JP5882718B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、生理用ナプキンや使い捨ておむつ、尿とりパッド等の吸収性物品に関する。
生理用ナプキン等の吸収性物品においては、各部材の材料や構造を改良し、その機能や着用感の向上が図られてきた。吸収体についても、かかる改良を企図して開発がなされ、特に最近では使用状況や吸収性物品の種類に応じた機能性のものが種々提案されている。
特許文献1には、表面シートの肌当接面側に液透過性の隆起部が配設された生理用ナプキンが記載されている。前記隆起部の立ち上がり寸法等を臀裂部の溝など身体の特徴に対応して変化させナプキンと肌との密着性を高め、液漏れを防ぐことができるとされる。また特許文献2には、吸収体の着衣当接面側の圧搾溝と、該圧搾溝が肌当接面側に隆起してなる突出部と、該突出部の脇で凹状に圧搾された空間部とを有する生理用ナプキンが記載されている。ナプキン装着時の幅方向の圧力で、前記圧搾溝に沿って前記突出部が隆起して吸収体の中央部分が凹み易くされている。この形状が堰の役割をはたし、多量に排泄された液による漏れを防ぐことができるとされる。さらに特許文献3には、複数の離間部を有して小さな吸収部の集合体からなる吸収性コアと、該吸収性コアに前記離間部を1つ以上横断して肌当接面側から圧搾された防漏溝とを有する生理用ナプキンが記載されている。これにより、柔軟性の低下を抑えつつ液拡散を防止し、かつ、排泄量に応じて前記防漏溝の内外の吸収性コアを液の吸収保持に有効に活用できる。
特開2011−5341号公報 国際公開第2008/062873号 特開2011−139897号公報
前記従来技術は、液の吸収性能の向上によって液と肌との接触を低減し良好な装着感を実現しようとするものである。これはムレや肌荒れ等の防止へとつながり得る。他方で、液との接触とは別に、吸収体内取り込まれた液は肌側へと蒸発することがある。特に、長時間装着等で吸収体の液保持量が飽和状態であると、肌側の空間への蒸発が生じやすい。その蒸発の程度によっては、肌側の湿度の上昇となって肌への負担となり兼ねない。
上記の点に鑑み、本発明は、液を保持する吸収体内での水分の蒸発を促し、肌側をムレにくくし、肌荒れ等を低減できる吸収性物品の提供を課題とする。
本発明は、肌当接面側に配置された表面シート、非肌当接面側に配置された裏面シート、及び両シートに介在配置された吸収体を有する縦長の吸収性物品であって、前記吸収体は、肌当接面側に配された上層吸収体と該上層吸収体より非肌当接面側に配された下層吸収体とを有し、前記上層吸収体は、下層吸収体よりも幅狭で長さが短く、少なくとも排泄部対向領域に配置され、前記上層吸収体と前記下層吸収体が積層されて互いに対向する面であって、平面視した際の上層吸収体が存在する領域における上層吸収体側又は下層吸収体側のどちらか一方又は両方の面に連続した溝を備え、該溝は、前記上層吸収体が存在する領域の幅方向又は長手方向の端部に達している溝である吸収性物品を提供する。
本発明の吸収性物品は、液を保持する吸収体内での水分の蒸発を促し、肌側をムレにくくし、肌荒れ等を低減できるという優れた作用効果を奏する。
本発明における吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキンを肌当接面方向から示した一部切欠斜視図である。 本実施形態に係る吸収体を肌当接面側から模式的に示した平面図である。 本実施形態に係る上層吸収体の構造を模式的に示した図であり、(A)はナプキンに配設される際に肌当接面側となる面から示した平面図であり、(B)はB−B断面図であり、(C)はその底面図(ナプキンに配設される際に非肌当接面から示した図)である。 本実施形態に係る下層吸収体の構造を模式的に示した図であり、(A)はナプキンに配設される際に肌当接面側となる面から示した平面図であり、(B)はB−B断面図であり、(C)はその底面図(ナプキンに配設される際に非肌当接面から示した図)である。 図1におけるV−V線断面を示す幅方向断面図である。 図5の断面図の一部を拡大して示した一部拡大断面図である。 本実施形態に係る中高部としての上層吸収体及び下層吸収体の積層部分を一部切欠して模式的に示した説明図である。 本実施形態に係る吸収体における湿った空気の流路を模式的に示す説明図である。 本発明における吸収体の溝の変形例について、下層吸収体の肌当接面側から示した平面図である。 第1実施形態に係る吸収体の好ましい製造方法について、製造時におけるプレスロール加工前後の状態を概略化して示す工程説明図である。 (a−1)は回転ドラムの外周面にあるポケットを一部拡大して示す斜視図であり、(a−2)は回転ドラムのポケットに繊維材料が堆積した状態を示す断面図であり、(b)は吸収体前駆体が回転ドラムからバキュームコンベアへ離型される様子を示す説明図であり、(c)は加圧工程の説明図である。 堆積体(吸収体前駆体)の一部を凸状部側から示す斜視図である。
本発明に係る吸収性物品の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明における吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキンを肌当接面方向から示した一部切欠斜視図である。
まず本実施形態の生理用ナプキン10の概要を説明する。
本実施形態の生理用ナプキン10は、図1に示すように、肌当接面側に配置される液透過性の表面シート1、非肌当接面側に配置される裏面シート2、及び該両シートの間に配置される吸収体3を備え、縦長の形状である。吸収体3は肌当接面側の上層吸収体4と非肌当接面側の下層吸収体5とを積層させてなる。上層吸収体3及び下層吸収体5はいずれも角が丸みを帯びた矩形形状である。また上層吸収体3は、下層吸収体5よりも幅狭で長さが短く、ナプキン10の排泄部対向領域Cの位置に配されている。この部分において両吸収部が積層され肌当接面側に隆起する中高部7を形成する。中高部7は、排泄部対向領域Cにおいて、ナプキン10と着用者の肌との密着性を高めて素早く液を取り込み得る。これにより液残りや横漏れを低減でき着用者の装着感を良好なものとすることができる。
さらに本実施形態の吸収体3において、上層吸収体4及び下層吸収体5はいずれも長手方向(Y方向)及び幅方向(X方向)に沿う溝を複数有する。この吸収体3の詳細については後述する。
2層構造の吸収体3は、図1に示すように、その長手方向をナプキン10の長手方向(Y方向)に一致させ幅方向(X方向)の中央に位置するよう、裏面シート2の肌当接面側に接着剤等で接合され配設されている。さらに吸収体3の長手方向左右両側の外方に裏面シート2が延出してその肌当接面側とサイドシート8とが当接し接合されている。裏面シート2とサイドシート8とが当接した部分では表面シート1が挟持され、さらにその幅方向(X方向)内方向に向け表面シート1が吸収体3よりも肌当接面側に位置されるように配されている。
このように積層された各シート部材が吸収体3の外方で吸収体3を介さずにヒートシール等により接合され、ナプキン10の外周縁部11が形成されている。この外周縁部11は、ナプキン10の全体的な伸縮性を阻害せず、一度吸収した液が漏れない程度に接合されている。外周縁部11の平面形状のうち、吸収体3の長手方向Xに沿う両側縁から外方部分はフラップ部12をなしている。フラップ部12には、着用時に着用者の排泄部(膣口)に対向配置される排泄部対向領域において吸収性物品幅方向の外方にさらに延出した一対のウイング部12a,12aを有している。さらに、着用時に排泄部対向領域より着用者の背中側に配される後方領域において生理用ナプキン10の幅方向の外方にさらに延出した一対の後方フラップ部12b,12bを有している。生理用ナプキン10使用時には、ウイング部12aをショーツにおける股下部の非肌当接面側に巻き込んで着衣等に固定する。
