JP2012115226A - 植栽用ディスプレーおよびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 額縁状に縁どりした窓を前面に開設した奥行きのある額状筐体のその窓の内側に植栽可能な植栽容器収納構造を備え、該植栽容器収納構造が植物育成用媒体を含む植栽用ディスプレーであって、該植物育成用媒体が吸水性樹脂の粉末またはゲルを含むことを特徴とする植栽用ディスプレーであり、特に吸水性樹脂が、25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1,000倍であり、且つ水可溶性成分含量が5重量%以下であるのがよい;また、植物が植えられた前記植栽容器を、植栽容器収納構造に既に設置してある植物が植えられた植栽容器と交換して備えることを特徴とする植栽用ディスプレーを使用する方法である。
【選択図】 図6
Description
後者の植物額には、植物育成に適した保水剤がマットに入っており、無散水期間が2週間程度でも植物は枯れたりしないが、植物の種類によって、また無散水期間がさらに長くなると植物が枯れたりするのでやはり散水装置を設ける必要があったり、植物を変えるときは植物額全体を変える必要があり、コスト高になり、作業も煩雑になるという問題がある。
本発明は、長期間飾っておける植栽用ディスプレーおよびその使用方法を提供することである。
また本発明は、前記吸水性樹脂が25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1,000倍であり、且つ水可溶性成分含量が5重量%以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記植物育成用媒体が前記吸水性樹脂と植物育成用担体の混合物であることを特徴とする。
また本発明は、前記植物育成用担体が土壌以外のものであることを特徴とする。
また本発明は、前記植栽容器収納構造が額状筐体前面の下部、中間部、上部の少なくともひとつに配置されていることを特徴とする。
さらに本発明は、植物が植えられた前記植栽容器を、植栽容器構造に既に設置してある植物が植えられた植栽容器と交換して備えることを特徴とする植栽用ディスプレーを使用する方法である。
(1)植物育成用媒体に吸水性樹脂が含まれるので、保水性が良く長期間植物が枯れることがなく、長期間飾っておくことができる。
(1)25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1,000倍であり、且つ水可溶性成分含量が5重量%以下である吸水性樹脂を用いると、植物が枯れないでいる無散水期間が3週間以上である従来よりも長期間であり、長期間飾っておくことができる。
(2)植物育成用媒体に土が入っていないと、植栽用ディスプレーは軽量化でき額として壁に掛けても安定である。また、周囲が土で汚れる心配がない。
(3)植栽容器収納構造が額状筐体前面の下部、中間部、上部の少なくとも一つに配置されているので、植栽用ディスプレーに植物を飾る自由度が高い。
(4)植物が植栽容器構造に出し入れ可能な植栽容器に入っているので、既に植栽容器構造にある植栽容器と交換して植物を植えた新たな植栽容器を植栽用ディスプレーに簡単にセットすることができる。したがって、植栽用ディスプレーを取り外すことなく、長期間飾っておくことができる。
本発明における吸水性樹脂は、エチレン性不飽和単量体(以下、モノマーという場合がある)の重合体架橋物であり、ノニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(A)単独からなる重合体(X)、アニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(C)単独からなる重合体(Y)、およびノニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(A)とアニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(B)を構成単位とする共重合体(Z)が挙げられる。(X)、(Y)、(Z)のみで使用することも可能であり、(X)、(Y)、(Z)を2種類以上混合して使用することも可能である。これらの内、より好ましくは(Y)、(Z)のアニオン性の重合体からなる吸水性樹脂が植物の根の生長を特に阻害しにくく、長期間散水しなくても植物が枯れることがない。
