JP2012113077A - ホログラム積層体およびホログラム積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被着体から剥離されたか否かを判定できるホログラム積層体を提供する。
【解決手段】ホログラム積層体は、ホログラムが記録されるホログラム記録層と、第1の接着層と、第1の領域および第2の領域を有するパターン層と、第2の接着層とを備える。ホログラム記録層、第1の接着層、パターン層および第2の接着層が、この順に積層される。第1の接着層の剥離強度が、第2の接着層の剥離強度よりも大とされ、第1の領域に対する第2の接着層の剥離強度と、第2の領域に対する第2の接着層の剥離強度とが異なるようにされる。または、ホログラム記録層に対する第1の接着層の剥離強度が、パターン層の第1の領域に対する第1の接着層の剥離強度よりも大とされ、パターン層の第1の領域に対する第1の接着層の剥離強度が、パターン層の自己結集力または破断強度よりも大とされる。
【選択図】図1

Description

本願開示は、ホログラム積層体およびホログラム積層体の製造方法に関する。特に、被着体から剥離されたか否かを判定できるホログラム積層体およびホログラム積層体の製造方法に関する。
近年、個人情報の保護に対する要求や、商品の真正性の保証に対する要求が高まっている。
例えば、身分証明書などが偽造されて不正に使用されると、当人の気付かないうちに信用の喪失や金銭的損害が生じ、身分証明書などを偽造された当人が多大な被害を被ってしまう。例えば、不正なコピー商品が市場に流通すると、本来の製造者が経済的な損失を受けてしまう。また、商品の安全性が確保されていないなど、コピー商品の品質が劣悪であった場合には、業務上の信用の損失を招くばかりでなく、消費者の健康や生命を脅かす危険すらある。
重要な情報が記録されるカード類、身分証明書などには、真贋判定機能、偽造防止機能の付与を目的として、例えば、立体表示が可能なホログラムが使用されている。近年では、干渉パターンを記録層内部の屈折率の差として記録する体積型ホログラムが使用されることが多い。これは、体積型ホログラムの偽造には、記録画像の制作に高度な技術が要求されること、記録材料が入手困難なことによる。
ところが、ホログラム自体の偽造が困難であっても、真正なホログラムが本来の被着体から剥離され、別の被着体に貼り付けられてしまうことが考えられる。そうすると、被着体に貼られたホログラムのみから偽造が行われたかどうかを判断することは困難となる。
一方、商品が製造者または生産者から消費者の手元に届くまでに、商品に対して改ざんや開封が行われていないことを保証するため、例えば、開封が行われる部分に改ざん防止シールを貼ることが行われている。このような改ざん防止シールは、ひとたび剥離すると、被着体に文字や模様が残るようにされる。したがって、商品に対して、改ざんや開封が行われた可能性があるか否かを消費者が容易に判定することができる。
上述したことから、ホログラムが、被着体から剥離されたか否かを判定できる機能を有していることが望まれている。例えば、下記の特許文献1には、ハーフカット部分を設けた樹脂層を介してホログラムを被着体に貼り付けることにより、ホログラムを剥離しようとしたときに、ハーフカットの輪郭形状に沿ってホログラムが破壊される改ざん防止用粘着ラベルが提案されている。
しかしながら、ホログラムに改ざん防止機能を付与しようとすると、ホログラム積層体の層構成が複雑となり、製造工程が複雑化してしまう。また、ホログラム積層体が厚くなってしまい、例えば、厚さが150μm以下のホログラム積層体を製造することは困難であった。
特開2008−298988号公報
被着体から剥離されたか否かを判定できるホログラム積層体およびホログラム積層体の製造方法を提供することを目的とする。
ホログラム積層体の好ましい実施の態様は、以下のとおりである。
ホログラムが記録されるホログラム記録層と、
第1の接着層と、
第1の領域および第2の領域を有するパターン層と、
第2の接着層と
を備え、
ホログラム記録層、第1の接着層、パターン層および第2の接着層がこの順に積層され、
第1の接着層の剥離強度が、第2の接着層の剥離強度よりも大とされ、
第1の領域に対する第2の接着層の剥離強度と、第2の領域に対する第2の接着層の剥離強度とが異なる。
ホログラム積層体の他の好ましい実施の態様は、以下のとおりである。
ホログラムが記録されるホログラム記録層と、
第1の接着層と、
第1の領域および第2の領域を有するパターン層と、
第2の接着層と
を備え、
ホログラム記録層、第1の接着層、パターン層および第2の接着層がこの順に積層され、
ホログラム記録層に対する第1の接着層の剥離強度が、パターン層の第1の領域に対する第1の接着層の剥離強度よりも大とされ、
パターン層の第1の領域に対する第1の接着層の剥離強度が、パターン層の自己結集力または破断強度よりも大とされる。
ホログラム積層体の製造方法の好ましい実施の態様は、以下のとおりである。
ホログラムが記録されるホログラム記録層を備える第1の積層体と、
第1の接着層と,第1の領域および第2の領域を有するパターン層と,第2の接着層とを備え、第1の接着層、パターン層および第2の接着層がこの順に積層される第2の積層体と
を第1の接着層により接合する接合の工程を備え、
第1の接着層の剥離強度が、第2の接着層の剥離強度よりも大とされ、
第1の領域に対する第2の接着層の剥離強度と、第2の領域に対する第2の接着層の剥離強度とが異なる。
ホログラム積層体の製造方法の他の好ましい実施の態様は、以下のとおりである。
ホログラムが記録されるホログラム記録層を備える第1の積層体と、
第1の接着層と,第1の領域および第2の領域を有するパターン層と,第2の接着層とを備え、第1の接着層、パターン層および第2の接着層がこの順に積層される第2の積層体と
を第1の接着層により接合する接合の工程を備え、
ホログラム記録層に対する第1の接着層の剥離強度が、パターン層の第1の領域に対する第1の接着層の剥離強度よりも大とされ、
パターン層の第1の領域に対する第1の接着層の剥離強度が、パターン層の自己結集力または破断強度よりも大とされる。
ホログラム積層体は、ホログラム記録層、第1の接着層、パターン層および第2の接着層がこの順に積層されており、第1の接着層の剥離強度が、第2の接着層の剥離強度よりも大とされる。また、第1の領域に対する第2の接着層の剥離強度と、第2の領域に対する第2の接着層の剥離強度とが異なるようにされる。したがって、ホログラム記録層を剥離しようとしたときに、第1の接着層が剥離または破断するよりも先に、第2の接着層が剥離または破断し、第2の接着層が被着体上にパターン状に残る。
ここで、第1の領域に対する第2の接着層の剥離強度と、第2の領域に対する第2の接着層の剥離強度とが異なるとは、具体的には、例えば、JIS Z0237−2000に準拠して測定した剥離強度で0.1N以上異なることをいう。
ホログラム積層体は、ホログラム記録層、第1の接着層、パターン層および第2の接着層がこの順に積層されており、ホログラム記録層に対する第1の接着層の剥離強度が、パターン層の第1の領域に対する第1の接着層の剥離強度よりも大とされる。また、パターン層の第1の領域に対する第1の接着層の剥離強度が、パターン層の自己結集力または破断強度よりも大とされる。したがって、ホログラム記録層を剥離しようとしたときに、第1の接着層が剥離または破断するよりも先に、パターン層の第1の領域が破断する。すなわち、パターン層の少なくとも一部が、剥離されたホログラム記録層側に残る。
好ましくは、第1の接着層が、紫外線硬化樹脂である。ホログラム積層体の厚さを薄く構成することができるからである。
好ましくは、ホログラム積層体は、基材層をさらに備える。パターン層を、基材層の主面のうち、少なくとも一方の主面上に形成することができるからである。
好ましくは、第2の接着層が、黒色である。黒色シートを設けずに、ホログラムの画像のコントラストを向上させ、ホログラムを観察しやすくできるからである。
好ましくは、第1の接着層または基材層が、拡散反射部材を含む。または、第1の領域が、光を反射する粒子を含むインク組成物を塗布または印刷することにより形成される。ホログラム記録層が剥離されてホログラムの不正コピーが行われても、コピーされたホログラムに拡散反射部材の像が記録されるため、ホログラム積層体の真贋判定を容易とすることができるからである。
好ましくは、基材層が、パターンニングされた光学異方性を有する。または、第1の接着層の絶対屈折率が、第1の領域の絶対屈折率より0.05以上大きい。ホログラム記録層が剥離されてホログラムの不正コピーが行われても、コピーされたホログラムに正反射像(ホログラムミラー)が記録されるため、ホログラム積層体の真贋判定を容易とすることができるからである。
ホログラム積層体の製造方法は、ホログラムが記録されるホログラム記録層を備える第1の積層体と、第1の接着層、パターン層および第2の接着層がこの順に積層される第2の積層体とを第1の接着層により接合する接合の工程を備える。したがって、ホログラム積層体の厚さを薄く構成することができる。好ましくは、第1の積層体が、カバーフィルムをさらに備え、カバーフィルムおよびホログラム記録層があらかじめ積層された状態で供給される。
