JP2012130363A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面シートへの液残りや液戻りをより効果的に抑制し、ムレにくく、体液の排泄がいっきに多くあったとしてもすばやく対応して吸収性の回復・保持可能な吸収性物品を提供する。
【解決手段】表面シート、裏面シート及び吸収体を有する縦長の吸収性物品であって、前記表面シートは、肌当接面側及び非肌当接面側に規則的に突出した部分を多数有し、前記吸収体は、縦方向とこれに直交する幅方向とを有し、排泄部に対応する領域において、吸収体の縦方向と幅方向のそれぞれの方向に、非肌当接面側から厚み方向に窪んだ溝状の凹部と、該凹部の肌当接面側の底部にパルプ繊維を含む凹部吸収部とで構成される通液構造が配され、該通液構造に囲まれた領域は、非肌当接面側に突出したパルプ繊維と吸水性ポリマーを含むブロック状の突出吸収部が配されてなる吸収性物品。
【選択図】図1

Description

本発明は、生理用ナプキンや使い捨ておむつ、失禁パンツ等の吸収性物品に関する。
生理用ナプキン等の吸収性物品においては、各部材の材料や構造を改良し、その機能や着用感の向上が図られてきた。吸収体についても、使用状況や物品の種類に応じた機能性のものが種々提案されている。
例えば、表面シート、裏面シート及び吸収体を有するナプキンにおいて、吸収体の裏面シート側から陥没する多数の圧縮部が点在するように配置されたものが開示されている(特許文献1参照)。該圧縮部と圧縮されていない非圧縮部とはゆるやかに厚みを変化させて連続した起伏をなし、非圧縮部から圧縮部へと高まる密度勾配が形成される。これにより、表面シートから吸収体に導かれた液が素早く引き込まれ、液体の十分な吸収保持量を実現しつつ、液戻り防止性やモレ防止性を良化することができる。本発明者らは、先に開発した上記特許文献1に係る吸収性物品により、吸収体への十分な量の液体等の吸収と快適な装着感との両立を達成した。
特開2006−55352号公報
本発明は、前記特許文献1に係る吸収性物品の吸収性能をさらに高め、表面シートへの液残りや液戻りをより効果的に抑制し、ムレにくく、体液の排泄がいっきに多くあったとしてもすばやく対応して吸収性の回復・保持可能な吸収性物品を提供することを課題とする。
本発明は、肌当接面側に配置される液透過性の表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及び両シート間に配置される吸収体を有する縦長の吸収性物品であって、前記表面シートは、肌当接面側及び非肌当接面側に規則的に突出した部分を多数有し、前記吸収体は、縦方向とこれに直交する幅方向とを有し、排泄部に対応する領域において、吸収体の縦方向と幅方向のそれぞれの方向に、非肌当接面側から厚み方向に窪んだ溝状の凹部と該凹部の肌当接面側の底部にパルプ繊維を含む凹部吸収部とで構成される通液構造が配され、該通液構造に囲まれた領域は、非肌当接面側に突出したパルプ繊維と吸水性ポリマーを含むブロック状の突出吸収部が配されてなる吸収性物品により上記課題を解決するものである。
上記構成を有することにより、多数の突部を有する表面シートを通過した液は、吸収体の凹部吸収部と突出吸収部の肌当接面側部分を介し吸収され、面状方向に拡散しつつ素早く引き込こまれ、ブロック状の突出吸収部に液が吸収保持(固定化)される。吸収体の縦横に配される通液構造では凹部(窪み)の肌当接面側に凹部吸収部があることで、凹部吸収部では液の保持よりも移行が促され、液が素早く多数の突出吸収部で吸収保持され易い。前記凹部では、凹部吸収部を通過する液の一時保持が可能であり表面シート側での液残りを抑制する。凹部で保持された液は突出吸収部の非肌当接面側で吸収保持されるので液戻りが生じ難い。このように通液構造を介して分散配置されている多数のブロック状の突出吸収部それぞれで液が確実に吸収保持され得る。また、表面シートの裏面側の突部が吸収体への液伝達をスムーズにするとともに、一度吸収体に移行した液を肌側に戻るウエットバックも防止できる。つまり、規則的な突部を有する表面シートと凹部及び凹部吸収部からなる通液構造を有する吸収体との組み合わせにより、本発明の吸収性物品は、厚み方向への液透過性に優れ液の確実な吸収保持が可能となる。このような作用を有し、吸収性物品として以下の効果を奏する。
本発明の吸収性物品は、表面シートへの液残りや液戻りをより効果的に抑制し、ムレにくく、体液の排泄がいっきに多くあったとしてもすばやく対応して吸収性の回復・保持可能であるという優れた作用効果を奏する。
本発明における吸収性物品の一実施形態としての生理用ナプキンを肌当接面方向から示した一部切欠斜視図である。 図1に示すII−II線断面である。 本実施形態に係る吸収体のみを非肌当接面側から模式的に示した平面図である。 本実施形態における吸収体の好ましい製造方法について、その形成過程を模式的に示す断面図である。 図1に示す生理用ナプキンの所定の断面の一部を拡大して示した一部断面図である。 実施例及び比較例において製作した吸収体の形態の一部を示す概略断面図である。
