態では、n側電極152を透明電極により構成したが、これに限定されず、n側電極152に光取り出し用の複数の開口を設けるようにしてもよい。また、上記第7の実施の形態では、p側電極をレーザ素子部60AおよびLED素子部60B間で共通電極として形成してもよい。
<変形例9>
図30は、変形例9に係る半導体発光素子を他の側面(フロント端面よびリヤ端面以外の左右側面:以下、単に「側面」という)からみたものである。本変形例は、上記第1〜第7の実施の形態のそれぞれに適用されるが、ここでは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aを例に挙げて説明する。
図30は、変形例9に係る半導体発光素子を他の側面(フロント端面よびリヤ端面以外の左右側面:以下、単に「側面」という)からみたものである。本変形例は、上記第1〜第7の実施の形態のそれぞれに適用されるが、ここでは、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aを例に挙げて説明する。
上記第1の実施形態で説明したように、フロント端面には低反射率コート11FAが形され、リヤ端面には低反射率コート11RAおよび高反射率コート11RBが形成されるが、本変形例では、更に側面にも低反射率コート11SAを形成している。但し、側面に低反射率コート11SAを有すること以外は、上記第1の実施の形態の半導体発光素子1Aと同様の構成となっている。
本変形例では、p側電極117とn側電極118との間に、キャリアが注入されると、上記第1の実施の形態と同様の作用原理により、LED素子部10BからはLED光、レーザ素子部10Aからはレーザ光がそれぞれ放出される。よって、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。また、ここで、半導体発光素子1Bの左右両端には、LED素子部10Bが配置されているため、フロント端面およびリヤ端面に加え、側面からもLED光が放出される。このため、半導体発光素子1Bの側面に、低反射率コート11SAが形成されていることにより、LED光を側面からも効率良く取り出すことができる。このように、反射率制御のためのコーティングは、フロント端面およびリヤ端面に限らず、他の側面に形成してもよい。
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、基板上に1つのレーザ素子部を間にして、2つのLED素子部が設けられたアレイ構造を例に挙げて説明したが、レーザ素子部およびLED素子部のそれぞれの個数や配置関係については、これに限定されない。
また、上記実施の形態等では、端面における反射率制御の一例として、低反射率コートの反射率が7〜15%、高反射率コートの反射率が90〜95%である場合を例に挙げたが、各反射率の範囲はこれに限定されるものではない。というのも、LED素子部のフロント端面およびリヤ端面のそれぞれに低反射率コートを形成する目的は、LED光を取り出し易くするためであり、レーザ素子部において一方の端面に高反射率コートを形成する目的は、レーザ発振を生じ易くするためである。従って、LED素子部ではLED光、レーザ素子部ではレーザ光がそれぞれ発生するように各反射率が設定されていればよい。
例えば、レーザ素子部10Aにおいて、フロント端面、リヤ端面ともに反射率を32%程度としてもよく、この場合、各端面からは同程度の量のレーザ光が放出される。また、LED素子部10Bにおいても、反射率を32%程度にしてもよく、即ちフロント端面、リヤ端面の反射率を同じにしてもよい。各端面の反射率を同じにした場合、誘導放出現象は光密度だけで決まるので、レーザ発振に至るか否かはLED領域とレーザ領域内の光閉じ込め効率の差に依存する。即ち、キャリアの量を増加させていくと、横方向に光閉じ込め機構のあるレーザ領域では、フロント端面およびリヤ端面での反射により、伝播する光の振幅が増加し、レーザ発振が生じる。ところが、LED領域では横方向の光閉じ込めが弱い上に、左右非対称であり、かつ面積が大きいことから、レーザ領域と比較して光密度が上がらずに、誘導放出に至りにくい。もちろんキャリアをさらに注入していけば、光密度が上がるため、いずれ誘導放出が起こり得る。
1A〜1P…半導体発光素子、10A,20A,30A,40A,50A,60A…レーザ素子部、10B,20B,30B,40B,50B,60B…LED素子部、10C…イオン打ち込み層、10C1…不純物拡散層、10C2…絶縁膜、20C,30C…溝部、110,150…基板、111,151…バッファ層、112,163…n型クラッド層、113…活性層、114,165…p型クラッド層、114a…第1p型クラッド層、114b…第2p型クラッド層、115…保護層、116…p側コンタクト層、117,117A(B),121,124A(B),130A(B),168…p側電極、118,152…n側電極、120…エッチングストップ層、122…n型半導体、123絶縁体、140…ブラッグ反射層、162…上側ブラッグ反射層、166…下側ブラッグ反射層、167…電流狭窄層、11FA(RA),21FA(RA),31FA(RA),41FA(RA),51FA(RA),11SA…低反射率コート、11RB,21RB,31RB,41RB,51RB…高反射率コート、R1,R2…リッジ、2…リフレクタ。
Claims (19)
