JP6214370B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、生理用ナプキン、使い捨ておむつ、失禁パッド等の吸収性物品に関する。
例えば、表面シート、裏面シート及び吸収体を有する生理用ナプキン等の吸収性物品として、吸収体が高坪量領域と該高坪量領域より相対的に坪量が低い低坪量領域とを有し、表面シートが肌当接面側に形成された複数の凸状の突部を有しており、前記表面シートの平面視において該突部の間の窪みには繊維量の少ない部分又は前記表面シートの厚み方向に通ずる開孔が形成されており、前記表面シートにおける窪みに配された繊維量の少ない部分又は開孔部が、前記吸収性物品の排泄部対応領域において前記吸収体の前記低坪量領域と一致している部分を有する吸収性物品が開示されている(特許文献1参照)。その吸収性物品においては、前記突部は表面シートの坪量の高い領域とされ、突部間の窪みの部分が坪量の低く厚みの薄い窪み部とされている。当該技術では、体液の表面シートへの液残りや液戻りをより効果的に抑制し、ムレにくく、体液の排泄がいっきに多くあってもすばやく対応して、吸収性の即時の回復・保持が可能であるとされる。
また、表面シートが、液排泄側に突出し内部空間を有する第1突出部と、裏面シート側に突出し内部空間を有する第2突出部とを有し、前記第1、第2突出部は、該表面シートの全面にわたって平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配され、前記吸収体は、第1坪量部と、それよりも坪量が低く前記第1坪量部を囲む第2坪量部とを有し、前記表面シートの第2突出部の頂部に接して配され、かつ前記裏面シート側から前記表面シート側に窪んで前記第2坪量部を底面とする少なくとも長手方向に延びる溝状の凹部を有し、隣接する前記第1、第2突出部の少なくとも一部と前記凹部とは、前記吸収体を介して互いに対向する位置に配されている吸収性物品が開示されている(特許文献2)。特許文献2によれば、そのような構成により、凹凸を有する表面シートの液透過性を高め、吸収体内での液拡散性を高めることができる、とされる。
特開2012−239721号公報 特開2013−132523号公報
本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
本発明は、肌当接面側に配置される液透過性の表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及び該両シートの間に配置される吸収体を有する吸収性物品であって、前記吸収体は、高坪量領域と、該高坪量領域より相対的に坪量が低い低坪量領域を有しており、前記高坪量領域は、前記低坪量領域よりも相対的に厚みが大きくかつ相対的に高密度であるとともに、前記低坪量領域によって囲まれるようにして平面方向に複数配置されており、前記表面シートは、肌当接面側に複数の窪み部と複数の突出部とが平面方向において交互に配置された構造を有しているとともに、前記窪み部には、周囲に位置する部分よりも繊維量の少ない低繊維密度領域が形成されており、前記突出部と前記吸収体との間に内部空間を有しており、着用者の排泄部に対向する排泄部対向領域では、前記低坪量領域と前記低繊維密度領域が、平面視において重なっている吸収性物品を提供するものである。
本発明の吸収性物品は、体液の表面シートへの液残りや液戻りをより効果的に抑制し、ムレにくく、一度に大量の体液が排泄された場合であってすばやく吸液することが可能であり、吸収性の即時の回復・保持が可能であるという優れた作用効果を奏する。
本発明における吸収性物品の一実施形態としての生理用ナプキンを肌当接面方向から示した一部切欠斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 本実施形態の生理用ナプキンにおける表面シートの一部を拡大して一部断面により模式的に示す斜視図である。 図4(a)は、本実施形態の生理用ナプキンにおける表面シートを模式的に示す平面図であり、図4(b)は、本発明に採用し得る表面シートの他の例を模式的に示す平面図である。 図5(a)〜図5(c)は、本実施形態に係る吸収体のみを模式的に示す図であり、図5(a)は吸収体をその肌当接面側からみた平面図であり、図5(b)は図5(a)のB−B線断面図であり、図5(c)は吸収体をその非肌当接面側からみた平面図である。 図1に示す生理用ナプキンの所定の断面の一部を拡大して示した一部断面図である。 図1に示す生理用ナプキンの吸収体等の製造に好ましく用いられる吸収体の製造装置を示す図である。 図8(a)は回転ドラムの外周面にあるポケットを一部拡大して示す斜視図であり、図8(b)は回転ドラムのポケットに繊維材料が堆積した状態を示す断面図であり、図8(c)は吸収体前駆体が回転ドラムからバキュームコンベアへ離型される様子を示す説明図であり、図8(d)は加圧工程の説明図である。 堆積体(製造中間体)の一部を凸状部側から示す斜視図である。 図10(a)〜図10(d)は、低繊維密度領域である開孔部13と吸収体3の低坪量領域である凹部吸収部34とが平面視において重なる態様のバリエーションを示す模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明における吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキンを肌当接面方向から示した一部切欠斜視図であり、図2は図1のII−II線断面である。図3は本実施形態の生理用ナプキンにおける表面シートの一部を拡大して一部断面により模式的に示す斜視図である。また、図5は本実施形態に係る吸収体のみを模式的に示す図であり、(A)は吸収体をその肌当接面側からみた平面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図であり、(C)は吸収体をその非肌当接面側からみた平面図である。なお、これらの図において煩雑さを避けるため吸収体のコアラップシートを省略して示す。