図1は、本発明における吸収性物品の一実施形態としての生理用ナプキンを肌当接面方向から示した一部切欠斜視図であり、図2は図1に示すII−II線断面である。また、図3は本実施形態に係る吸収体のみを非肌当接面側から模式的に示した平面図であり、吸収体以外の部材は図の煩雑化を避け示していない。なおこれらの図において煩雑さを避けるため、吸収体のコアラップシートを省略して示す。
本実施形態の生理用ナプキン10においては、裏面シート2の肌当接面側に吸収体3が接着剤等で接合され配設されている。さらにその裏面シート2の肌当接面側における前記吸収体3の長手方向左右両側の外方ではサイドシート4が裏面シート2に当接して接合されている。その裏面シートとサイドシートとが当接した部分では表面シート1が裏面シート2とサイドシート4とで挟持され、さらにその幅方向(X方向)内方向に向け表面シート1が吸収体3よりも肌当接面側に位置されるように配されている。このように積層された前記の各シート部材が吸収体3の外方で吸収体3を介在させずにヒートシール等により接合され、ナプキン10の外周縁部6を形成している。この外周縁部6は、全体的な伸縮性を阻害せず、一度吸収した液が漏れない程度に接合されている。サイドシート4の自由端41には外周縁部6へ向うポケット(図示せず)が形成され、液等の横モレを防ぐ効果を有する。なお、本実施形態における生理用ナプキン10の幅方向左右両側部には、サイドシート4を有してなるウイング部42が生理用ナプキン10の幅方向外方に向って延出し、この部分をショーツにおける股下部の非肌当接面側に巻き込んで生理用ナプキン10をショーツに固定する。
生理用ナプキン10の肌当接面側には表面シート1の肌当接面側から吸収体3にかけて圧搾した防漏溝5が施されている。防漏溝5の平面視形状は、吸収体3の縦方向中央部分において、経血等の排泄部対応領域の幅方向左右両側に縦方向に長さを持つ圧搾部分が配置され、該左右それぞれの圧搾部分が吸収体3の前後端に近づくにつれ徐々に吸収体3の中央方向に向かい湾曲し、前端、後端が一致している。つまり、防漏溝5は、平面視において生理用ナプキン10の長手方向の両側部においてその肌当接面側に配された2本の圧搾部分が前後方向に延びて無端環状に連続した形状である(図1参照)。このようにすることで、ナプキンを装着して使用する際の排泄液の横漏れを効果的に防止することができる。なお、排泄部対抗領域とは経血もしくはおりもの等の排泄を直接受ける部分及びその近傍である。また、本実施形態における防漏溝5の平面視形状は、前述の形状に限定されず、無端環状の前端、後端で互いに交差していてもよく、用途に合わせ適宜決められることが好ましい。
表面シート1、裏面シート2、サイドシート4、及び吸収体3の材料や寸法等に関する詳細は後述する。本実施形態において表面シート1は、排泄された液体を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と、肌触りのよさの観点から肌当接面側及び非肌当接面側に繊維による突部を有した液透過性の不織布を用いている。また、裏面シート2としては、通気性を有した透湿性フィルムを単層で用いている。吸収体3としてはパルプ繊維等と吸収性ポリマーとを紙などのコアラップシート(図示せず)で被覆してなるものである。また、裏面シート2の非肌当接面側には、生理用ナプキン10を着衣に固定するための粘着剤(図示せず)が塗布されている。該粘着剤によって、生理用ナプキン10が使用者の着衣に接着固定される。本実施形態の生理用ナプキン10は、その表面シート側を着用者の肌当接面側に向け、かつ、その縦方向を下腹部から臀部にかけて配し、その幅方向を左右の足をつなぐラインの方向に向けて配して着用する。
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側の面を肌側面ないし肌当接面あるいは表面といい、これと反対側の面を非肌面ないし非肌当接面あるいは裏面という。この2つの面において、肌側面に近い方ないしその延長方向を肌面側、肌当接面側又は表面側といい、非肌面に近い方ないしその延長方向を非肌面側、非肌当接面側又は裏面側という。装着時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚さという。更に、吸収性物品の平面視において腹側部から股下部を亘り背側部に至る方向を縦方向といい、この縦方向と直交する方向を幅方向という。なお、前記縦方向は典型的には装着状態において人体の前後方向と一致する。
本実施形態の表面シート1は、図2に示すように、肌当接面側から上層11、下層12の2層の繊維層が積層されて形成されている。上層11、下層12は、多数のエンボス部15におけるエンボスによる圧着によって接合されている。上層11及び下層12は平面視において同じ位置にエンボスが施され、エンボス部15において凹陥して多数の谷部を形成している。そして谷部間の非エンボス部、即ちエンボス部15に囲まれた領域は、突部14を形成している。上層11の突部14aは肌当接面側に突出し、下層12の突部14bは非肌当接面側に突出している。該突部14a及び14bは上述したエンボス部15と同様に平面視において上層11及び下層12の同じ位置に、規則的に多数配されており、これによって、上層11及び下層12には、その全域に亘って多数の凹凸部が形成されている。そして表面シート1全体としても、その全域に亘って多数の凹凸部が形成されている。上層11及び下層12の谷部となるエンボス部15は、表面シート1の繊維が圧密化された部分であり、表面シート1の突部14よりも繊維密度が高く毛管力が高くされている。これにより、表面シート1から吸収体3へと排泄液を効果的に素早く透過させることができる。具体的には特開2004−166849号公報の明細書の段落[0007]〜[0045]記載の手段を用いることが出来る。