好ましくは、ホログラム積層体の製造方法は、ホログラム記録層にホログラムの記録を行うホログラム記録の工程をさらに備え、ホログラム記録の工程および接合の工程が、インラインで構成される。または、カバーフィルムに感光性材料を塗布することによりホログラム記録層を形成するホログラム記録層形成の工程をさらに備え、ホログラム記録層形成の工程と、ホログラム記録の工程および接合の工程が、インラインで構成される。各工程がインラインで構成されることにより、ホログラム積層体の製造工程の複雑化が抑制される。
少なくとも1つの実施例によれば、製造工程を複雑化させずに、被着体から剥離されたか否かを判定できるホログラム積層体を提供することができる。
図1Aは、第1の実施形態にかかるホログラム積層体の構成例を示す断面模式図である。図1Bは、第1の実施形態にかかるホログラム積層体を被着体に貼り付けた後、ホログラム積層体を剥離したときの被着体の状態を示す断面模式図である。図1Cは、第1の実施形態にかかるホログラム積層体の改ざん防止機能を説明するための図である。 図2は、光重合型フォトポリマの感光プロセスを示す略線図である。 図3は、第1の実施形態にかかるホログラム積層体の第1の積層体の説明に用いる略線図である。 図4は、ホログラム記録の工程の説明に用いる略線図である。 図5は、各工程における積層構造を示す断面模式図である。 図6は、第1の積層体と第2の積層体とを接合する接合の工程の説明に用いる略線図である。 図7は、ホログラム記録層形成の工程の説明に用いる略線図である。 図8Aは、第2の実施形態にかかるホログラム積層体の構成例を示す断面模式図である。図8Bは、第2の実施形態にかかるホログラム積層体を被着体から剥離したときの状態を説明するための断面模式図である。 図9Aは、第3の実施形態にかかるホログラム積層体の構成例を示す断面模式図である。図9Bは、第3の実施形態にかかるホログラム積層体の第1の変形例を示す断面模式図である。 図10Aおよび図10Bは、第3の実施形態にかかるホログラム積層体の第2の変形例を示す断面模式図である。 図11Aは、第4の実施形態にかかるホログラム積層体の構成例を示す断面模式図である。図11Bは、第5の実施形態にかかるホログラム積層体の構成例を示す断面模式図である。図11Cは、第5の実施形態にかかるホログラム積層体の他の構成例を示す断面模式図である。 図12Aは、第1の接着層と基材層との間および基材層と第2の接着層との間にタンパーエビデント機能を有するホログラム積層体の断面模式図である。図12Bは、図12Aに示すホログラム積層体の改ざん防止機能を説明するための図である。
以下、ホログラム積層体およびホログラム積層体の製造方法の実施形態について説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.第1の実施形態>
[ホログラム積層体]
[ホログラム積層体の製造方法]
<2.第2の実施形態>
<3.第3の実施形態>
<4.第4の実施形態>
<5.第5の実施形態>
<6.変形例>
なお、以下に説明する実施形態は、ホログラム積層体およびホログラム積層体の製造方法の好適な具体例である。以下の説明においては、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、ホログラム積層体およびホログラム積層体の製造方法の例は、以下に示す実施形態に限定されないものとする。
<1.第1の実施形態>
[ホログラム積層体]
図1Aは、第1の実施形態にかかるホログラム積層体の構成例を示す断面模式図である。図1Bは、第1の実施形態にかかるホログラム積層体を被着体に貼り付けた後、ホログラム積層体を剥離したときの被着体の状態を示す断面模式図である。図1Cは、第1の実施形態にかかるホログラム積層体の改ざん防止機能を説明するための図である。
図1Aに示すように、第1の実施形態にかかるホログラム積層体1は、ホログラム記録層11と、第1の接着層21と、パターン層41と、第2の接着層22を備えている。図1Aに示す構成例では、ホログラム積層体1は、ホログラム記録層11における第1の接着層21に対向する側とは反対側の主面上に、カバーフィルム31を備える。図1Aに示す構成例では、第2の接着層22において、ホログラム積層体1が被着体99に貼り付けられる側にセパレータ51が設けられている。
ホログラム記録層11には、ホログラムが記録される。記録されるホログラムは、例えば、体積型ホログラムである。もちろん、干渉パターンを表面の凹凸として記録するエンボス型ホログラムや、回折格子などを使用してもかまわない。第1の接着層21の剥離強度は、第2の接着層22の剥離強度よりも大とされる。パターン層41は、第1の領域R1および第2の領域R2を有しており、後述するように、第1の領域R1に対する第2の接着層22の剥離強度と、第2の領域R2に対する第2の接着層22の剥離強度とが異なるようにされる。例えば、第1の領域R1に対する第2の接着層22の剥離強度が、第2の領域R2に対する第2の接着層22の剥離強度に対して、小となるようにされる。
ホログラム記録層11を破壊しないようにして、ホログラム記録層11を剥離しようとすると、図1Bに示すように、第1の接着層21が剥離または破断するよりも先に、第2の接着層22が剥離または破断する。例えば、図1Cに示すように、ホログラム積層体1が剥離されると、被着体に対して第2の接着層22が「VOID」などのパターン状に残るようにされる。第2の接着層22が被着体99上にパターン状に残るため、ホログラム積層体1の観察者は、被着体99からホログラム積層体1が剥離されたことを容易に知ることができる。すなわち、ホログラム積層体1は、いわゆるタンパーエビデント(tamper-evident)機能を備えている。
また、一度剥離されたホログラム積層体1を粘着剤などにより別の被着体に貼り付けても、ホログラム記録層11側の第2の接着層22が失われた部分に空気層が介在することになり、観察される画像が、はじめに観察されていた画像と異なったものとなる。
ここで、本明細書にいう剥離強度とは、JIS Z0237−2000に準拠して測定した剥離強度のことをいう。試験板には、600番手の耐水研磨紙で表面を研磨したステンレス鋼(SUS−304)の板を用い、試験片を試験板に対して180°の方向に剥離することにより測定を行った。以下に、180°剥離試験の測定条件を示す。
測定雰囲気:23℃±2℃、50±5%RH
試験片:25mm巾
貼合:2kgのゴムローラー1往復で圧着
貼合時間:貼り合せ後24時間経過後
剥離角:180°
剥離速度:300mm/min±30mm/min
以下、ホログラム記録層11、第1の接着層21、パターン層41および第2の接着層22について順次説明する。なお、以下の説明においては、接着には粘着を含むものとし、フィルムにはシートを含むものとする。
(ホログラム記録層)
ホログラム記録層11は、例えば、体積型ホログラムが記録される層である。ホログラム記録層11を構成する材料としては、例えば、光重合性樹脂材料、光架橋性樹脂材料、銀塩材料、重クロム酸ゼラチンなどの感光性材料を使用することができる。光重合性樹脂材料としては、露光後に特別な現像処理を施す必要がないことから、例えば、光重合型フォトポリマを使用することが好ましい。
図2は、光重合型フォトポリマの感光プロセスを示す略線図である。光重合型フォトポリマは、初期状態では、図2Aに示すように、モノマMがマトリクスポリマに均一に分散している。これに対して、図2Bに示すように、10〜400mJ/cm2程度のパワーの光LAを照射すると、露光部においてモノマMが重合する。そして、ポリマ化するにつれて周囲からモノマMが移動してモノマMの濃度が場所によって変化し、これにより、屈折率変調が生じる。この後、図2Cに示すように、1000mJ/cm2程度のパワーの紫外線または可視光LBを全面に照射することにより、モノマMの重合が完了する。このように、光重合型フォトポリマは、入射された光に応じて屈折率が変化するので、参照光と物体光との干渉によって生じる干渉パターンを、屈折率の変化として記録することができる。
なお、図1Aに示すカバーフィルム31は、ホログラム記録層11を保護する表面保護層である。カバーフィルム31は、傷の防止、帯電防止、フィルム形状形成およびホログラム形状の安定化のために設けられる。カバーフィルム31を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどが挙げられる。ホログラム記録層11に体積型ホログラムを記録する場合には、カバーフィルム31を構成する材料の複屈折が十分に小さく、かつ、カバーフィルム31を構成する材料の光学屈折率が感光性材料にほぼ等しいことが好ましい。カバーフィルム31が、ホログラムの観察の際の妨げとならないからである。
(第1の接着層)
第1の接着層21は、図1Aに示すカバーフィルム31およびホログラム記録層11を含む上層部分UPと、パターン層41、第2の接着層22およびセパレータ51を含む下層部分LPとを接合するための接着層である。
第1の接着層21は、例えば、接着剤からなる層である。接着剤としては、例えば、エネルギ線硬化型、熱硬化型または感圧型の接着剤を挙げることができる。
