JP2012122175A - 編地の伏目方法、および編地 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた収縮性をもつ、引き締まった伏目処理部を得ることができる編地の伏目方法を提供する。
【解決手段】編目列を一方の針床(FB)と他方の針床(BB)に振り分けた状態としてから、同一の編糸を使用して次の[1]、[2]を交互に繰り返す。[1]FBにおいて始端方向RSの端部にある一方側端部編目(編目η)と、同FBにおいてこの編目ηから伏目方向LSに最も近い編目εと、をBB上で重ね合わせ、その重ね目ε/ηに続いて新たな編目P1を形成し、その編目P1を一方側端部編目として規定し直す。[2]BBにおいて始端方向RSの端部にある他方側端部編目(編目P0)と、同BBにおいてこの編目P0から伏目方向LSに最も近い編目δと、をFB上で重ね合わせ、その重ね目δ/P0に続いて新たな編目P2を形成し、その編目P2を他方側端部編目として規定し直す。
【選択図】図1

Description

本発明は、横編機を用いて編地を編成するにあたり、針床に係止される編地のウエール方向端部の編目を伏目処理する編地の伏目方法、およびこの編地の伏目方法を適用して得られた編地に関する。
横編機で編地を編成する場合、その編地の最終コースの編目列(ウエール方向端部の編目列)が解れないように処理する方法として、伏目処理を挙げることができる。伏目処理とは、針床に係止される編目列のうち、隣接する編目同士を重ね合わせて、これら重ね合わせた二重の編目(重ね目)に続いて新たな編目を形成することを、編地の編幅方向の一端側から他端側に向けて繰り返す処理である(例えば、特許文献1参照)。
特開平2−91254号公報
ところで、編地の最終コースに形成される伏目処理部は、伸縮性を要求されることが多い。例えば、セーターの衿などはその典型である。セーターの衿は、セーターを着用する際に頭を通すことができ、セーターを着用したときには人体にフィットする必要があるからである。
しかし、従来の伏目方法で得られた伏目処理部は、十分な伸縮性を持っているとは言い難かった。伏目処理部の伸縮性が芳しくないのは、伏目処理部における編糸の伸び代が小さいからであると考えられる。編糸の伸び代が小さいという問題に対して、編目の大きさ(度目)を大きくすることも考えられるが、その場合、伏目処理部がラッパ状に広がって、編地の見栄えが損なわれてしまう恐れがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた収縮性をもつ、引き締まった伏目処理部を得ることができる編地の伏目方法、およびその伏目方法を適用して編成された編地を提供することを目的とする。
本発明編地の伏目方法は、少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、かつ当該針床の編針に係止される編目を別の編針に目移しが可能な横編機を用いて、針床に係止される編地のウエール方向端部の編目列を伏目処理する編地の伏目方法である。この本発明伏目処理方法は、針床の長手方向に伏目が順次形成されていく方向を伏目方向、伏目方向とは逆方向を始端方向としたとき、上記編目列を一方の針床と他方の針床に振り分けた状態としてから、下記工程[1]と[2]とを同一の編糸を使用して交互に繰り返すことを特徴とする。
[1]上記一方の針床において始端方向の端部にある一方側端部編目と、当該一方の針床においてこの一方側端部編目から伏目方向に最も近い編目と、を他方の針床上で重ね合わせ、その重ね目に続いて新たな編目を形成し、その新たな編目を一方側端部編目として規定し直す。
[2]上記他方の針床において始端方向端部にある他方側端部編目と、当該他方の針床においてこの他方側端部編目から伏目方向に最も近い編目と、を一方の針床上で重ね合わせ、その重ね目に続いて新たな編目を形成し、その新たな編目を他方側端部編目として規定し直す。
なお、上記[1]と[2]は交互に行えば良く、どちらを先に行ってもかまわない。