- 半導体レーザを有する第1の素子部および発光ダイオードを有する第2の素子部が互いに同一の基板上に形成されている
半導体発光素子。 - 互いに対向する一対の端面を有し、
前記一対の端面のうち一方の端面はその全域で低反射面となっており、
他方の端面は、前記第1の素子部に対応する領域で高反射面、前記第2の素子部に対応する領域で低反射面となっている
請求項1に記載の半導体発光素子。 - 前記第1の素子部および前記第2の素子部は、活性層を含むと共に互いに同一の材料により構成された半導体層を有する
請求項2に記載の半導体発光素子。 - 前記半導体層は、前記第1の素子部と前記第2の素子部との間で連続的に設けられ、
前記第1の素子部および前記第2の素子部同士の境界付近に、イオン打ち込み層、不純物拡散層または絶縁膜が形成されている
請求項3に記載の半導体発光素子。 - 前記半導体層は、前記基板の側から順に第1導電型半導体層、活性層および第2導電型半導体層を含み、
前記第1の素子部および前記第2の素子部同士の間に、前記半導体層のうち前記第2導電型半導体層の一部を分断する溝部が設けられている
請求項3に記載の半導体発光素子。 - 前記溝部に、第1導電型の半導体または誘電体が埋め込まれている
請求項5に記載の半導体発光素子。 - 前記半導体層は、前記基板側から順に第1導電型半導体層、活性層および第2導電型半導体層を含み、
前記第1の素子部および前記第2の素子部同士の間に、前記半導体層のうちの少なくとも前記第2導電型半導体層および前記活性層を分断する溝部が設けられている
請求項3に記載の半導体発光素子。 - 前記第1の素子部は、前記第2導電型半導体層の上部が第1のリッジ、前記第1導電型半導体層、活性層および第2導電型半導体層の下部が第2のリッジをそれぞれ形成してなる
請求項7に記載の半導体発光素子。 - 前記基板上に、ブラッグ反射層と、前記基板の側から順に第1導電型半導体層、活性層および第2導電型半導体層を含む半導体層とが設けられている
請求項3に記載の半導体発光素子。 - 前記ブラッグ反射層は、前記第2導電型半導体層上に設けられている
請求項9に記載の半導体発光素子。 - 前記基板の裏面に第1電極、前記半導体層上に第2電極がそれぞれ設けられ、
前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、発光波長に対して透明であるか、または複数の光取り出し用の開口を有する
請求項3に記載の半導体発光素子。 - 前記第1電極が、発光波長に対して透明であるか、または複数の光取り出し用の開口を有すると共に、前記基板は、発光波長に対して透明である
請求項11に記載の半導体発光素子。 - 前記基板の裏面に第1電極、前記半導体層上に第2電極がそれぞれ設けられ、
前記第2電極は、前記第1の素子部および前記第2の素子部同士の間で共通の層として連続的に設けられている
請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の半導体発光素子。 - 前記基板の裏面に第1電極、前記半導体層上に第2電極がそれぞれ設けられ、
前記第2電極は、前記第1の素子部および前記第2の素子部同士の間で互いに独立して設けられている
請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の半導体発光素子。 - 前記第1の素子部は、上面発光型の半導体レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)である
請求項1に記載の半導体発光素子。 - 前記第2の素子部は、共振器型発光ダイオード(RCLED:Resonant-Cavity Light Emitting Diode)である
請求項1に記載の半導体発光素子。 - 前記前側端面および前記後側端面を除いた側面が、低反射面となっている
請求項3に記載の半導体発光素子。 - 基板上に、半導体レーザを有する第1の素子部と発光ダイオードを有する第2の素子部とを、互いに同一のまたは異なる半導体層を成長させることにより形成する
半導体発光素子の製造方法。 - 一対の端面を形成する工程と、
前記一対の端面のうち、一方の端面の全域に低反射率コートを施すと共に、他方の端面に対して、前記第1の素子部に対応する領域では高反射率コート、前記第2の素子部に対応する領域では低反射率コートをそれぞれ施す工程と
を含む請求項18に記載の半導体発光素子の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012195395A (ja) * | 2011-03-16 | 2012-10-11 | Fujitsu Ltd | ハイブリッド光デバイス |
JP2012195480A (ja) * | 2011-03-17 | 2012-10-11 | Seiko Epson Corp | 発光装置およびプロジェクター |
JP2022093631A (ja) * | 2016-03-07 | 2022-06-23 | 晶元光電股▲ふん▼有限公司 | 発光素子 |
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2009
- 2009-03-17 JP JP2009064219A patent/JP2010219287A/ja active Pending
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