JP2012131079A - ボールペン及びボールペン用ペン先チップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インキは固形成分を含み、ボール15は直径が1.0mm以下であり、ボールハウス16の内径は、ボール15の外径に対して50マイクロメートル(μm)以上大きく、矢溝24は有底であってボールハウス16側とインキ導通孔12の双方に開口し、2条の矢溝24はボールハウス16側に対する開口幅が0.2mm以上であり、ボール15を座部20の中央に設置した状態で、ボール15によって封鎖されることなくボールハウス16側に開口する部位を先端開口部18側から見た正投影面積が、2条の各矢溝24それぞれ0.02平方ミリメートル以上であり、2条の各矢溝24のインキ導通孔12側の開口投影面積が0.02平方ミリメートル以上である。
【選択図】図8
Description
例えば、上記した立体的に盛り上がった図柄を描くことができる塗布具の一つとして、株式会社サクラクレパスから発売されているデコレーションペン(株式会社サクラクレパスの登録商標)がある。当該デコレーションペン用のインキの粘度は、塗布したときに盛り上がる様に、約20,000ミリパスカル秒(mPa・s)程度の高粘度に調整されている。そのため、インキ収納部から大量のインキを導出することは容易ではない。
そこで上記した塗布具(デコレーションペン)では、インキ収納部を変形容易な容器で形成し、インキ収納部の先端に孔を設け、インキ収納部を指で押圧して先端の小孔からインキを絞り出す構造を採用している。
ところが、盛り上がる線や光輝感のある線を描くためには、筆記用ボールの直径を大きく設計する必要があるのに対し、細い線を描くためには筆記用ボールの直径を小さく設計する必要があり、二律背反する事態となる。
そのため、前記のような一般ユーザーが所望するボールペンの製品化は、困難であった。
しかしながら、インキを加圧状態にすると、ペン先の先端開口部からインキが一気に噴出するという問題があった。
即ち本発明のボールペンでは、インキ導通孔に連通する溝(所謂矢溝)の幅が広く、且つ溝のボールハウス側に開口する開口面積と、インキ導通孔内面側に開く開口面積がいずれも大きく確保されているので、粒子の大きい光輝性顔料(固形成分)であっても前記溝に詰まることがない。
また本発明のボールペンでは、溝(所謂矢溝)が長く、筆記用ボールを座部の中央に設置した状態において、ボールによって封鎖されることなくボールハウス側に開口する部位が確保されている。そのため本発明のボールペンでは、溝(所謂矢溝)から直接的にボールとボールハウス内壁との間の隙間にインキが供給される。
さらに本発明のボールペンは、インキ導通孔に連通する溝が有底であるから、バネの先端が座部の溝に入り込まず、バネ先端部が筆記用ボールとチップの隙間に嵌り込まない。そのため、安定して筆記用ボールを押圧する。その結果、本発明のボールペンによれば、立体的に盛り上がった文字等を書くことができ、且つキラキラした光輝感のある文字等を書くことができ、さらに細かい文字や図柄を書くことができる。
なお本発明で採用する筆記用ボールは、その直径が1.0mm未満であるが、より推奨される筆記用ボールの直径は、0.8mm以下である。
図1(a),(b)に示すボールペン1は、ペン先チップ2と、先栓3と、インキ収納部4を有する。
そのためボール15によってペン先チップ2の先端開口18が強制的に封止され、インキの漏れを防いでいる。
前記した様に矢溝24は有底であるから、先端開口部18側と、中央孔30側の双方に開口している。
矢溝24は公知のそれと同様に、光輝性顔料40を含有した高粘度のインキ(図示省略)を、中央孔30から先端開口部18へ導出するための導出路である。矢溝24は、有底であって、ボールハウス16側からボールペンチップの後端側には不貫通の溝であり、バネ11の先端部33が入り込むことはなく、ボール15を座部20に配置した状態でも、ボール15によって封鎖されることはない。
矢溝24の底26の横幅W(図9)によって、矢溝24の幅Wが決まる。なお本実施形態では、矢溝24の幅Wは、一定である。
ボール15を含有したペン先チップ2の先端部14は、図3、図6(a)に示すように、正面視で先端開口部18からボール15の一部が露出しており、図6(b)に示すように、平面視で先端開口部18の内側に、ボール15のみが見える状態である。
図6(c)及び図11は、ボール15の最大径部分でペン先チップ2を破断した状態の断面図である。図6(c)及び図11の様に、ボール15が最大径で断面してみても、矢溝24および座部20ははっきりと見える状態であり、2条の矢溝24の合計長さは、ボール15の直径よりも大きい。なお図11では、矢溝24を黒ベタで表現している。