好ましい重合方法は、ラジカル重合開始剤を使用して水溶液重合する方法である。この場合のラジカル重合開始剤の種類と使用量、ラジカル重合条件についても特に限定はなく、従来と同様にできる。なお、これらの重合系に、必要により各種添加剤、連鎖移動剤(例えばチオール化合物等)等を添加しても差し支えない。
吸水倍率は下記の方法で測定した。
ナイロン製の網袋(250メッシュ)に吸水性樹脂の試料L(g)を入れ、これを袋ごと過剰のイオン交換水に浸した。浸漬60分後に袋ごと空中に引き上げ、静置して15分間水切りした後、質量M(g)を測定して下式より吸水倍率を求めた。
なお網袋のみを用いて上記と同様の操作を行い、この分の質量N(g)をブランクとして差し引いた。 イオン交換水の吸水倍率=(M−N)/L
吸水性樹脂10.00gを吸水量に対して過剰量の純水に入れ、20〜25℃で24時間攪拌する。その後、液を濾過し(たとえば、No.5の濾紙を使用)、母液をエバポレーターで濃縮した後、120℃の恒温槽で蒸発乾固(目安として5時間以上)させる。測定に使用した吸水性樹脂の量に対する蒸発残分の割合を重量%で計算する。
また、測定時間を短縮するために、上記母液を一定量とり測定した結果を、最初投入した水に対する割合から計算して水可溶性成分含量を算出することができる。
電気伝導率は下記の方法で測定した。
25℃のイオン交換水100重量部に吸水性樹脂1重量部を入れ、25℃で8時間、恒温槽中で放置して、前記吸水性樹脂を膨潤させ含水ゲルを作成する。含水ゲルの温度が25℃であることを温度計で確認し、比伝導度測定装置の電極を含水ゲルに差し込み値を読み取る。なお、吸水性樹脂の吸水倍率が小さい場合には、高吸水性樹脂の含水ゲルとイオン交換水が分離して二相になるので、撹拌して均一にした後、比伝導度測定装置の電極を差し込み値を測定する。撹拌・均一化してもすぐに二相に再び分離する場合は、撹拌下に比伝導度測定装置の電極を差し込み値を測定する。
(試料溶液の作成)300mlのビーカーに吸水性樹脂1gを入れ、0.9%の食塩水249gを加えてマグネチックスターラーで3時間攪拌する。濾紙で吸水ゲルを濾別した後の濾液を試料溶液とした。
(測定)試料溶液を液体クロマトグラフィーに注入して残存水溶性単量体のピークの面積を求める。別に既知の濃度の水溶性単量体溶液から検量線(水溶性単量体量とピークの面積との関係)を作成し、この検量線から残存水溶性単量体量を求めた。
本発明における植物育成用担体(以下、単に担体という場合がある)としては、従来植物育成用担体として用いられるものが使用できる。
上記の構造は基本的な構造であり、変形される構造のすべてを含む。図1に本発明における一実施形態である植栽用ディスプレーの筐体の正面図(A)と側面図(B)とXY軸における断面図(C)を示した。図1に示された植栽用ディスプレー1の筐体には、直方体の筐体2の一方の広い面(前面)に窓3があり、額縁状に縁どられている。背面を構成する板4も1枚の簡単な構成になっている。側面の板5は上部が後方(図面に向かって右方向)に向かって下に傾斜するように形成されている。筐体2の下側に凹部が形成されており、この凹部が植栽容器収納構造6である。この植栽容器収納構造6には吸水性樹脂の含水ゲルまたは植物育成用媒体を直接入れてもよいし、植物育成用媒体を入れた植栽容器を入れてもよい。この植栽容器は植栽容器収納構造にすでにある植栽容器と交換することができる。後者の方法が植栽用ディスプレーに簡単に植物を飾ることができるので好ましい。また、背面を構成する板4の裏側の上部両側部には、全体を吊り支持するための吊下げ金具7が取付けられている。この植栽用ディスプレー1は、額縁同様に吊下げ金具7を使って室内の壁に掛けたり、大型のものでは床面上に設置して使用することができる。
図2、3に組立によりできる植栽用ディスプレーの筐体の実施形態を示した。図2は嵌めこみ式で形成できる植栽用ディスプレーの筐体の一実施形態である。図2において、ベースユニット8、植生シート9、嵌めこみ式フレーム10を準備し、ベースユニット8に植生シート9を3枚重ねて入れ、その上から嵌めこみ式フレーム10を被せた額縁状筐体2である。したがって、それぞれの部材は簡単に交換ができる。下側の凹部が植栽容器収納構造6であり、筐体2の下部にその植栽容器収納構造6が形成できるようにフレームの下側の縁部分を大きくとってある。