本発明編地の伏目方法において、前後の針床への編目列の振り分けは、ある一定の法則に基づいて行うことが好ましい。例えば、天竺組織の編目列であれば、始端方向から伏目方向に向かって、前後の針床に1目ずつ交互に振り分けることが好ましい(後述する実施形態1参照)。また、リブ組織の編目列の場合、その編目列が編成されたときに、前後の針床に表目と裏目とが振り分けられた状態となっているので、その振り分け状態をそのまま利用すると良い(後述する実施形態4参照)。その他、リブ組織の編目列をあえて前後の針床に1目ずつ交互に振り分けても良い。その場合、一方の針床には表目が、他方の針床には裏目が配置され、かつ始端方向から伏目方向に向かって表目と裏目とが交互に並ぶようにする(後述する実施形態2,3参照)。
本発明編地の伏目方法の一形態として、少なくとも前後いずれかの針床における上記新たな編目の形成前に、前後いずれかの針床の空針に掛け目を形成し、当該新たな編目の形成後に、その掛け目を針床から外すことが好ましい。
空針に掛け目を形成するタイミングを具体的に示すと、上記工程[1]の新たな編目を形成する前でも良いし、上記工程[2]の新たな編目を形成する前でも良い。もちろん、上記工程[1]の新たな編目を形成する前と工程[2]の新たな編目を形成する前の両方で、掛け目を形成しても良い。一方、掛け目を針床から外すタイミングは、新たな編目を形成した後であれば特に限定されない。例えば、工程[1]の新たな編目の形成前に掛け目を形成したのであれば、工程[1]の新たな編目の形成の直ぐ後に掛け目を針床から外しても良いし、あるいは伏目処理を全て終わらせた後に掛け目を針床から外しても良い。
本発明編地の伏目方法の一形態として、編糸に弾性糸を用いることが好ましい。その場合、弾性糸のみを用いても良いし、弾性糸と非弾性糸とを引き揃えたものを用いても良い。
一方、本発明編地は、少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、かつ当該針床の編針に係止される編目を別の編針に目移しが可能な横編機を用いて、編幅方向の一端側から他端側に向かって伏目処理することを繰り返すことで形成される伏目処理部を有する編地である。そして、本発明編地に備わる伏目処理部は、同一の編糸により編地の編幅方向の一方から他方に向かって交互に形成される表目からなる伏目と裏目からなる伏目とを有することを特徴とする。
本発明編地の伏目方法によれば、同一の編糸により編地の編幅方向の一方から他方に向かって交互に形成される表目からなる伏目(表目伏目)と裏目からなる伏目(裏目伏目)とを有する伏目処理部を備える本発明編地を編成できる。表目からなる伏目と裏目からなる伏目とは渡り糸で繋がれているため、本発明編地を編地の編幅方向に引っ張った場合、渡り糸から表目伏目と裏目伏目に編糸が繰り出され、伏目処理部が伸びる。そのため、本発明編地における伏目処理部は、従来の伏目処理部よりも優れた伸縮性を発揮する。また、その伏目処理部は、リブ組織のように表目伏目と裏目伏目とが交互に並ぶことによって形成されているため、コンパクトに畳まれた状態となっている。そのため、伏目処理部の端部のラインが凹凸なく綺麗に仕上がるし、伏目処理部が編幅方向にラッパ状に広がることもない。
本発明編地の伏目方法において掛け目の形成と掛け目の外しとを行うことで、交互に形成される表目伏目と裏目伏目との間で糸長を稼ぐことができる。そうすることで、両伏目が変形した際に、渡り糸に向かって十分な長さの編糸を繰り出せる大きさに両伏目を形成でき、伏目処理部の伸縮性をさらに向上させることができる。
ここで、本発明編地の伏目方法において弾性糸を利用すれば、表目伏目と裏目伏目の間で糸長を稼いでも、弾性糸の伸縮性により伏目処理部において孔が空くことを防止できる。また、弾性糸自身の伸縮性により、伏目処理部の伸縮性を向上させることもできる。
実施形態1に記載の編地の伏目方法に係る編成工程図である。 (A)は実施形態1に係る編地の平面図、(B)は(A)を黒矢印の方向から見たときの編目のイメージ図、(C)は(A)の編地を編幅方向に引っ張ったときの編地の平面図、(D)は(C)を黒矢印の方向から見たときの編目のイメージ図である。 実施形態2に記載の編地の伏目方法に係る編成工程図である。 実施形態3に記載の編地の伏目方法に係る編成工程図である。 実施形態4に記載の編地の伏目方法に係る編成工程図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態に記載の編成はいずれも、左右方向に延び、かつ前後方向に互いに対向する前後一対の針床を備え、後針床が左右にラッキング可能で、前後の針床間で編目の目移しが可能な2枚ベッド横編機を用いた編成例を説明する。もちろん、使用する横編機は4枚ベッド横編機であっても良い。