本実施形態において、各エンボス部15は、2つの長軸を交差させた略十字形状である。最短距離にある隣り合う2つのエンボス部15,15が、その長軸方向の略延長線上に存在するように配されている。これにより、表面シート1には多方向に向けてエンボス部15と突部14との間に構成繊維の密度勾配が形成され、表面シート1の液の拡散及び厚み方向への液の透過性が向上することとなる。このエンボス部15の形状や配置は、本実施形態のもの以外にも、円形や方形のエンボスが任意に点在するようにしてもよく、構成繊維の密度勾配を有して液の拡散と厚み方向への素早い透過とが実現される形状や配置を任意に採用することができる。
本実施形態の吸収体3は、パルプ繊維と吸水性ポリマーとの混合積繊物をコアラップシートで被覆したものである。吸収体3には、少なくとも排泄部対応領域において、その非肌当接面側から肌当接面側へと厚み方向に窪んだ凹31部が複数配設されている。この凹部31は、吸収体3の縦方向及び幅方向のそれぞれに配されている。この縦方向及び幅方向の配置とは、吸収体3の平面視において複数条の凹部31が所定間隔で配置されていることであり、縦方向に延在する凹部の列が幅方向に所定の間隔で整列配置され、幅方向に延在する凹部の列が縦方向に所定間隔で整列配置されていることである。なお、凹部31の列は、連続的なものであっても断続的なものであってもよい。この凹部31の肌当接面側の底部にはパルプ繊維を含む凹部吸収部34が配されている。この縦横に複数条配される凹部31とこれに対応する凹部吸収部34とが厚み方向に連係して吸収体3の通液構造となる。この凹部31同士に挟まれた吸収体3の部分は、裏面シート2側へ突出した複数のブロック状の突出吸収部33として区画されている。突出吸収部33は、パルプ繊維と吸水性ポリマーとを含んで排泄液を吸収保持する。本実施形態において、個々の突出吸収部33の形状は、長手方向に長さを持つ略長方体形状である。突出吸収部33の配置は、吸収体3の非肌当接面側から見た平面視において、自然状態で互いに所定の隙間s,r(図3参照)を有するように縦横方向に整列配置されている。この配置は、多数の突出吸収部33を長手方向及び幅方向に投影したときにいずれの方向にもその投影像が重なる配置である。前述の凹部31を有する通液構造によって、表面シート1よりも遠い位置である吸収体3の非肌当接面において経血等の液を各突出吸収部33へと移動させて迅速に吸収保持することができる。
前述のとおり凹部31の肌面側には、吸収体3の一部として、突出吸収部33よりも厚みの薄い凹部吸収部34が配されている。凹部吸収部34と突出吸収部33の肌当接面側の部分(上部)33aとが平面方向に連なって、吸収体3の肌当接面側における連続部35となる。連続部35は、表面シート1に対して平坦な形状である。この凹部吸収部34や突出吸収部33を含む吸収体3全体は継ぎ目のない一体構造である。特に排泄部対応領域において防漏溝5の圧搾部分を除き、全体として密度が実質的に略均一である。この実質的に密度が略均一であるとは、吸収体3の成形時にエンボスによる圧縮など極端に密度が高められた部分を有さないことを意味し、製造上の密度の微細な変化や、個装による折りたたみなどの製品出荷時の部材の偏りによる多少の密度変化がある場合をも許容する意味である。また、突出吸収部33が配される吸収体3の領域A(図2)に比し、凹部31及び凹部吸収部34が配される吸収体の領域B(図2)の坪量は小さくされている。
本実施形態の吸収体3は、連続部35を有する吸収体3の肌当接面側が平坦な形状であることで、表面シート1と吸収体3との接触が良く、表面シート1を通過した液が吸収体3に広い範囲で導かれやすい。ブロック状の突出吸収部33と凹部吸収部34とが、後述するように、凹部吸収部34とブロック状の突出吸収部33の上部33aとが肌当接面側で面状に連なり形成されており、凹部吸収部34とブロック吸収部33との境界領域では、従来の圧縮溝などで見られるような極端な密度差はなく略均一な密度であり、パルプ繊維など略同じ材料で構成され、肌当接面側がらは平面視、面状であり、境界は目視見られない。
