JP2012120766A - 医療用バッグの製造方法および医療用バッグ - Google Patents

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Abstract

【課題】バッグ本体に液体を充填して医療用バッグを製造する際に、当該液体の充填を容易かつ確実に行なうことができ、また、その製造を安全に行なうことができる医療用バッグの製造方法、および、かかる医療用バッグの製造方法で製造される医療用バッグを提供すること。
【解決手段】医療用バッグの製造方法は、第1の液体11および第2の液体を収納可能な袋状をなす軟質のバッグ本体2に各液体をそれぞれ充填して医療用バッグを製造する方法である。この製造方法は、バッグ本体2に各液体を充填する際に、当該液体を予め25〜50度に加温して充填し、バッグ本体2を軟化させることを特徴とする方法である。
【選択図】図2

Description

本発明は、医療用バッグの製造方法および医療用バッグに関する。
医療用バッグとして、樹脂性シート材を融着することによって、内部に輸液や腹膜透析液等の液体を密封したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような医療用バッグを製造するには、前記樹脂性シート材で構成された袋状のバッグ本体の口部にノズルを挿入し、当該ノズルからバッグ本体内に液体を充填して、その製造を行なうことができる。その際、前記樹脂性シート材がポリプロピレン等を主成分とするものからなる場合、液体充填の際には当該液体を予め比較的高温(例えば50〜55度)に加熱しておき、液体が冷めないうちにその充填を行なっていた。高温の液体を充填する理由としては、例えば、比較的低温の液体よりも比較的高温の液体を充填した方が、バッグ本体が軟化して膨らみ易くなる。その結果、液体の充填が容易となる。しかしながら、この場合、充填された液体の熱によりバッグ本体内の内部圧力が過剰に上昇するため、液体充填後にノズルをバッグ本体の口部から抜去すると、当該口部から液体が逆流して噴出してしまうおそれや、目的とする液量を確実に充填することができないと言う問題があった。また、高温の液体が充填された医療用バッグを、例えば医療用バッグ製造工場等の現場の作業者が触れた場合、当該作業者が火傷を負うおそれや、複数の医療用バッグを重ねて滅菌した際に、隣接する2つの医療用バッグの間では、一方の医療用バッグの表面と他方の医療用バッグの表面とがブロッキング(擬似融着)するおそれがある。
特開2004−208883号公報
本発明の目的は、バッグ本体に液体を充填して医療用バッグを製造する際に、当該液体の充填を容易かつ確実に行なうことができ、また、その製造を安全に行なうことができる医療用バッグの製造方法、および、かかる医療用バッグの製造方法で製造される医療用バッグを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) 液体を収納可能な袋状をなす軟質のバッグ本体に前記液体を充填して医療用バッグを製造する方法であって、
前記バッグ本体に前記液体を充填する際に、該液体を予め25〜50度に加温して充填し、前記バッグ本体を軟化させることを特徴とする医療用バッグの製造方法。
(2) 前記バッグ本体は、可撓性を有するシート材で構成され、内部が前記シート材を帯状に融着することにより形成された仕切り部を介して前記液体を収納する第1の空間と第2の空間とに仕切られ、前記第1の空間および前記第2の空間のうちの一方の空間が他方の空間よりも容積が小さいものであり、
前記一方の空間に前記液体を充填し、次いで、前記他方の空間に前記液体を充填する上記(1)に記載の医療用バッグの製造方法。
(3) 前記一方の空間の容積が100〜600mL、前記他方の空間の容積が700〜2200mLである上記(1)または(2)に記載の医療用バッグの製造方法。
(4) 前記一方の空間に前記液体を充填するときには、前記バッグ本体を前記仕切り部で折り曲げて、前記バッグ本体の前記一方の空間を画成する部分を起立させた状態で行ない、
前記他方の空間に前記液体を充填するときには、前記バッグ本体を前記仕切り部で折り曲げて、前記バッグ本体の前記他方の空間を画成する部分を起立させた状態で行なう上記(2)または(3)に記載の医療用バッグの製造方法。
(5) 前記バッグ本体には、前記一方の空間に連通する第1の口部と前記他方の空間に連通する第2の口部とが設けられ、前記第1の口部は、前記シート材が開口して形成されたものであり、前記第2の口部は、前記シート材とは別体の管体で構成され、該管体を前記バッグ本体に装着したものであり、