<実施形態1>
本実施形態では、図1のS1に示すように、前針床に係止される天竺編みの編地のウエール方向端部の編目列を伏目処理する例を説明する。なお、説明を分かり易くするため、編針の数を実際の編成で使用する数より少なくして説明する。
図1の左欄の「S+数字」は工程番号を示し、右欄は各工程における編成状態を示す。その右欄の上下方向または斜め方向の矢印は目移しを、符号1〜12は前針床FBおよび後針床BBの編針(黒点)の位置を示す。また、図1中の○は針床に係止される編目を、◎は重ね目を、●は各編成工程で編成される編目、逆V字は掛け目を示す。なお、図1中では、ラッキングを伴う目移しについては、そのラッキングの動作を省略している。
図1のS1には、FBにおいて編地の最終コースの編目列(編目α〜θ)が係止された状態が示されている。この状態から、上記編地の編成に用いた編糸(非弾性糸)とは異なる弾性糸を用いて、当該編目列の伏目処理を開始する。伏目処理は、紙面右方向の端部から開始して、左方向に向かって行うので、以降は紙面右方向を始端方向RS、左方向を伏目方向LSと呼ぶ。なお、S1に続くS2〜S5を経て最初に形成される伏目(S5の編目P0)の編成手順は、本発明編地の伏目方法とは若干異なる。
まず、S2では、FBの編針2,4,6に係止される編目β,δ,ζを、対向するBBの編針2,4,6に目移しする。そして、S3では、BBの編針6の編目ζを、FBの編針8の編目θに重ね合わせる。
続くS4では給糸口を伏目方向LSに移動させる間にBBの編針10に掛け目κを形成して、さらに給糸口を重ね目ζ/θを超える位置まで移動させ、S5では給糸口を始端方向RSに移動させる間に、S3でFBの編針8に形成した重ね目ζ/θに続く新たな編目P0を形成する。このS5で形成される編目P0は伏目処理にあたり最初に形成される伏目であり、表目である。なお、S4で形成する掛け目κは、FBの空針に形成しても良い。また、掛け目κは、始端方向RSに給糸口を移動させる間に形成しても良い。
ここで、編目P0は、次のS6においてBBの編針6に目移しされるので、本実施形態では、BBにおける始端方向RSの端部の編目(他方側端部編目)と考える。そうすると、FBの編針7に係止される編目ηが、FBにおける始端方向RSの端部の編目(一方側端部編目)となる。つまり、編目P0がBBの編針6にあるものと考えると、天竺編の編目列がFBとBBに交互に1目ずつ振り分けられた状態にあるといえる。そこで、次のS6以降、本発明編地の伏目方法の工程[1]と工程[2]を繰り返していく。
S6では、FBの編針7,8に係止される編目η,P0をそれぞれ、BBの編針5,6に目移しし、S7では、掛け目κを針床から外すと共に、FBの編針5に係止される編目εを、BBの編針5に目移しする。S7が終了した時点で、S5のときにFBにおける始端方向RSの端部にあった編目η(一方側端部編目)と、FB上で編目ηに最も近い位置にあった編目εとが、BBの編針5上で重ね合わされる。
ここで、S4で形成した掛け目κをS7でBBの編針10から外すことで、伏目処理の開始から編目P0に至る編糸の糸長を稼ぐことができる。糸長は概ね、編目P0を形成する位置からどの程度離れた位置に掛け目κを形成するかによって決まる。そのため、掛け目κの位置は、必要な糸長に応じて適宜選択すれば良い。なお、掛け目κを外すタイミングは、S5で編目P0を形成した後であれば、特に限定されない。例えば、掛け目κは、伏目処理を全て終えた後にBBから外しても良い。
続くS8では、給糸口を伏目方向LSに移動させ、S7の重ね目ε/ηを超える位置まで移動させた後、給糸口を始端方向RSに反転させて、その重ね目ε/ηに続く新たな編目P1を形成する。このS8で形成される編目P1は裏目である。この編目P1は、S8を終了した時点でBBに係止されているが、次のS9でFBに目移しされ、FBで始端方向RSの端部にある一方側端部編目となる。