生理用ナプキン10の肌当接面側には表面シート1の肌当接面側から吸収体3にかけて圧搾した防漏溝13が施されている。防漏溝13の平面視形状は、中高部7をなす上層吸収体4の周辺を囲むように無端環状に連続した形状である。このようにすることでナプキンを装着して使用する際の排泄液の横漏れを効果的に防止することができる。またナプキン10の装着の際、幅方向からの外力が加わると防漏溝13に沿って着用者の股下肌側へ折れ曲り易く、吸収体3の中高部7が隆起し易くなる。これにより中高部7しっかりと着用者の体に当接し易く動きにも追従して隙間が生じるのを防ぐことができる。なお、本実施形態における防漏溝13の平面視形状は、前述の形状に限定されず、無端環状の前端、後端で互いに交差していてもよく、用途に合わせ適宜決められることが好ましい。
なお、排泄部対向領域とは経血もしくはおりもの等の排泄を直接受ける部分及びその近傍である。通常、昼用のナプキンなど前後対象に形成される場合は、排泄部対向領域は、ナプキンを長手方向に3等分した場合の中央領域であり、夜用のナプキン(本実施形態のナプキン10)などは、後方に臀部を覆う左右幅広な後方フラップを有し、ナプキンを長手方向に2等分した際の前側の中央よりにある。また、昼用、夜用にかかわらず、ショーツの股下部に折り曲げて固定するウイングを備える場合は、該ウイングの存在する領域に沿った長手方向領域が排泄部に対応する。さらに本実施形態のように中高部を有する場合は、その位置が排泄部に対応する。したがって排泄部対向領域Cは、ナプキンの大きさや使用目的に応じて定められるため一義的には定まらないが、一般的には、前方部Fの端部から60〜90mm部分から長手方向に60〜120mmまでの範囲が排泄部対向領域Cと定めることができる。
上記表面シート1、裏面シート2及び吸収体3の材料等に関する詳細は後述するが、本実施形態において表面シート1は、排泄された体液を速やかに透過し、吸収体に伝達する観点と、肌触りのよさの観点から親水性のエアスルー不織布を用いている。また、裏面シート2としては、通気性を有した透湿性フィルムを単層で用いている。吸収体3としてはパルプ繊維と吸収性ポリマー等とを混合積繊し成形したものを用いている。また、裏面シート2の非肌当接面側には、生理用ナプキン10を着衣に固定するための粘着剤(図示せず)が塗布されている。該粘着剤によって、生理用ナプキン10が使用者の着衣に接着固定される。本実施形態の生理用ナプキン10は、その表面シート側を着用者の肌当接面に向け、かつ、その縦方向の前方部Fから後方部Rまでを下腹部から臀部に沿わせて配し、その幅方向を左右の足をつなぐラインの方向に向けて配して着用する。
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側の面を肌側面ないし肌当接面あるいは表面といい、これと反対側の面を非肌面ないし非肌当接面あるいは裏面という。この2つの面において、肌側面に近い方ないしその延長方向を肌面側、肌当接面側又は表面側といい、非肌面に近い方ないしその延長方向を非肌面側、非肌当接面側又は裏面側という。装着時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚さという。更に、吸収性物品の平面視において腹側部から股下部を亘り背側部に至る方向を長手方向または縦方向(Y方向)といい、この縦方向と直交する方向を幅方向(X方向)という。なお、前記縦方向は典型的には装着状態において人体の前後方向と一致する。
次に、吸収体3をなす上層吸収体4及び下層吸収体5の構造について、図1〜4を参照して説明する。
吸収体3は、前述のとおり、上層吸収体4と下層吸収体5とからなる(図1参照)。その配置は、図2に示すように、下層吸収体5が前方領域Fから排泄部対向領域Cを介して後方領域Rに亘たる縦長として配され、上層吸収体4が排泄部対向領域Cの幅方向中央において下層吸収体32よりも幅狭で長さが短い形状で下層吸収体5の肌側面上に載置されている。そして上層吸収体4の非肌当接面及び下層吸収体5の肌当接面にはそれぞれ複数の溝45及び溝55(又は凹部45及び55という。)が格子状に配設されている。図2に示すように、前方部F及び後方部Rにおいては、下層吸収体5の溝55が開放した配置とされている。一方、排泄部対向領域Cにおいては、上層吸収体4の溝45と下層吸収体5の溝55とが対向するように配置されている(図5参照)。これら上層吸収体4及び下層吸収体5の構造について以下に説明する。
上層吸収体4は、その肌当接面側が平坦な形状であり(図3(A)及び(B))、その非肌当接面側が溝45によって凹凸形状となっている(図3(B)及び(C)参照)。具体的には、図3(C)が示すように、上層吸収体4の非肌当接面側、つまり下層吸収体5との対向面に複数条の溝45(凹部45ともいう。)が配設されている。溝45は、長手方向(Y方向)に沿う3本の長手方向上層溝45aと幅方向(X方向)に沿う4本の幅方向上層溝45bとからなっている。長手方向上層溝45aは、上層吸収体4の長手方向の端部にまで達して前後端に亘って連通し、連続的な溝となっている。幅方向上層溝45bは、上層吸収体4の幅方向の端部にまで達して左右両端に亘って連通し、連続的な溝となっている。これにより上層吸収体4は、その非肌当接面側において格子状に区画されている。つまり、長手方向上層溝部45a及び幅方向上層溝部45bは、平面視した際の上層吸収体4が存在する領域の前後端及び左右両端に達して配設されている。なお本発明において、「連通」とは、空気等の流体が流れることができる状態をいい、各溝の長手方向ないし幅方向の「連通」とは、後述の蒸気の流動化を促すよう、液保持量の多い吸収体部分から少ない方へと蒸気を効果的に移動させることができることをいう。また本発明において、「連続」ないし「連続的」とは、本実施形態のように溝が直線的に連なる形状に限定されるものではなく、溝がなす空隙が途切れない種々の形態を含む。たとえば、千鳥状や亀甲状等の配置形態でもよく、溝の連なりの途中で幅が変化する形態であってもよく、また途中に調整弁のような小空間が配設される形態であってもよい。
また上層吸収体4の溝45は、図3(B)の断面図が示すように、非肌当接面側から肌当接面側へと窪んだ凹部である。つまりこの部分は、上層吸収体3の構成材料が配されない空間部分となっている。空間部分である溝45によって格子状に区画された上層吸収体4の部分は、非肌当接面側に突出したブロック状の突出吸収部43となっている(図3(B)参照)。突出吸収部43は、平面視、複数独立して整列配置されている(図3(C)参照)。また上層吸収体4を厚み方向にみて、溝45の肌当接面側の底部は上層吸収体4の一部として凹部吸収部44が配されている(図3(B)参照)。凹部吸収部44は、溝45の空間の分だけ突出吸収部43よりも厚みが薄く、肌当接面側へと偏在している。この凹部吸収部44と突出吸収部43とは、上層吸収体4の肌当接面側で連続層となって平坦面を形成する(図3(A)参照)。
他方、下層吸収体5は、その肌当接面側が溝55によって凹凸形状となおり(図4(A)及び(B))、その非肌当接面側が平坦な形状である(図4(B)及び(C)参照)。具体的には、図4(A)が示すように、下層吸収体5の肌当接面側、つまり上層吸収体4との対向面に複数条の溝55(凹部55ともいう。)が配設されている。溝55は、長手方向(Y方向)に沿う7本の長手方向下層溝55aと幅方向(X方向)に沿う10本の幅方向下層溝55bとからなっている。長手方向下層溝55aは、下層吸収体5の長手方向の端部にまで達して前後端に亘って連通し、連続的な溝となっている。幅方向下層溝55bは、下層吸収体5の幅方向の端部にまで達して左右両端に亘って連通し、連続的な溝となっている。これにより下層吸収体5は、その肌当接面側において格子状に区画されている。つまり、長手方向下層溝部55a及び幅方向下層溝部55bは、平面視した際の上層吸収体4が存在する領域の前後端及び左右両端に達し、さらにそれを越えて配設されている。