エネルギ線硬化型接着剤は、エネルギ線硬化性化合物および重合開始剤を含有する。エネルギ線としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線、ガンマ線、電子線などを用いることができ、生産設備の観点から、紫外線が好ましい。このとき、エネルギ線硬化型接着剤は、具体的には、例えば、紫外線硬化樹脂である。必要に応じて、エネルギ線硬化型接着剤に、光増感剤、帯電防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機系粒子、無機酸化物粒子、金属粉末、顔料、染料などを含有させてもよい。例えば、光増感剤を使用することにより、硬化後の接着強度を向上させることができる。
エネルギ線硬化性化合物としては、例えば、光ラジカル重合性化合物、光カチオン重合性化合物が挙げられる。
光ラジカル重合性化合物としては、例えば、ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアリールアクリレート、アクリル変性カルボン酸、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、多官能アクリレートや、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ネオペンチルグリコールのアクリル酸安息香酸混合エステルなどその他のアクリレート、または、これらのメタクリレート体などが挙げられる。光カチオン重合性化合物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、オキセタニル基を有する化合物などが挙げられる。
重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、ベンゾインアルキルエーテル系などの光ラジカル重合開始剤、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステルなどの光カチオン重合開始剤が挙げられる。重合開始剤としては、使用するエネルギ線の種類に合わせて選択され、二種以上を組み合わせて用いることができる。
熱硬化型の接着剤としては、例えば、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系などの接着剤を使用することができる。
感圧型の接着剤(粘着剤)としては、例えば、天然ゴム系、ブチルゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合樹脂などの合成ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリル、炭化水素樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン、ロジントリグリセリド、水素化ロジンなどのロジン系樹脂などを使用することができる。
(パターン層)
パターン層は、例えば、第1の接着層21と第2の接着層22との間に形成されており、第1の領域R1および第2の領域R2を有している。例えば、第1の領域R1に対しては、第2の接着層22が容易に剥離するようにされる。このとき、第1の領域R1は、第2の接着層22に対して離型パターンとしての機能を有する。
第1の領域R1は、例えば、セパレータ51に積層して形成された第2の接着層22の表面に、剥離性を付与する組成物をパターン状に塗布または印刷することにより形成することができる。第2の接着層22に対する剥離性を付与する組成物としては、例えば、バインダを主成分とし、ワックスやフッ素などが添加された塗料またはシリコーン樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂としては、SiとOからできたシロキサン結合を基本骨格とし、側鎖に有機基を有するオルガノポリシロキサン類を用いることができる。
第1の領域R1および第2の領域R2は、面内でどのようなパターンに設定されていてもよい。例えば、第1の領域R1または第2の領域R2を、点状、縞状、格子状、記号状、文字状、その他の模様状などに設定することができる。第1の領域R1または第2の領域R2を文字状に設定する場合には、被着体99からホログラム積層体1を剥離したことが容易に判断できるように、「VOID」などの文言を設けておくことが好ましい。
(第2の接着層)
第2の接着層22は、ホログラム積層体1を被着体99に接合するための接着層(粘着層)である。第2の接着層22としては、例えば、第1の接着層21に使用することができる材料として例示した感圧型の接着剤(粘着剤)を使用することができる。または、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーなどの熱可塑性エラストマーや、反応ホットメルト性樹脂などを粘着剤として使用してもよい。
粘着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合体樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などのヒートシール剤を使用してもよい。
第2の接着層22が、透明であってもよいが、着色された接着層であることが好ましく、黒色の接着層であることがより好ましい。第1の接着層21が透明である場合には、第2の接着層22がホログラムの画像の背景となる。このとき、第2の接着層22が黒色であると、ホログラムの画像のコントラストが上がることにより、ホログラムを観察しやすくなり、記録されたホログラムの視認性または可読性が向上するからである。ここで、黒色とは、OD(OPTICAL DENSITY)にて1.0以上、または、JIS Z 8729に規定されるL*a*b表色系における明度において30以下、または、可視光領域波長400〜750nmにおける平均反射率が20%以下の範囲であることを指す。OD、明度または平均反射率が上述した範囲内であると、ホログラムが観察しやすく、好ましい。
ホログラムのコントラストを上げるため、例えば、観察者から見てホログラム記録層の奥側に黒色シートが設けられることがあるが、第2の接着層22が黒色であると、黒色シートを設ける必要がなく、ホログラム積層体1の厚さを低減することができる。また、ホログラム積層体1が被着体99から剥離された場合には、黒色の第2の接着層22が、第1の領域R1のパターン状に被着体99上に残存するため、ホログラム積層体1が被着体99から剥離されたことを明りように判別しやすくなる。
第2の接着層22を構成する材料に、顔料、染料またはこれらの混合物を含有させることにより、第2の接着層22を着色された接着層とすることができる。黒色の顔料としては、例えば、カーボンブラック、銅−鉄−マンガン、アニリンブラックなどの黒色顔料を挙げることができる。黒色の染料としては、例えば、アシッドブラック、クロムブラック、リアテクティブブラックなどの黒色染料を挙げることができる。
なお、第1の接着層21とパターン層41との間またはパターン層41と第2の接着層22との間に、樹脂フィルムなどの基材層を介在させるようにしてもよい。
[ホログラム積層体の製造方法]
以下、図3〜図6を参照しながら、第1の実施形態にかかるホログラム積層体の製造方法の各工程について説明する。なお、図面の大きさの制約から、一連の製造工程を図3、図4および図6に分割して示しているが、生産性を考慮して、この製造方法の一部または全部のプロセスをロールツーロール(Roll to Roll)により行うようにしてもよい。
第1の実施形態では、例えば、ホログラム記録層11を備える第1の積層体1Uと、第1の接着層21と,第1の領域R1および第2の領域R2を有するパターン層41と,第2の接着層22とを備える第2の積層体1Lとが、第1の接着層21を介して接合される。
少なくとも1つの実施例によれば、製造装置の内部で液状の接着剤を扱う必要がないため、工程が複雑化することがなく、ホログラム積層体を薄いものとすることができる。例えば、スロットに挿入して使用されるメモリや、機器に組み込まれるバッテリなどに被着されるホログラム積層体に対しては、ホログラム積層体をできる限り薄くしたいという要求がある。ホログラム積層体を薄いものとすることにより、被着体の表面に深い凹部を設ける必要がなくなり、メモリであればチップ厚さを必要以上に薄くする必要がなく、製造工程におけるチップの割れや欠けによる不良率が低減される。バッテリであれば、体積エネルギ密度の損失が抑制される。
図3は、第1の実施形態にかかるホログラム積層体の第1の積層体の説明に用いる略線図である。図4は、ホログラム記録の工程の説明に用いる略線図である。図5は、各工程における積層構造を示す断面模式図である。図6は、第1の積層体と第2の積層体とを接合する接合の工程の説明に用いる略線図である。
(第1の積層体)
まず、図3Aに示すように、サプライリール61から、例えば、カバーフィルム31、ホログラム記録層11およびセパレータ52があらかじめ積層された積層体が、矢印D1の方向に向かって繰り出される。ここでは、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなるシート状のカバーフィルム31が、ホログラム記録層11の支持体として機能している。図3Aでは、カバーフィルム31、ホログラム記録層11およびセパレータ52があらかじめ積層された積層体が、ロール状に巻かれた状態で供給される例を示しているが、シートの状態で供給されてもよい。