S9では、BBの編針5,6に係止される編目P1,P0を、対向するFBの編針5,6に目移しし、S10でBBの編針4に係止される編目δを、FBの編針6に目移しする。S10が終了した時点で、S8のときにBBにおける始端方向RSの端部にあった編目P0(他方側端部編目)と、同じくBB上で編目P0に最も近い位置にあった編目δとが、FBの編針6上で重ね合わされる。なお、S8における編目P1は、FBの一方側端部編目として規定されているので、他方側端部編目である編目P0に最も近い編目とはならない。
そして、S11では、再び給糸口を伏目方向LSに移動させる間に、BBの編針8に掛け目λを形成して、重ね目δ/P0を超える位置まで移動させ、続くS12で給糸口を反転させてその重ね目δ/P0に続く新たな編目P2を形成する。
ここで、S12における編目の係止状態と給糸口の位置を見ると、S5の状態からFBとBBで編目が1つずつ減った状態となっている。そこで、S12を含む以降の編成では、S5〜S11と同様の編成を繰り返せば編地の最終コースを伏目処理することができる。
以上説明した編地の伏目方法を適用して編成された編地について、図2に基づいて説明する。図2(A)に示す編地100の最終コースに形成される伏目処理部20を、図中の黒矢印の方向から見ると、図2(B)のイメージ図に示すように、交互に形成される表目21と裏目22とが編地の厚み方向に並列された状態となっている。これら表目21と裏目22とは渡り糸23を介して繋がっており、伏目処理部20はリブ組織のように引き締まった状態になっている。
次に、図2(C)に示すように、図2(A)の編地を編幅方向に引っ張った場合、図2(D)のイメージ図に示すように、表目21と裏目22が編幅方向に伸びると共に、表目21と裏目22に繋がる渡り糸23が、表目21と裏目22に繰り出される。そのため、伏目処理部20は、従来よりも優れた伸縮性を発揮する。しかも、伏目処理部20が伸ばされても、伏目処理部20を構成する編糸が切れ難い。
<実施形態2>
実施形態2では、2×2のリブ組織からなる編地のウエール方向端部の編目列を本発明編地の伏目方法にて伏目処理する例を図3の編成工程図に基づいて説明する。この実施形態2では、2×2のリブ組織の編目列をあえてFBとBBに1目ずつ交互に振り分けた上で、当該編目列を伏目処理する一例を示す。
図3の編成工程図は、図1の編成工程図とは異なり、BBのラッキングの様子が把握できるように表現された編成工程図である。図3のT1において○で示される編目のうち、FBに係止される大文字アルファベットの符号が付されている編目は表目、BBに係止される小文字アルファベットの符号が付されている編目は裏目である。
図3のT1に示す2×2のリブ組織の編目列に対して、T2では、BBを始端方向RSに1ピッチラッキングした後、裏目a,cをBBからFBに、表目B,DをFBからBBに目移しする。次いで、T3では、さらにBBを始端方向RSに1ピッチラッキングした後、裏目a,cをFBからBBに戻し、表目B,DをBBからFBに戻す。そして、T4では、BBを伏目方向LSに2ピッチラッキングして、BBをFBに対向する標準位置に戻す。
T4における編目の配置状態を見ると、表目Fを除いて、表目と裏目とがFBとBBに交互に並んだ状態、即ち、針床の長手方向において隣接する2つの表目(裏目)の間に裏目(表目)が配置された状態となっている。また、T4の全ての編目の配置状態を見ると、図1のS2と同じ配置状態となっている。従って、以降は、図1を参照する実施形態1と同様の編成により、この実施形態2の2×2のリブ組織を伏目処理すれば良い。
以上説明した実施形態2の伏目方法によれば、FBには表目のみが、BBには裏目のみが配置され、かつFBにおける表目の編幅方向の並び、およびBBにおける裏目の編幅方向の並びは、リブ組織が編成されたときの状態で維持された上で、伏目処理することができる。そのため、この実施形態の伏目方法によれば、規則的で見栄えの良い伏目処理部を形成できる。また、この伏目処理の際に形成される重ね目は、ほぼ全て表目と裏目とを重ね合わせた重ね目となる。例えば、FB側で行われる伏目処理について考えると、FBの端部編目とその端部編目に隣接する隣接編目とを重ね合わせて、その重ね目に続く新たな編目(BBで形成されるので裏目となる)を形成し、その裏目を次の端部編目として規定するため、端部編目は常に裏目、隣接編目は表目となるからである。BB側で行われる伏目処理についても同様に、端部編目は常に表目、隣接編目は裏目となる。このように、重ねられる編目の組み合わせが伏目処理部の全体にわたって規則的になることも、見栄えの良い伏目処理部となる一因である。