また下層吸収体5の溝55は、図4(B)の断面図が示すように、肌当接面側から非肌当接面側へと窪んだ凹部であり空間部分である。そして溝55に区画された下層吸収体5の部分は、肌当接面側に突出したブロック状の突出吸収部53となっている(図4(B)参照)。突出吸収部53は、平面視、複数独立して整列配置されている(図4(A)参照)。また下層吸収体5を厚み方向にみて、溝55の非肌当接面側の底部は下層吸収体5の一部として凹部吸収部54が配されている(図4(B)参照)。凹部吸収部54は、溝55の空間の分だけ突出吸収部53よりも厚みが薄く、非肌当接面側へと偏在している。この凹部吸収部54と突出吸収部53とは、下層吸収体5の非肌当接面側で連続層となって平坦面を形成する(図4(C)参照)。
上層吸収体4及び下層吸収体5は、いずれも縦横の溝45及び55によって区画され、突出吸収部43及び53が動きやすくなる。これにより外力対する可撓性を有する。これを配置した生理用ナプキン10は、肌面の起伏にフィットする「身体適合性」、及び着用者の動きにも良好に追随して肌との部分的な隙間を生じ難くできる「動作追随性」が極めて高くなる。
上層吸収体4及び下層吸収体5において、溝や突出吸収部の大きさ、形状等は吸収性物品の大きさや使用目的に応じて異なるため一義的に定められない。しかし一般的には、長手方向上層溝45a及び長手方向下層溝55aの幅(r)は、0.25〜5mmが好ましく、0.5〜3mmがさらに好ましい(図3及び4参照)。前記下限以上とすることで肌とナプキンの間に滞留した湿気を外気に逃がしやすくなり、上限以下とすることで溝55aを経血が一気に流れることによる漏れの発生を防止することが出来る。また、幅方向上層溝45b及び幅方向下層溝55bの幅(s)は、0.25〜5mmが好ましく、0.5〜3mmがさらに好ましい(図3及び4参照)。前記下限以上とすることで肌とナプキンの間に滞留した湿気を外気に逃がしやすくなり、上限以下とすることで溝55bを経血が一気に流れることによる漏れの発生を防止することが出来る。
また上層溝45深さ(h)の上層吸収体4全体の厚み(h)に対する割合は、
20〜80%が好ましく、30〜70%がさらに好ましい(図3(C)及び4(C)参照)。下層溝55深さ(h)の下層吸収体5全体の厚み(h)に対する割合は、20〜80%が好ましく、30〜70%がさらに好ましい(図3(C)及び4(C)参照)。前記下限以上とすることで肌とナプキンの間に滞留した湿気を外気に逃がしやすくなり、上限以下とすることで凹部吸収部54により隣接する突出吸収部53同士が繋ぎ合わされ、吸収体3が着用者の動作により破断することを防止することが出来る。溝55bを経血が一気に流れることによる漏れの発生を防止することが出来る。
[溝45及び55の深さの測定方法]
まず、溝45及び55は、上層吸収体4及び下層吸収体5の底部から厚み方向に窪んで空隙のある部分とし、凹部吸収部44及び54は溝45及び55の上部に位置する吸収体3の素材からなる部分として区分できる(図3(B)及び4(B))。突出吸収部43及び53は、厚み方向に並ぶ溝45及び55及び凹部吸収部44及び54に隣接して囲まれる吸収体3の素材からなる上部から底部までの部分として区分できる(図3(B)及び4(B))。この突出吸収部と凹部吸収部及び溝との境界は、溝の壁面底部から厚み方向に延ばした仮想線t,tとして規定できる(図3(B)及び4(B))。
次に、図3(B)に示す凹部吸収部44の厚み(h=h−h)及び突出吸収部43の厚み(h)、並びに図4(B)に示す凹部吸収部54の厚み(h=h−h)及び突出吸収部53の厚み(h)の測定は、大きさ37mm×37mm、厚み3mmのアクリルプレートを吸収体3の上に置き、KEYENCE社製非接触式レーザー変位計(レーザーヘッドLK−G30、変位計LK−GD500を用い突出吸収部43の厚み(h)及び突出吸収部53の厚み(h)を計測し、凹部吸収部44の厚み(h)及び凹部吸収部54の厚み(h)を吸収体の図3及び4相当の断面をKEYENCE社製マイクロスコープVHX‐1000を用いることで計測できる。そして溝45の深さ(h)は突出吸収部43の厚み(h)と凹部吸収部44の厚み(h)との差(h−h)として算出でき、溝55の深さ(h)は突出吸収部53の厚み(h)と凹部吸収部54の厚み(h)との差(h−h)として算出できる。
同様の方法より、長手方向上層溝45a及び長手方向下層溝55aの幅(r)、並びに幅方向上層溝45b及び幅方向下層溝55bの幅(s)を測定することができる。
上記の構造を有する上層吸収体4及び下層吸収体5は、それぞれ溝のある面を対向するように積層されて中高部7をなす。本実施形態においては、図5の幅方向断面図が示すように、上層の溝45と下層の溝55とが互いに同じ位置に対向して配され、実質的に重なる配置とされている。長手方向及び幅方向いずれにおいても上層及び下層の溝が同じ位置に配されている。なお本発明において、上下の溝(本実施形態の溝45及び溝55)における「同じ位置」や「実質的に重なる配置」とは、溝による空間が連接されることをいう。また両溝の重なりにおいて、後述の蒸気の流動性や排出性を阻害せず効果な往来を可能とする配置を意味し、溝45及び溝55の多少の位置ずれを許容する。これにより排泄部対向領域Cにある中高部7では、上層吸収体4及び下層吸収体5を厚み方向に繋ぐ空間が、縦方向及び幅方向の縦横に配されている。つまり吸収体内部に格子状の空間が形成されている。この点について図5〜7を参照してさらに説明する。
図5は、図1におけるV−V線断面を示す幅方向断面図であり、中高部7における幅方向断面を示している。図6は、図5の断面図の一部を拡大して示した一部拡大断面図である。図7は、本実施形態に係る中高部7としての上層吸収体4及び下層吸収体5の積層部分を一部切欠して模式的に示した説明図である。なお図6及び7において、図の煩雑化を避け、表面シート1、裏面シート2及びサイドシート8は省略して示している。
図5に示すように、中高部7の幅方向断面において、3つの長手方向上層溝45a及び長手方向下層溝55aが対向して重なる配置とされている。これにより厚み方向に一体化された大きな長手方向中空路75が3つ形成されている。そして3つの長手方向中空路75が長手方向の前後端に亘って連通している。各長手方向中空路75は、上層吸収体4及び下層吸収体5の双方へと入り込んだ1つの空間である。この点について図6を参照してさらに説明すれば、吸収体内部において、空気に直接面している上層吸収体4の溝45を構成する側壁部45j及び底部45kと、下層吸収体5の溝55を構成する側壁部55j及び底部55kとからなる。なお側壁部45j及び55jは突出吸収部43及び53の壁部でもあり、底部45k及び55kは凹部吸収部44及び54の壁部でもある。
図5及び6において示した溝45及び55の配置は、幅方向においても同様である。図示しないが、4つの幅方向上層溝45及び幅方向下層溝55が重なって、大きな幅方向中空路76が形成されている。また幅方向中空路76は幅方向の左右両端に亘って連通している。
つまり、長手方向中空路75及び幅方向中空路76は、吸収体3の中高部7の厚み方向において、表面シート1に近い位置から裏面シート2近い位置までに至る、厚み方向に閉じた空洞部となっている。
