JP6071134B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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また、吸収性物品は使い捨てとなるため、資源の節約や使用後の廃棄物の減量といったエコロジー的観点から、軽量化が要望されている。
このようなことから、縦長の使い捨ておむつにおいて、吸収層の中央部分よりも幅方向両側の吸収量を大きくし、製造コストを抑制すると共に、漏れ防止性及びフィット性を改善した技術が開発されている(特許文献参照)。
さらに、尿とりパッド等の吸収性物品は、長手方向及びこれに直角な方向にそれぞれ3つ折りされ包装された状態で販売されるが、比較的厚い吸収層を折り畳むと、折り目部分が圧縮されて硬い感触になり易い。
従って本発明は、軽量化および低コストを実現しつつ、吸収性能やフィット性を向上させた吸収性物品の提供を目的とする。
前記上層の幅方向の両側縁部の外側でそれぞれ長手方向に折られている。
この吸収性物品によれば、上層を下層よりも狭幅とすることで、上層側から吸収された尿等の液体の幅方向への拡散が規制され、長手方向への拡散が促進されるので、長手方向に長い楕円状に拡散して広がる。これにより吸収層の吸収能力を無駄なく利用することができ、その分吸収層の全体の量を少なくできるので、吸収性能を損なわずに軽量化および低コストを実現することができる。
又、上層を下層よりも狭幅としているので、吸収層の幅方向中央が厚く両端部が薄い形状となるので、着用時の身体へのフィット性に優れ、漏れが生じ難くなる。
さらに、通常のエンボスは、吸収層の表面(トップシート)側から裏面(バックシート)側に向かって凹む凹状をなすが、上層の裏面からトップシート側に凹む第1エンボスを設ける。これにより、上層の表面から侵入してきた液体は、表面でスポット吸収され、上層の内部で第1エンボスの溝(圧搾部)に沿って長手方向に拡散し、下層に到達する。一方、下層は、第1エンボスと交差する方向に延びる凹状の第2エンボスが設けられており、上層からの液体は、第2エンボスに沿って幅方向に拡散し、吸収層全体に効率よく拡散することができる。
また、第1エンボスは表面に達しないので、従来の表面側から凹むエンボスに比べ、使用者に触れる表面のごつごつ感がなくなり、柔らかさが向上する。
又、上層の幅方向側縁部に近接した部分を折り畳むので、折りを拡げた時に折り目が目立たず、角張らずに滑らかな形状となる。特に、通常、吸収性物品は長手方向に3つ折りされた後、長手方向に直角な方向に3つ折りし、包装された状態で販売されるので、折り目が目立たないことは有利である。
前記第1エンボスと前記第2エンボスとが重なると、、第1エンボスから第2エンボスへ液体が流れ易くなるので好ましい。
前記上層及び前記下層はフラッフパルプと高吸収性樹脂とを含み、前記上層中の前記高吸収性樹脂の重量割合が前記下層中の前記高吸収性樹脂の重量割合より大きいことが好ましい。
前記トップシートと前記上層との間に、液体の拡散性を向上させる親水性不織布が設けられていることが好ましい。
図1、図2に示すように、本発明の実施形態に係る吸収性物品200は細長い片状をなし、身体接触側表面(図2の上面)を形成する液透過性のトップシート202と、液不透過性のバックシート204と、トップシート202とバックシート204の間に配置された吸収層210とを含んで構成されている。吸収層210は、トップシート202側の上層211と、バックシート204側の下層212とを積層してなり、上層211の幅W1は下層の幅W2よりも狭くなっている。又、トップシート202と上層211との間には、液体の拡散性を向上させる親水性不織布208が配置されている。
吸収性物品200は、長手方向を使用者の股部の前後に渡され、トップシート202が使用者の肌(股部)に触れるようにして装着され、吸収性物品200の両側部が立体ギャザー206として立ち上がって尿等の横漏れを防止する。又、吸収性物品200は、トップシート202の中央部付近がやや幅狭になっていて、股部に装着し易いようになっている。
又、上層211を下層212よりも狭幅としているので、吸収層210の幅方向中央が厚く両端部が薄い形状となるので、着用時の身体へのフィット性に優れ、漏れが生じ難くなる。
なお、上層211の厚さをt1、下層212の厚さをt2としたとき、厚さt1が合計厚さ(t1+t2)の30%以上70%以下であると好ましく、30〜50%がさらに好ましい。これにより、上層211と下層212の一方のみが過度に吸収能力を発揮することなく、尿等の液体が長手方向に長い楕円状に拡散し易くなる。
吸収層210全体の厚さは2〜8mmであることが好ましい。