<実施形態3>
実施形態3では、3×3のリブ組織からなる編地のウエール方向端部の編目列を本発明編地の伏目方法にて伏目処理する一例を図4の編成工程図に基づいて説明する。この3×3のリブ組織の編目列も、実施形態1、2と同様に、あえてFBとBBに1目ずつ交互に振り分けた上で、当該編目列を伏目処理する。なお、図4の見方は図3と同様である。
図4のU1に示す3×3のリブ組織の編目列に対して、表目B,EをFBからBBに目移しし(U2)、BBを始端方向RSに1ピッチラッキングした後、表目B,EをBBからFBに戻すと共に、裏目a,dをBBからFBに目移しする(U3)。次いで、BBを始端方向RSに1ピッチラッキングした後、裏目a,dをFBからBBに戻し(U4)、さらにBBを始端方向RSに1ピッチラッキングした後、表目CをFBからBBに目移しすると共に、裏目cをBBからFBに目移しする(U5)。そして、BBを伏目方向LSに1ピッチラッキングした後、表目CをBBからFBに戻すと共に、裏目cをFBからBBに戻し(U6)、最後にBBを伏目方向LSに2ピッチラッキングして、BBを標準位置に戻す。
U6における編目の配置状態を見ると、表目と裏目とがFBとBBに1目ずつ交互に並んだ状態、即ち、針床の長手方向において隣接する2つの表目(裏目)の間に裏目(表目)が配置された状態となっている。以降、まず表目Eと裏目eとを重ね合わせ、その重ね目に続く新たな編目を形成し、その新たな編目をFBにおける始端方向RSの端部の編目(一方側端部編目)として規定し、図1を参照する実施形態1と同様の編成を行う。
以上説明した実施形態3の伏目方法も、実施形態2の伏目方法と同様の理由により、見栄えの良い伏目処理部を形成することができる。
なお、実施形態2,3とは異なるリブ組織(例えば、2×1や2×3などのあらゆるリブ組織)の編目列を伏目処理する場合も、実施形態2,3と同様に、始端方向RSから伏目方向LSに向かって、表目と裏目とがそれぞれFBとBBに交互に1目ずつ配置されるようにすると、見栄えの良い伏目処理部を形成できる。
<実施形態4>
実施形態4では、2×2のリブ組織の編目列を本発明編地の伏目方法により伏目処理するにあたり、当該編目列が編成されたときと同じ状態のまま本発明編地の伏目方法を開始する例を図5に基づいて説明する。図5の見方も、図3と同様である。
V1には、FBとBBに表目と裏目が2目ずつ交互に係止された状態が示されている。このV1の状態からBBを始端方向RSに2ピッチラッキングした後、BBの裏目cよりも始端方向RSに4針分離れた位置に掛け目μを形成すると共に、裏目dを表目Fに重ね合わせる(V2)。いうまでもないが、掛け目μを形成する位置は、上記位置に限定されるわけではない。
BBを伏目方向LSに1ピッチラッキングした後、V2の重ね目d/Fに続いて編目P0を形成する(V3)。この編目P0は、BBにおける始端方向RSの端部の編目(他方側端部編目)として規定する。
次いで、FBにおける始端方向RS側の端部の編目(一方側端部編目)である編目EをFBからBBに目移しすると共に、編目P0もFBからBBに目移しする(V4)。そして、BBを伏目方向LSに3ピッチラッキングした後、掛け目μをBBから外すと共に、V4でBBに目移しした表目Eに、表目Dを重ね合わせ(V5)、その重ね目D/Eに続く編目P1を形成する(V6)。ここで、V5において、表目Eに重ね合わせた表目Dは、V3のときに表目Eから伏目方向LSに最も近い位置にあった編目である。
次に、編目P0,P1をBBからFBに目移しし(V7)、BBを始端方向RSに2ピッチラッキングした後、編目P0に裏目cを重ね合わせる(V8)。このV8において、BBの端部編目である編目P0と重ね合わせる裏目cは、V4において編目P0から伏目方向LSに最も近い位置にあった編目である。ここで、V4における編目Eは、BBの編目ではないので編目P0に近接する編目ではない。
V8以降は、V3〜V8とほぼ同様の編成を繰り返せば良い。具体的には、重ね目c/P0に続く新たな編目を形成し、その新たな編目をBBにおける始端方向RSの端部編目として規定する。また、FBの端部編目である編目P1と表目CをBB上で重ね合わせて、その重ね目に続く新たな編目を形成し、その新たな編目をFBにおける端部編目として規定する。