そして前記の通液構造において、凹部吸収部34では密度が高められず、厚みが薄いことで坪量が低くなるために、液の通液抵抗が低くい。これにより凹部吸収部34は、液保持量を抑えた導液路となり、表面シート1からの液をすばやく吸収体3内部に引き込むことができる。凹部吸収部34を通過した液は、一方で、境界領域なく密度の略均一な連続部35において突出吸収部33の上部33aへと移行しやすく、複数の突出吸収部33で素早く取り込まれ厚み方向に移動して保持される。他方で、凹部吸収部34にある液は、空間部である凹部31にも一旦取り込まれる。凹部31に取り込まれた液は突出吸収部33の下部付近で吸収保持される。もちろん突出吸収部33の部分33a(連続部35の部分)からも液は直接吸収保持され得る。しかし、経血等などの高粘性の液が一度に多量に排泄されたり繰り返し排泄されたりした場合に、一度に突出吸収部33で吸収保持できなくとも、凹部吸収部34が素早く引き込んで凹部31が一時的に液を保持する緩衝機能を果たす。しかも、前述のとおり、吸収体3の非肌当接面側で凹部31が連接されていることによって、表面シート1よりも遠い位置で液を移動させて各突出吸収部33で確実に吸収保持させることができる。このように凹部吸収部34と凹部31とからなる通液構造によって、液が表面シート1側から吸収体3内部に素早く取り込まれて突出吸収部33で確実に吸収保持され得る。これにより吸収体3の肌当接面側での液残りが抑制され、かつ吸収体3内部から表面シート1への液戻りが生じ難い。
また、凹部吸収部34と凹部31とからなる通液構造によって、ナプキン10の装着時にかかる厚み方向の圧力があても、経血等の排泄液が表面シート1側へ液戻りしにくくなる。このことは、凹部吸収部34が液を保持することなく素早く凹部31へ引き込むこと、凹部31へ一旦引き込まれた液が吸収体3の肌当接面側よりも比較的遠い位置となること、凹部31を有する通液構造で吸収体3の非肌当接面側で液を素早く移動させて突出吸収部33に吸収保持させるので凹部31自体の貯蔵量も多くならないことなどの複数の作用により生じるものと考えられる。また、凹部吸収部34の存在で凹部31にかかる圧力が和らげられるとともに、この圧力で凹部31を有する通液構造での液の移動が促されることも要因のひとつと考えられる。このように吸収体3の表面シート1側に液を残さずに凹部31に素早く引き込むことで、厚み方向の圧力でも液の表面シート1側への戻りが効果的に抑制され、良好なドライ感が得られる。また、吸収体3の非肌面側が縦横の凹部31によって区画される凹凸形状であることによりその部分において可撓性を有し、生理用ナプキン10が肌面の起伏にフィットする「身体適合性」、及び着用者の動きにも良好に追随し、肌に対して部分的な隙間が生じたりすることが防止される「動作追随性」が極めて高くなる。
本発明において、突出吸収部33の配置は、本実施形態のもののほか適宜用途や機能に応じて配列を選択することができ、例えば千鳥状配列(上記投影像が長手方向及び/又は幅方向にみて略半ピッチずれのある配置)であってもよい。また、突出吸収部33の形状は、本実施形態のもののほか適宜用途や機能に応じて任意の形状のものを採用可能である。なお、本発明の上記吸収体の表面シート側からエンボスを付与して、一般的な防漏溝を形成しても良い。
吸収体3の製造方法としては、例えば、パルプ繊維、又はパルプ繊維及び高吸水性ポリマーからなる吸収体素材を、空気中に飛散させ、それらを積繊ドラム等の周面に設けられた複数の突起部51を有する型50(図4参照)の集積部に吸引して堆積させる積繊機や混合積繊機等を用いて製造することができる(図示せず)。例えば、図4に示すように、図4(a)の突起部51をより分けてパルプ繊維61と吸水性ポリマー62との混合物が積繊され、徐々に堆積すると、図4(b)のように突起部51の高さを超えて積繊されて、図4(c)吸収体前駆体70となる。突起部51上に堆積した部分74が吸収体3の凹部吸収部34となり、突起分51があった部分71が吸収体3の凹部31となる。前記突起間の集積用凹部に堆積した部分73が吸収体3の突出吸収部33となる。そして、突起部51よりも高く積繊された部分75が吸収体3の連続部35となる。このようにして形成されたパルプ繊維と吸収性ポリマーとの混合積繊体をティッシュペーパー等の紙や各種不織布などからなるコアラップシート(図示せず)で覆って吸収体3とする。このように一体成形された吸収体3の凹部吸収部34や突出吸収部33は、圧搾等を加えられることなく形成されていることにより繊維密度が高くならず吸収体3として略均一な密度を有する。また、凹部吸収部34は、その厚みの薄さのために坪量が突出吸収部33よりも低い。エンボス等の圧搾によって形成されるのとは異なり、凹部吸収部34は通液抵抗が低く、液の厚さ方向への移行が素早くなされ易い。またこのように一体形成された吸収体3は、エンボス等の圧搾によって硬くなる部分がないため、肌触りが良くなる。この吸収体3を有するナプキン10を装着すると、表面シート1を通じて硬く当る部分が無く吸収体3の柔らかさを実感でき、しかも凹部31の部分で可撓性を有するので体にフィットして良好な装着感が得られる。
このように凹部吸収部34が液の保持量を抑えて液を素早く凹部31へ移動させ、凹部31が排泄液の一時貯蔵の機能を有して表面シート1側へ液を逆戻りさせないために、凹部31の深さ(h2)の吸収体3の厚み(突出吸収部31の厚み)(h1)に対する割合(%)(図2参照)は、40〜98%、特に30%〜70%であることが好ましく、40%〜60%であることがさらに好ましい。上記下限以上とすることで、表面シートへの液残りや液戻りをより効果的に抑制することができ、上限以下とすることで表面シートより受け取った液を広げすぎずに突出吸収部33へと移動させることができる。同様の理由から、凹部吸収部34及び凹部31を有する領域B(図2参照)の構成材料坪量(w)は、30〜160g/mであることが好ましく、50〜150g/mであることがさらに好ましい。突出吸収部33を有する領域A(図2参照)の坪量(w)は、180〜400g/mであることが好ましく、200〜300g/mであることがさらに好ましい。さらに、両者の坪量比(w/w)は、0.1〜0.8であることが好ましく、0.3〜0.6であることがさらに好ましい。