まず本実施形態の上記生理用ナプキン(以下、ナプキンともいう)10の概要を説明する。
本実施形態のナプキン10は、図1に示すように、肌当接面側に配置される液透過性の表面シート1、非肌当接面側に配置される裏面シート2、及び該両シートの間に配置される吸収体3を備え、実質的に縦長の形状である。裏面シート2の肌当接面側に吸収体3が接着剤等で接合され配設されている。さらに裏面シート2の肌当接面側における前記吸収体3の長手方向左右両側の外方ではサイドシート4が裏面シート2に当接して接合されている。裏面シート2とサイドシート4とが当接した部分では表面シート1が裏面シート2とサイドシート4とで挟持され、さらにその幅方向(X方向)内方向に向け表面シート1が吸収体3よりも肌当接面側に位置されるように配されている。このように積層された前記の各シート部材が吸収体3の外方で吸収体3を介在させずにヒートシール等により接合され、ナプキン10の外周縁部6を形成している。サイドシート4の自由端41には外周縁部6へ向うポケット(図示せず)が形成され、液等の横モレを防ぐ効果を有する。なお、本実施形態におけるナプキン10の幅方向左右両側部には、サイドシート4を有してなるウイング部42がナプキン10の幅方向外方に向って延出し、この部分をショーツにおける股下部の非肌当接面側に巻き込んでナプキン10をショーツに固定する。
ナプキン10の肌当接面側には、表面シート1の肌当接面側から吸収体3にかけて圧搾した防漏溝5が施されている。防漏溝5の平面視形状は、吸収体3の縦方向中央部分において、経血等の排泄部対応領域の幅方向左右両側に縦方向に長さを持つ圧搾部分が配置され、該左右それぞれの圧搾部分が吸収体3の前後端に近づくにつれ徐々に吸収体3の中央方向に向けて湾曲し、前端、後端が一致している。つまり、防漏溝5は、平面視においてナプキン10の長手方向の両側部においてその肌当接面側に配された2本の圧搾部分が前後方向に延びて無端環状に連続した形状である(図1参照)。このようにすることで、ナプキンを装着して使用する際の排泄液の横漏れを効果的に防止することができる。なお、排泄部対応領域とは経血もしくはおりもの等の体液の排泄を直接受ける部分及びその近傍である。また、本実施形態における防漏溝5の平面視形状は、前述の形状に限定されず、無端環状の前端、後端で互いに交差していてもよく、用途に合わせ適宜決められることが好ましい。
表面シート1、裏面シート2、サイドシート4、及び吸収体3の材料、一般的なサイズ等に関する詳細は後述する。本実施形態において表面シート1は、排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に受け渡す観点と、肌触りのやさしさの観点から肌当接面側に繊維による突出部を有した液透過性の不織布を用いている。また、裏面シート2としては、通気性を有した透湿性フィルムを単層で用いている。吸収体3としてはパルプ繊維等と吸収性ポリマーとを紙などのコアラップシート(図示せず)で被覆してなるものが好ましい。また、裏面シート2の非肌当接面側には、ナプキン10を着衣に固定するための粘着剤(図示せず)が塗布されている。該粘着剤によって、ナプキン10が使用者の着衣に接着固定される。本実施形態のナプキン10は、その表面シート側を着用者の肌側に向け、かつ、その縦方向を下腹部から臀部にかけて配し、その幅方向を左右の足をつなぐラインの方向に向けて配して着用する。
本発明においては、特に断らない限り、装着者の体に接触する側の面を肌側面、肌当接面あるいは表面といい、これと反対側の面を非肌面、非肌当接面あるいは裏面という。この2つの面において、肌側面に近い方ないしその延長方向を肌面側、肌当接面側又は表面側といい、非肌面に近い方ないしその延長方向を非肌面側、非肌当接面側又は裏面側という。装着時に着用者の腹側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、背側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向という。更に、吸収性物品の平面視において、前端部から排泄部対向部を経て後端部に至る方向を長手方向又は縦方向といい、この縦方向と直交する方向を幅方向という。なお、前記縦方向は典型的には装着状態において装着者の体の前後方向と一致する。