カバーフィルム31は、例えば、シート状のポリエチレンテレフタレートフィルムである。ホログラム記録層11は、例えば、未硬化または半硬化状態(以下、この状態をウェット状態と適宜称する。)の光重合型フォトポリマがシート状に形成された層である。以下では、ホログラム記録層11を備える積層体を第1の積層体1Uと称する。図3Bに、図3Aに破線で示すA部における第1の積層体1Uの断面模式図を示す。
サプライリール61から繰り出された第1の積層体1Uは、ローラ63,65の上を順に走行し、ローラ67およびローラ69の間に導入される。なお、ローラ63,65は、第1の積層体1Uが弛まないようにするため、トーションコイルばねなどにより第1の積層体1Uに張力を付与できるようになされる。
ここで、第1の積層体1Uから、セパレータ52が分離される。分離されたセパレータ52は、ローラ64上を通過した後、矢印D2の方向に向かって走行し、巻き取りリール66に巻き取られる。なお、サプライリール61から供給される積層体が、セパレータ52を含まない構成とされていても構わない。このとき、ローラ64および巻き取りリール66を省略することができる。
一方、セパレータ52が分離された第1の積層体1Uは、ローラ69の周面に巻きつけられ、矢印D3の方向に向かって走行するようにされる。第1の積層体1Uは、ホログラム記録層11の表面が露出された状態となる。以下では、ホログラム記録層11の露出された表面をホログラム記録層11の露出面PSと称する。
(ホログラムの記録)
次に、第1の積層体1Uが、ホログラムの記録を行うための複製装置50に導入される。複製装置50の内部では、第1の積層体1Uが停止された状態において、ホログラム記録層11とホログラム原版3とが互いに密着され、ホログラム記録層11およびホログラム原版3に対して記録用のレーザ光Lが照射される。ホログラム原版3は、例えば、記録済のホログラム層30が、ガラス板4a,4bの間に挟まれたものである。ホログラム原版3からの回折光とレーザ光Lとの干渉パターンが、屈折率の変化としてホログラム記録層11に記録される。このようにして、ホログラム原版3のホログラムが、ホログラム記録層11にホログラムとして複製される。
図4に示すように、複製装置50は、ホログラム原版3を含む複製エリアを密閉するチャンバC(二点鎖線で示す。)と、ホログラム原版3の幅以上の周面の幅を有するローラ51,52,53,54とを備える。必要に応じて、チャンバCの全体を真空環境とする排気装置を備えるようにしてもよい。ホログラム原版3が、第1の積層体1Uのホログラム記録層11の露出面PSと対向するように配置される。ローラ51〜54が、第1の積層体1Uのカバーフィルム31側に配置される。ローラ51〜54のうち、ローラ51および54は、複製装置50の入口側および出口側にそれぞれ配置される。ローラ51および54の設置位置は固定とされている。ローラ51〜54のうち、ローラ52および53は、複製装置50の内部で、第1の積層体1Uの出口側の近傍に設置されており、ローラ52は、ホログラム原版3のエッジの下方に位置している。ローラ52および53は、垂直方向および第1の積層体1Uの移送方向に沿ってスライドができるようになされている。
図4Aに示すように、第1の積層体1Uが複製装置50に導入されると、ホログラム原版3の下方に第1の積層体1Uの複製領域が位置するまで第1の積層体1Uが移送された後、第1の積層体1Uの移送が一旦停止される。すなわち、複製装置50への第1の積層体1Uの移送は、間欠送りとされている。第1の積層体1Uの移送が一旦停止されると、必要に応じて、チャンバCの内部が真空とされる。チャンバCの内部を真空とするのは、ホログラム原版3と第1の積層体1Uのホログラム記録層11との間に空気が入り込むのを防止するためである。
次に、図4Bに示すように、ローラ52および53が上昇し、第1の積層体1Uが持ち上げられる。ローラ52,53は、第1の積層体1Uがホログラム原版3のエッジに接触する位置よりやや上方まで上昇する。したがって、第1の積層体1Uのホログラム記録層11がホログラム原版3のエッジに押し当てられる。
次に、図4Cに示すように、ローラ52および53が、複製装置50の入口側に向かって略水平方向にスライドする。ローラ53により、第1の積層体1Uがホログラム原版3の出口側エッジに押し付けられる。また、ローラ52がホログラム原版3の入口側のエッジまでスライドすることにより、第1の積層体1Uのホログラム記録層11がホログラム原版3に圧着される。ホログラム記録層11を構成する光重合型フォトポリマがウェット状態であるので、ホログラム原版3およびホログラム記録層11の間に空気が入ることを抑制でき、ホログラムの複製を安定させることができる。また、別個に密着液を使用する必要がないので、ホログラム原版3およびホログラム記録層11の界面に光学密着液を塗布して密着させ、ホログラム原版3およびホログラム記録層11の間から空気を除去する工程を不要とできる。
次に、ホログラム原版3とホログラム記録層11とが密着した状態で、下方からレーザ光Lが照射され、ホログラム原版3のホログラムがホログラム記録層11に複製される。レーザ光Lの波長は、ホログラム原版3のホログラムの記録時と同一である。
次に、図4Dに示すように、ローラ53が下降し、複製装置50の出口側エッジにおいて、第1の積層体1Uがホログラム原版3から剥離される。なお、チャンバCの内部が真空とされていた場合には、ローラ53の下降に先立ち、大気が導入される。第1の積層体1Uがホログラム原版3から剥離されると、ローラ52および53が図4Aに示す初期位置に戻される。そして、次の記録領域がホログラム原版3の下面に位置する状態まで第1の積層体1Uが移送され、上述と同様の複製工程がなされる。
次に、光重合型フォトポリマが記録画像の定着させるために紫外線照射や加熱といった後処理を必要とする場合には、ホログラムの記録に続けて後処理が行われる。例えば、第1の積層体1Uに対して、紫外線ランプにより紫外線が照射され、モノマMの重合が完了する。また、例えば、ヒートローラにより第1の積層体1Uが加熱され、記録画像の定着がなされる。上述したような後処理により、光重合型フォトポリマの屈折率変調度が増加し、ホログラム記録層11に記録画像が定着する。
(第2の積層体)
次に、ホログラム記録層11を備える第1の積層体1Uと、第2の積層体1Lとを接合する。ここで、第2の積層体1Lについて説明する。
第2の積層体1Lは、第1の接着層21、パターン層41および第2の接着層22を備える。図5Aに、第2の積層体1Lの一構成例についての断面模式図を示す。図5Aに示すように、第2の積層体1Lは、例えば、セパレータ51、第2の接着層22、パターン層41、基材層33、第1の接着層21およびセパレータ53がこの順に積層されている。
ここで、基材層33は、第1の接着層21、パターン層41および第2の接着層22の支持体として、必要に応じて設けられる。基材層33が設けられる場合には、例えば、ロールコータ、ナイフコータ、グラビアコータ、ダイコータ、リバースコータなどを用い、第1の接着層21を構成する材料を適宜の厚さで塗布することにより、基材層33の面S1上に、第1の接着層21を形成することができる。
また、基材層33の面S1とは反対側の面S2上に、例えば、塗布または印刷により、パターン層41を形成することができる。または、基材層33と第2の接着層22との接着強度を高めるプライマーの役割を果たす物質を含有する塗料をパターン状に塗布または印刷することにより、第2の領域R2を形成してもよい。基材層33の面S2上において、第2の領域R2に対応する部分にのみ微細な凹凸形状を形成しておき、第2の領域R2に対応する部分が、第2の接着層22に対してアンカー効果を発揮するようにしてもよい。
パターン層41が形成された、基材層33の面S2上には、第1の接着層21と同様にして、第2の接着層22を構成する材料を適宜の厚さで塗布することにより、第2の接着層22を形成することができる。セパレータ51の一主面上に第2の接着層22を形成した後、パターン層41が形成された基材層33を貼り合わせるようにしてもよい。
基材層33としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートのほか、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステル、ポリイミドなどを使用することができる。基材層33は、色みを帯びていてもよいが、光透過性を有すると好ましい。ホログラム積層体が被着体から剥離された場合に、第2の接着層22が第1の領域R1のパターン状にホログラム積層体から抜け落ちるため、ホログラム積層体が被着体から剥離されたことを、剥離されたホログラム積層体からも判別しやすい。
セパレータ53は、必要に応じて設けられる。セパレータ51およびセパレータ53としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートのフィルムやポリプロピレンのフィルムなどを、フッ素系離型剤やシリコーン系離型剤などにより離型処理した樹脂フィルムを使用することができる。または、剥離紙を使用してもよい。
なお、セパレータ51またはセパレータ53が、第1の接着層21、パターン層41および第2の接着層22の支持体として機能する場合には、基材層33が設けられなくともよい。
(第1の積層体と第2の積層体との接合)