前記一方の空間への前記液体の充填は、前記第1の口部にノズルを挿入して、該ノズルを介して行ない、前記他方の空間への前記液体の充填は、前記管体を介して行なう上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法。
(6) 前記一方の空間に充填される液体の温度は、前記他方の空間に充填される液体の温度よりも高い上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法。
(7) 前記液体の充填後、前記バッグ本体内の空気を抜く上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法。
(8) 前記バッグ本体は、ポリプロピレンを主材料する材料で構成されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法。
(9) 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法により製造されたことを特徴とする医療用バッグ。
また、医療用バッグの製造方法では、前記バッグ本体を前記仕切り部で折り曲げる際には、該仕切り部を挟持する挟持部材を用いるのが好ましい。
また、医療用バッグの製造方法では、前記一方の空間への前記液体の充填後に、前記他方の空間への前記液体の充填に先立って、前記第1の口部を封止し、次いで、前記他方の空間への前記液体の充填後に前記第2の口部を封止するのが好ましい。
また、医療用バッグの製造方法では、前記バッグ本体内の空気を抜く際には、該バッグ本体を圧迫する圧迫部材を用いるのが好ましい。
本発明によれば、バッグ本体に液体を充填して医療用バッグを製造する際に、当該液体が予め25〜50度に加温されているため、その熱でバッグ本体が軟化して膨らみ易いものとなり、よって、バッグ本体への液体の充填を容易かつ確実に行なうことができる。そして、所定量の液体が充填された医療用バッグを得ることができる。
また、前記加温された液体が充填されたバッグ本体を、例えば医療用バッグの製造工場等の現場の作業者が触れた場合でも、その液体の温度が火傷を負う程度の温度ではないため、当該作業者が火傷を負うのを確実に防止することができ、製造上の安全性が高い。
本発明の医療用バッグの製造方法における各工程を順に示す概略斜視図である。 本発明の医療用バッグの製造方法における各工程を順に示す概略斜視図である。 本発明の医療用バッグの製造方法における各工程を順に示す概略斜視図である。 本発明の医療用バッグの製造方法における各工程を順に示す概略斜視図である。 本発明の医療用バッグの製造方法における各工程を順に示す概略斜視図である。 本発明の医療用バッグの製造方法における各工程を順に示す概略斜視図である。 本発明の医療用バッグの製造方法における各工程を順に示す概略斜視図である。 本発明の医療用バッグの製造方法における各工程を順に示す概略斜視図である。 本発明の医療用バッグの製造方法における各工程を順に示す概略斜視図である。
以下、本発明の医療用バッグの製造方法および医療用バッグを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図9は、それぞれ、本発明の医療用バッグの製造方法における各工程を順に示す概略斜視図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図9中の右側を「基端」、左側を「先端」、上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
図1〜図9に示す医療用バッグの製造方法により製造される医療用バッグ1は、バッグ本体2とポート部材(第2の口部)3とを備えている。なお、医療用バッグ1としては、バッグ本体2の内部が複数の空間に画成された複室容器であってもよいし、1つの空間を有する単室容器であってもよい。本実施形態では、複室のものを一例に挙げて説明する。
図9に示すバッグ本体2は、可撓性を有する軟質なシート材を筒状に、例えばインフレーション成形により成形し、その両端部を融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)または接着によりシールして袋状としたものである。バッグ本体2の基端側のシール部23および先端側のシール部24は、それぞれ、所望の形状に裁断されている。なお、シール部23のほぼ中央部には、医療用バッグ1をハンガー等に吊り下げるために、例えば孔で構成された吊り下げ部が設けられていてもよい。