ナプキン10における吸収体3は、図2及び図5に示すように、高坪量領域としての突出吸収部33と、該高坪量領域より相対的に坪量が低い低坪量領域としての凹部吸収部34、及び凹部31とを有しており、前記凹部吸収部34(低坪量領域)が前記突出吸収部33(高坪量領域)を囲むようにして平面方向に配置されている。非肌当接面側から見て突出吸収部33は、凹部31に対して凸部をなしている。吸収体3の構成について以下に詳述する。
吸収体3の非肌当接面側には、吸収体3の幅方向Xに沿って延びる複数条の凹部31があり、前記吸収体3の凹部31がさらに吸収体3の長手方向Yに沿っても複数条形成されている。すなわち、前記吸収体3は凹部31によって囲われた領域が突出吸収部33として区画されて形成されている。本実施形態の突出吸収部33は、吸収体3の平面視において、自然状態にて相互間に所定の隙間s,r(図5(c)参照)を有するように縦横方向に配設されている。本実施形態において突出吸収部33は縦横に突出吸収部33を投影したときに隣合う突出吸収部33と位置が一致する市松配列である。つまり、多数の突出吸収部33を長手方向及び幅方向に投影したときにいずれの方向にもその投影像が重なる配置にされている。図5に示す突出吸収部33(高坪量領域)の配置や形状は一例であり、配置は、適宜用途や機能に応じて配列を選択することができ、特に限定されないが、例えば千鳥状配列(上記投影像が長手方向及び/又は幅方向にみて略半ピッチずれのある配置)であってもよい。また、図5に示す突出吸収部33は、平面視において長手方向に長い略長方形状であるが、本発明においてこの形状は特に限定されず任意の形状のものを採用可能である。本実施形態において突出吸収部33はパルプ繊維と超吸収性ポリマーとから構成されており、その輪郭は図示したもののように定形的なものではなくてもよく、全体として上述した立体形状のものとされていることが好ましい。また、突出吸収部33の縦横の配列も上記に限らず用途に合わせ適宜決められるのが好ましい。吸収体3を上述したように縦横の凹部31によって区画されることにより、その部分において可撓部位となり、ナプキン10が肌面の起伏にフィットする「身体適合性」、及び着用者の動きにも良好に追随して肌に対する部分的な隙間の発生を防止する「動作追随性」が極めて高くなる。
本実施形態における吸収体3の凹部31の底部には、吸収体3の一部として、突出吸収部33よりも厚みの薄い領域である凹部吸収部34が配されている。突出吸収部33が配される吸収体3の領域P(図2)に比し、凹部吸収部34が配される吸収体の領域Q(図2)の坪量は小さい。また、吸収体3の詳細な製造方法は後述するが、本実施形態における突出吸収部33は凹部吸収部34より相対的に高密度である。すなわち、本実施形態の吸収体3は高坪量で高密度な突出吸収部33と、突出吸収部33より相対的に低坪量で低密度な凹部吸収部34とからなり、前記突出吸収部33は前記凹部吸収部34に平面視において囲われて区画されて形成されている。なお、凹部吸収部34と突出吸収部33の肌当接面側の部分とが平面方向に連なって吸収体3の肌当接面側もしくは非肌当接面側に薄皮状部を形成している。凹部吸収部34や突出吸収部33を含む吸収体3全体は継ぎ目のない一体構造である。
ナプキン10において、表面シート1には、肌当接面側に形成された複数の突出部11と複数の窪み部12とが平面方向に交互に配されている。より具体的に説明すると、本実施形態のナプキン10においては、表面シート1の長手方向に沿って延びる突出部11と窪み部12が、幅方向に交互に配されていて、畝と溝が交互に配された構造となっている(図3及び図4(a)参照)。突出部11及び窪み部12を含む表面シート1全体は継ぎ目のない一体構造をなしている。表面シート1の窪み部12には、窪み部12における、周囲に位置する部分よりも繊維密度が低い低繊維密度領域が配されている。本実施形態のナプキン10では、低繊維密度領域として開孔部13が設けられている。すなわち、低繊維密度領域とは、繊維密度0の場合を含む概念である。ここで、窪み部12における、周囲に位置する部分とは、窪み部12の周囲に位置する部分という意味ではなく、窪み部12の範囲に存在する、低繊維密度領域以外の部分を意味する。図3に示す本実施形態の表面シート1を例にとれば、畝溝構造における溝部分において、隣り合った開孔部13の間の部分が「周囲に位置する部分」に該当する。また、幅方向Xに関して、窪み部1の長さより開孔部13の長さが短い場合には、幅方向Xについても開孔部13の幅方向X両側に「周囲に位置する部分」が存在する。低繊維密度領域は、その周囲を全周囲に亘って、低繊維密度領域よりも繊維密度が高い領域が囲んでいることが好ましい。
図6に示すように、ナプキン10では、表面シート1が吸収体3の上に重なっており、表面シート1の突出部11と吸収体3の表面との間には空間部Sが存在している。空間部Sは、表面シート1及び吸収体3の構成材料が殆どない領域である。ここで「殆どない」とは、理想的には各構成材料が全く存在しないが、毛羽立ちや損傷等によって、各構成材料の一部が存在することまでは排除しない意味である。本実施形態の場合、ナプキン10を幅方向に断面視したとき、表面シート1の見かけ厚みが肌当接面側で周期的に変化する波形形状を有し、突出部11と窪み部12との間とは相対的な高低関係を有している(図3参照)。隣り合う2つの突出部11の頂部の間に位置する最も見かけ厚みの薄い部位及びその近傍が窪み部12となる。突出部11と窪み部12との境界を定義するとすれば、突出部11の頂部11aにおける見かけ厚みの1/2の厚みの位置を突出部11と窪み部12との境界部とすることができる。なお、ここで「見かけの厚み」とは、表面シート1における最も吸収体3側に位置する面と突出部11の頂部との距離のことである。