長手方向中空路75及び幅方向中空路76が、前記の厚み方向の形状と併せ、縦横に連通する網目配置となっていることによって、中高部7内部には、空気が流動し得る流路が形成されている(図7参照)。これは、排泄液を直接的に受け取る中高部7の内部に空気と吸収体との界面をできるだけ多く設けたことを意味し、水分の蒸発を促す構造を備えたことを意味する。つまり、吸収保持した排泄液を蒸発させる構造を内部に備えることになる。具体的には空気に直接面している上層吸収体4の溝45を構成する側壁部45j及び底部45kと、下層吸収体5の溝55を構成する側壁部55j及び底部45kとから液が蒸発していく(図6参照)。
通常、吸収体を構成するパルプ繊維等の液吸収素材は、接触する空気との間で蒸気を吸湿し他方で放湿する。これは液吸収素材の原料となるセルロースの吸放湿の性質も寄与している。セルロースは、水分あるいは蒸気で囲まれているときは、平衡に達するまで吸湿あるいは放湿を行う。つまり吸収体の空気との接触面において、空気中の相対湿度(以下、単に湿度ともいう。)と吸収体の水分の膨潤の程度との関係で吸湿ないし放湿が行われる。例えば、吸収体の構成繊維が排泄液で膨潤すればするほど、周辺の空気中へと水分が放湿され、空気の湿度が飽和状態になるまで行われる。
本実施形態においては、液を最も多く吸収保持する中高部7内部に空気との接触する構造(長手方向中空路75及び幅方向中空路76)を設けている。より具体的には、底部45kは表面シート1に近い位置で空気と接触でき、排泄初期などの液が少量の場合でも、積極的に水分を内部蒸発(以下、内部放湿または単に放湿ともいう。)させることができる。加えて、側壁部45j及び側壁部55jが、表面シート1に近い位置から裏面シート2に近い位置まで厚み方向に形成されていることで広く空気と接触でき、液保持量の少ないときには側壁部45jの肌当接面側に近い位置から内部蒸発させ、液保持量の増加に合わせて、側壁部45j及び側壁部55jの各部で内部蒸発させることが可能となる。したがって、この長手方向中空路75及び幅方向中空路76は、排泄量の多寡に係わらず、水分の内部蒸発を可能とする。
このように液を相対的に多く保持する吸収体内部で直接的に水分を放湿させ、そして、長手方向中空路75及び幅方向中空路76の縦横に連通する網目構造によって、蒸発により湿った空気を平面方向へと拡散させることができる。またこの放湿した蒸気は、肌当接面側の凹部吸収部44で上昇を遮られ、その遮蔽面も底部45kと極めて限定的である(図6参照)。しかも凹部吸収部44は、厚みのある突出吸収部43と一体となって平坦な連続層を形成している。これにより中高部7は、吸収体内部で放湿させつつ、その蒸気を肌側へと移行しないよう閉じ込めることができる。そのため、従来のものに比して肌側に蒸気が上昇難く、ムレや肌荒れを効果的に防止し得る。この観点から、排泄部対向領域Cにある吸収体、本実施形態における中高部7の肌当接面側は、凹凸なく平坦な形状として空気との接触面積を抑えることが好ましい。
また中高部7は、長手方向中空路75及び幅方向中空路76の縦横の網目配置によって、空気が平面方向に流動し得る(図7参照)。前述のとおり、吸収体内部の蒸気によって湿気を帯びた空気は、肌側へと上昇し難いが、平面方向に広がる中空路75及び76に沿って拡散し得る。その際、より湿度の低いところへと移動する。そして移動先に吸収体の部分には比較的液の保持量も少なく蒸気を吸湿し得る。この空気の流動と吸収体による吸湿によって、内部構造においても湿度を比較的低くするようにすることができる。つまり中高部7は水分の蒸発及び凝縮の循環構造を有する。
さらに幅方向中空路76は中高部7の幅方向端部にまで至り連通している。またその幅方向外方に延出した下層吸収体5には、肌面側に解放された幅方向下層溝55bが中高部7から連続的に延出している。これにより、湿気を幅方外方へと効果的に排出することができて好ましい。
このように本実施形態のナプキン10は、湿気の内部保湿と内部循環構造により、肌側への放湿を抑えて、肌との間の湿度低減を効果的に実現することができる。これにより、排泄液の多寡に係わらず、着用者に高いドライ感を与え、肌荒れ等を効果的に低減することができる。
さらにナプキン10において、中高部7の前方(前方領域F)及び後方(後方領域R)には下層吸収体5が配されている。その部分において溝55が肌側に開放された状態で配されている(図2参照)。この部分における溝55は、中高部7のものと同様のピッチで配された、長手方向下層溝55a及び幅方向下層溝55bからなる。長手方向溝55aは、中高部7にあるものを含め、下層吸収体5の長手方向の端部にまで達して前後端に亘って連通し、連続的な溝となっている。つまり長手方向中空路75は、長手方向下層溝55aへと繋がっている。これにより、中高部7内部で放湿され流動化された湿った空気は、さらに長手方向へと拡散可能であり、上層吸収体31の端縁にまで至って外に排出される。この点について、図8を参照して以下に説明する。
図8は、本実施形態に係る吸収体3における湿った空気の流路を模式的に示す説明図である。図8においては、空気の移動の理解のため、吸収体の幅及び長さの一部を省略し、他の部材を省略して示している。図8において、符号101は着用者の肌を示し、符号102は排泄液を示す。
着用者から排泄された液102が中高部7の肌当接面側で受け止められ、内部へと透過され吸収保持され膨潤し始める。するとこの部分の中高部7内部において、長手方向中空路75及び幅方向中空路76へと水分が放湿される。その蒸気は該中空路に沿って移動する(矢印f及びf)。そして、中高部7から繋がる長手方向下層溝55aは、下層吸収体3の前後端部にまで到達した連続溝である。これにより、図8に示す矢印fのように、中高部7内の湿った空気を外部へと排出することができる。これは、1つに空気が流動し易い溝構造による。さらに、下層吸収体3の前方領域F及び後方領域Rにあたる部分が中高部7よりも相対的に湿潤程度が低く、同時にそこから放湿される湿気も相対的に少ない(つまり相対湿度が低い)。この湿度差によって空気を流動化でき、中高部7から前方領域F及び後方領域Rへと、湿気を誘導することができる。なおこの場合、前方部F及び後方部Rに配設された防漏溝13は、この空気の誘導を阻害しない程度のものとすることが好ましい。たとえば、前方部F及び後方部Rの部分の防漏溝13を形成する圧縮ロールの高圧搾部形成部の間隔を広げる、前方部F及び後方部R煮形成される高圧搾部の密度を、吸収体長手方向中央部に形成される高圧搾部の密度よりも低くするといった手段によって、長手方向下層溝55aにおいて、完全に塞がない程度の圧搾深さとすることが好ましい。
加えて前方領域F及び後方領域Rにおいて、下層吸収体5は上層吸収体4に覆われずに解放されている。この領域において、長手方向下層溝55a及び幅方向下層溝55bが露出した状態である。つまり下層吸収体5の肌当接面側を構成する突出吸収部53の底部53k(肌当接面側)、溝55の側壁部55j(突出吸収部53の壁部)、及び底部55k(凹部吸収部54の肌当接面側の壁部)が全て肌当接面側へと開放されている。この開放面は、縦横方向に凹凸形状であり、通常の平坦な吸収体の平面よりも空気との接触面積が大きい。そのため、ナプキン10の中で比較的に湿度の低いこの部分に湿気を積極的に呼び込み、その部分の下層吸収体5で吸湿することができる。これにより、中高部7から流動してくる湿気(図8の矢印f)のみならず肌101側に多少なりとも生じる湿気をも、湿度の差により前方領域F及び後方領域Rへと誘導し取り込むことができる(図8の矢印f)。
以上のとおり、排泄部対向領域Cの中高部7と前方領域F及び後方領域Rの下層吸収体5との組み合わせにより、水分の内部放湿性と循環性のみならず、湿気の流通性・排出性及び前方領域F及び後方領域Rでの吸湿性とが相俟って、さらに肌との間の湿度低減を効果的に実現することができる。これにより、より高いドライ感を着用者に与えることができ、肌荒れ等を効果的に低減することができる。