このバッグ本体2の図9中左右方向の途中には、仕切り部25が形成されており、バッグ本体2の内部は、この仕切り部25により第1の空間(一方の空間)21と第2の空間(他方の空間)22とに仕切られている。バッグ本体2では、第1の空間21の容積は、第2の空間22の容積よりも小さい。例えば、第1の空間21の容積としては、100〜600mLであるのが好ましく、第2の空間22の容積としては、700〜2200mLであるのが好ましい。より具体的には、バッグ本体2の全容積(第1の空間21の容積と第2の空間22の容積との和)が1000mLである場合には、第1の空間21の容積を200mL、第2の空間22の容積を800mLとすることができ、全容積が1500mLである場合には、第1の空間21の容積を300mL、第2の空間22の容積を1200mLとすることができ、全容積が2000mLである場合には、第1の空間21の容積を400mL、第2の空間22の容積を1600mLとすることができ、全容積が2500mLである場合には、第1の空間21の容積を500mL、第2の空間22の容積を2000mLとすることができる。
そして、第1の空間21には、第1の液体11が収納され、第2の空間22には、第2の液体12が収納される。第1の液体11と第2の液体12とは、互いに組成の異なるものであり、それらの成分同士が互いに反応し易いものとされる。
医療用バッグ1が使用されるまでは、第1の液体11と第2の液体12とを混合せずに分けて保存し、使用に際し、仕切り部25を剥離、開封して第1の空間21と第2の空間22とを連通させ、第1の液体11と第2の液体12とを混合する。これにより、第1の液体11と第2の液体12とが反応して、例えば目的とする薬効を確実に得ることができる。
第1の液体11、第2の液体12としては、特に限定されないが、例えば、腹膜透析液、生理食塩水、電解質溶液、リンゲル液、高カロリー輸液、ブドウ糖液、注射用水、経口栄養剤等が挙げられる。また、例えば腹膜透析液のようなpH調整が必要な液体を収納する場合、腹膜透析液とそれを中性にするpH調整剤とを別個に、すなわち第1の空間21および第2の空間22のそれぞれに収納しておくことで、かかる液体の変質、分解、劣化、着色、変色、沈殿物の発生等を防止することができる。
仕切り部25は、バッグ本体2を構成するシート材を帯状に融着して得られたものである。この仕切り部25は、例えばバッグ本体2を図9に示すような展開した状態で当該バッグ本体2の第1の空間21側の部分を手で押圧し、第1の空間21の内圧を高めることにより剥離する程度の弱シール部で構成されている。これにより、特別の器具等を用いず、簡単な作業で仕切り部25による遮断を解除し、第1の空間21、第2の空間22内の液体同士を混合することができる。
なお、図1〜図8に示すように、仕切り部25は、バッグ本体2を折り曲げる際の折り曲げ部としても機能する。
また、仕切り部25の全部が弱シール部で構成されている場合に限らず、仕切り部25の一部が弱シール部で構成されていてもよい。また、例えば仕切り部25の帯の幅に差異を設ける等の方法により剥離強度に差を持たせ、剥離し易い部分と剥離し難い部分とを設けてもよい。
このようなバッグ本体2を構成するシート材は、可撓性、柔軟性に富むものが使用される。その構成材料としては、主材料として例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーあるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)を含む材料が挙げられ、特に、ポリプロピレンを主材料として含むものが好ましい。このような樹脂材料は、例えば、高圧蒸気滅菌に耐えられる耐熱性、耐水性を有している点で好ましい。ここで、「主材料」とは、樹脂材料全体に示す割合が50%以上の材料のことを言う。
また、第1の液体11、第2の液体12の変質や劣化を有効に防止するために、バッグ本体2は、ガス透過性ができる限り低いもの、すなわち、ガスバリア性を有するものが好ましい。
図1〜図9に示すように、バッグ本体2のシール部24の中央部には、第2の空間22に連通する硬質のポート部材3が設置されている。このポート部材3は、シール部24を形成するシート材同士の間に例えば融着により固定、装着されている。
ポート部材3は、バッグ本体2とは別体の管体で構成され、その管路32が液体が通過する流路として機能するものである。これにより、バッグ本体2から第1の液体11と第2の液体12との混合液を外部へ排出することができたり、他の容器からの液体をバッグ本体2に混注することができる。管路32には、当該管路32を開閉する弁体(図示せず)が配置されているのが好ましい。
なお、ポート部材3の構成材料としては、特に限定されず、例えば、バッグ本体2の構成材料と同様ものを用いることができる。