ナプキン10では、表面シート1の低繊維密度領域である開孔部13と吸収体3の低坪量領域である凹部吸収部34とが、排泄部対向領域において、平面視で重なるように配置されて、体液捕捉部Tを構成している(図6参照)。そして、体液捕捉部Tの周辺には、空間部Sを備える突出部11及び吸収体3の突出吸収部33、並びに低繊維密度領域より繊維密度が高い高繊維密度領域が存在する。低繊維密度領域は、表面シート1の構成繊維がより分けられることにより形成することができる。
ナプキン10の表面シート1では、窪み部12の底部に、開孔部13が長手方向に所定間隔で間欠的に多数配されている(図3参照)。また、窪み部12が突出部11と幅方向において交互に複数配置されているため、開孔部13は幅方向にも間欠的に多数配置された構造となっている(図4参照)。開孔部13の形状として、図3では長手方向に長軸を有する長円形状が描かれているが、これに限定されない、開孔部13の他の形状としては、円、正方形、三角形、楕円、長方形、円錐形等が挙げられる。
窪み部12は、吸収体3に対して接合されていて、これにより、吸収体3と表面シート1とは接合固定されている。ナプキン10において、接合部は、表面シート1の低繊維密度領域(開孔部13)以外の部分に設けられている。当該接合手段としては、公知の技術が選択可能であるが、熱圧搾加工や超音波エンボス加工などの、いわゆるエンボス加工が好ましい。ナプキン10においては、熱圧搾加工によって窪み部12において表面シート1と吸収体3の接合部が形成されている。このために、接合部では、表面シート1における接合部周囲の部分よりも密度が高くなっている。更に、ナプキン10では、表面シート1における当該接合部の密度は、突出部11の密度よりも高くなされている。
ここで本実施形態のナプキン10における上述した区画された吸収体3と表面シート1との動的相互作用の特徴を図6に基づき詳しく説明する。図6は図1に示すナプキン10の所定の断面の一部を拡大して示した一部断面図である。なお、図の煩雑化を避け、裏面シート2及びサイドシート4は示しておらず、表面シート1の形状については模式化して示しており、本発明の実施において必ずしも図示した形状と同一の形状のものに限定されない。
本発明のナプキンでは、身体から経血やおりもののような粘凋な排泄液a1は、表面シート1の窪み部12に誘導され易くなっている。窪み部12では、低繊維密度領域と高繊維密度領域が隣接しており、低繊維密度領域から吸収体3の凹部吸収部34へと排泄液が取り込まれ易くなっている。ナプキン10の吸収体3は、凹部吸収部34では、坪量が低く、かつ、厚みが薄いことで繊維の密度が低く、液の通液抵抗が低くなる。換言すると吸収体3の低密度部に到達した液は、通液抵抗が低い凹部吸収部34から優先的に吸収されるということである。したがって、ナプキン10おいては、表面シート1の窪み部12、特に開孔部13からこれに厚み方向に隣接する凹部吸収部34へ繋がる導液路が形成されている。この表面シート1と吸収体3とが連携した導液路によって、液の有する排泄時の勢い(運動エネルギー)や位置エネルギーを保持したまま、液が素早く透過され、表面シートの肌面に液残りが生じにくい。吸収体3においては、凹部吸収部34が表面シート1からの液をすばやく吸収体3内部に引き込むチャンバーの作用を奏する。凹部吸収部34を通過した液は、凹部吸収部34と突出吸収部33との繊維の密度の勾配(ないしは密度差)によって生じる毛管力によって突出吸収部33へと素早く取り込まれ厚み方向に引き込まれて保持される。一方、経血等などの高粘性の液が一度に多量に排泄されたり繰り返し排泄されたりした場合に、一度に突出吸収部33で吸収保持できなくとも、凹部吸収部34が素早く引き込んで凹部31が一時的に液を保持する緩衝作用を果たし、高密度部分と低密度部分の境界領域では液を留め置かないように働く拡散作用をも果たす。このように凹部吸収部34と低繊維密度領域13を備えた凹部31とからなる通液構造によって、液が表面シート1側から吸収体3内部に素早く取り込まれて突出吸収部33で確実に吸収保持され得る。こうして吸収体3の肌当接面側での液残りが抑制され、かつ吸収体3内部から表面シート1への液戻りが生じ難い。
しかも、表面シート1の突出部11と吸収体3の突出吸収部33との間に空間部Sが存在するために、突出吸収部33には突出部11を介した排泄液の吸収が抑制される。このために、低繊維密度領域13から取り込まれた排泄液は、平面方向へと拡散していき、吸収体3の突出吸収部33へ吸収され易くなっている。したがって、大量の排泄液が一度にナプキンに排泄された場合でも、肌から離れた窪み部12を介して吸収体3内へと排泄液が取り込まれ、迅速に吸収体3の面内を拡散していくので、漏れが発生しにくい。また、凹部吸収部34は、表面側と裏面側から蒸気を蒸散しやすい構造となっていることと相俟って、一度の排泄物吸収後に乾いた状態になり易い。このため、吸収性能の回復が早く、2度目の排泄時であっても、吸収阻害を起こしにくい。また突出部11と突出吸収部33との間の空間により、表面シート1を介した液戻りが発生しにくく、ナプキン10外への蒸気の蒸散が起こり易いので、蒸れ感が抑制容易である。