本発明において、溝の構造及び配置は、本実施形態のものに限定されず、前記と同様の作用を奏する溝として適宜変更することができる。たとえば、長手方向中空路75の端部75p,75p(図8参照)がその外方にある長手方向下層溝55aと連通し得る構造であれば、上層吸収体4が存在する中高部7の領域において、長手方向下層溝55aは下層吸収体5の前後端へと連通した連続溝でなくてもよく、分断されていてもよい。また同様の観点から、中高部7の領域における長手方向の溝として、長手方向下層溝55aが配されず長手方向上層溝45aのみであってもよい。逆に、長手方向下層溝55aが長手方向の前後端に亘って連通した連続溝とし、中高部7の領域における長手方向上層溝45aがないものであってもよい。幅方向の溝構造についても、前記と同様の作用を奏する溝として適宜変更することができる。また上層吸収体4の存在する領域ける連続した溝として、本実施形態のように長手方向と幅方向の両方に配される溝の組み合わせに限らず、長手方向の溝のみ、あるいは幅方向の溝のみであってもよい。なお本発明において、この「連通」とは、空気等の流体が流れることができる状態をいい、前記上下の溝における「連通」とは、前述の作用を奏するように、中高部7内部の湿った空気を前方領域F及び後方領域Rに誘導して排出できるよう、長手方向中空路75の端部75aからその外方の長手方向下層溝55aへと効果的に湿った空気を受け渡しできる関係をいう。
また本発明において、溝の幅や深さ等は、本実施形態のものに限定されず、前記と同様の作用を奏する溝として任意に変更できる。たとえば、図9に示すような形態とすることも好ましい。図9は、本発明における吸収体の溝の変形例について、下層吸収体5の肌当接面側から示した平面図である。図9に示すように、下層吸収体5の中央から長手方向の前後方向それぞれに向かって溝幅が広がるようにされていてもよい。これにより、湿った空気の外部排出をより効果的にすることができ、さらに湿度低減を促すことができるので好ましい。なお、図示しないが、上層吸収体4においても長手方向上層溝45aが端部に向かうにしたがって広がる形態も同様に好ましい。
さらに本発明において、吸収体3の積層構造は、本実施形態の2層に限定されず、前記作用を奏する限り、3層以上にしてもよく、各層を複数の部材から構成してもよい。上層吸収体4は、本実施形態の大きさに限定されず、長手方向(Y方向)にさらに長さを有してもよく、下層吸収体5と一致する長さとしてもよく、複数に分離された形態であってもよい。突出吸収部43及び53の配置は、適宜用途や機能に応じて配列を選択することができ、特に限定されないが、例えば千鳥状配列(上記投影像が長手方向及び/又は幅方向にみて略半ピッチずれのある配置)であってもよい。この突出吸収部43及び53は、平面視において略長方形状であるが、これに限定されず任意の形状のものを採用可能であり、その輪郭は図示したもののように定形的なものではなくてもよく、全体として上述した立体形状のものとされていることが好ましい。
本発明において、前述の吸収体の溝構造が、吸収体3の肌当接面側に液をできるだけ残さず、液戻りを抑制し得るものであれば、より肌側の蒸発を抑えてムレを抑制し、肌荒れ防止に効果的となる。その好ましい吸収体3について以下に説明する。
図3に示すような上層吸収体3において、突出吸収部43が凹部吸収部44よりも厚みのある高坪量部とされ、かつ突出吸収部43が凹部吸収部44よりも繊維密度を高められていることが好ましい。したがって、凹部吸収部44が、相対的に突出吸収部43よりも薄く低坪量部とされ低密度部されていることが好ましい。前記配列において、高坪量で高密度な突出吸収部43が凹部吸収部44の中に存在するような海―島構造となる。また上層吸収体4の肌当接面側は、低密度な凹部吸収部44と高密度な突出吸収部43の肌側面とで平坦な形状をなし、この凹部吸収部44や突出吸収部43を含む上層吸収体4全体は継ぎ目のない一体構造とされていることが好ましい。
同様に、図4に示すような下層吸収体5において、突出吸収部53が凹部吸収部54よりも高坪量とされ、かつ突出吸収部53が凹部吸収部54よりも繊維密度の高密度となっていることが好ましい。したがって、凹部吸収部44が、相対的に突出吸収部43よりも薄く低坪量部とされ低密度部されていることが好ましい。これにより下層吸収体5においても高坪量で高密度な突出吸収部43が凹部吸収部44の中に存在するような海―島構造となる。
このような繊維の粗密及び坪量差の構造において、上層吸収体4の凹部吸収部44は、繊維量が少ないことによって低坪量であること、同じく繊維量が少ないことによって積繊時の厚みが薄く低密度であることにより、液の通液抵抗が低く、液の圧力損失を損なわずに液を素早く吸収体の厚み方向に透過させることができる。また吸収体3の肌当接面側が平坦で、かつ凹部吸収部44が肌当接面側で平面方向に連続的に広がっていることで、液との接触が良く、液を広い範囲で素早く上層吸収体4内部に引き込むことができる。つまり、凹部吸収部44が導液路となり、肌当接面側からの液をすばやく内部に引き込むチャンバーとなる。
さらに凹部吸収部44に囲まれ連接する突出吸収部43は、凹部吸収部44よりも高密度な高坪量部である。そのため、凹部吸収部44を通過した液は、凹部吸収部44と突出吸収部43との繊維の密度差あるいは密度勾配によって生じる毛管力によって突出吸収部43へと素早く取り込まれ厚み方向に移動して保持される。さらに下層吸収体5の毛管力の高い突出吸収部53へも取り込まれて保持される。加えて、経血等などの高粘性の液が一度に多量に排泄されたり繰り返し排泄されたりした場合には、溝45及び55を介して下層吸収体5の凹部吸収部54へと液が移行し得る。下層吸収体5の凹部吸収部54は、低坪量かつ低密度であるために通液抵抗が低く、排泄液の拡散路となる。そしてこの経路からも下層吸収体5の突出吸収部53へと吸い上げられて保持される。これにより液は、高密度な突出吸収部43及び53に優先的に集まり、そこで確実に固定化される。その結果、上層吸収体4の肌当接面側にある液は液残りせずに透過されやすく、吸収保持された液は肌当接面側への液戻りが生じ難くなる。また液が吸収保持されるのは肌当接面側よりも遠い位置にあり、かつ、ブロック状の突出吸収部43及び53自体が下層吸収体32の支柱となって形状を保持しようとするので、外圧による液戻りやヨレが効果的に防止され得る。
また液を固定化した突出吸収部43及び53は、その側壁部45j及び55jが中高部7内にある中空部分の空気と広く接する構造となっている。これにより中高部7内部における水分の蒸発がより積極的に効果的になされて好ましい。さらに、繊維密度の高い突出吸収部43及び53がなす支柱によって、装着時の圧力に対しても吸収体の形状維持がされ易く、溝45及び55の空間が維持され易くなり好ましい。
以上のとおり、このような液の吸収構造が、液の透過性を高めて蒸気の内部排出構造を補助し、これにより肌側での蒸発を抑え、排泄液の多寡に関わらず、ムレを抑えて肌荒れ等を低減できる。
上記の液吸収構造において、液残りや液戻り抑制の観点から、さらに水分の効果的な蒸発の観点から、液の吸収保持性能の高い吸水性ポリマーは、凹部吸収部44及び54に配されず、突出吸収部43及び53に配されることが好ましい。