本発明において、凹部31は、吸収体3の底部から肌当接面側に窪んで空隙となる部分である。凹部吸収部34は、その凹部31の上部に位置する吸収体3の部分であって、壁面底部31a,31aから厚み方向に延ばした仮想線s,sで区画される吸収体3の部分である(図5参照)。突出吸収部33は、厚み方向に並ぶ凹部31及び凹部吸収部34の領域Bに隣接し、領域Bに囲まれる吸収体の上部から底部までの領域Aの部分である(図2及び図5参照)。
このように定義される凹部吸収部34の厚み(h)と突出吸収部33の厚み(h)の測定は、大きさ37mm×37mm、厚み3mmのアクリルプレートを吸収性コア10上に置き、KEYENCE社製非接触式レーザー変位計(レーザーヘッドLK−G30、変位計LK−GD500)を用い上部33aを含む突出吸収部33の厚み(h)を計測し、凹部吸収部34の厚み(h)を吸収体の図2相当の断面をKEYENCE社製マイクロスコープVHX−1000を用いることで計測した。
また凹部吸収部34の坪量(w)と突出吸収部33の坪量(w)の測定方法は、FEATHER社製カミソリ(フェザー剃刃S片刃)を押し当てて、凹部の凹部吸収部34を切り出して重量計測して切り出した部分の面積で除すことで算出し、同様に上部33aを含む突出吸収部33を切り出して重量計測して切り出した部分の面積で除すことで坪量を算出した。
本実施形態において、吸収体3内部の吸水性ポリマーは均一に存在するが、液戻りをより効果的に抑制するため、該吸水性ポリマーは、凹部吸収部34を含む連続部35よりも下方の突出吸収部33の部分に多く偏倚して配されるのが好ましく、凹部吸収部34を含む連続部35に配されずに突出吸収部33においてその非肌面側に多く偏倚して配されることがさらに好ましい。また、凹部31の非肌面側に吸水性ポリマーを配することも同様の観点から好ましい。
さらに本実施形態の吸収体3において、凹部31を有する通液構造が防漏溝5の幅方向外方の部分にまで及んで配設されることが好ましい。この配置によって、製品の幅方向を軸とした製品曲げ剛性が低減され、股間から臀部にかけての着用者の身体のカーブに合わせて変形しやすくなるとともに、横漏れを起こし易い吸収体3両側部にも可撓性を付与し、着用者の股下にフィットさせることができ、着用者の体の動きにも追従して隙間が生じるのを防ぐことができる。
ここで本実施形態の生理用ナプキン10における上述した区画された吸収体3と表面シート1との動的作用の特徴を図5に基づき詳しく説明する。図5は図1に示す生理用ナプキンの所定の断面の一部を拡大して示した一部断面図である。なお、図の煩雑化を避け、裏面シート2及びサイドシート4は示しておらず、表面シート1の形状については模式化して示しており、本発明の実施において必ずしも図示した形状と同一の形状にならなくともよい。
本実施形態の表面シート1は、上述したように密度の勾配を利用した毛管力により、排泄された液の厚み方向への液の移動性が高く身体から排泄された液を素早く吸収体3へ移行することができる。また、上層11の突部14aと下層12の突部14bとが厚み方向に同位置に形成されていることで(図5参照)、液が平面的に一箇所に集まるように移動しやすく、少ない液量であっても吸収体3へと導かれることとなり効果的に吸収体3側へと透過されるので好ましい。特に、上層11及び下層12で繊維密度が異なり、下層の繊維密度が高い場合には、表面シートの下層側に液が留まり易くなるが、液が集中する構造となることで、表面シートの遮蔽性、低液戻り性によるドライ感向上に効果がある。吸収体3は、前述のとおり、非肌当接面側に複数の凹部31を有して、その肌当接面側には凹部吸収部34が配されている。凹部吸収部34は他の吸収体部分よりも通液抵抗が低くこの部分をチャンバーとして排泄された液aは、素早く吸収体3の厚み方向に向かって吸収される。そして吸収体3の厚み方向に移行してきた液は、その一部が周辺の突出吸収部33,33へ向かう移行液aとなり、他の一部が凹部31に取り込まれる貯蔵液aとなる。このように、表面シート1から透過される液が凹部吸収部34で引き込まれ、aやaへと分散されることで、吸収体の表面側での保持量が減少し通液抵抗が更に低くなることとなる。これにより表面シート1への液戻りも効果的に抑制され得る。
このように本実施形態における生理用ナプキン10は、厚み方向への液の高い透過性を有した表面シート1の性能を、凹部31を有した吸収体3の高い厚み方向への液の透過性によって十分に発揮させることができ、これにより取り込んだ水分の肌への液戻りを抑え、好適なドライ感を使用者に与える効果を奏する。