植栽容器収納構造6は筐体の下部であっても図4に記載のように中間部分であっても上部であってもよく、また部分的に形成されていてもよく、その場所に合わせて植物を選定して植えれば色々の植栽用ディスプレーを作製することができる。植栽容器収納構造を形成する材料、形態は特に限定はない。植栽容器収納構造は板状であっても網状であってもよいが、植栽容器収納構造が板状である場合は植物育成用媒体でも植栽容器でも入れることができるが、網状の場合は植栽容器を置けばよい。
植栽容器収納構造が額状筐体の下部、中間部、上部の少なくともひとつに配置されるので、植栽用ディスプレーに植物を飾る自由度が高い。さらに背面の植生マット9に植物を植えこむことなどを組み合わせると額縁全面に植物をもたらすなど植物を飾るのに非常に自由度の高い植栽用ディスプレーが可能となる。
窓の周囲の縁どりには、装飾を施して絵画を鑑賞するための額縁と同様に窓部分の美観を高めることができる。小型送風機を組込んで窓に臨んだ植物に微風を吹きかけ、そよがせて、自然の風を演出し自然感や清涼感を醸すことができる。また、芳香を放つ植物を植込むと、芳香を室内に広く拡散させ、室内雰囲気を向上させることもできる。窓部分を照明する照明手段を設けると、植栽した植物の美しさを引き立たせると共に植物の光合成にも寄与できるようになる。植物マットなどの植生シートを用いる場合は、植生シートに給水するような装置を付加すると植生シートに植えた植物を長く飾ることができる。給水装置は従来この分野で使用できるものが使用できる。給水は植生シートの中を通して、もしくは上下から、もしくは背面から行うことができ、方法は限定されない。
[吸水性樹脂の製造]
(製造例1)
1Lのビーカーに、単量体(C)に該当するアクリル酸230.4g(3.2mol)、架橋剤としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル1.0g、及び水636gを添加し10℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素を0.1ppm(オリエント電気社製、商品名溶存酸素計
DO220PBで測定)とした後、重合開始剤として、35%の過酸化水素水0.023g、L−アスコルビン酸0.00575g、および過硫酸カリウム0.23gを添加した。約30分後、重合反応が開始し、約2時間後に最高温度72℃に到達した。更に、この温度で4時間熟成させて重合を終了させた。得られた重合体(重合体(Y)に該当)は、含水ゲル状を有していた。この重合体をニーダー(入江商会社製、商品名BENCH
KNEADER PNV−1;回転数70rpm)で約2時間撹拌して細断し、更に50%の水酸化カルシウム分散液61.6g、48%の水酸化ナトリウム水溶液64.0gを配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合した。その後、バンド乾燥機(透気乾燥機、井上金属株式会社製)を用いて110℃で加熱乾燥し、粉砕して平均粒径370μmの吸水性樹脂の粉末を得た。この吸水性樹脂100gをとり、水300gを入れて再膨潤しニーダーで1時間攪拌した後、120〜130℃で3時間加熱した後、バンド乾燥機を用いて110℃で加熱乾燥し、粉砕して吸水性樹脂の粉末(1)を得た。このものの分析値を表1に示した。
製造例1において、再膨潤する際にグリセロールポリグリシジルエーテル0.1gを入れる他は製造例1と同様にして、吸水性樹脂の粉末(2)を得た。このものの分析値を表1に示した。
製造例1において、乾燥する前の吸水性樹脂の含水ゲル状物100gにエチレングリコールジグリシジルエーテル0.03gと水50gの混合液を加えてニーダーで約1時間撹拌した後110℃で2時間加熱した。その後、バンド乾燥機を用いて110℃で加熱乾燥し、粉砕して吸水性樹脂の粉末(3)を得た。このものの分析値を表1に示した。
製造例1において、最初に乾燥した吸水性樹脂100gをとり、メタノール100gを入れ室温で3時間攪拌して洗った後濾過し乾燥して、粉砕して吸水性樹脂の粉末(4)を得た。このものの分析値を表1に示した。
製造例4において、メタノール洗浄をしない以外は製造例4と同様にして吸水性樹脂の粉末(5)を得た。このものの分析値を表1に示した。
製造例3において、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.3gに替えてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.01gを用いる以外は製造例3と同様にして吸水性樹脂の粉末(6)を得た。このものの分析値を表1に示した。