ここで、通常のエンボスは、吸収層の表面(トップシート202)側から裏面(バックシート204)側に向かって凹む凹状をなすが、本発明においては、上層211の裏面211bから表面211aに向かって凹むと共に吸収性物品200の長手方向に延びる第1エンボス211eを設ける。これにより、上層211の表面211aから侵入してきた液体は、表面211aでスポット吸収され、上層211の内部で第1エンボス211eの溝(圧搾部)に沿って長手方向に拡散し、下層212に到達する。一方、下層212は、第1エンボス211eと交差する方向(図3では直角方向)に延びる凹状の第2エンボス212eが設けられており、上層211からの液体は、第2エンボス212eに沿って幅方向に拡散し、吸収層210全体に効率よく拡散することができる。
また、第1エンボス211eは表面211aに達しないので、従来の表面211a側から凹むエンボスに比べ、使用者に触れる表面のごつごつ感がなくなり、柔らかさが向上する。
又、第1エンボス211eと第2エンボス212eの凹部同士が重なっていると、第1エンボス211eから第2エンボス212eへ液体が流れ易くなるので好ましい。なお図3の符号Cは、第1エンボス211eと第2エンボス212eの凹部同士の交点を示す。
個々の第1エンボス211e及び第2エンボス212eの平面パターンは、直線に限らず、曲線であってもよい。
SAPとしては、破砕タイプと、パールタイプ(逆相懸濁重合法により得られるもの)のどちらでも選択できる。
フラッフパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ等の木材パルプが主に使用できる。また、コットンリンターなどの非木材パルプや熱融着性の合成繊維などを適宜フラッフパルプと混合することもできる。
高吸水性樹脂(SAP)は網目状の分子構造を有し、自重の数百倍の水を吸収してゲル状に膨潤し、その水を保持する機能を有するポリマーである。SAPには、合成ポリマー系と天然物由来系とがあり、合成ポリマー系としては、ポリアクリル酸系、ポリスルホン酸系、アクリルアミド系、ポリビニルアルコール系等が利用でき、天然物由来系としては、デンプン系、セルロース系等が利用できるが、特に限定されずにこれらを適宜用いることができる。
位置Fは、側縁部211sから外側に0〜10mmとすることが好ましい(図3の距離Gに相当)。このようにすると、幅方向側縁部211sに近接した部分を折り畳むので、折りを拡げた時に折り目が目立たず、角張らずに滑らかな形状となる。
なお、通常、吸収性物品200は長手方向に3つ折りされた後、長手方向に直角な方向に3つ折りし、包装された状態で販売される。
トップシート202は、液透過性の親水性不織布であればよく、使用者の肌に接するため、感触が柔らかで、皮膚に刺激を与えない繊維材料から形成されている。トップシート202の坪量は18g/m2以上が好ましい。トップシート202の坪量が18g/m2未満であると、液戻り量が多くなり、着用者に不快感を与え、さらにはかぶれの原因になる。トップシート202は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの合成繊維による、エアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布などが使用できる。特に液戻り量の少ないエアースルー不織布が好適である。
バックシート204は、吸収層210内において保持している液体などが下着に漏れないような防水性を有する液不透過性の材料から形成されていればよく、通気性のポリエチレンフィルムなどの薄いプラスチックフィルムとすることができるが、着用中にカサカサした音がしにくく、柔らかさを付与するよう、バックシート204にマイクロエンボスを施したり、プラスチックフィルムの外側に不織布を貼合わせたクロスライクバックシートを用いることもできる。
又、通気性のフィルムを用いてムレを低減することが好ましい。
立体ギャザー206は、スパンボンド不織布、スパンボンド/メルトブローの複合素材等の撥水性不織布から構成することができ、その目付けは特に限定されない。
図1〜図3に示す吸収性物品200を製造した。トップシート202は、20g/m2のエアースルー不織布とし、バックシート204は20g/m2 の非通気性ポリエチレンシートとし、親水性不織布(実施例2、比較例3、4のみ)は20g/m2 のエアースルー不織布とした。
吸収性物品200の長手方向の最大長さ480mm、上層211及び下層212の長手方向の長さ420mmとした。又、その他の寸法等の特性を表1に示す値とした。
なお、上層211のSAP重量を1.5gとし、下層212のSAP重量を2.0gとしたものを「通常品」とした。上層211のSAP重量を2.0gに増やし、下層212のSAP重量を5.0gに増やしたものを「高吸収品」とした。
比較例1〜4の吸収性物品は、図4に示すように上層211xと下層212xを積層後の吸収層210xに凹状のエンボス加工を施した。具体的には、上層211xの表面側に、上層211xから下層212xに達する凹状の第1凹エンボス211exを形成し、上層211xから幅方向にはみ出した下層212xに第1凹エンボス211exよりも浅い凹状の第2凹エンボス212exを形成した。