図6に示すように、サプライリール81から、第2の積層体1Lが、矢印D4の方向に向かって繰り出される。図5Aに示した、第2の積層体1Lの一構成例についての断面模式図は、図6に破線で示すB部における第2の積層体1Lの層構成である。以下では、第2の積層体1Lに、基材層33が設けられた場合を例にとって説明を行う。
第1の接着層21は、あらかじめシート状に形成されている。第2の積層体1Lは、第1の積層体1Uと同様に、例えば、サプライリール81にロール状に巻かれた状態やシートの状態で供給される。第1の積層体1Uと、第2の積層体1Lとの接合の前においては、第1の接着層21は、ウェット状態とされる。以下では、第1の接着層21として、紫外線硬化型の接着剤を使用した場合を例にとって説明を行う。
第1の接着層21は、例えば、ウェット状態の紫外線硬化樹脂があらかじめシート状に形成されて構成されている。したがって、第1の積層体1Uと第2の積層体1Lとを密着させた状態で第1の接着層21を硬化させるだけで、上述したホログラム積層体の層構成を実現することができる。なお、インラインで一連の製造工程を行うことによって、感光性材料の劣化および異物の付着などに起因した不良率を低減することができる。
サプライリール81から繰り出された第2の積層体1Lは、ローラ83,85の上を順に走行し、ローラ87およびローラ88の間に導入される。なお、ローラ83,85は、第2の積層体1Lが弛まないようにするため、トーションコイルばねなどにより第2の積層体1Lに張力を付与できるようになされる。
ローラ87は、第2の積層体1Lからセパレータ53を分離するために設けられており、第2の積層体1Lから分離されたセパレータ53は、ローラ82上を通過した後、矢印D5の方向に向かって走行し、巻き取りリール84に巻き取られる。第2の積層体1Lにセパレータ53を設けない場合には、ローラ87,82および巻き取りリール84は省略される。
次に、ローラ87によりセパレータ53が分離された第2の積層体1Lは、ローラ88により走行する向きを変え、ローラ89,90の間に導入される。このとき、セパレータ51が、ローラ89に接する側とされる。図5Bに、図6に破線で示すC部における第2の積層体1Lの積層体の断面模式図を示す。図5Bに示すように、セパレータ53が分離された第2の積層体1Lは、ウェット状態の第1の接着層21の一主面JSが露出した状態となる。
ローラ89,90の間には、図6に示すように、第2の積層体1Lとともに、ホログラムの記録および後処理がなされ、矢印D6の方向に向かって走行する第1の積層体1Uが導入される。このとき、カバーフィルム31が、ローラ90に接する側とされる。したがって、ローラ89,90の間で、第1の積層体1Uの面PSおよび第2の積層体1Lの面JSが対向した状態とされる。
次に、ローラ89,90の間に導入された第1の積層体1Uと、第2の積層体1Lとが、ローラ89,90により圧着されて貼り合わされる。すなわち、カバーフィルム31およびホログラム記録層11の積層体と、基材層33、パターン層41、第2の接着層22およびセパレータ51の積層体とが、第1の接着層21を介して接合され、一体とされる。
次に、第1の積層体1Uおよび第2の積層体1Lの積層体が矢印D7の方向に向かって走行する間に、紫外線ランプ91から紫外線UVが照射され、第1の接着層21を構成する紫外線硬化型の接着剤の硬化が行われる。図5Cに、図6に破線で示すD部における第1の積層体1Uおよび第2の積層体1Lが貼り合わされた積層体の断面模式図を示す。
上述した工程を経て、第1の実施形態にかかるホログラム積層体2が得られる。必要に応じ、ホログラム積層体2に対して型抜きや裁断が行われ、ホログラム積層体2は、検査工程や集積工程などの後工程にまわされる。以下に、上述した工程で得られるホログラム積層体2の各層の厚さの一例を示す。なお、以下に示す数値はあくまで例示である。ホログラム積層体の各層の厚さが、これらの数値に限定されるものではない。
カバーフィルム : 36μm
ホログラム記録層: 14μm
第1の接着層 : 9μm
基材層 : 25μm
パターン層 : 1μm
第2の接着層 : 15μm
(セパレータ) :(38μm)
[第1の実施形態の変形例]
上述した製造方法では、第1の積層体1Uとして、カバーフィルム31、ホログラム記録層11およびセパレータ52があらかじめ積層されてサプライリールから供給される。第1の実施形態の変形例では、まずカバーフィルムが供給され、該カバーフィルム上に光重合型フォトポリマが塗布されることによりホログラム記録層が形成され、第1の積層体1Uが構成される。
(ホログラム記録層の形成)
図7は、ホログラム記録層形成の工程の説明に用いる略線図である。図7Aに示すように、サプライリール62から、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなるシート状のカバーフィルム31が、矢印D1の方向に向かって繰り出される。カバーフィルム31は、例えば、サプライリール62にロール状に巻かれた状態やシートの状態で供給される。
サプライリール62から繰り出されたカバーフィルム31は、ローラ63,65の上を順に走行し、ローラ67およびローラ69の間を通過してローラ69の周面に巻きつけられる。なお、ローラ63,65は、カバーフィルム31が弛まないようにするため、トーションコイルばねなどによりカバーフィルム31に張力を付与できるようになされる。
次に、ローラ69の周面に巻きつけられたカバーフィルム31に、感光性材料、例えば光重合型フォトポリマ13が、スリットダイヘッド19によって一定の膜厚となるように塗布される。したがって、第1の積層体1Uと第2の積層体1Lとの接合が行われるまでは、カバーフィルム31は、光重合型フォトポリマ13の支持体としての機能を有している。
一主面上に光重合型フォトポリマ13が塗布されたカバーフィルム31は、矢印D3の方向に向かって走行する。必要に応じて、遠赤外線や温風などにより、塗布された光重合型フォトポリマ13の乾燥が行われる。乾燥は、塗布された光重合型フォトポリマ13がたれることを防止するために行われる。乾燥後において、ホログラム記録層11を構成する光重合型フォトポリマ13は、ウェット状態とされる。乾燥後に、ホログラム記録層11(塗布された光重合型フォトポリマ13)の厚みを膜厚測定装置により測定し、塗布される光重合型フォトポリマ13の厚みが一定となるように、スリットダイヘッド19のスリットの開閉および開口の幅を制御するようにしてもよい。
図7Bに、図7Aに破線で示すE部における第1の積層体1Uの断面模式図を示す。必要に応じて乾燥が行われた第1の積層体1Uは、ホログラムの記録を行うための複製装置50に導入される。
<2.第2の実施形態>
図8Aは、第2の実施形態にかかるホログラム積層体の構成例を示す断面模式図である。図8Bは、第2の実施形態にかかるホログラム積層体を被着体から剥離したときの状態を説明するための断面模式図である。なお、図8Aおよび図8Bでは、説明の都合上、パターン層を厚めに描いてある。
図8Aに示すように、第2の実施形態にかかるホログラム積層体201は、ホログラム記録層11と、第1の接着層21と、基材層33と、パターン層41と、第2の接着層22を備えている。図8Aに示す構成例では、上述した第1の実施形態と同様に、例えば、基材層33の一主面上に、剥離性を付与する組成物をパターン状に塗布または印刷することにより、パターン層41の第1の領域R1が形成されている。第2の領域R2には、第2の接着層22を構成する材料が入り込んでいる。
第2の実施形態では、第2の接着層22の自己結集力または破断強度に比して、基材層33に対する第2の接着層22の剥離強度が大とされる。基材層33に対する第2の接着層22の剥離強度に比して、被着体99に対する第2の接着層22の剥離強度が大とされる。さらに、被着体99に対する第2の接着層22の剥離強度に比して、第1の接着層21の自己結集力または破断強度、ホログラム記録層11に対する第1の接着層21の剥離強度および基材層33に対する第1の接着層21の剥離強度が大とされる。
図8Bに示すように、ホログラム記録層11の凝集破壊が起こらないようにしてホログラム積層体201を被着体99から剥離しようとすると、第2の接着層22が、第2の領域R2で破断される。すなわち、第2の接着層22の一部が、ホログラム記録層11側に付着する。
第2の実施形態によれば、第2の接着層22の一部が、ホログラム記録層11側に付着するので、ホログラム積層体201が被着体99から剥離されたことを明りように判別することができる。
<3.第3の実施形態>
図9Aは、第3の実施形態にかかるホログラム積層体の構成例を示す断面模式図である。図9Bは、第3の実施形態にかかるホログラム積層体の第1の変形例を示す断面模式図である。図10Aおよび図10Bは、第3の実施形態にかかるホログラム積層体の第2の変形例を示す断面模式図である。
図9Aに示すように、第3の実施形態にかかるホログラム積層体301は、ホログラム記録層11と、第1の接着層321と、パターン層41と、第2の接着層22を備えている。第3の実施形態にかかるホログラム積層体301は、第1の接着層321に、第1の接着層321を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ拡散反射部材330を備える。