加えて、本実施形態のナプキン10では、表面シート1の窪み部12におけるエンボスによる接合部が突出部11に対して繊維密度が相対的に高いために、毛細管現象により、排泄液を開孔部13へと一層導液し易くなっている。このために、突出部11の頂部11aから窪み部12へは繊維密度の勾配による液の移行がなされ、窪み部12に集まった液は開孔部13によって吸収体3側への液の移行がなされる通液路が形成されることとなる。つまり、多い液量であっても吸収体3へと導かれることとなり効果的に吸収体3側へと透過される。
この効果をより発揮し易くするためには、突出部11の頂部11aから窪み部12へ、さらに開孔部13の端部へと繊維密度が高まる密度勾配があることが好ましい。
なお本発明において、表面シート1の開孔部13は、通液抵抗が少なく液の透過が高められる機能をみたすものであれば、必ずしも表面シート1の肌当接面側から非肌当接面側に貫通した完全に繊維のない孔でなくてもよい。例えば開孔部13として、繊維の圧搾等によって形成された窪み部12の繊維量に比してさらに繊維量の低い部分であってもよく、貫通孔と繊維量の少なくされた部分とが混在するものであってもよい。
以下に、本発明の好ましい実施形態について、より詳細に説明する。
本実施形態における突出部11の見かけ厚みt1(図6参照)は、表面シート1の肌触りを良好にするために、0.2〜5mmが好ましく、0.3〜3mmがさらに好ましい。表面シート1の肌面側で見たときの突出部11と窪み部12との高低差d(図6参照)は表面シート1のクッション性及び通気性を高め更に液の拡散を制御するために、0.2〜4mmが好ましく、0.2〜2mmがさらに好ましい。
空間部Sの高さt2(図6参照)は、好ましくは0.1mm以上であり、更に好ましくは0.2mm以上であり、また、好ましくは4.9mm以下であり、更に好ましくは2.9mm以下であり、また、好ましくは0.1mm以上4.9mm以下であり、更に好ましくは0.2mm以上2.9mm以下である。
本実施形態における突出吸収部33及び凹部31の大きさ及び形状は特に限定されず使用する吸収性物品の用途によっても多少異なるが、突出吸収部33の長手方向長さk1〔図5(c)参照〕は、凹部を基軸に吸収体が徐々に肌当接面へ向かって湾曲し、着用者の身体の形状に沿って変形することを促すという観点から10〜30mmが好ましく、15〜25mmがより好ましい。その幅方向長さk2は、凹部31が着用中に吸収体に加わる幅方向からの圧縮力を緩和する観点から5〜20mmが好ましく、7〜15mmがより好ましい。また、凹部31の長手方向長さsは1〜5mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。幅方向長さrは1〜5mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。
また、上述したように凹部吸収部34が液の保持量を抑えて液を素早く凹部31へ移動させ、凹部31が排泄液の一時貯蔵の機能を有して表面シート1側へ液を逆戻りさせないために、凹部31の深さ(h2)の吸収体3の厚み(突出吸収部33の厚み)(h1)に対する割合(%)(図2参照)は、20〜80%であることが好ましく、30〜70%であることがさらに好ましい。上記下限以上とすることで、表面シートへの液残りや液戻りをより効果的に抑制することができ、上限以下とすることで表面シートより受け取った液を広げすぎずに突出吸収部33へと移動させることができる。同様の理由から、凹部吸収部34及び凹部31を有する領域Q(図2参照)の構成材料坪量(w1)は、10〜150g/m2であることが好ましく、20〜140g/m2であることがさらに好ましい。突出吸収部33を有する領域P(図2参照)の坪量(w2)は、160〜400g/m2であることが好ましく、200〜350g/m2であることがさらに好ましい。さらに、両者の坪量比(w1/w2)は、0.01〜0.90であることが好ましく、0.10〜0.70であることがさらに好ましい。
本発明において、凹部31は、吸収体3の底部から肌当接面側に窪んで空隙となる部分であっても、吸収体3の肌当接面側から底部に窪んで空隙となっても良い。上述した実施形態では、凹部吸収部34とは厚み方向においては凹部31の上部に位置する吸収体3の領域であって、平面視においては幅方向においてr、長手方向においてsの領域である(図5参照)。突出吸収部33は、厚み方向に並ぶ凹部31及び凹部吸収部34の領域Qに隣接し、領域Qに囲まれる吸収体の上部から底部までの領域Pに存在する部分である(図2及び図5参照)。
なお、図中に示した凹部吸収部34、及び突出吸収部33のそれぞれの領域は実際的には図示したように区画されている必要はなく、その範囲は使用する目的によって適宜決められることが好ましい。
上述した凹部吸収部34の厚み(h3)、及び突出吸収部33の厚み(h1)の測定は、大きさ37mm×37mm、厚み3mmのアクリルプレートを吸収体3上に置き、KEYENCE社製非接触式レーザー変位計(レーザーヘッドLK−G30、変位計LK−GD500)を用い上部33aを含む突出吸収部33の厚み(h1)を計測し、凹部吸収部34の厚み(h3)を吸収体の図2相当の断面をKEYENCE社製マイクロスコープVHX−1000を用いることで計測した。