本実施形態による突出吸収部33及び凹部31の大きさ及び形状は特に限定されない。使用する吸収性物品の用途によっても多少異なるが、突出吸収部33の長手方向長さk(図3参照)は、凹部を基軸に吸収体が徐々に肌当接面へ向かって湾曲し、着用者の身体の形状に沿って変形することを促すという観点から10〜30mmが好ましく、15〜25mmがより好ましい。その幅方向長さkは、凹部が着用中に吸収体に加わる幅方向からの圧縮力を緩和する観点から5〜20mmが好ましく、7〜15mmがより好ましい。また、凹部31の長手方向長さsは1〜5mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。幅方向長さrは1〜5mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。
表面シート1の材料及びその好ましい製造方法について下記に述べる。表面シート1は、例えば、非熱収縮性繊維材料又は下層の繊維よりも熱収縮温度の高い繊維からなる上層11、上層の繊維よりも熱収縮温度の高い収縮前の熱収縮性繊維材料からなる下層12から構成される。この上層11及び下層12を、熱などのエンボスにより所定のパターンで部分的に又は全面的に融着させた後、熱を加えて、下層12を水平方向に熱収縮させる。すると、上層11は熱収縮が起こらないか、下層12よりは熱収縮が小さいために、かつ上層11、下層12がエンボス一体化されているために、下層12は収縮すると、上層11はエンボスにより下層12と一体化しているために、つられて縮もうとするが、上層11は下層12に比べ収縮しにくいことから歪が生じ、この歪は上層11に凸の隆起となって現れると共に、下層12側にも上層11の歪み伝達することから下層12にも凸の隆起となって現れる。詳述すると、熱エンボスによる熱融着は、例えば、多数の所定形状を有するエンボスピンが所定のパターンで配設されたエンボス面(エンボスロールの周面等)を、上層11、下層12との積層体における上層11及び下層12側に圧接させ、各ピンに熱圧された部位における、上層11、下層12の構成繊維を溶融させて行われる。上層11及び下層12によって形成される突部14は、エンボス部を覆うように張り出した部分を有していても良い。
下層12の熱収縮は、例えば、下層12を熱収縮性繊維から構成するか又は下層12中に熱収縮性繊維を含ませておき、上層11と下層12を熱融着させると同時に又は両者を熱融着させた後に、中層12を加熱処理することにより行われる。このように、下層12を水平方向に熱収縮させることにより、上層11及び下層12に形成される凸部の隆起形成性が高められ、より嵩高で肌触りのよい表面シート1を得ることができる。このように2層の繊維層を積層して表面シート1を構成する場合には、表面シート1の厚み方向への液の透過性を良好にする観点から、該2層の繊維層の間には界面が形成されないことが好ましい。
上層11及び下層12としては、例えば、カード法によって形成されたウェブや嵩高な不織布が好ましく用いられる。カード法によって形成されたウェブとは、不織布化される前の状態の繊維集合体のことである。つまり、不織布を製造する際に用いられるカードウエブに加えられる後処理、例えばエアスルー法やカレンダー法による加熱融着処理が施されていない状態にある、繊維同士が極めて緩く絡んでいる状態の繊維集合体のことである。カード法によって形成されたウェブを上層11及び下層12として用いる場合には、上層11と下層12とを接合させると同時に又は接合させた後、上層11及び下層12中の繊維同士を熱融着させる。また、嵩高な不織布としては、エアスルー不織布、エアレイド不織布、レジンボンド不織布等が挙げられる上層11の構成繊維は、実質的に熱収縮性を有しないものか、又は下層12の構成繊維の熱収縮温度以下で熱収縮しないものであることが好ましい。上層11の坪量は、充分な密度勾配を形成する観点及び表面シート1の肌触りを良好にする観点から、好ましくは10〜50g/m2、更に好ましくは15〜40g/m2である。
下層12としては、カード法によって形成されたウェブや熱収縮性を有する不織布を用いることができる。下層12の構成繊維としては、熱可塑性ポリマー材料からなり、かつ、熱収縮性を有するものが好適に用いられる。そのような繊維の例としては、潜在捲縮性繊維が挙げられる。下層12中の潜在捲縮性繊維の含有割合は40〜100重量%であることが好ましい。潜在捲縮性繊維は、加熱される前においては、従来の不織布用の繊維と同様に取り扱うことができ、かつ、所定温度で加熱することによって螺旋状の捲縮が発現して収縮する性質を有する繊維である。
潜在捲縮性繊維は、例えば、収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維からなる。その例としては、特開平9−296325号公報や特許第2759331号公報に記載のものが挙げられる。中層12は、例えば、このような潜在捲縮性繊維を含ませておき、上層11及び下層12との熱融着と同時に又はその後に、加熱により該繊維の捲縮を発現させ、収縮させることができる。中層12の坪量は、好ましくは10〜50g/m2、更に好ましくは15〜40g/m2である。
これらの上層11及び下層12から構成される表面シート1は、その坪量が好ましくは20〜100g/m2、更に好ましくは35〜80g/m2である。表面シート1には、多数の凹凸部が形成されているので、該シート1は厚みが大きく嵩高なものになっている。
