JP6200251B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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そこで、表面と裏面の両方の面から尿等を吸収可能な吸収性物品が種々開発されている。例えば、吸収層の両面に不織布を配置した吸収性物品が開発されている(特許文献1参照)。又、非通液性シートの両面にそれぞれ吸収体(吸収層)を配置した吸収性物品が開発されている(特許文献2参照)。
従って本発明は、両面から尿等を吸収可能であり、かつ吸収層を3層構造として吸収性能(吸収速度、液戻り量)を増大させた吸収性物品の提供を目的とする。
これにより、中央層の吸収量が最も高いため、尿等の排泄物は上層や下層から中央層へ向かって吸収され、吸収性能(吸収速度、液戻り量)が向上する。なお、仮に中央層、上層及び下層の高吸収性樹脂の量を同一とした場合、総吸収量は変わらないが、吸収性能(吸収速度、液戻り量)は向上しない。
又、上記課題を解決するため、本発明の吸収性物品は、吸収層と、前記吸収層の上面を覆う液透過性の上側シートと、前記吸収層の下面を覆う液透過性の下側シートとを有する吸収性物品であって、前記吸収層は、それぞれフラッフパルプと高吸収性樹脂とを含む上層、中央層、及び下層をこの順に積層してなり、前記上層が前記上側シートに面しており、
前記中央層に含まれる前記高吸収性樹脂の量が、前記上層及び前記下層に含まれるそれぞれの前記高吸収性樹脂の量よりも多く、前記中央層の面積が、前記上層及び前記下層の面積よりも小さく、かつ前記中央層を挟む前記上層及び前記下層が、前記中央層の積層位置近傍で前記中央層よりも面方向にはみ出す。
前記中央層において、{(前記高吸収性樹脂の質量)/(前記フラッフパルプの質量+前記高吸収性樹脂の質量)}×100で表されるSAP比率が30〜70%であることが好ましい。
図1、図2に示すように、吸収性物品200は略矩形のシート状をなし、吸収層210と、吸収層210の上面及び下面をそれぞれ覆う液透過性の上側シート202A、下側シート202Bを有する。吸収層210は矩形状をなし、上側シート202A、下側シート202Bの対向する四隅は全周にわたってホットメルト接着剤等により固定されている。
上層210a、中央層210b、及び下層210cは、いずれもフラッフパルプと高吸収性樹脂(高吸水性ポリマー;SAP)とを含む。
SAPとしては、破砕タイプと、パールタイプ(逆相懸濁重合法により得られるもの)のどちらでも選択できる。
フラッフパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ等の木材パルプが主に使用できる。また、コットンリンターなどの非木材パルプや熱融着性の合成繊維などを適宜フラッフパルプと混合することもできる。
高吸水性樹脂(SAP)は網目状の分子構造を有し、自重の数百倍の水を吸収してゲル状に膨潤し、その水を保持する機能を有するポリマーである。SAPには、合成ポリマー系と天然物由来系とがあり、合成ポリマー系としては、ポリアクリル酸系、ポリスルホン酸系、アクリルアミド系、ポリビニルアルコール系等が利用でき、天然物由来系としては、デンプン系、セルロース系等が利用できるが、特に限定されずにこれらを適宜用いることができる。
中央層210bに含まれる高吸収性樹脂の量が、上層210a及び下層210cに含まれるそれぞれの高吸収性樹脂の量の150質量%以上であることが好ましい。上記値が150質量%未満であると、上述した吸収性能(吸収速度、液戻り量)を向上させる効果が少ない。なお、上記値の上限は特に制限されないが、例えば1000質量%である。
液体の拡散を促進させるために、上層210a及び下層210c表面に熱エンボスを施すことが望ましい。
そこで、本実施形態においては、中央層210bの面積を、上層210a及び下層210cのそれぞれの面積よりも大きくすると好ましい。このようにすると、吸収層210全体の厚みが厚くならないとともに、各層を積層したときに中央層210bが上層210a及び下層210cから面方向にはみ出し、面方向に吸収層210の周縁部より中央部が厚く盛り上がるので装着時の身体にフィットしやすい立体形状となる。又、この立体形状を、通常の平板状の上層210a、中央層210b、及び下層210cを積層して形成することができるので、特殊な立体金型等の製造装置を用いて吸収層210を製造する必要がなく、コストや生産性の点でも好ましい。
なお、本実施形態においては、図2に示す短手方向の断面、及び図示しない長手方向の断面のいずれから見ても、中央層210bが上層210a及び下層210cからはみ出しているが、必ずしも中央層210bの外縁が上層210a及び下層210cからはみ出していなくてもよく、各層210a〜210cを同一形状とし、その外縁を揃えてもよい。又、中央層210bのすべての外縁が上層210a及び下層210cからはみ出していなくてもよく、例えば、長手方向の断面から見たとき、各層210a〜210cの外縁を揃えてもよい。
但し、中央層210bの外縁の少なくとも一部が上層210a及び下層210cからはみ出していると、面方向に吸収層210の周縁部より中央部が厚く盛り上がるので装着時の身体にフィットしやすい。特に、中央層210bの外縁のすべてが上層210a及び下層210cからはみ出しているとよい。
一方、中央層310bの面積が、上層310a及び下層310cのそれぞれの面積よりも小さい。このようにすると、各層を積層したときに中央層210bを挟む上層210a及び下層210cが、中央層210bの積層位置近傍で中央層210bよりも面方向にはみ出し、面方向に吸収層210の周縁部より中央部が厚く盛り上がるので装着時の身体にフィットしやすい立体形状となる。