そして、医療用バッグ1では、バッグ本体2を構成するシート材の材質(構成材料のポリマー組成、分子量、可塑材等の添加剤)、シート材の厚さ等の条件を適宜組合せて選択することにより、バッグ本体2を軟質のものとすることができる。
これと同様に、ポート部材3の材質(構成材料のポリマー組成、分子量、可塑材等の添加剤)、ポート部材3の管壁の厚さ等の条件を適宜組合せて選択することにより、ポート部材3を硬質のものとすることができる。
図1〜図3に示すように、バッグ本体2には、第1の液体11が第1の空間21に未だ充填されていない状態で、当該第1の空間21に第1の液体11を充填するための充填開口部(第1の口部)26が設けられている。充填開口部26は、バッグ本体2のシール部23でシート材同士の接合が省略されて、開口した部分となっている。これにより、充填開口部26が第1の空間21に連通し、充填開口部26を介して第1の液体11を第1の空間21に確実に充填することができる(図2参照)。なお、図4〜図9に示すように、充填開口部26は、第1の空間21に第1の液体11が充填された後には封止されることとなる。
次に、医療用バッグの製造方法について、図1〜図9を参照しつつ説明する。この医療用バッグの製造方法は、バッグ本体2に第1の液体11、第2の液体12をそれぞれ充填して医療用バッグ1を製造する方法であり、第1の液体充填工程と、第1の空気抜き工程と、第1の封止工程と、第2の液体充填工程と、第2の空気抜き工程と、第2の封止工程とを有する。ここでは、バッグ本体2を構成する樹脂材料が前述したポリプロピレンを主材料とするものとして説明する。
なお、第1の液体充填工程では、第1の液体供給装置4aとバッグ挟持装置5とが用いられる(図1、図2参照)。第1の空気抜き工程では、バッグ圧迫装置6aが用いられる(図3参照)。第1の封止工程では、金型7が用いられる(図4参照)。第2の液体充填工程では、第2の液体供給装置4bとバッグ挟持装置5とが用いられる(図5、図6参照)。第2の空気抜き工程では、バッグ圧迫装置6bが用いられる(図7参照)。第2の封止工程では、キャップ装着装置8が用いられる(図8参照)。
図1、図2に示すように、第1の液体供給装置4aは、第1の液体11が貯留されたタンク41と、バッグ本体2に第1の液体11を供給する管状のノズル42と、タンク41とノズル42とを連結するパイプ43とを備えている。タンク41は、例えば電熱線で構成されたヒータにより第1の液体11を加温することができるよう構成されている。ノズル42は、その外径がバッグ本体2の充填開口部26の大きさよりも若干小さいものであり、長手方向の途中まで充填開口部26に挿入される。そして、この挿入状態で、第1の液体11は、タンク41からパイプ43を通過して、ノズル42から排出される。これにより、バッグ本体2の第1の空間21内に第1の液体11が充填される。
図5、図6に示すように、第2の液体供給装置4bも第1の液体供給装置4aとほぼ同様の構成のものであり、第2の液体12が貯留されたタンク44と、バッグ本体2に第2の液体12を供給する管状のノズル45と、タンク44とノズル45とを連結するパイプ46とを備えている。タンク44は、例えば電熱線で構成されたヒータにより第2の液体12を加温することができるよう構成されている。ノズル45は、その外径がバッグ本体2のポート部材3の内径よりも若干小さいものであり、長手方向の途中までポート部材3に挿入される。そして、この挿入状態で、第2の液体12は、タンク44からパイプ46を通過して、ノズル45から排出される。これにより、バッグ本体2の第2の空間22内に第2の液体12が充填される。
図1、図2、図5、図6に示すように、バッグ挟持装置5は、互いに平行に配置され、接近・離間可能な棒状の挟持部材51、52を備えている。そして、挟持部材51、52の一方の部材をバッグ本体2の一方の面側から仕切り部25に当接させ、他方の部材をバッグ本体2の他方の面側から仕切り部25に当接させることにより、仕切り部25をその両面側から挟持することができる。バッグ本体2を仕切り部25で折り曲げる際には、この挟持状態とすることにより、その折り曲げ操作が容易となり、また、その折り曲げた状態を維持することができる。なお、挟持部材51、52の横断面形状は、円形であるのが好ましいが、これに限定されず、例えば、楕円形、多角形であってもよい。