凹部吸収部44及び54が液の保持量を抑えて液を素早く引き込み拡散させために、凹部吸収部44及び54の構成部材の平均密度(m)は、0.02〜0.09g/cmが好ましく、0.03〜0.08g/cmがさらに好ましい。他方、確実な液の保持・固定のために、突出吸収部43及び53の構成部材の平均密度(m)は、0.10〜0.25g/cmが好ましく、0.10〜0.20g/cmがさらに好ましい。なお突出吸収部43及び53は、製造時の圧縮により高密度化される部分であるが、たとえその厚み方向に均一な密度が形成されなくとも、全体として凹部吸収部34よりも密度が高まっていればよく、凹部吸収部44及び54の平均密度(m)と突出吸収部43及び53の平均密度(m)との比率(m/m)は、0.80以下が好ましく、0.60以下がさらに好ましい。この比率(m/m)について、上限以下とすることで、凹部吸収部44及び54と突出吸収部43及び53との間に働く毛管力により、突出吸収部43及び53が効率良く液を吸引・保持する吸収機構が発現される。
また、同様の理由から、凹部吸収部44及び54の構成部材の平均坪量(w)は、10〜150g/mであることが好ましく、20〜140g/mであることがさらに好ましい。突出吸収部43及び53の構成部材の平均坪量(w)は、160〜400g/mであることが好ましく、200〜350g/mであることがさらに好ましい。さらに、両者の吸収体の構成部材の平均坪量比(w/w)は、0.01〜0.90であることが好ましく、0.10〜0.70であることがさらに好ましい。
[突出吸収部43及び53並びに凹部吸収部44及び54の平均密度の測定方法]
突出吸収部43及び53並びに凹部吸収部44及び54の密度とは、吸収体3の構成部材であるパルプ繊維と高吸水性ポリマーとを併せた密度である。吸収体3を、凹部35の壁面底部から厚み方向に延ばした仮想線t,t(図3(B)及び4(B)参照)で切断して、突出吸収部43と凹部吸収部44に分離、また突出吸収部53と凹部吸収部54とに分離する。これらをそれぞれ長さ50mm、幅5mmの大きさに切り出しサンプルを調製する。次いで、電子天秤(A&D社製電子天秤GR−300、精度:小数点以下4桁)を用いサンプルの質量を測定する。定圧式厚み計を用い、サンプル厚みを測定し、測定したサンプルの質量を、サンプルの体積(厚み×長さ×幅)で除して各々の領域における部位の全材料の密度を算出する。なお、低圧式厚み計の測定時圧力は0.5g/cmで行う。平均密度は、サンプルを任意の箇所で10個調整して、その平均で求められる。
[突出吸収部43及び53並びに凹部吸収部44及び54の平均坪量の測定方法]
突出吸収部43及び53の平均坪量(w)及び凹部吸収部44及び54の平均坪量(w)の測定方法は、測定するそれぞれの部位の面積を予め測定し、その測定領域を前述の仮想線t,t(図3(B)及び4(B)参照)でカッターで切断してその切断部の質量を測定する。測定した質量を面積で除して、各々の密度領域の平均坪量を測定する。平均坪量は、サンプルを任意の箇所で10個調整して、その平均で求められる。
次に、本実施形態で用いられる上層吸収体4及び下層吸収体5の好ましい製造方法について図10〜12を参照して説明する。なお、上層吸収体4及び下層吸収体5の形状、溝45及び55、突出吸収部43及び44の数や形状、配置等は模式化して図示している。
図10は、上層吸収体4及び下層吸収体5の製造に好ましく用いられる吸収体の製造装置60を示す図である。製造装置60は、外周面に複数のポケット9(堆積部)がます目状に区切られた積繊プレートを有する回転ドラム62(図11(a−1)参照)と、回転ドラム62の外周面に向けて、繊維材料Sを飛散状態にて供給するダクト63と、ダクト63に繊維材料Sを供給する繊維材料供給部64と、ポケット9にあふれるように堆積させた過剰量の繊維材料を掻き取るスカッフィングロール65と、ポケット9から離型した堆積体(吸収体前駆体)70の上下面をコアラップシート3bで被覆する被覆機構(図示せず)と、吸収体前駆体70をコアラップシート3bで被覆して得られる吸収体連続体を、一対のプレスロール66a,66b間で加圧して圧縮する圧縮装置66と、圧縮後の吸収体連続体を、個々の生理用ナプキンに使用される寸法に切断して加工後の吸収体3とする切断装置(図示せず)を備えている。
回転ドラム62は、円筒状をなし、図10中の矢印A方向に一定速度で回転駆動される。回転ドラム62の内側(回転軸側)の非回転部分には、吸気ファン(図示せず)が接続されており、該吸気ファンの駆動により、回転ドラム内側の仕切られた空間B及びEが負圧に維持される。外周面にある個々のポケット9の底面部には、メッシュプレートが配設され(図示せず)、多数の細孔を有している。個々のポケット9が、負圧に維持された空間B,E上を通過している間、各ポケット9の底面部の細孔が吸引孔として機能する。
ダクト63は、回転ドラム62の外周面の一部を覆う吹き出し端部63aと、繊維材料供給装置64に接続された吹き込み端部63bとを有しており、空間B上に位置するポケット9の底面部からの吸引により、ダクト63内に、回転ドラム62の外周面に向けて流れる空気流が生じさせるように構成されている。繊維材料供給部64は、解繊機64eを備えており、ラチス64dにある原料S’が解繊機64eで解繊され、解繊された繊維材料Sをダクト63内に供給するように構成されている。
スカッフィングロール65は、周囲にブラシを有しており、該ブラシにより、ポケット62内からあふれた繊維材料Sを掻き取る。スカッフィングロール65に掻き取られずポケット9内に残った堆積体(吸収体前駆体)70は、回転ドラム62の下方においてポケット9から離型される。ポケット9からの離型は、回転ドラム62内の仕切られた空間Dを図示しない加圧手段により陽圧に維持して、ポケット9の底面部の細孔から空気を吹き出させると共に、バキュームコンベア67側から吸引することにより行う。前記被覆機構は、バキュームコンベア67上に、コアラップシート3bを供給する公知の搬送機構と、コアラップシート上に堆積体(吸収体前駆体)70が載置された後に、該コアラップシートの両側部を、該堆積体(吸収体前駆体)70上に折り返し、その折り返しにより、堆積体(吸収体前駆体)70の上下両面をコアラップシート3bで被覆する機構とで構成されている。なお、図10において折り返しの工程の詳細は省略しており、折り返されたコアラップシート3bの状態も2本の線として単純に示している。
図10に示す吸収体の製造装置60を用いて、上述した吸収体3を製造する方法について説明する。
まず、回転ドラム62及びスカッフィングロール65を回転させると共に、上記吸気ファン及び上記加圧手段を作動させて、空間B及びEを負圧にし、空間Dを陽圧にする。また、バキュームコンベア67、圧縮装置66及び上記切断装置を作動させる。吸気ファンの作動により、空間B上に位置するポケット9の底面部に吸引力が生じると共に、ダクト63内に、回転ドラム62の外周面に向けて流れる空気流が生じる。そして、繊維材料供給装置64を作動させて、ダクト63内に繊維材料S(パルプ繊維41及び高吸水性ポリマー42)を供給すると、該繊維材料Sは、飛散状態となって、ダクト63内を流れる空気流に載って、回転ドラム62の外周面に向けて供給される。
個々のポケット9が、負圧に維持された空間B上を通過している間、ダクト63から供給される繊維材料Sが各ポケット9に吸引されて堆積する(図11(a−1)及び(a−2)参照)。この点について図11(a−2)を参照して説明すると、回転ドラム62の外周面にある積繊プレートにおいて、複数の仕切り91をより分けてパルプ繊維と吸水性ポリマーとの混合物が積繊され、さらに仕切り91の高さを超えて回転ドラム62の高さいっぱいにまで積繊される。各ポケット9には、やや過剰量の繊維材料を堆積させ、ポケット9内からあふれる繊維材料がスカッフィングロール65で掻き取られる。スカッフィングロール65に掻き取られずポケット9内に残った堆積体(吸収体前駆体)70は、バキュームコンベア67上に供給されたコアラップシート3b上に離型される(図11(b)参照)。図12は、コアラップシート上に離型された(吸収体前駆体)70を示す図であり、該堆積体(吸収体前駆体)70には、ポケット9内の複数の溝9aに対応する複数の凸状部33Aが形成されている。吸収体前躯体70のうち、仕切り91の上に堆積した部分が上層吸収体4の凹部吸収部43ないし下層吸収体5の凹部吸収部54となり、仕切り91が配されていた部分が上層吸収体4の溝45ないし下層吸収体5の凹部55となる。