なお、図3に示す短手方向の断面、及び図示しない長手方向の断面のいずれから見ても、中央層310bが上層310a及び下層310cよりも短いが、必ずしも中央層210bの外縁のすべてが上層210a及び下層210cより短い必要はない。例えば、長手方向の断面から見たとき、各層310a〜310cの外縁を揃えてもよい。
上記長さに設定すると、各層を積層したときに面方向に吸収層の周縁部より中央部が厚く盛り上がり易い。
同様に、中央層、上層及び下層を矩形状とし、さらに図3に示すように、中央層210bの面積が上層210a及び下層210cのそれぞれの面積よりも小さい場合、上層210a及び下層210cの長手方向及び短手方向の長さを、中央層210bのそれぞれの長さに対して20〜80%とすることが好ましく、30〜60%とすることがより好ましい。
例えば、吸収層にエンボス加工する場合、エンボスパターンとしては、連続した複数の線状、またはその組み合わせとし、具体的には直線や曲線、格子状、網目状等任意の形状とすることができる。
実施例1〜3として、図1〜図3に示す吸収性物品200を製造した。なお、実施例1は吸収層の中央層、上層及び下層を同一寸法とし、各層が面方向にはみ出さないように積層した。実施例2は吸収層の中央層を、上層及び下層より大きくし、図2に示すように中央層が面方向にはみ出すように積層した。実施例3は吸収層の中央層を、上層及び下層より小さくし、図3に示すように、中央層の積層位置近傍で上層及び下層が中央層よりもはみ出すように積層した。
上側シート202A、下側シート202Bは、20g/m2のエアースルー不織布とした。
吸収性物品200の長手方向の最大長さ480mm、短手方向の長さ190mmとした。又、その他の寸法等の特性を表1に示す値とした。
比較例2の吸収性物品は、同一寸法の2層の吸収層を積層し、そのフラッフパルプの質量とSAPの質量が実施例1〜3の吸収層(3層の合計)の値と同一となるようにした。
比較例3の吸収性物品は、同一寸法の3層の吸収層を積層し、そのフラッフパルプの質量とSAPの質量が実施例1〜3の吸収層(3層の合計)の値と同一となるようにした。
得られた吸収性物品及びその各構成部分につき、以下の評価を行った。
厚さ:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm 以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。
なお、表1の「中央部の厚さ」は、中央層が積層されている部分の厚さであり、「周縁部の厚さ」は、図3の場合は中央層が積層されていない部分であって上層及び下層が存在する部分であり、図2の場合は中央層のみが積層され上層及び下層が存在しない部分の厚さである。
なお、坪量、厚さの測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
20名のモニターにより、吸収性物品200を実際に穿いてフィット性を評価した。そして、比較例1のフィット性を「普通」とし、各実施例及び比較例のフィット性を以下の基準で相対評価した。そして、モニター20名の平均点を評価点に採用した。
比較例1よりも良い:3点
普通(同等):1点
比較例1よりも悪い:0点
得られた結果を表1に示す。
又、各実施例において、面方向に吸収層の周縁部より中央部が厚く盛り上がった実施例2,3の場合、実施例1よりも中央部分の厚さが増している為、実施例1よりも吸収速度と液戻り量が優れていた。
202A 上側シート
202B 下側シート
210、310 吸収層
210a、310a 上層
210b、310b 中央層
210c、310c 下層
Claims (4)
- 吸収層と、前記吸収層の上面を覆う液透過性の上側シートと、前記吸収層の下面を覆う液透過性の下側シートとを有する吸収性物品であって、
前記吸収層は、それぞれフラッフパルプと高吸収性樹脂とを含む上層、中央層、及び下層をこの順に積層してなり、前記上層が前記上側シートに面しており、
前記中央層に含まれる前記高吸収性樹脂の量が、前記上層及び前記下層に含まれるそれぞれの前記高吸収性樹脂の量よりも多く、
前記中央層の面積が、前記上層及び前記下層のそれぞれの面積よりも大きい吸収性物品。 - 吸収層と、前記吸収層の上面を覆う液透過性の上側シートと、前記吸収層の下面を覆う液透過性の下側シートとを有する吸収性物品であって、
前記吸収層は、それぞれフラッフパルプと高吸収性樹脂とを含む上層、中央層、及び下層をこの順に積層してなり、前記上層が前記上側シートに面しており、
前記中央層に含まれる前記高吸収性樹脂の量が、前記上層及び前記下層に含まれるそれぞれの前記高吸収性樹脂の量よりも多く、
前記中央層の面積が、前記上層及び前記下層の面積よりも小さく、
かつ前記中央層を挟む前記上層及び前記下層が、前記中央層の積層位置近傍で前記中央層よりも面方向にはみ出す吸収性物品。 - 前記中央層に含まれる前記高吸収性樹脂の量が、前記上層及び前記下層にそれぞれ含まれる前記高吸収性樹脂の量の150質量%以上である請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 前記中央層において、{(前記高吸収性樹脂の質量)/(前記フラッフパルプの質量+前記高吸収性樹脂の質量)}×100で表されるSAP比率が30〜70%である請求項3に記載の吸収性物品。
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