図3、図4、図7、図8に示すように、バッグ圧迫装置6a、6bは、互いに圧迫部材61、62の大きさが異なること以外は同じ構成であるため、以下、バッグ圧迫装置6aについて代表的に説明する。バッグ圧迫装置6aは、互いに対向配置され、接近・離間可能な板状の圧迫部材61、62を備えている。圧迫部材61、62は、それぞれ、連結部63を介して例えばエアシリンダ(図示せず)に連結されている。そして、各エアシリンダの作動により、圧迫部材61、62の一方の部材がバッグ本体2の一方の面側から第1の空間21を画成する部分(以下「第1画成部211」と言う)に押し込まれ、他方の部材がバッグ本体2の他方の面側から第1画成部211に押し込まれることにより、第1画成部211をその両面側から圧迫することができる。これにより、バッグ本体2の第1の空間21内の空気G1を抜く際に、その操作を確実に行なうことができる。なお、圧迫部材61、62の平板であるのが好ましいが、これに限定されず、例えば、湾曲板であってもよい。
図4に示すように、金型7は、互いに対向配置され、接近・離間可能な板状部材71、72を備えている。板状部材71、72には、それぞれ、例えば電熱線で構成されたヒータ(図示せず)が内蔵されている。そして、板状部材71、72の一方の部材をバッグ本体2の一方の面側から充填開口部26に当接させ、他方の部材をバッグ本体2の他方の面側から充填開口部26に当接させることにより、金型7は、充填開口部26をその両面側から挟持した型閉め状態となる。この型閉め状態で前記ヒータを作動させることにより、板状部材71、72がそれぞれ加熱して充填開口部26が熱融着され、よって、当該充填開口部26を液密に封止することができる。
図8に示すように、キャップ装着装置8は、バッグ本体2のポート部材3にキャップ13を超音波融着により接合する装置である。このキャップ装着装置8は、ポート部材3の開口部31をキャップ13で塞いだ状態で当該キャップ13に対し超音波を付与することにより、ポート部材3にキャップ13を装着することができる。なお、キャップ装着装置8は、キャップ13を超音波融着するよう構成されたものに限定されず、例えば、熱融着するよう構成されたもの、高周波融着するよう構成されたものであってもよい。
[1] 第1の液体充填工程
図1に示すように、バッグ本体2の仕切り部25にバッグ挟持装置5の挟持部材51を当接させ、この状態でバッグ本体2を仕切り部25で折り曲げる。これにより、バッグ本体2は、第1画成部211が起立した状態となる。この起立状態は、第1の封止工程が完了するまで維持される。
なお、バッグ本体2の充填開口部26には、第1の液体供給装置4aのノズル42が未だ挿入されていない。また、第1の液体供給装置4aのタンク41内では、第1の液体11が予め25〜50度に加温されているのが好ましく、30〜45度に加温されているのがより好ましい。この温度は、後述する第2の液体12の温度よりも高い。また、第1の液体供給装置4aでは、第1の液体11がノズル42から排出されるまでは、第1の液体11の温度がほとんど下がらないよう断熱されている。
次に、図2に示すように、バッグ本体2の仕切り部25にバッグ挟持装置5の挟持部材52を当接させて、仕切り部25を挟持部材51、52で挟持する。
次に、バッグ本体2の充填開口部26に第1の液体供給装置4aのノズル42を挿入する。そして、ノズル42から第1の液体11を所定量排出する。これにより、バッグ本体2の第1の空間21には、前記温度に加温された第1の液体11が充填される。このような液体が充填されることにより、当該液体の熱でバッグ本体2の第1画成部211が軟化して膨らみ易いものとなり、よって、第1の空間21への第1の液体11の充填を容易かつ確実に行なうことができる。
また、充填された第1の液体11の熱により第1の空間21内の内部圧力が過剰に上昇しそうになるが、第1画成部211が膨らむため、その内部圧力の上昇が抑制または防止される。これにより、後述するように第1の液体11の充填後にノズル42をバッグ本体2の充填開口部26から抜去した場合、第1の液体11が充填開口部26から噴出するのが確実に防止される。よって、所定量の第1の液体11を確実に充填することができる。
また、第1の液体11が充填された第1画成部211を、例えば医療用バッグ1の製造工場の現場の作業者が触れた場合でも、前記加温温度が火傷を負う程度の温度ではないため、当該作業者が火傷を負うのを確実に防止することができる。これにより、本製造方法は、製造上の安全性が高い方法であるということができる。
また、前述したように、バッグ本体2を仕切り部25で折り曲げて、第1画成部211を起立させた状態で、第1の液体11の充填を行なっている。これにより、充填された第1の液体11による仕切り部25への力の加わりが抑制される。そして、この抑制と、挟持部材51、52による挟持状態とが相まって、仕切り部25の剥離が確実に防止される。
また、第1画成部211が起立しているため、充填開口部26が上方に向かって開口することとなり、よって、充填開口部26からの第1の液体11の充填を容易に行なうこともできる。