拡散反射部材330は、第3の実施形態にかかるホログラム積層体301を観察する際に、該ホログラム積層体301に入射した光を拡散反射させるために配される部材である。本明細書でいう拡散反射とは、鏡面反射を除いた拡散的な光の反射をいい、JIS Z 8741に規定されるものである。鏡面反射とは、鏡の面での反射のように反射の法則に従う光の反射をいい、JIS Z 8741に規定されるものである。また、正反射方向とは、入射光の入射角と同じ角度の反射角を有する反射光の進行方向をいう。
ここで、体積型ホログラムは、未露光のホログラム用記録材料を近接させ、記録波長と近い波長のレーザを照射するコンタクトコピーと呼ばれる手法により、複製することが不可能ではない。したがって、被着体から剥離したホログラム積層体を原版として、ホログラムの不正なコピーが行われることが考えられる。
第3の実施形態では、第1の接着層321が、第1の接着層321を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ拡散反射部材330を備える。そのため、被着体から剥離されたホログラム積層体301を原版として不正なコピーを行おうとしても、拡散反射部材330からの拡散反射光が、コピーされたホログラムに記録される。したがって、ホログラム積層体301の真贋判定を容易とすることができる。
拡散反射部材330は、ホログラム積層体301を正面から観察した際に、拡散反射部材330の存在が確認できる程度に拡散反射するものが選ばれる。拡散反射部材330としては、例えば、金属粉や表面に凹凸を有する金属片を使用することができる。また、例えば、下記のものが使用でき、これらのうちの何種かを積層した多層構造としたり、混合したりしてもよい。
A.メタルカラー蒸着粉(メタリックフレーク、例:ダイヤ工業株式会社製「エルジー」)
B.パールピグメント(真珠光沢顔料、例:日本光研工業株式会社製「アルティミカ(登録商標)」)
C.銀メッキガラスフレーク顔料、アルミニウムフレーク顔料、二酸化チタン顔料またはそれらの混合体
D.クロマフレア顔料(見る角度によってカラーシフトする材料、例:日本ペイント株式会社製「マジョーラ(登録商標)」)
E.ホログラム片(例:ダイヤ工業株式会社製のダイヤホログラムALタイプ、HG−S20AL(0.2mm片、厚さ0.012mm))
F.グリッター(ラメ感のある顔料、例:日本光研工業株式会社製)
G.蛍光顔料(例:シンロイヒ株式会社製「シンロイヒカラー(登録商標)」)
H.蓄光顔料
I.金粉、銅粉、亜鉛粉、金箔、銅箔、亜鉛箔などの金属粉または金属箔
J.ポリエチレンテレフタレートとポリメチルメタクリレートなどの異種フィルム積層体(例:ダイヤ工業株式会社製「レインボーフレーク」)
なお、ホログラム積層体301を正面から観察した際に拡散反射部材330から知覚される色みが、ホログラム記録層11に記録されたホログラムを観察したときに知覚される色みと異なるようにされることが好ましい。例えば、緑色に対応する波長のレーザ光でホログラムが記録される場合、拡散反射部材330から知覚される色が、例えば、赤色に近いものであることが好ましい。真正なホログラム積層体301を観察したときには、拡散反射部材330からの反射光には赤みが感じられるが、不正なコピーが行われたホログラムに記録される拡散反射部材330の像を観察したときの色みが、ホログラムの記録波長に近い緑色となるからである。すなわち、ホログラム積層体301の真贋判定を容易とすることができる。
第1の接着層321には、例えば、拡散反射部材330として、1cm3当たりに1500個程度、金属粉が混入される。このとき、ホログラム積層体301を観察すると、混入された金属片が、ランダムの位置に見えることになる。拡散反射部材330の含有量は、体積比率にして、好ましくは0.01%以上30%以下、より好ましくは、0.1%以上5%以下とされる。体積比率が上述した範囲内の混入であると、全体的なホログラムの見易さを悪くすることはない。また、目視観察またはマイクロスコープや虫眼鏡などによる観察により、ホログラム積層体301の観察者は、ホログラム積層体301中の拡散反射部材330の存在を認識できる。
なお、拡散反射部材330に代えて、鏡面反射部材を使用してもよい。例えば、球形の反射部材を使用することもできる。
[第3の実施形態の第1の変形例]
図9Bに示すように、第1の接着層321にかえて、基材層333に、基材層333を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ拡散反射部材330を分散させて、ホログラム積層体302を構成するようにしてもよい。
拡散反射部材330が分散された基材層333は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどからなる原料チップを溶解させて拡散反射部材330を分散させた後、シート状に成型することにより形成することができる。成型方法としては、例えば、押出成型、伸延成型または溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するキャスト成型などにより形成することができる。
[第3の実施形態の第2の変形例]
図10Aに示すように、パターン層41と、第2の接着層22との間に着色層305を設けてもよい。第3の実施形態の第2の変形例では、拡散反射部材330は、第1の接着層321、基材層333または着色層305の少なくとも1つの層の中に分散される。
着色層305は、全面が同じ色みとされてもよいし、例えば、文字状、記号状、模様状などに色分けがなされていてもよい。図10Bに示すように、着色層305を構成する材料がパターン層41の第2の領域R2を埋めるようにして、着色層305が形成されていてもよい。なお、パターン層41の厚さは、ホログラム積層体303を構成する他の層に比して薄く、例えば、1μm程度の厚さとされる。
着色層305は、第2の接着層22に対して、ホログラム積層体303の観察者に近い側に設けられるので、第2の接着層22は、着色された接着層でなくともよい。
<4.第4の実施形態>
図11Aは、第4の実施形態にかかるホログラム積層体の構成例を示す断面模式図である。図11Aに示すように、第4の実施形態にかかるホログラム積層体401は、ホログラム記録層11と、第1の接着層421と、基材層433と、パターン層41と、第2の接着層22を備えている。
第4の実施形態では、基材層433が、パターンニングされた光学異方性を有している。ここで、パターンニングされた光学異方性を有しているとは、基材層の少なくとも一部の領域で反射した光の偏光状態が、他の領域で反射した光の偏光状態と異なることをいう。具体的には、例えば、基材層433が、第1の領域r1および第2の領域r2を有し、第1の領域r1または第2の領域r2のいずれかが、複屈折を示すようにされる。また、例えば、第1の接着層421と接する側の主面上において、第1の領域r1または第2の領域r2に、数十nm〜数百nmの構造体の配列からなる凹凸形状が形成される。光学異方性の有無は、例えば、試料の厚さおよび試料に単一波長光束を入射させたときの透過光の位相差から計算により求めることができる。また、例えば、エリプソメータを用いた反射測定と透過測定とにより測定することができる。
第4の実施形態では、例えば、第1の領域r1から反射される光の偏光状態が、第2の領域r2で反射した光の偏光状態と異なるようにされる。被着体から剥離されたホログラム積層体401から不正なコピーを行おうとしてレーザ光を入射させると、第1の領域r1または第2の領域r2の一方から反射される光とレーザ光との干渉を大きくさせ、他方から反射される光とレーザ光との干渉を小さくできる。すなわち、第1の領域r1または第2の領域r2のパターンニングの形状を、不正なコピーがされたホログラムに対してホログラフィックに記録させることができる。
例えば、隠し文字や模様の形状に第1の領域r1または第2の領域r2をパターンニングしておけば、不正なコピーがされたホログラムを観察したときに、ホログラフィックに記録された隠し文字や模様が観察される。したがって、真正なホログラム積層体には存在しない隠し文字や模様が観察されるかどうかを判定することにより、ホログラム積層体401の真贋判定を行うことができる。
第1の領域r1または第2の領域r2に形成される数十nm〜数百nmの構造体の配列からなる凹凸形状は、例えば、高アスペクトで微細構造を形成するいわゆるナノインプリントで形成することができる。
基材層の少なくとも一部の領域で反射した光の偏光状態が、他の領域で反射した光の偏光状態と異なるようにするほか、第1の領域r1における絶対屈折率が、第2の領域r2における絶対屈折率と異なるようにされてもよい。
具体的には、例えば、ホログラム記録層11へのホログラムの記録時と同一の波長において、第1の接着層421の絶対屈折率が、第1の領域r1または第2の領域r2のうちの一方における絶対屈折率より0.05以上大きいものとされる。ここでは、第1の接着層421の絶対屈折率が、第1の領域r1における絶対屈折率より0.05以上大きいものとして説明を行う。以下に、屈折率の測定装置を示す。
測定装置:アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製:DR−A1)または精密屈折率計(株式会社 島津製作所製:KPR−2000)