コアラップシート上の堆積体(吸収体前駆体)70は、折り返されたコアラップシート3bの両側部により凸状部33Aを有する面も被覆された後、ベルトコンベアにより吸収体全躯体70が反転し、の表裏が圧縮装置6に導入されて一対のプレスロール66a,66b間で加圧される(図11(c)参照)。これにより、凸状部33Aがつぶされて圧蜜化し、高密度な部分となる。吸収体全躯体70の凸状部33Aを圧蜜化した部分が、高密度な高坪量部としてのブロック状の上層吸収体4の突出吸収部43ないし下層吸収体5の突出吸収部53となる。
凸状部33Aがつぶされた後の吸収体連続体は、図示しない切断手段で上層吸収体4ないし下層吸収体5の大きさに切断、成形され、個々の生理用ナプキンに使用される寸法の上層吸収体4ないし下層吸収体5となる。なお、上層吸収体4及び下層吸収体5は、別々の装置で製造されてもよく、同一の装置で得られる吸収体前駆体の連続体から切り出すようにしてもよい。
こうして得られる上層吸収体4及び下層吸収体5は、それぞれの溝45と溝55とを対向させるようにして積層して吸収体3とする。生理用ナプキン10は、このようにして得られる吸収体3を、表面シート1の帯状原反と裏面シート2の帯状原反との間に間欠的に配置した後、吸収体3の周囲において、それらの表裏面シート間を接合し、次いで、個々の生理用ナプキンの寸法に切断することにより得られる。なお、前述の工程では、切り出し前の吸収体前駆体にコアラップシートを被覆したが、これに限らず、コアラップシートを被覆しない状態で圧縮し切り出し、その後、両者を積層したものをコアラップシートで被覆するようにしてもよい。
次に、本実施形態の生理用ナプキン10を構成する部材の形成素材について説明する。
表面シート1、裏面シート2、吸収体3、サイドシート8の形成材料としては、この種の吸収性物品に採用されるものを特に制限なく用いることができる。
例えば、表面シート1としては、各種不織布(たとえば、エアスルー不織布やスパンボンド不織布など)の重ね合わせた構成や、不織布とフィルムとのラミネートからなり多数の開孔が形成されている複合シート等が用いられる。また、表面シートとして上層・中層・下層の3層からなり、上層及び下層を突出部とエンボスによる圧密化させた部分との起伏のある形状として、平坦な中層に接合させたものであってもよい。また表面シート1は、前記の突起のある上層及び下層とからなるmのであってもよく、起伏のある上層と平坦な中層との2層からなるものであってもよい。この場合、表面シートに繊維の密度勾配ができ、表面シート1上の液を素早く吸収体3側へ透過させることができるので好ましい。上層及び下層の部材として、カード法によって形成されたウェブや嵩高な不織布などの繊維同士が極めて緩く絡んでいる状態の繊維集合体を用いることができ、中層の部材としてカード法によって形成されたウェブや熱収縮性を有する不織布を用いることができる。
吸収体3(上層吸収体4及び下層吸収体5)の構成材料としては、特に制限はないが繊維材料、多孔質体、それらの組み合わせなどを用いることができる。繊維素材としては例えば、木材パルプ、コットン、麻などの天然繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオフィレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を用いることができる。合成繊維からなる繊維を用いる場合、該繊維は熱によって形状が変化する熱収縮繊維であってもよい。例えば、熱によって繊度は大きくなるが繊維長が短くなるものや、繊度はほとんど変化しないが、形状がコイル状に変化することでみかけの繊維の占有する長さが短くなるものであってもよい。多孔質体としては、スポンジ、不織不、高吸水性ポリマーの凝集物(高吸水性ポリマーと繊維とが凝集したもの)などを用いることができる。
裏面シート2は、透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布の貼り合わせ、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、透湿フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。この場合のフィルム材としては、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを溶融混練して押し出したフィルムを所定の寸法に延伸して微細孔をあけたフィルム、または、本質的に水分の相溶性が高く、浸透膜のように水蒸気排出可能な無孔性のフィルムが挙げられる。本発明に関わる湿度排出の性能を十分に発現し、かつ、水分のにじみ出しがない防漏層を具現化するには、透湿度は、0.7〜3.0g/100cmhrの範囲にあることが好ましく、1.0〜2.5の範囲にあることが更に好ましい。さらっと感を十分に高める観点からは1.5〜2.5にあることが最も好ましい。また、フィルムの破れ等のトラブルなく使用可能であるためには、フィルム坪量は18〜70g/m、より好ましくは25〜60g/mである。また好ましい無機フィラー配合量は、フィルム全体の質量に対するフィラーの質量%として30〜65質量%、より好ましくは40〜60質量%である。
サイドシート8は撥水性の不織布が好ましく、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の中から撥水性の物、または撥水処理した種々の不織布を用いることができる。特に好ましくは、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。
本発明の吸収性物品は、上記の実施形態の生理用ナプキンに制限されるものではなく、例えば使い捨ておむつや尿とりパッド、失禁パッド、失禁ライナ等に適応することができる。また、経血に限らずその他、尿、オリモノ、軟便等に対しても効果的である。また、表面シート、吸収体、裏面シート及びサイドシートの他にも用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。なお、上記実施形態の生理用ナプキンの表面シート、吸収体及び裏面シートの材料、製法における条件や、製品の寸法諸言は特に限定されず、通常の生理用ナプキン等において用いられている各種材料を用いることができる。
以下に、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
[実施例1]
図1に示す構成の生理用ナプキンを常法に従って製造し、これを実施例1及び2のサンプルとした。吸収体を構成する吸収性コアの構成材料として、パルプ繊維および吸水性ポリマーを用い、これらの混合積繊体(吸収性コア)と該混合積繊体を被覆するコアラップシートとからなる吸収体前駆体103を前述の方法により製造し、前述の方法により上層吸収体及び下層吸収体とした。これらを溝を対向させるようにして積層し吸収体とした。実施例1の吸収体中における吸水性ポリマーの含有量は、該吸収体の全重量に対して20重量%であった。また、前記コアラップシートとして、坪量16g/mの吸収紙で被覆して使用した。また、表面シートとして、坪量25g/mのエアスルー不織布を使用し、裏面シートとして、坪量30g/mの非透湿ポリエチレン製フィルムを使用した。