また凹部吸収部34の坪量(w1)と突出吸収部33の坪量(w2)の測定方法は、FEATHER社製カミソリ(フェザー剃刃S片刃)を押し当てて、凹部吸収部34を切り出して重量計測して切り出した部分の面積で除すことで算出し、同様に上部33aを含む突出吸収部33を切り出して重量計測して切り出した部分の面積で除すことで坪量を算出した。
表面シート1における突出部11及び窪み部12の厚みや高低差は、無加重下で、マイクロスコープVH−8000(キーエンス社製)を用い、表面シート1の断面を50〜200倍に拡大観察して測定する。断面はフェザー剃刀(品番FAS−10、フェザー安全剃刀(株)社製)を用い、表面シート1の断面を切断して得ることができる。
本実施形態における表面シート1は、排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と肌触りのよさの観点とから親水性のサーマルボンド不織布が好ましく、特にエアスルー不織布が好ましい。表面シート1は親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、当業者公知の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
次に、本実施形態で用いられる吸収体3の好ましい製造方法について図7及び図8を参照して説明する。なお、吸収体3の形状、凹部31及び突出吸収部33の数や形状、配置等は模式化して図示している。
図7は、ナプキン10の吸収体3の製造に好ましく用いられる吸収体の製造装置60を示す図である。製造装置60は、外周面に複数のポケット9(堆積部)が升目状に区切られた積繊プレートを有する回転ドラム62(図8(a)参照)と、回転ドラム62の外周面に向けて、繊維材料30を飛散状態にて供給するダクト63と、ダクト63に繊維材料30を供給する繊維材料供給装置64と、ポケット9にあふれるように堆積させた過剰量の繊維材料を掻き取るスカッフィングロール65と、ポケット9から離型した堆積体(吸収体前駆体)70の上下面をコアラップシート3bで被覆する被覆機構(図示せず)と、吸収体前駆体70をコアラップシート3bで被覆して得られる吸収体連続体を、一対のプレスロール66a,66b間で加圧して圧縮する圧縮装置66と、圧縮後の吸収体連続体を、個々のナプキンに使用される寸法に切断して加工後の吸収体3とする切断装置(図示せず)を備えている。
回転ドラム62は、円筒状をなし、図7中の矢印A方向に一定速度で回転駆動される。回転ドラム62の内側(回転軸側)の非回転部分には、吸気ファン(図示せず)が接続されており、該吸気ファンの駆動により、回転ドラム内側の仕切られた空間B及びEが負圧に維持される。外周面にある個々のポケット9の底面部には、メッシュプレートが配設され(図示せず)、多数の細孔を有している。個々のポケット9が、負圧に維持された空間B,E上を通過している間、各ポケット9の底面部の細孔が吸引孔として機能する。
ダクト63は、回転ドラム62の外周面の一部を覆う吹き出し端部63aと、繊維材料供給装置64に接続された吹き込み端部63bとを有しており、空間B上に位置するポケット9の底面部からの吸引により、ダクト63内に、回転ドラム62の外周面に向けて流れる空気流が生じさせるように構成されている。繊維材料供給装置64は、解繊機64eを備えており、ラチス64dにある原料30’が解繊機64eで解繊され、解繊された繊維材料30をダクト63内に供給するように構成されている。
スカッフィングロール65は、周囲にブラシを有しており、該ブラシにより、ポケット9内からあふれた繊維材料30を掻き取る。スカッフィングロール65に掻き取られずポケット9内に残った堆積体(吸収体前駆体)70は、回転ドラム62の下方においてポケット9から離型される。ポケット9からの離型は、回転ドラム62内の仕切られた空間Dを図示しない加圧手段により陽圧に維持して、ポケット9の底面部の細孔から空気を吹き出させると共に、バキュームコンベア67側から吸引することにより行う。前記被覆機構は、バキュームコンベア67上に、コアラップシート3bを供給する公知の搬送機構と、コアラップシート上に堆積体(吸収体前駆体)70が載置された後に、該コアラップシートの両側部を、該堆積体(吸収体前駆体)70上に折り返し、その折り返しにより、堆積体(吸収体前駆体)70の上下両面をコアラップシート3bで被覆する機構とで構成されている。なお、図7において折り返しの工程の詳細は省略しており、折り返されたコアラップシート3bの状態も2本の線として単純に示している。
図7に示す吸収体の製造装置60を用いて、上述した吸収体3を製造する方法について説明する。
まず、回転ドラム62及びスカッフィングロール65を回転させると共に、上記吸気ファン及び上記加圧手段を作動させて、空間B及びEを負圧にし、空間Dを陽圧にする。また、バキュームコンベア67、圧縮装置66及び上記切断装置を作動させる。吸気ファンの作動により、空間B上に位置するポケット9の底面部に吸引力が生じると共に、ダクト63内に、回転ドラム62の外周面に向けて流れる空気流が生じる。そして、繊維材料供給装置64を作動させて、ダクト63内に繊維材料30(パルプ繊維及び高吸水性ポリマー)を供給すると、該繊維材料30は、飛散状態となって、ダクト63内を流れる空気流に載って、回転ドラム62の外周面に向けて供給される。