図10は、ボール15と座部20との接点で切断した断面図である。また図6(d)は、ボール15の最下部よりもさらに下側の部位で破断した断面図である。図6(d)において、矢溝24を構成する底26の全部が見える状態である。また中央孔30についても見えている。
即ち、中央孔30と矢溝24、矢溝24とボールハウス16とは、いずれもボール15で塞がれることなく連通しており、さらに、ボールハウス16もボール15で塞がれてはいない。
図8に示すように、中央孔30の内径は、ボールハウス16及びインキ導通孔12よりも小さく形成され、中央孔30は、インキ導通孔12と矢溝24の双方に連通している。中央孔30の内径aはボール15の径の半分から3分の2程度であり、中央孔30の高さ(長さ)Zはボール15の径の半分以上である。
バネ11の直径bは0.008mm〜0.14mmであり、中央孔30の内径aとバネ11の直径bとの差は、中央孔30の半分程度である。このことにより、光輝性顔料40等を含有した高粘度のインキを導通可能であり、且つバネ11の水平方向への可動範囲は制限される。また、バネ11の高さ方向の可動範囲は、ボール15の大きさに依存するところが大きいが、バネ11がボール15から押圧されても、中央孔30の高さZ以上の位置まで押されることはなく、バネ11の先端部33が中央孔30から外れることはない。即ち、バネ11の高さ方向の可動範囲はボール15の移動可能範囲たる軸方向のガタの範囲に制限される。
またボール15を中央孔30に配置した状態においても、ボール15によって矢溝24が封鎖されることはない。
図10から明らかな様に、ボール15を中央孔30に配置した状態においても、ボール15によって矢溝24が封鎖されることはない。
黒ベタで表示した部分の面積、即ちボール15を座面(座部20)の中央に設置した状態において、前記ボール15によって封鎖されることなくボールハウス16側に開口する部位を先端開口側から見た正投影面積は、2条の各溝それぞれ0.02mm2 (平方ミリメートル)以上である。より望ましくは、0.04mm2 (平方ミリメートル)以上である。
また、投影開口面積S2は、正投影面積S1以上の面積である。このことにより、座部20の矢溝24は、光輝性顔料40を含有した高粘度のインキを導通可能な開口面積を有している。
即ちボール15を座面(座部52)の中央に設置した状態において、前記ボール15によって封鎖されることなくボールハウス53側に開口する部位を先端開口側から見た正投影面積は、3条の各溝それぞれ0.02mm2 (平方ミリメートル)以上である。より望ましくは、0.04mm2 (平方ミリメートル)以上である。
ボールハウス53の内径Dは、ボール15の径に50μm〜100μm(マイクロメートル)足した大きさ以上であり、より望ましくは50mm〜80mmである。このことにより、ボール15の直径dに対して50μm(マイクロメートル)以上大きい。
これに対して、バネ等の弾性体によって、機械的に押圧し、インキ収納部4内のインキを加圧してもよい。
例えば図18に示すボールペン60では、インキ収納部4に可動栓61を設け、可動栓61とペン先チップ2の間にインキ62を充填する。そして可動栓61をバネ63でペン先チップ2に押圧してインキ収納部4のインキ62を昇圧する。
正投影面積S1及び投影開口面積S2は、ペン先チップ2の先端開口部18からインキを導出することに大きな影響を与える。即ち、正投影面積S1及び投影開口面積S2の各々の面積が極端に小さいと光輝性顔料40が通らないという問題があり、前記面積が極端に大きいと加圧されたインキが一気に噴出することになり、さらに加圧インキの圧力や、ボール15とボールハウス16との隙間、中央孔30の内径aとバネ11の直径bとの差等の各パラメータと相互に影響を与え合い、正投影面積S1及び投影開口面積S2の最善の面積を導き出すまでには多くの実験を必要とした。
実験では、ペン先チップ2の評価サンプルをA、B、Cの3種類に絞り込んで実験を行った。評価サンプルAは正投影面積S1を0.02mm2 (平方ミリメートル)以下とし、投影開口面積S2を0.02mm2 (平方ミリメートル)以上とした。評価サンプルBは正投影面積S1を0.02mm2 (平方ミリメートル)以上とし、投影開口面積S2を0.02mm2 (平方ミリメートル)以下とした。そして、評価サンプルCは正投影面積S1を0.02mm2 (平方ミリメートル)以上とし、投影開口面積S2を0.02mm2 (平方ミリメートル)以上とした。
そして、各評価サンプルを、立体感、光沢感、キラキラ度、書きやすさ、細文字、防漏度の6種類の項目にて、1(非常に悪い)、2(悪い)、3(どちらともいえない)、4(良い)、5(非常に良い)の6段階の基準で評価した。