なお、屈折率は、エリプソメータを用い、試料に直線偏光を入射させ、楕円偏光として反射された光の楕円率ψおよび楕円の回転角△を測定し、ψおよび△から光学定数をフィッティングすることにより求めてもよい。このとき、反射率分光法などにより、試料の厚さをあらかじめ求めておくようにしてもよい。
例えば、第1の接着層421の絶対屈折率が、第1の領域r1における絶対屈折率より0.05以上大きいものとされる。被着体から剥離されたホログラム積層体401から不正なコピーを行おうとしてレーザ光を入射させると、第1の接着層421と第1の領域r1との界面で正反射が起き、正反射した光と、入射したレーザ光の干渉パターン(正反射像)がホログラムとして記録される。該干渉パターンは、ホログラム記録層11の記録面に平行に一定間隔で形成されて不正にコピーされたホログラムに記録される。このような干渉パターンは、ホログラムミラーとも呼ばれ、レーザ光が正反射される領域、すなわち第1の領域r1のパターンにしたがって形成される。そのため、不正にコピーされたホログラムに対して垂直上方から白色照明光を入射させると、第1の領域r1と同じ形状の領域からは、ホログラムミラーの干渉パターンに対応する波長の光が垂直上方へ回折される。したがって、正反射像が観察されるかどうかを判定することにより、ホログラム積層体401の真贋判定を行うことができる。
第1の領域r1における絶対屈折率が、第2の領域r2における絶対屈折率と異なるようにするには、例えば、部分的に切り抜かれ、または部分的に厚さが変えられなどして、空気層などが形成されるようにしたフィルムなどを使用することが挙げられる。また、例えば、第1の接着層421に接する側の基材層433の主面上において、第1の領域r1および第2の領域r2の一方、または両方に、微細な構造体の集合からなる凹凸形状を形成しておいてもよい。
基材層433の主面上に形成する構造体としては、例えば、ドット構造体、面内に形成された柱状構造体、リング構造体、釣鐘状(bell-shaped)の構造体、レンズ状の構造体、主面に垂直な柱状構造体、主面に垂直なカイラル構造体などを挙げることができる。微細な構造体は、例えば、数十〜数百ナノメートルサイズとされ、具体的には、可視光領域よりも十分小さな配置ピッチで形成される。ここで、可視光領域とは、400nm〜750nmの波長域を指す。
微細な構造体の集合は、例えば、フォトリソグラフィ、電子線リソグラフィ、ナノインプリントなどにより形成でき、金属の微細な構造体を周期的に配置することにより形成してもよい。
<5.第5の実施形態>
図11Bは、第5の実施形態にかかるホログラム積層体の構成例を示す断面模式図である。図11Bに示すように、第5の実施形態にかかるホログラム積層体501は、ホログラム記録層11と、第1の接着層521と、パターン層542と、第2の接着層22を備えている。第5の実施形態では、パターン層542は、第2の接着層22における第1の接着層521が形成される側の主面上に形成されている。
第5の実施形態では、パターン層542の自己結集力または破断強度に比して、パターン層542の第1の領域R1に対する第1の接着層521の剥離強度が大とされる。さらに、パターン層542の第1の領域R1に対する第1の接着層521の剥離強度に比して、ホログラム記録層11に対する第1の接着層521の剥離強度の剥離強度が大とされる。
図11Bに示す構成例では、例えば、第2の接着層22における第1の接着層521が形成される側の主面上に、インク組成物552をパターン状に印刷することにより、パターン層542の第1の領域R1が形成されている。第2の領域R2は、例えば、インク組成物552が印刷されない領域であり、このとき、パターン層542の第1の領域R1は、第1の接着層521に包埋された状態となる。
ホログラム記録層11の凝集破壊が起こらないようにしてホログラム積層体501を被着体から剥離しようとすると、パターン層542が、第1の領域R1で破断される。すなわち、第1の領域R1を構成するインク組成物の一部が、ホログラム記録層11側に付着するので、ホログラム積層体501が被着体から剥離されたことを明りように判別することができる。
パターン層542は、第1の領域R1または第2の領域R2にインク組成物552を印刷することにより形成することができる。印刷の形態としては、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などを適用することができる。このとき、商標やロゴなどのパターンニング印刷を行うことにより、ホログラム積層体501の意匠性を向上させることができる。
インク組成物552の組成は、濡れ性および定着性がよければ特に限定されない。インク組成物552は、例えば、顔料を含有し、必要に応じてバインダ、溶媒などを含有する。なお、インク組成物552には、顔料や染料などの着色剤を含有しない透明の組成物も含むものとする。
インク組成物552に、光を反射する粒子、例えば、上述した拡散反射部材や表面に光沢を有する粒子、または蛍光粒子などを分散させてもよい。このとき、インク組成物552が透明であってもかまわない。
インク組成物552として、蛍光物質を含有するいわゆる蛍光インクを使用してもよい。蛍光物質としては、無機蛍光物質または有機蛍光物質を挙げることができる。無機蛍光物質としては、例えば、タングステン酸カルシウム、タングステン酸マグネシウム、硫化カルシウム・ビスマス、硫化亜鉛・銀、硫化亜鉛・銅、硫化亜鉛・金・アルミニウム、バナジウム酸イットリウム・ユーロピウム、硫酸化イットリウム・テルビウム、硫酸化ランタン・テルビウム等が挙げられる。有機蛍光物質としては、ジアミノスチルベンゼンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体、トリアゾール、カルバゾール、ピリジン、ナフタル酸、イミダゾロンなどの誘導体、フルオレセイン、エオシンなどを挙げることができる。
または、パターン層542が、パターン状の金属薄膜により形成されてもよい。金属薄膜としては、例えば、Cr,Ti,Fe,Co,Ni,Cu,Ag,Au,Ge,Al,Mg,Sb,Pb,Pd,Cd,Bi,Sn,Se,In,Ga,Rbなどの金属またはその酸化物もしくは窒化物などを使用することができ、金属薄膜が鏡面に近くなることから、特に、Agが好ましい。これらのうちの二種以上を組み合わせて使用してもよい。金属薄膜の形成には、例えば、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、めっき法などを適用することができる。
または、第1の接着層521の絶対屈折率が、パターン層542の絶対屈折率より0.05以上大きいものとされていてもよい。この場合も、インク組成物552が透明であってもかまわない。第1の接着層521およびパターン層542がともに透明とされていれば、パターン層542の存在を気付かれにくくすることができる。
なお、パターン層542の第1の領域R1に対する第2の接着層22の剥離強度に比して、パターン層542の自己結集力または破断強度が大であってもよい。この場合は、ホログラム記録層11の凝集破壊が起こらないようにしてホログラム積層体501を被着体から剥離しようとすると、パターン層542と第2の接着層22との間での剥離が起こる。このとき、被着体から剥離されたホログラム記録層11側にパターン層542が残るため、不正なコピーを行った場合に拡散反射部材の像や正反射像が記録され、ホログラム積層体501を原版とする不正なコピーを防止することができる。
[第5の実施形態の変形例]
図11Cは、第5の実施形態にかかるホログラム積層体の他の構成例を示す断面模式図である。図11Cに示すように、第5の実施形態の変形例にかかるホログラム積層体502は、ホログラム記録層11と、第1の接着層521と、パターン層542と、基材層533と、第2の接着層22を備えている。第5の実施形態の変形例では、パターン層542は、基材層533における第1の接着層521が形成される側の主面上に形成されている。
図11Cに示す構成例では、例えば、基材層533の一主面上に、インク組成物552をパターン状に印刷することにより、パターン層542の第1の領域R1が形成される。第2の領域R2は、例えば、インク組成物552が印刷されない領域であり、このとき、パターン層542の第1の領域R1は、第1の接着層521に包埋された状態となる。
ホログラム記録層11の凝集破壊が起こらないようにしてホログラム積層体502を被着体から剥離しようとすると、パターン層542が、第1の領域R1で破断される。すなわち、第1の領域R1を構成するインク組成物の一部が、ホログラム記録層11側に付着するので、ホログラム積層体502が被着体から剥離されたことを明りように判別することができる。
なお、基材層533に対するパターン層542の剥離強度に比して、パターン層542の第1の領域R1に対する第1の接着層521の剥離強度が大であってもよい。この場合は、ホログラム記録層11の凝集破壊が起こらないようにしてホログラム積層体502を被着体から剥離しようとすると、パターン層542と基材層533との間での剥離が起こる。このとき、被着体から剥離されたホログラム記録層11側にパターン層542が残るため、不正なコピーを行った場合に拡散反射部材の像や正反射像が記録され、ホログラム積層体502を原版とする不正なコピーを防止することができる。
<6.変形例>