製造例1において、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル1.0gに替えてペンタエリスリトールトリアリルエーテル2.0gを用い、水酸化ナトリウム85.0gを用いる以外は製造例1と同様にして吸水性樹脂の粉末(7)を得た。このものの分析値を表1に示した。
図1に示した筐体に準じて、厚さ8mmの木製の板で、幅44cm、高さ32cm、奥行き7cmの筐体の前面を上部5cm、下部7cm、両端5cmに縁とりした縦20cm、横34cmの窓が形成されるように額状筐体を作成した。下部の凹部が植栽容器収納構造となる。
バーミキュライト(市販バーミキュライトを2000μm以下に粉砕)60重量部、「PANGELB 40」(セピオライト、楠本化成社製、嵩密度200g/L)30重量部に吸水性樹脂の粉末(1)〜(7)10部を加えて均一に混合したものを、「DF−17」(ポリビニルアルコール:日本酢ビポバール社製)の1.5重量%および「花工場」(市販活力剤、住化タケダ園芸)1重量%含む水溶液200重量部に加えてよく練りディスクペレッター型成形機にて径10〜20mmの団子状に成型後、温度120〜130℃で加熱乾燥して固形化してペレット(1)〜(7)を得た。
1Lの広口容器に各ペレット80gを入れた後、水500mlを加えてそのまま膨潤させ、吸水性樹脂を中に含むフェルトで作られた高さ7cm、幅27cmの袋状の植栽容器に7割程度いれ、その中に5種類の植物(コンシンネセラミス、ポトスグリーン、サンデリアーナ、ドラセナ、初雪カヅラ)を植えた。図5に記載されたように植栽容器の上部の植物間をホッチクスで留め固定した。
この植栽容器を上記の額状筐体の植栽容器収納構造に入れ、植栽用ディスプレーを作成した。
また、バーミキュライト(市販バーミキュライトを2000μm以下に粉砕)250重量部、「PANGELB 40」(セピオライト、楠本化成社製、嵩密度200g/L)125重量部に水500mlを加えて均一に混合したものを、高さ7cm、幅27cmの袋状の植栽容器に7割程度いれ、上記と同様にして植栽用ディスプレーを作成した。
これらの植栽用ディスプレーを室内に置き、20〜25℃で4週間放置した。その間は散水しなかった。4週間後の状態を観察した。また、葉が枯れることが明確になるまでの期間(日数)を表に示す。
2 筐体
3 窓
4 背面を構成する板
5 側面の板
6 植栽容器収納構造
7 吊下げ金具
8 ベースユニット
9 植生シート
9’ 吸水シート
9’’もみがらマット
10 嵌めこみ式フレーム
11 上から差し込みができるフレーム
12 上部の蓋
13 植物育成用媒体
14 植物
15 植栽容器
16 留め具
Claims (7)
- 額縁状に縁どりした窓を前面に開設した奥行きのある額状筐体のその窓の内側に植栽可能な植栽容器収納構造を備え、該植栽容器収納構造が植物育成用媒体を含む植栽用ディスプレーであって、該植物育成用媒体が吸水性樹脂の粉末またはゲルを含むことを特徴とする植栽用ディスプレー。
- 前記吸水性樹脂が、25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1,000倍であり、且つ水可溶性成分含量が5重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の植栽用ディスプレー。
- 前記植物育成用媒体が前記植栽容器収納構造に出し入れ可能な植栽容器に入っていることを特徴とする請求項1または2記載の植栽用ディスプレー。
- 前記植物育成用媒体が前記吸水性樹脂と植物育成用担体の混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の植栽用ディスプレー。
- 前記植物育成用担体が土壌以外のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の植栽用ディスプレー。
- 前記植栽容器収納構造が額状筐体前面の下部、中間部、上部の少なくとも一つに配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の植栽用ディスプレー。
- 植物が植えられた前記植栽容器を、植栽容器収納構造に既に設置してある植物が植えられた植栽容器と交換して備えることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の植栽用ディスプレーを使用する方法。
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