実験の評価結果は図19の通りとなった。
図19に示す通り、評価サンプルAは6種類の全ての項目で最低の1(非常に悪い)となり、評価サンプルBは6種類の全ての項目で3(どちらともいえない)となった。
一方、評価サンプルCは6種類の全ての項目で5(非常に良い)となり、最善の面積を導き出すことができた。
2,50 ペン先チップ
4 インキ収納部
11 バネ
12 インキ導通孔
15 ボール(筆記用のボール)
16 ボールハウス
18 先端開口部
20,52 座部(座部)
24,51 矢溝(溝)
40 光輝性顔料(固形成分)
S1 ボールハウス側に開口する矢溝の先端開口部側から見た正投影面積
S2 中央孔側に開口する矢溝の投影開口面積
W 矢溝の底幅
Claims (5)
- インキが加圧状態で収納されるインキ収納部と、インキ収納部に接続されたペン先チップとを有し、前記ペン先チップは、チップ本体と筆記用のボールとバネとを有し、チップ本体はボールハウスと、先端開口と、インキ導通孔とを備え、前記先端開口はボールハウスの先端側にあってボールハウスの内外を連通するものであり、インキ導通孔は先端側がボールハウスの後端側の内面に開口してボールハウスの内外を連通するものであり、インキ導通孔はボールハウスに対する開口近傍が小径に絞られ、ボールハウス内にはインキ導通孔の開口部を中心として座部があり、当該座部にはインキ導通孔に連通する2条以上の溝が設けられ、前記筆記用のボールはボールハウス内にあってその一部が先端開口から露出し、前記バネはインキ導通孔内にあって筆記用のボールを先端開口側に向かって押圧する構成を備えたボールペンにおいて、
インキは固形成分を含み、
前記筆記用ボールは直径が1.0mm未満であり、
前記ボールハウスの内径は、前記筆記用ボールの外径に対して50マイクロメートル(μm)以上大きく、
前記溝はいずれも有底であってボールハウス側とインキ導通孔内面側の双方に開口し、前記溝の内の少なくとも2条の溝はボールハウス側に対する開口幅が0.2mm以上であり、
前記ボールを座部の中央に設置した状態において、前記ボールによって封鎖されることなくボールハウス側に開口する部位を先端開口側から見た正投影面積が、2条の各溝それぞれ0.02平方ミリメートル以上であり、
2条の各溝のインキ導通孔内面側の開口投影面積が0.02平方ミリメートル以上であることを特徴とするボールペン。 - 筆記用ボールの直径が0.3mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のボールペン。
- 溝は2条であってインキ導通孔を挟んで対向する位置に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のボールペン。
- 溝は3条であってインキ導通孔を挟んで放射状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のボールペン。
- インキが加圧状態で収納されたインキ収納部に装着されるボールペン用ペン先チップであって、チップ本体と筆記用のボールとバネとを有し、チップ本体はボールハウスと、先端開口と、インキ導通孔とを備え、前記先端開口はボールハウスの先端側にあってボールハウスの内外を連通するものであり、インキ導通孔は先端側がボールハウスの後端側の内面に開口してボールハウスの内外を連通するものであり、インキ導通孔はボールハウスに対する開口近傍が小径に絞られ、ボールハウス内にはインキ導通孔の開口部を中心として座部があり、当該座部にはインキ導通孔に連通する2条以上の溝が設けられ、前記筆記用のボールはボールハウス内にあってその一部が先端開口から露出し、前記バネはインキ導通孔内にあって筆記用のボールを先端開口側に向かって押圧する構成を備えたボールペン用ペン先チップにおいて、
前記筆記用ボールは直径が1.0mm未満であり、
前記ボールハウスの内径は、前記筆記用ボールの外径に対して50マイクロメートル(μm)以上大きく、
前記溝はいずれも有底であってボールハウス側とインキ導通孔内面側の双方に開口し、前記溝の内の少なくとも2条の溝はボールハウス側に対する開口幅が0.2mm以上であり、
前記ボールを座部の中央に設置した状態において、前記ボールによって封鎖されることなくボールハウス側に開口する部位を先端開口側から見た正投影面積が、2条の各溝それぞれ0.02平方ミリメートル以上であり、
2条の各溝のインキ導通孔内面側の開口投影面積が0.02平方ミリメートル以上であることを特徴とするボールペン用ペン先チップ。
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