個々のポケット9が、負圧に維持された空間B上を通過している間、ダクト63から供給される繊維材料30が各ポケット9に吸引されて堆積する(図8(a)及び(b)参照)。この点について図8(b)を参照して説明すると、回転ドラム62の外周面にある積繊プレートにおいて、複数の仕切り91をより分けてパルプ繊維と吸水性ポリマーとの混合物が積繊され、さらに仕切り91の高さを超えて回転ドラム62の高さいっぱいにまで積繊される。各ポケット9には、やや過剰量の繊維材料を堆積させ、ポケット9内からあふれる繊維材料がスカッフィングロール65で掻き取られる。スカッフィングロール65に掻き取られずポケット9内に残った堆積体(吸収体前駆体)70は、バキュームコンベア67上に供給されたコアラップシート3b上に離型される(図8(b)参照)。図9は、コアラップシート上に離型された(吸収体前駆体)70を示す図であり、該堆積体(吸収体前駆体)70には、ポケット9内の複数の溝部9aに対応する複数の凸状部33Aが形成されている。吸収体前体70のうち、仕切り91の上に堆積した部分が吸収体3の凹部吸収部34となり、仕切り91が配されていた部分が吸収体3の凹部31となる。
コアラップシート上の堆積体(吸収体前駆体)70は、折り返されたコアラップシート3bの両側部により凸状部33Aを有する面も被覆された後、ベルトコンベアにより吸収体前体70が反転し、その表裏が逆にされた後、圧縮装置66に導入されて一対のプレスロール66a,66b間で加圧される(図8(d)参照)。これにより、凸状部33Aがつぶされて圧蜜化し、高密度な部分となる。凸状部33Aがつぶされた後の吸収体連続体は、図示しない切断手段で切断されて、個々の生理用ナプキンに使用される寸法の吸収体3となる。得られた吸収体3においては、吸収体前体70の凸状部33Aを圧密化した部分が、高密度な高坪量部としてのブロック状の突出吸収部33となる。
ナプキン10は、このようにして得られる吸収体3を、表面シート1の帯状原反と裏面シート2の帯状原反との間に間欠的に配置した後、吸収体3の周囲において、それらの表裏面シート間を接合し、次いで、個々のナプキンの寸法に切断することにより得られる。
以上、本発明の吸収体、その製造方法及び吸収性物品の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず、適宜変更することができる。
例えば、高密度部及び低密度部は、吸収体の長手方向の一部のみに形成されていても良い。例えば、吸収体の液排泄部対向部のみに形成されていても良く、前方部と液排泄部対向部のみに形成されていても良く、後方部と液排泄部対向部のみに形成されていても良い
吸収体3の構成材料としては、特に制限はないが繊維材料、多孔質体、それらの組み合わせなどを用いることができる。繊維素材としては例えば、木材パルプ、コットン、麻などの天然繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオフィレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を用いることができる。合成繊維からなる繊維を用いる場合、該繊維は熱によって形状が変化する熱収縮繊維であってもよい。例えば、熱によって繊度は大きくなるが繊維長が短くなるものや、繊度はほとんど変化しないが、形状がコイル状に変化することでみかけの繊維の占有する長さが短くなるものであってもよい。多孔質体としては、スポンジ、不織不、高吸水性ポリマーの凝集物(高吸水性ポリマーと繊維とが凝集したもの)などを用いることができる。
裏面シート2は、透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布の貼り合わせ、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、透湿フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。この場合のフィルム材としては、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを溶融混練して押し出したフィルムを所定の寸法に延伸して微細孔をあけたフィルム、または、本質的に水分の相溶性が高く、浸透膜のように水蒸気排出可能な無孔性のフィルムが挙げられる。本発明に関わる湿度排出の性能を十分に発現し、かつ、水分のにじみ出しがない防漏層を具現化するには、透湿度は、0.7〜3.0g/100cm2hrの範囲にあることが好ましく、1.0〜2.5g/100cm2hrの範囲にあることが更に好ましい。さらっと感を十分に高める観点からは1.5〜2.5g/100cm2hrにあることが最も好ましい。また、フィルムの破れ等のトラブルなく使用可能であるためには、フィルム坪量は18〜70g/m2、より好ましくは25〜60g/m2である。また好ましい無機フィラー配合量は、フィルム全体の質量に対するフィラーの質量%として30〜65質量%、より好ましくは40〜60質量%である。