以上説明した実施形態4の伏目方法でも、実施形態2,3の伏目方法と同様に重ね目が表目と裏目との組み合わせからなるため、見栄えの良い伏目処理部を形成することができる。
なお、本発明の実施形態は、上述した実施形態に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。例えば、FBとBBにそれぞれ前側編地と後側編地が係止される筒状編地の場合、前側編地と後側編地のそれぞれについて上記実施形態で示す伏目処理を行えば良い。
LS 伏目方向 RS 始端方向
α〜θ,P0〜P2 編目
κ,λ 掛け目
100 編地
20 伏目処理部
21 表目 22 裏目 23 渡り糸
A〜F,a〜e,P0〜P1 編目
A〜F,P0 表目 a〜e,P1 裏目
μ 掛け目

Claims (8)

  1. 少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、かつ当該針床の編針に係止される編目を別の編針に目移しが可能な横編機を用いて、針床に係止される編地のウエール方向端部の編目列を伏目処理する編地の伏目方法であって、
    針床の長手方向に伏目が順次形成されていく方向を伏目方向、伏目方向とは逆方向を始端方向としたとき、
    前記編目列を一方の針床と他方の針床に振り分けた状態としてから、
    前記一方の針床において始端方向の端部にある一方側端部編目と、当該一方の針床においてこの一方側端部編目から伏目方向に最も近い編目と、を他方の針床上で重ね合わせ、その重ね目に続いて新たな編目を形成し、その新たな編目を一方側端部編目として規定し直すことと、
    前記他方の針床において始端方向端部にある他方側端部編目と、当該他方の針床においてこの他方側端部編目から伏目方向に最も近い編目と、を一方の針床上で重ね合わせ、その重ね目に続いて新たな編目を形成し、その新たな編目を他方側端部編目として規定し直すこととを、
    同一の編糸を使用して交互に繰り返すことを特徴とする編地の伏目方法。
  2. 少なくとも前後いずれかの針床における前記新たな編目の形成前に、前後いずれかの針床の空針に掛け目を形成し、
    当該新たな編目の形成後に、その掛け目を針床から外すことを特徴とする請求項1に記載の編地の伏目方法。
  3. 前記編糸に弾性糸を用いることを特徴とする請求項1に記載の編地の伏目方法。
  4. 前記編糸に弾性糸を用いることを特徴とする請求項2に記載の編地の伏目方法。
  5. 前記編目列が天竺組織で編成される場合、
    目移しとラッキングを用いて、その編目列の編目が、始端方向から伏目方向に向かって、一方の針床と他方の針床に1目ずつ交互に振り分けられた状態とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の編地の伏目方法。
  6. 前記編目列がリブ組織で編成される場合、
    その編目列を、編成されたときと同じ状態のままとしておくことで、当該編目列の表目が一方の針床に、当該編目列の裏目が他方の針床に振り分けられた状態とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の編地の伏目方法。
  7. 前記編目列がリブ組織で編成される場合、
    目移しとラッキングを用いて、その編目列の表目が一方の針床に、当該編目列の裏目が他方の針床に振り分けられ、かつ始端方向から伏目方向に向かって、一方の針床と他方の針床に1目ずつ交互に配列された状態とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の編地の伏目方法。
  8. 少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、かつ当該針床の編針に係止される編目を別の編針に目移しが可能な横編機を用いて、編幅方向の一端側から他端側に向かって伏目処理することを繰り返すことで形成される伏目処理部を有する編地であって、
    前記伏目処理部は、同一の編糸により編地の編幅方向の一方から他方に向かって交互に形成される表目からなる伏目と裏目からなる伏目とを有することを特徴とする編地。
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