得られた吸収性物品200、及びその各構成部分につき、以下の評価を行った。
厚さ:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm 以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。
比容積:厚さを坪量で割り、単位gあたりの容積cm3で表した。
なお、坪量、厚さ、比容積の測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
液戻り量:吸収性物品200の中央に生理食塩水(「通常品」の場合は300ml、「高吸収品」の場合は450ml)を注入し、10分経過後に、予め重量を測定したろ紙(ADVANTEC社製No.2ろ紙、直径55mm)を注入部の中心に置き、ろ紙の上に687gの錘を載せた(圧力;35g/cm2)。錘を載せてから1分経過後に、ろ紙の重量を測り、試験前後のろ紙の重量差(g)を液戻り量とした。液戻り量は、N=3サンプルについて行ったものの平均値とした。液戻り量は、「通常品」の場合は好ましくは0〜0.6gで、「高吸収品」の場合は好ましくは0〜0.3gである。
吸水時の拡散距離:吸収層210の上層211側を上にして、平面上に伸ばして固定した後、上層211の長手方向及び幅方向の中央に36℃の生理食塩水150mlを漏斗を用いて注入した。そして、中央から長手方向、幅方向への食塩水の拡散距離をそれぞれ経時で測定した。
吸収層の柔らかさ:20名のパネラーにより、吸収層210の柔らかさを手で触ったときの触感を、(a)柔らかい、(b)柔らかくも硬くもない、(c)硬い、のいずれかで評価した。(a)の評価が14〜20人のときを「○」、(a)の評価が8〜13人のときを「△」、(a)の評価が0〜7人のときを「×」として総合評価した。評価が○であれば吸収層が柔らかいといえる。
得られた結果を表1に示す。
又、各実施例の場合、吸水時に吸収層の長手方向への拡散が促進され(アスペクト比参照)、長手方向に長い楕円状に拡散して広がった。
吸収層の上層を下層と同幅とし、上層のエンボスを表面側から裏面側に凹む凹状とした比較例2,4の場合も、吸水時に吸収層の長手方向への拡散性に劣るため、得られた吸収性物品の吸収速度及び液戻り量がそれぞれ実施例1,2よりも劣った。なお、比較例2,4の場合、吸収性物品の吸収速度を高めるべく、比較例1、3よりも上層の坪量(フラッフ重量)を増やした。このため、対応する実施例と比べ、1回目〜3回目の各吸収速度の合計値は同等となったが製品コストは高くなった。
202 トップシート
204 バックシート
208 親水性不織布
210 吸収層
211 上層
211e 第1エンボス
211s 上層の幅方向の側縁部
212 下層
212e 第2エンボス
t1 上層の厚さ
t2 下層の厚さ
W1 上層の幅
W2 下層の幅
W3 吸収性物品の最大幅
F 長手方向の折り目
Claims (6)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートの間に配置される吸収層と、を有する吸収性物品であって、
前記吸収層は、前記トップシート側の上層と、前記バックシート側の下層とを積層してなり、前記上層は前記下層よりも狭幅であり、
前記上層の厚さは、前記上層と前記下層の合計厚さの30%以上70%以下であり、
前記上層は、前記下層に接する裏面から前記トップシート側に凹み、かつ前記トップシート側の表面に達しないと共に、互いに離間して長手方向に延びる複数の第1エンボスを有し、
前記下層は、前記上層に接する表面から前記バックシート側に凹み、互いに離間しつつ前記第1エンボスの延びる方向と交差して延びる複数の凹状の第2エンボスを有し、
前記上層の幅方向の両側縁部の外側でそれぞれ長手方向に折られている吸収性物品。 - 前記上層の幅は、前記下層の幅の30〜80%である請求項1記載の吸収性物品。
- 前記第1エンボスと前記第2エンボスとが重なる請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記吸収性物品の最大幅に対し、前記上層の幅が20〜70%である請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性物品。
- 前記上層及び前記下層はフラッフパルプと高吸収性樹脂とを含み、前記上層中の前記高吸収性樹脂の重量割合が前記下層中の前記高吸収性樹脂の重量割合より大きい請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性物品。
- 前記トップシートと前記上層との間に、液体の拡散性を向上させる親水性不織布が設けられている請求項1〜5のいずれかに記載の吸収性物品。
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