表面シート1は、上述した形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。例えば、表面シート1は、3層構造の繊維シートから構成されていてもよい。この場合には、中層13を熱収縮性を有する繊維で構成し、上層11及び下層12を熱収縮性を有しない繊維から構成することが望ましい。また液の透過性を高める観点から、上層11の坪量が下層12の坪量よりも大きいことが望ましい。
サイドシート4は撥水性の不織布が好ましく、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の中から撥水性の物、または撥水処理した種々の不織布を用いることができる。特に好ましくは、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。
吸収体3の構成材料としては、特に制限はないが繊維材料、多孔質体、それらの組み合わせなどを用いることができる。繊維素材としては例えば、木材パルプ、コットン、麻などの天然繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオフィレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を用いることができる。合成繊維からなる繊維を用いる場合、該繊維は熱によって形状が変化する熱収縮繊維であってもよい。例えば、熱によって繊度は大きくなるが繊維長が短くなるものや、繊度はほとんど変化しないが、形状がコイル状に変化することでみかけの繊維の占有する長さが短くなるものであってもよい。多孔質体としては、スポンジ、不織不、高吸水性ポリマーの凝集物(高吸水性ポリマーと繊維とが凝集したもの)などを用いることができる。
裏面シート2は、透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布の貼り合わせ、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、透湿フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。この場合のフィルム材としては、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを溶融混練して押し出したフィルムを所定の寸法に延伸して微細孔をあけたフィルム、または、本質的に水分の相溶性が高く、浸透膜のように水蒸気排出可能な無孔性のフィルムが挙げられる。本発明に関わる湿度排出の性能を十分に発現し、かつ、水分のにじみ出しがない防漏層を具現化するには、透湿度は、0.7〜3.0g/100cmhrの範囲にあることが好ましく、1.0〜2.5の範囲にあることが更に好ましい。さらっと感を十分に高める観点からは1.5〜2.5にあることが最も好ましい。また、フィルムの破れ等のトラブルなく使用可能であるためには、フィルム坪量は18〜70g/m、より好ましくは25〜60g/mである。また好ましい無機フィラー配合量は、フィルム全体の質量に対するフィラーの質量%として30〜65質量%、より好ましくは40〜60質量%である。
本発明の生理用ナプキンは、上記の実施形態に制限されるものではなく、この種の生理用ナプキン、例えば失禁パッド、失禁ライナ等に本発明を適応することができる。また、経血に限らずその他、尿、オリモノ、軟便等に対しても効果的である。また、表面シート1、吸収体3、裏面シート2及びサイドシート4の他にも用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。なお、上記実施形態の生理用ナプキンの表面シート1、吸収体3及び裏面シート2の材料、製法における条件や、製品の寸法諸言は特に限定されず、通常の生理用ナプキン等において用いられている各種材料を用いることができる。
以下に、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
[実施例]
積繊機の積繊ドラムの周面上に設けられた縦横に等間隔に配列された突起部を有する集積部に、パルプ繊維と吸水性ポリマーとの混合物を吸引堆積させ、突出吸収部の坪量240g/m2、凹部吸収部115g/mのパルプ繊維及び吸水性ポリマーの積繊体を得た(図6(a))。この積繊体をコアラップシートで被覆して得た吸収体を実施例1のサンプル(サンプル1)とした。パルプ繊維と高吸収性ポリマーから構成されたものを用い、突起部は20mm(長手方向)×10mm(幅方向)の大きさのものを用いた。
[比較例1]
本実施形態の吸収体における凹部の深さ(h2)を吸収体厚み(突出吸収部厚み)の30%とし、突出吸収部の坪量を240g/mとし、凹部吸収部の坪量を160g/mとした以外は寸法を含め実施例1と同様にして吸収体を得て、比較例1のサンプル(サンプル2)とした(図6(b)参照)。
[比較例2]
吸収体に凹部を設けず、吸収体の全体の坪量を200g/mとした以外は寸法を含め実施例1と同様にして吸収体を得て、比較例2のサンプル(サンプル3)とした(図6(c)参照)。
[比較例3]
比較例2の吸収体の非肌当接面側からピンエンボスで圧搾して、その肌当接面側に高圧搾部3を形成した。それ以外は寸法含め実施例1と同様にして吸収体を得て、比較例3のサンプル(サンプル4)とした(図6(d)参照)。