このような第1の液体11の充填後、ノズル42を充填開口部26から抜去するとともに、挟持部材51、52をバッグ本体2から外す。
[2] 第1の空気抜き工程
次に、図3に示すように、バッグ圧迫装置6aの圧迫部材61、62でバッグ本体2の第1画成部211を、第1の空間21内の第1の液体11が噴出しない程度に圧迫する。これにより、第1の空間21内の空気G1が排出されて、第1画成部211の大きさができる限り小さくなり、よって、医療用バッグ1を保管する際の保管スペースの確保が容易となる。
[3] 第1の封止工程
次に、図4に示すように、第1画成部211に対する圧迫状態を維持したまま、金型7の板状部材71、72で充填開口部26を挟持しつつ、加熱する。これにより、充填開口部26が熱融着して液密に封止される。これにより、第1画成部211が倒れたとしても、第1の液体11が漏出するのが防止される。
このような充填開口部26の封止後、金型7とバッグ圧迫装置6aとをバッグ本体2から外し、起立状態の第1画成部211を傾倒させる。これにより、バッグ本体2が展開状態となる。
[4] 第2の液体充填工程
次に、図5に示すように、バッグ本体2の仕切り部25にバッグ挟持装置5の挟持部材52を当接させ、この状態でバッグ本体2を仕切り部25で折り曲げる。これにより、バッグ本体2は、第2画成部221が起立した状態となる。この起立状態は、第2の封止工程が完了するまで維持される。
なお、ポート部材3には、第2の液体供給装置4bのノズル45が未だ挿入されていない。また、第2の液体供給装置4bのタンク44内では、第2の液体12が予め15〜30度に加温されているのが好ましく、16〜21度に加温されているのがより好ましい。また、第2の液体供給装置4bも、第2の液体12がノズル45から排出されるまでは、第2の液体12の温度がほとんど下がらないよう断熱されている。
次に、図6に示すように、バッグ本体2の仕切り部25にバッグ挟持装置5の挟持部材52を当接させて、仕切り部25を挟持部材51、52で挟持する。
次に、ポート部材3に第2の液体供給装置4bのノズル45を挿入する。そして、ノズル45から第2の液体12を所定量排出する。これにより、バッグ本体2の第2の空間22には、前記温度に加温された第2の液体12が充填される。このような液体が充填されることにより、当該液体の熱で、バッグ本体2の第1画成部211と同様に、第2画成部221も軟化して膨らみ易いものとなる。これにより、第2の空間22への第2の液体12の充填も容易かつ確実に行なうことができる。
また、第2画成部221は、容積が第1画成部211よりも大きいため、第2画成部221への第2の液体12の充填時に当該第2画成部221での膨らみが生じなくても、第2の液体12の吹き出しが起きるのが防止されるので、第2の液体12が16〜21度でも問題はない。これにより、後述するように第2の液体12の充填後にノズル45をポート部材3から抜去した場合、第2の液体12がポート部材3から噴出するのが確実に防止される。よって、所定量の第2の液体12を確実に充填することができる。
また、第2の液体12が充填された第2画成部221を、例えば医療用バッグ1の製造工場の現場の作業者が触れた場合でも、前記加温温度が火傷を負う程度の温度ではないため、当該作業者が火傷を負うのを確実に防止することができる。
また、本工程でも、第1の液体充填工程とほぼ同様に、バッグ本体2を仕切り部25で折り曲げて、第2画成部221を起立させた状態で、第2の液体12の充填を行なっている。これにより、充填された第2の液体12による仕切り部25への力の加わりが抑制される。そして、この抑制と、挟持部材51、52による挟持状態とが相まって、仕切り部25の剥離が確実に防止される。
また、第2画成部221が起立しているため、ポート部材3の開口部31が上方に向かって開口することとなり、よって、ポート部材3からの第2の液体12の充填を容易に行なうこともできる。
このような第2の液体12の充填後、ノズル45をポート部材3から抜去するとともに、挟持部材51、52をバッグ本体2から外す。
[5] 第2の空気抜き工程
次に、図7に示すように、バッグ圧迫装置6bの圧迫部材61、62でバッグ本体2の第2の空間22を画成する部分(以下「第2画成部221」と言う)を、第2の空間22内の第2の液体12が噴出しない程度に圧迫する。これにより、第2の空間22内の空気G2が排出される。これにより、第2の空間22内の空気G2が排出されて、第1画成部211と同様に、第2画成部221の大きさもできる限り小さくなり、よって、医療用バッグ1を保管する際の保管スペースの確保が容易となる。また、医療用バッグ1を仕切り部25で折り曲げて畳んだ状態することもきる。
[6] 第2の封止工程