また、表面シート1と吸収体3の接合方法としては、表面シート1の窪み部12と吸収体3が熱圧搾加工や超音波エンボス加工などの、いわゆるエンボス加工が好ましい。そうすることで、窪み部12と吸収体3の凹部31が同時に圧縮されることで窪み部12と凹部31を裏面シート2側に窪ませることが可能となる。これにより、肌への液戻りをより一層低減することができる。
また、上述した実施形態では、凹部吸収部34が厚み方向においては凹部31の上部に位置する吸収体3の領域であったが、これに代えて、凹部吸収部34が凹部の下部に位置するようにしても構わない。この場合、表面シート1の窪み部12の直下に凹部31が配されることとなるので、排泄液が凹部31へと抵抗なく取り込まれ易くなる。
また、表面シート1は、図3の畝溝構造に代えて、適宜用途や機能に応じて配列を選択することができる。例えば、図4(b)に示すような、突出部11が千鳥状配列(製品平面視において、長手方向及び/又は幅方向にみて略半ピッチずれのある配置)であってもよい。この場合、突出部11と窪み部12が長手方向になす列が、幅方向に連続するようになり、吸収体3における、凹部吸収部34のなす長手方向の列と凸部吸収部が長手方向に間欠的に配置する列の両方に平面視で重なるように配置される。また、表面シートとしては、特開平09−299402号公報に記載のものを用いることもできる。また、特開2013−132523号公報の表面シートに、孔をあけたものを用いることもできる。
表面シート1の低繊維密度領域である開孔部13と吸収体3の低坪量領域である凹部吸収部34とが重なる態様としては、図10(a)に示すように、凹部吸収部34の幅内に、開孔部13の全体が収まる態様、図10(b)〜図10(d)に示すように、開孔部13が、凹部吸収部34と重なる部分と重ならない部分を有する態様が挙げられる。開孔部13が凹部吸収部34と部分的に重なる場合は、通液性及び液戻り防止の観点から、開孔部13(低繊維密度領域)全体が凹部吸収部34の幅内に収まる場合(図10(a)のケース)を重なりの割合が100%としたとき、凹部吸収部34と重なる部分の割合が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。また、凹部吸収部34と開部13の重なる部分の割合が50%以上(100%を含む)の態様の割合が、吸収体と重なる部分に形成された表面シートの開孔部のうちの、30%以上存在することが好ましく、50%以上存在することがより好ましい。また少なくとも一部で、開孔部(低繊維密度領域)が、図10(a)に示す態様で存在することが好ましい。
本発明の吸収物品は、上記の実施形態の生理用ナプキンに制限されるものではなく、この種の生理用ナプキン、例えば失禁パッド、失禁ライナ等に本発明を適応することができる。また、経血に限らずその他、尿、オリモノ、軟便等に対しても効果的である。また、表面シート1、吸収体3、裏面シート2及びサイドシート4の他にも用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。なお、上記実施形態の生理用ナプキンの表面シート1、吸収体3及び裏面シート2の材料、製法における条件や、製品の寸法諸言は特に限定されず、通常の生理用ナプキン等において用いられている各種材料を用いることができる。
10 生理用ナプキン(吸収性物品)
1 表面シート
11 突出部
11a 頂部
12 窪み部
13 開孔部(低繊維密度領域
2 裏面シート
3 吸収体
31 凹部
33 突出吸収部
34 凹部吸収部
4 サイドシート
5 防漏溝
S 空間部(内部空間)

Claims (4)

  1. 肌当接面側に配置される液透過性の表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及び該両シートの間に配置される吸収体を有する吸収性物品であって、
    前記吸収体は、高坪量領域と、該高坪量領域より相対的に坪量が低い低坪量領域を有しており、
    前記高坪量領域は、前記低坪量領域よりも相対的に厚みが大きくかつ相対的に高密度であるとともに、前記低坪量領域によって囲まれるようにして平面方向に複数配置されており、
    前記表面シートは、肌当接面側に複数の窪み部と複数の突出部とが平面方向において交互に配置された構造を有しているとともに、前記窪み部には、周囲に位置する部分よりも繊維量の少ない低繊維密度領域が形成されており、前記突出部と前記吸収体との間に内部空間を有しており、
    着用者の排泄部に対向する排泄部対向領域では、前記低坪量領域と前記低繊維密度領域が、平面視において重なっている吸収性物品。
  2. 前記表面シートにおける前記窪み部が、熱圧搾により前記吸収体に接合されている請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記表面シートにおける前記窪み部では、前記低繊維密度領域の周囲に位置する高繊維密度領域が前記突出部よりも高密度である請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記低繊維密度領域が開孔部である請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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