以上、好適な実施形態について説明したが、好適な具体例は、上述した説明に限定されるものではない。上述した実施の形態は、第1の接着層と基材層との間または基材層と第2の接着層との間のいずれかがタンパーエビデント機能を有する例であるが、例えば、図12に示すように、上述した例を適宜組み合わせてもよい。
図12Aは、第1の接着層と基材層との間および基材層と第2の接着層との間にタンパーエビデント機能を有するホログラム積層体の断面模式図である。図12に示すホログラム積層体601は、カバーフフィルム31と、ホログラム記録層11と、第1の接着層621と、基材層633と、パターン層41と、第2の接着層22を備えている。基材層633の一主面上には、インク組成物を塗布または印刷することにより、パターン層642が形成されている。第1の接着層621には、拡散反射部材330が分散されている。
図12Bは、図12Aに示すホログラム積層体の改ざん防止機能を説明するための図である。ホログラム記録層11には、例えば、「ABCD1234」などの情報がホログラフィックに記録されており、例えば、基材層633の一主面上には、製造者のロゴ「LOGO」がパターン層642として形成されている。図12Bに示すように、ホログラム積層体601が被着体99から剥離されると、被着体99に対して、第2の接着層22が、例えば「VOID」などのパターン状に残る。
ホログラム記録層11に記録されるコンテンツとしては、文字情報や画像情報など、特に限定されない。例えば、出願人らが先に提案した、視点の移動に伴って再生される像が変化するホログラムや、多重記録が行われ、観察する角度によって再生される像が切り替わるようにしたホログラムを適用することもできる。
例えば、上述した実施の形態では、第1の領域および第2の領域を有するパターン層を形成することにより、第1の領域および第2の領域に対する接着層の剥離強度を異なったものとする例を説明したが、剥離強度の異なる接着剤を領域ごとに使用してもよい。
また、例えば、上述した実施の形態では、第1の積層体に対してホログラム原版に記録されたホログラムの複製を行う例を説明したが、あらかじめホログラムが記録された第1の積層体を供給するようにしてもよい。この場合も、あらかじめホログラムが記録された第1の積層体を、ロール状に巻かれた状態で供給してもよい。
また、例えば、上述した実施の形態では、第2の積層体が第1の接着層を備える例を説明したが、第2の積層体にかえて、第1の積層体が第1の接着層を備えるようにされていてもよい。
また、例えば、エネルギ線硬化樹脂などにより、カバーフィルムの表面にハードコート層を形成してもよいし、ホログラム記録層と他の層との界面に、ケミカルアタックを防止するブロッキング層を設けるようにしてもよい。
ホログラム積層体は、商品の包装、非接触ICカード、IDカード、銀行カード、クレジットカード、社員証、学生証、定期券、運転免許証、外国旅券、ビザ、証券、通帳、印紙、切手、携帯電話、貨幣、宝くじなどに使用できる。そのほか、未開封の証明、遊技機などの機器改造禁止箇所の封印、重要書類の封印、食品や薬品への異物混入防止などを目的として使用することができる。
1,2 ・・・ホログラム積層体
11 ・・・ホログラム記録層
21 ・・・第1の接着層
22 ・・・第2の接着層
31 ・・・カバーフィルム
33 ・・・基材層
41 ・・・パターン層
51 ・・・パターン層
99 ・・・被着体
330 ・・・拡散反射部材
552 ・・・インク組成物
R1 ・・・第1の領域(パターン層)
R2 ・・・第2の領域(パターン層)
r1 ・・・第1の領域(基材層)
r2 ・・・第2の領域(基材層)
1U ・・・第1の積層体
1L ・・・第2の積層体

Claims (19)

  1. ホログラムが記録されるホログラム記録層と、
    第1の接着層と、
    第1の領域および第2の領域を有するパターン層と、
    第2の接着層と
    を備え、
    上記ホログラム記録層、上記第1の接着層、上記パターン層および上記第2の接着層がこの順に積層され、
    上記第1の接着層の剥離強度が、上記第2の接着層の剥離強度よりも大とされ、
    上記第1の領域に対する上記第2の接着層の剥離強度と、上記第2の領域に対する上記第2の接着層の剥離強度とが異なる
    ホログラム積層体。
  2. ホログラムが記録されるホログラム記録層と、
    第1の接着層と、
    第1の領域および第2の領域を有するパターン層と、
    第2の接着層と
    を備え、
    上記ホログラム記録層、上記第1の接着層、上記パターン層および上記第2の接着層がこの順に積層され、
    上記ホログラム記録層に対する第1の接着層の剥離強度が、上記パターン層の上記第1の領域に対する上記第1の接着層の剥離強度よりも大とされ、
    上記パターン層の上記第1の領域に対する上記第1の接着層の剥離強度が、上記パターン層の自己結集力または破断強度よりも大とされる
    ホログラム積層体。
  3. 上記第1の接着層が、紫外線硬化樹脂である
    請求項1または2に記載のホログラム積層体。
  4. 基材層をさらに備え、
    上記パターン層が、上記基材層の主面のうち、少なくとも一方の主面上に形成される
    請求項3に記載のホログラム積層体。
  5. 上記第2の接着層が、黒色である
    請求項4に記載のホログラム積層体。
  6. 上記第1の接着層が、拡散反射部材を含む
    請求項5に記載のホログラム積層体。
  7. 上記基材層が、拡散反射部材を含む
    請求項5に記載のホログラム積層体。
  8. 上記基材層が、パターンニングされた光学異方性を有する
    請求項4記載のホログラム積層体。
  9. 上記第1の領域が、インク組成物を塗布または印刷することにより形成される
    請求項2に記載のホログラム積層体。
  10. 上記インク組成物が、光を反射する粒子を含む
    請求項9に記載のホログラム積層体。
  11. 上記第1の接着層の絶対屈折率が、上記第1の領域の絶対屈折率より0.05以上大きい
    請求項9または10に記載のホログラム積層体。
  12. ホログラムが記録されるホログラム記録層を備える第1の積層体と、
    第1の接着層と,第1の領域および第2の領域を有するパターン層と,第2の接着層とを備え、上記第1の接着層、上記パターン層および上記第2の接着層がこの順に積層される第2の積層体と
    を上記第1の接着層により接合する接合の工程を備え、
    上記第1の接着層の剥離強度が、上記第2の接着層の剥離強度よりも大とされ、
    上記第1の領域に対する上記第2の接着層の剥離強度と、上記第2の領域に対する上記第2の接着層の剥離強度とが異なる
    ホログラム積層体の製造方法。
  13. 上記第1の積層体が、カバーフィルムをさらに備え、上記カバーフィルムおよび上記ホログラム記録層があらかじめ積層された状態で供給される
    請求項12に記載のホログラム積層体の製造方法。
  14. 上記ホログラム記録層にホログラムの記録を行うホログラム記録の工程をさらに備え、
    上記ホログラム記録の工程および上記接合の工程が、インラインで構成される
    請求項12または13に記載のホログラム積層体の製造方法。
  15. カバーフィルムに感光性材料を塗布することにより上記ホログラム記録層を形成するホログラム記録層形成の工程と、
    上記ホログラム記録層にホログラムの記録を行うホログラム記録の工程と
    をさらに備え、
    上記ホログラム記録層形成の工程と、上記ホログラム記録の工程および上記接合の工程が、インラインで構成される
    請求項12に記載のホログラム積層体の製造方法。
  16. ホログラムが記録されるホログラム記録層を備える第1の積層体と、
    第1の接着層と,第1の領域および第2の領域を有するパターン層と,第2の接着層とを備え、上記第1の接着層、上記パターン層および上記第2の接着層がこの順に積層される第2の積層体と
    を上記第1の接着層により接合する接合の工程を備え、
    上記ホログラム記録層に対する第1の接着層の剥離強度が、上記パターン層の上記第1の領域に対する上記第1の接着層の剥離強度よりも大とされ、
    上記パターン層の上記第1の領域に対する上記第1の接着層の剥離強度が、上記パターン層の自己結集力または破断強度よりも大とされる
    ホログラム積層体の製造方法。
  17. 上記第1の積層体が、カバーフィルムをさらに備え、上記カバーフィルムおよび上記ホログラム記録層があらかじめ積層された状態で供給される
    請求項16に記載のホログラム積層体の製造方法。
  18. 上記ホログラム記録層にホログラムの記録を行うホログラム記録の工程をさらに備え、
    上記ホログラム記録の工程および上記接合の工程が、インラインで構成される
    請求項16または17に記載のホログラム積層体の製造方法。
  19. カバーフィルムに感光性材料を塗布することにより上記ホログラム記録層を形成するホログラム記録層形成の工程と、
    上記ホログラム記録層にホログラムの記録を行うホログラム記録の工程と
    をさらに備え、
    上記ホログラム記録層形成の工程と、上記ホログラム記録の工程および上記接合の工程が、インラインで構成される
    請求項16に記載のホログラム積層体の製造方法。
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