次に、図8に示すように、第2画成部221に対する圧迫状態を維持したまま、キャップ装着装置8でポート部材3にキャップ13を装着する。これにより、ポート部材3がキャップ13で液密に封止され、よって、第2の液体12が漏出するのが防止される。
このようなポート部材3の封止後、キャップ装着装置8とバッグ圧迫装置6bとをバッグ本体2から外し、起立状態の第2画成部221を傾倒させる。これにより、図9に示すように、医療用バッグ1が展開状態となる。
その後、例えば、医療用バッグ1を展開状態でその重量を計測してもよい。
また、本製造方法では、前述したように、第2の空間22よりも容積が小さい第1の空間21への液体充填を先に行なっている。これにより、先に容積が小さく軽量の第2の空間の重量を正確に計量することができ、重量の保証をすることができる。
以上、本発明の医療用バッグの製造方法および医療用バッグを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、医療用バッグを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
1 医療用バッグ
2 バッグ本体
21 第1の空間(一方の空間)
211 第1画成部
22 第2の空間(他方の空間)
221 第2画成部
23、24 シール部
25 仕切り部
26 充填開口部(第1の口部)
3 ポート部材(第2の口部)
31 開口部
32 管路
4a 第1の液体供給装置
4b 第2の液体供給装置
41 タンク
42 ノズル
43 パイプ
44 タンク
45 ノズル
46 パイプ
5 バッグ挟持装置
51、52 挟持部材
6a、6b バッグ圧迫装置
61、62 圧迫部材
63 連結部
7 金型
71、72 板状部材
8 キャップ装着装置
11 第1の液体
12 第2の液体
13 キャップ
G1、G2 空気

Claims (9)

  1. 液体を収納可能な袋状をなす軟質のバッグ本体に前記液体を充填して医療用バッグを製造する方法であって、
    前記バッグ本体に前記液体を充填する際に、該液体を予め25〜50度に加温して充填し、前記バッグ本体を軟化させることを特徴とする医療用バッグの製造方法。
  2. 前記バッグ本体は、可撓性を有するシート材で構成され、内部が前記シート材を帯状に融着することにより形成された仕切り部を介して前記液体を収納する第1の空間と第2の空間とに仕切られ、前記第1の空間および前記第2の空間のうちの一方の空間が他方の空間よりも容積が小さいものであり、
    前記一方の空間に前記液体を充填し、次いで、前記他方の空間に前記液体を充填する請求項1に記載の医療用バッグの製造方法。
  3. 前記一方の空間の容積が100〜600mL、前記他方の空間の容積が700〜2200mLである請求項1または2に記載の医療用バッグの製造方法。
  4. 前記一方の空間に前記液体を充填するときには、前記バッグ本体を前記仕切り部で折り曲げて、前記バッグ本体の前記一方の空間を画成する部分を起立させた状態で行ない、
    前記他方の空間に前記液体を充填するときには、前記バッグ本体を前記仕切り部で折り曲げて、前記バッグ本体の前記他方の空間を画成する部分を起立させた状態で行なう請求項2または3に記載の医療用バッグの製造方法。
  5. 前記バッグ本体には、前記一方の空間に連通する第1の口部と前記他方の空間に連通する第2の口部とが設けられ、前記第1の口部は、前記シート材が開口して形成されたものであり、前記第2の口部は、前記シート材とは別体の管体で構成され、該管体を前記バッグ本体に装着したものであり、
    前記一方の空間への前記液体の充填は、前記第1の口部にノズルを挿入して、該ノズルを介して行ない、前記他方の空間への前記液体の充填は、前記管体を介して行なう請求項2ないし4のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法。
  6. 前記一方の空間に充填される液体の温度は、前記他方の空間に充填される液体の温度よりも高い請求項2ないし5のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法。
  7. 前記液体の充填後、前記バッグ本体内の空気を抜く請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法。
  8. 前記バッグ本体は、ポリプロピレンを主材料する材料で構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法により製造されたことを特徴とする医療用バッグ。
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