実施例1で用いた吸収体の寸法は、下層吸収体の長さが275mm、下層吸収体の幅が80mm、下層吸収体の厚みが2mm、上層吸収体の長さが120mm、上層吸収体の厚みが3mm、中高部の幅が35mmであった。上層吸収体の溝の幅は2mm、深さは1.5mm及び下層吸収体の溝の幅は2mm、深さは1mmであった。
また、上層吸収体及び下層吸収体の突出吸収部の密度は、0.10g/cmであった。上層吸収体及び下層吸収体の凹部吸収部の密度は、0.05g/cmであった。
上層吸収体の突出吸収部のパルプの坪量は240g/m、吸水ポリマーの坪量は50g/mであり、上層吸収体の凹部吸収部のパルプの坪量は120g/m、吸水ポリマーの坪量は25g/mであり、下層吸収体の突出吸収部のパルプの坪量は160g/m、吸水ポリマーの坪量は50g/mであり、上層吸収体の凹部吸収部のパルプの坪量は80g/m、吸水ポリマーの坪量は25g/mであった。
[比較例1]
吸収体として、溝のない上層吸収体と下層吸収体を実施例1と同様の寸法で作成した。これを積層したものと吸収体として用い、実施例1と同様にして生理用ナプキンを製造して得た。これを比較例のサンプルとした。
上層吸収体のパルプの坪量は240g/m、吸水ポリマーの坪量は50g/mであり、下層吸収体のパルプの坪量は160g/m、吸水ポリマーの坪量は50g/mであった。
<生理用ナプキン内の湿度変化測定>
室温23℃、相対湿度50%に保たれた部屋に水槽を置き、水槽に水を満たし、東京理化器械株式会社製、冷却水循環装置EYELA CTP1000(商品名)を用いて、水槽表面が34℃となるように保った。実施例1の生理用ナプキン及び比較例1の生理用ナプキンに株式会社大塚製薬工場製、生理食塩水を6ml注入し、生理用ナプキンの肌当接面側を水槽ガラスの外側面に向けて設置する。生理用ナプキン肌当接面と水槽ガラスの外側面の間隔は1cmとした。さらに、水槽とナプキンの間に神栄株式会社製、温湿度センサーHA9680(商品名)を設置した。その状態で8時間放置し、生理用ナプキンと水槽間の空気の湿度変化を記録した。なお、温湿度センサーHA9680に記録されたデータは神栄株式会社製、温度・湿度ロガーHA3641(商品名)で読み取り、コンピューターにデータを取り込んで解析を行った。
実施例1および比較例1のナプキンと水槽間の湿度変化について、測定した結果を下記の表1に示す。
Figure 0005882718
<表面液残り量>
表層液戻り量の測定方法を以下に説明する。この表層液戻り量とは、吸収体に吸収された液が加圧によってどれだけ表層(表面シート)側へ戻るかを示したものである。この量が少ないほど、吸収体の液保持性が高く、装着時のドライ感が得られ易い。
まず生理用ナプキンを水平に置いた。この生理用ナプキン上に、底部に直径1cmの注入口がついた円筒つきアクリル板を重ねて、サンプルの排泄部対向領域(サンプルの長手方向前端から40mmの位置)に注入口から粘度を8.0±0.1cPに調整した3gの脱繊維馬血を注入した。注入後、その状態を1分間保持した。次に、円筒つきアクリル板を取り除き、表面シートの表面上に、縦6cm×横9.5cmで坪量13g/mの予め質量を測定しておいた吸収紙(市販のティッシュペーパー)を載せた。さらにその上に圧力が4.5×10Paになるように錘を載せて5秒間加圧した。加圧後、吸収紙を取り出し、加圧前後の吸収紙の質量変化を測定し、吸収紙に吸収された脱繊維馬血の質量を表面液残り量とした。
次いで、試験後のサンプルに再び上記のアクリル板を重ね、1回目の注入から3分後に再び注入口から3gの脱繊維馬血を追加して注入した。生理用ナプキンへの馬血の注入位置は、最初の3gを注入した位置と同じとした。そして、注入後1分間その状態を保持したままにした後、アクリル板を取り除き、前回と同様にして2回目の表面液残り量を測定した。さらに、2回目の注入から3分後、その測定方後のサンプルに、前記と同様にして、3gの脱繊維馬血を追加して注入し、前回と同様にして3回目の表面液残り量を測定した。また、各々の液注入の際、液を注入してから全ての液を吸収するまでの時間(液吸収時間)を測定した。
Figure 0005882718
表1に示す結果から明らかなように、実施例1は比較例に比べ、ナプキンの肌側における湿度が低減されていた。表2に示す結果から明らかなように、実施例1は、表層液残り量が少なく、液の引き込み性に優れることがわかった。このように、液の保持性に優れ、着用者の肌側の湿度を効果的に低減できることから、液量の多寡に係わらず、着用者に優れたドライ感を与えてより快適な着用感を提供することができる。
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収体
4 上層吸収体
45 (上層吸収体の)溝
5 下層吸収体
55 (下層吸収体の)溝
7 中高部
75 長手方向中空路
76 幅方向中空路
10 生理用ナプキン

Claims (7)

  1. 肌当接面側に配置された表面シート、非肌当接面側に配置された裏面シート、及び両シートに介在配置された吸収体を有する縦長の吸収性物品であって、
    前記吸収体は、肌当接面側に配された上層吸収体と該上層吸収体より非肌当接面側に配された下層吸収体とを有し、前記上層吸収体は、下層吸収体よりも幅狭で長さが短く、少なくとも排泄部対向領域に配置され、
    前記上層吸収体と前記下層吸収体が積層されて互いに対向する面であって、平面視した際の上層吸収体が存在する領域における上層吸収体側又は下層吸収体側のどちらか一方又は両方の面に連続した溝を備え、該溝は、前記上層吸収体が存在する領域の幅方向又は長手方向の端部に達している溝であり、
    前記溝を有する吸収体は、厚みのある高坪量部と、これより厚みの薄くされた低坪量部とを有し、前記溝の底部は低坪量部であり、前記高坪量部は前記溝の底部である前記低坪量部に囲まれている吸収性物品。
  2. 前記溝は、吸収性物品の長手方向に沿って配設され、かつ該溝は、前記上層吸収体が存在する領域における長手方向端部にまで達し前後端に亘って連通している請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記溝は、吸収性物品の長手方向に沿うものとこれに直交する幅方向に沿うものとを有し、前記長手方向及び幅方向において、前記各溝が、前記上層吸収体が存在する領域における端部にまで達し前後端及び左右両端に亘って連通している請求項1記載の吸収性物品。
  4. 前記長手方向に沿う溝は、平面視において、前記吸収体の排泄部対向領域から長手方向の前後方向のそれぞれに向かって前記溝の幅が漸次広がる請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記長手方向に沿う溝は、前記上層吸収体の非肌当接面に配設された長手方向上層溝と前記下層吸収体の肌当接面に配設された長手方向下層溝を有し、前記長手方向上層溝及び前記長手方向下層溝は、互いに同じ位置に対向して配置されており、かつ、平面視した際の前記上層吸収体が存在する領域の前後端に亘って連通して配置された請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記上層吸収体には吸収性ポリマーが含まれない請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記吸収性物品が生理用ナプキンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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