[性能評価]
<1>上記各サンプル1〜4の性能評価に当っては、全てのサンプルの表面側に表面シートとして2層構造を有する表面シートを積層させ、表面シート側から該生理用ナプキンに血液3gを3分間隔で3回注入し、25℃の環境下で評価を行った。表層液戻り評価については、馬血注入量は累計6g吸収時とし、液の拡散面積は馬血9g吸収後の面積として実施した。なお、ナプキンに注入する血液としては馬の血液を用いた。より具体的には、(株)日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を用いた。この馬脱繊維血液の粘性は、東機産業(株)製の(B型)粘度計TVB−10Mによる測定(測定温度25℃、ロータ
Lアダプタ)で、15mPa・S未満であった。使用した馬血は、実施例及び比較例で全て同じものを用いた。
<2>表層液戻り量の測定方法
液注入部の開孔径10mmの液注入プレートを用い、馬血3gを注入する。液注入より1分後に重量測定済のティッシュをナプキン表面に置き、更にその上から125gの金属プレートを置き、5秒間加圧(圧力4.5g/cm)し、ティッシュに吸収された液量を測定する。更に注入プレートのナプキン接触面に付着した液量も測定し、両者の合計値を馬血3g注入時の表層液戻り量とした。1回目の注入から3分後に、再度馬血3gを注入し、注入1分後に上記同操作を繰り返し、累計馬血6g注入時の表層液戻り量とした。再度馬血3gを注入し、注入1分後に上記同操作を繰り返し、累計馬血9g注入時の表層液戻り量とした。
<3>液拡散面積の測定方法
表層液戻り評価に供したナプキン(馬血6g注入後)の吸収体の表層(表面シート側)での液拡がり面積を画像解析装置を用いて測定し液拡散面積とした。
上記の評価結果を下記表1に示す。
[表1]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− サンプル 1 2 3 4
参照図面 6(a) 6(b) 6(c) 6(d)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表層液戻り量 120mg 260mg 390mg 190mg
(馬血6g吸収時)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
液拡散面積 37cm 39cm 36cm 40cm
(吸収体の非肌面側、
馬血6g吸収後)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
備考 実施例 比較例1 比較例2 比較例3
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表1に示す結果から明らかなように、実施例の吸収体は、液の拡散面積を抑えて液戻りが少なく、肌に対するウエット感が少ない。これに対して比較例1,2の吸収体では、素早い液の引き込みがされず、肌でのウエット感が感じられた。また、比較例3は素早い液の引き込みが見られたが、実施例の吸収体はこれを上回る液戻り量の低さと液の拡散面積の抑制が見られた。
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収体
31 凹部
33 突出吸収部
34 凹部吸収部
4 サイドシート
5 防漏溝
10 生理用ナプキン

Claims (5)

  1. 肌当接面側に配置される液透過性の表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及び両シート間に配置される吸収体を有する縦長の吸収性物品であって、
    前記表面シートは、肌当接面側及び非肌当接面側に規則的に突出した部分を多数有し、
    前記吸収体は、縦方向とこれに直交する幅方向とを有し、排泄部に対応する領域において、吸収体の縦方向と幅方向のそれぞれの方向に、非肌当接面側から厚み方向に窪んだ溝状の凹部と、該凹部の肌当接面側の底部にパルプ繊維を含む凹部吸収部とで構成される通液構造が配され、該通液構造に囲まれた領域は、非肌当接面側に突出したパルプ繊維と吸水性ポリマーを含むブロック状の突出吸収部が配されてなる吸収性物品。
  2. 前記吸収体の前記溝状凹部の厚み方向の深さは前記ブロック状の突出吸収部の厚みの40%〜98%である請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記表面シートの突部は、肌当接面側及び非肌当接面側の同じ位置に配されている請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収体は吸水性ポリマーを含有し、該吸水性ポリマーが前記突出吸収部の非肌当接面側に偏倚して配されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記通液構造の凹部吸収部に吸水性ポリマーが配されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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